PITTI UOMO 93 初日
明けましておめでとうございます。
10年以上前の服
暫く着ていないのですが断舎利しない服が結構あります。
それでも5年くらい経つとさすがに古く感じてしまい、処分するものが多くなるのですが、ずっと持ち続けているものもあります。
最近はクラシックな傾向が戻ってきているので、一巡して10年以上前に着ていた服をまたクローゼットから引っ張り出して着ることが多いです。
今回はそんな10年以上前に買って今また新鮮に感じている服をご紹介します。
10年以上前に購入した BOGLIOLI のジャケット。
今はないSARTORIAラインのジャケットです。
当時既にボリオリは製品染めのジャケットを主力にしようとしていた時期でしたが、BEAMSはこのサルトリアラインに注目していました。
当時日本でボリオリのテーラードラインは接着芯のマシンメイドラインをバイイングするショップが多かったのですが、BEAMSは毛芯仕立てのサルトリアラインに拘ってオーダーしていました。
もともとボリオリはLUCAS MODA(ルーカス モーダ)という会社で、当時メゾン系ブランドのスーツやジャケットなどを製造する優秀なファクトリーでした。
当時は特にETROのスーツやジャケットを製造していることで有名でした。
毛芯縫製だけでなく、上衿もつなぎの無い一枚襟で作られていました。
こういうところも当時サルトリアラインをオーダーしていたポイントでした。
現在当時のボリオリクラスと同等のブランドで一枚襟で作られているブランドはほぼ見当たりません。
それどころかイタリアのブランドで20万円以上するスーツでも2枚襟になっているブランドが多いのが現状です。
BEAMSの日本製のオリジナルは今でも一枚襟に拘っているので、アイロンで生地を成形できないコットン素材と一部のカジュアルなジャケット以外は今も一枚襟で作られています。
因みに、これが2枚襟。
上衿の内側の真ん中に縫い合わせて繋げられている部分があります。
これは上衿を作るときの工程を簡略化できるので、いわゆるマシンメイドのファクトリーはほぼこの作りになっています。
イタリアだけでなく、日本の工場もこの一枚襟ができなかったり、やりたがらない工場が多くなっているのも実情。
洋服はスペックだけで語られるものではなく、作りが凝っていれば何でもいいわけではないので、私も二枚襟のものも普通に着ますが、高価なブランドはできれば一枚襟で作って欲しいというのが正直なところです。
この襟の作りに関してはもっと深い部分があるので、また別の機会に書きたいと思います。
生地はベージュにブラウンのウィンドウペンという今の流れにピッタリの色柄です。
太めの襟幅も今の気分。
このジャケット、イタリアの取引先の人達にすごく評判がいいんのです。
以前から着ていると結構褒められることが多いです。
ベージュにブラウンという上品なカラーリングは、いかにもイタリア人が好きそうな色合いです。
ボタンは今見るとちょっと古臭く感じます。
当時はブランドの特徴を出すために、各ブランドが特徴のあるボタンを使っていました。
ボタンはオーソドックスなブラウンのナットボタンに替えました。
それと、袖口の幅が広かったので5mmほどお直しで細くしました。
こういう微調整は必要ですが、とても10年前の服には見えません。
ボリオリのサルトリアラインのジャケットは何着か持っていましたが、残っているのはこの1着だけ。
断舎利しなくて良かったです。
これも10年以上前に購入したSARTORIA PARMAのコート。
当時MACOと言われていた現在のCARUSOのファクトリーで作られていたBEAMSのオリジナルモデルです。
フロントは当時のテーラードコートの主流だった比翼仕様。
マルティンガーラ(バックベルト)は長さ(絞り具合)と位置に拘って作ったことを今も覚えています。
当時あまりなかったシングルでターンナップのカフは今見ても新鮮です。
サイズは42ですが、確実に今の46くらいのサイズ感です。
着丈も97㎝と長いので、まさに今の流れに合っています。
因みに、このコートも上衿が一枚襟です。
カルーゾのコートは接着芯を使わないフル毛芯による本格的な仕立てが当時から特徴でしたが、それは今も変わりません。
今やフル毛芯のイタリア製のコートで20万円以下の値段のものはおそらくカルーゾだけでしょう。
このコートも当時ETHOMASの生地を使って15万円以下で売られていたので、カルーゾは当時から相当コストパフォーマンスが高かったと言えます。
ただ、イタリアン クラシック全盛のころはテーラードの本質よりも値段が高いものが良いという風潮が強かったので、カルーゾが単に安いコートとして扱われていたのは今での残念に思っています。(苦笑)
このコート、今シーズンかなり着ています。
ピタピタではないゆとりのあるシルエットと長めの着丈はまさに今の気分です。
比翼もカジュアル傾向の頃は堅く感じていましたが、クラシックな傾向が戻ってきている今では逆に新鮮に感じます。
このシルエットとディティールであれば、これから先また5年は着られそうです。
かなり長い間着ない時期もありましたが、一巡して今また新鮮と言う感じです。
これも断舎利しなくて良かった一着です。
そして、もう一着はRAFFAELE CARUSOのコート。
上のサルトリア パルマと同じカルーゾでスミズーラしたコートです。
当時このRAFFAELE CARUSOのラインがカルーゾの最上級ライン(ハンドライン)でした。
CASENTINO(ナッピング ウール)のポロコートです。
ディティールも基本に忠実なポロコートです。
このコートは個人的にスミズーラでオーダーしたものですが、当時スタッフやお客様に非常に評判が良かったので、翌年店用にオーダーしたと言うエピソードのコートです。
当時のPITTI UOMOはカセンティーノのコートを着た人が非常に多かったので、自分もそれに影響されて初めて作ったナッピングウールのコートがこのコートでした。
生地がかなり重くて、おまけにダブルのポロコートなので実際に着てもかなり重いです。
その後、色々な経緯もあってもう少し軽いナッピングウールが出て来たので、今はこんなに重いコートにはならないでしょう。
私より上の世代でクラシックな服が好きな人は、この当時の重いナッピングウールの方が好きだという人も多いですが、私もそのひとりです。
ゆったりしていて着丈が長くて重い、まさにクラシックスタイル全盛の頃のサルトリアで仕立てたコートのような趣があります。
オーダーした時は肩パッドが入っていましたが、数年前に肩パッドを抜くお直しをしました。
当時のものが今着られると言っても多少のモディファイは必要です。
それが古いものを今の雰囲気で着るときの重要なポイントでもあると思います。
このコート、イタリア出張に持って行こうと思っているのですが、いかんせん重いのとかさばるのがネック・・・
以前はこのコートを着ていると現地の人たちにすごく褒められたものです。
