ディスプレイ指導
仕事でずっと欠かさずやっていることがあります。
それは、どんなに忙しくても毎日必ず店舗に行く事。
原宿以外のエリアは業務の合間に行くしかないので、半期に数回しか行けないのですが、原宿のBEAMS Fは終日スケジュールが埋まっている日以外は短時間でも必ず毎日店に行きます。
皆さんの中にも私がBEAMS Fにいるのを見た人は結構いらっしゃるのではないかと思います。
商品の動向などは毎日データをチェックしたり、店舗の報告を見ればある程度分かるのですが、実際にバイイングや企画した商品が店に並んでいるのを見ることで色々気付くことが多いので、毎日店を見ることは私にとっては大事なことなのです。
店を離れて20年以上経ちますが、今もずっと続けていることです。
店舗に行くと、入荷した商品のチェックや店の陳列などをチェックするのですが、もう一つ大事なのがディスプレイのチェック。
特にコーディネートに関してはかなり厳しくチェックするので、スタッフをビビらせてしまう事もあるようです。
優しく指導しているつもりですが、顔が真剣なのでビビらせてしまうのかもしれません。
コーディネートチェックは、まったくダメな場合と少し変えれば良くなる場合があります。
まったくダメな場合は全部変えなければならないのですが、ちょっと手を加えるだけで良くなる場合は、そのポイントをスタッフに伝えて指導します。
どんな指導をするのか。
最近BEAMS Fの店内ディスプレイの指導をしたので、今日はその内容についてお伝えします。
メランジのきいたヴィンテージ調 グレンプレイドのスーツコーディネート。
スーツの生地がかなりヴィンテージな雰囲気なのに対して、シャツもネクタイもクリーンな色柄でアンバランス。
Vゾーンもスーツもどちらも引き立っていないので、チグハグなコーディネートになってしまっています。
このVゾーンであれば、ブラウンやベージュのスーツかなと言うイメージです。
指導後のスタッフが組み替えたVゾーンがこちら。
少しだけシャツとネクタイにアクを付けるだけでスーツもVゾーンも引き立ちます。
こちらもメランジがきいたヴィンテージ調のグレーのグレンプレイドの3ピース。
選んだシャツもネクタイの色柄も間違っていないのですが、やはりスーツの生地のヴィンテージな雰囲気を考えるとネクタイがクリーンすぎる感じがします。
少し癖のあるスーツの雰囲気にネクタイが負けていて、Vゾーンもスーツもどちらも引き立っていない印象。
スーツが普通のミディアムグレーのサキソニーやフランネルであればこのネクタイのチョイスは悪くありません。
指導後スタッフが組み替えたVゾーンがこちら。
大柄のペイズリーに替えただけでスーツの印象も随分変わります。
使っている色は最初の小紋と同じなので、柄の雰囲気を変えるだけでヴィンテージ調のスーツとのマッチングが良くなります。
ネイビーにグレーをミックスしたような色のスーツ。
生地はかなりドライタッチで、こちらもヴィンテージ調の生地を使ったスーツです。
難易度の高いグリーンの大柄のペイズリーのタイを上手くコーディネートしていますが、欲を言えばもう少しシャツのストライプのブルーが濃いと更に良かったかなという印象です。
ストライプのブルーがもう少し濃ければ、微妙なスーツの色目もネクタイの挿し色のネイビーももう少し引き立ち、さらに良い雰囲気に仕上がると思います。
ブラウンにグレーを混ぜたようなグレイッシュなブラウンスーツのコーディネート。
同じトーンのストライプのクレリックを選んだのは正解ですが、ネクタイの色柄が立ち過ぎてネクタイだけが主張しているような印象に見えてしまいます。
ボルドーベースのペイズリーを選んだのは間違いではないのですが、色のトーンをもう少し抑えた方が良かったと思います。
間違ってはいないのですが、Vゾーンは引き算の方が良かったというコーディネートです。
今シーズンのトレンドでもあるキャメルカラ―のジャケットコーディネート。
イタリアっぽい雰囲気のジャケットに英国調のヘリンボーンの襟付きジレを合わせ、ネクタイも英国調のマダープリントのペイズリータイを合わせるています。
シャツもレギュラーっぽいセミワイドのシャツを合わせているところもいいですね。
イタリアっぽくなり過ぎないように、英国的な雰囲気をミックスしたコーディネートは、個人的にも好きなコーディネートです。
ですが、ひとつだけ指導しなければいけない点が…
グレーのパンツのトーンが濃すぎます。
ジャケットが淡いキャメルで柔らかい雰囲気なのに、パンツがチャコールグレーに近いミディアムグレーなので、上下の色のトーンがチグハグです。
この場合、グレーのパンツを合わせるのであれば、ライトグレーを合わせた方がジャケットの柔らかい色を引き立たせるでしょう。
パンツだけなので、すぐに変えてみました。
ジャケットとジレとのつながりが、かなり柔らかい印象になったと思います。
グレーのウールのパンツは定番ですが、実は色のトーンを間違えるとすごく野暮ったいコーディネートになるので注意が必要です。
街中を見ても結構グレーのトーンを間違っているなと言うコーディネートを良く見かけます。
特に濃いグレーのトーンは注意が必要です。
上記のように少し手を加えるだけで良くなるケースは、感性だけでなく経験も必要です。
お客様にお勧めするコーディネートは、お客様のお好みに合わせてお勧めしなければならないので、お客様の好みと我々の提案が合って初めて満足していただけるものです。
一方、ディスプレイは我々の提案や打ち出しをお客様に見ていただき、お客様のお買い物の参考になるようなディスプレイでなければ意味がありません。
そういった意味でも、コーディネートするそれぞれのアイテムが調和して互いに引き立たせるようなコーディネートでなければならないと思っています。
マニュアル的なディスプレイはBEAMSっぽくないので、個々の個性を活かしながら指導して行くことが重要です。
ショップごとの個性も大事。
課題はたくさんあります。
これもクリエイティブディレクターの大事な仕事。
スタッフがビビらないように優しく指導します。
仕事で怒ることはほとんどないのですが、
真剣な顔が怖いのかな・・・
2017年秋冬 トレンド解説動画 第二弾 アップしました。
今回はジャケットとパンツについてです。
少し長めの動画ですが、是非ご覧ください。
http://www.beams.co.jp/feature/170816/
秋冬のおすすめ。
昨年の秋冬にINSTAGRAMでアップして問い合わせの多かったこのジャケット。
確かに店頭で売っていなかったので、どこのジャケットかわからないですよね。
実はこのジャケット、ERNESTOのオーダー会でオーダーしたもの。
生地は個人的に用意して持ち込んだものなので、文字通り世界で1着のERNESTOでした。
この生地、KYNOCH (カイノック)というスコットランドの歴史ある生地ブランドのもの。
組織も少し変わったヴィンテージ調の生地がかなり刺さりました。
英国の生地でイタリアのテーラーリングと言うのが自分にとってベストマッチングなので、最初からこの生地は極力軽く柔らかいテーラーリングで仕立てるのがイメージでした。
個人的な趣味でオーダーしたジャケットでしたが、お客様やスタッフからのお問い合わせも多かったので、今シーズンERNESTOで展開することになりました。
