PITTI SNAP by BEAMS カジュアル編
2回続いた ”PITTI SNAP by BEAMS”
今回はカジュアル編です。
カジュアルと言ってもドカジュアルなスタイルはあまりスナップしていないので、カジュアルなジャケットスタイルを中心に ”オトナのカジュアルスタイル” にフォーカスしてご紹介します。
サファリジャケットとミリタリージャケットを合わせたようなジャケット。
今シーズンは4ポケットジャケットがトレンドなので、このようなジャケットをアウターとしてではなく、ジャケットとして着るコーディネートも多く見られました。
足元はスニーカーではなく、表革のローファーというのもポイントですね。
襟付のジレをインナーに合わせているのもポイントです。
ジャケットを合わせるようなコーディネートに敢えてサファリジャケットやミリタリージャケットを合わせるのも今シーズンらしいスタイルだと言えます。
このコーディネートはジレがポイントです。
ジレが有るか無いかではイメージがかなり変わります。
このようなアウター感覚のジャケットやニットやGジャンなどにジレを合わせるコーディネートも最近多く見られます。
カジュアルコーディネートにもジレが重要になっているのは間違いありません。
因みに、こんなスタイルにタイドアップする ”カジュアル タイドアップ” も多く見られました。
こんな感じですね。(笑)
明らかに放出品だとわかるミリタリージャケット。
ワークタイプのパンツにTシャツをインして、サスペンダーで吊っています。
パンツはシルエットから見ると、イタリアブランドのカジュアルパンツにボタンを付けてサスペンダー仕様にカスタマイズしていると思われます。
スニーカーもカモ柄で時計のベルト、サスペンダー、スニーカーのレースもミリタリーグリーンです。
ここまで徹底するとやり過ぎに見えるものですが、自然に見えるのは計算されたミリタリーグリーンの分量だと思います。
良く見ると胸ポケットにチーフを挿しています。
こんなこなしもイタリア人らしいですね。
パイピングの入ったシアサッカーのストライプジャケットにワンピースカラ―のシャツの裾を出したコーディネート。
シャツの裾を出してジャケットを羽織るスタイルは、PITTIの会場ではあまり見かけないコーディネートです。
裾出しスタイルですが、ダメージデニム以外は全て綺麗なアイテムでまとめているので、オトナのダメージデニムの着こなしとしてはセオリー通りだと思います。
個人的にはこのコーディネートにハットは余計だったかなとも思うのですが、スナップ撮られたい人にはハットは重要なアイテムなんです。(笑)
足元はALDENのコードバンタッセル。
足元もスニーカーではなく、レザーシューズというのもダメージデニムのコーディネートには重要なポイントです。
バッグはZANELATOのポスティーナ。
かなりいい感じにクタっています。
このコーディネートにクラッチバッグだったらアウトですね。
ジャガードのニットジャケットにジャージのリブパンツを合わせたコーディネート。
シャツの裾を少しだけ出すテクニックも最近よく見られますが、前立ての付いた洗いざらしのシャツと言うのもポイントです。
このコーディネートに前立て無しのシャツは合いません。
リブの感じも、このくらいユルいとオトナが履いても違和感がないです。
足元はグレースエードのスニーカータイプのスリッポン。
こんな感じのコーディネートだと最近はスタンスミスかスーパースターというパターンが多いですが、個人的にはこのようなシンプルなスリッポンタイプのスニーカーの方がいいと思います。
トレンドとしては既にピークを過ぎた感もあるスリッポンタイプのスニーカーですが、PITTIの会場ではまだまだ履いている人が多いと言うのが実状です。
デニムのパンツにジレにタイドアップというコーディネート。
このようなジャケットを着ないでジレをメインにしたコーディネートも最近増えています。
カジュアルなスタイルでもパナマハット。
こんなハットかぶった人本当にいるの? と思っている方が大半だと思いますが、本当にかぶっている人が多いです。
近年のPITTIでもハットはアクセサリーの中で最も注目度の高いアイテムであるのは間違いありません。 この流れは次の秋冬も継続しています。
今やハットをかぶっていることが、スナップされる重要なポイントでもあります。(笑)
バッグは大きめのボストン。
大きめのバッグを持つのがトレンドになっていますが、我々日本人にはボストンの日常使いは難しいので、レザーのトートバッグの方が取り入れやすいですが、イタリアではトートバッグを持つ人は少ないです。
理由はスリが多いから。
バッグの口が空いているトートバッグはスリの格好の餌食です。
ですので、トートバッグの場合はジッパーが付いていることが条件になります。
因みに、このボストンバッグ、中身はほとんど入っていないと思います。(笑)
足元はボリュームあるトウのビーフロールのローファー。
おそらく TRICKER’S だと思います。
チャーチにも似たモデルがありますが、こんな感じのビーフロールのローファーは個人的にも履きたいモデルです。
英国ブランドのビーフロールと言うのが刺さります。
タッセルばかりが注目されていますが、ローファーはもちろん定番なので、このようなボリュームのあるトウのモノを中心にかなり多くの人が履いています。
私の場合はコレです。
PARABOOTSのADONIS ダークブラウン。
結局4色買いとなりました・・・
因みに、細身でノーズの長いイタリアっぽいローファーは、さすがに見なくなりました。
カジュアルな仕立てのシアサッカーのギンガムチェックはLARDINI。
ホワイトTとかなりブリーチアウトしたブルーデニムで爽やかなブルー×ホワイトのコーディネート。
足元はVANSのスリッポン。
スタンスミスやスーパースターが大人気になってから落ち着いた感のあるVANSですが、こんな爽やかでシンプルなコーディネートにはスリッポンのスニーカーの方が合いますね。
このコーディネートにスタンスミスやスーパースターだと、個人的には今っぽくなりすぎるような感じがします。
カジュアルなコーディネートの時はチーフはあまり必要ないですが、敢えて挿したのだと思います。
これで色モノや柄モノのチーフだったらコーディネートが台無しになります。
全身を淡いブルーでまとめたコーディネート。
Tシャツはここ数年春夏の定番アイテムですが、ボーダーのTシャツを着た人は意外と少ないです。
一見なにも考えずに着ている印象ですが、色落ちしたデニムのトーンがジャケットのトーンとうまく合っています。
パンツのトーンを間違えると、すごく野暮ったくなるコーディネートだと思います。
ホワイトパンツを合わせても野暮ったくなるでしょう。
計算してこのトーンになったのかわかりませんが、結果的にうまくまとまっているコーディネートです。
足元はスエードのタッセル。
ラストの雰囲気とタッセルの結び目を見ると、おそらくイタリアブランドのタッセルだと思います。
色も少し前に流行ったグレーっぽいベージュですが、全体のコーディネートに馴染んでいるので古臭さはないです。
逆に表革のブラウンカーフだったら少し重い感じになるので、この靴を選んで正解だと思います。
PITTIの会場でかなり見かけるワイドクロップドのパンツ。
おそらく読者の皆さんとはテイストが違うので、ピンとこない方も多いとは思いますが、カジュアルなテイストの人達を中心にかなり見かけるシルエットのパンツです。
コスプレっぽいコーディネートの人も多いので、この人のようにシンプルでクリーンな感じで着ている人は意外と少ないです。
ブレザーにホワイトTシャツでコーディネートしているのも好印象です。
足元は ”スタンスミス風” ?