イタリアのクラシック好きの人であれば誰でも知っているヘリテージな素材、ゆったりしたシルエットと長い着丈もまさに今のクラシック回帰の流れを象徴しているようなコートです。
現地の人が見ても、今またナッピングウールのポロコートは魅力的に見えると思います。
クラシックは変わらないと言われますが、クラシックにも時代時代で流行は必ずあります。
この10年くらいで見れば、その流行はスリムなシルエットとドレススタイルのカジュアル化だったと言えるでしょう。
そして、またクラシックな流れが戻ってきているので、10年以上前に買ったジャケットやコートが新鮮に感じるのも自然な流れです。
でも、10年以上持ち続けるのは難しいですよね。
新しい流れが来ればクラシックな服でも古臭く感じてしまうのは仕方ないこと。
それが時代性だと思います。
スリムなシルエットのものもすっと持ち続ければまた着られる時が来るかもしれません。
何はともあれ、ワードローブが3着増えました。
この中でどれかはイタリア出張に持って行きます。
イタリア人もこれが10数年前のものとは思わないでしょうね。(笑)
オーダーと買い物
暮れも押し迫ってきているというのに、先週まとまってオーダーしていたものが上がってきました。
ずいぶん遅くない? という方も多いと思いますが、シーズン終盤と言ってもこれから2月末くらいまでが一番寒いので、今の時期にオーダーが上がってきてもまだまだ着る機会はあるものなのです。
年明けのイタリア出張に何を持って行くかという問題もあるので、この時期にバリエーションが増えるのは助かります。
そして、この時期のオーダーは来年の秋冬の流れも見えてきている状況でオーダーするので、生地選びやディティールも来年の秋冬を見据えてのオーダーになります。
今回は先日上がってきたジャケットとスーツとパンツ、そして最近購入したモノをご紹介します。
ジャケットはブラックウオッチのブレザー。
何故いまタータンチェックかと言うと、来秋冬タータンチェックが来そうなのと、個人的にもトラディショナルな柄が今の気分なので、今回はブラックウオッチの生地でブレザーをオーダーしました。
生地はなるべく濃い色のブラックウオッチを探していたのですが、インポートの生地バンチにはイメージどおりのものが無く、知り合いのつてを頼って日本製の生地を選びました。
シェットランド ウールなのでドライなタッチですが、ハリスツイードほどの粗さはありません。
かなり濃いトーンのチェックはイメージどおり。
ポケットはチェンジポケット。
元々クラシックな雰囲気で仕上げたかったので、最初からチェンジポケットのイメージしかありませんでした。
因みに、モデルはBEAMS Fの肩パッドなしのモデル(通称センツァ)なので、軽さと柔らかさはそのままにディティールだけ英国っぽくしました。
英国調と言っても、イタリア的な仕立てに英国のディティールと言うのが今の流れなので、チェンジポケットを付けたからと言って仕立てまで英国調にする必要はありません。
それが今の時代性を持った英国調という事ですね。
裏地は明るいグリーンにしてみましたが・・・・
英国的な雰囲気で仕上げるつもりが裏地だけ妙にイタリアっぽくなってしましいました。
これは正直失敗。(苦笑)
濃いグリーンの方が良かったですね。
ボタンは以前も紹介したオールドBEAMS Fのブレザーボタン。
来年はBEAMS Fの40周年なので、30年以上前に作られた初代のブレザーボタンに敬意を表してこのボタンを選びました。
ブラックウオッチのブレザーは我々世代にはかなり懐かしいトラッド?なジャケット。
トラッドとは昔アメリカや英国のトラディショナルな洋服やスタイルを総称してトラッドと呼んでいました。
和製ファッション用語ですね。
メンズクラブが最近トラッドという言葉をよく使っていましたが、私にとってもブラックウオッチのブレザーは70年代や80年代のメンズクラブのイメージです。
我々世代には懐かしいブレザーですが、若い世代の人たちにとってはなんだかよく分からないという感じかもしれませんね。
もしかすると学校の制服というイメージかもしれません。
最近リバイバルなアイテムが多いので、世代によって理解度が違うもの仕方ないかなと言うのが正直な印象です。
スーツは久しぶりにネイビー系。
英国のFOX BROTHERSのフランネルの生地でオーダーしました。
柄も英国っぽいウィンドウペンをチョイス。
フランネルは英国のフランネルがいいですが、その中でもフォックスのフランネルがベストですね。
イタリアの生地よりかなり高いですが、余裕があれば自分が着るフランネルは全部フォックスにしたいくらいです。
スーツもチェンジポケット。
生地がフォックスのフランネルですから、オーダーで作るならディティールも当然英国調と言うのが私のイメージです。
仕立てはジャケットと同様BEAMS Fのパッドなしのモデルです。
パンツはBEAMS Fの2インプリーツのサイドアジャスター。
サイドアジャスターの形状はピストル型と言うクラシックなディティールに拘っています。
ウエストの後ろに向かってせり上がっていくパターンも非常にフィッティングが良く穿きやすいです。
因みに、私は左側のヒップポケットは使わないので右側のポケットだけ付けています。
この方がよりオーダーらしいので個人的に拘っている仕様です。
裏地はパープルにしました。
これは正解でした。
英国のビスポークスーツみたいでイメージどおりでした。
因みに、パープルは英国では高貴な色と言われていますが、イタリアでは不吉な色と言われています。
最近はイタリアの製品でもパープルのカラ―は多く見られますが、10年以上前はイタリアのブランドでパープルはほとんど見られなかった色です。
ヨーロッパでも国が違うと色に対する認識も随分違うものです。
今回はダブルのジレを付けました。
ジレは着たり着なかったりですが、着こなしのバリエーションンが広がるので今回は作りました。
しかし、背裏はネイビーにすれば良かった・・・
上着脱いだ時背中がパープルはちょっとやり過ぎな感じです。
これは注意すべき点でした。
コーディネートはシャツもネクタイもイメージができているので後日アップします。
タイドアップだけでなく、ネイビーやチャコールグレーのタートルネックを合わせようと思っています。
タートルの時はもちろんジレは着ません。
最近タートルにジレというスタイルをよく見かけるのですが、個人的にはかなり違和感あるんです・・・
特にジレの裾からニットの裾のリブが見えているのは個人的には完全にアウトなんです・・・
最近インポートもオリジナルもオーダーはチェンジポケットやサイドアジャスターを選ぶことが多いのですが、それは選ぶ生地のイメージによるところが大きいです。
つまり、英国製の生地やイタリア製の生地でも英国っぽい生地を選ぶ時は英国的なディティールにします。
一方、イタリアっぽい生地でオーダーする場合は、ジャケットならパッチポケット、スーツならフラップポケットでパンツはベルトループ付のプリーツパンツという組み合わせが多いです。