この生地、BEAMSがカイノックの生地コレクションの中からピックアップしたものなので、もちろんBEAMSのエクスクルージブです。
http://www.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/jacket/24161020465/
昨年は私も上の画像のように、ブラウンのタートルネックなどを合わせて同系色でまとめたコーディネートでしたが、今シーズンはトレンドのボルドーのタートルネックを合わせてもいいと思います。
パンツはホワイトやオフホワイトを合わせるとジャケットの柄が引き立ちます。
ブラウンにボルドーも今シーズンらしいカラ―コーディネートです。
昨年はこんなタイドアップ コーディネートもよくしていました。
ジャケットと同じトーンで大きさの違うハウンドトゥースのジレを合わせたコーディネート。
パターン オン パターンなので、シャツはシンプルにBORZONELLAのホワイトオックスのラウンドカラ―、タイもシンプルにブラウンのニットタイを合わてせていました。
ウールのパンツでタイドアップする時はこんなコーディネートもお勧めです。
ブラウンのダブルのジレを合わせて白のワイドのシャツにグリーンのペイズリータイ。
光沢を抑えたマダ-調のグリーンのプリントタイがジャケットの雰囲気とよく合います。
パンツはジャケットの柄を引き立たせるためにライトグレーを合わせました。
このジャケットの場合、ミディアム グレーやチャコールグレーのパンツはジャケットの色と柄を沈ませるのでライトグレーのパンツを合わせた方がいいでしょう。
柄のジャケットにグレーのパンツを合わせる場合は、グレーのパンツのトーンを気を付けないとものすごく野暮ったいコーディネートになるので注意が必要です。
特にチャコールグレーのパンツは注意が必要です。
ERNESTOのジャケットは軽く柔らかい仕立てなので、タイドアップするジャケットではないと思われている方が多いとショップスタッフから聞いていますが、そのようなことはありません。
ERNESTOのジャケットは、かなり本格的なテーラードの技術で仕立てられているので、他のブランドに見られるようなアンコン的なカジュアルジャケットとは全く違います。
カジュアルジャケットと言うよりは、ナポリのテーラーが仕立てる芯地を使わず縫いとアイロンワークで仕立てる一枚仕立てのジャケットに近いでしょう。
エキセントリックな生地や袖のイニシャルボタンばかりが注目されるので、間違った認識を持たれるのも仕方ないでしょう。
因みに、袖口のひとつボタンと言うのも、古いナポリのサルトリアのジャケットに見られるディティールです。
このジャケット、私が個人的に生地を持ち込んでまでしてオーダーしたジャケットなので、もちろん今シーズンのお勧めのジャケットです。
大柄ですが、シックな色目なので悪目立ちせず洒落た印象に見えます。
カジュアルでもタイドアップでも着られるのも良いところ。
良いことばかり書いていますが、少しデメリットもあります。
それは、生地の特性上長く着ていると少し生地の表面が毛羽立ってきます。
毛羽立つと言っても、シーズンに二回程度毛玉とりを軽くかけるだけ解消されます。
ものすごく神経質な方は気になるかもしれませんので、敢えてお伝えしておきます。
何でもかんでもいいと言うのは私の本意ではないので・・・
まだ入荷していませんが、店舗で是非ご試着してみてください。
何度も言いますが、エルネストのジャケットはカジュアルなジャケットなのでタイドアップできないと言うようなことはありません。
事実、私はファーストシーズンからタイドアップして着ています。
お恥ずかしい話ですが、BEAMSのスタッフも間違った認識を持っているスタッフも少なくないようで…
すみません、きちっと指導します。
新潟の懐かしい味
10日から1週間夏休みをいただきました。
夏休みと言っても洒落たリゾートに行くわけでもなく、新潟の実家に帰省していただけ。
80過ぎの父親が一人暮らしなので、いわゆる盆と正月は新潟の実家に帰って親孝行と言うのが長男の役目なんです。
はたして親孝行になっているのかどうか分かりませんが・・・
帰省しても家事をする以外は特にすることも無いので、近くの海に行ってのんびりするか、美味しいモノを食べるくらいしかやることがありません。
なので、今回も色々な懐かしい新潟の味を堪能しました。
今回は新潟の老舗の味やB級グルメをご紹介します。
父親が以前からタンシチューが食べたいと言っているのですが、昔はたくさんあった市内の洋食屋も次々に閉店してしまい、地元の店もネットで調べる始末。
そして、すぐにヒットしたのが ”ピーア軒” という大正時代から続く老舗の洋食屋。
おまけにタンシチューが名物らしいです。
私も初めての店だったので、早速予約して行ってみました。
私がオーダーしたのはタンシチューとビーフシチューが半々のセット、父親はタンシチューのみ。
父親の久しぶりのタンシチューの感想は、”デミグラス ソースの味がイメージと違う” だそうです・・・
確かに少し苦味にあるソースは、昔よく食べていた新潟の洋食屋のモノとはちょっと違う感じもするのですが、私的にはコレはコレでありかなという感じです。
デミグラスソースは洋食屋の看板なので、店それぞれの特徴があっていいと思います。
ようは、その店の味が好みかどうかということpですね。
このピーア軒、創業は大正12年。
創業者は日本で最初のイタリア料理店と言われている、新潟のイタリア軒で修業し、その後築地の精養軒で本場の西洋料理を学び、新潟に戻りピーア軒を開店したそうです。
新潟市は幕末の日米修好通商条約により新潟港が開港され、異国文化が流入したことンもあり、昔から洋食屋が多い土地だったのです。
因みに、私が初めてタンシチューを食べたのが10歳の頃、新潟の古町にあった豆八という洋食屋。
偏食だった私に母がビーフシチューだと言って食べさせたのが実はタンシチューでした。
シェフと示し合わせて無理やりタンシチューを食べさせられたということですね。
後にそれがタンシチューだと知らされ、あまりの美味しさにその後牛の舌だという事も忘れ、タンシチューを好んで食べるようになりました。
最近は東京でもタンシチューを出す店が少なくなったので、なかなか食べる機会に恵まれません。
なので、私にとっても本当に久しぶりのタンシチューでした。
確かにデミグラスソースの味はイメージと少し違いましたが、とても美味しくいただきました。
東京でどこか美味しいタンシチューを食べさせる店があったら教えてください。
ピーア軒
帰省したら必ず食べる新潟ラーメン。
私は東京ではあまりラーメンを食べないのですが、新潟のラーメンは別です。
今回も新潟ラーメンの老舗 ”三吉屋” に行ってきました。
新潟ラーメンは豚骨や鶏ガラと煮干しでとった醤油味のあっさりスープに縮れた細麺が特徴。
関東の人にはあっさりしすぎて物足りないでしょう。
関西の人には揚子江ラーメンが好きな人にはうけるでしょう。
新潟ラーメン、以前はおもだかやという店が神保町にあったのですが、数年前に閉店してから東京にはおそらく一軒もないのでは・・・
秋葉原にはいつも行列ができている青島ラーメンがありますが、それは長岡のラーメンなので、テイストが少し違います。
