PITTI SNAP by BEAMS 2017 SS SUITS 編 | ELEMENTS OF STYLE

PITTI SNAP by BEAMS 2017 SS SUITS 編

 

2017年秋冬のバイイングも終盤戦に差し掛かっています。

 

 

国内の展示会もかなり精力的に回ったので、秋冬の傾向もすでに明確になってきました。

 

 

スーツスタイルに関しては、2016年秋冬から今シーズンの流れをベースに、それが更に進化して先へ進むという流れになりそうです。

 

今回は前回に続き、今シーズンのバイイングを行った昨年6月のPITTI UOMOのスナップをお見せしながら、今シーズンのスーツの傾向についても触れたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルーのダブルブレストのコットンスーツはSTILELATINO

 

 

 

BORZONELLAのシャンブレーのレギュラーカラーにクラシックなプリントタイを合わせ、カラーバーで襟をとめています。


最近このようなカラーバーを使うイタリア人が増えましたが、以前はほとんど見られなかったので、これも新しい流れです。


私のイメージではカラーバーはアメリカ人のイメージ


昔のアランフラッサーやポールスチュアートのイメージですね。


このようなアクセサリーが流行るのも、イタリアのステレオタイプのクラシックスタイルではなく、アメリカや英国のテイストを取り入れるのが今の流れであり、彼らの気分だということを表しています。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

時計はiWatch

 



彼はロレックスやジラール ペルゴなどの高級時計をたくさん持っているので、完全に計算されたハズシですね。


サックスブルーのストラップも彼らしいチョイスです。

 

 

日本では、このように高級なスーツを着て時計をハズすというスタイルは、ほとんどないように感じます。


かなり前の話になりますが、日本のある有名な俳優さんが、イタリアのセレブが集まるパーティーに参加するのに、気張って1千万円以上する時計をしていったら、ほとんどの人がSWATCHだったというエピソードをテレビで見ましたが、確かにSWATCHが流行ってから、イタリアでもそのようなハズし技を多く見かけるようになりました。


 

 

 

 

 

 


 

靴はかなり年季の入ったエドワードグリーン

 

 

アッパーはひび割れしていて、シューレースの先もちぎれています。(笑)

 

 

日本人には理解できないと思いますが、イタリア人は本当に靴の手入れをしない人が多いです。


あまりにもピカピカの靴は不自然だという意識の人が多いのも一因です。

 

 

因みに、私も靴は綺麗に手入をして履きますが、ピカピカに光らせるのは不自然に感じるので、普通にクリームを塗って磨くだけです。

 

 



 

 

 

 

 

 

 

明るいブルーのコットンスーツのコーディネート。

 

 

 

ゴージのラインと上襟の形状を見ただけでサルトリア仕立てだとわかります。

 

 

いつもこういう細かいところもチェックしているのです。

 

 

職業病ですね。(笑)

 

 

サックスのキャンディーストライプのワイドスプレッドにドットのニットタイという、お手本のようなVゾーンです。

 

 

ネクタイの大剣と小剣をずらしているのは、前回のジャケット編でも触れましたが、昔からあるイタリアン スタイルですね。

 

 

ポケットチーフはシルクのペーズリーをパフで入れています。

 

 

ジャケット編でも触れましたが、最近このような英国的なシルクプリントのチーフを挿している人がとても増えました

 

以前はこのスーツスタイルであれば、白のリネンのチーフがイタリア人の定番でしたが、それも変わりました。

 

 

ましてや、チーフをパフで挿す人などほとんど見られなかったので、これもイタリアのスーツスタイルに英国的なテイストを入れることが今の流れであることが影響しているのだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンツは2アウトプリーツ

 

 

ジャケットの組下以上にスーツのパンツはプリーツ入りという流れになっているのは間違いありません。

 

 

この傾向は、来秋冬さらに加速しています。

 

 

靴はブラックカーフのタッセル

 

