2025年3月のダイヤ改正で定期運行が終了した直流電気機関車EF65形1000番台(PF形)ですが、廃車が始まったのは今から30年前、1995年4月5日付の1011号機でした。同機はJR東日本田端運転所に在籍し、晩年は東海道本線の寝台特急でも活躍しました。

 

EF65 1011は1969年10月31日付で落成し、新鶴見機関区に配置されました。翌年宇都宮に転属し、田端(84年2月)、稲沢(85年3月)と移り、86年3月、田端運転所に所属となってJR東日本に継承されました。

 

しかし90年代に入り、客車列車の縮小やけん引機の見直しなどを受けて、1011号機はJR貨物を含む全EF65PF形で最も早い95年4月5日付で廃車となりました。

 

 

東京駅で機回し中のEF65 1011=1993年

 

 

 

JR東日本田端運転所にはかつてEF65PF形が41両が配置されていました。主に東北線系統を担う本所運用機と東海道・山陽本線を走る品川常駐機に分けられていて、1011号機を含む前期形は本所運用を担当していました。

 

90年代前半は、EF65PF形に保安装置ATS-Pの設置工事を施工することとなり、期間中の車両不足を補うため混ざり合う時期がありました。

 

1011号機は、筆者が93年春に寝台特急「出雲4号」乗った際に当たりました。いま振り返ると、当時「古臭い」と感じていた前期形の造形が機関車らしい「味わい」に見えます。

 

 

「出雲」とPF前期形の組み合わせは微妙に感じていましたが、今は雰囲気があって好きです(当時の様子は「出雲のEF65PF前期形」にも書いています)

 

 

 

EF65 1011の廃車から今春でちょうど30年がたちました。今も後期形が残っていることを思うと、わずか26年間の活躍だった同機は短命でしたが、機関車らしい風格で華やかな東海道ブルートレインをけん引した晩年の輝きは、いま一度胸に刻んでおきたいところです。




※元東京機関区所属の後期形が中心だった品川常駐機は以下の記事で紹介しています