新潟のラーメンは新潟市、長岡市、燕市、三条市など、それそれの街によってテイストが違うのも特徴なんです。
因みに、私が一番好きなのは古町の拾番という店。
残念ながら夜しか営業していないので、飲み会の後に酔っ払いと一緒に行く感じなんです。
ここが新潟ラーメンでは一番美味しいかも・・・
三吉、信吉、政吉、天龍、蓬莱軒、拾番、かとう、どこも懐かしいあっさり味の新潟ラーメン。
東京で食べられたらどんなに幸せでしょうか。
三吉屋
https://tabelog.com/niigata/A1501/A150101/15000020/
新潟のソウルフード みかづきのイタリアン。
コレも絶対にハズせない新潟の味です。
今回はカレーイタリアンにしました。
値段は¥380-ですがクーポンがあったので¥330-。
安いですね。
子供のころから慣れ親しんだ味なので食欲をそそります。
普段はゆっくり食べる私もあっという間の完食です。(笑)
イタリアンってなに? という方がほとんどと思いますが、簡単に言うと、大阪の太麺の焼きそばの上に給食で出るようなカレーがかかっているイメージでしょうか。
最近はテレビの全国ネットでも取り上げられることが多いので、新潟以外の人でも食べたことのある人が増えました。
食後はチーフナッツ。
懐かしい味のさっぱりした小豆アイスの上にソフトクリームをのせて、上から砕いたナッツをかけたデザート。
値段は¥220-、イタリアンとセットでも¥600-です。
因みに、イタリアで食べるジェラートよりもチーフナッツの方が好きです。
本当に。
機会があればイタリア人にイタリアンとチーフナッツ食べさせてみたいものです。
みかづき
http://www.mikazuki-italian.com/
最近話題になっているバスセンターの立ち食いソバ屋のカレーライス。
通称 ”黄色いカレー” と呼ばれているようです。
実家からも近く、BEAMSの新潟店からも近いのですが、初めて食べました。
ご飯の量がが多く普通のサイズは完食できそうもなかったのでミニサイズを食べてみました。
値段は¥380-。
本当に黄色いカレーでした。
味は、粉っぽくて辛い・・・・
もしかするとB級グルメによくある、何度も食べているうちに美味しく感じる類のものかな と思いながら完食。
冷房のないバスセンターの中で大汗欠きながら立ち食い。(笑)
見た目からは想像できないスパイシーなカレーでした。
新潟の名物になっているようですが、初めて食べる私にとっては味が良く分からなかったと言うのが正直なところ。
次回もう一度食べてみます。
万代そば
http://r.gnavi.co.jp/g-interview/entry/niigataramen/3355
新潟でお祭りの露店と言えば ”ポッポ焼き”
海に行った帰りに護国神社でお祭りやっていたので、お参りした後にポッポ焼き屋目指して一直線。(笑)
15本で¥500- 高くなりましたね。
私の隣で県外から来た人が ポッポ焼きってなんですか? と聞いています。
新潟県にしかない食べ物なので、県外の人には全く想像できない食べ物ですね。
簡単に言うと、”細長い黒糖蒸しパンを焼いたようなお菓子” という表現が近いでしょうか…
我々新潟県民にとっては慣れ親しんだ懐かしい味ですが、お祭りの露店でしか食べられないので、いつでも食べられるというモノでもないのです。
なので、最近はお祭りになると長蛇の列ができることも珍しくありません。
取りあえず15本買って、戊辰戦争慰霊碑の前の休憩スペースでパクつきました。
残りは家に持ち帰って冷蔵庫に入れて保存。
翌日レンジで温めてトースターで焼いてまた食べる。
50過ぎのオッサンが子供のようです。(笑)
本当に懐かしい味がします。
ポッポ焼き
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BD%E3%81%A3%E3%81%BD%E7%84%BC%E3%81%8D
これ以外にも最近 東京でも食べられる店が増えている ”タレかつ丼” が有名ですが、オッサンになって揚げ物が辛くなってきているので、もう20年以上かつ丼を食べていません。
有名な ”とんかつ太郎” の前も通っても、繁盛してるかなと店内を少し覗くだけ。
東京の卵とじのかつ丼は苦手なので、食べるなら絶対にタレかつ丼ですね。
新潟市は観光がないので、仕事で行く人以外はあまり訪れることもない街だとと思いますが、もし行かれる際は是非新潟の懐かしい味をお試しください。
佐渡金山が世界遺産に登録されtれば新潟市も観光客が押し寄せるでしょうね。
個人的には石見銀山より佐渡金山の方が遺産としての価値はあるように思ういのですが、島根には出雲大社もありますからね。
なにか、新潟にはもう一手足りないような気がします。
もっと色々ガンガンアピールしないといけませんね。
でも、実直だからガツガツいくのが苦手なんです。
それが新潟県人のいいところでもあるのですが…
2017秋冬のトレンド解説動画アップしました。
今回はイケメン二人にも登場してもらいました。
少し長めの動画ですが、是非ご覧ください。
http://www.beams.co.jp/feature/170816/
MEN'S EX 9月号連載
MEN'S EX 9月号
今回の表紙はV6の岡田准一さん。
シングルピークドラペルのシンプルなスーツコーディネートがいいですね。
スーツはトムフォード。
秋冬のトレンドでもあるシングルピークドのスーツですが、トムフォードはファーストシーズンからシングルピークドのスーツを展開していたので、トムフォードにともはや定番と言えるモデルなのではないでしょうか。
私の連載 ”中村達也の今、買いのアイテム”
今回のテーマは ”ヴィンテージ調のプリントタイ” です。
秋冬のバイイングを行った今年の1月のPITTI UOMOやミラノのショールームでもヴィンテージ調のプリントタイが多くのサプラーヤーから提案されていました。
ご覧のように、多くのネクタイブランドがヴィンテージ調のプリントタイを打ち出していました。
余程流れに疎いかセンスの無いネクタイブランドでなければ、ヴィンテージ調のプリントを提案していないブランドは無いと言ってもよいでしょう。
ネクタイブランドだけでなく、スーツブランドのディスプレイでもヴィンテージ調のプリントタイを合わせたコーディネートが多く見られました。
特にLARDINIのサルトリアラインのディスプレイは、ほとんどがヴィンテージ調のプリントタイを合わせていたのが印象的です。
本誌連載ページでも解説していますが、プリントの良さは織で柄を表現するジャガードタイと比べると、細かい柄や曲線を繊細に表現できることと、色の深みに関しても繊細に表現できることです。
このヴィンテージ調のプリントタイ、柄はペーズリーや幾何学模様が中心で、大きめの柄で表面の光沢をおさえたマダ-プリント調が多いのも今の流れであると言えます。
マダープリントは日本では草木染めと言われ、古くは天然の染料で染めるハンドプリントで、深みのある独特の色合いが特徴ですが、現在はインクジェットと呼ばれるプリンターで染めるマダ-プリント調が主流になっています。
因みに、伝統的なハンドプリントを行う生地メーカーも現在は英国とイタリアで数社のみとなっています。