 

以前は、この色のコットンスーツであれば、靴はブラウンというのがイタリアのステレオタイプの合わせでしたが、最近はブラックカーフの靴を合わせるケースが多くなっています。


これも以前とは大きく変わった傾向と言えます。


時計はアンティークのCARTIERでしょうか。

 

 

ネイビークロコのストラップというのも、とてもイタリア人っぽいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カジュアルなテイストの8ボタンのダブルブレストのコットンスーツ。

 

 

このスーツはBEAMSでも展開しているTHE GIGIのZIGGYというモデル


パンツも1プリーツのワイドテーパードで太目のシルエットです。


色はやはり明るめのブルーですが、コットンスーツはこのくらいのトーンのブルーを着た人がとても多いです。

 

 

コバルトブルーと言われる明るめのブルーがトレンドということもありますが、元々イタリア人は濃いネイビーの無地のスーツを日常的に着る習慣はほとんどないので、特にカジュアルなコットンスーツに濃いネイビーという選択は無いと言っても良いでしょう。


 

 

 

 

 

 

 

 

シャツはシャンブレーでブルーのトーンでまとめています。

 

 

こんなカジュアルなスーツの場合はTシャツを合わせるケースも多いですが、敢えてシャツを合わせるのが彼の気分なのでしょう。


シャツの襟が小襟のレギュラーカラーというのもポイントです。

 

 

 

足元はADIDASのCAMPUSで全身をブルーのトーンでまとめています。

 

 

因みに、このネイビーのCAMPUS、私も持っていますが、とてもコーディネートしやすいので、

休日にヘビーローテーションで履いています。

 

 

パンツの股下がかなり短いので、ダブルの折り返しも2.5cmくらいの細い幅です。


9分丈で裾幅が細いパンツは4.5cmや5cmくらいの太めの折り返し幅がスタンダードとなっていますが、このような太目のテーパードラインのパンツは更に短かい丈で穿くケースが多いので、ダブルは細い幅で折り返すのがスタンダードになっています。








 

 

時計はROLEXのDAYTONA

 

 

最も分かりやすいイタリア人らしい高級時計と言えます。

 

 

この先には、PATEK PHILIPPE(ノーチラス) と AUDEMARS PIGUET(ロイヤル オーク)というのが、昨今のイタリアのファッション業界人に最も多いパターンです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6ボタンのダブルブレストのストライプスーツにホワイトシャツというシンプルなコーディネート。

 

 

 

ビジネスでも着られるネイビーストライプのスーツですが、太目の襟のダブルブレストとチェンジポケットのディティールが効いているので、単純にクラシックなスーツをノータイで着ている風には見えません。

 

 

因みに、彼はプーリア州でDE PETRILLOのエージェントをやっているので、このスーツもおそらくDE PETRILLOでしょう。


チェンジポケットの付いたスーツも増えていますが、英国的なディティールが今の雰囲気にすごくマッチするので、個人的にも新調するスーツはほとんどチェンジポケット付きのモノを選んでいます

 

 

チェンジポケットが付いていると適度にスポーティーな雰囲気に見えるので、ノータイで着てもこなれた印象に見えるのも良いところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

靴はブラックカーフのタッセル

 

 

英国や米国ブランドのタッセルスリッポンを履いた人がとても多いです。

 

 

長らくダブルモンクのブームが続いていましたが、今は完全にタッセルが大ブームになっていると言っても過言でないでしょう。

 

 

裾は短めの丈でシングルで仕上げていますが、シングルで穿いている人を久しぶりに見た感じです。


クラシックなスーツを着ていますが、彼自身は少しモードっぽい雰囲気のスタイルが好みなので、敢えてシングルで仕上げているのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらも色をあまり使わないシンプルなコーディネート。

 

 

 

濃いインディゴにも見える生地は、ウールにリネンがミックスされています。


シンプルにホワイトシャツに黒のニットタイというコーディネートがいいですね。


コットンやリネンのスーツが多くなっているので、ニットタイをしている人もかなり増えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

