PITTI SNAP by BEAMS 2017SS CASUAL編
3月に入り暖かい日が多くなりましたが、朝晩はまだまだ寒いですね。
さすがに3月に入ると洋服屋的には厚いウールのコートはもう着られないので、ここ数年かけて揃えたスプリングコートが毎日大活躍しています。
呼び名がスプリングコートなので、どうしても春に着るものと思われる方も多いと思いますが、実は春先以上に秋口のほうが長く着られるので、個人的には3シーズン コートと呼びたいところですが、私がなんと言おうと業界的にはスプリングコートというのは永久に変わらないと思うので、永久に春に着るものというイメージも変わらないということですね。
最近は休みの日のカジュアルなスタイルにもスプリングコートを合わせているので、本当に重宝しています。
スプリングコートを着て、薄くて軽いカシミア×シルクのパシミナ調のスカーフをバッグに突っ込んで、寒ければそれを巻いて温度調節。
最近の通勤スタイルはそんな感じです。
今回は、ジャケット編、スーツ編に続き、PITTI SNAP by BEAMS カジュアル編です。
シャンブレーのミリタリー風ジャケットのコーディネート。
ホワイトデニムのファイブポケットは、適度にゆとりのある501のようなシルエット。
最近このような501のようなシルエットのモデルを多くのサプライヤーが提案しているのも、今の流れです。
ファイブポケットもピタピタのスリムではなく、適度にゆとりのあるシルエットのモノを穿く人が増えています。
インナーはポケットのディティールが特徴的なカジュアルなジレ。
シャツは洗いざらしのオックスフォードのレギュラーカラーで、もちろん前立てが付いています。
このコーディネートに前立てのないカッタウェイのシャツを合わせたら雰囲気が台なしです。
首元はネッカチーフを結ばずに垂らしています。
ネッカチーフがアクセサリーのトレンドになっていますが、結ぶのに抵抗がある人は、彼のように無造作に垂らすのもいいと思います。
ベルトはウエスタンタイプですが、剣先を垂らすことなく、ジャストサイズでつけています。
今はこのバランスが正解です。
数年前にあれだけ流行った、ベルトの剣先を垂らすスタイルも今やほとんど見かけなくなってしまいました。
ベルトレスの流れもあるので、今はベルトで主張する流れではなくなっているのが理由です。
サイズアップして剣先を垂らしていた方は、ジャストサイズに直すこともできますのでご安心ください。
フロントでベルトを主張しない代わりにサイドにコンチョをつけてさりげなく主張。
イタリアとアメリカのテイストをミックスするのがうまい彼らしいテクニックです。
靴は金茶のスエードローファー。
おそらく、彼のショールームで扱っているナポリの靴工房のモノだと思います。
カーフのスリッポンを履く人が増えているのは間違いないですが、スエードのスリッポンが古臭くなったわけではありません。
コーディネートによって使い分けるのが正しいので、流行だからといって何でもかんでも表革を合わせる必要はありません。
時計は年代モノのROLEX SUBMARINERにビンテージ調のスエードストラップ。
最近このハンドステッチの入ったストラップをつけている人が急増しています。
イタリアではNATOストラップに続くストラップのトレンドになっているようです。
因みに、日本でも既に似たモノがネットで売られています。
http://item.rakuten.co.jp/chronoworld/1039-0000101/
http://item.rakuten.co.jp/
http://watch-monster.com/
ご興味があれば、チェックしてみてください。
ここ数年急増しているシャツ+ジレのコーディネート。
シャンブレー素材のカジュアルなジレですが、テーラードの襟が付いています。
これもサルトリアっぽいディティールをカジュアルに取り入れるという、最近多く見られるスタイルです。
パンツはゆとりのある2プリーツ。
ネイビーの無地に見えますが、よく見るとストライプが入っています。
ブルー×ホワイトのシンプルなコーディネイトなので、パンツにこのような控えめな柄が入っているのは効果的です。
これに派手な柄物のパンツを合わすと古臭い印象のコーディネートになります。
この人もベルトループの付いたパンツをベルトレスで穿いています。
数年前なら、このようなカジュアルなスタイルには剣先にチップの付いたベルトやスタッズの付いたベルトを垂らすのが定番スタイルでしたが、流れが大きく変わりました。
足元はスーパースターのネイビースエード。
ここ数年スーパースターとスタンスミスが現地でも圧倒的に人気がありますが、次に来るものはまだ出てきていません。
時計はROLEXのOYSTER PERPETUAL。
ロレックスの定番モデルはイタリアでは根強い人気があります。
こちらもシンプルなホワイト×ネイビーのコーディネート。
GジャンとCPOジャケットをミックスしたようなブルゾンは、少しエクリュがかったトーンがポイント。
パンツやシャツのピュア ホワイトのトーンと少しずれていることで、全体のトーンがうまくまとまっています。
パンツはノープリーツですが、このくらいが今の流れから考えると最もスリムなシルエットでしょう。
これ以上細いフィットは古臭く感じるのは否めません。
ブルゾンの下にはジレを合わせています。
日本ではジレはジャケットに合わせるものと思っている方がまだまだ多いですが、現地では色々なアイテムに合わせられる便利なアイテムという認識の方が強いので、カジュアルなコーディネートにジレを合わせる人がとても多いです。
足元はタバコスエードのタッセル。
英国や米国調のタッセルというのが今のスタンダードです。
数年前は、このようなコーディネートだとドライビングシューズを合わせる人が多かったですが、今やドライビングシューズもほとんど見られなくなりました。
定番も時代とともに変化すると言うことです。
ベーシックなスタイルにも時代性は必要です。
時計は小さくてよく見えませんが、おそらく MONBLANCのマイスターシュッテック へりテージでしょう。
薄型のシンプルな3針の時計ですが、意外とカジュアルなコーディネートにマッチします。
サファリ テイストのジャケットにタイドアップしたコーディネート。
画像だと分かりにくいですが、もしかするとスーツ・・・?
