今日のお題は、
1 被害者が加害者に変わる時
2 人類・文明の進化からの考察
3 アドラー心理学からの推測
4 滝川市小6イジメ自殺事件
5 どう対処すべきか
の5本です。
今日は、marumomoちゃんの体験をもとに過去の事件を題材にして、イジメから抜けだす方法について話したいと思います。
とても難しい問題であるため、答えはひとつではありませんが一つの意見としてご覧ください。
私の父はとても厳格な人で、簡単に言えば武士道な人でした。
街を歩いていてゴミが落ちていたら『拾いなさい。』『見ていたのに放置するのは自分がゴミを捨てたのと変わらない』
そんな感じで『正しいこと』の実践を躾けられて育ったんです。
中学生の時、仲間外れにされている子がいて、可哀想に思ってその子に手を差し伸べた。
その後、仲直りして同じグループになったんだけと...
今度は、私が仲間外れにされた。
人は、異質なモノを排除しようとする。
それは生きるための本能なのかも知れないけど、今では不要な本能だと思うの。
例え、『仲間外れをやめよう』と言っても、それがマイノリティの意見であれば黙殺されて異質なものとして排除の対象となる。
私はマイノリティとして排除されてしまった。
父はこう言っている。
「長い苦難に耐え、親切で人をむやみに羨まず、自慢せず思い上がらない。
自己自身の利を求めず、容易に人に動かされず、おおよそ悪事と言うものを企まない強い精神を鍛えること」
もし、あなた自身あるいはあなたの大切な人が心に大きな傷を負ってしまっているのなら、このお話が回復への一歩になることを願っています。
被害者が加害者に変わる時
彼女(A子)は、物事をハッキリ言えない子で行動も緩慢で、悪く言えばトロクサイ子でした。
長い間仲間外れにされてましたが、あるきっかけで仲良しグループの一員になります。
でも仲間外れにされていた時の心の痛みは、いつも彼女を支配していたのです。
それは、彼女の心の中に深く刻まれた傷で常に彼女を苦しめていました。彼女はその痛みを再び感じることを何よりも恐れていたのです。
きっかけはB子さんでした。
ある日、B子さんが彼女に声をかけたのです。
『一緒にお弁当を食べよう〜』
彼女は、その優しさに一瞬で心を開いたのです。
しかし、その優しさが彼女を再び痛みへと導くことを恐れ、彼女は自分を守るためにB子を仲間外れにするという行動を取ります。
彼女が自分を助けてくれたB子さんに感謝していたのは確かです。
しかし、その感謝が彼女を弱くすることを恐れ、自分を守るためにB子さんを仲間外れにしたのです。
つまり、自分が再び仲間外れにされることを防ぐために、そのグループの中で自分の地位を保つためにB子さんを仲間外れにしたのです。
彼女は自分が再び痛みを感じることを何よりも恐れていたからです。
これは、表面上のイジメの解決だけではなく、被害者に対する長期のケアが必要であることを伝えているケースです。
イジメ、人類・文明の進化からの考察
人類の進化や文明の進化を考えるとき、異質な人を『虐める』『排除する』心理は、生存競争や社会的な結束力を保つための一部として存在してきたと考えられます。
まず、生物学的な観点から見ると、人間は進化の過程で生存競争を勝ち抜くために、自分たちのグループ内での協力を重視し、異なる特性を持つ他のグループを排除する傾向が強くなったと考えられます。
これは、自分たちの生存と繁栄を守るための自然選択の結果とも言えます。
また、社会心理学的な観点から見ると、人間は社会的な生き物であり、グループ内での結束力を保つことが重要です。
そのため、グループ内での規範や価値観に反する人々、つまり異質な人々を排除することでグループの一体感を保つという心理が働くと考えられます。
これを脳科学的に制裁(sanctions)と言います。
さらに、文明の進化に伴って人間の社会は複雑化・多様化してきました。
その結果、異質な人々を理解し、受け入れる能力も必要とされるようになりました。
その一方で、異質な人々への理解が追いつかず、彼らを排除する傾向が強まることもあります。
これは、文化の進化(変化)に社会性が追いついていないことを意味しています。
以上のように、異質な人を『虐める』『排除する』心理は、人間の進化や文明の進化の中で形成されてきたと考えられます。
しかし、それは必ずしも正しいとは言えず、多様性を認めて異質な人々を理解し、受け入れることが現代社会で求められる価値観とも言えます。
アドラー心理学からの考察
1. 劣等感と優越感のバランス
A子さんが、B子さんに助けられたことで一時的に優越感を感じたものの、その後再び劣等感を感じることを恐れた可能性があります。
その結果、B子さんを仲間外れにすることで自分の地位を保とうとしたのかもしれません。
2. 自己防衛
A子さんがB子さんに対して攻撃的な行動をとったのは、自己防衛の一環としての可能性もあります。
B子さんがA子さんを助けたことで、A子さんは感謝する一方で、B子さんに依存することで自分の自立性を失うことを恐れたのかもしれません。
3. 共同体感覚の欠如
A子さんが他の友達を仲間外れにしなかったのは、彼女が『共同体感覚を欠いていた』からかもしれません。
彼女は自分の地位を保つために、他の友達を仲間に引き入れ、B子さんを仲間外れにすることを選んだのかもしれません。