今は英国製や英国調の生地を選ぶことが多いので、必然的にチェンジポケットやベルトレスが多くなるという事ですね。
ここ10年くらいのカジュアル傾向の時は忘れられていた、素材感や柄のイメージでディティールを選ぶと言うことが今また重要になってきていると思います。
パンツもオーダーしました。
デニムのベルトレスが欲しかったのですが、今シーズン既成では展開していなかったのでオーダーで作ってしまいました。
生地は岡山のデニム生地を個人的に探してオーダーしました。
イタリア製のデニムよりはるかにクオリティーが高いです。
最近はイタリアのブランドでも日本の生地を使うようになり、日本製のコットンやデニムの評価がかなり高くなっています。
スティレラティーノも日本のコットンやデニムを使っていますが、イタリアにしてみれば輸入生地なので結構高いんです。
この生地もイタリアに輸出してイタリアブランドで作れば相当高いパンツになるでしょうね。
パンツは上のスーツの組下パンツと同じ2インプリーツでピストル型のサイドアジャスターが付いたモデル。
このパンツも左側のヒップポケットは付けませんでした。
既製服には無い仕様なので、見る人が見れば明らかにオーダーのパンツだとわかる仕様です。
自己満足の世界でもあります。(笑)
毎年のことながら、年末ギリギリにバタバタとオーダーが上がってきたり買い物をしたり・・・
計画性が無いわけではないのですが、洋服をバイイングしたり、企画したり、作ったりしていると、自分の服は後回しになりがちです。
毎シーズンかなり出遅れますが、その分先の事も見えてくるので、一年先を考えたオーダーや買い物もできるという面もあります。
もちろん、BEAMSで展開しているものが一年や二年で着られなくなることはありませんが、大事なのは今持っている服と合わせられて、来年新たに買うであろう服とも合わせられそうなものを選ぶこと。
私のシーズン後半のオーダーや買い物はそういうものが多いです。
そして、最近買ったものはこんなもの。
DRAKE'S レジメンタルタイ。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/suit/21445318107/
グリーンとブルーとベージュという、さすがドレイクスという絶妙なカラーコンビネーション。
ブレザーに合わせようと思い購入しました。
BREUERのペイズリープリントのタイ。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/suit/21445184210/
ビンテージ マダー風のペイズリーが刺さりました。
深みのあるグリーンとボルドーのトーンは、ブラウンやベージュのジャケットやスーツとも良く合います。
GUYROVERのオックスフォードのタブカラ-。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/shirt/24111399531/
ワイド系はたくさん持っているので、最近購入するドレスシャツはタブやレギュラーやラウンドが中心になっています。
ギローバーのシャツは手頃な値段も魅力ですが、ネクタイを締めた時のネックの収まりがすごくいいのが特徴です。
台襟の形状に特徴があるのですが、かなりマニアックな話なので、それはまた別の機会に。
GERMANOの2プリーツのサキソニー。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/pants/24230435081/
コットンの白とベージュに続き今シーズン3本目のジェルマーノ。
この2プリーツ、本当にシルエットが綺麗で穿きやすい。
少し濃いめのミディアムグレーが久しぶりに気分です。
SIVIGLIAのコーデュロイ。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/pants/24210140115/
ベージュやオフホワイトのコーデュロイのファイブポケットは私の定番アイテムです。
ファイブポケットもパンツと同様にシルエットが変わってきているので、最近新しいモノに買い替えを進めています。
このモデルは2DN2という、今までのスリムなモデルと比べると股上も深くシルエットもストレートに近いモデル。
簡単に言ってしまうとリーバイスの501みたいなシルエットです。
今後はこんなモデルがファイブポケットの主流になっていきそうです。
ANDREA FENZI のケーブルタートル。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/tops/24150158210/
ニットジャケットに続いて今シーズン2着目のアンドレア フェンツィ。
キャメルのタートルは今シーズンの必須アイテムなので、シーズン当初からこれは買おうと思っていました。
¥27.000-というプライスも迷う余地が無かったというところでしょうか。
アンドレア フェンツィは本当にコストパフォーマンスが高いニットです。
グズグズしていたらマイサイズが無くなりそうになり慌てて購入しました。
この他にもまだまだ欲しいモノがたくさんあるのですが、懐具合と相談という感じです。
年末は何かと入用なので買い物は計画的にしなければなりません。
今欲しいと思っているものは、流れを見ても来年必ず着るもの、重宝しそうなものばかりなので、今買うか来年にするかというところです。
在庫が少なくなってきているものもあるので早めに決断しなければなりません。
購入したらまたご報告します。
2018春夏 プレス内覧会
11月28日~12月1日までの4日間、2018年春夏のプレス内覧会が開催されました。
今回は新しいオフィスに引っ越して新しいプレスルームで全レーベルを集めた初めての内覧会でした。
我々ドレスチームもちょっとだけ広くなったのですが、初回だったのでなんとなく慣れない感じでした。
今回のメインディスプレイはこの3体。
センターはSTILE LATINOのウールギャバジンのスーツ。
今シーズン私が着ていたものの色違いですね。
しかし、このスーツ既に予約で完売でキャンセル待ちも入っている状況。
追加検討中です。
隣はDEPETRILLOのリネンのスーツ。
GUYROVERのレトロプリントのオープンカラ―のシャツを合わせました。
昭和な感じのコーディネートですが、平成生まれのスタッフや編集者の人達には?という感じでした。(笑)
来春夏はリネンがトレンド素材として注目されているので、リネンやリネン混のスーツも多く展開しています。
リゾートのコーナーはCINQUANTAのスエードのサファリにGTAのグルカショーツ。
シャツはGUYROVERのプリントシャツを合わせました。
このスエードのサファリ、かなりいい雰囲気です。
グルカパンツやグルカショーツは私が大学生の頃大流行していたアイテムです。
80年代前半頃はセレクトショップやアメカジショップでは必ず置いていたものです。
これもリバイバルなアイテムですね。
