サルトリア テイスト | ELEMENTS OF STYLE

サルトリア テイスト

 

10年くらい前に CUSTUM TAILOR BEAMS でオーダーしたスーツ。

 

 

ここ数年、全く袖を通すことは無かったのですが、仕立てがとても良い仕上がりだったので断舎利することができずにクローゼットに眠っていました。

秋冬モノと入れ替える時に久しぶりに袖を通してみたのですが、コレがなかなかいい。

明らかにいま主流のスリムなシルエットのスーツとは違うのですが、それが逆に新鮮。

 

 

 

 

 

当時のBEAMS Fのスーツはフロントダーツがなく、細腹だけでシェイプを出す2枚構造のパターンでした。

 

 

これは、フィレンツェのテイラーでよく見られる仕様で、フロントから見たときに柄が歪まないので、とてもエレガントな印象に見えます。

 

手前味噌ですが、なかなか凝ったつくりでした。

ウェストシェイプがきいたパターンには不向きな仕様だったので、ジャケットのスリム化が進む中で、フロントダーツの仕様に変更となり現在に至ります。

 

 

 

 

 

襟型もいまのモノよりもゴージの傾斜がついていて、サルトリアっぽい雰囲気なのが逆に新鮮です。

 

 

このジャケットはハンドメイド仕様でオーダーしたので、上衿が後付けになっていいて、襟全体がとても柔らかい雰囲気に仕上がっています。

因みに、いまBEAMS Fのオリジナルで展開しているリングヂャケット製のハンドメイド仕様のスーツがこの仕様です。

イタリアの既製服であれば、30万円以上のスーツでなければ、上衿後付のスーツは存在しません。

手前味噌ですが、驚愕のコストパフォーマンスと言えます。


 

 

袖はそれほど太くないので気にならないのですが、袖口の幅が少し太く感じます。

 



お直しで袖口幅を5㎜ほど細くすることにしました。

 

 


生地は私が大好きな英国製のフレスコ。 おそらく英国の生地メーカー ”MARTINSON’S” のフレスコだったと思います。

日本ではハイカウントヤーンで表面が滑らかな生地が好まれますが、個人的に昔からフレスコのような表面感がある乾いたタッチの生地が好みです。


 

 

パンツはワンプリーツ。

 


プリーツも深めですが、それも逆に新鮮です。

 

シルエットはかなり太いですが、細くなり過ぎない程度にお直しします。

 

 

 

 

 

股上もいまのパンツと比べると2cm程度深いです。

 

 

ですが・・・ 股上はこのまま穿こうと思っています。

理由は、後程ご説明します。

 

 

 

 

 

 

そして、アレコレいじって出来上がったのがこのスーツ。

 

 

着丈は当時から短めが好きだったので直す必要はありませんでした。

 

ジャケットは袖口幅だけ細くしましたら、幅で0.5㎝でも着ると結構印象が変わります。

身幅に関しても、サルトリアの雰囲気を活かしたかったのでお直しは無し、確かに昨今のスリムなスーツに比べれば余裕がありますが、古臭い印象には見えません。

 

 

 

 

 

 

パンツは劇的に変わりました。

 

 



ベルトループを全て外してベルトレスに。

股上が深いので腰骨の上でジャストサイズに合わせればベルトが無くても落ちてきません。

 

なかなかいい雰囲気で仕上がりました。

 

 

 

 

 

シルエットは、股下を短くして、渡り幅、膝幅、裾幅を全て細く修正しました。

 



サルトリアの雰囲気を出したかったので、極端に細くはせずに適度な細さにお直ししましたが、随分洗練されたシルエットに変わりました。

 

 

 

 

以前PITTIのレポートにも書きましたが、行き過ぎたカジュアル化の反動でエレガントなスーツスタイルが見直されています。

スリーピースやダブルブレストやプリーツの入ったパンツのスーツを着た人が増えているのも、その流れの影響であるのは間違いありません。

そして、次の秋冬は、この流れが更に強くなることも間違いありません。

それは、1月のPITTI UOMOの会場で、サルトリアテイストのスーツを着た人がかなり増えているのを見ても明確です。

 

 

 

このように、しばらく続いていたカジュアルなジャケットをスーツにしたようなスリムなフィットのスーツから、正統派のサルトリア仕立てのようなスーツに流れが変わっているのは明確で、流れに敏感な人ほど、このようなスーツをいち早く着ていると言うのが今の流れです。

 

 

 

 

このような流れを見ているので、今回のお直しはジャケットのウエストは敢えて補足せず、パンツの股上も深いままで、シルエットも適度な余裕を持たせながら細く補正しました。

お直し代は結構かかりましたが、10年前のスーツが言わば ”先取りのスーツ” に生まれ変わりました。(笑)

今シーズンもスリーピースのスーツやダブルブレストのスーツやプリーツ入りのパンツの付いたスーツがBEAMSでも流れに敏感なお客様に好評ですが、次の秋冬はクラシックなテイストのスーツがさらに重要になるのは間違いありません。

私自身、これから新たにスーツを新調するのであれば、スーツのパンツにプリーツは必須であると考えています。

もちろん、今まで購入したノープリーツのパンツのスーツも並行して着用しますが、流れは確実に変わってきていると思います。

それは急激に変わることは無いですが、この先数年かけて徐々に変化していくと思います。

 

 

 

 

 

 

次の秋冬はスーツスタイルが楽しくなりそうです。

最近私もクラシックなスーツスタイルが増えました。

 

 

襟幅の広いダブルブレストのスーツにセミワイドのストライプシャツ、ネクタイは最近またマイブームのDRAKE’S の50ozのROYAL TWILL

 

 

 

 

 

セミワイドやレギュラーカラーのシャツ、プリーツ入りのパンツやベルトレス、太くなった襟幅、サスペンダー、クラシックなドレスシューズ、10年以上前には普通にあったモノが今新鮮です。

スーツスタイルは確実に変化してきています。

キーワードは
”サルトリア テイスト”

”テーラーで仕立てたような雰囲気のスーツ” と言う意味あいもありますが、単純に言葉で表すのは難しいというのは正直なところです。

コレに関しては具体的なビジュアルも含めて、今後もご紹介していこうと思います。

 

 

 

ドレスだけではないですが、何でもスリムであればいいという流れは確実に変化してきているのは間違いない事実です。

 

 

太めの方には朗報・・・

それもまた別の話です。(笑)