つまり、大柄でマットな色合いと滑らかな表面感のプリントタイが今の流れであると言えるでしょう。
素材はシルクがメインですが、ウールやカシミアなどにヴィンテージ調のプリントを施したものも多いです。
先日私のInstagramでアップしたスーツコーディネートのネクタイもウールのヘリンボーンの生地にペイズリーのプリントをのせたもの。
深みのあるインディゴ風のカラ―が特徴のペイズリータイです。
このプリントタイ、80年代から90年代に流行したことがあります。
当時は英国もイタリアもアメリカも、ネクタイブランドはプリントタイに力を入れてコレクションを作っていた時期で、、ETROのカシミール柄のネクタイも80年代に大流行しました。
その後90年代中頃の英国調ブームから2000年代前半のイタリアンクラシックの頃はジャガードタイが主流だったので、プリントタイ不遇の時代だったとも言えます。
このような流れを見ても、ヴィンテージ調のプリントタイは突然出てきた一過性のトレンドではなく、過去に流行したモノがアップデートされてリバイバルしていると言えるでしょう。
この流れは来年の春夏も続いているので、安心してコーディネートに取り入れてください。
因みに、6月のイタリア出張では私もヴィンテージ調のプリントタイでした。
大柄のジオメトリック柄は80年代のアメリカンブリティッシュ的なイメージでもあります。
まだBEAMS Fでアメリカブランドのネクタイバイイングしていた頃、こんな柄のネクタイをバイイングしていました。
ヴィンテージ調のプリントタイは、私にとってはトレンドと言うより懐かしいアイテムです。
ご興味にある方は是非コーディネートに取り入れてください。
麻布十番の隠れ家
色々な人から美味しい店がたくさんあると聞く麻布十番。
でも、私にとってはまだまだ未開のエリア。
今までランチも含めて行ったことがある店は、おそらく10軒にも満たないかもしれません。
そんな麻布十番でここ数年通っている店が ”ピッツェリア ロマーナ ジャニコロ”
名前のとおり都内でも数少ない ローマ ピッツァ を食べさせる店です。
薪窯で焼く薄生地のローマピッツァはナポリピッツァと比べるとクリスピーで軽くて食べやすい。
ナポリピッツァのようにお腹が膨らまないので、ピッツァ以外の料理を色々楽しめるのも良いところ。
と言うのもこのお店、もちろんピッツァは美味しいのですが、料理もとても美味しい。
腹ペコでなければ、ピッツァ抜きで料理だけ食べてもいいかも・しれません。
でも、これだけ美味しいピッツァを食べないのはもったいないですね。
そのジャニコロが同じ麻布十番に昨年オープンした姉妹店が ”リストランテ・ジャニコロ・ジョウキ”
ジャニコロはピッツァだけでなく料理もとても美味しいと感じていたのは私だけでなく、多くの人が感じていたことです。
そのジャニコロの料理を作っていたシェフ 内野さんが腕を振るうのがジャニコロ・ジョウキ。
オープニング レセプションにもご招待いただきましたが、タイミングが合わず先日やっと伺うことができました。
今回は久々の食レポです。
アラカルトもあるのですが、少しづつ色々なモノを食べたいので、全6品のライト ジョウキ コースをオーダー。
ドライいちじく入り パテ・ド・カンパーニュ
2週間寝かしたイチジクを使っているので、とてもまろやかでクセがまったくありません。
パテはそれほど好みではないのですが、これは美味しい。
58度で煮たヤリイカ、ヤングコーンとサマートリュフ
とても柔らかいヤリイカとヤングコーンの食感、そしてサマートリュフュ香りのバランスが絶妙。
赤海老の蓮根饅頭
和食でも充分に勝負できる柔らかな蓮根饅頭を香ばしい海老のソースに絡めて食べるという、スペシャルな一皿。
常陸鴨むね肉のローストとビーツ
脂身はかりっとしていて香ばしく、肉はレアで鴨肉の味がしっかりと口の中に広がります。
火入れが素晴らしいです。
しらうおのタリオリーニ
コシのある自家製手打ち麺に白魚とフレッシュトマトソースというシンプルでさっぱりとしたパスタ。
オイル系のシンプルなパスタが好みの私にとってはとても嬉しい一品。
アメリカンチェリーのパルフェ
アメリカンチェリーの赤ワインコンポートにさっぱりとしたミルクジェラートを合わせたドルチェ。
見た目はかなり甘そうですが、控え目な甘さでとても美味しい。
甘党の私は黙々と一気に平らげました。(笑)
この店は美味しい料理だけでなく、窓際の席から見える六本木や東京タワーの夜景が素晴らしい。
麻布十番でこの眺めは貴重です。
因みに、ランチタイムはテラス席も使えるようです。
今の時期はさすがに暑くて厳しいですが、気候のいい時期は気持ち良さそうですね。
シェフの内野さんは2014年の在日イタリア商工会議所が主催したイタリアコンクールで優勝された人。
伝統的なローマ料理を知り尽くした内野シェフの自由な感性で表現される料理は、イタリアンでありながらその枠を超えたこの店でしか味わえないスペシャルな料理.。
なので、トラットリア系の直球イタリアンを好む人には賛否が分かれる店かもしれません。
おそらく、シェフがこだわっていると思われるアーティスティックとも言える盛り付けは女性にはかなり喜ばれるでしょう。
因みに、このライト ジョウキ コース、なんと¥5000-
イタリアン激戦地の麻布十番でこれだけ高いクオリティーのコースで¥5000は安すぎです。
このお店、どちらかと言えば男性だけで行く店ではないかなと言う印象です。
窓際の二つのテーブルは夜景が見えるので、カップルで行かれる方は予約の際に窓際の席をリクエストした方が良いでしょう。
そして、メニューを見せなければ、このコースが¥5000-だとは誰も思わないので、イタリアンに詳しくない人でも株があがるかもしれません。
コースは苦手なモノがあれば相談にのってもらえるので安心してオーダーできます。
リストランテが敷居が高いと思っている人でもリラックスして食事を楽しむことができるでしょう。
場所は麻布十番の中心ですが、ビルの9階なので隠れ家的な雰囲気です。
まだピツェリアの顧客が中心なので、知る人ぞ知るリストランテだと言えるでしょう。
夜景の見える店で静かに食事をしたい人にはお勧めのレストランです。
お店選びに困っている方は是非リストに入れておいてください。
こんな店知ってると株が上がりますよ。(笑)
リストランテ ジャニコロ ジョウキ
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13199638/
ピッツェリア ジャニコロ
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13122753/
Villa d'Este
コモの土曜日、フォサーティの仕事も終わり、夕飯までかなり時間があるので半日だけバカンスをとることにしました。
場所はイタリアで最も知られたホテルと言われる Villa d'Este (ヴィラ デステ)。
おそらく、イタリア人でヴィラ デステを知らない人はいないでしょう。
コモで最も格式のある5つ星のホテルです。
湖畔にある湖に浮かぶプールが有名ですが、そのプールをヴィラ デステのメンバーである取引先の社長のご厚意で使わせてもらいました。
ヨーロッパ屈指のリゾートのコモで最も高級で格式の高いホテルのプールですから雰囲気は最高です。