来春夏はレトロなリゾートスタイルの流れが更に加速しているので、プリントやリネンのシャツが多くなるのは必然的な流れです。
ドッピオ ウーゾ(ワンピースカラ-)やオープンカラ―、カプリシャツのバリエーションが充実しています。
プリントシャツやカラーリネンのシャツもバリエーションが増えています。
サファリテイストもハズせません。
サファリテイストのアイテムだけでなく、サファリを連想させるカラ-が多いのも来春夏の傾向。
定番のナチュラルカラーのバリエーションと継続しているテラコッタや赤茶系のバリエーション、そして黄土色系のバリエーションを乗せたアイテムが増えています。
サファリは数年に一度必ず出てくるトレンドですが、毎回少しづつ変化して出てくるトレンドなので、その微妙な変化をとらえることが重要です。
リゾートやリラックススタイルにはハズせないドローコード入りのパンツ。
今年の春夏早期に完売してしまったアイテムなので、来春夏はバリエーションも量も豊富に展開しています。
私も今年の春夏GIABS ARCHVIOのデニムを買いましたが、休日かなりヘビーローテーションで穿いていました。
来春夏も何本か買い足す予定です。
レトロ感のあるリゾートスタイルにはエスパドリーユはハズせません。
クオリティーも値段もピンからキリまでありますが、オトナが履いて相応しいモノをバイイングしました。
シューズ業界の流れを見るとEVAやスニーカーソールをつけた江スパドリーユも出てきているので、来春夏はエスパドリーユが注目されているのは間違いないでしょう。
グルカショーツが大流行した80年代前半にエスパドリーユも大流行していたので、当時を知る私にとってはグルカとエスパドリーユが同時にリバイバルするのも理解できます。
PITTIでも多く見られたホワイト×ネイビーのモノトーン コーディネート。
甘めのマリーンテイストとは趣の違う男らしいカラーリングです。
上のBRILLAのFERLAのウィンドウペンは、個人的にもかなり気に入っているので購入しようと思っています。
今シーズン人気だったブレザーは更にバリエーションを増やして展開します。
これはSTILE LATINOのストライプのブレザー。
モダンなレガッタジャケットというイメージです。
これをブレザーでオーダーするのはおそらくBEAMSだけですね。
LARDINIのベージュのブレザー。
実は生地がサマーカシミアなんです。
こんなブレザー仕込むのも、おそらくBEAMSだけですね。
ベージュとボルドーのポロとの相性もいいです。
個人的には、これにホワイトパンツを合わせて足元はブラウンのビットローファーという感じです。
これもLARDINIでコットン×リネンのソーラーロのブレザー。
これは評判良かったです。
アズーロ エ マローネのソラーロのブレザー。
生地にすごく表情があるので、こんなブレザー見たことないという声をたくさんいただきました。
スーツコーナーのハンギング ディスプレイは、STILE LATINOのリネン×コットンのグリーンのソラーロ。
私も西口も来春夏のコレクションで最も刺さった生地です。
ビジネススーツではなく完全なお洒落スーツですが、これも既に予約で完売状態。
追加オーダーをしましたが生地が無く不可能でした。
BEAMSのお客様は本当に早いです。
いつもありがとうございます。
これもSTILE LATINOでウール×モヘアのスーツ。
スティレラティーノのダブルは襟がいいですね。
ラウンドした大きな襟が絶妙ですが、クラシックで色気があるというのはこういうラインのことを言うのです。
因みに、このスーツも予約で完売・・・
スティレラティーノの人気は本当にすごいです。
でも、着ればわかるんです。
同価格帯の他のブランドとの明らかな違いが。
ネクタイは引き続きヴィンテージテイストがトレンドですが、英国調だけでなくレトロなアメリカ調のプリントやレジメンタルのバリエーションが増えています。
菱形やオーバル柄は80年代のアメリカンブリティッシュのイメージ、イエローやオレンジやグリーンの色使いのストライプも当時のイメージです。
シューズも色々新しいモデルを展開しています。
ENZO BONAFEのニューモデルやビームスF40周年で復活させたCROCKET & JONESのエプロンフロントやGEORGE CLEVERLEYのローファー、イタリアで大人気のTRICKERSのビーフロール ローファー、自腹買いして今年の夏非常に重宝したPARABOOTのスペリーソールのビーフロールローファーと、サンプルが間に合わなかったENZO BONAFEのビットローファー等々、来春夏もニューモデルがかなり充実しています。
コロニアルカラ―やナチュラルカラーの流れがありますが、一方で色が出てきているのも来春夏の傾向です。
ビームスでもピンクやイエロー、グリーン、ブルーと綺麗な色目のチョイスを増やしています。
定番カラーにちょっとプラスしてニュアンスをつけると取り入れやすいと思います。
そして、内覧会と言えばいつものコレ。
今回は製本してかなり本格的なテキストに仕上がりました。
プレスのスタッフと制作部のデザイナーが頑張ってくれて年々クオリティーが上がっています。
クオリティーが上がるのはいいのですが、私のプレッシャーも増すばかり・・・
今以上にしっかりと流れを見て、小さな変化を見逃さないようにしなければなりません。
今回も喋りまくりました。
毎年この時期はプレコレクションと内覧会が重なっているので大忙しです。
今回も展示会2軒回って、その後4時間以上喋りっぱなしの日も・・・
でも、皆さん毎回真剣に聞いてくれるので本当に嬉しい限りです。
そして、最も大事なのはBEAMSの打ち出しを良いと思っていただいたかどうか。
それは正直わからないんです。
何故なら、クライアントにダメ出しするような人は誰もいないのです。(笑)
なので、いいこと言われてもすぐに真に受けたり調子のったりしないのです。
”おだてられても木に登らない”
これは今までも常に自分に言い聞かせてきたこと。
私くらいの年齢や立場になると厳しいことを言う人は少なくなるので、自己評価はより厳しくしないとダメなのです。
誰にも言われない、いいことしか聞こえない、だからそれでいいと言うことは絶対にないのです。
と言うことで、無事に内覧会も終了し、年明けには春夏モノの入荷が始まります。
そして、1月9日からはPITTI UOMO。
もう2018年秋冬ですね。
既に傾向も見えてきました。
プレコレの傾向や生地の傾向を見ればわかるものなのです。
それがプロの仕事。
偉そうなこと言ってすみません・・・
MEN'S EX 連載 1月号
MEN'S EX 1月号が発売されました。
雑誌はもう新年号ですね。
今回の特集は ”お洒落のデリカシー”
確かに、MENS'S EX的なお洒落は何でもありではなく、節度あるデリカシーが必要ですね。
私が気になった特集がこれ。
MEN'S EXには珍しい女性による男性ファッションの座談会。