これらはあくまで推測であり、A子さんの具体的な心理状態や動機を正確に知ることは難しいです。しかし、彼女の行動には彼女自身の不安や恐怖が反映されている可能性が高いと言えます。
次に小学校6年生の女児を自殺に追い込んでしまった集団のイジメについて紹介します。これは成長期の子供達に適切な教育を施さなかった事で起きた悲劇です。
滝川市小6イジメ自殺事件
2005年9月9日(金)
北海道滝川市郊外にある小さな小学校で、少女が担任の教卓に7通
2006年1月6日(金)
少女の意識は回復する事なく、病院で息を引き取った。
滝川市江部乙町は、石狩平野東部、上川盆地を境とするあたりの国
道沿いの道の駅やコンビニを中心とする集落は、こじんま
しかし、全体が隣近所であるような地域社会では、一度いじめが始
担任の教師に辛さを訴えても解決されず。かえってそれが『チクリ』として少女を追い詰め、
自殺を図る前にも教室でカッターの
担任は処置を講じていない。
7通の遺書には、死を選んだ少女が何とか生きた
学校のみんなへ
この手紙を読んでいるということは私が死んだと言うことでしょう
私は、この学校や生とのことがとてもいやになりました。それは、
6年生になって私がチクリだったのか差べつされるようになりまし
でもこわくてできませんでした。
でも今私はけっしんしました。(後略)
6年生のみんなへ
みんなは私のことがきらいでしたか? きもちわるかったですか? 私は、みんなに冷たくされているような気がしました。それは、と
この事件の問題は江部乙小学校、滝川市教育委員会がイジメは
少女は長い間担任の先生に相談していまいた。
発端は修学旅行のグループ決めでした。
行動グループの編成を児童に任せたことで、少女は他の女子生徒にハブられて男子グループと行動します。
楽しい思い出が出来るはずの修学旅行で様々な苦悩に心をいため、旅行から帰宅した1週間後に事件は起こったのです。
7通の遺書を読み解けばイジメがあった事は想像に難くありませ
しかし滝川市教育委員会はわずか2ヶ月後の2005年11月に
少女が病院で治療を受けている間、亡くなった後も学校で何が起こ
その後の2006年9月に遺族が新聞社に遺書を公開し、2006年10月
この事件で北海道教育委員会は、校長・教頭・担任を懲戒処分しましたが、同委員会が学校のイジメ問題で職務義務違反を理由に懲戒処分を下したことは初めてのことでした。
また、この事件をきっかけとして、北海道教育委員会は2006年
実質的に、教師自体がイジメの隠ぺいに加担していた事実が公になったということです。
「イジメはあってはならないもの」と考えてしまうことが、本質から目をそらせる原因なのかもしれません。
事件はWikipediaにも記載されていますので確認してみてください。
どう対処すべきか
日本のイジメ対策が他の先進国に比べて遅れていると感じられる理由はいくつか考えられます。
1. 教育文化
日本の教育文化は、一致団結と調和を重んじる傾向があります。
そのため、個々の問題よりも集団の和を保つことが優先されることがあり、イジメ問題が見過ごされることがあります。
2. 教師の負担
日本の教師は、授業だけでなくクラブ活動の指導や学校行事の準備など、多岐にわたる業務を担当しています。
そのため、イジメ問題に対応する時間や余裕がないと感じる教師も少なくありません。
3. 専門的な支援体制の不足
日本では、学校カウンセラーの配置が義務付けられている学校はまだ少なく、教師が心の問題を抱える生徒を支援する役割も担っています。しかし、教師は専門的な心理的支援を提供する訓練を受けていない場合が多く、適切な対応が難しい状況があります。
4. イジメの定義と認識
イジメの定義や認識が曖昧で、一部の教師や保護者が「子供のいたずら」や「成長過程の一部」と考えてしまうことも、問題の深刻さを認識しきれていない一因となっています。
これらの問題を解決するためには、教育文化の見直し、教師の業務負担の軽減、専門的な支援体制の充実、イジメの定義と認識の明確化などが必要となります。
しかし、これらはいま起こっているイジメ問題を解決する方法にはなり得ません。
当事者として今起こっているイジメにどう対処すべきか
滝川市小6イジメ自殺事件から約20年たった北海道滝川市の【滝川市子どものいじめの防止等に関する条例】から、その答えの一つを考察してみます。
(イジメに対する処置)第24条
第1項 学校の教職員、教育委員会の事務局の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童 等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるも のとする。
【ファーストSTEP】
学校に相談しても改善が得られない場合、弁護士に相談して県レベルの教育委員会に相談してください。内容証明郵便等がよいでしょう。ここでは【弁護士さんと相談していると言う”ワード”が重要】です。)
多くの弁護士さんが、初回は1時間5千円又は無料で相談にのってくれます。
第2項 学校の調査報告義務が明記
第3項 双方のケアについてが明記
第4項
学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けることができるようにするために必要な措置を講ずるものとする。
【セカンドSTEP】
安全な場所に保護してください。
webで授業を受けられるような体制が構築できれば良いのですが...