スーツだったら、かなり狙っています。
狙っていたとしても、このコーディネートにはホワイトパンツの方がいいですね
それと、ジャケットのバランスに対してパンツが細すぎます。
このようなジャケットにタイドアップというスタイルは、PITTIの会場でも多くのサプライヤーから打ち出されていましたが、せっかっくのコーディネートもバランスが悪くてもったいない感じです。
シャツはオックスフォードのセミワイドのシャツを洗いざらしで着て、ネクタイはシルク×リネンのざっくりした素材感のモノを合わせています。
このようなカジュアルとドレスをミックスしたタイドアップ コーディネートの場合、ネクタイの素材感は重要なポイントです。
一番手軽で間違いないのが、ニットタイですね。
ベルトの留め方も狙っているのだと思いますが、真中でないほうが良いのでは・・・
足元はこの方もタッセル。
よく見ると、アッパーがダークブラウンのもみ革です。
モカ縫いの感じを見るとALDENっぽいですが、はっきりとは分かりません。
時計はBELL & ROSSのVINTAGE WW1です。
イタリアではベル&ロスの知名度はとても低いです。
私もVINTAGE 124と126を持っているので、イタリア出張に着けていくことがありますが、時計好きの人たちに見せても、見たことがないという人がほとんどです。
もともとフランスのブランドなので、フランスではとても人気があります。
もしかすると、この人はフランス人かもしれませんね。
PITTIにいる外国人を見て皆イタリア人と思っている人も多いと思いますが、世界中のファッション業界人が集まる展示会なので、実はスナップに出ている人がイタリア人でないことも多いというのが実情です。
ダブルのショールカラーのニットジャケットにピンクのシァサッカーのパンツというコーディネート。
今シーズンのトレンドに RETRO RESORT というキーワードがありますが、まさにレトロなリゾートスタイルを現代的にアップデートさせたスタイルです。
金色のメタルボタンもいいですね。
メタルボタンはしばらくシルバーが多かったのですが、クラシック回帰の流れもあり、ゴールドのメタルボタンがリバイバルしています。
インナーは白いパイルのスキッパー。
襟を外に出してリゾートっぽさを演出しています。
ポロシャツをジョンスメドレーのようなニットポロを合わせても今シーズンらしい雰囲気になります。
シァサッカーのパンツは2プリーツ。
ノープレスで穿くようなカジュアルなパンツもプリーツ入りのパンツが増えています。
適度にゆとりがあって裾にかけてテーパードしていくシルエットは、今のプリーツパンツの基本となるシルエットで、日本人が穿いてもスタイル良く見えるシルエットです。
足元はブラックカーフのタッセル?
革の表情から見るとブラックコードバンのALDENにも見えますが、イタリアでブラックコードバンを見たことがほとんどないので、真相はわかりません。
ピンクのパンツに黒の靴を合わせるのも彼らしいコーディネートです。
タッセル以外にビットローファーやグルカサンダルを合わせても今シーズンらしいコーディネートになると思います。
ジャケット編、スーツ編、カジュアル編、全てで彼のコーディネートを紹介しましたが、個人的にも彼のコーディネートには注目しています。
1月のPITTIのレポートでお見せしたLARDINIのディスプレイのコーディネートも、彼が手がけました。
私が仕事をしているイタリア人の中で、いま彼が最もセンスのいいイタリア人です。
因みに、彼が着ているニットジャケットはBEAMSでも展開しています。
ネイビーとエクリュの2色展開です。
白のボーダーは入れないでワントーンで別注しました。
個人的にも今シーズン押さえたいニットジャケットです。
カジュアルに関しては様々な流れがありますが、クリーンなコーディネートが求められるような流れになっているのは間違いありません。
今回のスナップで見られた大きなポケットの付いたジャケットは、サファリやミリタリーやワーク、アウトドアといった様々な要素のジャケットを包括してUTILITY JACKET(ユーティリティー ジャケット)と呼ばれ、多くのサプライヤーから提案されていました。
そして、ニットジャケットやシャツジャケットなど、軽くてリラックスして着られるカジュアルジャケットも再び多くなっているのが傾向です。
カジュアルパンツもプリーツというのはジャケットとスーツと同じ流れです。
上の画像のとおりノープリーツのパンツを穿いている人も、ピタピタに脚に張り付くようなタイトなシルエットのパンツを穿いた人はかなり少なくなりました。
どうしてもプリーツパンツを穿けないという方は、今後プリーツパンツを選ぶ際は、スーパースリムではなく、普通のスリムフィットを選ぶか、スーパースリムをワンサイズ上げてウェストを詰めて穿くと今風のノープリーツのシルエットになります。
足元はタッセルやローファーを履いた人がとにかく多いです。
これも、カジュアルなスタイルであっても綺麗に着こなすという、今の流れの影響が大きいと考えます。