以前は多くのファッション誌でこのような座談会が特集されていましたが、当時の最終的な結論は ”白いTシャツやシャツに洗いざらしのデニムが似合う男が一番” というのが多かったような・・・
でも、男の立場から言えばそんな人滅多にいませんよね。(苦笑)
イケメンでスタイルがいいというのが最低条件。
古くは白洲次郎、近年では吉田栄作くらいでしょうか。(笑)
今回もやはり・・・・
白シャツとデニムはハズせないみたいですね。
女性が思い描く永遠のカッコいい男性像なんでしょうね。
黒いライダースジャケットと着丈の長いコートが入っているのが今の時代感でしょうか。
私の連載 ”中村達也の今、買いのアイテム”
今回のテーマは ”英国調クラシック鞄” です。
最近このブログでよく書いていますが、イタリア人の英国好きはファッション業界に長くいる人は誰でも知っていること。
90年代後半から2000年代のイタリアンクラシックブームの頃も、イタリアのモノと英国のモノをミックスするスタイルがウエルドレッサーのひとつの条件でもあったのですが、何故か日本に紹介されるモノやコトは極端なイタリアンスタイルばかりでした。
ドゥエ ボットー二のシャツ、色のステッチが入ったシャツやジャケット、ノルベジェーゼの靴等など、今となっては笑えるものばかり。
さらに、イタリアの製品でなければイタリアのスタイルではないというような風潮が日本ではあったので、イタリアのクラシックスタイルは相当曲げられて伝えられていたというのが当時の実情でした。
正しいことを伝えようと思い、試行錯誤するものの当時は多勢に無勢。
おまけに、その頃はまだこの業界でも若造だったので、なかなか信用されず・・・(苦笑)
せめて社内には正しいことを伝えようと、当時出張でミラノやフィレンツェに行くとかなり多くの写真を撮っていました。
当時の写真から英国のバッグが写っているモノをピックアップしました。
これらの写真は、96年くらいから2000年代前半のミラノやフィレンツェのセレクトショップのディスプレイ。
ご覧のように、英国ブランドのバッグや靴、傘がディスプレイされているのがわかります。
この頃は、イタリアのハイクオリティーなジャケットやスーツやパンツを扱う店でも、英国製のアイテムを扱う事がその店の格を表す時代でした。
CHURCH’Sのシューズ、BURBERRYのコート、BRIGGやFOXの傘、SWAINE ADENEYのバッグ、REYNOLS & KENTのグローブ、JOHNSMEDLEYやBALLANTYNEのニット、DRAKE'Sのタイ等など・・・
洋服好きが一目置くような店は必ず英国製品を扱っていたものです。
今も根本は変わらないのですが、ここ10数年のカジュアル傾向の時代にあっては、そのようなこだわりも薄れてしまっていたのも事実。
しかし、カジュアル化の波が終焉し、本来のドレススタイルが戻って来たここ数年は、現地でも当時をリアルに経験していない30代から40代前半くらいの若い世代を中心に、そのようなイタリアのテイストと英国のテイストをミックスすることが ”わかっている人のスタイル” になってきているのです。
ここ数年、BEAMSがBARBOUR、JOHNSMEDLEY、JHONSTONS、BEGG & CO、GRENFELL、JOHNCOMFORTなどの英国ブランドを積極的にバイイングしているのも、その流れを理解しているからなのです。
STILELATINOのジャケットやスーツやコートのバイイングも、ここ数年は英国素材が多くなっているのを既に気付いていらっしゃる方も多いと思います。
つまり、BEAMSのお客様は、そのような流れを知らなくても既に自然とイタリアと英国のミックススタイルをされているという事なのです。
そのような流れの中で、バッグに関しても英国調のバッグが再び注目されてきています。
このように、英国ブランドや英国調のバッグを持つ人が数年前から現地でも徐々に増えています。
上段の画像の人のバッグはかなり年季が入っていますが、おそらく昔使っていたバッグを引っ張り出して使っているのでしょう。
こんな風に、古いモノを今のスタイルに合わせることが新鮮だと感じているファッション関係者は多いと思います。
因みに、私も90年代はこんなバッグを使っていました。
本誌でも解説していますが、このような英国調のバッグを取り入れるポイントは、難しく考えず今のスタイルに取り入れることです。
要は、今のスタイルに英国的なテイストを取り入れてコーディネートを新しく見せることがポイントなので、特にこのバッグを持つからスタイリングが変わるという事はありません。
うちのイケメンのインスタにもアップされていますが、こんな風にいつものスタイリングに取り入れるだけで服もバッグも新しい見えるものなのです。
古くからあるものを今のスタイルに取り入れることで、双方が新鮮に見える相乗効果。
最近そういうのが多いと思いませんか?
ずっとイタリア血中濃度の高いカジュアルスタイルが続いていたので、それ以前の事を知らない人にとっては英国調を難しく考える人も多いですが、英国テイストはずっとイタリアのスタイルと密接に関わってきたものなのです。
英国調のバッグも久々のリバイバル、クラッチバッグは特に取り入れやすいのでお勧めです。
取り入れるか取り入れないかは皆さんの自由です。
これを取り入れなければ流れに乗り遅れるという事もありません。
ひとつ言えることは、このようなバッグを持ってPITTI UOMOに行けば、
ウェルドレッサー達から ”お前わかってるな” と称賛される。
そういう類のものであることは間違いないのです。
それにしても似てますね・・・
ISAIAやGRANSASSOやSEALUPを扱うSDIの藤枝社長。
画像だけなら兄弟でとおりそうです。
ファッション業界人にしかウケないネタ・・・
すみませんでした。
チェンジポケット
ここ数年、英国調やクラシック回帰の流れが来ていることもあり、イタリアのサプライヤー(ブランド)のコレクションでも増えているチェンジポケット。
ビームスでもチェンジポケットを付けたモデルを多く展開していますが、完売するものも多く,,、流れに敏感なお客様には受け入れられている一方で、突然出て来たトレンドだと思って敬遠されるお客様が多いのも事実。
90年代の英国調ブームを経験していない世代にとっては見たこともないディティールと言うのも仕方ないことだと思いますが、過去にイタリアでもチェンジポケットが大流行したことがあるので、その時代を知る人たちにとっては全く違和感がないどころか、むしろ懐かしいディティールだと思います。
当時の写真がありますのでお見せします。
この画像は90年代前半から98年くらいまでのミラノやフィレンツェのセレクトショップのディスプレイ。
ジャケット、スーツだけでなく、コートもチェンジポケットが付いていますが、さらに英国感の強いスラントポケット(斜めポケット)も見られるのが当時の流れを物語っています。
ほとんどのショップが今も現存するショップで、ディスプレイされているジャケットやスーツやコートも皆さんが良く知っているイタリアのブランドのモノです。
