ロシアの大富豪が共同経営者の死からその娘に会社を乗っ取られそうになり、再起をかけてフランスにある銀行の貸し金庫にある書類を盗もうとする話。その過程で若いころに参加した精子バンクから生まれた子どもたちの助けを借りようとするのが今回の特徴。

ハッキングが得意な子がいたり、特殊車両の扱いが得意な子がいたり、スピリチュアルな詐欺師まがいの話術の持ち主がいたりで、途中のプロセスにはおかしなギャグが満載。相手側からもぐり込んだスパイの娘だけ、実子ではない、というのがひねりになっているんですが、実際にはこんなに手間をかけなくても計画は阻止できたのでは、と思うとプロットとしては本当は破綻しているんでしょうかね。

最終的には計画は失敗したのだけど、刑期を早く勤め上げて出所、そしてかつての敵のロンドンの事業が危機に陥ったのをこのチームで助けよう、と出発するところで終わり。

まあ、それでも音楽の使い方や編集のテンポは非常によく、飽きずに見られたといえば見られた。人工的な親子が、この経験を経て、実際の親子になりつつある、という感情的な動きはややおざなりで、最初に出会った息子ニコライだけがそういう部分を求めている、あとは潜入したスパイのはずの娘がニコライといい仲になりかけて、感情的には同情していく、というのが共感しやすかったですかね。