特にタッセルは、ジャケットにもスーツにもカジュアルにも使われているので、いま最も使える靴と言えるでしょう。
ユーティリティージャケットは個人的に今シーズン欲しいアイテムです。
これは買おうと思っています。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/jacket/21160950115/
シャンブレーのサファリジャケット。
かなり刺さります。
合わせるパンツは、サイドアジャスターのベルトレス。
それだけは決めています。
PITTI SNAP by BEAMS 2017 SS SUITS 編
2017年秋冬のバイイングも終盤戦に差し掛かっています。
国内の展示会もかなり精力的に回ったので、秋冬の傾向もすでに明確になってきました。
スーツスタイルに関しては、2016年秋冬から今シーズンの流れをベースに、それが更に進化して先へ進むという流れになりそうです。
今回は前回に続き、今シーズンのバイイングを行った昨年6月のPITTI UOMOのスナップをお見せしながら、今シーズンのスーツの傾向についても触れたいと思います。
ブルーのダブルブレストのコットンスーツはSTILELATINO。
BORZONELLAのシャンブレーのレギュラーカラーにクラシックなプリントタイを合わせ、カラーバーで襟をとめています。
最近このようなカラーバーを使うイタリア人が増えましたが、以前はほとんど見られなかったので、これも新しい流れです。
私のイメージではカラーバーはアメリカ人のイメージ。
昔のアランフラッサーやポールスチュアートのイメージですね。
このようなアクセサリーが流行るのも、イタリアのステレオタイプのクラシックスタイルではなく、アメリカや英国のテイストを取り入れるのが今の流れであり、彼らの気分だということを表しています。
時計はiWatch。
彼はロレックスやジラール ペルゴなどの高級時計をたくさん持っているので、完全に計算されたハズシですね。
サックスブルーのストラップも彼らしいチョイスです。
日本では、このように高級なスーツを着て時計をハズすというスタイルは、ほとんどないように感じます。
かなり前の話になりますが、日本のある有名な俳優さんが、イタリアのセレブが集まるパーティーに参加するのに、気張って1千万円以上する時計をしていったら、ほとんどの人がSWATCHだったというエピソードをテレビで見ましたが、確かにSWATCHが流行ってから、イタリアでもそのようなハズし技を多く見かけるようになりました。
靴はかなり年季の入ったエドワードグリーン。
アッパーはひび割れしていて、シューレースの先もちぎれています。(笑)
日本人には理解できないと思いますが、イタリア人は本当に靴の手入れをしない人が多いです。
あまりにもピカピカの靴は不自然だという意識の人が多いのも一因です。
因みに、私も靴は綺麗に手入をして履きますが、ピカピカに光らせるのは不自然に感じるので、普通にクリームを塗って磨くだけです。
明るいブルーのコットンスーツのコーディネート。
ゴージのラインと上襟の形状を見ただけでサルトリア仕立てだとわかります。
いつもこういう細かいところもチェックしているのです。
職業病ですね。(笑)
サックスのキャンディーストライプのワイドスプレッドにドットのニットタイという、お手本のようなVゾーンです。
ネクタイの大剣と小剣をずらしているのは、前回のジャケット編でも触れましたが、昔からあるイタリアン スタイルですね。
ポケットチーフはシルクのペーズリーをパフで入れています。
ジャケット編でも触れましたが、最近このような英国的なシルクプリントのチーフを挿している人がとても増えました。
以前はこのスーツスタイルであれば、白のリネンのチーフがイタリア人の定番でしたが、それも変わりました。
ましてや、チーフをパフで挿す人などほとんど見られなかったので、これもイタリアのスーツスタイルに英国的なテイストを入れることが今の流れであることが影響しているのだと思います。
パンツは2アウトプリーツ。
ジャケットの組下以上にスーツのパンツはプリーツ入りという流れになっているのは間違いありません。
この傾向は、来秋冬さらに加速しています。
靴はブラックカーフのタッセル。
以前は、この色のコットンスーツであれば、靴はブラウンというのがイタリアのステレオタイプの合わせでしたが、最近はブラックカーフの靴を合わせるケースが多くなっています。
これも以前とは大きく変わった傾向と言えます。
時計はアンティークのCARTIERでしょうか。
ネイビークロコのストラップというのも、とてもイタリア人っぽいです。
カジュアルなテイストの8ボタンのダブルブレストのコットンスーツ。
このスーツはBEAMSでも展開しているTHE GIGIのZIGGYというモデル。
パンツも1プリーツのワイドテーパードで太目のシルエットです。
色はやはり明るめのブルーですが、コットンスーツはこのくらいのトーンのブルーを着た人がとても多いです。
