はじめに
先にノーバヤ・ガゼータ紙のトランスクリプトを紹介したが、同様のものはNHKにもあり、どちらを参照しても大筋は同じだが、省かれていたり(バイデンの悪口など)、表現が手直し(重複表現、丁寧表現)されている部分がどちらにもある。忖度なしはガゼータ版(自動翻訳)なのでそちらを優先するが、ガゼータ版が元にした「ニューヨーロッパ」の英文原稿は見当たらなかった。
イギリスではスターマー、マクロン、ゼレンスキーの三者がトランプへの謝罪と停戦案を検討しているが、謝罪すべきは実はトランプで、問題も彼にあることは今や世界の知る所である。しかし、この戦争につき、彼はいったいどんな像をウクライナに見ているのか、それが分からなければいかなる譲歩も効果ないことがあり、原稿を参考に順序は前後するが、そのあたりを探究してみることにしたい。なお、今回はトランプ氏の内面を探るのが目的なので、マスコミ等で取り上げられそうな扇情的な表現は避けるのが当方の流儀である。
Ⅰ.トランプらの発言で当方が気になったコメント
1.「ロシア人とウクライナ人と(トランプ)」
会見中ずっとトランプはロシアを先にウクライナを後に発言している。ウクライナ大統領の目の前である。彼の優先順位がロシアにあることはこのことでも分かる。つまり、ウクライナは国として認識されていない。
2.「毎週二千人、三千人の兵士を失っている(トランプ)」
実際は毎週ではなく毎日である。このことで彼がウクライナ参謀本部発表の定時報告を読んでいないことが分かる。戦争を通し、より正確な情報を発信し、頻度も高かったのはウクライナで、ロシアの公式報告は数字が粗大で、それだけ取り上げればウクライナ軍は30回くらい全滅している計算になるので、トランプといえどもそれは信頼できないだろう。より堅実な数字としては英国国防省の数字があるが、それすらトランプが口にした数字より遙かに大きい。つまり、大統領はスタッフから戦況報告を受けていない。
3.「援助額3,500億ドル、無担保『融資』(トランプ)」
ヨーロッパはそんなことはしないと彼は言っているが、実の所はヨーロッパもウクライナへの支援は大部分が援助(贈与)である。これはフランス大統領マクロンが会談でトランプに直接言及した。国務省のスタッフに問い合わせればすぐに分かる話のはずだが、彼の主張は選挙当時のままである。
4.「彼らは我々の土地にやってきた(ゼレンスキー)」
それで戦争になっているのだが、トランプ氏は否定も肯定もしていない。ロシアを「侵略者」と断ずることを避けたことについては、交渉上のテクニックと後に弁明している。しかし誰が見てもロシア軍は主権国家ウクライナの国際的に認められた境界線以内で戦闘を行っている。
5.「バイデン政権下で彼らはとんでもなく裕福になった(トランプ)」
ウクライナへの安全保障の提供は会談の前からトランプが言を左右にしているところだが、記者の質問の直後に彼はハマスの襲撃とガザ戦争を引き合いに出した。「(ハマスに)アメリカが資金(3,000億ドル)を提供し、テロ攻撃が起こった」という言い分とウクライナに共通する所があるとすれば、ウクライナ政府はハマスと同じ武装集団で、主権国家ではないという認識になる。3千億ドルという金額も彼が主張するウクライナへの支援額3千5百億ドルに近接しており、大統領の認識ではこの程度が世界的テロ団に米国が融通するのに適当な金額である。
この話題の直後、彼はゼレンスキーの服装を褒め称えている。Tシャツ姿の彼の服装が反国家集団の首領にピッタリだと感じたからだろう。ある意味、今会見でのトランプのスタンスを最もよく示した場面である。この時はまだ罵り合いにはなっていなかった。
6.「他の人の悪口を言うのはいいことかもしれませんが(トランプ)」
ゼレンスキーがロシアの協定違反やミサイル攻撃の例を挙げ、安全保障には実兵力が必要であること、戦争の淵源はプーチンのウクライナに対する強い憎悪にあること、侵略したのはロシアで、(凍結資産など通じ)その代償を支払う必要があることを述べた後の応答だが、トランプは言葉を濁し、平凡な一般論に話をすり替えた後、ポーランドはNATOを頼りにできるが、ウクライナやバルト三国はそうではないと示唆している。また、「彼らは互いを好きではない」とし、国家間の問題を指導者二人の個人の争いに矮小化している。これはプーチンの構想と合致する上に、一方が侵略国で他方が被侵略国という前提が共有されていない。