爬虫類っぽい加工のレザーを使ったコートスニーカー。
どこのブランドかはわかりませんが、このようなスタンスミス風のスニーカーも結構多いです。
このワイドクロップド、我々ようなテイストとは全く無関係と思われる方がほとんどだと思いますが、スリムなパンツからゆとりのあるパンツに流れが変わってきているという意味では、共通する流れだと言えます。
このように、カジュアルスタイルに関しては、綺麗目な方向に向かっているのは間違いなさそうです。
数年前までの艶々でワイルドな感じのイタリアンなカジュアルスタイルは、完全にアウトになりました。
そして、ショーツスタイルも激減しました。
特に数年前多かったジャケットにショーツというスタイルは、ほとんど見かけなくなりました。
ただ、パンツブランドからの提案は減っていないので、ショーツは従来通りリゾートで履くものと言う打ち出しに落ち着いた印象です。
ドレスクロージングのカジュアル化の波が来てから随分長い時間が経ちましたが、個人的にはカジュアルスタイルも過渡期に来ているような印象を受けます。
カジュアルスタイルに飽きた人達が、スーツスタイルに注目しているのも明らかな事実です。
それでも春夏のスタイルにはカジュアルな要素は欠かせないので、今後どのように変化していくのか見極めるのが重要になってくると思っています。
来週からは2017春夏のプレコレクションも始まります。
そこで少しづつ流れが見えてくるかなとも思っています。
そして、あと1ヶ月ちょっとでPITTI UOMO。
しかし、その前に今月は秋冬の様々なプレゼンも控えています。
頭の切り替えと柔軟さが求められる仕事です。
アタマがカタいと、この仕事は務まりませんから・・・
近年のPITTIではTシャツスタイルが多く見られますが、私はシャツ派。
GUYROBER のカッタウェイ カラーのウェスタン。
http://shop.beams.co.jp/shop/brilla/goods.html?gid=10667628
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ベージュはホワイトデニムやホワイトパンツと、ネイビーはデニムやネイビーのパンツと合わせて着ようと思っています。
シャツ一だけでなく、軽いジャケットのインナーに着れるのもこのシャツの良いところ。
イタリアとアメリカの融合。
昨今の傾向を表しているようなシャツでもあります。
今シーズンお勧めしたいカジュアルシャツのひとつです。
是非店舗でご覧になってみてください。
PITTI SNAP by BEAMS スーツ編
前回に続き、PITTI SNAP by BEAMS。
今回はスーツ編です。
もう20年来の付き合いになる、LARDINIのENRICO AIROLDI。
彼と初めて会った時から基本的なスタイルが変わっていません。
ネイビーかグレーのオーソドックスなスーツにネイビーの無地のタイが彼の定番スタイル。
ドレスクロージングのカジュアル化の波が来ても彼のスタイルは変わりません。
色や柄をあまり使わない端正なコーディネートは、ミラネーゼスタイルの王道でもあります。
パンツは2プリーツのテーパードシルエット。
彼はこの2プリーツのモデルを3年前くらいから既に穿いていました。
彼以外にも当時からこのモデルを穿いていたラルディー二のスタッフは何人かいたのですが、個人的にも古臭さを感じさせないシルエットのプリーツパンツは、当時から新鮮に感じていました。
ただ、今後の流れを考えると、もう少し股上が深い方がいいと思います。
そんな事は彼自身もわかっていると思いますが・・・(笑)
靴はEDWARD GREENのキャップトウ。
靴も昔から全く変わっていません。
EDWARD GREENとALDEN しか履いているのを見たことがないです。(笑)
ダークスーツダークブラウンのシューズ というのも、イタリアの王道スタイルです。
PITTIの会場でも多く見られた オリーブグリーンのコットンスーツ。
サルトリア メイドであることはステッチや肩の雰囲気でわかります。
パンツはやはり2プリーツのテーパードシルエット。
サルトリア メイドやサルトリア テイストのスーツでノープリーツのパンツを穿いている人はほとんど見ないので、クラシックなテーラードスタイルが戻って来る次の秋冬は、プリーツの入ったパンツのスーツが更に広がるのは間違いなさそうです。
靴はオーソドックスな英国靴。
EDWARD GREENでしょうか。
こんな感じのオーソドックスなフォルムとディティールの英国靴が戻って来ています。
暫く履いていなかった人は、今から綺麗に磨いてスタンバイしましょう。(笑)
この流れは、今後更に加速するのは間違いなさそうです。
特に表革のドレスシューズが重要になってくると思います。
少し赤みのあるブラウンのコットンスーツにJOHN SMEDLEYのニットポロ。
スーツは襟の感じやボタンを見るとスティレラティーノっぽい感じもしますが、上衿の刻みを見ると違うような感じも・・・
パンツは腰回りの感じから見てもプリーツ入りのパンツなのは間違いないです。
洋服屋は変に細かいところに目が行きます。(笑)
前回のジャケット編にもありましたが、JOHN SMEDLEYのニットポロを着た人が、ここ数年増えています。
RETRO POLO とも言われていますが、こんな感じのクラシックなニットポロがトレンドになっているのは間違いありません。
因みに、BEAMSでも今シーズンはJOHN SMEDLEYのニットポロが大人気で既に品薄状態です。
靴は英国調ですが、イタリアのBARBANERAのコンビシューズです。
ラストやデザインは完全に英国靴ですが、ファブリックの部分にデニムを使うのはイタリア人ならではの発想です。
これと同じものをBEAMSでも展開していますが、本国でバルバネーラは新しい感覚のクラシック シューズ ブランドとして認知され、大ブレークしているそうです。
PITTIの会場でも履いている人をかなり見かけました。
ネイビーとホワイトのシンプルなスーツスタイル。
2Bのナローラペルのスリムスーツは少し古さも感じられますが、2トーンでまとめたコーディネートはエレガントに見えるので古さを感じさせません。
バッグはかなり使い込んだ英国製のブリーフケース。
このバランスがいいですね。
バッグもイタリアらしい艶っぽいバッグよりは、こんな感じのクラシックなバッグをスーツスタイルに持っていると思わず目が行きます。
次の秋冬は、ドレスクロージングの流れのひとつに ”HERITAGE” というキーワードがあるので、こんな感じの使い込んだ英国のバッグを持った人が出てきているのだと思います。
間違いなく本人は狙っていると思いますが・・・(笑)
靴はステッチの感じからすると、JOHN LOBBのアシュレイですね。
スーツのバランスや細部のディティールを見ると、イタリア人ではないような感じもします。
PITTIのスナップを見ると外人は皆イタリア人と言っていますが、実はイタリア人でない人も多いです。(笑)
フランス、スペイン、イギリス、ベルギー、北欧、アメリカなど、結構イタリア人ではない人もいるのですが、何故かPITTIの会場にいる外人は皆イタリア人となってしまいます。(笑)
皆さんがスナップを見て着こなしを真似している人は、実はイタリア人ではないケースも多いです。
これについては、また別の機会に。
特徴のあるディティールのサルトリア メイドの3ピース。
サルトリア テイストがクラシックなスーツのトレンドでもあるので、こんなクラシックなディティールを強調したスーツを着た人がPITTIの会場でも結構見られます。
少し濃いめのベージュのコットンスーツというのも今シーズンのトレンドです。
パンツはやはり2プリーツのテーパードシルエットです。
この人もポロはJOHN SMEDLEYのニットポロです。
本当にレトロ ポロを着た人が多いです。