90年代はファッション全体で英国調が大きなトレンドになっていたので、イタリアのクラシックも英国スタイルに大きく影響されていた時代でした。
上の画像でも分かるように、襟の返り位置の高い英国のサビルローのようなスーツやジャケットをイタリアのブランドも積極的に打ち出していた時代でした。
前回のブログでお伝えしたように、イタリア人は英国に対する憧憬が非常に深いので、英国調がトレンドになれば英国のスタイルを取り入れるのは当然の流れなのです。
余談ですが、80年代後半から90年代前半頃にはバブアーのオイルドジャケットやハスキーやラベンハムのキルティングジャケットもイタリアで大流行しました。
当時はドレスアップしたスタイルにオイルドジャケットやキルティングジャケットを着た人がPITTIの会場だけでなく、フィレンツェやミラノの街でも多く見られました。
最近SNSでイタリアブランドのジャケットにバブアーを合わせている人を見掛けることが多いですが、私だけでなく当時のイタリアを知る人達にとっては新しいと言うよりは懐かしいと思う人の方が多いのではないかと思います。
そのオイルドやキルティングジャケットの流行の後にテーラードコートの大ブームが起きて現在に至っているという流れなのです。
このチェンジポケットのジャケット、ディティールは同じでも当時流行ったものがそのままリバイバルしている訳ではありません。
当時は肩パッドがしっかり入った構築的な仕立てが主流だったので、今の軽く柔らかい仕立てとは真逆だったと言えます。
フロントボタンに関しても、Vゾーンの浅い3ボタンで英国調をより強くアピールするのが当時のスタイルでした。
その後、90年代後半から2000年代前半にイタリアン クラシックブームが起きると、ナポリのサルトリアのテクニックが注目されるるようになり、徐々に柔らかく軽い仕立てと柔らかくロールする段返りの襟が主流となり、エレガンスを追求するような流れも出てきたことで、腰ポケットのフラップを省いたスーツがイタリアの定番スタイルになったのです。
ジャケットはカジュアルな傾向が強まるにつれて、チェンジポケット→フラップポケット→パッチポケットという流れでディティールが変化していきます。
その過程において洗いや後染めのジャケットが流行したこともパッチポケットのジャケットが主流となったひとつの要因だと思います。
このように、クラシックなアイテムは変わらないものではなく、仕立てもシルエットもディティールも、その時代の流れを取り入れながら変化していくものなのです。
つまり、チェンジポケット、プリーツパンツ、ベルトレス、ゆったりとして着丈の長いコート等、ここ数年出てきているモノは全て過去に流行したモノが当時のままではなく、今の時代性を加味したうえで再び注目されているのであって、とっぴおしもなく新しいモノが突然流行ものとして出てきているわけではないのです。
情報に流されることはないですが、流れを全く取り入れなければいつの間にか古臭いスタイルになってしまうのも事実。
来年の秋冬も英国調の流れは続くので、英国的なアイテムやディティールが更に注目されるのは間違いなさそうです。
最近英国という言葉が多く出てくるので誤解されている方も多いと思いますが、要はイタリアと英国のミックススタイルが今の流れであるということなのです。
チェンジポケットが嫌いな人は取り入れなくても流れに乗り遅れることはないのでご安心ください。
ただ、皆さんが注目しているようなイタリアのブランドも英国的なディティールを積極的に取り入れる傾向にあることは頭の片隅に入れておいていただければと思います。
なので、小さいチェンジポケットが付いただけで余計なディティールとか過剰なディティールとか思わないでくださいね。(笑)
オーダースーツ
オーダーフェアも終わった後、かなり遅れてオーダーしたスーツが上がってきました。
ブルー系やグレー系のスーツは何着も持っているので、秋冬物としては久しぶりのブラウンのスーツ。
ベースモデルはBEAMS Fの肩パッドなしのモデル。(通称 センツェ モデル)
軽くて柔らかい着用感ながら、メリハリのあるシルエットが出るのがこのモデルの特徴です。
最近はチェンジポケットのジャケットが気分なので、今回もジャケットはチェンジポケット。
私がBEAMS Fのショップマネージャーだった90年代の英国ブームの頃に流行ったディティールなので、懐かしくもあるディティールです。
裏地は少しオレンジかかったブラウンをチョイス。
裏地は表地に対して少しコントラストを付けるのが私流です。
パンツはBEAMS Fの2インプリーツのサイドアジャスター。
これも最近最も気に入っているモデルです。
インプリーツのサイドアジャスターも私がBEAMS Fのショップマネージャーだった90年代の英国ブームの頃に流行ったディティールです。
当時BEAMSのスタッフや顧客様の間で大流行したディティールで、英国のファクトリーメイドやフランスのBERNARD ZINS(ベルナール ザンス)、BEAMS Fのオリジナルでも展開していました。
もちろん、BEAMS Fのオリジナルのスーツでもチェンジポケットでサイドアジャスターのモデルを展開していました。
因みに、サスペンダーボタンが付いていますが、私はアジャスターを絞って穿きます。
今シーズンのバイイングを行った1月のPITTI UOMOでもチェンジポケットやサイドアジャスターのディティールは多くのブランドから打ち出されていました。
LARDINI
襟付のジレにワンプリーツのサイドアジャスターのパンツのスーツ。
TAGLIATORE
チェンジポケットの付いたツイードジャケット。
チェーンが無ければ、コーディネートも英国っぽいですね。
BELVEST
更に英国色の強いスラントポケットにチェンジポケット。
いくら英国調の流れと言っても、ベルベストがスラントポケットのモデルを出すとはちょっと意外でした。
ご覧のように、これまでの柔らかなイタリア的なテーラードに英国テイストを乗せるのが今の流れであることは間違いないです。
意外と知られていないのですが、イタリア人は英国に対する憧憬が深いので、これだけクラシックなスタイルが戻ってくれば、英国的なディティールが流行るのは当然と言えば当然なのです。
因みに、イタリア人の服装に対しての最上級の褒め言葉があるのですが、そのひとつが ”MOLTO INGLESE(モルト イングレーゼ)” 直訳すると ”すごく英国っぽい” という感じでしょうか。
ドレススタイル全盛だった90年代後半から2000年代前半頃には良く聞かれた言葉でしたが、ここ数年またイタリア人達がよく口にするフレーズです。
今回オーダーしたこのスーツも ”モルト イングレーゼ” なスーツという事になりますね。
生地は私が監修しているこのバンチから私がチョイスした生地で仕立てました。
メランジの強いブラウンのフランネル。
おそらく、この生地を直感的に選ぶ人はかなり少ないと思います。
私がこの生地を選んだポイントは、ブラウンのデニムに見えるところ。