7.「オデッサについては話したくない(トランプ)」
記者の質問に対し、ウクライナの都市は全て破壊されているとしたが、ガザ地区と同じ論法で、破壊された都市の中にはオデッサも含まれることから、この都市はウクライナから取り上げようという算段が見え隠れする場面である。実際は主要都市は一つも破壊されておらず、完全に廃墟になった都市はマリウポリくらいである。すぐにゼレンスキーが訂正した。
8.「彼はロシアの誤報を生き抜かなければならなかった(トランプ)」
彼とはプーチンで、誤報とはフェイクニュースのことであるが、実際にドイツに60以上の拠点を持ち、何年もフェイクニュースをばら撒いてきたのはロシアである。報道機関の信憑性もロシアはウクライナ、西側諸国のそれに比べずっと低い。
発言の直後に彼はイギリスにおけるフェイクの摘発を非難しているが(検閲と呼ぶ)、トランプ氏を当選させた2016年の大統領選挙にロシアの介入があったことは後の故プリゴジンの証言や上院公聴会で明らかになっている。プーチンの工作の実態が明らかになれば、自身も危うくなることがある。彼の言う言論の自由とは政敵を罵倒したり、事実無根のスキャンダルで追い詰める自由である。伝統的な憲法解釈論では、これらは言論の自由の保障対象に入っていなかった。
10.「しかし、それは本当に必要ではありません(トランプ)」
フェイクニュースや安全保障の問題と比べると、契約の要である鉱物資源については至って淡泊である。ゼレンスキーとの合意が彼にとって重要なものではないことが伺え、また、鉱山を誰が守るのかという問いには、再侵略などありえないとして一蹴している。
11.「私は誰の意見にも同意しません(トランプ)」
プーチン寄りすぎるのではないかという質問に対する返答。ゼレンスキーのプーチンに対する憎悪を引き合いに出し、ウクライナ大統領の態度が交渉の障害であることを示唆している。侵略者プーチンの性行や憎悪については何も触れていない。バンスが大統領に同調し、ここで交渉の破局と「ゼレンスキー=悪者」が確定した。が、これは苦しいレトリックの成り行き上のものである。彼はゼレンスキーに(彼とプーチンが合作した)あらゆる提案を無条件で受け容れることを望んだが、実直なウクライナ大統領はその機微が理解できなかったし、理解できても内容の凶悪さから受け容れる義理はなかった。ゼレンスキーは彼から給料をもらっているトランプ社の従業員ではなく、対外的に独立した主権国家の元首であることもある。
12.「カードをしに来たんじゃない(ゼレンスキー)」
以降はテレビでも何度も流されたバンスとゼレンスキーの口論、交渉はここで決裂し、残りの10分間はトランプとバンスによるゼレンスキーへの罵倒とオバマ、ヒラリー、バイデンなど歴代民主党指導者への誹謗に終始し、何も言えなくなったウクライナの指導者はすごすごとオフィスから退出する。正直読むに堪えないが、もう少し触れておく。
13.「もし今すぐ停戦が成立するなら、同意しなければならない(トランプ)」
トランプにそれを行う権限はなく、ゼレンスキーも侵略を受ける側で無条件降伏以外に選択肢がないことから、それを行えるのは侵略者であるプーチンである。が、トランプとの合意がどうしてプーチンとの停戦になるのか、停戦を担保するだけの実力がアメリカ軍にあるのか、派兵の準備はできているのかにつき説明されたことは一度もなく、あるのは不明瞭なトランプ氏とプーチン氏との「友情」だけで、これではゼレンスキーでなくても同意はできないだろう。
14.「あなたはまったく感謝の意を示しません(トランプ)」
悪徳弁護士ロイ・コーン直伝、「相手が全て悪い」である。映画にまでなっているので、もはや説明不要だろう。そもそもトランプは戦争中にウクライナ援助を邪魔するなど、援助らしいことは何もしていない。日本でのコーンの隔世遺伝的な弟子は元維新の会の橋下徹がいる。
