Patern on Patern
今シーズンはクラシック回帰や英国調がドレススタイルのキーワードなので、チェックのスーツやジャケット、ストライプのシャツや大柄のヴィンテージ調のタイなどがトレンドですが、柄物のコーディネートが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
私自身は以前から柄と柄を合わせるコーディネートが好きなので、特に難しいとは思っていないのですが、ビジネスでスーツやジャケットを着る場合は、ジャケットやスーツやシャツは無地しか着れないという方が多いと思うので、なかなか柄と柄を合わせるようなコーディネートがイメージしづらいというのも理解できます。
柄と柄を合わせるコーディネートは、コツをつかんでしまえばそれほど難しくないので、今回はそのコツを私の実際のコーディネートを例にご紹介したいと思います。
2016年秋冬のカタログのスーツコーディネート。
グレーのウィンドウペーンのスーツにサックス×ネイビーのストライプシャツ、ネクタイはブラウンのヴィンテージ調のジャガードタイです。
スーツ、シャツ、ネクタイを全て柄モノでコーディネートしました。
スーツはウィンドウペーンですが、グレーの同系色であまり格子柄がハッキリ目立たないので、シャツがサックスベースのワイドストライプでも馴染みます。
この場合、ネクタイの柄の大きさや間隔がシャツのストライプの幅に近いとVゾーンがうるさくなるので、柄のスペースの広い大柄のネクタイを選んだことがポイントです。
3つも柄を使うのが難しいと感じる場合は、ネクタイを無地にすると良いよ思います。
その場合、濃いネイビーの無地のタイを合わせるとVゾーンが引き締まり、まとまりやすくなります。
先日行われた、ある雑誌の座談会の時のスーツコーディネート。
ブルーグレーのグレンプレイドの3ピースにシンプルなネイビー×ホワイトのキャンディ ストライプのタブカラ―、ネクタイはグレー×ネイビーのヴィンテージ調のプリントタイを合わせました。
これも、スーツ、シャツ、ネクタイを全て柄モノでコーディネートしました。
スーツは柄物ですが、遠目には無地に見えるシャドーチェックなので、あまりスーツの柄を意識せずにコーディネートすることがポイントです。
チェックのスーツにストライプのシャツを合わせる場合は、ストライプの幅が狭い方が合せやすくなりますが、このくらいの幅がストライプが適度に主張しつつ、コーディネートがまとまりやすいので個人的に好んで使うストライプです。
かなり大柄なプリントタイですが、この場合ネクタイの柄が細かくなるとストライプの幅と近くなってしまい、逆にうるさくなってしまうので、大きな柄を選んだ方がVゾーンがまとまりやすくなります。
ネクタイの色目をスーツとシャツと同系色でまとめるのも、パターン オン パターンのコーディネートのポイントです。
Instagramにアップしたスーツコーディネート。
白×黒のグレンプレイドの3ピースに上と同じホワイト×ネイビーのキャンディ ストライプのタブカラ―、ネクタイは大柄のペイズリーのタイを合わせました。
これも、スーツ、シャツ、ネクタイを全て柄モノでコーディネートしました。
オーソドックスなグレンプレイドですが、白×黒のグレンプレイドは柄が大きくなると淡いトーンに見えるので、ライトグレーのスーツに合わせるようなイメージでコーディネートするのがポイントです。
シャツは上の画像と同じキャンディストライプですが、スーツが大柄なので、このくらいの幅のストライプであれば難しくありません。
この場合、シャツのストライプの幅はもう少し太いモノを合わせてもいいですが、その場合ネクタイの柄のチョイスが難しくなります。
ネクタイは大柄のペイズリーですが、ペイズリーの柄がチェックの柄の大きさより若干小さいことと、ネイビー×グレーの2トーンなので、スーツとシャツと同じトーンで馴染んでいることでVゾーンがまとまりやすくなります。
ネクタイの柄がこれ以上大きくなったり、多色使いになると難易度が増すので注意が必要です。
MEN’S EX 12月号 BEAMS EXPRESSのスーツコーディネート。
スーツはネイビーのウィンドウペーンに見えますが、ベースはグレンプレイド、シャツはネイビー×サックスの幅広のカラーストライプに無地のタイを合わせました。
このスーツはベースはグレンプレイドですが、遠目には無地に見えるシャドーチェックなので、このくらい幅広のストライプを合わせてもしつこくはなりません。
柄物のネクタイを合わせることもできますが、ウィンドウペーンがかなり大きく目立つことと、シャツが幅広のカラーストライプで見た目のインパクトがあるので、この場合は引き算でネクタイを無地にした方がコーディネートがまとまりやすくなります。
このように、柄のスーツとシャツを合わせる場合、無地のネクタイをうまく使うとコーディネートの難易度が下がります。
Instagramにアップしたジャケットコーディネート。
ベージュにブラウンのウィンドウペーンのジャケットに同じトーンの千鳥格子のツイードのジレ、シャツはホワイトのオックスフォードのラウンドカラ―にペイズリーのニットタイを合わせました。
ジャケットとジレの合わせは柄×柄であっても大きさが全く違うのと、柄の色が同じトーンなのがポイントです。
この場合、シャンブレーやデニムのシャツを選ぶ方も多いと思いますが、色数を絞って白いシャツを選んだ方がVソーンがまとまりやすくなります。
ネクタイは大柄のペーズリーですが、ジレの柄よりかなり大きく、ウインドウペーンの大きさより小さいのでまとまりがいいです。
3つの柄を合わせていますが、それぞれの柄の大きさが違うのと、ブラウンとベージュとホワイトという、同じトーンでまとめているのがポイントです。
因みに、パンツはベージュと相性の良いライトグレーのフランネルを合わせています。
このように、柄を多く使うコーディネートは色数をなるべく絞って全体のトーンをまとめるとコーディネートしやすくなります。
MEN’S EX 12月号 BEAMS EXPRESS のジャケットコーディネート。
ブルーのウィンドウペーンのジャケットに小さなギンガムチェックのタブカラ―、ネクタイはウールのペイズリータイを合わせました。
ジャケットとシャツはチェック オン チェックですが、細かいギンガムチェックなので無地のブルーのシャツを合わせる感覚でコーディネートできます。
この場合もシャンブレーやデニムのシャツを合わせる方も多いと思いますが、細かい柄のシャツを合わせた方がVゾーンが引き立ちます。
ギンガムチェックのシャツのかわりにグラフチェックや千鳥格子のシャツを合わせてもよいと思います。
柄を3つ合わせていますが、シャツは柄モノであっても無地感覚なので、ウィンドウペーンのジャケットにペイズリーのタイを合わせる感覚でコーディネートすれば難しいことはありません。
このコーディネートもあまり色を使わず同系色でまとめているのがポイントです。
色数が多くなれば難易度の上がるコーディネートだと思います。
今回ご紹介したポイントは、柄モノであっても遠目で無地に見えるものは柄を意識せづにコーディネートを考えるのがポイントです。
そして、シャツもオーソドックスな5mm幅以下のストライプや小柄のチェックを合わせるのがポイントです。
ネクタイは柄のシャツと合わせる場合は、ストライプの幅やチェックの大きさより大柄のモノを選んで、スーツやジャケットの柄とのバランスを取ればうまくまとまります。
柄のネクタイが難しい場合は、ジャケットやスーツとシャツの2柄だけ柄物にして、無地のタイを合わせれば良いと思います。
このように、パターン オン パターンのコーディネートをする場合は、基本的なコツを掴んでしまえばそれほど難しいことはありません。
それでもパターン オン パターンのコーディネートが難しいと思う方は、柄を二つ取り入れることから始めるのが良いと思います。
今シーズンであれば、ストライプのシャツや柄の大きいヴィンテージテイストのネクタイをワードローブに加えて、手持ちのジャケットやスーツに合わせるだけでコーディネートの幅が広がると思います。
あまりブログでコーディネート解説をしてきませんでしたが、これから少しづつ回数を増やしていこうかなと思っています。
皆さんのコーディネートのヒントになれば幸いです。
MEN’S EX 連載 12月号
MEN’S EX 12月号 が発売されました。
私の連載 ”中村達也の今、買いのアイテム”
今回のテーマは ”コーデュロイ アイテム” です。
ここ数シーズン、ヘリテージやヴィンテージといったキーワードがトレンドとなる中で、ツイードやコーデュロイといった英国の伝統的な素材が注目されるようになっています。
中でもコーデュロイは、素朴で懐かしいイメージが今の流れにあっているので、今シーズン特に注目される素材と言えます。
今シーズンのバイイングを行った、1月のPITTI UOMOやミラノショールームでも、多くのサプライヤーがコーデュロイを使ったアイテムを打ち出していました。
ご覧のように、ジャケットやパンツが中心で、今シーズンはコートにもコーデュロイが使われています。
画像を見てもわかるとおり、今シーズンのコーディネートは中畝から太畝が中心です。
今シーズン、コーデュロイがトレンドとなっている背景には、この素材の持つ ”野暮ったさ” みたいなものが注目されるているからだと言えます。
それは、何度かこのブログでも触れていますが、”艶感のありすぎるイタリアンスタイル” が逆に古臭くなってきていることにも関連していると言えます。
