物件の所有者で、
大家さんだからといって、
借主に対してなんでも
できるわけでは
ありません。
借主が家賃を滞納している、
行方不明で連絡が取れない、
だからといって、
勝手に居室に入ったり、
家財道具を処分したり
する行為は犯罪ですよ、
今日はそんなお話です(^ ^)
<毎日更新449日目>
1 借主が行方不明に?
先日、
不動産賃貸管理業を
営む会社の社長から
ご相談を受けました。
(守秘義務がありますので、
相談内容は大幅に変えています)
この会社では、
不動産賃貸の仲介も
やっていますが、
自社でも賃貸物件を
所有しており、
直接賃貸業もやって
います。
不動産賃貸業のリスク
の一つに、
家賃滞納などの
借主とのトラブル
があります。
時には、
借主が長期間不在で
行方不明、
などということも
あります。
2 大家でも勝手にやると犯罪に?
こういう困った
借主さんの事例、
世の中には結構
あります。
借主が何ヶ月も
賃料を滞納した挙句、
行方不明で連絡も
つかない。
貸主としては
たまったものでは
ありません。
さっさと部屋を
明渡してもらって、
新しい借主を
入れたいですよね。
このような場合の
対策として、
マンションなどの
賃貸借契約書には、
次のような特約を
入れることがあります。
そこで、
こうした契約書の特約
を根拠に、
貸主が部屋の合鍵を使って
借主の許可なく部屋に
入ることができるか?
さらには、
借主の部屋にある
家財道具などを勝手に
処分してしまって良いのか、
という問題があります。
貸主の気持ちはよく
わかるのですが、
このような行為は、
法律的には自力救済(じりききゅうさい)
といって禁止されています。
許可なく借主の居室に
入る行為は、
刑法の住居侵入罪に、
勝手に家財道具を処分すれば、
器物損壊(きぶつそんかい)罪という
犯罪になる可能性があります。
また、
民事上でも、
後々借主から損害賠償請求
をされるリスクがあります。
さらに、
上記のような
処分しても異議を述べない
という特約については
どうでしょうか?
この点、
裁判例では、
こうした特約は
公序良俗に反して無効
とされています。
ですから、
特約があっても
自力救済はダメ、
と考えた方が
良いでしょう。
そこで、
このようなケースでは、
遠回りではありますが、
裁判を起こして判決をとり、
強制執行を行うという
王道を行かざるを得ません。
すなわち、
貸主としては、
賃貸借契約を解除した上で、
建物明渡しと未払い賃料の支払い
を請求する裁判を起こします。
ここで、
行方不明者相手に
裁判を起こせるのか?
という疑問があります。
これは、
公示送達(こうじそうたつ)といって、
一定の要件を満たせば、
行方不明者にも裁判所からの
通知が届いたことにする、
という制度を使うこと
によって可能です。
そして、
裁判所の勝訴の判決
をとった上で、
建物明渡しの強制執行
の手続きを行います。
強制執行の手続きは、
裁判所の執行官という
人たちが行います。
裁判→判決→明渡しの
強制執行手続は、
短くても3ヶ月程度、
長ければ半年ほど時間が
かかってしまいます。
また、
裁判手続の弁護士費用や、
業者に支払う残置物の
処分費用などで、
ひどい場合は数十万円から、
100万円単位のお金が
かかってしまう場合もあります。
不動産の賃貸には、
こうしたリスクが
つきものです。
ですから、
きちんとした
連帯保証人を
定めておくなど、
リスクヘッジを
しておくことが
大切ですね。
3 今日のまとめ
そこで、
今日のポイントは,
ということです。
ところで、
私の弁護士としての使命は、
中小零細企業のトラブルを
「裁判しないで解決」すること。
しかし、
今回のようなケースは、
裁判せざるを得ません。
裁判しないで
エイヤーっと
やってしまうと
捕まります。
ただ、
そもそもこういうトラブルを
予防するために何か
できることはないか?
借主が行方不明に
なってしまうのは、
それなりの事情が
あってのことでしょう。
もしかしたら、
不動産賃貸の会社の方で、
もう少し借主と普段から
コミュニケーションが
とれていれば、
こうしたトラブルも
防げたかも知れません。
私のブログ仲間には、
分譲マンションのコレクターで、
40以上の物件を所有
している方がいます。
横山顕吾さんのブログ
⏬⏬⏬
この方がおもしろいのは、
借主の人に対して、
毎月「家賃を払っていただき
ありがとうございます」
というメッセージを
送ったり、
借主さんの誕生日にも
メッセージを送ったり
しているそうです。
こんな大家さんは
日本全国探しても
ちょっといないでしょう(笑)
しかし、
こんなちょっとした気遣いが
借主とのトラブルを予防し、
不動産賃貸管理業に伴う
リスクを回避するのに
役立つのかも知れませんね。
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