靴は英国調ですが、これもBARBANERAです。
このブランドがファッショニスタ達から注目されているのがよくわかります。
ブラウンのコットンスーツを着た人も増えていました。
ダブルのコットンスーツは、ダブルステッチや袖付けを見てもナポリ メイドっぽい雰囲気です。
パソコンで拡大してみるとボタンホールもハンドなのがわかります。
コットンのダブルブレストのスーツを着た人も増えていました。
ブラウンやオリーブグリーンのダブルブレストのコットンスーツは、今シーズンらしいスーツだと言えます。
コットンスーツにシャンブレーのシャツは個人的には好きな合わせですが、襟型が少し古い印象に見えます。
以前も触れましたが、画像のような開きの大きいカッタウェイのタイドアップは、流れから考えると少し古いと言わざるをえません。
この場合、普通のワイドスプレッドやセミワイドの方が今の雰囲気に合うのは間違いないです。
タイはドットのニットタイ。
コットンスーツにはニットタイが良く合います。
私もコットンスーツを着る時は、ニットタイをすることが多いです。
足元はタッセル スリッポン。
ALDENのように見えますが、ハッキリとはわかりません。
コットンスーツ、タッセル、素足履きというのも、もはや定番スタイルです。
明るいネイビーのスーツはサルトリア仕立て。
南イタリア バーリのブランドSCIAMATのスーツです。
日本でもプレタのジャケットやスーツを展開しているお店もあるので、ご存じの方も多いと思います。
パンツは2インプリーツのテーパードシルエット。
少し股上の深いベルトレスです。
イタリアは本来アウトプリーツが多いのですが、最近はインプリーツのパンツも増えてきました。
因みに、パンツのプリーツはインプリーツがレギュラーでアウトプリーツがリバースと言われています。
インプリーツは英国調のイメージが強いですね。
ビームスFのオリジナルスーツも10年くらい前は全てインプリーツでした。
ボタンダウンのボタンを外すテクニックは、いかにもイタリア人らしいです。
タイはウィンドウペンのジャケット生地を使ったタイです。
アズーロ エ マローネのコーディネートですね。
BEAMSでもこのようなネクタイは毎シーズン展開していますが、お客様から意外と多いのが、「どういう風に合わせればいいですか?」 という質問。
ビジネス向きのダークスーツには合わせづらいですが、こんな感じの色目のスーツやコットンスーツには相性がいいです。
ジャケットコーディネートに相性がいいのは言うまでもありません。
足元はリザードのローファー。
イタリアではスーツにもローファーを合せる人が結構います。
英国的なルールでは完全にアウトですが、イタリアではスーツの雰囲気によってはローファーを合せることも多いです。
ルールに縛られることなく、全体の雰囲気が合えば柔軟に取り入れるというのがイタリア人的な考え方ですが、ルールを重んじる英国人にとってはダメなものはダメです。(笑)
我々日本人はどうするかは、個々の嗜好に合わせればいいのではないかと思います。
こちらも明るいネイビーのスーツ。
ブルーとホワイトの2トーンでまとめたコーディネートです。
皺の入り方を見るとリネンかリネン混の生地のスーツです。
フロントダーツがポケットの下まで通っているので、おそらくナポリのテーラーで仕立てたのではないかと思います。
足元は、この方もBARBANERAのコンビシューズです。
パンツは2プリーツでウエスマンが太いベルトレスのパンツをサスペンダーで吊っています。
このタイプのパンツを穿いた人もPITTIではよく見かけます。
スミズーラで仕立てる人は、このようなクラシックなディティールを好む傾向が強くなっています。
1月のPITTIでもこのようなスーツを着た人が増えていたので、、次の秋冬も継続した流れだと思います。
因みに、私も次の秋冬は2プリーツのサイドアジャスターのパンツでスーツをオーダーしようと思っています。
ベージュのソラーロのスーツ。
イタリアン クラシック全盛の頃は、ソラーロのスーツを着た人がかなり多かったのですが、最近はめっきり少なくなっていました。
日本人もその当時はソラーロのスーツを着た人が多かったです。
私のイメージはUAの鴨志田さんと、我々の業界では有名だったK.Nさん・・・
クラシックなスタイルが戻って来ているので、今またソラーロのスーツが新鮮です。
このスーツはフロントダーツのない2枚構造の仕立です。
襟型を見ても、おそらくフィレンツェのテーラーLIVERANO & LIVERANOのスミズーラだと思います。
パンツはワンプリーツでベルトレス。
この人もサスペンダーで吊っています。
数年前から見られたサスペンダーですが、今イタリアではかなり人気があるようです。
PITTIの会場でも本当にサスペンダーをした人が多くなりました。
逆に、スーツにをウオレットチェーンをした人が少なくなっているのも今の流れを物語っていると思います。
艶々なイタリアンスタイルは、現地でも古臭いスタイルとなっているのは間違いない事実です。
足元はタッセルスリッポン。
おそらく英国製だと思います。
表革のタッセルを履いた人が本当に増えました。
一時のダブルモンクのブームを凌ぐほどタッセルを履いた人が多いです。
先ほどスーツにローファーの合わせについて少し触れましたが、個人的にはスーツに合わせるのであれば、エレガントに見えるタッセルの方が良いと思います。
最近はこの方のように、日本人以外のアジア人の人達がサルトリア テイストのスーツを着ているのをPITTIの会場で良く見かけます。
いま韓国や日本以外のアジアの国では、サルトリアルなジャケットやスーツスタイルがかなり盛り上がっています。
これについては、また別の機会に触れたいと思います。
トップの画像と同じラルディーニのエンリコ氏。
カーキのような色のダブルブレストのスーツはGABRIERE PASINI です。
彼が着るとパジーニのスーツもクラシックなスーツに見えます。(笑)
着丈の長さがシングルに比べると少し短めですが、このくらいのバランスの方が重く見えなくていいです。
ダブルはフロントが閉じるので着丈が長いと上半身が重く見えます。
上の画像のようにパンツの股の付け根が見える方が脚も長く見えます。
ダブルはシングルより着丈が1㎝程度短い方がいいという事を知り合いのサルトやプレタのモデリストから聞いたことが何度かありますが、確かに私の経験上その方がバランスが良いと思います。
特に私のような身長が無い人がダブルのスーツを着る場合は、着丈のバランスに注意が必要です。
英国的なバランスとはちょっと違うので、ある意味イタリア的なバランスだと思います。
Vゾーンはブルーのシャツにネイビーのソリッド。
シンプルなコーディネートですが、私もこのような色のスーツを着る場合はブルーのシャツにネイビーのソリッドタイを合わせると思います。
シャツはキレイめなシャンブレーのシャツを合わせてもいいと思います。
イタリア人にとってネイビーのソリッドタイは永遠の定番で、それは私がPITTIに通い始めた20年前から変わっていません。
どんな色柄のスーツでもネイビーのソリッドタイを合わせれば、なんとなくVゾーンがまとまりコーディネートが成立するのも、ネイビータイがいつの時代にも定番とされる理由であると思います。
ご覧のように、クラシックでエレガントなスーツスタイルが戻ってきているのは間違いありません。
次の秋冬は、この流れがさらに加速するのも間違いなさそうです。
クラシックなスタイルが戻ってくれば、シャツやネクタイや靴やアクセサリーも変化が生まれるのは必然的な流れです。
この流れは、長く続いたドレスクロージングのカジュアル化の波から、本来のクラシックなスタイルが時代性を加味しつつ戻ってきているということで、一過性のトレンドではないということは間違いありません。
キーワードは ”サルトリア スタイル”
久しぶりに聞く言葉が妙に新鮮です。
お知らせ。