最近デニムやデニム調の生地がトレンドになっていますが、ウールのフランネルでブラウンのデニム調と言うのは、今まで見た記憶がありません。
因みにこの生地、来年の秋冬のカノニコのコレクションにも入っていますが、少しトーンが変わってグレイッシュになっています。
こっちの方が落ち着いた感じですが、個人的にはブラウンの色味が強い方が好みなので、結果的に選んだ生地でオーダーして正解でした。
でも、そんなにオーダーが入る生地ではないので、来年もこのバンチに残っているかもしれませんね。(笑)
余談ですが、これは来年の秋冬のERMENEGIRDO ZEGNAのコレクションに入っているデニム調の生地。
その名も ”TROFEO DENIM”
もちろんウール100%でゼニアを代表する高級素材 トロフェオのクオリティーのデニムです。
これでスーツを仕立てたら、ものすごく贅沢なデニムスーツになりますね。
とにかくデニム調と言うのは、今イタリアの生地業界ではちょっとしたトレンドになっているのです。
ブラウンスーツは春夏でこのスーツをかなり着こんだので、コーディネートのイメージは既にできています。
シャツは上の画像のようなブラウンのストライプやワインレッドのストライプが良く合います。
そして、パープルやピンクの無地やストライプも良く合いますね。
秋冬はスーツにタートルを合わせてもいいので、ブラウン系のタートルでワントーンのコーディネートもいいと思います。
このスーツもモヘアのブラウンの生地でチェンジポケットに2プリーツのサイドアジャスターのパンツです。
これもイタリア人が見れば、”モルトイングレーゼ” なスーツという事になります。
ここ数週間、来年の秋冬のプレコレクションを見ていますが、どのブランドも英国的なテイストが更に強くなっています。
”イタリア テイストで英国っぽい” とか” 英国テイストでイタリアっぽい” とか、そういう流れが今年より強くなるのは間違いなさそうです。
英国的なディティールに懐疑的な人も多いようですが、イタリアっぽいスタイルにバブアーを着る人が最近増えていますよね。
実は、これも90年代にイタリアで大流行したスタイルなんです。
つまり、英国調を意識しないうちに既に取り入れているという事なのです。
英国調という流れを難しく考える人も多いようですが、それほど難しく考える必要はありません。
イタリアも過去に何度も英国ブームがあったので、今の流れもそれと同じで、イタリア人が考える英国テイストと考えてください。
来週以降、さらにジャケットとスーツが上がってきますが、今回のスーツ同様英国テイストです。
今回より更に英国色が強いかもしれません。
仕上がってきたら、またご報告します。
”モルト イングレーゼ”
私もイタリア人にそう言われると、とても嬉しいものです。
金ボタン
6月のPITTI UOMO初日のスタイル。
打ち合わせをしたわけではないですが、私も西口も金ボタンのダブルのブレザーにグレーのパンツにレジメンタルタイ。
シャツがワイドではなくタブカラーやラウンドにカラーバーというのも雰囲気が似ています。
かなりスナップを撮られたので、色々なサイトやSNSにアップされていました。
クラシックなスタイルが戻ってきているので、正統的なスポーツジャケットであるメタルボタンのブレザーが今の気分なのは我々にとっては当然の事なのです。
私は80年代後半から90年代前半の空前のブレザーブームを経験しているので、懐かしさもありながら今また新鮮という感じです。
因みに、西口は当時中学生でその空前のブームをリアルに体験していないので、メタルボタンのブレザーはかなり新鮮に感じているのだと思います。
その空前のブーム以前も60年代から70年代にもブレザーのブームがあったので、やはりクラシックは時代性を反映しながらリバイバルするという事なのです。
10年以上続いたドレスクロージングのカジュアル化の流れが終わってから、その反動でクラシックなスタイルが再注目されています。
その流れの中で、ここ数年色々なアイテムやディティールが出て来ていますが、すべて過去に流行った事のあるものなので、とっぴおしも無いトレンドが急に出て来た訳ではなく、そういうものがリバイバルして出てくるのには必ず理由があるのです。
だから、”そんなもの流行るわけない” とか ”流行りものでしょ” とか ”一過性のトレンドでしょ” なんて思わないでくださいね。
メタルボタンに関しては数年前にミリタリーの流れでシルバーメタルボタンが少し流行ったことがありましたが、ゴールドのメタルボタンが注目されるのは、その80年代後半から90年代前半のブレザーブーム以来ではないでしょうか。
そして、今シーズン久しぶりにBEAMSのお客様やスタッフの間で金ボタンのブレザーブームが起きています。
TAGLIATORE、STILELATINO、DEPETRILLO、BEAMS Fオリジナルと色々なブランドで展開しているのですが、タリアトーレとデペトリロは入荷後すぐに完売、スティレラティーノは予約でほぼ完売、BEAMSのオリジナルは納期遅れだったので、シーズン当初からほとんど店頭に並ばない状況でした。
申し訳ありません。
さらに、こんなものまでよく売れました。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/fashiongoods/21650125107/
ある取引先の倉庫に眠っていたデッドストックのメタルボタン。
80年代に日本の熟練した職人によって作られた日本製のデッドストックのメタルボタンですが、これが入荷後完売続出で倉庫にある在庫を追加で全てもらうような状況。
こんなにゴールドのメタルボタンが注目されるのも本当に久しぶりです。
そして、先週納期が遅れていたBEAMS Fのオリジナルのブレザーがやっと入荷しました。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/jacket/21161482264/
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/jacket/21161481264/
BEAMS F オリジナルはダブルだけでなく、シングルも展開しています。
タリアトーレやスティレラティーノと同じチェンジポケット付です。
ブレザーの雰囲気に合う英国素材を選んだのも拘りです。
ネイビーブレザーだけでなく、こんなブレザーも入荷しました。
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/jacket/21161125786/
ウールとコットンを混紡したデニム調の生地を使ったブレザー。
実は、このデニム調の生地と言うのがイタリアのファブリックメーカーの中でちょっとしたトレンドになっているのです。
ゼニアやロロピアーナもデニム調の生地を展開しているくらいですから、その流れが広がっているのがわかります。
このジャケット、当初は普通のボタンを付けたジャケットで展開する予定でした。