コバルトブルーと言われる明るめのブルーがトレンドということもありますが、元々イタリア人は濃いネイビーの無地のスーツを日常的に着る習慣はほとんどないので、特にカジュアルなコットンスーツに濃いネイビーという選択は無いと言っても良いでしょう。
シャツはシャンブレーでブルーのトーンでまとめています。
こんなカジュアルなスーツの場合はTシャツを合わせるケースも多いですが、敢えてシャツを合わせるのが彼の気分なのでしょう。
シャツの襟が小襟のレギュラーカラーというのもポイントです。
足元はADIDASのCAMPUSで全身をブルーのトーンでまとめています。
因みに、このネイビーのCAMPUS、私も持っていますが、とてもコーディネートしやすいので、
休日にヘビーローテーションで履いています。
パンツの股下がかなり短いので、ダブルの折り返しも2.5cmくらいの細い幅です。
9分丈で裾幅が細いパンツは4.5cmや5cmくらいの太めの折り返し幅がスタンダードとなっていますが、このような太目のテーパードラインのパンツは更に短かい丈で穿くケースが多いので、ダブルは細い幅で折り返すのがスタンダードになっています。
時計はROLEXのDAYTONA。
最も分かりやすいイタリア人らしい高級時計と言えます。
この先には、PATEK PHILIPPE(ノーチラス) と AUDEMARS PIGUET(ロイヤル オーク)というのが、昨今のイタリアのファッション業界人に最も多いパターンです。
6ボタンのダブルブレストのストライプスーツにホワイトシャツというシンプルなコーディネート。
ビジネスでも着られるネイビーストライプのスーツですが、太目の襟のダブルブレストとチェンジポケットのディティールが効いているので、単純にクラシックなスーツをノータイで着ている風には見えません。
因みに、彼はプーリア州でDE PETRILLOのエージェントをやっているので、このスーツもおそらくDE PETRILLOでしょう。
チェンジポケットの付いたスーツも増えていますが、英国的なディティールが今の雰囲気にすごくマッチするので、個人的にも新調するスーツはほとんどチェンジポケット付きのモノを選んでいます。
チェンジポケットが付いていると適度にスポーティーな雰囲気に見えるので、ノータイで着てもこなれた印象に見えるのも良いところです。
靴はブラックカーフのタッセル。
英国や米国ブランドのタッセルスリッポンを履いた人がとても多いです。
長らくダブルモンクのブームが続いていましたが、今は完全にタッセルが大ブームになっていると言っても過言でないでしょう。
裾は短めの丈でシングルで仕上げていますが、シングルで穿いている人を久しぶりに見た感じです。
クラシックなスーツを着ていますが、彼自身は少しモードっぽい雰囲気のスタイルが好みなので、敢えてシングルで仕上げているのでしょう。
こちらも色をあまり使わないシンプルなコーディネート。
濃いインディゴにも見える生地は、ウールにリネンがミックスされています。
シンプルにホワイトシャツに黒のニットタイというコーディネートがいいですね。
コットンやリネンのスーツが多くなっているので、ニットタイをしている人もかなり増えています。
靴はビーフロールのローファー。
アメリカン タイプのローファーもちょっとしたブームになっています。
数年前にチャーチが出したビーフロールのローファーが火付け役となって、その後それを模したモデルが他のブランドからも多く出たことによって、イタリアでもビーフロールが一般的になりました。
因みに、彼が履いているローファーは、アメリカのSEBAGOのローファー。
以前からイタリアではセバゴを扱うショップが多かったので、アメリカに疎いイタリア人にとっては馴染みのあるブランドです。
スーツにローファーを合わせるコーディネートは、英国や米国では完全にNGですが、イタリアでも微妙なところ・・・
上の画像のようなリネン混の素材で、ボタンもホワイトでカジュアルなテイストのスーツであれば、ギリギリOKかなというのが正直なところです。
いずれにしても、ALDENのローファーやタッセルもイタリアでブームになっているので、これもイタリアの服に米国のテイストを取り入れるのが今の流れということです。
袖付けに特徴のあるサルトリア仕立てのダブルブレストのスーツ。
ライトグレーの無地に見えますが、淡いピンクのウインドウペンが入っています。
今シーズンはチェックやウィンドウペーンのスーツがトレンドなので、ファッション業界人達は柄物のスーツを着る場合、ストライプのスーツよりもチェックやウィンドウペンのスーツを着ている人の方が多いのが実情です。
レギュラーっぽいセミワイドのシャツにヴィンテージ調のプリントタイ。
襟が大きく開くカッタウェイが減り、セミワイドやレギュラー系の襟型が増えているのが今の傾向です。
特に若い人ほどセミワイドやレギュラーを着た人が多く、カッタウェイを着ているのは50代以上の人が多いというのが実情です。
ネクタイはプリントタイの流れが来ています。