本日、新宿にBEAMS JAPANがオープンしました。
”日本の匠からポップカルチャーまで”、幅広いカテゴリーのコンテンツをキュレーションしたショップです。
http://www.beams.co.jp/beamsjapan/
そして、6、7階には BEAMS F 新宿 がオープンしました。
ジャケットからスーツ、オトナのカジュアルまで、幅広い展開です。
http://www.beams.co.jp/beamsjapan/floor_67f.html
新宿にお越しの際は、是非お立ち寄りください。
PITTI SNAP by BEAMS ジャケット編
ファッション誌のスナップも一通り出ましたので、遅ればせながらBEAMSのプレススタッフが撮ってきた PITTI SNAP をアップします。
今回はジャケットスタイルにフォーカスして、今シーズンのトレンドだけでなく、次の秋冬のトレンドにも触れながら、コーディネートについてコメントしました。
題して、”PITTI SNAP by BEAMS ジャケット編” です。
今シーズントレンドのホワイトジャケット。
ネイビーのパンツと合わせたホワイト×ネイビーのコーディネートは、PITTIの会場でも多く見られたコーディネートです。
インディゴのプリントシャツにネイビーパンツという、誰でも取り入れやすいコーディネートですが、細部には彼のコダワリが見えます。
ダブルブレストのフロントボタンをとめないで、リラックス感を出すという着方も多く見られましたが、この人の場合はジャケットがちょっと小さ過ぎるかなと・・・
ネイビーのパンツは ワンプリーツ のテーパードシルエット。
コットンではなく、ウールというのもポイントですね。
メッシュベルトをずらすというテクニックもイタリア人らしいです。
こういう小技をいつも考えているんだと思います。(笑)
ベルトの剣先を垂らすというテクニックは少し古くなってきたので、今後このような新しいテクニックが色々出てくるかもしれません。
靴はALDEN のバリーラストのプレーントウ。
イタリアは今 ALDEN ブームなので、PITTIの会場でもALDENを履いている人がかなり多いです。
日本との違いはALDENのローファーを履いている人をほとんど見かけないことです。
タッセルとプレーントウが最も人気があり、とにかく履いている人をよく見かけます。
因みに、モディファイドラストはイタリアではまず見ることはありません。
理由は・・・
また別の機会に。
ベージュの後染めのジャケットに同素材のジレを合わせたコーディネート。
ここ数年、このようなジャケットとジレが同素材という、2ピーススタイルのコーディネートも増えています。
ジレにTシャツというコーディネートも最近よく見るコーディネートですね。
以前はTシャツの着丈が長かったのが気になりましたが、今回はちゃんと正しい長さになっています。
Tシャツが流行りだした頃は、とにかくフィッティングも着丈の長さも襟ぐりの開きもダメダメなイタリア人が多かったですが、最近はしっかり学習して修正されてきたと言う印象です。
パンツは今となっては細すぎるので流れとは違いますが、コレが彼のスタイルなので、これからもこのシルエットを貫くと、この時は言っていましたが、今後はどうなるでしょうか。
足元はグレーのスタンスミス。
Rのマークが入っていますが、”RAF SIMONS” とのコラボ モデルです。
日本では4万円以上するスニーカーです。 イタリアではもう少し安いと思いますが、それでもスニーカーとしてはかなり高額なのは間違いないです。
白スニーカーではなく、グレーと言うのも彼のコダワリだと思います。
こちらもネイビー×ホワイトのコーディネート。
タキシードタイプのジャケットに JHON SMEDLEY のニットポロ、パンツは2プリーツのテーパードシルエットのパンツです。
プリーツパンツに レトロポロ というトレンドアイテムをしっかり押さえたコーディネートです。
足元は、私も愛用している ”ADIDAS CP 80’S”
http://shop.beams.co.jp/shop/beams/goods.html?gid=6928857
スニーカーもネイビー×ホワイトで完璧な2トーンコーディネート。
タキシード風のジャケットに敢えてスニーカーというコーディネートは、次の秋冬のトレンドでもある ”HYBRID” コーディネートに通じるスタイリングですので、ある意味先取りとも言えるコーディネートです。
ダブルのブレザーのフロントを敢えて開けて、パッチワークのジレを見せています。
パンツはやはり 2プリーツ のテーパードシルエット。
本人から直接聞いたのですが、やはりジャケットもパンツもタイト過ぎず、適度に余裕のあるフィッティングが今の気分だという事です。
インナーに着たジレは、デニムのパッチワーク。
昨年の秋冬から続くカジュアルのトレンドである、ハンドクラフト的なパッチワークのアイテムをサルトリア風のブレザーと合わせるコーディネートも、やはり ”HYBRID” なコーディネートと言えます。
このパッチワークのトレンドは、次の秋冬も ”ファブリック ブロッキング” と言われ、カジュアルなトレンドとして継続されています。
足元はALDENのタッセル。
このオレンジっぽいブラウンは、80年代後半BEAMSでも定番のカラ―でした。
”海老茶” と言われ、スタッフにも人気の色でした。
懐かしい・・・
因みに、私同じモノを今でも持っています。
こいつです。
昔のBEAMSのマークも懐かしい・・・
今シーズンのトレンドアイテムでもある、ダメージデニムのコーディネート。
今シーズンは画像のように、肌の見えない 穴をふさいだダメージデニム がトレンドで、既にBEAMSでも完売続出のアイテムです。
今シーズンのダメージデニムのコーディネートは、それ以外のアイテムをクリーンなアイテムでまとめ、パンツのダメージ感を中和するのが重要なポイントなので、このコーディネートは模範的なコーディネートと言えます。
個人的にはジャケットがちょっと小さ過ぎると思いますが・・・ 上のホワイトジャケットも同じ人ですが、やはり小さいですね。(笑)
今後の流れを考えると、このようなフィッティングはアウトになる可能性が高いと思います。
ただ、ここ数年の彼のスタイリングを見ると、このバランスが彼のスタイルになっているので、今後変わっていくのか見ていきたいと思います。
足元はやはり タッセル です。
レースがメッシュになっているタッセルは EDWARD GREEN かと思いましたが、ヒールのスキンステッチはALDEN製のBROOKS BROTHESのタッセルの象徴的なディティールでもあるので、どこのブランドのタッセルかはっきりしません。
いずれにしてもイタリア製ではなく、英国製かアメリカ製であるのは間違いないです。
リラックス感のあるヘリンボーンのニットジャケットにパイル地のスキッパー。
パンツは2プリーツですが、少しゆったりとしたシルエットです。
次の秋冬は ”リラックス フィット” という流れもあるので、彼のスタイルはトレンドの先取りとも言えます。
因みに、前出の二人がダブルのジャケットのフロントを開けて着ていますが、最近このようにダブルのフロントボタンを止めないで着る人が増えているのもリラックス感のある着こなしが広がっていることが影響していると思われます。
肩のラインもニットジャケットということもありますが、少しドロップしたショルダーでリラックス感が感じられます。
過去の彼のスタイルを見ても、常にトレンドを先取りしているので、個人的にスタイリングを注目している一人です。
理想的なフィットのダブルブレストのジャケットスタイル。
ベージュとホワイトのワントーンでまとめたコーディネートもいいですが、ジャケットのフィッティングが素晴らしい。
肩のライン、ウエストのフィッティング、着丈の長さ、パンツのラインとの繋がり、全てバランスがいいです。
