シャツの襟型 | ELEMENTS OF STYLE

シャツの襟型

 

ここ数年ジャケット一辺倒だったPITTI UOMOでも、昨年あたりからその反動でスーツスタイルに注目する人が確実に増えています。

直近の1月に行われたPITTI UOMOでも、スーツを着た人が急増していた事は以前にもお伝えしましたが、ドレススタイルが戻って来ていることで、シャツにも少し変化が見られました。

今回は、そんなドレスシャツの変化についてお話ししたいと思います。

 

 

 

ここ数年、ドレスシャツで最も定番の襟型がワイドスプレッドです。

 

 

 


日本でも定番の襟型で、このような襟型のシャツを着た人が最も多いのではないかと思います。

 

イタリアでもここ10年くらいは、この襟型をベースに台襟の高さや襟の開きに多少変化をつけながら、ドレスシャツの中心的な襟型として広まっていました。

 

 

 

 

 

そんなワイドスプレッド一辺倒の流れから、明らかに増えてきているのがセミワイドの襟型。

 

 

 

 

このように、襟の開きが大きくないセミワイドを着た人が増えてきているのは明らかな傾向です。

 

 

 

 

 

ボタンダウンを着た人もよく見かけるようになりました。

 

 

 

 

我々日本人と違い、アメリカのファッション文化の洗礼を受けていないイタリアでは、ボタンダウンは日本ほどポピュラーな襟型ではありません。

特に、カジュアルスタイルでボタンダウンを着ている人は少なく、ドレスで着ている人も上の画像のように、襟先のボタンを外すスタイルが一般的です。

 

このテクニックは、ウエルドレッサーとして有名な元フェラーリの会長、ルカ ディ モンテゼーモロ や TOD’S グループのオーナーである ディエゴ デッラ ヴァッレ がしていたことで広まったテクニックです。

何故彼らがボタンダウンを着るようになったのかは、ちょっとしたエピソードがあるのですが、長くなるのでまた別の機会にお話ししたいと思います。

因みに、カジュアルに着る場合でも襟先のボタンを外すのがイタリア流です。 「ボタンダウン持っているけど最近着ないな」 という人は、このテクニックを真似してみると良いと思います。

 

 

 

 

 

これも最近復活の兆しのあるレギュラーカラー。

 

 

 

こんな感じの柔らかい襟のレギュラーカラーは、エレガントで個人的には大好きな襟型です。

 

90年代の後半のイタリアンクラシックブームの頃は、私もこんな襟のシャツをよく着ていました。

 

下の画像はSTILE LATINOのディレクター ヴィンチェンツォ アットリーニですが、彼の着ているシャツは襟先が少し跳ねるのですが、それがカッコイイ。(笑)  次の秋冬は久しぶりにこんなシャツが着たいと思っています。

 

因みに、タイドアップでボタンダウンのボタンを外すテクニックは、このようなレギュラーカラーのように見えるという側面もあるようです。

 

 

 

 

 

そして、今まではほとんど見られなかった、こんな襟型のシャツを着た人も見掛けるようになりました。

 

 

 

 

おそらく、私より若い世代の方で、昨今のイタリア的なスーツスタイルを好む人は、ほとんど着たことのない襟型ではないでしょうか。

 

このラウンドカラーの歴史は古いのですが、私にとっては80年代のアメリカンブリティッシュのイメージ。 簡単に言ってしまえばアラン フラッサーのイメージですね。

 

1985年に発刊された彼の著書 ”Clothes and the MAN” でも、ラウンドカラ―を使ったコーディネートが多く紹介されています。

 

 

 

懐かしい・・・

 

私がバイヤー駆け出しだった80年代後半頃は、BEAMS Fでもアメリカのシャツブランドでラウンドカラーを展開していました。 確かTROY SHIRTS MAKER だったと記憶していますが・・・

ラウンドカラーも新鮮ですね。  BEAMSのカスタムテーラーでオーダーできるので、来週早速オーダーしようと思っています。

因みに、上の画像でBEAMS F のディレクター西口が着ているラウンドカラーのクレリックは、アメリカのGITMAN BROTHRS の古着です。

 

このスタイルでSNAPを撮られまくっていました。(笑)






さらに、タブカラ―も新鮮です。

 

 

多くのシャツブランドが展開していましたが、PITTIの会場ではまだ着た人は少ないと言うのが正直なところです。

 

上の画像はBRILLAのバイヤーの高田。 今シーズンから展開しているBRILLAのオリジナルのタブカラ―のシャツを着ています。

 

このタブカラー、最近スタッフの間で着用率が高くなっている、内輪での密かなヒットアイテムです。

タブカラ―も80年代中から後半に人気のあった襟型で、アランフラッサーの著書でも多く紹介されている襟型です。

 

 

 

 

これも懐かしいですね。

BEAMS Fでも当時英国のStephan BrothersIKE BEHAR のタブカラ―が大人気でした。その当時最も人気のあった襟型と言っても過言ではないと思います。

今も当時購入した IKE BEHAR のシャンブレーのタブカラーを持っていますが、さすがにボディーがブカブカで今は着られません。 襟型が抜群にいいので残念ですね。 クラシックなモノは変わらないと言われますが、時代性が大切だと言うのは、こういうことなんです。

 

 


このように、久しぶりにドレススタイルが戻ってきたことで、ドレスシャツの襟型のバリエーションが増えてきているのは間違いありません。

これは、スーツスタイルが注目されれば必然的な流れだと思います。

そして、スリーピースやダブルブレストやプリーツパンツ、サスペンダーなど、80年代に流行したモノが注目されている流れを見ても、ラウンドカラーやタブカラーやクレリックなど、当時人気のあったシャツが注目されるのも必然的な流れだと思います。

 

 

 

 

ワイドスプレッド一辺倒だった流れも確実に変化が見られます。

ただし、ワイドスプレッドが古くなったわけではありません。 ワイドスプレッドは定番としてありつつ、襟型のバリエーションが広がっているというのが正しい認識だと思います。

 




 最後に、注意する点をひとつ。

 

 

 

 


ノータイで開けて着る時はいいのですが、上の画像のようにタイドアップした時に襟が一直線に広がるようなカッタウェイカラーは正直少し古い感じがします。

 

その理由は、このブログでも何度も書いていますが、いかにもイタリア血中度の高いスタイルは古臭と言うのが今の流れだからです。

この点は今後シャツを選ぶ際に少し気にかけていただいた方が良いポイントだと思います。


という事で、次の秋冬はBEAMSでもワイドスプレッド以外の襟のバリエーションが増えます。私もセミワイド、レギュラー、ラウンド、タブと、久しぶりに色々な襟型を楽しみたいと思っています。

 

 

先取りしたい方にはこんなシャツもあります。

 

 

BRILLA オリジナル タブカラーとセミワイドのクレリック。

http://shop.beams.co.jp/shop/brilla/goods.html?gid=9732031

http://shop.beams.co.jp/shop/brilla/goods.html?gid=9732029



なかなか良くできたシャツです。