特に、このネクタイのようなヴィンテージ アーカイブの柄をそのまま表現したようなプリントタイが増えているのも今の傾向です。
靴はボリュームのあるラウンドトウのパンチドキャップ。
彼はいつも英国ブランドの靴を履いていますが、これはイタリアっぽいですね。
いずれにしても、旧来の細身でロングノーズのイタリアっぽい靴を履いている人はかなり少なくなりました。
イタリアのブランドも今や英国風や米国風のモデルがメインになっているのは間違いありません。
時計は文字盤がミッキーマウス。
これもイタリア人らしいハズシ技です。
色々な時計ブランドがミッキーマウスとコラボしていますが、これはオメガのようです。
ハズシでミッキーマウスだから何でもいいというわけではないのでしょう。
サルトリアのスーツにミッキーマウスの時計というのも日本人にはない感覚ですね。
ダブルブレストのソラーロのスーツにレトロポロのコーディネート。
ソラーロのスーツはコットンスーツと並ぶ今シーズンのトレンドのスーツです。
パンツはノープリーツですが、股上も深く腰周りにゆとりのあるシルエットです。
ベルトループ付きのパンツをベルトレスで穿き、クリップタイプのサスペンダーをしています。
皆さんが思っている以上に、イタリアではサスペンダーが一般的なアイテムになっています。
英国好きの人にとっては、細い帯のクリップタイプのサスペンダーなどありえないという方がほとんどだと思いますが、それも時代が変わったということだと思います。
単純にアクセサリーとして取り入れているというのが今の傾向なので、ルールやセオリーに縛られないことが、サスペンダーがこれだけ流行る要因になっているのだと思います。
ジャガードのニットポロは彼のブランドのモノです。
今シーズンのトレンドに ”レトロ” というキーワードがありますが、まさにレトロ感漂うニットポロです。
絶妙のトーンのボルドーが玉虫色のスーツとよくマッチしています。
ここでもチーフはプリント。
本当に柄物のチーフをする人が増えました。
これも ”脱イタリア ステレオタイプ” の流れだといえます。
靴はブラウンスエードのタッセル。
表革のシューズを履いている人が増えているのは明らかな傾向ですが、スエードの靴が古くなったわけではないのでご安心ください。
大事なのは、全体の雰囲気とマッチしているかどうかということです。
時計はROLEXのサブマリーナにミリタリーグリーンのNATOストラップ。
英国好きのイタリア人にとっては、007の影響もあってサブマリーナ×NATO ストラップは由緒正しいハズシ技なのだと思います。
サルトリア仕立てのグレースーツにレジメンタル タイというコーディネート。
昨年の6月のPITTIでは、クラシックなレジメンタル タイをした人をかなり見かけました。
サプライヤーの提案はほとんどないので、業界人達の間で自然発生的に起こったトレンドだと言えます。
クラシック回帰の流れの中で、このようなクラシックな柄のタイが、彼のような若い世代の人たちにとっては何の先入観もなく新鮮なものに感じるのだと思います。
サスペンダーもクリップ式で、敢えて前側に寄せて着けて目立つようにしています。
英国ではサスペンダーは見せるものではないので、見えないようにするのがルール。
わざと見えるように付けるなんて邪道だと怒られるでしょう。
因みに、彼は英国人。
英国人が皆サヴィロウで仕立てたようなスーツを着ているというのも、今の時代間違った認識だと思います。
少なからず若い世代の英国人には、英国的なステレオタイプのスタイルはかなり少なくなっているというのは、奇しくもイタリアのそれと同じ傾向だといえます。
靴はブラウン スエードのタッセル。
英国人の彼が英国のルールを守るのであれば、このスタイルにはブラックカーフのオックスフォードということになりますが、彼にとっては、そんなに退屈な合わせはないということなのではないでしょうか。
スーツに関しては、上着の変化はあまりなく、前回のジャケット編の内容を見ていただければ間違いないと思います。
組下のパンツはプリーツ入りが主流になっているのは間違いない傾向で、サイドアジャスターを付けたベルトレスのモノも増えてきています。
10数年前にノープリーツのパンツが主流になった時も、ジャケットにはノープリーツを合わせてもスーツはエレガントに着るものなので、パンツはプリーツ入りという流れがしばらく続いていました。
そして、クラシックなスーツスタイルが再注目されている今、スーツの組下はエレガントなプリーツパンツという流れになるのは自然な流れです。
現地では、20代後半から40代前半までの比較的若い世代ほどプリーツパンツを穿き、50代以上の人たちほど、未だにピタピタのスリムなパンツのスーツを着ている人が多いというのが実情です。
因みに、私も2年位前から新調するスーツは全てプリーツパンツにしていました。
現地でしっかり流れを見ていれば、そうなるのは当然なのです。
そして、ノープリーツのパンツもプリーツ入りに直して穿いています。
ノープリーツをプリーツ入り?
