序盤に監禁されていたところから逃げ出した少女が木材トラックに飛び下りて逃げたけど凍死したところから始まるので、ちょっとツイン・ピークス味ある話かな、と思ったり、刑事が最初だけ妙に鋭い推理をしたりするな、とか思っていたのですが、肝心の犯人が最初から割れていて、しかもちゃんと供述のできない障害者かな、と思わせてそこから多重人格説だとか、外部幇助説とか散々話をそらしておいて、結局○○○かよ!みたいな。

刑事の主人公にも別居している娘がいる、とかその刑事としての生き方について悩んでいるようでもあり、そうでもないようでもあり。そしてかつて彼と組んでいた女性捜査官は今はプロファイリングの仕事をしているんだけど、うまくいってるんだかいってないんだかハッキリしない仕事ぶり。

さらに本筋とは別に性犯罪者をワナにかけては去勢手術を強制的におこなう美少女と元裁判官のコンビがからんできて、すごくとっちらかった方向に。

そして、ラストは逃げ出した犯人と氷上で対決、と「邦題そこから取ったんかい!」と。

ちょっと障害者をネタに犯罪者に仕立てる趣味の悪さも含めて、道具立てはともかくもう少しなんとかしてほしかった。

元裁判官役がF・マレー・エイブハラムかと思ったらまたベン・キングズレーだった。2分の1の確率で当たるはずなんだけど。

 

ディックの原作を読んでいないのですが、監視社会と麻薬の恐怖について、本人の実体験も交えてかなり皮肉も入った、でもユーモアもある作品だったと思います。

安定した生活を捨てて覆面麻薬捜査官という仕事を選んだボブ(暗号名フレッド)。捜査官としては正体のわからない迷彩スーツを着込んでいて、誰も正体は知らないけれど、ボブとしては麻薬“物質D”の密売ルートを探るべく二人のジャンキーと同居生活を送っているけれども、立場上やむなく使用したドラッグが神経に影響を与えだしている。

そんなある時期、フレッドとして、自分たちのアパートを監視する任務が与えられる。組織はアパートに住んでいるのがフレッド(ボブ)本人だとは知らないらしい。

やがて、友人の一人バリスは警察にボブのことを密告しにきたり、騒がしくなってくる。

最終的にボブは完全に神経をやられ、リハビリ用の施設「ニュー・パス」に送られることに。その時点でフレッドの上司ハンクの正体が、ボブの彼女ドナだったことも明らかに。バリスが黒幕だというのは知った上で、物質Dの配給元がニュー・パス自身だった、ということを証明するためにボブを送り込むのが目的だったのだと。

最後のどんでん返しも含めて、真実はどこにあるのか、常にさまよいながら多層的な世界を眺める感覚、なかなかよかったです。フレッドが、自分達の家をたくさんの隠しカメラで撮影した映像を飛ばし見でチェックする部分が、この映画の象徴している監視社会の姿なのだろうな、と思いました。

ロバート・ダウニーJr.、ウッディ・ハレルソン、ウィノナ・ライダーなどの芸達者が、アニメ化された姿とはいえ、それぞれのキャラクターをしっかり掴んだ演技をしていて、声も含めて非常に楽しめました。

メイキングを見るとディックが実際にCIAやFBIに監視されていた、というのも事実のようだし、二人の娘さんがどんな映画になるのか興味津々で撮影現場にもやってきた様子、俳優たちのアプローチなども紹介されていてたいへん興味深かったです。

 

「スタンド・バイ・ミー」と「テラビシアにかける橋」に「クローバーフィールド」が混ざったら、素晴らしくないですか?そういう作品なので、ちょっとした欠点には目をつぶりたくなります。タイトルからは、事故から超能力を身につけた少年たち8人の活躍かな、とか思ったんですが、実は全然違って、スーパーエイトというのは、コダックの開発した8ミリフィルムの企画なんでした。のちにビデオではHi-8というのが出ますが、それのフィルム版みたいなものですね。