意外とここまで完璧なフィッティングでダブルのジャケットを着た人はPITTIの会場でもあまり見かけません。
特にサルトリアテイストのジャケットを着た人以外で、このようなフィッティングで着ている人は少ないです。
カジュアル化が進んだ昨今のPITTIでは、ドレススタイルでフィッティングが?な人が増えていましたが、今後はクラシックなドレススタイルが戻ってくることで、もう一度正しいフィッティングが問われるようになると思います。
足元はスエードのダブルモンク。
さすがにダブルモンク一辺倒だった流れは変わりましたが、それでもまだまだダブルモンクを穿いた人は多いです。
こんな感じの英国的なフォルムのダブルモンクは、今後もオーソドックスなデザインのシューズとして残るのではないかと思います。
このように、ジャケットスタイルを見ても、既に次の秋冬に繋がるトレンドを取り入れている人が多いです。
確実に言えることは、ここ数年続いたタイトさを極めるようなシルエットは、今後少なくなっていくのは間違いないでしょう。
ただ、急にゆったりしたシルエットが主流になるわけではないのでご安心を。
PITTIの会場を見ても、流れに敏感な人たちが徐々にそのようなシルエットを取り入れて来ているというのが実状です。
ここ数週間、次の秋冬のトレンドの資料をまとめていますが、その流れを見ながら今のシーズンを振り返ってみると、既に次の秋冬に繋がるトレンドを取り入れている人が結構いることに気づきます。
そんな流れを見ながら、氾濫している海外のスナップサイトを見ると、かなり ”イタイ” スタイリングの人が多いのが事実です。
正直、スナップは日本のファッション誌のスナップが一番リアリティーがあります。
それについては、何かの機会で ”PITTI スナップの真実” としてお知らせしたいと思います。
色々な方面からひんしゅくを買うのは覚悟で真実をお伝えしたいと・・・・
次回はスーツ編をアップする予定です。
10数年ぶりにスウェットシャツを買いました。
オトナのスウェットシャツを探して、BEAMSで展開している全てのスウェットシャツから選んだのが ”B:MING LIFE STORE” のオリジナルのスウェットシャツ。
霜降りグレーとネイビーの2色買いしました。
シルエットも良くて、作りの薀蓄満載のMADE IN JAPAN。
詳細はこちらをご覧ください。
http://shop.beams.co.jp/shop/bming/goods.html?gid=6797887
小さめなので私はMサイズでジャストでしたが、霜降りグレーは洗濯後少し伸びるので、正直Sサイズを選ぶべきだったと言うのが正直な感想です。
色によってサイズが違うのはダメだろ~と指導しました。(笑)
最近休日ヘビーローテーションで着ています。
私のお勧めのカジュアルアイテムです。
レコードモンツァ
愛車のABARATH 595 TURISMO
先日アップしたブログを書いた数日後、どうしてもオプションのマフラーが欲しくなり。
”RECORD MONZA”
とうとうマフラーをレコードモンツァに交換してしまいました。
先週の土曜日に入庫し、日曜日に引き渡し。
早速30分ほど流してみましたが、音がヤバい・・・
元々純正のマフラーも低くて良い音でしたが、レコードモンツァの野太く乾いた排気音は刺激的。
天気も良かったので窓を少し開けて走りましたが、低速でも本当にいい音がします。
3,000回転以上で更に刺激的なサウンドになると言われていますが、オートマモードではすぐに法定速度を超えてしまうので、次回乗るときはマニュアルモードの2速で引っ張って、どんな音になるのか試してみたいと思います。
馬力は2,000回転以上で5馬力、トルクで1.5kgのアップとカタログに書いてありますが、少し流しただけなので、まだ実感はないです。
Youtubeで595 TURISMOに着けたレコードモンツァの音を聞かせる動画あったので、興味がある方はこちらを。
https://www.youtube.com/watch?v=Zdt_yCTG5gc&nohtml5=False
ただでさえ走らせて楽しいABARTH。
排気音が良くなり、少しですが更に速くなるのであれば楽しさが増します。
サソリの毒にやられっぱなしです。
走り屋でもなく、カーマニアでもない私が、マフラーまで替えて乗りたくなる。
ABARTHはそんな車です。
マフラー変えて喜んでいる私。
我ながら子供みたい・・・
50過ぎのオッサンですが・・・
ABARTH
MEN’S EX 5月号連載
MEN'S EX 5月号 が発売されました。
堤 真一さんが着ているスーツは ”BRILLA PER IL GUSTO” の3ピース。
手前味噌ですが、肩のラインがとてもキレイです。
BEAMSのオリジナルのスーツは、この肩のラインにかなり拘っています。
私の連載 ”中村達也の今、買いのアイテム”
今回のテーマは ”ホワイトジャケット” です。
今シーズンのホワイトジャケットは、ピュアなホワイトだけでなく、生成りやオフホワイトまで含めた ”白っぽく見えるジャケット” がトレンドです。
今シーズンはホワイトとブルーがクラシック系の2大トレンドカラーになっているので、ホワイトのジャケットがトレンドになるのは必然的な流れです。
今シーズンのバイイングを行った昨年6月のPITTIやミラノショールームでもホワイトジャケットが積極的に提案されていました。
ご覧のとおり、どのブランドのブースやショールームを見ても、ホワイトジャケットが打ち出されているのは明確で、ホワイトジャケットを打ち出していないブランドは無いと言っても過言ではありません。
そして、会場にいる業界人たちも、ホワイトジャケットを身に着けた人がかなり増えていました。
ご覧のように、明らかにホワイトジャケットを着た人が増えていて、その注目度の高さも伺えます。
コーディネートは上の画像のように、ネイビーのパンツと合わせた人が多いのが今シーズンの特徴。
以前はホワイトジャケットにネイビーパンツというコーディネートは、ちょっと野暮ったいコーディネートとされていたのですが、今シーズンはホワイト×ネイビーというコーディネートもトレンドになっているので、濃いネイビーのパンツでコントラストを付けたコーディネートが多く見られました。
ホワイトジャケットはデニムとの相性もいいので、デニムのファイブポケットやデニムのスラックスとも良く合います。
それ以外では、ブラウンや濃いめのベージュと合わせ、同系色でまとめたコーディネートは言うまでもなく定番です。
そして、ミディアムグレーやライトグレーとの相性もいいので、手持ちのトロピカルウールのパンツと合わせても良いと思います。
ただし、ウールのパンツを合わせる場合は、ジャケットの素材や仕立てがカジュアル過ぎると合わないので、その点だけ注意が必要です。
色合わせで注意をしなければならない点をひとつ。
こんな感じの綺麗なトーンのカラーパンツを合わせるのは今シーズンはNGです。
因みに、上の画像は3年前の私のコーディネートです。
今見るととても古臭い感じに見えますね。
今シーズンは完全にアウトです。(笑)
綺麗な色のカラーパンツ自体が今のパンツのトレンドからは外れているので、ホワイトジャケット自体には合いますが、今シーズンは封印した方が良いと思います。
このように、ホワイトジャケットは、手持ちのアイテムと合わせるだけで今シーズンらしいコーディネートを表現できるジャケットです。
数年前に購入されて既に持っている方は、クローゼットから引っ張り出して着てみてください。
今シーズン新たにジャケットの購入を検討されている方は、是非ホワイトジャケットをワードローブに加えてください。
必ずコーディネートの幅が広がります。
因みに、私も5年前くらいに購入したコットン×リネンの生成りのジャケットを持っているので、もう少し暖かくなったら着ようと思っています。
そして、ホワイトジャケットの弱点は・・・
麺類?