靴はビーフロールのローファー

 

 

アメリカン タイプのローファーもちょっとしたブームになっています


数年前にチャーチが出したビーフロールのローファーが火付け役となって、その後それを模したモデルが他のブランドからも多く出たことによって、イタリアでもビーフロールが一般的になりました。

 

 

因みに、彼が履いているローファーは、アメリカのSEBAGOのローファー


以前からイタリアではセバゴを扱うショップが多かったので、アメリカに疎いイタリア人にとっては馴染みのあるブランドです。

 

 

スーツにローファーを合わせるコーディネートは、英国や米国では完全にNGですが、イタリアでも微妙なところ・・・

 

 

上の画像のようなリネン混の素材で、ボタンもホワイトでカジュアルなテイストのスーツであれば、ギリギリOKかなというのが正直なところです。

 

 

いずれにしても、ALDENのローファーやタッセルもイタリアでブームになっているので、これもイタリアの服に米国のテイストを取り入れるのが今の流れということです。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

袖付けに特徴のあるサルトリア仕立てのダブルブレストのスーツ。

 

 

ライトグレーの無地に見えますが、淡いピンクのウインドウペンが入っています。

 

 

今シーズンはチェックやウィンドウペーンのスーツがトレンドなので、ファッション業界人達は柄物のスーツを着る場合、ストライプのスーツよりもチェックやウィンドウペンのスーツを着ている人の方が多いのが実情です。

 




 

 

 

 

 

 

レギュラーっぽいセミワイドのシャツにヴィンテージ調のプリントタイ。

 


襟が大きく開くカッタウェイが減り、セミワイドやレギュラー系の襟型が増えているのが今の傾向です。


特に若い人ほどセミワイドやレギュラーを着た人が多く、カッタウェイを着ているのは50代以上の人が多いというのが実情です。

 

 

ネクタイはプリントタイの流れが来ています。


特に、このネクタイのようなヴィンテージ アーカイブの柄をそのまま表現したようなプリントタイが増えているのも今の傾向です。


 



 

 

 

 

 

 

 

靴はボリュームのあるラウンドトウのパンチドキャップ。

 

 

彼はいつも英国ブランドの靴を履いていますが、これはイタリアっぽいですね。

 

 

いずれにしても、旧来の細身でロングノーズのイタリアっぽい靴を履いている人はかなり少なくなりました。


イタリアのブランドも今や英国風や米国風のモデルがメインになっているのは間違いありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時計は文字盤がミッキーマウス。

 

 

これもイタリア人らしいハズシ技です。


色々な時計ブランドがミッキーマウスとコラボしていますが、これはオメガのようです。

 

 

ハズシでミッキーマウスだから何でもいいというわけではないのでしょう。


サルトリアのスーツにミッキーマウスの時計というのも日本人にはない感覚ですね。

 




 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダブルブレストのソラーロのスーツにレトロポロのコーディネート。

 

 

ソラーロのスーツはコットンスーツと並ぶ今シーズンのトレンドのスーツです

 

 

パンツはノープリーツですが、股上も深く腰周りにゆとりのあるシルエットです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルトループ付きのパンツをベルトレスで穿き、クリップタイプのサスペンダーをしています。

 

 

皆さんが思っている以上に、イタリアではサスペンダーが一般的なアイテムになっています。


英国好きの人にとっては、細い帯のクリップタイプのサスペンダーなどありえないという方がほとんどだと思いますが、それも時代が変わったということだと思います。

 

 

単純にアクセサリーとして取り入れているというのが今の傾向なので、ルールやセオリーに縛られないことが、サスペンダーがこれだけ流行る要因になっているのだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャガードのニットポロは彼のブランドのモノです。

 

 