冒頭、鉄工所での事故があったところから始まります。少年ジョーのお母さんが犠牲に。父親は保安官。葬式では知り合いとトラブルもあったらしい。

4カ月後、ジョーは元気を取り戻し、友人たちと取り組んでいた映画撮影を再開している。ジョーの仕事は特撮・メイク。親友のチャールズはちょっとおでぶだけどやる気に満ちた、ちょっと威張り気味な監督。そこに新キャストとして、アリスがやってくる。実は、アリスは母の死に関係があるらしい。

父ジャクソンはいまだに母の死から立ち直れず、ジョーとの距離もとりかねて夏休みにはキャンプで関係を修復しようと企むが、ジョーは友達との映画撮影が大事で乗り気じゃない。

そして深夜、家を抜け出してチームが映画を撮影していると、そこに列車が。ただとおりすぎるだけかと思ったら、自動車と正面衝突。大爆発。生命からがら逃げ延びた一同だが、衝突した自動車の運転士が生物教師のウッドワードだと知る。ウッドワードは重症だが一同に早く逃げろと警告、やがて軍がやってきて、みんな命からがら逃げ出す。

映画はそのまま制作を続けるものの町の様子がおかしい。犬や人が行方不明になったり、停電が頻発したり。事故の現場は軍が仕切って保安官は捜査から締め出される。アリスは自分の父が泥酔して仕事を休んだのが原因でジョーの母が代役を努め事故にあったということを悔やんでいた。

やがて夜中に口げんかをして家出をしたアリスが怪物にさらわれる。と同時に軍は山火事を起こして住民を強制的に避難させ、その間に怪物を捉えようとする作戦に出ていた。ジョー達は仲間と避難所を抜け出し、学校でウッドワード先生の研究内容を知る。それは、かつて1958年に墜落して地球に来た宇宙生物に関するものだった。どうやら宇宙船で帰りたがっていたものを拘束し続けていたらしい。列車に載っていた物も宇宙船のパーツだった?

そこまで調べたところで軍につかまってしまうが、避難所に送還される前に怪物がバスに襲いかかる。軍との戦闘の隙に逃げ出し、墓地近くの倉庫から怪物の根城である地下に潜入、とらわれたアリスを救い出す。

しかしやがて追い詰められ、万事休すか、と思ったときにジョーの懸命の語りかけがテレパシーで通じたのか、町の中心にパーツを集めて宇宙船を再建した怪物は、宇宙に飛び立っていった…。

母を失った少年ジョーの喪失感、酒びたりになった父を嫌い罪の意識にさいなまれるアリスの惹かれあい、チャールズの嫉妬、ジャクソンとアリスの父ルイスの和解、など多くの人間ドラマが濃密に展開され、怪物の描かれ方がややぼやけていたりするのが不満にならないよさがあります。

母親のフィルムを見ているジョーとアリスのシーンなど、母の愛情と共に、実はそれを撮っていた父親への愛も写し取っていた、というのが実はよく分かり、少年時代の家族の愛情理解の限界も表現しているのがすばらしいなと思いました。

キャストはみんな若い子たちが頑張っているのと、ジャクソン役のカイル・チャンドラーが、類型的なんだけど強権的な父親、特に住民にいろいろせっつかれてストレスがたまって息子には柔軟に対応する余裕がない感じがよく出ていました。

 

ロシアの大富豪が共同経営者の死からその娘に会社を乗っ取られそうになり、再起をかけてフランスにある銀行の貸し金庫にある書類を盗もうとする話。その過程で若いころに参加した精子バンクから生まれた子どもたちの助けを借りようとするのが今回の特徴。

ハッキングが得意な子がいたり、特殊車両の扱いが得意な子がいたり、スピリチュアルな詐欺師まがいの話術の持ち主がいたりで、途中のプロセスにはおかしなギャグが満載。相手側からもぐり込んだスパイの娘だけ、実子ではない、というのがひねりになっているんですが、実際にはこんなに手間をかけなくても計画は阻止できたのでは、と思うとプロットとしては本当は破綻しているんでしょうかね。