トマトソースのパスタやカレーうどんはホワイトジャケットの大敵です。(笑)
麺類を食べる時は必ず脱ぎましょう。
ホワイトジャケットにシミはありえません。(笑)
サルトリア テイスト
10年くらい前に CUSTUM TAILOR BEAMS でオーダーしたスーツ。
ここ数年、全く袖を通すことは無かったのですが、仕立てがとても良い仕上がりだったので断舎利することができずにクローゼットに眠っていました。
秋冬モノと入れ替える時に久しぶりに袖を通してみたのですが、コレがなかなかいい。
明らかにいま主流のスリムなシルエットのスーツとは違うのですが、それが逆に新鮮。
当時のBEAMS Fのスーツはフロントダーツがなく、細腹だけでシェイプを出す2枚構造のパターンでした。
これは、フィレンツェのテイラーでよく見られる仕様で、フロントから見たときに柄が歪まないので、とてもエレガントな印象に見えます。
手前味噌ですが、なかなか凝ったつくりでした。
ウェストシェイプがきいたパターンには不向きな仕様だったので、ジャケットのスリム化が進む中で、フロントダーツの仕様に変更となり現在に至ります。
襟型もいまのモノよりもゴージの傾斜がついていて、サルトリアっぽい雰囲気なのが逆に新鮮です。
このジャケットはハンドメイド仕様でオーダーしたので、上衿が後付けになっていいて、襟全体がとても柔らかい雰囲気に仕上がっています。
因みに、いまBEAMS Fのオリジナルで展開しているリングヂャケット製のハンドメイド仕様のスーツがこの仕様です。
イタリアの既製服であれば、30万円以上のスーツでなければ、上衿後付のスーツは存在しません。
手前味噌ですが、驚愕のコストパフォーマンスと言えます。
袖はそれほど太くないので気にならないのですが、袖口の幅が少し太く感じます。
生地は私が大好きな英国製のフレスコ。 おそらく英国の生地メーカー ”MARTINSON’S” のフレスコだったと思います。
日本ではハイカウントヤーンで表面が滑らかな生地が好まれますが、個人的に昔からフレスコのような表面感がある乾いたタッチの生地が好みです。
パンツはワンプリーツ。
プリーツも深めですが、それも逆に新鮮です。
シルエットはかなり太いですが、細くなり過ぎない程度にお直しします。
股上もいまのパンツと比べると2cm程度深いです。
ですが・・・ 股上はこのまま穿こうと思っています。
理由は、後程ご説明します。
そして、アレコレいじって出来上がったのがこのスーツ。
着丈は当時から短めが好きだったので直す必要はありませんでした。
ジャケットは袖口幅だけ細くしましたら、幅で0.5㎝でも着ると結構印象が変わります。
身幅に関しても、サルトリアの雰囲気を活かしたかったのでお直しは無し、確かに昨今のスリムなスーツに比べれば余裕がありますが、古臭い印象には見えません。
パンツは劇的に変わりました。
ベルトループを全て外してベルトレスに。
股上が深いので腰骨の上でジャストサイズに合わせればベルトが無くても落ちてきません。
なかなかいい雰囲気で仕上がりました。
シルエットは、股下を短くして、渡り幅、膝幅、裾幅を全て細く修正しました。
サルトリアの雰囲気を出したかったので、極端に細くはせずに適度な細さにお直ししましたが、随分洗練されたシルエットに変わりました。
以前PITTIのレポートにも書きましたが、行き過ぎたカジュアル化の反動でエレガントなスーツスタイルが見直されています。
スリーピースやダブルブレストやプリーツの入ったパンツのスーツを着た人が増えているのも、その流れの影響であるのは間違いありません。
そして、次の秋冬は、この流れが更に強くなることも間違いありません。
それは、1月のPITTI UOMOの会場で、サルトリアテイストのスーツを着た人がかなり増えているのを見ても明確です。
このように、しばらく続いていたカジュアルなジャケットをスーツにしたようなスリムなフィットのスーツから、正統派のサルトリア仕立てのようなスーツに流れが変わっているのは明確で、流れに敏感な人ほど、このようなスーツをいち早く着ていると言うのが今の流れです。
このような流れを見ているので、今回のお直しはジャケットのウエストは敢えて補足せず、パンツの股上も深いままで、シルエットも適度な余裕を持たせながら細く補正しました。
お直し代は結構かかりましたが、10年前のスーツが言わば ”先取りのスーツ” に生まれ変わりました。(笑)
今シーズンもスリーピースのスーツやダブルブレストのスーツやプリーツ入りのパンツの付いたスーツがBEAMSでも流れに敏感なお客様に好評ですが、次の秋冬はクラシックなテイストのスーツがさらに重要になるのは間違いありません。
私自身、これから新たにスーツを新調するのであれば、スーツのパンツにプリーツは必須であると考えています。
もちろん、今まで購入したノープリーツのパンツのスーツも並行して着用しますが、流れは確実に変わってきていると思います。
それは急激に変わることは無いですが、この先数年かけて徐々に変化していくと思います。
次の秋冬はスーツスタイルが楽しくなりそうです。
最近私もクラシックなスーツスタイルが増えました。
襟幅の広いダブルブレストのスーツにセミワイドのストライプシャツ、ネクタイは最近またマイブームのDRAKE’S の50ozのROYAL TWILL。
セミワイドやレギュラーカラーのシャツ、プリーツ入りのパンツやベルトレス、太くなった襟幅、サスペンダー、クラシックなドレスシューズ、10年以上前には普通にあったモノが今新鮮です。
スーツスタイルは確実に変化してきています。
キーワードは ”サルトリア テイスト”
”テーラーで仕立てたような雰囲気のスーツ” と言う意味あいもありますが、単純に言葉で表すのは難しいというのは正直なところです。
コレに関しては具体的なビジュアルも含めて、今後もご紹介していこうと思います。
ドレスだけではないですが、何でもスリムであればいいという流れは確実に変化してきているのは間違いない事実です。
太めの方には朗報・・・
それもまた別の話です。(笑)
ABARTH 595
ABARTH 595 TURISMOを購入して半年。
ひとことで言えば、運転していて楽しい車。
軽いボディーにパワーのあるエンジン。 本当に ”かっ飛び” ます。(笑)
細かいことを言えばイタ車ですから、?と思うところもありますが、そんな細かいことはどうでもよく感じてしまうほど楽しい車です。
走行距離は半年で1,600Km。
都内ばかりで遠乗りをあまりしない割には走っている方かと。
燃費も街乗りメインで10km/lですから、エンジンを回して走っている割には悪くない数字だと思います。
最初は戸惑っていたMTAのシフトボタンも、慣れれば押すだけですからセレクトレバーよりも楽です。
使い勝手もさることながら、何よりもこのクラスの車にフェラーリのようなシフトボタンと言うのが、いかにもイタリア車っぽくて気に入っています。
ボタンを押したときの ”カチャン” という機械音もイタリア車らしいです。(笑)
ドイツ車信望者の方には許されない操作音でしょうね。(笑)
ATモード付きのシングルクラッチの変速ショックも、以前のアルファのセレススピードに比べると洗練されスムーズになりましたが、それでもシフトアップの際は少し体が前にもっていかれるような感覚があります。
スポーツモードでは更にそれが顕著になるので、これは好き嫌いがわかれるところで万人受けはしないでしょう。
私は最初からアバルトに滑らかな乗り心地を求めて購入したわけではないので、良い意味でダイレクト感のある変速ショックは車を操っている感じがして好きです。
トルコンではないので、アクセルを踏まなければ動きませんが、コレもすぐに慣れたので問題はありません。
坂道もブレーキペダルを離せば下がりますが、ある一定の勾配になるとヒールアシストが働くので、これも心配していたほどの問題はありませんでした。
2本出しのマフラーはノーマルでも充分に低く良い音がします。
深夜に帰宅する時は近所迷惑ですが・・・
それでも COMPETIZIONEに付くマフラー、レコードモンツァの排気音を聞くと更に良い音なので、TURISMOではオプションのこのマフラーを付けたくなります。
値段が16万円+工賃なので簡単に交換できる金額ではないですが、いずれはレコードモンツァのマフラーに変えようと思っています。
トラブルは今のところ全くありません。 ディーラーの方も言っていましたが、ほとんどトラブルはないそうです。
以前乗っていたアルファのMITOも4年半乗ってノートラブルでしたから、イタリア車=壊れると言うのは昔の話です。
今はドイツ車や日本車のような信頼性がなければ世界で戦えない時代なので、トラブルが多い車はトラブルに寛容なイタリアでも売れません。