このような流れもあり、細畝よりは畝がハッキリした中畝や太畝のコーデュロイが今シーズンは注目されています。
そして、今シーズン中畝や太畝以外にも注目されているコーデュロイがあります。
それは、上の画像のように異なった二つの畝を組み合わせた ”親子コーデュロイ” と言われるもの。
BEAMSでも今シーズン、ジャケット、ジレ、パンツで、この親子コーデュロイを展開していますが、多くのサプライヤーが親子コーデュロイを使ったアイテムを打ち出しているので、今シーズンの旬なコーデュロイとも言えます。
コーディネートする際の注意点は、ヘリテージ感のある素材やアイテムどうしでコーディネートすると懐古主義的で古臭いコーディネートになりがちになるので、素材や色やアイテムのチョイスがポイントになります。
コーディネートのポイントは197ページで解説していますので、是非こちらをご覧ください。
コーデュロイはクラシックでベーシックな素材なので、これまでも幾度となくトレンド素材として注目されてきましたが、中畝や太畝が中心となるのは久しぶりです。
私自身、太い畝は今シーズンらしくさが最も感じられるので個人的にも注目していましたが、正直売れるのは中畝だと思っていました。
しかし、最も早いうちに予約で完売したのがこのコーデュロイのコートでした。
TAGLIATORE のダブルブレストのラグランコート。
太畝どころか極太の畝のコーデュロイです。
オーダーする際に、”このコーデュロイは絶対にオーダーすべき生地” という思い入れがあったのですが、まさかこの極太のコーデュロイのコートがこんなに人気が出るとは思いもよらず、嬉しい誤算でした。
ご購入いただいた皆様、ありがとうございました。
そして、ご購入できなかった皆様、申し訳ありませんでした。
これを大量発注する勇気がありませんでした。
それでもかなり頑張って発注したのですが・・・
12月号は連載以外にも 特集ページ、”失敗しないコート選びの大基本” にもご協力させていただいています。
そして、お待たせしました。
毎シーズン恒例の ”BEAMS EXPRESS” は、8ページにわたり掲載しています。
連載と合わせて、是非こちらもご覧ください。
デニムのラウンドカラ―
このところ急に寒くなってきました。
厚手のジャケットやウールのパンツが穿けるようになると、コーディネートのバリエーションも広がるので洋服を着るのが楽しくなりますね。
さらにタートルネックが着られるようになるとジャケットだけでなくスーツコーディネートのバリエーションも広がるので、毎日のコーディネートを決めるのも楽になります。
少し前に夏日が続いたあたりは着るものが限られて本当に困っていました。
毎シーズン思うのですが、シーズンの変わり目はあいもの的なスーツやジャケットやパンツやアウターを持っていると重宝するのと、意外とそういったアイテムが一年のうちで最も長く着られるものだという事です。
なので、最近は春夏も秋冬も3シーズン着ることを考えて購入するものも増えています。
7月に購入した ”BORZONELLLA” のデニムのラウンドカラ―。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/shirt/24111264395/
結構しっかりとしたデニムなので、夏場は暑くて着れませんでしたが、秋口に入って大活躍してます。
襟型がラウンドカラ―になるだけでデニムシャツも随分印象が変わるので、最近カジュアルシャツの中ではこのシャツの出番が多いです。
7月に入荷してすぐに完売したので、早めに購入しておいて良かったです。
因みに、今週やっと追加分が入荷してきました。
たくさんご予約をいただきましたが、今は店頭分も若干ありますので、ご興味のある方は是非最寄りの店舗でご試着してみてください。
そして、先週このシャツを購入しました。
”BORZONELLA” のホワイトデニムのラウンドカラ―。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/shirt/24111265395/
ミラノのショールームでこの生地を見た時に、すぐにオーダーすることを決めたシャツです。
ホワイトデニムはウェスタンシャツやワークシャツには良く見られますが、これをラウンドカラ―にのせたのがポイントです。
柔らかい雰囲気のラウンドカラ―にカジュアル感の強いホワイトデニムをのせるのはBEAMSならではの発想です。
ブルーデニムもかなり気に入っていますが、このホワイトデニムはさらに気に入っています。
今週袖丈の直しが上がってきたので、早速ジャケットに合わせて着ました。
上の画像も下の画像も、昨年購入したBRILLAのオリジナルのFERLAの生地を使ったシルク混のジャケットです。
因みに、上のジャケットは春夏に購入したサマーツイードですが、シルクが83%なので今の季節に着るのに丁度いいです。
サマーツイードは生地が厚いので着る時期が短いという声も聞きますが、秋口や春先に着られるので、実際は結構長く着ることのできるジャケットです。
”サマーツイード” という呼び名が ”夏しか着ないモノ” と思われてしまう要因かもしれません。
最近は ”ウインターリネン” という、リネンをミックスした軽いツイードもイタリアの生地ブランドから打ち出されているので、世界的なマーケットではシーズンレスな生地が増えている傾向にあります。
この二つのジャケットにホワイトデニムのシャツを合わせたのは理由があります。
どちらもシルクの混率が高いので、生地にかなり艶があります。
その艶っぽさを中和させるために、このホワイトデニムのラウンドカラ―を洗いざらしのまま合わせました。
ブルーのデニムでも良いのですが、ジャケットがベージュとブラウンなので、今シーズンはホワイトのシャツを合わせる方が気分です。
そして、もうひとつのポイントは、二つのジャケットに合わせているスエードのジレ。
EMMETI のスエードジレ。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24060138309/
昨年も早期に完売した人気のジレですが、今シーズンも既に在庫が少ない状況です。
私は昨年購入しましたが、色々なコーディネートに使えるのでかなり重宝しています。
スエードのジレを合わせたのも、やはりジャケットの艶っぽさを中和させるためです。
何度かこのブログでも書いていますが、あまりにも艶っぽいイタリアンテイストは今の流れではないので、艶感を感じさせるアイテムには適度に艶感を中和させるアイテムを挿すことが今シーズンのコーディネートのポイントです。
そういった意味でも、シルクの艶感の強いこれらのジャケットを今シーズンらしくコーディネートするには、ホワイトデニムのラウンドカラ―やスエードのベストはとても役に立つアイテムです。
結局今回も ”買い足しコーディネート” という事です。(笑)
因みに、このカジュアルなラウンドカラ―、来春夏は多くのブランドが展開しています。
ご覧のように、PITTIの会場やミラノのショールームでも、カジュアルなラウンドカラ―をかなり見かけました。
無地だけではなく、柄モノが増えているの来春夏の傾向です。
ドレスシャツのラウンドカラ―が広まり、それがカジュアルシャツにも広がり、更にバリエーションが増えたという流れですね。
ラウンドカラ―がイタリアでもクラシックな襟型として、一般的に認知されてきているのは間違いないです。
このシャツ、カジュアルコーディネートにも幅広く使えるのでお勧めのシャツなのですが、かなり人気があり、今日現在で全店舗で8枚しか在庫がありません・・・
お勧めしておいて申し訳ありません。
追加オーダーをするかもしれないので、その際はお知らせいたします。
今すぐ欲しいという方は、最寄りの店舗にすぐに在庫の確認をお願いします。
こんな旬なシャツ、もっとオーダーしないとだめですね。
週明けバイヤーとMDを厳しく指導します。
見極めがあまいと・・・
ダブルブレストのジレ。
最近やっと少しづつ秋冬物を購入しています。
私はジャケットやスーツやコートなどの大物は、ある程度購入するものやオーダーするものを決めておいて、あとは既に持っているものとコーディネートできるものを買い足しながらバリエーションを広げていくのが買い物のパターンです。
今シーズンであれば、プリーツ入りのパンツやラウンドカラ―やタブカラ―やボタンダウンのシャツなどがそれにあたります。
どれも今まで持っているものと合わせるだけで今シーズンらしい雰囲気になるので、私にとっては費用対効果が高いアイテムと言えます。
ジレもそのようなアイテムの中のひとつです。
クラシック回帰の流れから数年前からジレが注目されていますが、ジャケットのインナーにジレを合わせるだけでコーディネートの印象が変わるので、私自身毎シーズン様々なジレを買い足しています。
そして、今シーズンまず購入したのがこのジレです。
”BEVILACQUA” のダブルブレストのジレ。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24060205248/
ヴィンテージ調のツイードの生地は、このブランドらしい素材使いです。
色も明るめのインディゴブルーというのも刺さりました。
ブルー系のジャケットを多く持つ私にとって、この色のダブルブレストのジレは今シーズン必ず買うべきアイテムでした。
