第4回 反社会性パーソナリティ障害について
今日のお題は、
1 25人に1人という恐怖
2 反社会性パーソナリティ障害
3 具体的な診断基準
4 もし母がサイコパスだとしたら
5 それでも母が好きだった
の5本です。
今日は、
「反社会性パーソナリティ障害」
について話します。
子供の頃、大人はみんな優しくて常識のある人たちばかりだと思っていました。いつでも私を助けてくれると信じていました。
大人になって世の中には信じられないような人がいることを知ったのですが「毒親」と言われる人たちがいて、それらの人たちには『もしかしたら良心というものがないのかもしれない』と思わざるを得ないのです。
そんな家庭であなたが育ったのだとしたら、どんなにあなたが両親を振り向かせようとしても、その愛を得ることはできないでしょう。
今日はそれを理解して解決するためのヒントになれば良いなと思っています。
もし、あなた自身あるいはあなたの大切な人が心に大きな傷を負ってしまっているのなら、このお話が回復への一歩になることを願っています。
25人に1人という恐怖
想像してみて欲しい
もし、あなたに良心というものがかけらもなく、どんなことをしても罪の意識や良心の呵責を感じられず、他人・友人・家族の幸せのために、自制する気持ちがまるで働かないとしたら...。
人生の中でどれほど自分本位で怠惰で有害で不道徳な行為をしてもまったく恥を感じないとしたら、そして責任という概念が自分とは無縁なもので、自分以外のお人よしが文句も言わずに引き受けてくれる重荷 としか感じられないとしたら。
中略
言い換えると、あなたは良心の制約から完全に解き離れていて罪悪感なしに何でもしたい放題にできる。
その上、良心に歯止めをかけられている大多数の中で、あなたが一風変わった有利な立場にいることは都合よく隠すことができる。誰にも知られずにすむのだ。
そんなあなたはどんなふうに人生を送るだろう。
自分は巨大な能力を隠し持ち、他の人たちはハンディキャップ(良心)を抱えている、という条件をどんなふうに生かそうとするだろう。
答えはあなたの欲望次第で変わってくる。人は皆それぞれ違うからだ。
一見、魅力的で惹きつけられるが、身近に付き合ってみると嘘をついて人を操る。都合が悪いと空涙を流して同情を引き、相手に「自分が悪い」と思わせる。追い詰められると「逆ギレ」して相手を脅しにかかる.....そんな人たちがいる。
彼らは自分にしか関心がなく、他者への愛情や責任感によって行動が縛られることがない。
つまり「良心」を持たないのだ。仕事であれ、遊び暮らすことであれ、手段を選ばずに自分の欲求を満たそうとするので、周囲の人はひどいとばっちりを受ける。だが、本人は悪びれずに自分こそが被害者だと言いつのる。
引用-草思社. Kindle 版
『マーサ・スタウト. 良心をもたない人たち』
反社会性パーソナリティ障害(ASPD)には先天的タイプと後天的タイプに分別され、合わせて約4%の人にこの傾向があると言われています。
25人に1人ということです。
いずれも脳の一部(前頭葉・偏桃体・前帯状皮)の機能異常と考えられていますが、これらの脳の異常が原因となってASPDが発症するのか、それともASPDの症状がこれらの脳の異常を引き起こすのかはまだ明らかになっていません。
反社会性パーソナリティ障害の発症には遺伝子や環境因子(小児期の逆境など)が関わっていますが、一般の人よりもこの障害の患者の第1度近親者(両親、兄弟姉妹、子ども)に多くみられる傾向があります。
この障害を発症するリスクは、この障害をもつ親の養子と実子の両方で増加すること。遺伝外の素因の存在を物語っています。
子どもが10歳までに 素行症と 注意欠如・多動症を発症した場合、成人後に反社会性パーソナリティ障害を発症する可能性が高くなる傾向が報告されています。
素行症(行為障害とも呼ばれる)は、他者の基本的な権利を侵害する行動や年齢相応の社会規範に違反する行動を繰り返し起こす病気です。
素行症が反社会性パーソナリティ障害へと進む可能性は、親が子どもを虐待したりネグレクトしたりする場合、またはしつけや子育てに一貫性がない場合(例えば、温かく支持的なものから冷たく批判的なものへ変わるなど)は高くなることがあります。
幼児期に他者の痛みを無視することが、青年期後期の反社会的行動と関連があるとされているのです。
反社会パーソナリティー障害
