世界的にも
有名な言葉となっている
「カロウシ」
過労死の労災認定の
基準が改定され、
長時間労働以外の要素も
重視されるように
なりました、
というお話です。
<毎日更新450日目>
1 残業時間は少ないけど過労死認定
ソフトバンク子会社の
男性社員が急性心筋梗塞
で死亡したという事件で、
労働災害の認定がされる
見通しであるとの報道が
ありました。
この件は、
新宿区労働基準監督署が、
もともとこの社員の
残業時間が少ないなどの理由で、
労災認定を認めない決定を
していました。
しかし、
東京労働者災害補償
審査官が、
不規則勤務などを重視する
新しい労災の認定基準
に基づいて、
上記の新宿労基署の決定
を取り消したとのことです。
労災というのは、
労働災害補償保健法
という法律に基づいて、
社員が会社の業務によって
怪我をしたり、
病気になったり、
亡くなったりした場合に、
支給される保険の制度です。
今は世界的に有名
になった「カロウシ」
という言葉。
会社の業務が原因で
過労死した場合にも、
もちろん労災認定の
対象となるわけです。
ただ、
実際によく争いに
なるのは、
果たして
「会社の業務が原因で」
怪我や病気、
さらには過労死に
いたったのかどうか。
特に過労死となると、
会社の業務と社員の死亡
との間の因果関係を
証明するのが難しい
場合が少なくありません。
そこで、
過労死が労災と認定
されるための重要な指標が、
いわゆる「長時間労働」
だったわけです。
逆に、
かつての基準では、
長時間の残業などが
ないケースでは、
なかなか過労死が
認められにくい、
という現状がありました。
しかし、
2021年9月に、
この労災認定の基準が
改定され、
労働時間の長さだけではなく、
労働時間以外の負荷要因も
総合的に考慮して
労災の認定を行うべき、
とされました。
これによって、
必ずしも長時間残業が
ないケースでも、
労災が認められやすく
なったと言えます。
2 労災の新基準とは?
かつての労災の基準では、
業務との関連性が強い
いわゆる「過労死ライン」として、
一定期間にわたり、
1ヶ月の時間外労働がおおむね80時間
を超える労働があった場合、
という基準が重視されていました。
しかし、
今回改定された
労災の新基準では、
労働時間の長さのほか、
次のような要素が考慮
されることになっています。
つまり、
残業時間は必ずしも
長くなくても、
その他のさまざまな要因で
過労死に至る可能性が
あることが認められた
ということです。
ちなみに、
会社には社員が
その生命・身体等
の安全に配慮した
職場環境を整えるという、
安全配慮義務があります。
会社がこの義務を
怠って、
社員が過労死に至った
場合には、
損害賠償責任が生じます。
社員が被った損害は、
労災認定が下りた場合は、
労災保険である程度
カバーされます。
しかし、
労災保険には上限額があり、
それを超える部分については、
会社に賠償責任が発生します。
そのような場合には、
過労死した社員の遺族から
裁判を起こされる
可能性も出てきます。
私の弁護士としての使命は、
中小零細企業のトラブルを
「裁判しないで解決」すること。
やはり会社としては、
社員が安全に働ける職場環境
をきちんと整備することが
大切です。
間違っても、
自社の社員が過労死する、
などということを
発生させてはいけませんね。
3 今日のまとめ
そこで、
今日のポイントは,
ということです。
世の中の多様化に伴い、
職場の在り方や働き方も
多様化しています。
残業時間は少なくても、
社員にとってのさまざまな負荷
がかかる仕事もあるでしょう。
経営者にとっては
大変なことではありますが、
こうした中で社員の
安全な職場環境を
いかに整えるか、
考えさせられますね。
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