そして、最近はジャケットだけでなく、ニットやアウターにもジレを合わせることが多いので、このジレも着回しが利きそうなところも購入に至ったポイントです。
因みに、今シーズンのカタログでもこのジレをショールカラーのガウンタイプのニットと合わせています。
ニットは昨年展開していた DREW & CO のもので、パンツも昨年購入したGTAの2プリーツです。
シャツは今シーズン購入した BORZONELLA のデニムのラウンドカラ-なので、まさに昨年購入したものに買い足したものを合わせて今シーズンらしいコーディネートに仕上げました。
そして、次のページでは西口がニットとBARBOUR にジレを合わせています。
このように、ジレはジャケットのインナーだけでなく、ニットやアウターにも合わせて着られるので、とても汎用性があって使い勝手の良いアイテムだと言えます。
因みに、このべヴィラクアのダブルブレストのジレ、昨年はこれが欲しかったのですが、買いそびれました。
一瞬で完売してしまったので、今回のブルーのツイードは早めに押さえました。
ダブルブレストのジレを着たことのない方はコーディネートが難しいと考えている方の多いと思いますが、実際に着てみると意外と簡単で、カジュアルなコーディネートにも合わせやすいと感じると思います。
また、ダブルブレストのジレを一過性のトレンドだと考えて敬遠されている方もいるようですが、3年前くらいから少しづつ着用する人を見かけるようになり、今やほとんどのサプライヤーが展開しているのを見ても、一過性のトレンドでないことは明確です。
今の流れを見ても、昨今のジレブームが終焉しない限り、ダブルブレストのジレが着れなくなることは無いでしょう。
という事で、BEAMSでも今シーズンは昨年にも増してダブルブレストのジレのバリエーションが豊富です。
BEVILACQUA キャメルカラ―のジャガード。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24060204248/
BEVILACQUA コーデュロイ ベージュ。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24060206248/
BEVILACQUA コーデュロイ オリーブ。
TAGLIATORE ハウンドトゥース。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24060194248/
TAGLIATORE ネイビー×ブラウン ジャガード。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24060191248/
TAGLIATORE ネイビー ジャガード。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24060193248/
TAGLIATORE ネイビー ツイル。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24060192248/
布帛のタイプがどうしても難しいと思われる方にはこれがお勧めです。
昨年シングルのタイプが好評だった、GRANSASSO のニットのダブルブレスト ジレです。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24050040343/
フロントの編みがミラノリブで6ボタンなので、布帛のタイプに比べると見た目の印象もマイルドで取り入れやすいと思います。
ご覧のとおり、かなりのバリエーションがあるので、ご興味のある方は是非最寄の店舗でご試着してみてください。
そして、買ったものはすぐに着たい私。
前回のブログでご紹介した BORZONELLA のオックスフォードBDと合わせて早速着ました。
火曜日にFacebookにアップした画像ですが、気温25度超えの夏日にツイードのダブルブレストはさすがに厳しかったです。
おまけにこの上にはジャケットを羽織って・・・
洋服屋なので、やせ我慢も必要です。(笑)
OXFORD BD
今でこそワイドカラ―をタイドアップでもノータイでも着るスタイルが一般的になりましたが、私より上の世代はアイビーの洗礼をうけ、下の世代はアメカジや渋カジの洗礼を受けた世代なので、ボタンダウンが最も馴染があるシャツと言う人が多いのではないでしょうか。
私もファッションに目覚めた中学生の頃、比較的校則が緩かったので、学生服の下は白かブルーのオックスフォードのボタンダウンシャツ、夏場も半袖の白かブルーのオックスフードのボタンダウンシャツが半制服のようなものでした。
高校に入ると2年生の時に、それまでは制服として認められていたボタンダウンのシャツが何故か禁止に。
ボタンダウンは禁止なのに、何故か当時ヤンキーの不良が着ていた開襟シャツは問題ないという事になり、品行方正なボタンダウンが校則違反で不良が着ている開襟シャツが推奨されるという事態に。
当時は校則を決める教師のセンスの無さを嘆いたモノでした。
わが母校、今でもボタンダウンは校則違反なのか?
ちょっと気になるところです。
その後、学生時代はアメリカ製のシャンブレーやヒッコリーストライプやネルのチェックといったワークテイストのシャツが流行ったり、セントジェームスのボーダーTが流行ったりして、ボタンダウンを着ない時期もあったのですが、卒業後BEAMSに入社すると、当時BEAMSが注目していたフレンチアイビーにはまり、再びボタンダウンのシャツを着ることが多くなりました。
入社当時先輩たちがよく着ていたのは、BROOKS BROTHERS や IKE BEHAR のボタンダウン。
ブルックス ブラザースはご存じのとおり、ボタンダウンの代名詞的なブランドなのでビームスのスタッフの中でもマストアイテムでしたが、アイクべーハーはRALPH LOUREN のボタンダウンがまだアメリカ製だった頃のファクトリーとしてBEAMSのスタッフの中では ”持っていなくてはならないブランド ” でした。
私がBEAMS Fのバイヤーになった後も、ボタンダウンのシャツは色々なブランドで展開していました。
アメリカのブランドではIKE BEHAR、TROY SHIRTS MAKERS、GITMAN BROTHERS など。
英国ブランドでは、STEPHENS BROTHERS、JERMYN STREET SHIRTS MAKERS など。
当時は英国調の流れで既にワイドスプレッドのシャツが人気でしたが、並行してボタンダウンのシャツもまだまだ人気がありました。
因みに、当時巷ではアメリカの ”SERO” や、”B.D BAGIES”のボタンダウンなども多くのショップで売られていました。
90年代中以降、イタリアンクラシックのブームが来ると、LUIGI BORELLIやGUYROVER などのイタリアのシャツメーカーが打ち出していた襟の開きの大きいイタリアン テイストのボタンダウンが増え、人気を博すのですが、ドレス傾向が強くなるとワイド系の襟のバリエーションが増え、日本人もヨーロッパの人達のようにワイド系のシャツをタイドアップだけでなくノータイで着るスタイルが広がり、徐々にボタンダウンは影が薄い存在となりました。
つまり、艶のあるイタリアンテイスト全盛の頃は、ボタンダウンは洋服好きの人達には注目されない不遇の時代だったと言えるのではないでしょうか。
また、数年前に流れとは全く別なところでボタンダウンが注目された時期がありました。
それは、クールビズが一般的に広がると、ボタンダウンは夏場のクールビズ用のシャツとして百貨店を中心に打ち出され、”ノータイならば取りあえずボタンダウンを着ていれば安心” と言うような気運が一般的に広がったのも記憶に新しいところです。
そして、ここ数年流れに敏感な人たちの間で再びボタンダウンのシャツが注目されるようになりました。
背景には、艶のあるステレオタイプのイタリアンスタイルに変わり、英国や米国のテイストをコーディネートに入れることが流れに敏感な人たちの間で広がってきたことによります。
その流れの中で、アメリカを象徴する襟型であるボタンダウンが再び注目され、様々なブランドがボタンダウンを展開するようになっています。
BEAMSでも今シーズン様々なブランドでボタンダウンを展開していますが、個人的に最も気に入っているのがこのシャツです。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/shirt/24111201395/
これは、ミラノでオーダーした時からかなり刺さっていました。
特徴は襟型とステッチ。
アメリカのボタンダウンンを彷彿させる絶妙な襟。
長すぎる襟はイタリアっぽくなり、短すぎれば子供っぽいイメージになります。
襟の長さや開きやロール感は、今のボタンダウンを表現するには重要なポイントです。
そして、襟や前立てに施されたダブルステッチも、古き良き時代のアメリカのボタンダウンを彷彿させるところが刺さりました。
因みに、イタリアでも人気のGITMAN VINTAGE のボタンダウンも、このダブルステッチです。http://www.beams.co.jp/item/fennica/shirt/66110546369/
BEAMSではインターナショナル ギャラリーで展開していますが、サイズがSからなので、私の着られるサイズが無いのが残念です。
