皆様こんにちは。沙貴 誉(さき ほまれ)です。
今回も早速、私の好きな登場人物を紹介します。
石川五右衛門とモニカ(笛)
石川五右衛門は、前回も紹介した通り、今井宗久の下で働いていました。
性格は情に厚く優しさもありますが、ヤンチャな部分もあり、かつ親分肌です。
非常に男らしさもありますが、そこがマイナスに働くと、乱暴で粗野な面として表れてしまいます。
モニカは堺の商人の娘で、いわゆるお金持ちのお嬢様です。
モニカはキリシタンです。おそらく“モニカ”は洗礼名で、本名は笛です。
多分、モニカは架空の人物なのではと思います。
モニカの美しさと清楚さに、五右衛門は心惹かれてしまいます。
そしてあろうことか、五右衛門はモニカを力尽くで自分のものにしてしまいます。
何て最低すぎる五右衛門。
モニカは五右衛門を恨みつつも惹かれてしまい、2人は恋仲になります。
そして2人は、駆け落ちしました。
駆け落ちをしたものの、上手くはいかずに、2人は山中で隠れて暮らす事になります。
というのも、モニカは山で漆にかぶれて顔の半分近くに痣のようなもの(爛れかも?)が残ってしまって、人前には出たくなかったからです。
また、駆け落ちした2人は、とても堺には戻れなかったからです。
2人はやがて、偶然にも助左衛門に発見されます。
五右衛門の説明によると、五右衛門はモニカに堺に帰れと言ったが帰らずに自分(五右衛門)から離れなかった、そしてキリシタンは自殺が出来ないので自ら死ぬ事も出来ない。という事でした。
まさに八方塞がりという感じの2人でした。
助左衛門は当時、長浜という場所で商売をしていたので、モニカに長浜に行く事を提案します。
五右衛門は正直言って、モニカが負担なので離れたいという感じでした。
ただ、助左衛門から念を押されたので、「後で長浜に行く」と言います。
まずはモニカは助左衛門と共に長浜に向かいました。
しかしその途中、助左衛門が目を離した隙に、モニカは行方不明になってしまいます。
おそらくモニカは、五右衛門が自分を捨てたと思っているので、五右衛門を探しに行ったのではないかと思います。
その当の五右衛門は、一度はモニカを捨てたものの、やはり探しに出ます。
長浜に行ってもモニカの姿は無く、キリシタンが多く集まる高槻という場所や他の場所、そして堺を探してもモニカの姿はありませんでした。
その後、五右衛門は助左衛門を見つけて合流します。
モニカをひたすら探しても居なかった事を助左衛門に告げ、五右衛門はモニカはもうこの世に居ないのではと思うようになりました。
助左衛門は五右衛門を励まし、また一から人生を仕切り直して、長浜で暮らしていこうと誘います。
五右衛門もそれに同意します。
五右衛門は助左衛門に頼まれて、高槻のキリシタン大名・高山右近の元に荷物を届けます。
高槻では、キリスト教の復活祭が開催されていました。
五右衛門はそこで、乞食のようになったモニカと再会します。
2人は大変に驚き、悲観的な想いはありつつも、再会を喜びます。
モニカは言いました。
何も後悔はしていない、と。
五右衛門と出会った事も。そしてこれから行われる事も。
何も後悔なない、と。
そして2人はここで苦悩に満ちた恋を終わらせます。
五右衛門はモニカに手を下します。
モニカはまるで聖母のような微笑で、天に召されました。
苦悩を終わらせるための、しかも本人も望んでいたモニカの死のはずなのに、五右衛門はモニカを自らの手にかけた事、そしてモニカを失った事で、更なる苦悩に悶絶します。
五右衛門は助左衛門の元には戻らずに、姿を消しました。
五右衛門が助左衛門の前に姿を見せるのは、何年も経った後です。
五右衛門は盗賊の頭領になっていました。
子分も沢山います。
そして五右衛門は、堺に店を持った助左衛門と共に暮らしていた桔梗と親交を深めます。
この頃の桔梗は助左衛門と結婚していた訳ではなく、助左衛門に保護されていたような感じです。
そう言えば、桔梗も母親のしまも、多分架空の人物だと思われます。
しまと桔梗を初めて紹介した時に、書き忘れていました。
さて、五右衛門はまるで兄のように、桔梗に接します。
五右衛門は桔梗を見ると、モニカを思い出す事もあります。
おそらく、五右衛門はモニカを守れなかったので、親しくなった桔梗の事は何としても守りたい、と思った部分があるのではと、私は思いました。
ところで後に、五右衛門は助左衛門に、教会の鐘の音を聴くとモニカを思い出す、と話しています。
やはり五右衛門の心の中には、今もモニカが住んでいるのです。
さて、やがて助左衛門は、桔梗と結婚する事を心に決めます。
桔梗が助左衛門に想いを寄せていたのを知る五右衛門は、心から喜びました。
助左衛門と桔梗の婚礼は、呂宋で行われる事になりました。
しかし婚礼の前日。
日本での豊臣秀吉のスペイン人宣教師に対する非道な行いに激怒した呂宋のスペイン人が、報復のために日本人町を襲撃しました。
スペイン人の手に掛かる前に、桔梗は自ら命を絶ちました。
この悲劇の根本の原因は豊臣秀吉にあるとして、助左衛門と五右衛門は日本に帰国し、秀吉に復讐しようとしますが、空振りに終わってしまいます。
五右衛門にはある考えがあり、助左衛門とは袂を分かちます。
五右衛門の考えとは、単身というか、自分と子分たちとで、秀吉のいる伏見城へと乗り込んで、秀吉を暗殺しようとするものでした。
しかし暗殺は失敗し、五右衛門は捕らえられてしまいます。
五右衛門は酷い拷問の末、釜茹での刑に処される事が決まりました。
熱湯の煮えたぎる釜に向かう五右衛門の胸の中に、突如として教会の鐘の音が響き渡りました。
実は、五右衛門の処刑に合わせて、堺で助左衛門が鐘の音を鳴らしていたものが、五右衛門の心に届いたのです。
助左衛門は五右衛門が伏見城で秀吉の暗殺に失敗して捕らえられたと知った時、そこで初めて五右衛門が自分と袂を分かった本当の意味に気付いたのです。
そして、助左衛門は五右衛門の処刑に合わせて、鐘の音を鳴らしました。
それは五右衛門の心に、確かに届きました。
そして、五右衛門は微笑みます。
モニカが会いに来てくれた、と。
モニカが迎えに来てくれた、と。
五右衛門は臆する事なく、堂々と釜の中に身を投げ出し、刑に処されました。
己の矜持とモニカへの愛を込めて、五右衛門は釜の中に身を委ねたのです。
…。
モニカという存在が、五右衛門の死と物語に深みを与えました。
もし、モニカという存在が無ければ、五右衛門は只々無念の中で処刑され、絶望して死んでいたかもしれません。
モニカという存在が、五右衛門にとって救いとなっているのです。
モニカと五右衛門の恋物語は、単なる悲恋で終わらずに、無念の死に向かうはずの五右衛門の魂の救済となっているのです。
恐るべし、原作者さんと脚本家さん。
(原作は読んだ事がないので、原作とドラマの展開が全然違っていたら、本当にすみません)
この深い内容と素晴らしすぎる物語の展開に、もう脱帽です。
我々視聴者を楽しませて下さり、本当にありがとうございます。
次回も登場人物紹介です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
愛と平和と喜びが皆様と共にありますように