イジメた側を教室から排除すべきなのですが調査段階では人権保護の観点がら困難でしょう。
ここでは自ら逃げることも重要です。
第6項 学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは警察と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに警察に通報し、適切に援助を求めなければならない。
【サードSTEP】
傷害・恐喝などのあきらかな犯罪行為があった場合は、学校に任せず警察に相談して下さい。
ここでも【弁護士さんと…】というワードが重要です。
ここから【弁護士さんや警察と相談しているという”ワード”に切り替わります。】
「子供のいたずら」や「成長過程の一部」と考えてしまう先生や相手側保護者に、問題の深刻さを認識してもらうためのSTEPになります。
重大案件の場合
(出席停止制度の適切な運用等) 第27条
教育委員会は、小学校又は中学校において、いじめを行った児童等の保護者に対して学校 教育法第35条第1項(同法第49条において準用する場合を含む。)の規定に基づき当該児童等の 出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けることができる ようにするために必要な措置を速やかに講ずるものとする。
【※教育委員会は... 学校に訴えても初動が遅いです。重要なのは、教育委員会がイジメが存在する可能性を認知することです。】
(学校評価における留意事項) 第29条
学校の評価を行う場合においていじめの防止等のための対策を取り扱うに当たっては、いじめの事実が隠蔽されず、並びにいじめの実態の把握及びいじめに対する措置が適切に行われるよう、いじめの早期発見、いじめの再発を防止するための取組等について適正に評価が行われるよう にしなければならない。
【滝川市では、イジメは発生するものととらえ、その改善に係る取り組みを評価の対象とすることで、イジメの隠ぺい防止を図っています。】
もしあなたが、イジメで苦しんでいるのなら、まずは両親に相談して下さい。
江部乙小学校の教室で自殺を選択した少女は、ほんの数日前に【『内緒にしてね』という言葉を添えて、自殺したい気持ちを綴った手紙をクラスメイトに渡していました】 その手紙が少女を救うことはありませんでした。
正しいことをするには勇気が必要です。そして人の言葉に惑わされず、信念を持って行動するには強さが必要です。
これが、marumomomoちゃんのお父さんが伝えたかったことで、それは『武家の娘としての作法」だったそうです。
marumomomoちゃんはお父さんに相談して退学したそうですが、その経緯についてはmarumomomoちゃんが話してくれるのを待っててください。
もしあなたが心に傷を負った直後であるならすぐに誰かに助けを求めてほしい。
まだ鳥かごの扉は開いています。
しかし、やがて鍵がかけられてしまいます。
そしてこれだけは信じて欲しい。
あなたの価値はあなた自身が決めるのです。
人生の意味はあなたが与えるです。
明確な答えは無いとしても態度・行動・言動・表現・癖・野心・習慣・人格など、あらゆる行動があなたの人生に意味を与え、意味と合致していきます。
大丈夫。
必ずまた大空を羽ばたける様になるから自分を信じて。
今日は、marumomomoちゃんの体験を導入として、20年ほど前に北海道で発生した事件を題材にいじめ問題について話してみました。
もしあなたやあなたの大切な家族が、イジメで悩んでいるのなら、このお話が解決の糸口になることを祈っています。
イジメは無くならないかもしれません。
それは人の心の弱さが要因の一つだからです。
そして『正しいことをする』ためには勇気が必要です。
子供達の心の痛みを考える時、子供達みなが愛情をもって育てられ、未来に希望をもった大人になれる社会を目指したいという思いを馳せるのです。
次回は、イジメを脳科学の視点から考察したいと思います。
では次回
「イジメは楽しい」
をお待ち下さい
過去記事のリンクはこちらから↓
最後まで読んでいただき
ありがとうございます。
皆さんの幸せを願っています。