反社会性パーソナリティ障害(Antisocial Personality Disorder)は、一般的には「サイコパス」とも呼ばれる精神障害の一つです。
この障害を持つ人は、他人の権利や感情を無視し、他人を傷つける行動や反社会的な行動を繰り返す傾向があります。
『サイコパス』と聞くと映画やTVドラマで描かれるような冷酷無比な殺人鬼をイメージする人が多いかもしれませんが、サイコパスはスペクトラム(連続的特性)で症状の程度は個々によります。
実際の社会では成功者も多く、経営者の占める比率は一般人の10倍という研究結果(オックスフォード大学)が出ています。
反社会性パーソナリティ障害の特徴として以下のようなものがあります。ただし、これらの特徴が全て当てはまるわけではなく、個人によって異なる場合もあります。
1. 感情の欠如
他人の感情に共感することができず、自身の感情も制御しにくい傾向があります。
2. 嘘をつく
頻繁に嘘をつき、自己利益のために他人を騙すことがあります。
3. 衝動的な行動
衝動的な行動をとりやすく、自制心が乏しい傾向があります。
4. 責任転嫁
自身の行動に責任を取らず、他人や状況を責めることがあります。
5. 利他的な行動の欠如
他人の利益や幸福に対して無関心であり、自己中心的な行動をとります。
6. 衝突や暴力の傾向
他人との関係でしばしば衝突し、暴力的な行動をとることがあります。
7. 社会的規範の無視
社会的な規範や法律を無視し、自身の欲求を追求する傾向があります。
8. 長期的な計画の欠如
短期的な欲求の充足に重点を置き、将来の計画や目標を持つことが少ないです。
9. 刺激を求める傾向
刺激を求める傾向があり、危険な行動や冒険を好むことがあります。
10. 無感情な態度
他人の苦痛や悲しみに対して無関心であり、自身の行動に対しても後悔や罪悪感を感じることが少ないです。
これらはサイコパスの一般的な特徴ですが、個人によって異なる場合もあります。また、これらの特徴があるからといって必ずしも犯罪行為を犯すわけではありません。診断や評価は専門家によって行われるべきです。
具体的な診断基準
パーソナリティ障害の診断は、通常は米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版(DSM-5)に基づいて下されます。
反社会性パーソナリティ障害の診断を下すには、患者は以下の3つ以上により示されるように、他者の権利を軽視し続けている必要があります。
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逮捕の対象となる行為を繰り返し行うことに示されるように、法律を軽視する。
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繰り返し嘘をついたり、偽名を使ったり、個人的利益や快楽のために他者を言いくるめたりすることに示されるように、詐欺的である。
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衝動的に行動し、前もって計画を立てない。
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繰り返し体を使った喧嘩を始めたり、他者を攻撃したりすることにより示されるように、怒りやすかったり、攻撃的であったりする。
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自分や他者の安全を向こう見ずに軽視する。
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別の仕事のあてもなく仕事を辞めたり、請求書の支払いをしなかったりすることに示されるように、一貫して無責任な行動をとる。
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他者を傷つけたり虐待したりすることに対し無頓着であったり、そのような行為を合理化したりすることに示されるように、後悔の念が欠如している。
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反社会性パーソナリティ障害は18歳以上の人でのみ診断されます。
『MDSマニュアル家庭版』より引用
母がサイコパスだとしたら
サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)の母親が育児に与える影響は、以下のようなものが考えられます。
1. 感情的な無関心
子供の感情やニーズに対して無関心である可能性があります。これは、子供が感情的なサポートや愛情を得られない環境を作り出す可能性を示唆しています。
2. 不安定な家庭環境
衝動的な行動や法律を破る行動をとる可能性があります。これは、子供にとって不安定で予測不能な家庭環境を作り出す可能性を示唆しています。
3. 虐待やネグレクト
子供に対して物理的、精神的、感情的な虐待を行う可能性を示唆しています。また、子供の基本的なニーズを無視するネグレクトもあり得ます。
4. 自己中心的な行動
自分のニーズや欲望を優先する傾向があります。これは、子供が自己犠牲的な行動を学ぶか、自己中心的な行動を模倣する可能性を示唆しています。
5. 責任感の欠如
自分の行動の結果に対する責任感が欠けている可能性があります。これは、子供が責任感を学ぶのを難しくする可能性を示唆しています。
これらの影響は、子供の精神的、感情的、社会的な発達に悪影響を及ぼす可能性がありますが、全てのサイコパスの母親がこれらの行動をとるわけではなく、また子供が必ずしもこれらの影響を受けるわけではありません。
個々の状況や他の保護者やサポートシステムの存在など、多くの要素が影響を及ぼすと考えられます。
それでも母が好きだった
私は祖母が嫌いでした。
祖母はいつも母の悪口ばかり言うので、私と弟はいつしか隣に住む祖父母を避けるようなり、顔を見れば無意識のうちに嫌悪感をむき出しにしていたと思います。
母が私たちをほったらかし(ネグレクト)にして遊び惚けていて、
食事も満足に与えていない(虐待)と吹聴しているのです。
当然、お正月さえ行くこともなくなりました。
我が家は貧乏で父は遠方に出稼ぎに行っていて、お正月とお盆にしか帰ってこず。
父の収入だけでは食べていけないので母も、
スナックのホステスとして働いていたのです。
ワンオペで子供を育てるには私たちが寝ている時に働くことしかできないことを、子供心に何となく理解していました。
弟と二人きりで。ご飯を食べたりお風呂に入ったりすることは多かったけど。
母が苦労して、私たち兄弟を育ててくれていて、お菓子とかおもちゃとか我慢しなければならないことも理解していました。
とても、寂しくて、我慢できなくて悪い友達と遊ぶようになり、何度も補導されて迷惑をかけ、弟も不登校になり家でゲームばかりするようになってしまった。
でも、大人になって知ったことがあるんです。
父は個人事業主で毎月100万円単位の生活費を母にあげていたこと
母が家を出て行ったとき、父の口座は空っぽだったこと
『コロッケ』や『とんかつ』が自分の家で作れること
『ベーコン』は焼いて食べるものだったこと
おばあちゃんとは仲良くなって、最後は見送ってあげることができました。
母には二度と会わないかもしれないけど、
子供の頃、それでも母が好きだった。
もしあなたが心に傷を負った直後であるならすぐに誰かに助けを求めてほしい。
まだ鳥かごの扉は開いています。
しかし、やがて鍵がかけられてしまいます。
そしてこれだけは信じて欲しい。
あなたの価値はあなた自身が決めるのです。
人生の意味はあなたが与えるです。
明確な答えは無いとしても態度・行動・言動・表現・癖・野心・習慣・人格など、あらゆる行動があなたの人生に意味を与え、意味と合致していきます。
大丈夫。
必ずまた大空を羽ばたける様になるから自分を信じて。
今日は、もし母親が「サイコパス」だったらというお話でした。
もしあなたの母親がサイコパスなら、巧妙にネグレクトや虐待を感じさせないように行動するでしょう。
あなたが親の愛情を感じることができないとしても、あなたには何の責任もないのです。
おばちゃんのお話は、うちのクルーの昔話ですが、今でも人を真剣に愛することが怖いのだそうです。
また発達障害を抱えるお子さんの親が育児を放棄してしまったら、後天的な人格障害に陥る可能性があるということも話しました。
子供達みなが愛情をもって育てられ、未来に希望をもった大人になれる社会を目指したいと思うのです。
では次回「イジメの心理」をお楽しみに
過去記事のリンクはこちらから↓
最後まで読んでいただき
ありがとうございます。
皆さんの幸せを願っています。