生地もイタリア的な柔らかいオックスフォードではなく、ドライでしっかりとしたタッチの生地なのがポイントです。
今は無きアメリカのシャツ生地メーカー ”DAN RIVER(ダンリバー)”のオックスフォードを洗いこんでいったような風合いも刺さりました。
洗いがかかっていてカジュアルなテイストのシャツですが、カジュアルだけではなく、ジャケットにも合わせようと思っています。
ツィーディーな素材や昨年購入したブークレのジャケットなど、素材感のあるジャケットには相性が良いので、ノータイだけでなくニットタイやウールのタイなど、スポーティーな素材のネクタイを合わせようと思っています。
プレスはかけずに敢えて洗いざらしのままで、襟先のボタンは外して着ようと思っています。
襟先のボタンを外して着るのは、元々イタリア人の ”ハズシ技” 的ななテクニックですが、ボタンダウンの品行方正で真面目なイメージを消すには、このテクニックは有効だと思います。
ですので、私がボタンダウンを選ぶ際のポイントは、ノータイでもタイドアップでも襟のボタンを外した時の見え方を重視しています。
因みに、この襟先のボタンを外すテクニック、既にウチのイケメン ディレクターが実践しています。
洗いざらしのボタンダウンの襟先のボタンを外してニットタイやウールタイを合わす。
まさに、こんなイメージですね。
応用編ではこんなテクニックもあります。
ボタンダウンの襟先のボタンを外してタイバーというこなし。
80年代には色々なファッション誌でハズシ技的なテクニックとして紹介されていましたが、その時代を経験していない西口がやっているというのがポイントですね。
ウチのイケメン、なかなかやります。(笑)
因みに、当時は雑誌POPOEYEでラコステのポロシャツにニットタイをして襟をカラ―バーの代わりに安全ピンでとめるというテクニックも紹介されていました。
今シーズン絶対に購入しようと思っていたシャツなので早速購入しました。
袖丈も直して水通しをして既にスタンバイ状態。
久しぶりのオックスフォードのボタンダウン。
今また新鮮です。
皆さんにもお勧めしたいシャツです。
是非最寄りの店舗でご試着してみてください。
前回のブログで紹介した HOLLIDAY & BROWN のヴィンテージ調のネクタイ。
http://www.beams.co.jp/item/beams_f/suit/21444319380/
今シーズン私が最も気に入っているネクタイですが、入荷後二週間で完売。
追加オーダーすることになりました。
次回入荷は11月中頃になります。
本数に限りがありますが、詳しくは最寄りの店舗にお尋ねください。
グレーのスーツにもネイビーのスーツにも合うこのネクタイ。
来年の春夏の流れを考えても、今シーズン押さえておきたいネクタイです。
本数に限りがありますので、ご興味のある方は最寄りの店舗にお問い合わせください。
MEN’S EX 連載 11月号
MEN’S EX 11月号が発売されました。
今回の表紙は中井貴一さん。
スーツはISAIAの3ピース。
襟付きのダブルのベストが付いた3ピースは今シーズンのトレンドでもある ”サルトリア テイスト”のスーツです。
ISAIAと言えばこの方、ISAIA JAPANのCEOの藤枝大嗣 さん。
表紙で中井貴一さんがISAIAを着ているのを見てふと気が付いたのですが、
藤枝さん、なんとなく中井貴一さんに似ていませんか?
そう思うのは私だけでしょうか・・・
私の連載、”中村達也の今、買いのアイテム”
今回のテーマは ”グレー×カラ―の柄ジャケット” です。
今シーズンはグレーがトレンドカラーなので、色々なアイテムでグレーを使ったものが増えています。
グレー×ブラックのようなモノトーン柄が多いのも今シーズンの傾向ですが、モノトーンだけではなく、グレーに色々な色を組み合わせた柄が出てきているのも今シーズンの傾向です。
今シーズンのバイイングを行った1月のPITTIやミラノのショールームでも、グレー×カラ-のジャケットが打ち出されていました。
ご覧のように、グレー×ブルーやグレー×ブラウンの柄のジャケットを多くのサプラーヤーが展開していました。
会場内でもグレー×カラ-のジャケットを着た人が増えていました。
サプラーヤーの打ち出しと同じく、グレー×ブルーやグレー×ブラウンのジャケットを着た人が多かったです。
グレー×カラ-の柄が今シーズンの傾向であることは、ジャケットだけではなく、他のアイテムを見ても明確です。
ご覧のように、様々なアイテムでグレー×カラ―の柄が増えているのを見ても、その流れは明確です。
BEAMSでも今シーズンはグレー×カラ―のジャケットを打ち出しているので、かなりのバリエーションで展開しています。
グレー×ベージュ LARDINI
ベージュのカラ―が今シーズンのトレンドカラーであるキャメルに近いベージュと言うのがこの柄のポイントです。
グレーとベージュやキャメルは相性にいいカラ―なので、上品に見えるチェックです。
グレー×ブルー STILE LATINO
今シーズンのスティレラティーノ中で個人的にもお勧めの柄です。
発色の良いブルーのトーンが絶妙です。
グレー×ブラウン ERNESTO
多くのバリエーションの中でも個人的に特に気に入っているのが、このエルネストのグレー×ブラウンのブロックチェック。
BEAMSが独自にチョイスしたFERLAの生地を使っているので、他店では手に入らないエクスクルーシブのエルネストです。
グレー×ブラウン T-JACKET
画像では分かりにくいですが、よく見るとチャコールグレー×ブラウンの大柄の千鳥格子です。
おそらく、エクスクルーシブの柄だと思いますが、T-JACKETはクラシックな柄をアレンジするのがとても上手いです。
シャドーチェックなので大柄でも着やすいチェックです。
グレー×ネイビー BRILLA PER IL GUSTO
画像では少しグリーンがかって見えますが、グレーとネイビーのブロックチェックです。
FERLA の生地なので、素材感も発色もいいです。
コントラストもあまりついていないので、ネイビージャケットと同じ感覚で着れる柄です。
派手な柄でなければ、仕事でもチェックのジャケットが着られるという方にもお勧めしたいジャケットです。
グレー×ブルー BRILLA PER IL GUSTO
ブルーのウィンドウペンが映えるチェックです。
CANONICOのVINTAGE というコレクションの生地ですが、今シーズン多くのサプライヤーがこの生地をコレクションに入れているので、おそらくCANONICOのジャケットの中でも今シーズンのベストセラーに入る柄ではないかと思います。
グレー×ネイビー BEAMS F
このジャケットは、今シーズンのカタログでBEAMS Fのディレクター西口が着ているジャケットです。
こんな感じでブルーのトーンでまとめたコーディネートは私も好きです。
今シーズンのBEAMS Fのオリジナルの中で個人的にもお勧めの柄です。
グレー×ネイビー BEAMS F
この生地もFERLAです。
落ち着いたトーンのグレンプレイドですが、FERLAの生地は素材がいいので柄が引き立ちます。
この生地は、たしかスティレ ラティーノのコレクションにも入っていたと思います。
これ以外にもまだあるのですが、画像が多くなってしまうので代表的なものをご紹介しました。
代表的なものと言っても結構なバリエーションがあります。
流れが明確な時はチマチマやっても仕方ないので、しっかりバリエーションを揃えて展開するのがBEAMSのアイデンティティーです。
このグレー×カラ―のジャケット、今シーズンのトレンドの柄ですが、基本的には2トーンが多く、グレーとブルーやブラウンとのコンビネーションが多いので、今シーズン購入しても長く着られるのもお勧めのポイントです。
もちろん、数年後に急にカラフルなカラ―のジャケットがトレンドになればまた別の話ですが、来春夏の流れを見てもそれはなさそうです。
多色使いではないので、カジュアルでもタイドアップでもコーディネートしやすいのがこのジャケットの良いところ。
シックにまとめるときは上の西口のようなワントーンでまとめるのも良いですし、コントラストをつけてジャケットの柄を引き立たせたいときは、ホワイトパンツやライトグレーのパンツを合わせると良いと思います。
私はシーズンの初めは、まずこれを着ようと思っています。
昨年購入したT-JACKETのグレー×ネイビーの千鳥格子。
これは買っておいて正解でした。
着回しがすごくきくので、今シーズンも大活躍しそうです。
あとは、ERNESTOのグレー×ブラウンのブロックチェック。
問題は懐具合・・・
悩みは皆さんと同じです。
グレー×ネイビーと言えば、このネクタイ。
HOLLIDAY & BROWN のヴィンテージ調のプリントタイ。
個人的にも流れ的にも今シーズン外せないタイでした。
9月の中くらいに入荷してそこそこ売れていたのですが、
先日INSTAGRAMでVゾーンをアップしたら完売してしまいました。
かなりお勧めのタイなので追加もしたいのですが、今から追加をしても11月末くらいになってしまうので微妙なタイミングです。
ヴィンテージ調のタイが苦手だというお客様がまだまだ多いと聞いているので、かなりヴィンテージ感が強いこのタイはちょっと難しいかなとも思ったのですが、結果的にオーダー数がちょっと弱気でした。
すみません。
追加をする場合はご報告します。
本当にカッコいいタイです。
タートルネック
昨年の秋冬も大人気だったタートルネック。