それにについては、また別の機会に。
久しぶりに買い物しました。
シャツを2枚買い。
BORZONELLAのBDはオックスフォードとホワイトデニムに続いて3枚目。
襟型もディティールもとても気に入っています。
もう一枚は、今シーズンから展開するナポリのBORRIELLO。
ブラウンのスーツをオーダーしているので、それに合わせようと思っています。
襟型も今シーズンの気分。
ワイド系はたくさん持っているので、今シーズンはレギュラーやセミワイドを重点的に買い足そうと思っています。
3箇所ハンドで¥23,000というコストパフォーマンスも魅力です。
PITTI SNAP by BEAMS 2017ss JACKET編
と言うことで、今回は今シーズンのバイイングを行った昨年6月のPITTI UOMOで撮ってきたスナップをお見せしながら、今シーズンの流れについてもお話したいと思います。
少し前までは、派手なベルトやウオレットチェーンで主張するのがイタリアのスタイルでしたが、完全に流れが変わりました。
以前にも何度かレポートしていますが、クラシックなレジメンタルタイが現地の業界人達の間でちょっとしたブームになっています。
サプライヤーの提案はほとんどないのですが、クラシック回帰の流れもあって、レジメンタルタイを新鮮に感じる人たちが自ら選んでつけているという印象です。
90年代後半から2000年代前半の頃にイタリアのシューズブランドが、SPORCATO(スポルカート)という、汚し仕上げのような加工をした靴を多く出していましたが、そんな感じと似ています。
イタリアはスリが多いので、防犯上の理由もあって、間口が開いた状態のトートバッグはニーズが無いと以前から言われていましたが、今トートバッグを持っているイタリア人は日本の影響を受けている人がほとんどです。
簡単に言ってしまえば、今までのジャケットにパンツだけ今のシルエットのものを買い足せば良いということです。
チラッと見えるネクタイの剣先に馬の刺繍が・・・
イタリア人は日本人が思っている以上にラルフローレンが大好きです。

上の全身画像を見てもわかると思いますが、ノープリーツでも股上が深くてシルエットも適度にゆとりがあります。
最初の人も同じようなシルエットですが、今のノープリーツの主流はこのようなシルエットです。
プリーツパンツにどうしても抵抗がある方は、今後ノープリーツを選ぶ際は、腰回りから渡りにかけて適度なゆとりがあって裾にかけてテーパードしていくシルエットを選ぶと良いと思います。
ハズシのテクニックですね。
彼はNATOストラップを付けたROLEXをしていることが多いので、服の雰囲気に合わせてのチョイスでしょう。
日本のお金持ちにはあまりない感覚ですね。
クラシックで堅い雰囲気に感じられるレジメンタルタイも、剣先がハンドロールだと、こなれた印象に見えます。
英国人やアメリカ人には無いこだわりですね。
最近クラシックなレジメンタルタイがPITTIに集まるような業界人達に再び注目される流れがあります。
イタリア人と言えばリネン系のポケットチーフと言うイメージでしたが、これもここ数年で変化した流れです。
でもイタリア人ってこんな感じの人が多いです。
そもそも靴を綺麗に手入れして穿いている人が少ないのが実情です。
ハイシャシンなんて言葉自体ないかもしれません。
あまりにも汚れているので指摘すると ”ビンテージだ” などというあり様。
イタリア人のジョークって呆れるほどつまらないです。(笑)

リネンのシャツ地のジャケットとジレのコーディネートはいいですが、同素材のポケットチーフはちょっとやりすぎ感があるので、チーフなしでよかったなという印象です。
シャツを淡いベージュにしたのは正解だと思います。
シンプルにホワイトシャツかシャンブレー系のシャツをあわせたくなるところですが、胸元に少しのぞくベージュの麻のシャツが程よいポイントカラーになっていると思います。
彼も数年前はピタピタのスリムフィットを穿いていましたが、今はさすがにプリーツパンツです。
私の好きなモデルなので、先シーズンは3本購入しました。
彼くらいイタリア的な艶っぽい着こなしをするような人でも、イタリアっぽい靴を履く人はかなり少なくなりました。
彼の場合は2インプリーツのパンツとタッセルスリッポンがイタリア臭さを中和していると思います。
アクセサリーをもう少しシンプルにして、シャツのボタンをもう少しとめれば更に良いのですが・・・
以前は、このようなスタイルにはスタッズがやチップの付いたベルトをして、剣先をたらしている人が多かったのですが、今はほとんど見かけなくなりました。
パンツはノープリーツですが、やはりピタピタではなく適度にゆとりのあるシルエットです。
どこのブランドのものかわかりませんが、ラウンドトウでボリュームがあるというのは他の人と同じバランスです。
そして、日本ではタイトなシルエットがイタリア以上に流行ったので、自分が見てもサイズが合っていないという人をここ数年見かけることが多かったです。
つまり、タイトに見せたいがために、どう見ても46を着たほうが良い人が44を着ているというようなサイズ感で着ている人を見かけることがとても多かったので、今後は基本に戻って適正サイズをきちっと選ぶことが重要になると思います。
プリーツパンツに関しては間違った認識を持たれている方も多いようですが、今の主流はテーパードのシルエットなので、裾幅は今までのノープリーツとほとんど変わりません。
ようは、ピタピタで脚に張り付くようなフィットのパンツから適度にゆとりのあるシルエットに移行しているのは間違いない流れなので、それだけは押さえておいたほうが良いと思います。
もちろん、かなり太いシルエットのパンツを穿いている人もいますが、それは更に先を行っている人たちなので、そういう流れもあるということをお伝えするのも、このブログの役目だと思っているので、それはご理解ください。
転換期には必ずアンチテーゼみたいなものがありながら流れは変わっていくものです。
”プリーツパンツなんか穿けるか” という方の気持ちも理解していますので、無理にお勧めする気は全くありません。
