たまには単純作業をしよう。そんな時間があっていい

以前、本ブログで紹介したラブホテル。

千葉県売ラブホテル：約３８００万円！？「これは安い！！利回り１５％超」

問い合わせは複数あったが、買い手が決まらない。

「それならば、、」と自分で買うことにした。

僕は「自分で買いたくない」と思う物件は紹介しない。

「このホテルは復活する。やりようがある」

そういう物件を紹介しているから「自ら証明しよう」というわけだ。

この物件の問題点は、部屋数が少なく、辺鄙な場所にあること。

人口が多く、大型の物件であれば、億単位の金をかけて改装できる。

しかし、このホテルは田舎にあり、部屋数も１０数ルームと少ないから

デザイナーや建築業者に依頼し、お金をかけすぎると採算が取れない。

だから自分たちでやるか、分離発注で職人さんを探すことになる。

「小さい物件は面倒だからやらない」

最近は、そう思っていた。

しかしゴルフの後、ふとした気まぐれで立ち寄ってみる。

ピンとくるものがあった。

田舎で小規模な物件だけど、地形がいい。

前には湖、それを見下ろす高台に建っている。

これは面白い。

なんだか、可愛く思えてきた。

「よし、買おう！！」

さて、このホテルをどうやって化けさせるか。

この感覚、懐かしい。

ボロ物件にアイデアを出し、自分なりに作っていく。

高校時代の文化祭みたいで楽しい。

やはり僕は、ホテル屋なのだ。

不動産賃貸業は、利回りを追求する。

でも僕はホテル屋だから、面白いものを作りたい。

その結果、お客さんが増えていくのが楽しい。

このホテルのコンセプトは、〝グランピング・ラブホ″。

ラブホテルとしては辺鄙な場所にあるが、グランピングの場所と考えたら東京から近い。

高台にあるから湖は見渡せるし、片面の空地の下は崖になっていてミカン畑が広がる。

向こうの山に見える夕日は美しい。

ここにブランコを作ったら面白い。

空地を綺麗にして、デッキを敷いて、バーベキュー区画にしたらどうだろう。

ラブホに来て、バーベキューをやる。

露天風呂は予算的に難しいから、２次計画か。

問題は、このゴミの山。

その都度廃棄せず、プレハブに投げ入れてきたからハンパない量がある。

プレハブ２つ分。

それだけではない。

建物の周りには、壊れたエアコンの室外機、配管などもある。

これは売主になんとかしてほしい。

売買交渉の末、すべて廃棄してもらい、周りの草木も片づけてもらうことになった。

　

確認に行ったついでに、篠竹の伐採をやってみた。

ホテルから見えなくなっている湖を見てみたい。

伐採すると少し湖が見える。

もう少し、もう少し、とやっているうちに、昼飯を食べるのも忘れ、マジになった。

気がついたら辺りが暗くなっており、凄い量をやっていた。

なにもかも忘れて没頭した。

　
　

昔、アルバイトで知り合った先輩を思い出す。

大学２年生の頃、授業をサボって道路工事の日雇いをやったことがある。

僕の担当は、歩道の縁石を運ぶ役で、かなり思い。

トラックから降ろし、ネコ(一輪車）で運ぶのだが、上手くバランスを取らないと倒しそうになる。

重量物で危ないから、そんなことになったら親方からこっぴどく怒鳴られる。

日雇いなんて、名前を憶えてもらえることもなく「緑」「茶髪」などの特徴で呼ばれる。

僕は目が大きいから「目玉！！」と呼ばれた。

炎天下の中、きつい上に扱いも酷かったから、ほどんどのバイトが続かない。

僕の場合、金もなかったし、友人の親の会社ということもあり、辞めるわけにいかなかった。

１週間も続けると、それなりに要領を覚え、縁石を５～６個まとめて運べるようになり

仕事終わりに親方が「目玉、たまには一杯やるか」と誘ってくれた。

親方は、なんと早稲田の政経を卒業したインテリだった。

新卒で新聞社に就職し、性に合わずやめてしまったらしい。

「どうして、この仕事を選んだのですか？」

「こっちのほうが性に合ってるんだ。仕事終わりの酒が美味いんだよ。

　一日終わったら、何も考えなくていい。新聞社の時はそうじゃなかった。

　次の日、その次の日のことまで考えちゃう。終わった気がしなかった。

　今の方が俺は幸せかな。いつまで続けるか分からないけどね」

その日から僕は、名前で呼ばれるようになった。

たまには、単純作業も面白い。

汗をかき、メチャクチャ疲れたけど、いつになくシャワーが気持ちよかった。

普段使わない筋肉を使ったから、体中ガタガタだ。

でも、なんとも言えない爽快感がある。

これはサウナでいう「キマる」ってやつではないか。

単純作業を繰り返していると、脳はサボり出す。

漫然と夢中になって動き続ける。

人は何も考えていないようで、どうしたってアレコレ考えてしまう。

しかし今回の伐採では、余計なことを考えず、ひたすら動いた。

こんなことって、最近なかった。

これも、たまには悪くない。

趣味でもいい、単純作業でもいい。

何も考えず、没頭する。

そんな時間も大切だ。