もともとイタリアでタートルネックはDOLCE VITA(ドルチェ ヴィータ)と言われ、昔から定番アイテムとしてとても人気があるニットです。
ここ数十年の流れを振り返っても、流行り廃りはあるものの、一定の期間でタートルネックの流行っていることを考えても、イタリアのクラシックスタイルには欠かせない定番アイテムであることは間違いありません。
ここ数年の流れを見ると、4~5年前にローゲージのタートルネックが流行って以来、毎シーズン微妙に変化しながらタートルネックの人気が継続していることは確かです。
今シーズンは特にスーツにタートルネックというスタイルが増えています。
PITTIの会場でもクラシックなスーツにタートルネックを合わせたスタイルが増えていました。
このように、スーツと同系色のタートルを合わせワントーンんでまとめるコーディネートが特に多く見られました。
シンプルなコーディネートですが、凛々しさもありながらリラックス感を感じさせるコーディネートで、個人的にも好きなスタイルです。
以前から多かった、こんな色使いのコーディネート。
同系色でまとめるのではなく、ストライプや柄の色を拾うなどして、2トーンでまとめるコーディネート。
以前からイタリアではよく見られるコーディネートですが、今となっては少しシニアっぽく見えるという感じは否めません。
個人的にもスーツにタートルを合わせる場合は、ワントーンでまとめるコーディネートがお勧めです。
上の画像では無地やストライプのスーツにタートルを合わせていますが、個人的にはウィンドウペンやグレンプレイドやハウンドトゥース等のチェック系のスーツにタートルネックを合わせるのが今シーズンのお勧めです。
スーツにタートルを合わせる場合は、タッセルスリッポンを合わせている人が多いです。
それ以外ではダブルモンクやモンクストラップなども良いと思います。
オックスフォードの靴を合わせる場合は、外羽根の方が雰囲気が合うと思います。
同じスーツでもタイドアップした時とは印象が変わるので、合わせる靴のチョイスには注意が必要です。
ジャケットにタートルはイタリア人にとっては永遠の定番コーディネートです。
スーツと同様にジャケットと同じトーンのタートルを合わすコーディネートが多く見られました。
このように、ジャケットと同系色のタートルを合わせるコーディネートが多くなっています。
傾向的にもあまり多くの色を使わないのが今の流れなので、ジャケットの場合は上半身をワントーンでまとめ、パンツでコントラストを付けて全身で2トーンになるようなコーディネートが多くなっています。
コントラストをつける場合はこんな感じです。
ライトグレーとキャメルとオフホワイトと3つの色を使っていますが、それぞれの色の相性が良いので上品にまとまっています。
多色づかいの場合は、こんな色づかいが今シーズンらしいと思います。
このような、ニットジャケットにタートルを合わせたニット オン ニットのコーディネートも多く見られるのも今シーズンの傾向です。
ジャケットがグレイッシュなチェックですが、チェックの中にあるグリーンの色を拾ってタートルをグリーンにすることで全体のトーンにメリハリをつけています。
グレーのタートルを合わせていたら全体がボヤけた感じに見えて大失敗ですね。
グリーンのトーンがコーディネートを英国調に見せる効果もあります。
コントラストを付けると言ってもこの程度で、カラフルな色を積極的に使うようなコーディネートはイタリアでもあまり見かけなくなりました。
ホワイト系のタートルも結構見られました。
上段の画像のように、ホワイトの分量を多く使うコーディネートも多く見られました。
トレンドのキャメルカラ-やミディアムやライトグレーとの相性も良いので、必然的にホワイト系のタートルが増えるのも理解できます。
イタリアの定番スタイルとも言えるタートルの下にシャツを着て襟を出すスタイルも相変わらず多く見られます。
このように、襟出しスタイルは数年前からイタリアでは定番となっているので、まだまだ多く見られるスタイルですが、今シーズンはシャツ無しでシンプルに着た方がいいかなというのが正直な印象です。
今シーズンのタートルは、ハイゲージからミドルゲージが主流です。
スーツやジャケットやニットのインナーに合わせるコーディネートが増えているので、必然的にインナーに着られるハイゲージやミドルゲージのタートルが増えています。
ローゲージはアウターやコートに合わせると良いですが、それもミドルゲージに移行している感じなので、ローゲージのタートルは少なくなっている印象です。
私がタートルネックを選ぶ時のポイントは、襟を折り曲げた時のリブの長さとフィット感を重視しています。
短すぎても貧相に見えますが、長すぎると首元が窮屈に見えます。
フィット感もリブがタイトだと窮屈に感じますが、緩いとリブがダレる感じになります。
ですので、ブランドで選ぶのではなく、実際に着てみてネックのリブがしっくりくるものを選ぶようにしています。
色々なブランドを着てみて、ベーシックなハイゲージのタートルはJOHNSMEDLEY、ミディアムゲージはGRANSASSOが一番しっくりくるので、結果的にそれらのブランドのタートルを選ぶことが多くなっています。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/tops/21150244337/
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24150144343/
タートルネックが苦手で着たことがないという方も結構多いようです。
そのような方の中には、似合わないと思い込んでいる人が多いのも事実。
実は、私もずっと似合わないと思い込んでいて、タートルネックを着るようになったのは5~6年前から。
首が長いので似合わないと思い込んでいたのですが、着てみるとシャツのボタンを開けて着た時の方が首が長く見えることに気づき、それ以来冬場はタートルがマストアイテムになりました。
要は、首が長くても短くても折り返した時のリブの長さを注意すれば、タートルが似合わない人はいないのではないかというのが私の持論です。
と言うことで、タートルを着たことがないという方は、今シーズン是非チャレンジしてみてください。
そして、既にお持ちの方は合わせるジャケットやニットやスーツなどに合わせて色を増やすとコーディネートの幅も広がると思います。
私もベーシックカラーはほとんど持っているので、今シーズンはエクリュ系のカラ―とキャメル系のカラ―を買い足そうと思っています。
BEAMS Fのイタリア製のオリジナルも良くできているので、コレも候補に入れながらこれから検討しようと思っています。
エクストラ ファイン メリノのハイゲージ。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/tops/21150248872/
メリノウールにカシミアをミックスしたミドルゲージ。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/tops/21150249872/
バリエーションを増やすにはプライスが手ごろなのも助かります。
タートルネックはボディーのサイズだけでなく、ネックの肌触り感も重要なポイントなので、他のニットとは選ぶ基準も少し変わってくると思います。
ブランドで選ぶのではなく、とにかく実際に着てみてご自身がしっくりくるものを選ぶことが重要です。
しっくりくれば〇二〇ロでもいいのか? と言われれば否定はできませんが・・・
できればBEAMSで購入していただけると嬉しいです。(笑)
定番のバリエーションはどこよりも多いと思います。
店舗からは多すぎると言われていますが・・・
PITTI SNAP by BEAMS 2016AW アウター コート編
今回はPITTI SNAP by BEAMS 2016AW 第3弾。
アウターとコートのスナップです。
今シーズンは少し緩くなったシルエットや着丈の変化、そしてラグランスリーブのバリエーションなど、コートに関しても新しい流れや変化が見られます。
スナップを紹介しながら今シーズンの流れと着こなしのポイントを解説しました。
かなり長いですが、じっくり読んでいただければ嬉しいです。
チェックのベルテッドのコートは、ラグランスリーブのバルカラーにも見えますが、よく見るとフロントがダブルブレストになっています。
彼はローマのサルトリアなので、おそらくサルトリア仕立てのコートだと思われます。
ラグランスリーブのコートのバリエーションが増えているのも今シーズンの流れですが、ベルテッドのコートも増えてきているので、個人的にかなり刺さるコートです。
今シーズンは膝からプラスマイナス10㎝くらいの丈が主流になっているので、着丈も丁度いいバランスです。
ボタンを閉めずに緩くベルトを巻いていますが、シングルもダブルもベルテッドのコートはこんなこなしが増えています。
ベルテッドは来年の春夏のコートのトレンドでもあるので、本人が意識しているかどうかはわかりませんが、先取りとも言えるコートです。
このコートもラグランスリーブですが、肩も大きく全体のシルエットもボリューム感のあるコートです。
ビンテージのコートですが、ラグランスリーブのダブルブレストでゆったりしたリラックスフィットと膝丈という、今シーズンの流れを感じさせるコートです。
モード系のコートでは、セットインスリーブのドロップショルダーも多く見られますが、クラシック系の人達はさすがにそのようなコートを着た人は少ないのが実状です。