ただ、流れは変化しているということだけは、頭の隅に少しだけでも入れておいていただけると嬉しいです。
その際は、ワンプリーツの細身のシルエットのモノをお試しいただけると良いと思います。
それについては、また別の機会に・・・
MEN'S EX 連載 3月号
水谷豊さんは、すっかり相棒の杉下右京のイメージが強くなりましたが、私は傷だらけの天使で若き水谷さんを知り、熱中時代の北野広大がはまり役だったと思う世代。
50代の読者の方には共感されるかも知れませんが、30代~40代中くらいの方は ”なにソレ?” という感じでしょうか。(笑)
かなり早い先だし情報。
でも、確実な流れでしょう。
今回のテーマは ”ベルテッド コート” です。
ベルテッドのクラシックなコートといえばトレンチコートが代表格なので、定番のコットンギャバジンだけでなく、様々な素材のトレンチコートが見られました。
ご覧のように、今シーズンのスアウターのトレンドでもある ”ユーティリティー ジャケット” にもベルテッドのディティールのモデルが多くのサプラーヤーから提案されていました。
あまりベルトをきつく結ばず緩く結ぶ方が今の雰囲気です。
そして、ボタンを留めずにベルトを結ぶのも良いでしょう。
このテクニック、皆さんも是非取り入れてみてください。

本誌でも紹介しているベルトを後ろで結ぶこと。
たまに街や電車の中で見かけますが、男性がこれをやるのはNGです。
ベルトを結ばないときはベルトの端を無造作にポケットに突っ込んだほうが男らしくて見た目も良いと思います。
絶対にダメとはあまり言わない私ですが、これは絶対にNGです。
それは、ジャケットやスーツとあわせるだけでなく、カジュアルなスタイルにもあわせるような流れが広まったことにもよるのではないかと思います。
数年前までと比べても、サプライヤーが提案するスプリングコートのバリエーションがかなり多くなった印象です。
ベルテッドコートのベルトのこなしが難しいと感じる方も多いと思いますが、心配することはないと思います。
私自身うまく決まらない日もありますが、そんなときはベルトの端をポケットに突っ込んで着ています。
ベルトが付いているからといって、絶対にベルトを結ばなくてはいけないということではないので、その辺は柔軟に考えてもよいと思います。
ベルトを結ばなくても後姿でベルトが見えていると、ベルトなしのコートとは明らかに違った印象に見えます。
この後姿の印象の違いもベルテッドコートの特徴と言えるでしょう。
グリーンとベージュのチェックが絶妙です。
ピタピタのベルテッドコートはサマになりませんので、それも注意すべきポイントです。
カジュアル感の強いコートなので、スーツスタイルには難しいと思いますが、ジャケットやカジュアルスタイルに合わせるには、とても今シーズンらしいコートだと思います。
ご興味のある方は、是非最寄の店舗でご試着してみてください。
PITTI UOMO 91 画像
今回の出張もあまり撮っていないなと思ったのですが、終わってみれば500枚弱の画像を撮っていました。
日本の展示会でも撮るので、最終的にはいつも通りの枚数になりそうな感じです。
ある意味、BEAMSのドレスクロージングチームの伝統でもあります。
業界人風にカッコつけたり偉そうにしている人を見ると、”自分が泥臭くてカッコ悪いな” と思うこともあるのですが、どんな立場になっても ”やるべきことはやらなければならない” と言うのがポリシーなので、これからも初心を忘れずに泥臭くやるのは変わらないと思います。
この業界、偉そうにふんぞり返っている人って、たいていいなくなるんです。
そういう人を多く見てきて、反面教師として今までやってきたという事もあります。
ファッション業界は軽く見られがちですが、ノリでやれるような仕事ではありません。
”日々精進” ファッションとは無縁の様な言葉ですが、少なくても私にとってはそれが日々の仕事の糧になっている事は間違いありません。
こうなったら、日本一泥臭いクリエイティブディレクター を目指そうかなと思っています。(笑)
多くの画像をお見せしたいので、今回は文章は少なく短めです。
雰囲気が伝わりやすい画像をチョイスしましたので、じっくり見て感じ取っていただければと思います。
LARDINI
打ち出したいモノやコトが明確に伝わりやすいディスプレーでした。
ブラウン系の打ち出しとコートのバリエーション そして英国柄。
やはり、これらはハズせません。
”パジーニ風クラシック回帰” という提案を感じさせるディスプレイです。
ピンホールのカラ―バーのデザインがパジーニらしいです。
エキセントリックな提案が特徴だったパジーニも、クラシック回帰はハズせないキーワードだと言うことなのだと思います。
キャメルからブラウンのカラー、挿し色のボルドー、英国柄、そしてコートのバリエーション。
今までと比べるとシックな色目が多くなりましたが、それでもタリアトーレらしさを充分に感じさせるコレクションでした。
下段 中央のグレンプレイドのコート、一見FERLA調ですが、タッチはツイード風です。
大柄のグレンプレイドのコートは、来秋冬のトレンドですが、多くのグレンプレイドのコート生地の中でも、この生地は個人的にかなり刺さりました。
ここでも挿し色にボルドー。
しかし、日本ではネップが敬遠される傾向があります。
”ゴミが着いているみたいに見える” と言われることがあるようです。
自分の世代にとっては、ネップ入りのツイードは定番中の定番だと言えますが、これも世代の違いという事なのだと思います。
英国人が英国のシャツファクトリーで米国風のボタンダウンを作って、イタリア人のように襟先のボタンを外す。
そして、ディスプレイから受けるイメージはアメリカンブリティッシュ風。
これも新しい世代のクラシックスタイルなのだと思います。
ひとつの国のスタイルに縛られないこのようなスタイルは、個人的に共感できます。
ドレスのコーディネートもレギュラーカラ―に近いカラ―を使っていました。
個人的には、ドレスはセミワイドやレギュラーが今の気分です。

先日InstaとFacebookにアップした画像。
