青桐美幸(Blue)

ライフスタイルレコードの場にようこそ♡


自己紹介はこちらから。

 

 

自分自身と向き合い

幸せな毎日を創るために。

仕事も遊びも恋愛も、
「好き」を表現することから

自分を確立するライフスタイルを

綴っています。

 

 

 

今までの話はこちら。↓

 

◆高校生編はこちらから。

◆大学生編はこちらから。

 

【片恋物語】社会人編①過ちはいつも後戻りできなくなってから気づく。

【片恋物語】社会人編②新しく出会う。それは誰かとの決別を意味する。

【片恋物語】社会人編③誰でもよかった。自分を認めてくれる人ならば。

【片恋物語】社会人編④関係を断つのは、まるで自分の甘さと弱さに足元を掬われた感覚に似て。

【片恋物語】社会人編⑤それはどこまでも追いかけてくる。だって振り返ることをやめないから。

【片恋物語】社会人編⑥自尊心を満たす。それだけのために利用した代償は重かった。

【片恋物語】社会人編⑦欲望は、時に刃となって傷つける。

【片恋物語】社会人編⑧愛してほしかった。でも愛されなくてもよかった。

【片恋物語】社会人編⑨ごまかしても燻る熱が消えないなら、いっそ灰になるまで。 ←今ここ

 

 

 

 

 

 

 

Sと連絡を取り合わなくなってから6年。

 


あの日、決定的に何かが変わり、
何かが終わり、何かが失われて、
後に言いようのないしこりを
残したまま時間だけが進んでいった。

 


Kとはあの後すぐに別れて、
それからは1人きりで生きてきた。

 


6年の間にとっくに慣れた上に倦怠感
さえ覚えるようになって久しい仕事。

 


特にキャリアアップを
目指すつもりもなかったため、
ひたすらプライベートに力を注いでいた。

 


1人行動が得意になって遠方にも
軽々と行けるようになった。

 


夢中になれるものが増えて最近は
趣味の充実ばかり追求している。

 


そうして瞬く間に歳を取り、
気づけば30歳の大台を迎える
年度に突入していた。

 

 

 

 

 

その間、Sのことを全く
思い出さなかったわけではない。

 


けれど、あの時の狂おしいほどの
独占欲や執着心は最早
見る影もないほど薄れていた。

 


たった1人の相手だと思っていたから
振り向いてくれないとわかっていても
焦がれ続けた。

 


その気持ちは嘘ではない。

 


でも、今考えると呆れるほど
幼い恋心だったのだと思う。

 


だからこそ割り切ることも
諦めることも振り切ることすら
できずにただただもがいていた。

 


そう、思い返す余裕ができるほど
長い時間を経たということだ。

 


Sに会わなくなって物理的にも
心理的にも距離ができて早6年。

 


さすがに当時と形も重さも
同じ思いはもう抱いていない。

 


ただ、
あの時のあの話は面白かったとか、
よく見せる仕草や表情が不意に
頭をよぎっては優しい気分になった。

 


その度に、
やっぱり私はどこまでいっても
Sが好きなのだと実感した。

 


Sにどう思われていても関係ない。

 


たとえこの先二度と
会うことがないとしても、
私はずっとSのことを好きなまま
生きていくのだろうと、
何の根拠もなく確信していた。

 

 

 

 

 

だって、
比べることをやめられないから。

 

 

 

 

 

一時期、
やっぱり寂しさから誰かを
探してみたことがある。

 


初対面の人と話すことなんて
仕事でも極力したくないのに、
慣れないアプリを使って
メッセージを送り合い、
段取りをつけて見ず知らずの
男性と会ってみたこと数回。

 


色々な意味でリスクもあったし、
どこにそんな行動力が眠っていたのか
自分でも驚いたぐらいだけれど、
とにかく出会いを求めて違う世界へ
一歩踏み入れたこともあったのだ。

 


が、そこから先へは進まなかった。

 


仕事の都合で疎遠になった人もいれば、
価値観が合わなくて早々に
見切りをつけた人もいた。

 


前者は仕方ないとしても、
後者は明らかにSの影がちらついていた。

 


Sならこんなことは言わない、
Sと一緒ならこんな不快な気持ちに
ならないと悉く比較していた。

 


その時点で、
完全にSを絶対的基準として
置いていることに気づき、
他の誰かを探すのをやめた。

 


自分の中でSの存在が
揺らがないのならどうしようもない。

 


好きでいることをやめられないのなら、
飽きるまで好きでいるしかない。

 


――――と。

 


まるで悟りを開いたかのように
凪いだ心が横たわっていた。

 

 

 

 

 

そうして6年。

 


30歳の誕生日まであと1ヶ月
というところまで来ていた。

 


この30という数字が何か不思議な
引力を放っていたのかもしれない。

 


唐突に、本当に瞬間的に
思い出してしまったのだ。

 


その日がSの誕生日であることを。

 

 

 

 

 

⑩に続きます。↓

 

【片恋物語】社会人編⑩再び会う。過去の清算と未来へ繋がる絆のために。

 

 

 

 

 

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