彼はモード的な要素も取り入れるのがうまいので、少し大きめ肩のラグランスリーブを着ることによって、そのような雰囲気を出しているのだと思います。
しばらくスリムなシルエットのコートが主流だったので、かなりゆったりとしたシルエットに感じますが、傾向的にはリラックスしたフィットが注目されているのは間違いありません。
ラグランスリーブのツイードのバルカラーコートは、数年前に流行ったIラインの細身のシルエットですが、着こなしで今の雰囲気を出しています。
ポイントはボタンの留め方。
上ふたつだけボタンをを留めて、裾がわざと広がるようにすることでAラインに見えるようにしています。
つまり、IラインのコートをAラインに見せるテクニックです。
シルエットが緩めになってきているので、手持ちのスリムなシルエットのコートも、こんなこなしで着ると今の雰囲気で着ることができます。
現地でも結構見られるテクニックですね。
因みに、私もスリムなシルエットのコートは同じようなこなしで着ています。
ベージュのコットンのバルカラーは裾から見える裏地の柄からバーバリーであることがわかります。
バーバリーも最近はスリムなフィットのバルカラーを出しているようですが、肩のラインやシルエットから察すると、ヴィンテージのバーバリーかもしれません。
20年くらい前は、PITTIでもコットンのバルカラーやトレンチを着た人が多かったですが、最近はほとんど見ることがなかったので新鮮です。
バーバリーは昔からイタリアで絶大な人気があります。
私がイタリアにバイイングに行くようになった20数年前は、高級なセレクトショップのレインコートは、ほぼバーバリーが独占していたと言ってよいほど人気がありました。
因みに、当時のイタリアで売られていたバーバリーは、コートが英国製、ジャケットやスーツはベルベスト製、パンツはインコテックス製でした。
特にミラノやフィレンツェでは、ベルベストのネームのスーツやジャケットを見ることがほとんどなかったのですが、バーバリーネームのベルベストは、ほとんどの高級店で展開していました。
イタリア人がイタリアの製品しか着ないと思っている方も多いようですが、イタリアは昔から英国への憧憬が深いので、英国ブランドはとても人気があります。
その中でもバーバリーは3本指に入るブランドです。
少し野暮ったさも感じるバルカラーコートですが、”野暮ったさが新しい” という流れもあるので、本人はそれも計算してのバーバリーなのだと思います。
これも近年あまり見かけなかったローデンコート。
オーストリアの伝統的な素材であるローデンクロスを使ったコートです。
個人的にはイタリアというよりは、90年代のパリで見かけることが多かったコートです。
元々オーストリアの貴族が着ていたハンティング用の防寒コートがルーツで、襟はバルカラーですが背中に大きく広がるインバーテッドプリーツが入っているので、裾に欠けて大きく広がるAラインのシルエットが特徴です。
私のイメージは、パリでお金持ちの年配の人たちが着ているイメージなので、PITTIの会場で彼ぐらいの年齢の人が着ていると少し違和感があるのですが、今シーズンのトレンドで ”ヘリテージ” と言うキーワードがあるので、このようなコートを敢えて着るのも理解できます。
ローデングリーンと言われる深いグリーンも今シーズンのトレンドカラーですし、裾にかけて広がるAラインのシルエットも今の流れとあっているのですが、フローティングショルダーと言われる独特の肩はトレンドとは無縁のスタンダードなディティールなので、本人がトレンドを意識しているかどうかはわかりませんが、なにか狙うところがあって敢えてこのコートを着ているのだと思います。
因みにこのコート、私がBEAMSに入社した80年代中頃にBEAMS Fでも展開していました。
当時展開していたブランドは確か ”STEINBOCK(シュタインボック)” だったと思いますが、現在は ”SCHNEIDER(シュナイダー)” と言うブランドを多く見掛けます。
いずれにしても、当時からヨーロッパでは人気があってメジャーなコートですが、日本では私よりも上の世代でヨーロッパのファッションに精通している人が好んで着ていたコートというイメージです。
テーラード襟でラグランスリーブで袖がターンナップカフという、既成のコートでは見ることのないディティールは、サルトリア仕立てだと思われます。
生地が大柄のヘリンボーンと言うのもポイントです。
今シーズンは ”ヘリテージ ファブリック” という流れもあるので、このようなクラシックなツイードのコートも新鮮に感じます。
スーツのパンツが2プリーツで少しゆったりとしたシルエットなので、コートもこのくらいのボリューム感があった方がバランスがいいです。
長さも膝上5㎝くらいなので今の雰囲気と言えます。
因みに、同じショップのスタッフですが、同じディティールのコートを着ています。
コートの着丈が長くなっているのは確実な流れなのですが、アジア人にはこのくらいの長さが限界かなと思います。
こんな感じのロング丈のコートを着た人も増えていました。
単に着丈が長いだけでなく、ボタンの位置も低いので、全体的なバランスが低い位置に設定されたコートです。
この人は身長が190㎝近くあるので膝下丈も似合いますが、膝下が短い我々日本人にはかなり難易度の高いレングスです。
ただ、現地ではこの位の丈のコートを着た人が増えているのも事実です。
そして、このコートのように全体のポジションが低いコートも少しづつ増えてきているというのも小さな変化です。
BEAMSで今シーズンから展開しているイタリアの ”PALTO(パルト)” のコートが、まさにそのようなバランスです。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/coat/24190153540/
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/coat/24190152540/
ゴージの位置も低く、フロントボタンも低めに設定されています。
今シーズンはまだ ”わかる人にはわかる” というバランスですが、今後はこのようなバランスが増えてくるかもしれません。
ミリタリーテイストのコートも今シーズンのトレンドです。
少し硬めのビンテージミリタリー風の素材を使ったTAGLIATOREのコート。
カーキのカラ―が絶妙です。
因みに、BEAMSでも今シーズン同じ素材を使ったコートを展開しています。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/coat/24190162248/
このコートは今シーズンの流れを考えると、なくてはならないコートだったので、昨年の11月のプレコレクションの時に真っ先にオーダーしました。
既に入荷していますが、ほぼ予約で完売してしまいました・・・
私もお客様のキープのキャンセル待ちを入れましたが、多分購入できそうもありません。
因みに、このコートもタリアトーレで一番長いロング丈でオーダーしました。
ロングと言っても昨年より数センチ長い膝上丈なので、我々日本人にも着やすいバランスです。
因みに、昨年のタリアトーレのテーラードコートの着丈はこんな感じでした。
今年のものより短いのがわかります。
昨年の1月のPITTIの画像と比べると、コート着丈が長くなっているのは明らかな傾向です。
クラシックなサルトリア仕立てのダブルブレストのスーツに BARBOUR というコーディネート。
ミスマッチと思われる方も多いと思いますが、実はスーツにバブアーというコーディネートは過去にイタリアで大流行したことのあるスタイルです。
日本で所謂 ”クラシコイタリアブーム” が起きる以前の90年代中から末頃にクラシックなスーツやジャケットにバブアーのオイルドコートやハスキーのキルティングジャケットを着るのが大流行したことがありました。
当時はPITTI の会場やフィレンツェやミラノの街でもそのようなスタイルを多く見掛けましたが、2000年代に入るとテーラードコートの流れがきたこともあり、ほとんど見かけなくなりました。
彼はまだ20代なので、当時のことなど全く知らないと思いますが、私のように当時を知る人間にとっては懐かしいコーディネートです。
因みに、彼はアメリカ在住の英国人で着ているスーツはイタリアのサルトリア仕立て。
イタリア人でこの年代だと、こんなスタイルの人はまずいないです。
90年代にBEAMSでも人気のあった ”GRENFELLのSHOOTER” というモデル。
廃版にならず、今もコレクションに入って展開していました。
懐かしい・・・
シューターという名前の通り、ハンティングジャケットのディティールを取り入れたモデルは今見ても古臭さを感じません。
こんなアウターをジャケットの上に羽織るというスタイルも今の雰囲気だと思います。
私がBEAMS Fのショップマネージャーだった頃に何度も展開したモデルでしたが、当時はスタッフに人気がありましたが、一般のお客様にはあまり人気がありませんでした。
グレンフェルの中では、GOLFERやKENTといったヒップ丈のブルゾンタイプのモデルが人気でした。
当時から結構高かったので、カジュアルなアウターにそこまでお金を出していただけるお客様が少なかったように思います。
個人的には今でも展開したいモデルですが、値段を聞いて、”カッコいいからコレやるぞ!” とはチョット言えませんでした。(笑)
