ミラノ ショールーム 続報
先週の金曜日にイタリアから無事帰国しました。
今回はナポリから入り一泊でフィレンツェに移動、PITTI最終日にミラノに移動するもストライキでコモ行の電車に乗れずタクシーで移動、帰国便はミラノからロンドンに行く便が天候不順で遅れ、搭乗最終時刻ギリギリで間に合うという始末。
毎回何も問題なく終わることが無いのがイタリアなんです。
今回は現地でアップできなかったミラノのショールームの続報です。
PT01のショールームは、PITTIのブースには無かったモデルも含めてかなりのバリエーションのパンツを見せていましたが、全バリエーションの約7割くらいがプリーツパンツでした。
2プリーツがメインで、ワンプリーツ、インプリーツ、ベルトレスとバリエーションも豊富で、これまで以上に
力を入れているのは明確です。
因みに、1番上段の画像のソラーロの2プリーツが個人的にはかなり刺さりました。
他のブランドと同様にノープリーツの新しい提案は少し太めのラインのモデル。
このような股上もある程度深く、リラックスしたシルエットのノープリーツの提案が本当に多かったです。
スリムなシルエットのノープリーツは無くなったわけではないですが、ショールームに展示しているサンプルも非常に少なくなっているのが実情です。
ゆったりとしたノープリーツのパンツは、モード系のブランドでも多く見られるシルエットですが、元々ノープリーツのスキニ―なシルエットもモードのトレンドがクラシックに降りてきたモノなので、数年後にはこのようなパンツを普通に穿くようになるかもしれません。
ドローコード入りのパンツのバリエーションが増えているのも他のブランドと同じ。
柄をあしらったドローコードを取り入れたのはPT01らしいとも言えますが、正直なところ個人的には微妙な感じです・・・
カジュアルなリラックスパンツであればコレでもいいですが、シルエットも綺麗なスラックス型なのでパンツと同素材のドローコードの方がいいですね。
スーパースリムのノープリーツが代名詞だったPT01も、ここ数シーズで大きく変わりました。
今やプリーツ入りのテーパードシルエットのモデルが主流になっています。
LARDINIもPITTIのブースには無いサンプルがミラノのショールームにはたくさんあるので、再度じっくりチェックをしてからオーダーします。
最近ヨーロッパではフォーマルウェア―の販売がとても好調だという話を今回の出張で多くのサプライヤーから聞きました。
ドレスの傾向が強まっていることで、服好きの人たちがパーティーなどでフォーマルウェアを着ようという気分が高まっているのが理由のようです。
ラルディーニもフォーマルウェアの提案に力を入れていました。
上段は昔のサビルローのビスポークを参考にしたモデル。
前合わせはダブルですが、フロントのボタンは一つというちょっと凝ったディティール。
中段と下段はベージュ~ブラウンのグラデーションで組まれたタキシードタイプのセットアップ。
本来のフォーマルのルールには全く当てはまらないモノですが、来春夏はコロニアルという傾向もあるので、”コロニアル風の色使いのフォーマル提案”は、個人的にはなかなかと面白いと思います。
”こんなのフォーマルじゃない” という方もいらっしゃると思いますが、イタリア人の柔軟な発想から生まれたものなので、あまり目くじらを立てないでくださいね。(笑)
コロニアル テイストと言えば、このディスプレイも良かったです。
上段はレトロポロにネッカチーフ、下段はタイドアップと、いずれも首元がポイント。
カジュアルなジャケットコーディネートも数年前と違って胸元を大きく開くようなディスプレイは少なくなりました。
カジュアルも上品で綺麗目にという傾向なのは間違いありません。
機能素材を使い、トラベラーやイージーケアを謳ったアイテムが数年前から増えていましたが、今回はジャケットやスーツまで広がっていました。
ラルディーニもイージーケアという名で、風雨を凌げて、皺にならず、小さくたためて持ち歩けるジャケット、スーツ、アウター、コートを提案していました。
この手のアイテムは化繊系の素材で作りもカジュアルなものがほとんどなので、好き嫌いがハッキリ分かれるところですが、今回は多くのブランドが手掛けていたので、ある意味トレンド的な提案と言えるでしょう。
これまではパンツやアウターやコートに多く見られたモノですが、来春夏はアイテムのバリエーションが広がっているのが傾向です。
ここ数年ラルディーニはパンツコレクションにも力を入れています。
打ち出しはやはりプリーツパンツです。
そして、ラルディーニでもドローコード入りのパンツ。
来春夏はプリーツパンツとドローコード入りのパンツを展開していないブランドは無いと言っても良いでしょう。
そして、カジュアル シャツはワンピースカラ-のプリントシャツ。
オープン系のシャツとプリントシャツ、この二つのシャツはカジュアルシャツの流れと言って間違いないでしょう。
それにしても、元々ジャケットやスーツの専業ブランドだったラルディーニがトータルルックを始めてまだ数年ですが、ジャケットやスーツ以外のアイテムも流れをしっかりおさえた提案ができていると思います。
専業ブランドのトータル展開を嫌う人もいますが、ラルディーニのようにシャツやパンツや他のアイテムも専業ブランドと変わらないか、それ以上にしっかりとしたモノづくりと感性のあるモノを展開していれば文句のつけようがないと言う印象です。
どことは言えませんが、皆さんが知っている専業ブランドでもダメダメなところはありますから....
PT01とLARDINIはPITTI UOMOでも大きなブースを構えていますが、近年のPITTI UOMOはプレゼンの場という要素が大きいので、やはりミラノのショールームでフルコレクションをチェックしなければコレクションの全貌はわかりません。
我々は5月にプレコレクションを東京で見て、PITTI UOMOでブースをチェックし、ミラノのショールームでフルコレクションをチェックして、帰国後日本の代理店の展示会で最終的に漏れが無いかチェックします。
つまり、同じブランドのコレクションを4回チェックしてオーダーしていることになります。
その中には当然別注の企画などもあります。
ブランドの規模の大小はありますが、ほとんどのブランドのオーダーが1回コレクションをチェックしただけでオーダーすることはありません。
時間と労力はかかるのですが、これによって誰も気づかないような小さな変化や流れが明確に見え、バイイングするアイテムの様々な問題点も見えてくるものなのです。
PITTI UOMOにバイイングに行くと言ってPITTI UOMOだけ見て帰る人がいますが、多くのバイヤー達はそれを聞くと ”PITTIでバイイング?”と思う人がほとんどだと思います。
実は10年前くらいからPITTI UOMOではオーダーを取らないというブランドがかなり増えているので、BEAMSもPITTIでオーダーを入れるのは数ブランドだけです。
オーダーを取らなくなった理由は、PITTI UOMOはブランドの世界観を表現するプレゼンテーションに力を入れたいので、オーダーは翌週ミラノのショールームか日本の代理店のショールームでということなのです。
しかし、当然日本の代理店のショールーにはフルコレクションは揃わないので、ミラノのショールームでチェックすることは我々にとってすごく重要なことなのです。
来週から日本での展示会が始まります。
流れも明確に見えてきたので、後は最終的にどうまとめてBEAMSらしいセレクトにするか。
我々はセレクトショップなので、セレクトすることが最も大事なのです。
セレクトすることを忘れたセレクトショップになってはいけませんね。
今日は自らを戒める意味も含めて、辛口でしめさせてください。
今日は秋冬のカタログのコーディネートでした。
このSITILE LATINOのジャケット。
メチャクチャ格好いいです。