我々の停まっているホテルとは格が違います。
ちょっとお金持ちになった気分。(笑)
なので、我々もTシャツに短パンという訳にはいきません。
でも、宿泊客はアメリカ人が多いのでTシャツ、短パンの人も結構多いのです。
TPO関係なく、どこでも短パンを穿くのはアメリカ人と我々日本人と言うのがイタリア人のイメージのようです。
確かに否定できないかも・・・
BEAMSの事を良く知っているというホテルのマネージャーの案内でデッキチェアをキープして、まずは腹ごしらえで遅いランチをとることに。
イタリア屈指の高級ホテルのマネージャーがBEAMSの事を知っているとは本当に光栄なことです。
湖畔のガーデンのレストランはランチでもカメリエーレは白ジャケットにボウタイです。
アンティパストは軽めにプロシュート エ メローネ。
付け合せもちょっと凝っていて街のリストランテのそれとはやはり違います。
勿論お値段も・・・
パスタ直球でカルボナーラをオーダー。
かなり濃いソースでスーパーアルデンテ。
イタリアの老舗の高級なリストランテは濃い味付けのところが多いですが、ヴィラ デステもしかり。
イタリア人の話では、高級な老舗は味にパンチがないと客に物足りないと言われるそうです。
確かに以前東京のアンティカ オステリア デル ポンテで、あるイタリアののブランドのパーティーをやった時、私はミラノの本店で食べた時より繊細で美味しいと感じたのですが、イタリア人はパンチが足りないと不満そうでした。
一番若いプレスの安武には味がわかったかどうか・・・
この様子では微妙かな。
リゾートスタイルも三者三様。
高級なホテルなので当然Tシャツに短パンはあり得ません。
やはりウチのイケメンが一番キマッています。
おそらくプールサイドにいる客で一番お洒落でしょう。
因みに、私が穿いているパンツは以前このブログで紹介したGIAB’S ARCHVIOのデニムのドローコードのパンツ。
シャツは10年以上前に購入したANNA MATUOZZOのプルオーバー、足元はRIVIERASのメッシュのスリッポン。
プルオーバーやカプリシャツにドローコードのパンツ、足元はジュートソールのスリッポンと、ちょっとレトロ リゾートを意識しました。
東京でホテルのプール行くときもこんな格好です。
近所の区民プールに行くときはTシャツに短パンです。
それもTPOという事ですね。
そして、この日は夕食もヴィラ デステ。
ディナーはジャケットかスーツでタイドアップというドレスコードがあります。
イケメンに比べて少しカジュアルな私・・・
スーツ着てきた方が良かったかなという雰囲気でした。
招待してくれたのは、T,E.SというCOMOの有名なファブリックメーカーのオーナーであるEdoardo Scaccabarozzi 通称エドさん。
プールを使えるように手配してくれたのもエドさんです。
ホテルのスタッフで彼を知らない人はいないほどの顔です。
この日のディナーはヴィラ デステを知り尽くしているエドさんにワインのセレクトも料理も全てお任せしました。
ワインを味わい無言の安武。
味がわかっているかどうか・・・
全て最上級の食材を使った料理ばかり。
文句のつけようがありません。
なんと言えばいいのか、とにかく高級な味がします。
イタリアでも日本でも普段食べているイタリアンとは明らかに違います。
それは数年前に食べたミラノのフォーシーズンのシェフズ テーブルの時と同じ感覚です。
日が暮れると更に良い雰囲気になります。
男性も女性もドレスアップしているので、日本ではなかなか体験できない高級リゾートの雰囲気です。
アメリカ人のお金持ちのウェディングがあり、お祝いの花火もあがりました。
それも我々のテーブルの目の前。
2~3発かと思ったら15分くらい続きます。
我々にとってはちょっとした花火大会。
とても得した気分です。
これもエドさんが一番良い席をキープしてくれたお蔭。
ウェディング パーティー、ちょっと覗いてみました。
安武のLEICAで隠し撮り。
まるで映画の世界です。
半日のバカンスでしたが、とても充実した時間でした。
今シーズンはレトロ リゾートを打ち出していたので、本当の高級リゾートの休日を体験できたことは、我々にとってはとても有意義でした。
リゾートスタイルの流れは来年の春夏も続くので、この経験がバイイングや企画にも活かせると思います。
エドさん、ありがとうございました。
いつかヴィラ デステに泊まれるように頑張ります。
後で値段調べてビックリ・・・
本当のセレブじゃないと泊まれません。
FERMO FOSSATI
6月のPITTI UOMO後の週末は数年ぶりにコモに行ってきました。
コモはヨーロッパ屈指のリゾートで有名ですが、近年はジョージ クルーニーが別荘を建てたことでアメリカでも有名になり、アメリカ人観光客も急増しているようです。
我々ファッション業界の人間にとっては、コモはシルクの一大産地として有名で、ある意味シルク ファブリックの聖地とも言える場所です。
今回、数年ぶりにコモを訪れたのは、私がコモのシルクファブリックのメーカーの中で最もリスペクトしている、ここを訪れるためです。
FERMO FOSSATI (フェルモ フォサーティ)
1871年創業で世界で最初に近代的なネクタイ用のファブリックの生産を確立したことで有名なシルクファブリックの製造メーカーです。
皆さんが知っている有名なネクタイブランドのほとんどが、このフォサーティのファブリックを使っているので、我々のようなバイイングや企画をする人間でフォサーティを知らない人はいないと言っても過言ではないでしょう。
フォサーティと言えば、このアーカイブの資料が有名で、多くのデザイナー達がこのアーカイブからヒントを得てデザインを起こしています。
ブックになっている資料まで全てチェックをするには数日かかるほど膨大な量の資料があります。
オーナーのOTTO MANTERO (オット マンテロ)はシルクファブリックの世界だけでなく、メンズファッション業界でも重鎮として知られた人です。
アーカイブの資料を我々に見せながら熱く語っています。
並々ならぬフォサーティ愛が感じられます。
私は前夜のディナーから隣の席で熱く語られました。
ふたりとも顔が真剣・・・
オットさん、ものづくりに対しては妥協を許さないかなり熱い人です。
フォサーティと言えば、この現存する世界最古のシャトル織機です。
前回訪れた時も土曜日だったので、ファクトリーは休みで織機は動いていなかったのですが、今回は工員の数名が休日出勤してくれたので織機を動かしてもらえました。
シャトルを飛ばしながらゆっくりとフレスコの生地を織っていく過程を見れただけでコモに来た甲斐がありました。
それにしても100年以上前の旧織機なので、織りあがるまで相当な時間がかかります。
これを見るだけでフォサーティの生地がどれだけ価値があるものなのかわかります。
以前私がプロデュースしていたションヘルというシャトル織機で織ったスーツ生地があったのですが、この織機はションヘルより更に古い織機のようです。
オットさん、自慢げなどや顔。
そりゃそうですよね。
こんな効率の悪い古い織機を使って、ここまで拘って作ったネクタイ生地はそこらに有るものではないですから、オットさんがどや顔になるのもわかります。