最終的には計画は失敗したのだけど、刑期を早く勤め上げて出所、そしてかつての敵のロンドンの事業が危機に陥ったのをこのチームで助けよう、と出発するところで終わり。

まあ、それでも音楽の使い方や編集のテンポは非常によく、飽きずに見られたといえば見られた。人工的な親子が、この経験を経て、実際の親子になりつつある、という感情的な動きはややおざなりで、最初に出会った息子ニコライだけがそういう部分を求めている、あとは潜入したスパイのはずの娘がニコライといい仲になりかけて、感情的には同情していく、というのが共感しやすかったですかね。


 

 

ロビン・フッドもので比較するとケヴィン・コスナーはイギリス風英語をやる気が全くなくて、ちょっと奇妙な作品だったですが、でも時代考証としてはそれっぽくなっていた感じです。

今回の作品は、ロビン・フッドの時代の社会がどうなっていたのか、あまりリアルには寄せずに、現代社会と通じるテーマを強調した感じでしょうか。宗教戦争に踊らされる大衆、社会経済と民主主義といったモチーフが、イラク戦争以降のキリスト教対イスラム世界の対立と交錯しながら伝わってきます。

ロックスリーのロビンが十字軍遠征に参加するのは、コスナー版と同じ。そこで目撃する無慈悲な虐殺に反対して反逆者として送り返される、というのはちょっとしたひねりですね。そして帰国したら領地は没収されてノッティンガム卿のものになっていたと。そして愛しのマリアンは、ロビンが死んだと信じて友人のウィルと結婚していた。絶望するロビン。

そこで、彼を密かにつけてきた異教徒(ジェイミー・フォックス)が、ロビンに復讐の方法を教える。初めはノッティンガム卿に従うふりをして背後で動いている大物を突き止めろ、と。その裏では庶民が巻き上げられた税金を襲って民衆に配る。最初の弓矢の訓練とかが、香港のカンフー映画とか「ゴースト」のノリだったのがおかしかったです。

だんだん派手な襲撃があり、心配してローマから枢機卿がやってくる。そして金が大事なのはイスラム世界にもばらまいて戦争を長引かせて儲けようとしていたからだと判明。ロビンの知らないところでマリアンも仮面舞踏会に紛れ込んでその証拠の書類を手に入れていた。

4日後にローマに送る金を補充するため民衆の財産を容赦なく没収するノッティンガム、そこでウィルとロビンが激論をかわし、民衆が一致団結して反乱ののろしをあげる。船に送る金を襲撃し、見事成功、シャーウッドの森に逃れて新しい生活を始めるところで終わり、と思ったら、死んだノッティンガム卿の後任にマリアンを失ったウィルが就任するところで終わり、続編に含みを残しているんでしょうか。

ノッティンガムという土地柄が、完全に産業革命あたりのイギリスかと思うほどで、鉱山での鉄鋼業がすごく盛んなイメージ、仮面舞踏会とかカジノとか、貨幣経済がとても発達したイメージは、ロビン・フッド映画で見るものというイメージがなかったので新鮮です。

ついてきたイスラム教徒が名前がややこしいので「ジョン」とされるくだり、いわゆる「リトル・ジョン」は彼だった、というひねりでしょうか。坊さんのタックは最初から幼なじみ設定とか、いろいろと工夫はしてあります。

アクションが近代的で、弓矢のスピードとか、カメラそばをかすめる描写とか、小気味よく描かれていました。剣技はほとんどみせなかったですね。あとは馬車のカーチェイスとかもなかなかでした。

エンドクレジットでハンガリー系の名前が多いなと思ったのですが、クロアチアでロケしたことと関係ありますかね。アクションもそちら系の仕込みなのかもしれません。

マリアン役のイヴ・ヒューソンは美人度はそれほどでもないですが意志の強さを感じさせる存在感。U2のボノの娘だそうです。タロン・エガートンは「キングスマン」シリーズが出世作になるんでしょうか。少しトム・ホランドっぽい甘さとかを匂わせつつ、弓の早撃ちとか頑張ってました。ノッティンガム卿はちょっと敵役としては小粒感が漂いますね。

 

「バックドラフト」の続編が作られてたなんて全然知らなかったんですが、レンタルと店頭で見つけたので借りてみました。

まず前作で死んだスティーヴン(カート・ラッセル)の息子ショーンが消防士でなく、火災調査員としてなかなか才能があるらしい。だけど一匹狼で仕事をして、舌禍事件を起こしやすい性格だ、というのがわかり、そして前作で生き残ったブライアンが出世してシカゴの消防署の署長になっていると。だけど家族の関係はぎくしゃくしている。