値段を気にしなければイタリアのサプライヤーにはまずないモデルなので、展開したいアウターです。
昨年の秋冬でも多くのサプラーヤーが展開していたガウンタイプのニット。
今シーズンは、こんな感じでスーツやジャケットとのコーディネートも見られました。
襟付きのジレの3ピースの上にガウンタイプのニットを着ていますが、実際にこんな感じで着ている人や、会場内のブースのディスプレイでも、スーツにガウンタイプのニットを合わせるディスプレイが見られました。
因みに、ブースのディスプレイはこんな感じです。
LARDINI のブースのディスプレイです。
ブラウンのグレンプレイドのスーツにベージュのガウンタイプのニットを合わせいるという、今までのラルディーニには無かったディスプレイです。
このようなニットをアウターがわりに羽織るコーディネートは、数年前にBARKのニットのダッフルが大ブレークした時以来でしょうか。
こんな感じで、スーツにガウンタイプのニットを肩掛けするスタイルも見られました。
コートに関してはスリムなフィットで短い着丈のモノは少なくなっているのが明らかな傾向です。
着丈に関しては多くのサプラーヤーが言っていたのが、昨年の丈よりプラス5㎝というフレーズです。
実際に昨年と今年のPITTIのスナップを見比べてみても、同じ人物のコートの着丈が長くなっているのがわかります。
シルエットに関しては余裕のあるシルエットが主流になりつつあるのですが、今までのスリムなシルエットのコートのボタンを開けて、タイトに見えない着方をしている人が多い印象です。
数年前のようにボタンをしっかりとめてコートを着ている人がかなり少なくなっていました。
これは、手持ちのコートを着る時にも活用できる着こなしではないでしょうか。
そして、ディティールとしてはラグランスリーブのコートが増えていることがあげられます。
これは、モード系でワイドなショルダーをドロップさせたコートが出てきたことに少なからず関連しているのではないかと思います。
要するに、クラシック派の人達にとっては、大きなセットインのショルダーをドロップさせて着るのは抵抗があっても、自然に丸く落ちるラグランには馴染があるので何も違和感を感じないのではないかと思います。
そして、このラグランスリーブは来年の春夏もクラシック系のコートの主流になっているので、一過性のトレンドではないことは間違いありません。
着丈の短いコートはもう着れないのかと言うと、そんなことはありません。
このようなカジュアルなスタイルに合わせると良いと思います。
実際私自身、昨年の冬は休日のカジュアルスタイルに着丈の短いコートを着ていました。
足元はスニーカーでもいいので、あまり色々考えずに羽織るだけで結構サマになるものです。
綿入りのアウターを着るよりも確実に洒落て見えるので試してみてください。
そして、コートを新調される方は是非着丈の長いモノを試してみてください。
目安は膝丈プラス マイナス10㎝。
因みに、私は脚が短いので、膝上10㎝が目安という事になりますね。(笑)
PITTI SNAP by BEAMS 2016A/W スーツ編
前回のジャケット編に続き、今回はPITTI SNAP by BEAMS 2016A/W スーツ編です。
クラシックなスタイルが再注目される中、しばらく新しいトピックスのなかったスーツも様々な変化が見られます。
コーディネートを紹介しながら、今シーズンのスーツスタイルのおさえるべきポイントも解説しましたので、最後までじっくり読んでいただければと思います。
ヘリテージ感漂うソルト&ペッパーの3ピースは、この角度からは見えませんが、チェンジポケットが付いています。
本人から直接聞いたのですが、このスーツはミラノのサルトリアで仕立てたモノだそうです。
ヘリテージ感のある素朴な生地なので、コーディネートを間違えると野暮ったくなりますが、ノータイで襟元に赤いバンダナを巻いたり、ソックスを赤にしたりして、彼なりにアレンジを加えて野暮ったくならないようにコーディネートしています。
シャツの襟がラウンドカラ-というのがポイントです。
このようなバンダナ サイズの巻物を巻く人が少しづつ増えています。
スーツに赤いソックスなどは賛否の分かれるところだと思いますが、彼のキャラクターを考えれば個人的にはありかなと思います。
大柄のグレンプレイドのダブルブレストのスーツは、恐らくフィレンツェのサルトリア リベラーノ&リベラーノで仕立てたモノでしょう。
シャツはブルーのオックスフォードBD、ネクタイはブルーのカシミアタイと、大柄のスーツを着る時の基本的な合わせですが、シャツがボタンダウンと言うのがポイントです。
イタリアと英国とアメリカのテイストを上手くミックスしてコーディネートしているのは、彼が英国人でニューヨークに住んでいて、イタリアのドレススタイルに対する変な先入観もなく、年齢も20代で若い感覚を持っているからだと思います。
ある意味、新しい世代のインターナショナルな感覚を持ったクラシックスタイルと言えるのではないでしょうか。
このコーディネートも英国とイタリアとアメリカのミックススタイル。
スーツはイタリアのあるブランドのモノで、芯地の入っていない柔らかい仕立てのジャケットにプリーツ入りのパンツの裾幅を細くして穿いています。
スーツは完全なイタリアンスタイルです。
シャツはネクタイブランド DRAKE’S のシャツで、英国のシャツメーカーCLEEVE OF LONDONで作られています。
英国製ですが、シャンブレーのBD と言うのもポイントです。
ネクタイは ドレイクスのニットタイ です。
タイドアップした時にボタンダウンの襟のボタンを外すのはイタリア人がよく使うテクニックですが、英国人の彼もイタリア的なテクニックを使っています。
靴はALDENのスエードのチャッカブーツ。
彼の父親はTURNBULL & ASSER のデザイナーだったという、言わば英国ファッション界のサラブレッドとも言えますが、英国モノで全身を固めるようなことはありません。
彼もまだ30代ですが、彼もまた新しい世代のインターナショナルなクラシックスタイルを実践するひとりであると言えます。
この4枚の画像に共通しているのが、ダブルブレストのスーツにタートルネック、そしてブラックカーフのタッセルスリッポン。
偶然撮った画像がダブルブレストばかりでしたが、スーツにタートルネック というコーディネートがかなり多く見られました。
昨年はジャケットにタートルというスタイルが多く見られましたが、スーツにタートルネック というスタイルが完全にポピュラーになりました。
コーディネートに悩んだときなど、手持ちのスーツにタートルを合わせるだけで、そこそこサマになるので、お助けコーディネートとも言えます。
上の画像のようにベルトレスのパンツにはタートルの裾をインするコーディネートも多く見られました。
それにしてもブラックカーフのタッセルを履いた人が異常に多いです。
以前はストイックすぎるという理由で、イタリアでは履く人が少なかったブラックのシューズですが、その定説も完全に変わりました。
今はブラックカーフのシューズを履く人が急激に増えているというのが実状です。
そして、スーツにタートルというリラックス感のあるスタイルには、スリッポンの中で最もエレガントさを感じさせるタッセルを合わせる人が多いのも理解できます。
今シーズンのトレンドでもあるモノトーンのコーディネート。
黒に近いチャコールグレーの3ピーススーツはサルトリア仕立てでしょう。
2インプリーツのパンツも雰囲気がいいです。
ジレのボタンをスーツと同じ生地でくるんでいるので、フォーマルスーツのようにも見えます。
ネクタイも白黒の千鳥格子、まるでウェディングに出られるようなシックな装いですが、今シーズンはグレーを基調にしたモノトーンのコーディネートも多いというのが傾向です。
靴はブラックカーフのセミブローグです。
ライトグレーに見える4つボタンのダブルブレストのスーツは、よく見るとグレンプレイドに赤いウインドウペンという、かなり英国感のある生地。
彼はプーリアのサルトリアなので、スーツもサルトリア仕立てです。
ネクタイはブラックタイで、ホワイトのシャツはボタンダウンの襟のボタンを外しています。
イタリア人だと、このコーディネートの場合、ネクタイは濃紺の無地と言うケースが多いのですが、彼はブラックのタイを合わせています。
クラシック系のイタリア人でブラックタイというのは珍しいです。
彼らは新しい世代のサルトリアなので、感覚も従来のイタリアのサルトリアスタイルとは違うという印象です。
彼も靴はブラックカーフのキャップトウです。
グレーの無地に見えるスーツは、良く見ると細かな柄が入っているピンチェック。
上の画像と同人物の別日のコーディネートです。
やはりサルトリア仕立てなので、パッチポケットがダブルポケットという変わったディティールになっています。
こういう仕様も感覚の若いサルトリアならではです。
老舗のサルトリアにこんな仕様を頼んだら確実に怒られます。(笑)
パンツは2インプリーツでハイウエスト気味のベルトレスです。
スーツもインプリーツが少しずつ増えて来ています。
シャツはやはりボタンダウンの襟先のボタンを外しています。
この日もブラックタイ。
おそらくブラックタイが彼の最近のマイブームなのだと思います。
靴はこの日もブラックカーフのキャップトウ。
以前は色モノの靴を履くことが多かった彼も、最近はブラックカーフの靴を履くことが多くなっています。
