青桐美幸(Blue)

ライフスタイルレコードの場にようこそ♡


自己紹介はこちらから。

 

 

自分自身と向き合い

幸せな毎日を創るために。

仕事も遊びも恋愛も、
「好き」を表現することから

自分を確立するライフスタイルを

綴っています。

 

 

 

今までの話はこちら。↓

 

◆高校生編はこちらから。

◆大学生編はこちらから。

 

【片恋物語】社会人編①過ちはいつも後戻りできなくなってから気づく。

【片恋物語】社会人編②新しく出会う。それは誰かとの決別を意味する。

【片恋物語】社会人編③誰でもよかった。自分を認めてくれる人ならば。

【片恋物語】社会人編④関係を断つのは、まるで自分の甘さと弱さに足元を掬われた感覚に似て。

【片恋物語】社会人編⑤それはどこまでも追いかけてくる。だって振り返ることをやめないから。

【片恋物語】社会人編⑥自尊心を満たす。それだけのために利用した代償は重かった。

【片恋物語】社会人編⑦欲望は、時に刃となって傷つける。 ←今ここ

 

 

 

 

 

 

 

電話をした翌日。

 


Sに会うために、
1人暮らしをしている彼の家まで行った。

 


会いたいと言えば会ってくれる。

 


何かあればまだ気にかけてくれる。

 


自分の未練がましさを自覚しつつも
やっぱり嬉しさは湧き上がった。

 


会って何を話すか、
特に決めていたわけではない。

 


電話で相談したことなら
もう結論は出ている。

 


それでも私の話を聞いてどう
思ったのか聞きたかったし、
自分の考えを伝えたかった。

 


ただし、Sが好きだということを
言うつもりは全くなかった。

 


だからSが長年感じていたことを
知ったのは本当に想定外だった。

 

 

 

 

 

S「高校の時から
お前の気持ちは知ってたよ」

 

 

 

 

 

B「……いつから?」

 

S「割と最初から」

 


ぼんやりとそうだろうな
とは思っていたものの、
いざその事実を指摘されると
苦笑するしかなかった。

 


口に出して言わなかっただけで
敢えて隠そうともしていなかったし、
Sがあまりに何も言わないことに焦れて
いっそ思い知れば良いと思った時期も
あるぐらいだ。

 


それでもひたすら黙っていたのは、
Sから断りの言葉を受けて
傷つきたくなかったのと、
Sの望まない関係を求めて
困らせたくなかったから。

 


だからこそ8年も沈黙を通し、
Sの1番仲の良い友達として
最も近くにい続けたのだ。

 


でもとうとうそれも、
この日でピリオドが打たれた。

 

 

 

 

 

どうしてこの時に向き合って
くれる気になったのかは知らない。

 


でも、やっと全部話してくれた。

 


今まで人を好きになったことがないから、
「好き」という感情がわからないこと。

 


告白されてつき合うことを了承したのは、
相手を「嫌いではない」からだったこと。

 


大事にしたいとは思うけれど、
本当に好きなのかがわからなくなり、
自分に自信がなくなること。

 


そのせいで相手の傷つく
顔を見たくないこと。

 


だからもう誰ともつき合う気はなく、
1人になりたいと思っていること。

 


私が想像していたよりもっと深く
Sは閉じこもって自分を責めていた。

 


生半可な言葉では届かないし、
今までSの内部に入り込もうとしなかった
自分では絶対無理なことも知っている。

 


でも、だけど。

 

 

 

 

 

それでもいいと思ってしまった。

 

 

 

 

 

つき合ってほしいなんて言わないから。

 


ただの友達としてでいいから、
それでも傍にいさせてほしいと。

 


今まで通りを続けることが1番
上手くいくと過去が物語っていたから。

 


変わらない関係を紡ぐことが
私のたった1つの願いだった。

 


B「今までと同じじゃ駄目なの?」

 

S「それだとお前に失礼だから、
ちゃんと考えたい。
でもやっぱり好きっていう
気持ちがわからない……」

 


あれだけ困らせたくないと嘯きながら、
結果的にこの時1番Sを困らせていた。

 


理解できないことを理解しようとして
悩む姿に申し訳なさを覚えた。

 


確かにこの気持ちを思い知れば
良いと思った時もあったけれど、
所詮それは自分の独りよがりな感情で、
Sが苦しむ必要なんて全然ない。

 


恋心を秘めておくと決めたのなら、
片鱗でも表に出すべきではなかった。

 


けれどそこまで固い意志を貫けず、
私の弱さがSを困らせた。

 


本当に、何て情けない人間なんだろう。

 


襲ってくる自己嫌悪の波に
じっと耐えるしかなかった。

 

 

 

 

 

双方が感情の行き場を
なくして途方に暮れる中、
不意に私の身体が反転した。

 

 

 

 

 

⑧に続きます。↓

 

【片恋物語】社会人編⑧愛してほしかった。でも愛されなくてもよかった。

 

 

 

 

 

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