折しも、新しい放火事件が起きて、ハロウィンでお菓子をねだりに来たこども5人が巻き添えになる。調べてみるとただの事故ではなさそうだと。ショーンは新しく配属されてきた若手の元消防士レニングと組んで真相を探り出そうとすると。

ただ、ここからは燃えた建物のオーナーが行方不明で、ミサイルを作る会社を持っていて、そのミサイルが盗まれて、とどんどん火事と関係ない方向に向かっていくのと、放火犯は次々に消耗品のように死んでいって、刑務所にいるロナルド(前作でも出たドナルド・サザーランド)のヒントをもらってミサイルのありかを聞き出そうとする、という無茶な操作方法で解決するという。

結局、ミサイルをどうしたかったのか、真相に迫ったショーンを消そうとしたにしては仕事が雑な連中だったり、途中で叔父さんのブライアンは巻き添えを食って死んだり、ショーンには唐突に地質学者の彼女ができて解決の糸口をつかんだりと、なかなかのミラクルな展開をみせます。

結局相棒との関係はファーストネームを覚える程度には深まったけど、彼女が異動してきた理由やこの仕事をやっていけるのか、みたいな部分は深まらないままだったな、と思います。

元々、前作でデ・ニーロが演じたリムゲールの仕事が意外に面白そうだったのでそこを膨らませた、というのと、ショーンが自分の父親が死んでおじのブライアンが生き残った理由をちゃんと知らされなくてすねてる、というのをどう解決するか、みたいな話にしたかったんでしょうかね。前作を監督したロン・ハワードもプロデュースでは参加しているので、ロナルドの狂気などは相変わらず見応えがありましたが。

主演のショーン役ジョー・アンダーソンは、「トワイライト」シリーズで売れた人なんでしょうか。他にはアル・パチーノが出た「ハングマン」で犯人役をやったのしか見ていないですが、ちょっと全体を引っ張っていくには弱かったかな、と。キャスト全般、弱かったかなと。

エンドクレジットを見ていると、制作スタッフにルーマニア系の名前がすごく多かったのが印象に残りました。

 

 

 

「チーム★アメリカ ワールド・ポリス」という、サンダーバード風のマリオネットで作られた、超下品なコメディー映画を見たことがあります。ノリ的にはそれに近いのですが、演じているのが人間と、けむくじゃらのパペットだ、というのがさらに子ども向け感が強くて、下ネタギャグとのミスマッチ感がつよいです。

で、参加プロダクションの中にHenson Alternativeというのがあったり、監督名がBrian Hensonというのでさては、と思ったらやはり、「セサミ・ストリート」で有名なジム・ヘンソンの息子でしたね。お父さんが生きてたら、この企画許したかな、と少なからず思いました。

パペットと人間が共存する世界。だけど人間とパペットの間にはやはり溝があって、主人公のフィル・フィリップスは元々は警察に勤めていたのだけどある事件をきっかけに退職して、私立探偵をやっている。新しい依頼人が訪れ、調査を始めたとたんに、パペットのポルノショップで銃撃事件が起こり、店主・客含め皆殺し状態に。捜査にやってきたのは元相棒のエドワーズ(メリッサ・マッカーシー)、どうも仲が悪いようで。

しかし、その後もフィルの周辺で殺しが続き、どうやらかつて放送していたHappytime Gangというパペット番組のレギュラーキャストが次々に殺されているらしい。そのうちフィルも容疑者の一人として追われる身に。秘書のバブルスとエドワーズの協力で手がかりを得て、犯人はかつて誤射で死んでしまった男の娘だったとわかる。

最後は高飛び寸前の犯人を射殺してめでたく刑事に復職、というハッピーエンド。

トーンとしてはハードボイルドの流れをくんだ作りを意識していて、語り口は「ディック・トレーシー」を思い出すものもあり、あと多文化共生テーマとしては「エイリアン・ネイション」とも通じる部分があるのですが、感情的な軸はかつての相棒との仲違いの経緯と和解に収れんしていったので、パペットのアイデンティティーを深く掘り下げたり、価値観の違うものが共生する社会とは、と問うところまではいかなかったかもしれません。