ABARTHに興味があって迷っている方には是非お勧めしたい車です。
インテリアもエクステリアもドライブフィーリングも、このクラスの車であっても乗る人の感性に訴える魅力があります。
もし、その魅力を感じないのであれば、イタリア車と無縁の人? ということになるのではないでしょうか。
重箱の隅を突っつけば、ドイツ車とは違ってアラがたくさん出てきますから。(笑)
イタリア車はイタリアが好きでないと乗れない。
ABARTHという車に乗っていると、そんな事を感じることが多いです。
先日も箱根の山道を走ってこの車の楽しさを再認識しました。
飛ばし屋ではないのに飛ばしたくなる車。(笑)
長い付き合いになりそうです。
ABARTH
http://www.abarth.jp/
大人気のC+のパンツに2プリーツのモデルが加わりました。
モデル名は ”RID DUE P”
http://shop.beams.co.jp/shop/brilla/goods.html?gid=10472251
http://shop.beams.co.jp/shop/brilla/goods.html?gid=10472249
元々美脚シルエットのRIDMARKをベースに、2プリーツを入れ腰回りに適度なゆとりを持たせました。
早速2本購入しました。
ネイビーチノとデニム。
デニムは既に在庫が少ない状況ですが、是非最寄りの店舗でご試着してみてください。
この2プリーツのモデルは、今シーズンはBEAMSだけの展開になります。
かなり気に入っています。
お勧めのパンツです。
シャツの襟型
ここ数年ジャケット一辺倒だったPITTI UOMOでも、昨年あたりからその反動でスーツスタイルに注目する人が確実に増えています。
直近の1月に行われたPITTI UOMOでも、スーツを着た人が急増していた事は以前にもお伝えしましたが、ドレススタイルが戻って来ていることで、シャツにも少し変化が見られました。
今回は、そんなドレスシャツの変化についてお話ししたいと思います。
ここ数年、ドレスシャツで最も定番の襟型がワイドスプレッドです。
日本でも定番の襟型で、このような襟型のシャツを着た人が最も多いのではないかと思います。
イタリアでもここ10年くらいは、この襟型をベースに台襟の高さや襟の開きに多少変化をつけながら、ドレスシャツの中心的な襟型として広まっていました。
そんなワイドスプレッド一辺倒の流れから、明らかに増えてきているのがセミワイドの襟型。
このように、襟の開きが大きくないセミワイドを着た人が増えてきているのは明らかな傾向です。
ボタンダウンを着た人もよく見かけるようになりました。
我々日本人と違い、アメリカのファッション文化の洗礼を受けていないイタリアでは、ボタンダウンは日本ほどポピュラーな襟型ではありません。
特に、カジュアルスタイルでボタンダウンを着ている人は少なく、ドレスで着ている人も上の画像のように、襟先のボタンを外すスタイルが一般的です。
このテクニックは、ウエルドレッサーとして有名な元フェラーリの会長、ルカ ディ モンテゼーモロ や TOD’S グループのオーナーである ディエゴ デッラ ヴァッレ がしていたことで広まったテクニックです。
何故彼らがボタンダウンを着るようになったのかは、ちょっとしたエピソードがあるのですが、長くなるのでまた別の機会にお話ししたいと思います。
因みに、カジュアルに着る場合でも襟先のボタンを外すのがイタリア流です。 「ボタンダウン持っているけど最近着ないな」 という人は、このテクニックを真似してみると良いと思います。
これも最近復活の兆しのあるレギュラーカラー。
こんな感じの柔らかい襟のレギュラーカラーは、エレガントで個人的には大好きな襟型です。
90年代の後半のイタリアンクラシックブームの頃は、私もこんな襟のシャツをよく着ていました。
下の画像はSTILE LATINOのディレクター ヴィンチェンツォ アットリーニですが、彼の着ているシャツは襟先が少し跳ねるのですが、それがカッコイイ。(笑) 次の秋冬は久しぶりにこんなシャツが着たいと思っています。
因みに、タイドアップでボタンダウンのボタンを外すテクニックは、このようなレギュラーカラーのように見えるという側面もあるようです。
そして、今まではほとんど見られなかった、こんな襟型のシャツを着た人も見掛けるようになりました。
おそらく、私より若い世代の方で、昨今のイタリア的なスーツスタイルを好む人は、ほとんど着たことのない襟型ではないでしょうか。
このラウンドカラーの歴史は古いのですが、私にとっては80年代のアメリカンブリティッシュのイメージ。 簡単に言ってしまえばアラン フラッサーのイメージですね。
1985年に発刊された彼の著書 ”Clothes and the MAN” でも、ラウンドカラ―を使ったコーディネートが多く紹介されています。
懐かしい・・・
私がバイヤー駆け出しだった80年代後半頃は、BEAMS Fでもアメリカのシャツブランドでラウンドカラーを展開していました。 確かTROY SHIRTS MAKER だったと記憶していますが・・・
ラウンドカラーも新鮮ですね。 BEAMSのカスタムテーラーでオーダーできるので、来週早速オーダーしようと思っています。
因みに、上の画像でBEAMS F のディレクター西口が着ているラウンドカラーのクレリックは、アメリカのGITMAN BROTHRS の古着です。
このスタイルでSNAPを撮られまくっていました。(笑)
さらに、タブカラ―も新鮮です。
多くのシャツブランドが展開していましたが、PITTIの会場ではまだ着た人は少ないと言うのが正直なところです。
上の画像はBRILLAのバイヤーの高田。 今シーズンから展開しているBRILLAのオリジナルのタブカラ―のシャツを着ています。
このタブカラー、最近スタッフの間で着用率が高くなっている、内輪での密かなヒットアイテムです。
タブカラ―も80年代中から後半に人気のあった襟型で、アランフラッサーの著書でも多く紹介されている襟型です。
これも懐かしいですね。
BEAMS Fでも当時英国のStephan Brothers や IKE BEHAR のタブカラ―が大人気でした。その当時最も人気のあった襟型と言っても過言ではないと思います。
今も当時購入した IKE BEHAR のシャンブレーのタブカラーを持っていますが、さすがにボディーがブカブカで今は着られません。 襟型が抜群にいいので残念ですね。 クラシックなモノは変わらないと言われますが、時代性が大切だと言うのは、こういうことなんです。
このように、久しぶりにドレススタイルが戻ってきたことで、ドレスシャツの襟型のバリエーションが増えてきているのは間違いありません。
これは、スーツスタイルが注目されれば必然的な流れだと思います。
そして、スリーピースやダブルブレストやプリーツパンツ、サスペンダーなど、80年代に流行したモノが注目されている流れを見ても、ラウンドカラーやタブカラーやクレリックなど、当時人気のあったシャツが注目されるのも必然的な流れだと思います。
ワイドスプレッド一辺倒だった流れも確実に変化が見られます。
ただし、ワイドスプレッドが古くなったわけではありません。 ワイドスプレッドは定番としてありつつ、襟型のバリエーションが広がっているというのが正しい認識だと思います。
最後に、注意する点をひとつ。
ノータイで開けて着る時はいいのですが、上の画像のようにタイドアップした時に襟が一直線に広がるようなカッタウェイカラーは正直少し古い感じがします。
その理由は、このブログでも何度も書いていますが、いかにもイタリア血中度の高いスタイルは古臭と言うのが今の流れだからです。
この点は今後シャツを選ぶ際に少し気にかけていただいた方が良いポイントだと思います。
という事で、次の秋冬はBEAMSでもワイドスプレッド以外の襟のバリエーションが増えます。私もセミワイド、レギュラー、ラウンド、タブと、久しぶりに色々な襟型を楽しみたいと思っています。
先取りしたい方にはこんなシャツもあります。
BRILLA オリジナル タブカラーとセミワイドのクレリック。
http://shop.beams.co.jp/shop/brilla/goods.html?gid=9732031
http://shop.beams.co.jp/shop/brilla/goods.html?gid=9732029
なかなか良くできたシャツです。
EDOX BEAMS 40周年モデル
以前このブログでも少しご紹介した ”EDOX BEAMS 40周年 リミテッド エディション”。
ブルーの文字盤とブルーのラバーストラップと言う、ブルートーンに拘ったダイバーウオッチです。
もちろんケースには40周年のマークが刻印されています。