因みに、オットさんはイタリアの高級シャツ生地メーカーの CALRO RIVA (カルロ リーバ) のオーナーでもあります。
フォサーティのファクトリー内にあるカルロ リーバのセクションに来ると、オットさんの説明も更に熱が入ります。
フォサーティの工場見学に来たのに何故かカルロ リーバの説明の方が長い・・・
これにはフォサーティのスタッフも苦笑。
カルロ リーバの良さは触れば分かるので、ある意味説明不要なのですが・・・
オットさんの熱いアテンドによる工場見学に予想以上に時間がかかってしまい、我々のオリジナル生地の仕込みもかなりおしてしまう始末。(笑)
スタッフは休日出勤しているので、早く終わらせて帰宅させてあげないといけません。
なんとかアーカイブの資料からピックアップしたサンプルを参考にオリジナルの企画も終了。
あとは上がってきたサンプルを日本でチェックして、来春夏のオリジナルに落とし込んだり、ネクタイブランドのコレクションに乗せたりと、色々仕込んでいきます。
BEAMSのオリジナルでフォサーティの生地を使ったネクタイにはこのネームが付いています。
既にこのネームの付いたオリジナルのネクタイをお持ちの方も多いと思いますが、日本でダブルネームを付けるのを許されているのはBEAMSだけです。
インポートブランド好きな方にも是非お試しいただきたいと思います。
因みに、オットさんの愛車はクラシックな装いと博士のような風貌からは全く予想できないイタリアンレッドの ALFAROMEO GIULIA QUADRIFOGLIO VERDE
500ps超えのモンスターマシンです。
日本ではジュリアはまだデリバリーされていませんが、イタリアでは既に結構見かけるようになりました。
実物はかなりいいですね。
ドイツ車には無い色気があります。
オットさんの隣に乗りましたが、運転も風貌と真逆で全くジェントリーではありません。
ホテルから5分もかからないレストランまでレーシングモード全開でぶっ飛ばします。
それにしてもこのクルマ相当速いです。
欲しくなりました。
でも多分値段はBMWのMとおなじくらいになるでしょうね。
1000万円ですか・・・
ハードル高すぎです。
MEN'S EX 8月号 連載
今月は国内の展示会のピークなので、午前中から遅い日は20時過ぎまで終日展示会まわりと、多忙な毎日。
私は現場至上主義なので、シーズン最初にある程度の方向性を示しますが、モノをしっかり見たうえでディレクターやバイヤー達と方向性を共有しながらディレクションを進めていくタイプなので、この時期はとにかく出来るだけ多くの展示会を回って、しっかりモノや流れを見極めるのことが本当に重要なのです。
私のような立場になると、現場を見ずにデータと自分の経験値だけで良し悪しを判断するような人も多いと聞きますが、私は真逆のタイプですね。
そのような状況なのでブログを更新する時間もなく、久しぶりの更新です。
今回はMEN'S EX 8月号の連載についてです。
私の連載 ”中村達也の今、買いのアイテム”
今回は番外編で ”2017秋冬トレンド先取りNEWS” です。
2017年秋冬の流れからいくつかのアイテムをピックアップしてご紹介しています。
ピークドラペル
ここ数シーズンクラシック回帰の流れでチェンジポケットやサイドアジャスター、襟付きのジレなど、サルトリア調やビスポーク調のディティールが注目されていますが、2017年秋冬もその流れは継続しており、新たなディティールとしてシングルのピークドラペルのジャケットやスーツが注目されています。
ご覧のように、多くのブランドがシングルピークドのジャケットやスーツを打ち出していて、クラシックなディティールの新たな流れとして注目されているのは間違いありません。
このピークドラペル、モード系のブランドでは既に数年前から多く見られるディティールで、クラシック系のブランドでも数年前からピークドラペルが少しづつ見られるようになってきた状況を経ての流れなので、突発的に出てきたディティールではありません。
ピークドラペルはフォーマル的なディティールとして捉えられがちですが、今の流れは英国的なクラシックなディティールとして取り入れていう言う流れなので、特に難しく考えず普通にタイドアップしたりタートルネックと合わせたりして、サラッと着こなした方が良いでしょう。
私も秋冬はピークドラペルのジャケットとスーツ1着づつ購入予定です。
既に目星は付けているので、購入する際はご報告します。
トレンチコート
これまでのイタリア的なスリムで着丈の短いトレンチではなく、シルエットもディティールも伝統的な英国調のトレンチコートが注目です。
上の画僧のように、クラシックなディティールでゆったりとしたシルエットのトレンチコートが復活しています。
英国ブランドだけでなく、イタリアのブランドからもそのようなトレンチコートが多く打ち出されています。
素材も昔から英国のレインコートにあるような目のつまったコットンギャバジンから、ウール素材、ダブルフェース、ビンテージ加工を施しした生地など、バリエーションもかなり増えています。
クラシックなディティールとゆったりしたシルエット、そして長めの着丈がこれからのトレンチ選びの重要なポイントとなるでしょう。
トレンチコートだけでなく、他のコートもゆったりとしたシルエットで長めの着丈と言うのが、今後のコートのシルエットの主流になっていくことは間違いないでしょう。
プリントストール
ひと昔前に流行ったイタリア色の強い大柄で派手なプリントスカーフではなく、ビンテージのプリントを現代的にアップデートされたプリントスカーフやストールが注目です。
ご覧のように、ペーズリー、小紋、ジオメトリック、ドットといったクラシックなパターンをアップデートさせたスカーフやストールが主流となっています。
ペイズリーや小紋もネクタイ同様に柄が大きくなっているのが傾向です。
素材はシルク、ウールやカシミア、それらを混紡させたものと、バリエーションはかなり多いです。
下段の画像のようなシルクプリントにカシミアを貼った英国調のクラシックなリバーシブルのストールも久々に復活しています。
この傾向は英国ブランドもイタリアブランドも共通しているので、巻きモノの新たな流れになることは間違いないでしょう。
モックネック
タートルネックの流れは継続していますが、その流れに新たにモックネック(ハイネック)が加わっています。
ご覧のように、多くのニットブランドがバリエーションを増やして展開し、ファッション業界人達の着用も増えています。
ここ10年以上タートルネックが主流でしたが、90年代の英国調ブームの頃は、モックタートルやモックネックと言われたハイネックのニットはタートルと並ぶ定番でした。
BEAMSでも当時はJHONSMEDLEYで定番としてハイネックを展開していました。
ここ数年はモード系のブランドやカジュアル系のブランドで多く見られたモックネックですが、それらの流れに多少影響を受けているのと、英国的なディティールやアイテムが注目されているという二つの流れがあって、今またモックネックが注目されているのではないかと思います。
タートルと違い折り返しが無いので首元がシンプルに見えるのと、ネッカチーフを巻くなどアレンジができるのもモックネックの良いところです。