メリッサ・マッカーシーは、とりあえず外れなしの下品ぶり、パペットを相手にしても会話はアドリブっぽいものが飛び交っていて、いいテンポです。他には「ブライズメイズ」でマッカーシーと競演したマーヤ・ルドルフがバブルス役で登場。

人形操演では「セサミ・ストリート」のエルモ役で有名だったケヴィン・クラッシュとかが重要な役を演じているので、いわゆるジム・ヘンソン・ファミリーが全面的にやっているわけですね。善良な子ども向けのものを伝統的に手がけてきたこのプロダクションがこういうアダルトなギャグものをやることに関しては、どういう経緯があったのかな、とちょっと疑問に思わなくもないです。

 

ウィル・スミスが出なかった理由は知りませんが、元大統領のビル・プルマンや昏睡状態に陥った科学者、そしてジェフ・ゴールドブラムを生かしながら、次世代の若手の青春群像劇に引き継いでいくあたり、やっぱりエメリッヒは見せ上手だなぁと思いました。

月に基地を展開して次の攻撃には備えていたつもりの地球。前回の宇宙人撃退を祝ってのお祝いをする予定が、どうもあちこちで不調。と思うとアメリカに残されていた巨大な宇宙船が突然パワーが入ったり、不穏な動き。そして月の基地の前には未知の宇宙船。大統領の一言で先制攻撃、撃ち落とすことに。

残骸を探ろうとしていたそのとき、圧倒的な攻撃をうけ、地球側は圧倒的劣勢に。捕虜にしていたエイリアンたちも騒ぎだす。

同時に元大統領ウィットモアや科学者オークンには宇宙人との交信によるフラッシュバックが。どうもいやな予感。宇宙人の捕虜と交信すると「女王が…」と不穏な情報が。同時に月面で撃ち落とした宇宙船の残骸から謎の球体が。それはかつてあのエイリアンたちに滅ぼされた文明が残した人工知能だった。あのエイリアンたちは地球のコアから直接エネルギーを吸い取ろうとしているのだと。それが済んだら地球からは地磁気が失われやがて大気も。死の星になる。

幸い、敵の女王はこの球体を察知して襲ってくるはず、その信号をおとりに女王さえ倒せば、大群は母星に呼び戻されるはず。ということで、誰かが戦闘機に乗っておとりとして女王に接近して自爆しなければ。誰が?元飛行機乗りの元大統領に決まってるでしょ!というわけで、最後の見せ場。ただし、その攻撃で女王は死なずに、基地にせまる。そこに、エイリアンの宇宙船を乗っ取った若手がやってきて危機一髪、女王を仕留めて残り2分くらい?で地球は救われるという。

ありがちなCGで爆発シーンばかり派手に作るのとはちょっと違い、人間関係や触れ合い、成長で見せる部分が多くて、キャラクターの数が多い割にはちゃんと整理して見せてくれたかなと思います。その辺が巨匠の巨匠たるゆえんかと。

イーサン・ホークが出てくるとなんでもちょっと類型的に見える、というデメリットありますね。設定が奇想天外というか、なかなか意表をついているので、無理筋っぽい話を、それなりにふくらませてうまくまとめた、という感じはあります。

年に1回だけ、殺人を含めた暴力が野放しにされるようになったアメリカ社会。それが人間のもつ暴力性と折り合いをつける唯一の方法なんだ、という理論。実際、犯罪率は減って、経済は成長しているという。

そんな世で、防犯システムのセールスマンのジェームズはなかなかのやり手で、近所に最新の設備を売りつけて今期は売り上げトップ。妻のメアリー、思春期の娘ゾーイ、ちょっとオタッキーな引きこもりのチャーリーの4人家族。今夜のパージに備えてロックダウンの準備。そんな時、街をさまよっていたホームレスの黒人をチャーリーが家に引き入れる。同時にジェームズが交際を認めていないゾーイの彼氏が忍んでくる。ジェームズと直談判をする、と言っていたけど、出会ったとたんに銃をぶっ放す。応戦したジェームズの弾を受けて死んでしまう。