この企画の元となったモデルが、BRILLAのディレクター無籐がしていた、クロノオフショア1の黒文字盤と黒ラバーストラップのダイバーモデル。
一般的にダイバーウオッチは黒文字盤が人気なのはわかっていたのですが、個人的にブルー文字盤が好きなので、このモデルでブルーの文字盤が無いかカタログをチェックしましたが、残念ながら黒文字盤だけ。
しかし、カタログを見ていたら、クロノオフショア1のクロノグラフのブルー文字盤が刺さってしまい・・・
早速、日本の代理店さんに、「こんなイメージのブルー文字盤のダイバーウオッチをストラップをブルーのラバーでオーダーできないか」 とリクエストしたのですが、暫く連絡が無い状態・・・
EDOXは別注モデルを受けたことが無いということだったので諦めていたのですが、数か月後連絡があり、何とか実現できそうだという返事。
その時点でサンプルを作ってオーダーしても今年の春というスケジュールだったので、それなら BEAMSの40周年のモデルにしようと言う話になり、40周年のマークをケースに入れる事は可能かリクエストしたのですが、最初はできるかどうかわからないと言う返答・・・
そんな紆余曲折がありながら、やっと完成したこのモデル。
カーボンのブルー文字盤が映えます。 このモデルのアイコンでもある1のインデックスも鮮やかなブルーで、文字盤全体がブルーのグラデーションになっています。
ラバーストラップもこのモデルの為に作ったブルーのラバーストラップ。
文字盤の色に近いトーンのカラーに拘りました。
当初はBEAMS 40周年モデルがEDOX史上初の別注モデルだったはずなのですが・・・
何故かこのモデルが先に出てしまいました。
MEN'S CLUB 戸賀編集長 別注のクロノグラフ。
まあ、戸賀さんだから仕方ないですね。(笑)
戸賀さんモデルは夜っぽいエロさがありますが、BEAMSモデルは健康的な夏の海のイメージです。(笑)
私と戸賀さんのイメージの違いが、そのまま時計に表れているかと・・・(笑)
もちろん、私も購入します。
サンプルを実際にはめてみて更に気に入りました。
私が企画監修したこのBEAMS 40周年モデル。 3月15日からBEAMS ハウス 丸の内店とZOZO TOWNで販売開始です。
http://zozo.jp/shop/beams/goods/10544526/
これでブルー文字盤4個目。
やっぱりブルーがしっくりきます。(笑)
EDOX
http://www.edox.jp/collection/detail.php?id=159
MEN’S EX 4月号連載
”MEN’S EX 4月号” が発売されました。

今回の表紙はNYヤンキーズの田中将大投手。
聞くところによると、ネックサイズが52㎝だとか・・・
ネックが52㎝あると、ネクタイも普通の長さでは足りないので、ネクタイもスミズーラでないと難しいですね。
機会があれば田中投手のスーツ一式、BEAMSのカスタムテーラーで作ってみたいものです。
私の連載、”中村達也の今、買いのアイテム”
今回のテーマは、前月号の ”プリーツパンツのスーツに” に続き、”プリーツ入りパンツ” についてです。
数年前からPITTIの会場でも少しづつ見られるようになったプリーツ入りのパンツ。
大きな流れになるか、少数の感度の高い人たちの間で流行って消えていくか、個人的にも注目していたのですが、結果的には大きな流れになり、現地でもプリーツの入ったパンツを穿く人が急速に増えているというのが実状です。
昨年6月のPITTIで撮った画像があるのでご覧ください。
ご覧のように、皆さんもご存じのスナップで常連の方々や、有名なブランドのオーナーもプリーツ入りのパンツを既に穿いています。
彼らの中には、既に2年前くらいからプリーツ入りのパンツを穿いた人もいます。
これだけプリーツ入りのパンツを穿く人が増えてきているのですから、当然ほとんどのパンツブランドが積極的にプリーツ入りのパンツを打ち出していました。
読者の皆さんがご存じの有名パンツブランドであれば、どのブランドでも必ずプリーツ入りのパンツを展開しています。
次の秋冬は、コレクション全体の4割から半分近くはプリーツ入りのパンツというブランドもあるので、各ブランドの力の入れ具合もわかります。
このような状況を見ても、パンツの流れがノープリーツからプリーツ入りのパンツに移行しているのは間違いないでしょう。
元々、ノープリーツのパンツが流行る前は、カジュアルパンツであってもプリーツ入りが主流でした。
私がBEAMSに入社した当時も、パンツはプリーツ入りがほとんどで、ノープリーツのパンツと言えば、アメリカブランドの太くて野暮ったいシルエットのものくらいしかありませんでした。
今のノープリーツのパンツが流行るきっかけは、INCOTEXの ”INCO CHINO” と言われた、今のN35モデルのルーツのような存在のノープリーツのチノパンだったと記憶しています。
ただ、その時のインコチノは、60年代のアメリカのIVYの頃に流行ったパイプドステムのパンツを洗練させたようなシルエットだったので、イタリアっぽいと言うよりは洗練されたアメリカのチノパンというイメージでした。 確か90年代の中ごろだったように記憶していますが・・・
その後、イタリアのパンツメーカーがこぞってノープリーツのパンツを打ち出していき、徐々に股上が浅いモデルが主流となり、さらにシルエットのスリム化が進み現在に至ります。
このように、ノープリーツのパンツが流行る前は、プリーツ入りのパンツが主流だったので、今はその逆の流れであると言えます。
つまり、長く続いたノープリーツから、またプリーツ入りのパンツへ流れが戻っていると言うのが今の状況であると考えます。
では、ノープリーツはもう古いのかと言えば、そんな事はありません。
ノープリーツが流行り始めた頃も、プリーツ入りのパンツと共存していて、徐々にノープリーツのパンツへ移行して行きました。
PITTIに集まる業界人たちもプリーツ入りのパンツを穿いた人が急増しているのは事実ですが、まだまだノープリーツのパンツを穿いた人も多いのが実状です。
私自身も、プリーツ入りのパンツとノープリーツのパンツの両方を穿いています。
ただ、今の流れを考えると、ノープリーツの選び方に注意が必要だと思います。
上の画像のように、腰回りから太ももににかけて余裕がなく、ピッタリ張り付くようなタイトなシルエットのノープリーツは、今の流れを考えると今後少なくなっていくのではないかと思います。
プリーツ入りのパンツが出てきた背景は、タイトすぎるシルエットに対する反動もあるので、ノープリーツに関してもタイトすぎるモノはNGで、特に腰回りや太ももにかけてのシルエットは多少のゆとりが必要になってくると思います。
簡単に言えば、細すぎるピタピタのノープリーツは今後少なくなっていくと予想されます。
私自身、GTAのBYRON、GERMANOの2プリーツデニム など、すでに数本のプリーツパンツを所有していますが、今後入荷してくるプリーツパンツでは、この2モデルに注目しています。
4月号31ページで紹介されている ”INCOTEX SLACSの623。
http://shop.beams.co.jp/shop/beamsf/goods.html?gid=10092632
通常このモデルには設定のないスペシャルな生地を乗せたBEAMSのエクスクルーシブモデルです。 適度に余裕のあるスリムフィットは、まさに今シーズンの気分です。
クラシカルなインワンプリーツのディティールでありながら、カジュアルな洗いのパンツというのもいいですね。 個人的には誌面で紹介されているミリタリーグリーンが欲しいです。
そして、219ページで紹介されている C+の2プリーツ。
美脚シルエットで人気のモデル RIDMARKの2プリーツ版 ”RID2P”
腰回りに適度なゆとりがありながらも、RIDMARK同様の美脚シルエットが特徴です。
今シーズン日本ではBEAMSだけの展開になります。
デニムとツイルがありますので、是非ご試着ください。
永くノープリーツのパンツが続いたので、まだプリーツ入りのパンツの流れに懐疑的な人も多いと思いますが、以前プリーツ入りのパンツが主流だった時代を知る私にとっては、プリーツ入りのパンツがトレンド的なものだと言う印象もありません。
言い換えれば、ベーシックなパンツのディティールが今の時代性を取り入れて戻ってきたと言うのが正直な印象です。
まだプリーツ入りのパンツを穿いたことのない方は、とにかく気になるモデルがあれば、ご試着してみてください。
腰回りの少しの余裕が新鮮に感じられると思います。
そして、もし気に入られたら是非ワードローブに加えてください。
一過性のトレンドでないことは間違いないので、ご安心ください。