タートルネックの首が詰まる感じが苦手な人でも、モックネックであれば違和感は少ないと思うので、是非着ていただきたいニットです。
秋冬のトレンドアイテムやキーワードはもちろんもっとあるのですが、今回は代表的なアイテムをご紹介しました。
昨今の傾向を見ると、トレンドと言われるアイテムやキーワードのほとんどは、80年代から90年代後半に流行したモノやスタイルが、今の時代感に合わせてアップデートされてリバイバルしていると言ってよいでしょう。
上記のアイテムも全て過去に流行したモノがアップデートされて打ち出されています。
既にマーケットに出ているプリーツパンツ、ベルトレス、サイドアジャスター、サスペンダー、タブカラ―、ラウンドカラ―、レトロポロなども全て同じ。
つまり、昨今トレンドと言われているモノやディティールは突発的なトレンドとして出てきたものではなく、全て過去に流行したモノが今の時代性に合わせてアップデートされ打ち出されているといると言うのが実情です。
ただ、その時代をリアルに通っていない人にとっては、一過性のトレンドに感じてしまうのも仕方のないことでしょう。
ここ数年は長く続いたドレスクロージングのカジュアル化の波が収束し、ドレスクロージング本来のクラシックなスタイルが戻ってきているので、大きな転換期を迎えていると言って良いでしょう。
変化のスピードも速いので、新しい流れに対して懐疑的に思う人も多いと思いますが、その疑念を晴らすのも私の役割だと思っています。
来年の春夏の流れも見えてきているので、一年後の流れも見据えたうえで正しい情報をしっかりお伝えしていきたいと思います。
まずは本誌連載ページをご覧いただき、代表的な流れをチェックしていただければと思います。
私はピークドラペルいきます。
ダブルのジャケットやスーツを着こなすことができれば難しいことはありません。
お勧めの襟型です。
流行モノではないのでご安心を。
ミラノ ショールーム 続報2
イタリア出張で必ずチェックする SLOWEAR のショールーム。
以前はPITTI UOMOにも出展していたのですが、今はミラノのショールームでしかフルコレクションを見ることができません。
ネックなのはショールームの場所。
ERMENEZILDO CANTONI というでミラノの中心地からタクシーで30分くらいかかる倉庫街のようなエリアは、住所を言えばすぐに行き先がわかるミラノのタクシードライバーも ?と聞き直すエリア。
忙しいミラノのショールームまわりで往復1時間は正直かなりのロス・・・・ だったのですが、
今回からVIA SOLFERINOという中心地からタクシーで15分くらいのエリアにショールームを移転しました。
今回は新しいショールームで初めてのプレゼンテーションでした。
INCOTEXもやはり打ち出しはプリーツパンツです。
もはやプリーツパンツは流行のアイテムではなく、時代の定番となったと言ってよいでしょう。
ノープリーツの打ち出しはやはり太めのシルエット。
他のブランドと同様にやはりIMCOTEXでも リラックスフィットのノープリーツが提案されていました。
今の流れを考えれば、INCOTEXのコレクションにこのシルエットのノープリーツは必須であると言えるでしょう。
ドローコード入りのパンツのバリエーションもかなり多かったです。
INCOTEXは昨年からこのタイプのパンツを打ち出していましたが、バリエーションが更に増えたのは流れと言うこと以外にも、やはりセールスが好調だったからなのでしょう。
ドローコードのパンツについては、すでにMEN'S EXの私の連載で紹介しましたが、来年の春夏は更に注目されるアイテムになることは間違いないでしょう。
ドローコード入りのショーツが増えているのも傾向いです。
GLANSHIRTS は、オープンカラ―、ワンピースカラ―、プルオーバー、BDと、カジュアルシャツの流れをしっかりとおさえた打ち出しでした。
やはり、プリントシャツの提案が多く、オープンカラ―やワンピースカラ―にのせているのも他のブランドと同じ。
カジュアルシャツに関しては、オープンカラ―系とBD、そしてバンドカラーの提案がかなり多かったです。
サプライヤー側もワイド系のカラ―に少し飽きがきているのがうかがえます。
MONTEDOROでもフォーマル調のジャケットが提案されていました。
このくらいのこなしだとカジュアルなパーティーに着て行ってもいいですね。
少し前に流行ったタキシード風のジャケットにファイブポケットのようなコーディネートもまたいいかもしれません。
そして、モンテドーロでも旅をテーマとした機能素材を使ったパッカブルのセットアップスーツを提案していました。
予想していたとおりの展開ですね。
トラベル的なアイテムは来春夏の明確なトレンドでもあるので、スローウェアがこれをやらないわけがないというのが正直な印象です。
おそらく、今シーズン ポリエステル混の機能素材のパンツのセールスが良かったのも アイテムを広げた要因だと思います。
ネッカチーフのバリエーションも良かったです。
エントランスのメインディスプレイにも使われていて目を引きました。
素材や色柄も良かったのですが、ネッカチーフのコレクションに関してはミラノのショールームでしかオーダーできないという事なので、日本のショールームにはサンプルも来ないようです。
ネッカチーフは今シーズンBEAMSでも非常に好調だったアイテムですが、現地でもすでに巻き物の定番として定着しているようです。
サプライヤー各社がかなりバリエーションを増やしているのを見ても、その流れは明確です。
因みに、ウチのイケメンズはネッカチーフは既にマストアイテム。
二人とも似合っていますね。
私はちょっと照れもあっていまだに手が出ず・・・
でも、20代の頃はスカーフ大好きでよく巻いていました。
当時はアスコットタイかスクエアのスカーフを細く巻いて首に巻くのがポピュラーでした。
特にドットのスカーフはフレンチアイビーのマストアイテムだったのでよく着けていました。
23歳の私、今見ると若すぎて似合っていないような・・・
スローウェアのショールームはいつも出張の終盤にアポイントを入れるので、ある程度流れもわかってきた状況でチェックしますが、毎回流れをつかむのが上手くてコレクションにまとまりがあるなという印象を受けます。
ただ、最近全体的に値段が高くなってきたなというのが正直な印象です。
今回ショールームがミラノの郊外から中心に引っ越してきて、今まで以上に広いスペースになったので相当家賃が高くなったのだろうなと思ってしまうのは私だけではないでしょう。
まさか、こんな良い場所に素晴らしいショールームを作って値段が高くなることはないでしょうね・・・
まだ値段聞いていないんです。
高くなっていないことを祈ります・・・
ミラノ ショールーム 続報
先週の金曜日にイタリアから無事帰国しました。
今回はナポリから入り一泊でフィレンツェに移動、PITTI最終日にミラノに移動するもストライキでコモ行の電車に乗れずタクシーで移動、帰国便はミラノからロンドンに行く便が天候不順で遅れ、搭乗最終時刻ギリギリで間に合うという始末。
毎回何も問題なく終わることが無いのがイタリアなんです。
今回は現地でアップできなかったミラノのショールームの続報です。
PT01のショールームは、PITTIのブースには無かったモデルも含めてかなりのバリエーションのパンツを見せていましたが、全バリエーションの約7割くらいがプリーツパンツでした。