Ⅱ.トランプ失敗の原因
交渉に失敗したのはゼレンスキーとされているが、失敗したのはトランプである。また、キーウに赴き、ウクライナ国民に謝罪すべきなのもトランプである。
1.当選一ヶ月、勝利の浮かれ騒ぎ
大統領選挙の集計が終わったのは去年の11月だが、確定したのは1月で、同月20日に就任したトランプとその陣営はいわば勝利の浮かれ騒ぎの中にあった。勝利の高揚感が細部への考慮を怠らせ、配慮不足の傾向があったことは否定できないだろう。つまり、困難な交渉を行うのに適当な時期ではなかった。にもかかわらず100以上の大統領命令を発布し、そのほぼ全てで問題を起こしている。
2.マスク団による官僚制度の攪乱
時期に問題がある上にさらに悪かったのは、トランプと一緒にホワイトハウス入りしたマスク社のイーロン・マスクがドッジ団を率い、既存の官僚制に対しゲシュタポ活動を始めたことである。
トランスクリプトを読んで首を傾げたのは、アメリカ大統領ほどの地位の者なら当然知っているべき情報、理解がトランプの場合はあるように見えないということであり、これは本来レクチャーすべき国務省や国防省、中央情報局の諸官僚がドッジ団の凶刃に斃れ、機構が機能しなかった様子が窺える。というより、トランプの持つ情報は選挙当時のFOXニュースやニューヨークポストのヨタ記事のままで、大統領として迫力に欠けること甚だしい。
ウクライナという国を理解するには、この国が併合や分割、国境線の変更を頻繁に繰り返してきたために、現在の状況を説明するアイデンティティの把握が不可欠である。ある年代以上(私も含まれる)では、この国はソ連邦の一部であり、キエフは小モスクワでロシア人が牛耳る国という印象があるが、これは2014年にクリミアが併合されても世界の大多数が無痛覚だった理由の一つである。クリミアと聞いて多くの者が思い浮かべるのはセヴァストポリの軍港とクリミア戦争での軽騎兵団の突撃である。主役はロシア人で、コサックやクリミア・タタール人などはいない。
が、実際は強固なアイデンティティを持つモスクワとは別の民族であることは、文化や歴史、言語や通貨などの違いも相まって把握されなければならないことである。それが理解できなければ、ウクライナ戦争が血みどろの戦いになっている理由が理解できないことがある。
会談でトランプはこの戦争をゼレンスキーとプーチンの個人的な確執に矮小化したが、これは彼が上述の事情からオフィスで良質なレクチャーを受けられなかったことに起因する。受けても出来の良い生徒であるとは限らないが、ドッジ団の横行がホワイトハウスに政治外交分野の空白地帯を生み出したことがある。
トランプ自身は巷で言われているほど横暴でもAHOな人物でもないことはいくつか傍証があり、またそれだけの人物が合衆国大統領に上り詰めることもありえないが、マスクによる自縄自縛で彼の知的渇望を満足させる人物は彼の周りにはいなかった。それを良く見ている人物がおり、その人物は別の所からやってきた。
3.師はウラジミール・プーチン
ウクライナ戦争の真の原因、ウクライナ人のアイデンティティについて明確な説明ができる人物は彼の身内ではなく、ロシアからやってきた。その名はウラジミール・プーチン、トランプ当選が近いことを見た彼は選りすぐりの講師団をニューヨークに送り、未来の大統領候補にウクライナ情勢についてレクチャーした。時には彼自身が電話台に立ち、大統領候補者の疑問に答えることもあった。
それが彼の知的好奇心を十分満足させたことは、ほとんど洗脳されたようにしか見えないアメリカ大統領のカルト的言動で理解できる。以前のように「ゴールデンシャワー」で脅し上げるだけではこの人物は動かないことを、このロシアの独裁者は良く知っていた。彼は凶悪な指導者ではあるが、知的能力はトランプを遙かに上回っており、その弱点も熟知していた。プーチンは手強い人物で、互角に張り合えた西側の指導者はオバマと、やはり物理学博士のアンゲラ・メルケルだけである。