スーツスタイルもプリーツ入りのパンツが多くなっているのはジャケットと同じ流れです。
クラシックなスタイルが戻ってきてから、急速にクラシックなディティールも戻ってきているというのがスーツにおいても言えます。
画像を見てもわかると思いますが、元々サルトリアのスーツは着丈が短めなので、パンツのスタイルが変わっても着丈の長いスーツは出て来ていません。
ナローラペルでヒップの半分が出るようなジャケットは元々の出所が違うので、クラシックなスーツの傾向とは全く別なモノだという事をご理解ください。
また、仕立てに関しても柔らかくナチュラルな仕立てという傾向は変わっていませんので、肩パッドが入ったような構築的なジャケットが戻ってくるというような傾向は今のところありません。
クラシックな既成のスーツであってもサルトリア仕立てのスーツであっても、上の画像を見ても分かる通り、柔らかなショルダーラインのスーツが主流であることがわかると思います。
英国調というキーワードが出ると、すぐにサビルロウのようなスタイルや仕立てを連想される方も多いのですが、我々が考える英国調と言うのは、ディティールやアイテムや素材や柄からイメージされる英国的なテイストを取り入れることであって、80年代の英国調ブームの時のような、リアルな英国スタイルをそのまま真似するようなことではありません。
それは、今のPITTIで打ち出される英国調も同じです。
BEAMSでもそこを勘違いしているスタッフも多かったので、しっかりレクチャーしました。
それもクリエイティブディレクターである私の仕事です。
そして、スーツスタイルにブラックカーフの靴を履く人が急激に増えていることは間違いありません。
先にも述べましたが、イタリアではブラックの靴はストイックすぎるという理由で、ダークスーツにもブランウンのシューズを合わせるのが今まではポピュラーでしたが、これだけイタリアでブラックのシューズがポピュラーになるのは、私がバイイングをするようになって20数年で初めての事です。
それだけ、ブラックカーフの靴が現地でも新鮮に感じられるのだと思います。
こうやって見ると、ブラックカーフのタッセルとブラックカーフのオックスフォードの靴は、今シーズンのマストアイテムと言えるのだと思います。
長く続いたドレスクロージングのカジュアル化の波も収まり、再びドレススタイルが戻ってくると同時に、スーツスタイルもステレオタイプのイタリアンテイストではなく、英国やアメリカのテイストも取り打入れながら進化したクラシックスタイルとなって戻ってきたという印象です。
そして、その流れは単に一過性のトレンドとして新たに出てきたものではなく、過去にクラシックの世界で流行ったものが、時代性を取り入れリバイバルしているというのが今の流れではないかと思います。
見たこともないモノが色々出てきて戸惑っている方も多いと思いますが、これもカジュアル化の傾向からドレスへの移行期であるので仕方ないことだと思います。
と言うことで、英国、米国、イタリアのクラシックを一巡している私は、今の流れは何も違和感もなく疑う余地もないので、こんなスーツをオーダーで作りました。
大柄のグレンプレイドの3ピース。
パンツは2プリーツです。
もちろん、ブラックカーフのドレスシューズもスタンバイしています。
昔買ったモノを磨いただけですが・・・(笑)
フルブローグとタッセルは揃えたいですね。
MEN’S EX 連載 10月号
MEN’S EX 10月号 が発売されました。
表紙は渡辺 謙さん。
秋冬トレンドのグレーのスーツはブルネロ クチネリ。
ライトグレーにベージュのストライプのコンビネーションがブルネロっぽいですね。
私の連載 ”中村達也に今、買いのアイテム”
今回のテーマは ”ベルトレスパンツ” です。
秋冬のバイイングを行った1月のPITTI UOMOやミラノのショールームでも多くのパンツブランドやスーツブランドがベルトレスのパンツを打ち出していました。
ご覧のとおり、皆さんが知っている名だたるブランドがワンプリーツや2プリーツのベルトレスのパンツを打ち出しているのを見ても、今シーズン外せないパンツであるのは明確です。
PITTIの会場を見てもベルトレスのパンツを穿いた人が急増しています。
数年前からチラホラ見られたベルトレスですが、ここに来て一気に着用者が増えました。
パンツ単品だけでなく、ベルトレスパンツが付いたスーツを着た人も増えています。
上の画像のように、ニットをインしてベルトレスであることを主張するような着こなしも多く見られます。
それだけ現地でもベルトレスのパンツが旬なディティールであることがわかります。
ベルトレスが広がったきっかけは、数年前からトレンドに敏感な人たちが着用していたグルカタイプのパンツやセーラー風のパンツ。
プリーツ入りのゆったりとしたシルエットで股上の深いこれらのベルトレスのパンツは、モード的なトレンドを積極的に取り入れる一部のファッショニスタ達の間で人気となりましたが、クラシック系の人たちはまだノープリーツのスーパースリムが主流だったので、本当に一部の流れに敏感な人たちにしか受け入れられないモノでした。
その後、長く続いたドレスクロージングのカジュアル化の波も収まり、クラシック回帰という流れが来るなか、再びドレススタイルが注目されるようになると、クラシックなプリーツ入りのパンツが見直されるようになります。
今まで主流だったスーパースリムのパンツから腰回りにゆとりのあるパンツが注目されるようになり、さらにシルエットも少し余裕のあるモノが求められるようになると、トレンドに敏感な一部の人たちのモノだったグルカタイプのパンツやセーラー風のパンツがクラシック系の人たちにも理解されるようになります。
もちろん、そのまま受け入れられることはありませんが、シルエットを変えれば自分たちも穿けるという意識が生まれたのは間違いありません。
折しもクラシックのトレンドが英国調にになり、英国的なビスポークのディティールであるサイドアジャスターのパンツが注目されるようになると、トレンドに敏感な人たちとクラシック系の人達の双方でベルトレスのパンツが注目されるようになり、多くのサプライヤーもこの流れに注目し、ベルトレスのパンツを積極的に展開するようになり現在に至ります。
因みに、昨年の秋冬以来、BEAMSでもベストセラーの”GTAのBAYRON”は、このグルカパンツのディティールを取り入れたモノです。
グルカパンツのディティールをアレンジしつつ、太いシルエットをクラシック系の人達に受け入れられるように適度なゆとりのシルエットにモディファイしたのがこのBAYRONです。
このように、モード的なトレンドが時間をかけてクラシックに影響を及ぼすことはイタリアのクラシックにはよくあることです。
彼らはモードで新しい流れが起こると、最初は自分たちには関係ないような素振りを見せながらも、取り入れるタイミングと、どこまで取り入れるべきかというバランスを伺っているというのが、私が彼らと長く仕事をしてきた中で強く感じることです。
ですので、数年前にモードでトレンドになったものが、咀嚼されてクラシックの解釈を加えたうえでクラシックのトレンドとして緩やかに広がるというのが実状です。
昨今では、スリムで短い丈のジャケットや股上の浅いスーパースリムのパンツ、九分丈などは、モード的なトレンドがクラシックに影響を及ぼして一般的に広がったという一例です。
ベルトレスは過去にも流行したことがありました。
私がまだBEAMS Fのショップマネージャー兼バイヤーだった90年代前半から中頃までの英国ブームの時に、英国のパンツメーカーや当時BEAMSの主力パンツブランドだったフランスのBERNALD ZINS (ベルナール ザンス)でプリーツ入りのサイドアジャスターのパンツを展開し、オリジナルでもサイドアジャスターのパンツを展開していました。
チェンジポケットの付いたジャケット(当時はスラントポケットもありました。)にサイドアジャスターのパンツというコーディネートだったので、まさに今の雰囲気でした。
もちろん、ベルトレスのパンツが多かったので、サスペンダーも人気でした。
その当時BEAMS Fでお買い物をされていた方は懐かしいと感じになるのではないでしょうか。
私も当時はリングジャケット製のサイドアジャスターのスーツを着ていました。
このように、当時の英国調のトレンドを知っている方にとっては、今のベルトレスパンツの流れが突然出てきたトレンドではなく、リバイバルであることは理解できると思います。
という事で、私も早速このパンツを購入しました。
GERMANOのミディアムグレイのサイドアジャスターです。
秋冬は久しぶりにウールのパンツが穿きたい気分なので、合わせやすいミディアムグレーの色目で2プリーツのサイドアジャスターのパンツは個人的にマストアイテムです。
このパンツ、サスペンダーボタンが付いていますが、私はサスペンダーをしないので、ジャストのウエストでサイドアジャスターを少し絞って穿こうと思っています。
因みに、来年の春夏は更にこの流れが強くなっているので、ベルトレスのパンツは一過性のトレンドではなく、しばらく続く流れであることは間違いないでしょう。
サイドアジャスターのパンツ、もちろん皆さんにお勧めしたいのですが、7月、8月に入荷してモノはかなりの勢いで売れてしまい既に品渦状態です。
申し訳ございません。
10月入荷で追加オーダーをかけているモノもありますので、最寄りの店舗にお問い合わせください。
それにしてもBEAMSのお客様は早い。
本当にいつもありがとうございます。