MEN’S EX 連載 10月号 | ELEMENTS OF STYLE

MEN’S EX 連載 10月号

 

MEN’S EX 10月号 が発売されました。

 



表紙は渡辺 謙さん。

秋冬トレンドのグレーのスーツはブルネロ クチネリ。

ライトグレーにベージュのストライプのコンビネーションがブルネロっぽいですね。

 

 

 

 

 

私の連載 ”中村達也に今、買いのアイテム” 

 

 

 

今回のテーマは ”ベルトレスパンツ” です。

 

 

 

 

 

 

秋冬のバイイングを行った1月のPITTI UOMOやミラノのショールームでも多くのパンツブランドやスーツブランドがベルトレスのパンツを打ち出していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご覧のとおり、皆さんが知っている名だたるブランドがワンプリーツや2プリーツのベルトレスのパンツを打ち出しているのを見ても、今シーズン外せないパンツであるのは明確です。

 

 

 

 

 

 

PITTIの会場を見てもベルトレスのパンツを穿いた人が急増しています。

 

 

 

 

 


 


数年前からチラホラ見られたベルトレスですが、ここに来て一気に着用者が増えました。

パンツ単品だけでなく、ベルトレスパンツが付いたスーツを着た人も増えています。

上の画像のように、ニットをインしてベルトレスであることを主張するような着こなしも多く見られます。

それだけ現地でもベルトレスのパンツが旬なディティールであることがわかります。
 

 

 

 

 

 

ベルトレスが広がったきっかけは、数年前からトレンドに敏感な人たちが着用していたグルカタイプのパンツやセーラー風のパンツ。

 

 

 

 

プリーツ入りのゆったりとしたシルエットで股上の深いこれらのベルトレスのパンツは、モード的なトレンドを積極的に取り入れる一部のファッショニスタ達の間で人気となりましたが、クラシック系の人たちはまだノープリーツのスーパースリムが主流だったので、本当に一部の流れに敏感な人たちにしか受け入れられないモノでした。

その後、長く続いたドレスクロージングのカジュアル化の波も収まり、クラシック回帰という流れが来るなか、再びドレススタイルが注目されるようになると、クラシックなプリーツ入りのパンツが見直されるようになります。

今まで主流だったスーパースリムのパンツから腰回りにゆとりのあるパンツが注目されるようになり、さらにシルエットも少し余裕のあるモノが求められるようになると、トレンドに敏感な一部の人たちのモノだったグルカタイプのパンツやセーラー風のパンツがクラシック系の人たちにも理解されるようになります。

 

もちろん、そのまま受け入れられることはありませんが、シルエットを変えれば自分たちも穿けるという意識が生まれたのは間違いありません。

 

折しもクラシックのトレンドが英国調にになり、英国的なビスポークのディティールであるサイドアジャスターのパンツが注目されるようになると、トレンドに敏感な人たちとクラシック系の人達の双方でベルトレスのパンツが注目されるようになり、多くのサプライヤーもこの流れに注目し、ベルトレスのパンツを積極的に展開するようになり現在に至ります。

 

 

 

 

 

 

因みに、昨年の秋冬以来、BEAMSでもベストセラーの”GTAのBAYRON”は、このグルカパンツのディティールを取り入れたモノです。

 

 

グルカパンツのディティールをアレンジしつつ、太いシルエットをクラシック系の人達に受け入れられるように適度なゆとりのシルエットにモディファイしたのがこのBAYRONです。

 

 

 

 

 

 

このように、モード的なトレンドが時間をかけてクラシックに影響を及ぼすことはイタリアのクラシックにはよくあることです。

 

彼らはモードで新しい流れが起こると、最初は自分たちには関係ないような素振りを見せながらも、取り入れるタイミングと、どこまで取り入れるべきかというバランスを伺っているというのが、私が彼らと長く仕事をしてきた中で強く感じることです。

ですので、数年前にモードでトレンドになったものが、咀嚼されてクラシックの解釈を加えたうえでクラシックのトレンドとして緩やかに広がるというのが実状です。

昨今では、スリムで短い丈のジャケットや股上の浅いスーパースリムのパンツ、九分丈などは、モード的なトレンドがクラシックに影響を及ぼして一般的に広がったという一例です。

 

 

 

 

 

 

ベルトレスは過去にも流行したことがありました。

私がまだBEAMS Fのショップマネージャー兼バイヤーだった90年代前半から中頃までの英国ブームの時に、英国のパンツメーカーや当時BEAMSの主力パンツブランドだったフランスのBERNALD ZINS (ベルナール ザンス)でプリーツ入りのサイドアジャスターのパンツを展開し、オリジナルでもサイドアジャスターのパンツを展開していました。

チェンジポケットの付いたジャケット(当時はスラントポケットもありました。)にサイドアジャスターのパンツというコーディネートだったので、まさに今の雰囲気でした。

もちろん、ベルトレスのパンツが多かったので、サスペンダーも人気でした。

 

その当時BEAMS Fでお買い物をされていた方は懐かしいと感じになるのではないでしょうか。

 

私も当時はリングジャケット製のサイドアジャスターのスーツを着ていました。

このように、当時の英国調のトレンドを知っている方にとっては、今のベルトレスパンツの流れが突然出てきたトレンドではなく、リバイバルであることは理解できると思います。

 

 

 

 

 

 

という事で、私も早速このパンツを購入しました。

 

 

 



GERMANOのミディアムグレイのサイドアジャスターです。

秋冬は久しぶりにウールのパンツが穿きたい気分なので、合わせやすいミディアムグレーの色目で2プリーツのサイドアジャスターのパンツは個人的にマストアイテムです。

このパンツ、サスペンダーボタンが付いていますが、私はサスペンダーをしないので、ジャストのウエストでサイドアジャスターを少し絞って穿こうと思っています。

 

因みに、来年の春夏は更にこの流れが強くなっているので、ベルトレスのパンツは一過性のトレンドではなく、しばらく続く流れであることは間違いないでしょう。



 

 

 

サイドアジャスターのパンツ、もちろん皆さんにお勧めしたいのですが、7月、8月に入荷してモノはかなりの勢いで売れてしまい既に品渦状態です。

申し訳ございません。

10月入荷で追加オーダーをかけているモノもありますので、最寄りの店舗にお問い合わせください。

それにしてもBEAMSのお客様は早い。

本当にいつもありがとうございます。