11月のプレコレクションから始まり、PITTIからミラノのショールームまわり、そして国内の展示会と、すでに来秋冬の傾向も明確になってきています。
細かいことは色々あるのですが、ひとつ言えることは、ここ10年くらい続いたドレスクロージングのカジュアル化以前のスタイルやモノがアップデートされて提案されているということです。
それは、ドレススタイルが全盛だった頃のスタイルやモノが見直されているということです。
そして、重要なのはアップデートされているということ。
我々のようなスタイルにも時代性は必要です。
当時をリアルに経験していても、その経験が邪魔をするということもあります。
”軸はブラさず、頭は柔らかく”
相反することのように思えますが、
ミラノ ショールーム 続報

そして、ラ スコリエーラと言えば、このツブツブパスタ、魚介のフレーグラです。
食べたことがない人にはどんな味か想像できないと思いますが、日本人もイタリア人も、これを食べて美味しいと言わなかった人は今まで一人もいません。
他のブランドでも多く見られた、ピークドラペルのジャケットにタートルやモックネックを合わせるコーディネートも提案していました。
本来はシェットランドのニットで多く見られる手法ですが、ドルモアはジーロンラムのシャギードックを展開していました。
フワフワでメチャクチャ肌触りがいいですね。
シャギードックのニットは、私が入社した80年代のBEAMSの定番でもあるので、個人的には展開したいのですが、毛玉になるので一般的には難しいニットと言えます。
毛玉もアジなのですが、なかなか日本では理解されません。
プラスのお客様は毛玉を気にしないのでしょうね。
洗いざらしでプレスをかけないようなカジュアルなパンツもプリーツ入りのモデルが増えていました。

簡単に言ってしまえば、リーバイスの501のようなシルエットのファイブポケット。
シヴィリアでも同じようなモデルがありましたが、ファイブポケットに関しても徐々に脱スーパースリムの流れが来ています。
昔風に言えば、”リーバイスの505が主流だったのが、501のようなシルエットが見直されるようになった” という感じでしょうか。
おそらく、私くらいの世代からシブカジ世代くらいの方は、これでピンと来るかもしれません。
ジレは来秋冬も重要なアイテムであることは変わらないので、日本の展示会で再度チェックします。
ボルドーやグリーンだけでなく、ザノーネのイメージ自体が色モノのイメージがあまりないので、ザノーネでこのようなカラーを提案しても日本人のバイヤーにはピンとこないかもしれません。
ピタピタのノープリーツのパンツを穿いた人はまだいますが、さすがにかなり減ったなと言うのが正直な印象です。
色々な意味で、ここ数年は転換期と言えるので、その流れを懐疑的に見ている人も多いとは思いますが、以前にもお話したように、新しい流れと言っても以前流行していた流れやモノがアップデートされてリバイバルしているだけなので、私のように30年以上この業界で流れを見ていると、トレンドと言うほど大げさなものではないと思っています。
ただ、その時代を経験していない人にとっては見たこともないモノや、変わったモノに見えてしまうのは仕方がないので、それを否定する人がいるのも当然だと思います。

何故そうなったかは、それが一過性の流行でないことを本人もやっと納得したからです。
現地の業界人でもそういう人が多いのが実情です。
だから、モノを見るだけでなく、人も見て、そして人の話を聞くことが大事なのです。
PITTI UOMO 91 続報
来週の撮影よろしくお願いします。
本当に今回のPITTIやミラノのショールームでは、これらの英国調の柄が多く見られました。
ワンプリーツ、ツープリーツ、インプリーツ、サイドアジャスターと、無いものは無いというくらいのバリエーションで展開していました。
ジャージ素材のドローコード入りのカジュアルなパンツもプリーツのモデルが出るなど、プリーツモデルをメインに提案しているのは明らかでした。
それだけドレスクロージングのカジュアル化の波が収まってからの反動が大きいということなのだと思います。
この辺はさすがに今の流れを良くわかっています。
襟はワイドやボタンダウンで前立て付きというのが、イタリアのカジュアルシャツのブランドでも今後さらにスタンダードになっていくと思います。
襟腰が高くて大きく開くカッタウェイは、さすがに流れに疎いイタリア人でさえも古臭いと感じるようになっているのが実情です。
数年前に製品染めのジャージジャケットで一躍ブレークしたチルコロも、さすがに新しい提案がないと厳しくなってくるだろうなと思っていましたが、今回も期待を裏切らない新しい提案がありました。
トレンドのヘリンボーンやグレンプレドやホームスパンなどの英国柄をジャージにプリントするというのは、アウターブランドでは多く見られる手法ですが、カジュアルジャケットでこれをやるのはなかなか良いアイデアだと思います。
アルバート サーストンのスタッフ達は ”俺達は何もしていないのに、どうして急にこんなに人気が出たのだろう?” と思っているに違いありません。
それは、当時をリアルに経験していないが故にクラシックなスタイルが新鮮に感じ、そして変な先入観も無いことが、それらのスタイルやアイテムをいち早く積極的に取り入れることができている理由だと思います。
私もそうならないように注意しなければならないと常々思っています。
2016年秋冬に続き、2017年秋冬のトレンド解説動画がアップされました。
是非ご覧ください。
ミラノ ショールーム 2
ミラノ ショールーム
PITTI UOMO 91 3日目、最終日
"英国" というキーワードは色々な意味で勘違いされるケースが多いのですが、リアルな英国ということではなく、色柄や素材やディティールに英国的なテイストを積極的に取り入れていくということで、それはここ数年も同じ傾向はあったのですが、その流れが更に強まったという事なので、それほど難しく考えるものではありません。
むしろイタリアのテイストと英国のテイストをミックスするのが今の流れであると思います。