2プリーツがメインで、ワンプリーツ、インプリーツ、ベルトレスとバリエーションも豊富で、これまで以上に
力を入れているのは明確です。
因みに、1番上段の画像のソラーロの2プリーツが個人的にはかなり刺さりました。
他のブランドと同様にノープリーツの新しい提案は少し太めのラインのモデル。
このような股上もある程度深く、リラックスしたシルエットのノープリーツの提案が本当に多かったです。
スリムなシルエットのノープリーツは無くなったわけではないですが、ショールームに展示しているサンプルも非常に少なくなっているのが実情です。
ゆったりとしたノープリーツのパンツは、モード系のブランドでも多く見られるシルエットですが、元々ノープリーツのスキニ―なシルエットもモードのトレンドがクラシックに降りてきたモノなので、数年後にはこのようなパンツを普通に穿くようになるかもしれません。
ドローコード入りのパンツのバリエーションが増えているのも他のブランドと同じ。
柄をあしらったドローコードを取り入れたのはPT01らしいとも言えますが、正直なところ個人的には微妙な感じです・・・
カジュアルなリラックスパンツであればコレでもいいですが、シルエットも綺麗なスラックス型なのでパンツと同素材のドローコードの方がいいですね。
スーパースリムのノープリーツが代名詞だったPT01も、ここ数シーズで大きく変わりました。
今やプリーツ入りのテーパードシルエットのモデルが主流になっています。
LARDINIもPITTIのブースには無いサンプルがミラノのショールームにはたくさんあるので、再度じっくりチェックをしてからオーダーします。
最近ヨーロッパではフォーマルウェア―の販売がとても好調だという話を今回の出張で多くのサプライヤーから聞きました。
ドレスの傾向が強まっていることで、服好きの人たちがパーティーなどでフォーマルウェアを着ようという気分が高まっているのが理由のようです。
ラルディーニもフォーマルウェアの提案に力を入れていました。
上段は昔のサビルローのビスポークを参考にしたモデル。
前合わせはダブルですが、フロントのボタンは一つというちょっと凝ったディティール。
中段と下段はベージュ~ブラウンのグラデーションで組まれたタキシードタイプのセットアップ。
本来のフォーマルのルールには全く当てはまらないモノですが、来春夏はコロニアルという傾向もあるので、”コロニアル風の色使いのフォーマル提案”は、個人的にはなかなかと面白いと思います。
”こんなのフォーマルじゃない” という方もいらっしゃると思いますが、イタリア人の柔軟な発想から生まれたものなので、あまり目くじらを立てないでくださいね。(笑)
コロニアル テイストと言えば、このディスプレイも良かったです。
上段はレトロポロにネッカチーフ、下段はタイドアップと、いずれも首元がポイント。
カジュアルなジャケットコーディネートも数年前と違って胸元を大きく開くようなディスプレイは少なくなりました。
カジュアルも上品で綺麗目にという傾向なのは間違いありません。
機能素材を使い、トラベラーやイージーケアを謳ったアイテムが数年前から増えていましたが、今回はジャケットやスーツまで広がっていました。
ラルディーニもイージーケアという名で、風雨を凌げて、皺にならず、小さくたためて持ち歩けるジャケット、スーツ、アウター、コートを提案していました。
この手のアイテムは化繊系の素材で作りもカジュアルなものがほとんどなので、好き嫌いがハッキリ分かれるところですが、今回は多くのブランドが手掛けていたので、ある意味トレンド的な提案と言えるでしょう。
これまではパンツやアウターやコートに多く見られたモノですが、来春夏はアイテムのバリエーションが広がっているのが傾向です。
ここ数年ラルディーニはパンツコレクションにも力を入れています。
打ち出しはやはりプリーツパンツです。
そして、ラルディーニでもドローコード入りのパンツ。
来春夏はプリーツパンツとドローコード入りのパンツを展開していないブランドは無いと言っても良いでしょう。
そして、カジュアル シャツはワンピースカラ-のプリントシャツ。
オープン系のシャツとプリントシャツ、この二つのシャツはカジュアルシャツの流れと言って間違いないでしょう。
それにしても、元々ジャケットやスーツの専業ブランドだったラルディーニがトータルルックを始めてまだ数年ですが、ジャケットやスーツ以外のアイテムも流れをしっかりおさえた提案ができていると思います。
専業ブランドのトータル展開を嫌う人もいますが、ラルディーニのようにシャツやパンツや他のアイテムも専業ブランドと変わらないか、それ以上にしっかりとしたモノづくりと感性のあるモノを展開していれば文句のつけようがないと言う印象です。
どことは言えませんが、皆さんが知っている専業ブランドでもダメダメなところはありますから....
PT01とLARDINIはPITTI UOMOでも大きなブースを構えていますが、近年のPITTI UOMOはプレゼンの場という要素が大きいので、やはりミラノのショールームでフルコレクションをチェックしなければコレクションの全貌はわかりません。
我々は5月にプレコレクションを東京で見て、PITTI UOMOでブースをチェックし、ミラノのショールームでフルコレクションをチェックして、帰国後日本の代理店の展示会で最終的に漏れが無いかチェックします。
つまり、同じブランドのコレクションを4回チェックしてオーダーしていることになります。
その中には当然別注の企画などもあります。
ブランドの規模の大小はありますが、ほとんどのブランドのオーダーが1回コレクションをチェックしただけでオーダーすることはありません。
時間と労力はかかるのですが、これによって誰も気づかないような小さな変化や流れが明確に見え、バイイングするアイテムの様々な問題点も見えてくるものなのです。
PITTI UOMOにバイイングに行くと言ってPITTI UOMOだけ見て帰る人がいますが、多くのバイヤー達はそれを聞くと ”PITTIでバイイング?”と思う人がほとんどだと思います。
実は10年前くらいからPITTI UOMOではオーダーを取らないというブランドがかなり増えているので、BEAMSもPITTIでオーダーを入れるのは数ブランドだけです。
オーダーを取らなくなった理由は、PITTI UOMOはブランドの世界観を表現するプレゼンテーションに力を入れたいので、オーダーは翌週ミラノのショールームか日本の代理店のショールームでということなのです。
しかし、当然日本の代理店のショールーにはフルコレクションは揃わないので、ミラノのショールームでチェックすることは我々にとってすごく重要なことなのです。
来週から日本での展示会が始まります。
流れも明確に見えてきたので、後は最終的にどうまとめてBEAMSらしいセレクトにするか。
我々はセレクトショップなので、セレクトすることが最も大事なのです。
セレクトすることを忘れたセレクトショップになってはいけませんね。
今日は自らを戒める意味も含めて、辛口でしめさせてください。
今日は秋冬のカタログのコーディネートでした。
このSITILE LATINOのジャケット。
メチャクチャ格好いいです。