今シーズンのトレンドに ”レトロ” というキーワードがありますが、まさにレトロ感漂うニットポロです。


絶妙のトーンのボルドーが玉虫色のスーツとよくマッチしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでもチーフはプリント

 


本当に柄物のチーフをする人が増えました


これも ”脱イタリア ステレオタイプ” の流れだといえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

靴はブラウンスエードのタッセル。

 



表革のシューズを履いている人が増えているのは明らかな傾向ですが、スエードの靴が古くなったわけではないのでご安心ください。

 

 

大事なのは、全体の雰囲気とマッチしているかどうかということです。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時計はROLEXのサブマリーナにミリタリーグリーンのNATOストラップ。

 

 

英国好きのイタリア人にとっては、007の影響もあってサブマリーナ×NATO ストラップは由緒正しいハズシ技なのだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サルトリア仕立てのグレースーツにレジメンタル タイというコーディネート。

 

 

 

 

昨年の6月のPITTIでは、クラシックなレジメンタル タイをした人をかなり見かけました


サプライヤーの提案はほとんどないので、業界人達の間で自然発生的に起こったトレンドだと言えます。

 

 

クラシック回帰の流れの中で、このようなクラシックな柄のタイが、彼のような若い世代の人たちにとっては何の先入観もなく新鮮なものに感じるのだと思います。


サスペンダーもクリップ式で、敢えて前側に寄せて着けて目立つようにしています。

 

 

英国ではサスペンダーは見せるものではないので、見えないようにするのがルール。

 

 

わざと見えるように付けるなんて邪道だと怒られるでしょう。


因みに、彼は英国人。


英国人が皆サヴィロウで仕立てたようなスーツを着ているというのも、今の時代間違った認識だと思います。


少なからず若い世代の英国人には、英国的なステレオタイプのスタイルはかなり少なくなっているというのは、奇しくもイタリアのそれと同じ傾向だといえます。

 

 

 

 

 

 




靴はブラウン スエードのタッセル。

 

 

英国人の彼が英国のルールを守るのであれば、このスタイルにはブラックカーフのオックスフォードということになりますが、彼にとっては、そんなに退屈な合わせはないということなのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーツに関しては、上着の変化はあまりなく、前回のジャケット編の内容を見ていただければ間違いないと思います。

 

 

 

組下のパンツはプリーツ入りが主流になっているのは間違いない傾向で、サイドアジャスターを付けたベルトレスのモノも増えてきています。


10数年前にノープリーツのパンツが主流になった時も、ジャケットにはノープリーツを合わせてもスーツはエレガントに着るものなので、パンツはプリーツ入りという流れがしばらく続いていました。


そして、クラシックなスーツスタイルが再注目されている今、スーツの組下はエレガントなプリーツパンツという流れになるのは自然な流れです。

 

 

現地では、20代後半から40代前半までの比較的若い世代ほどプリーツパンツを穿き、50代以上の人たちほど、未だにピタピタのスリムなパンツのスーツを着ている人が多いというのが実情です。

 

 

因みに、私も2年位前から新調するスーツは全てプリーツパンツにしていました。

 

 

現地でしっかり流れを見ていれば、そうなるのは当然なのです。

 

 

そして、ノープリーツのパンツもプリーツ入りに直して穿いています。


ノープリーツをプリーツ入り?

 

 

それにについては、また別の機会に。


 

 

 




 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに買い物しました。

 


シャツを2枚買い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BORZONELLAのBDはオックスフォードとホワイトデニムに続いて3枚目。

 

 

襟型もディティールもとても気に入っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一枚は、今シーズンから展開するナポリのBORRIELLO

 

 

ブラウンのスーツをオーダーしているので、それに合わせようと思っています。

襟型も今シーズンの気分。

ワイド系はたくさん持っているので、今シーズンはレギュラーやセミワイドを重点的に買い足そうと思っています。

 

3箇所ハンドで¥23,000というコストパフォーマンスも魅力です。