兵役を忌避し、学業を中途で放棄したトランプには根深い学歴コンプレックスがあり、自分より知的能力の高い人物(オバマ、メルケル)の前では非常に礼儀正しく紳士的なことが知られている。現にトランプはバイデンについては糞味噌に言うが、ハーバード大学の憲法学教授であるオバマの悪口はあまり言わない(皮肉や陰口は叩く)し、言ってもバイデンらと十把一絡げである。
このようにプーチンへの傾倒が私淑の域にまでなっている場合は、罪深いのはあの電気ロケット野郎だが、ゼレンスキーがそれを覆すことはほぼ不可能と言うことができる。彼にとってバイデン、ゼレンスキーは自分と同じ俗物だが、オバマ、メルケル、プーチンは雲の上の人物である。
従って、周囲に有能で信頼できるブレーンのないトランプ氏の場合は、ウクライナ情勢の理解は当然プーチンのそれをなぞるものになる。ウクライナはノヴォロシアであり、現在のウクライナ政府はマイダン革命の際にクーデターで政権を乗っ取った反乱分子の末裔であり、ゼレンスキーはその首魁で、ウクライナ文化などはまがい物で、本流ロシア文化はキエフ・ルーシ国を継承したロシアにこそあるのだというものである。実を言うとプーチン自身、自身の歴史観への自信から、侵攻は住民の歓迎で迎えられると思っていた。
トランプがゼレンスキーの服装(軍用シャツ)を皮肉ったのは、この服装が主権国家の元首というよりは、辺境ゲリラ団の首領にこそふさわしいと得心したことによる。ゼレンスキー痛恨のミスだが、彼も相手がまさかウクライナを主権国家とみなしていないとは思っていなかっただろう。Tシャツは彼のアイデンティティだが、この場合は別の服装の方がはるかに良かったのである。タリバンですらスーツを着ればまともに見えることがある。
4.会社経営=政治ではない
トランプ氏は父親の代から社長だが、大会社の社長というのは、ことアメリカでは楽な稼業である。近年流行のリストラクチャリングとアウトソーシングの世界では不都合な真実は全て社外に放逐してしまえば良く、バランス・シートが黒字であれば、失業者は国の失業給付に押しつけて恥じず、産業廃棄物を地球の裏側の楽園に捨てても見て見ぬふりで、国によっては缶コーヒー1缶くらいの低賃金で労働者を奴隷労働させてもお構いなしである。不法移民も利用できるだけ利用して、不要になったら国外追放すればいい。
こんな人間が年収何億円もの報酬に値するかどうかは別の問題だが、日本にも「くず」が山ほどいるが、トランプのように世襲で会社経営に慣れた人間の場合は別の問題がある。それは自分の能力の欠けている部分は誰かが勝手にやってくれるということである。
ゼレンスキーとの会談は首脳同士の話し合いというよりは、トランプ社の重役会議のようであり、一人の相手に対して複数の閣僚が列席する光景は経営会議そのものであった。社長は好き勝手なことを喋り、具体的なことはあまり言わず、側近がフォローする光景もあまり能力のない社長の率いる会社では日常的に見られるものだ。意向は重役を通して伝えられ、社長は手を汚さずに生殺与奪を思うがままにできる。会談ではJDバンスが「かませ犬」であった。
こういう会談は通常の国家間協議ではあまりない。トップは一対一で話し、テレビではあまり出ない激しい応酬もこの時交わされる。合意がまとまれば記者会見し、にこやかな笑顔で互いを称え合う。プーチンですらこのプロトコルを守っている。ルーズベルトの執務椅子には「ここから後はない」と書かれ、彼が最終的な責任を取る旨を明言していたが、忖度の横行する社長スタイルでは、国家間で拘束力を持つような責任ある合意はできないのである。
ウクライナの法では、ゼレンスキーが調印した協定はラーダに掛けられ、その承認を得なければならない。社長同士の合意で営業譲渡が決まる会社とは異なるのであり、当事者を考慮しない社長スタイルは国際政治では機能不全を起こすのである。アフガニスタンでも、彼は現地政府の頭越しにタリバンと交渉したが、それが後の政権崩壊に繋がったことは指摘のある話で、今回の協定でも類似性を指摘する意見がある。国家は失業者、障害者も含む全てに責任を持つ必要があり、社長スタイルでは運営できないのである。