やがて近所のパージに参加したハンターの集団が、今夜の獲物になるはずだったホームレスを渡せと。初めは取引に応じて家族の安全を確保するつもりだったジェームズだけれど、自分たちだけ助かれば、と思っていた家族の気持ちがそれぞれ少しずつ変化し…。という話。

終盤にハンター集団に家の防備は破られ、ジェームズは途中で致命傷を負う。あわややられるかと思ったら助けてくれる第三の集団が。ところがそれはご近所の人たちで、成功しているジェームズの家に対する嫉妬がつのって自ら制裁を加えたいと思っていたのだった。こんどこそ絶体絶命、と思ったら最初に助けたホームレスが助けてくれて、形勢逆転。だけどメアリーは殺しはもううんざりだ、とパージ終了までテーブルに座って平和的に過ごすことを選ぶ。

コロナ禍のロックダウンや、そういう時に弱者がどう痛めつけられるか、を目にしていると、世間がいかに弱いものを最初にターゲットにするか、がよく見えてきますね。そういう時の正当化の心理を、パージ組にうまく語らせて、今の世だから余計にしみる寓話性をもった話になったんじゃないかと思います。

まじめに各キャラクターの心理を追い始めると、チャーリーは親になぜ狩りにいかないのか、とけしかけてみたり、赤の他人を救う行為を独断でやってみたり、やや動機が見えにくいのと、娘のゾーイは父親への反抗要素はともかく、他者への共感、という意味ではあんまり成長を感じず、特に中盤の気絶のシーンの意味が弱かった感じはします。“パージャー”のリーダー役はリース・ウェイクフィールドという人ですが、なかなか物腰が上品なのに血に飢えた狂気を感じさせてなかなか好演でした。個人的には友達になりたくないですが。見た感じが少しMaximo Parkのボーカルの人に似ています。

イーサン・ホークとマット・ディロンは、もう少し仕事のバラエティーを持たせた方がいいんじゃないかと思いますよ。メアリー役はレナ・ヘディー。「ブラザーズ・グリム」でヒロインをやった他、「シャドウハンター」「ジャッジ・ドレッド」などにも出ていますね。若いころのララ・フリン・ボイルをちょっと思わせるクセの強い美女という感じです。あと、終盤に出てくるご近所の旦那役でクリス・マルキーの名前があって、「ツイン・ピークス」の最初のシリーズでノーマの旦那のハンク役を演じた人でした。

 

2作目を見る前におさらいしなくちゃと思って見たんですが、意外なほどよくできていたというか、いろんな要素をバランスよく配置していて、登場人物が多い割りにはまとまっている感じがしました。

宇宙から巨大な宇宙船がやってきて、それも世界各地に。でテレビの映りが悪くなったと思ったら彼ら同士の通信に使っているようだと。それは攻撃をコーディネートするためでは、とわかって慌てて避難するけど地球側はコテンパンにやられてしまい、宇宙船を攻撃してもことごとくバリアで跳ね返されて反撃されてしまう。

わずか一機だけやっつけて、宇宙人を捕獲するんだけど、それをエリア51に連れて行くと、地球の資源が尽きるまで絞り尽くそうという侵略の意志が明確になって、どうやって反撃するかと。

そのうち、敵の宇宙船を使って「トロイの木馬」作戦を思いついて、結構うまくいって敵を壊滅状態にする、というハッピーエンド。ファースト・レディが死んじゃうのだけ、バッドエンドでした。

ビル・プルマンが弱気なんだか強腰なんだかわからない大統領で、最後は自分まで戦闘機で戦っちゃうのがある意味荒唐無稽なんですが、それでもそれなりに納得できたり、コンピューターウイルスを相手の母船に仕込むとか、そもそも向こうがどんなパソコン使ってんの、とか、ツッコミどころはいろいろですが、楽しいことは楽しいです。

主役のウィル・スミスのしぶとさもいいのですが、やはりジェフ・ゴールドブラムがいいですね。このころこんなに若かったんだ、と改めて思ってしまいました。