最終的に裏地やボタンを決める際に、突然閃いて金ボタンのブレザーにしようと私が言い出し、ディレクターの西口も同調してくれて実現したジャケットです。
そして、付ける金ボタンはちょっと薀蓄のあるボタンにしようと言うことになり、付けた金ボタンがこちら。
実はこのボタン、30年以上前にBEAMS Fのオリジナルのブレザーに付けられていたボタンなのです。
BEAMS F 創設当初のイカリのマークのエンブレムを入れたブレザーボタンです。
私が入社した31年前にはギリギリこのボタンが付いたブレザーがありました。
社内に大小一箱だけストックがあったので資料として残していたのですが、最近リングヂャケットさんに当時のストックが残っているのが偶然見つかり、それなら由緒正しいこのボタンを使おうと言うことになりました。
因みに、上の画像で着ているこのブレザー。
実はインディゴ調の色のウール×リネンの生地です。
そして、ボタンはそのオールドBEAMS Fの金ボタンを付けているので、ある意味デニムと金ボタンの相性の良さは既に自分自身で検証済みということです。
このブレザー、ほとんどの方がノーマークだと思いますが、個人的にかなり気に入っているので、興味のある方は是非最寄りの店舗で実物をご覧になってみてください。
私も春夏に続き秋冬も金ボタンのブレザーを着ています。
かなり前に購入したCANTARELLIのプラネットジャージのダブルブレストのブレザー。
普通のフランネルにしか見えないジャージ素材と大きくラウンドした襟が特徴のブレザー。
6年以上前に購入したものですが、古さを感じさせないどころか、まさに今の気分にぴったりのブレザーです。
春夏同様レジメンタルタイを合わせてもいいですが、こんな感じでネイビーのタートルネックを合わせるのもいいかなと思っています。
因みに、この画像は六年前のもの。
パンツはもう少し濃いグレーで靴は黒の方が今の気分です。
基本は六年前と変わりませんが、クラシックなスタイルもちょっとした変化は必要です。
だから、クラシックにも流れがあり、それを柔軟に取り入れることが重要なのです。
MEN'S EX 連載 12月号
MEN'S EX 12月号
今回の特集は10年愛せる王道アウター。
今シーズン注目するべきアウターがたくさん紹介されています。
江口洋介さんのヘリンボーンのロングコート似合ってますね。
先日タリアトーレの2018秋冬のプレコレクション見ましたが、やはりロングコートが打ち出されていました。
私が刺さったのはMEN'S EXには珍しいこの特集。
実は私、洋服以外の数少ない趣味がスキーなんです。
40代前半まで、休みの日はひとりでスキーに行くほど熱中していた趣味でした。
40代前半はハーフパイプにチャレンジして、30㎝くらい飛べるようになったのですが、その後仕事が忙しくなってシーズンに一度行くくらいになり、もう5年くらいはお休みしています。
今でも毎シーズン行きたいと思うのですが、意外と準備が大変なので挫折してしまうんです。
5年前最後にスキーに行った時の滑り。
体力は少し落ちましたが、まだガンガンいけそうな気がします。
さすがにハーフパイプはもう無理かな・・・
私の連載、”中村達也の今、買いのアイテム”
今回のテーマは ”ヘリンボーン柄のアイテム” です。
昨今のドレスクロージングの流れで毎シーズン出てくるキーワードが ”ヘリテージ” 。
ヘリテージとは受け継がれてきた伝統や遺産と言う意味がありますが、生地に関してもそのような英国調のクラシックな柄が注目されています。
グレンプレイドやハウンドトゥース、ガンクラブチェック、ホームスパン、タータンなど、様々なヘリテージな柄が注目されていますが、その中でも今シーズン特に注目されている柄がヘリンボーンです。
今シーズンのバイイングを行った1月のイタリア出張でも、ヘリンボーン柄のアイテムがとても多く見られました。
ご覧のように、コート、アウター、ジャケット、ジレ、ニット、マフラーと非常に多くのアイテムでヘリンボーン柄が使われ、画像以外にもシャツ、パンツ、ネクタイでもヘリンボーン柄が使われているのを見ても、今シーズン最も注目すべき柄であると言えるでしょう。
細かな柄のヘリンボーンもありますが、柄が大きく存在感のあるヘリンボーンが打ち出されているのも今シーズンの傾向で、それは特にコートに顕著に表れています。
着こなしのポイントは、かなりクラシックでトラディショナルな印象の強い柄なので、あまりシックな色目だけでまとめると野暮ったい印象になってしまいます。
適度にコーディネートの中に明るい色を入れて、コーディネートまでヘリテージにならないようにするのが注意点です。
今年1月のPITTIのコーディネート。
STILELATINOのブラウンのヘリンボーンのコートにERNESTOの大柄のハウンドトゥース、ジレはTAGLIATOREのハウンドトゥースと、ヘリテージざんまいみたいなコーディネートです。
野暮ったい感じに見せない為に、大柄のジャケットとグリーンのプリントスカーフを合わせてみました。
こんな感じで、ヘリテージざんまいの柄をチョイスしても色柄のバランスに気を付ければ野暮ったいコーディネートにはならないですね。
先日ご紹介したこのジャケットも同じですね。
色々合わせてみて野暮ったくならないように気をつけながらコーディネートしています。
このヘリテージな柄の流れは来年の秋冬も継続しているので、すぐに着られなくなるようなことはないのでご安心ください。
英国色の強い柄ですが、イタリアでも昔からヘリンボーンは人気の柄で、数年に一度は必ず流行している柄です。
因みに、イタリアではヘリンボーンの事をCHEVRON(シェブロン)と呼びますが、もともとはフランス語のようです。
ヘリンボーンの語源がニシンの骨と言うのに対して、シェブロンは紋章の山型の模様の事を言うので、本来は似て非なるものなのでしょう。
イタリア人は貴族的なものに憧れを持った人が多いので、紋章が元になっているシェブロンの方がなんとなくイメージがいいのかなと勝手に想像しています。
今度イタリア人に聞いてみます。
どうでもいい薀蓄でしたね。
軽く流してください。
でも、どうでもいい小ネタ、少し入れて行こうと思っています。(笑)
昨晩はPT01日本上陸10周年パーティーに招待され行ってきました。
私のInstagramの動画配信で見た方もいらっしゃると思いますが、私にとっては久しぶりの華やかなパーティーでした。
バイオリニストの古澤巌さんの生演奏も素晴らしかったです。
料理はピエモンテ料理なので、旬のポルチーニとトリュフづくし。
黒トリュフはかけ放題・・・
白トリュフは少し遠慮しました。
庶民の私にとっては、これだけかけたら一体いくらになるのか気になるんです。(笑)
最後はPTのファミリーとディレクターのドメニコと記念撮影。
ご招待いただきありがとうございました。
来週のプレコレよろしくお願いします。
美味しい料理いただきましたが、たくさんオーダーできるかどうかはわかりません。(笑)