プライベートバンカーが語る「１００億超の富裕層を新規でお客にする方法」

長田先生が事情により、セミナーに来られなくなった。

そこでピンチヒッターを引き受けてくれたのが、某プライベートバンカー。

前日の夜中に依頼したにもかかわらず、予定を調整して快く引き受けてくれた。

持つべきものは、良い後輩だ。

彼の紹介をしている中で、外せないのは野村證券時代の話。

野村のＯＢが集まると若い頃の話は尽きない。

外部の人には信じてもらえない事ばかりだが、野村にいた人間ならわかる。

だから、その話になると、トンデモナイ話が次から次へと出てくる。

あの「なんでもあり」の社風の中で、誰もが何かをやらかしている。

もちろん、マトモな話もある。

さて、彼は最初の支店で全国トップレベルの成績をあげた。

４年目に転勤したのはＷＭという部署。

ここは日本を代表する超富裕層の資産運用をする部署で、精鋭ばかりが集まる。

野村證券での超富裕層とは、３ケタ億超のこと。

１００億円以上の金融資産を持つ人だ。

驚いたのは、引き継ぎ客がいないこと。

野村證券では、新入社員にお客はいない。

自分で開拓した新規客だけが、自分のお客となる。

富裕層だけが対象となるから、これはかなりきつい。

転勤の場合は違う。

通常の転勤では、前任者のお客を後任者が引き継ぐ。

しかし彼は、転勤先のＷＭで引継ぎはなく、ゼロから新規開拓することになった。

「新規で１００億以上のお客を開拓するの？」

「そうです」

「それ、きついでしょ？そもそも会えないよね？」

「はい、会えません」

「どうしたの？」

彼の場合、ターゲットの行動を調べて、待ち伏せする。

例えば、高級料理屋。

その人が来るであろう時間に予約し、１人で食事をする。

予想通りその人が訪れても自分からは話しかけない。

怪しまれるからだ。

なんとなく、相手が話しかけてくるのを待つ。

ほとんどの場合、１回目で話しかけられることはない。

それが２，３回続くと、話しかけてくるものらしい。

「よく、お会いしますね」と。

そこからが勝負なのだが、チャンスは１回しかない。

その１回で、つき合う価値のある人間に慣れないと２回目はない。

１回の勝負に勝つために、入念な準備を行う。

「ちなみに、どのくらいお客を作ったの？」

「１年で１０人です」

金融の世界では、太い客１人は一般客１０００人分にも相当する。

「その高級料理店の費用って、経費になるの？」

「なりません。すべて自腹です」

「それ、きつかったでしょ？」

「はい、年収１０００万円でもカツカツでした」

現在彼は野村證券を退職し、プライベートバンカーとして活躍している。

「ちなみに、年収はいくらなの？」

「野村時代の〇〇倍くらいです」

活躍する人はやることが違う。

今日もまた、勉強させてもらった。

Ｋさん、ありがとう！！