実際の会談においては、舌鋒鋭いゼレンスキーにトランプは何度も追い詰められ、バンスやルビオが助太刀に駆けつけたが、ひきょうであると同時に、追い詰められて安易な記憶(なので当方は彼を理解しやすい)にしがみつく「社長」の醜態は彼自身バツが悪く、この上ない非礼と感じたものに違いない。トランプ社の重役会議では絶対に起きないことだからだ。
会談で大統領がウクライナ指導者に個人的怨恨を持つに至ったことを見て取ったグラハム上院議員はゼレンスキーに辞任を示唆したが、間の抜けた話である。ウクライナ大統領の後任を選ぶにはミサイル飛び交う投票所にウクライナ国民が辿り着いて投票しなければならないのであり、開票作業をどう行うかとか、当然選挙管理事務所や投票箱はミサイルの標的になるので、親ウクライナ派の上院議員は期せずして大量殺人の教唆をしたことになる。ゼレンスキーを辞めさせることはできない。
このことも、会談の前に検討しておくべき事柄であった。ウクライナの事情は「ユー・アー・ファイアー」で片付く話ではなく、頭の足りない社長が部下に助けてもらってまとめられる話でもなく、そもそもスタイルが全面的に間違っているのである。辞められないことが分かっていれば、トランプのウクライナ大統領への接し方はもっと慎重な、違ったものになっていたはずである。
5.追従者たち
上記と関連するが、これがいちばん罪深い。彼らはトランプから給料をもらっている者もいるが、もらっていない者もあり、何らかの利得のある者もいるが、電気マスクのように個人的動機で行動する者もいる。その行動はあらゆる場面におけるドナルド・トランプという人物の弁護と擁護であり、手段に独創性がある場合もあることから、ある意味ドッジ団以上に大統領の目を曇らせ、誤った判断に導く者どもである。
かつてのアメリカは清教徒の国だったが、倫理を軽視する傾向が専横に拍車を掛けていることは否めない。しかし、倫理を最も声高く主張するのもこの連中であり、我が国では自民党シンパとネットウヨクである。その倫理は歪んでおり、もはやかつての寛容さや優雅さをとどめてはいない。これについては以前も取り上げたソルジェニーツィンの言葉をもって当方の見解としたい。
"Let lies cover everything, let lies rule everything, but let us insist on the smallest thing: let them rule not through me!"
(Aleksandr Isayevich Solzhenitsyn, Novelist, essayist, historian)
(訳)「嘘がすべてを覆い、嘘がすべてを支配しても構わない。しかし、最も小さなことにこだわろう。嘘が私を支配しないように!」
(アレクサンドル・イサエヴィチ・ソルジェニーツィン、小説家、随筆家、歴史家)
私は伝聞情報は信じないということにこだわるし(なので私の前で噂話は無駄であるし、私もそれは釘を刺す)、こだわるものは他にもあるだろう。トランプの追従者たちについては、こういう人間にはならないということも、こだわって良いことかもしれない。
6.まとめ
ここまであらゆる所が間違っている事例は探す方が難しい。先にも書いた通り、会談自体については、これが通常の政治家なら、その日のうち、あるいは滞在中に修繕できる程度の事故であった。これが普通の政治家なら、この戦争で今まで見てきたような人物たちなら、これはすぐに修復されただろう。
しかし、正しい理解もない上に、旧師ロイ・コーンの影響で過ちを絶対に認めず、謝罪もしない人物相手にいったいどのような方法があるというのか、しかも、その人物が世界最大の国と軍隊の長である。トランプの興隆には、停戦を求める彼の志向とは裏腹に、地球規模での流血と破壊の臭いしかしない。
ウクライナはもうしばらくの間、戦う必要があるだろう。それは第三次世界大戦の始まりになるかもしれないが、私としては、あからさまに愚かな人間も少なくないが、人類全体としては、もう少し利口になっていることを信じるようにしたい。
Слава Україні!