「スタンド・バイ・ミー」と「テラビシアにかける橋」に「クローバーフィールド」が混ざったら、素晴らしくないですか?そういう作品なので、ちょっとした欠点には目をつぶりたくなります。タイトルからは、事故から超能力を身につけた少年たち8人の活躍かな、とか思ったんですが、実は全然違って、スーパーエイトというのは、コダックの開発した8ミリフィルムの企画なんでした。のちにビデオではHi-8というのが出ますが、それのフィルム版みたいなものですね。

冒頭、鉄工所での事故があったところから始まります。少年ジョーのお母さんが犠牲に。父親は保安官。葬式では知り合いとトラブルもあったらしい。

4カ月後、ジョーは元気を取り戻し、友人たちと取り組んでいた映画撮影を再開している。ジョーの仕事は特撮・メイク。親友のチャールズはちょっとおでぶだけどやる気に満ちた、ちょっと威張り気味な監督。そこに新キャストとして、アリスがやってくる。実は、アリスは母の死に関係があるらしい。

父ジャクソンはいまだに母の死から立ち直れず、ジョーとの距離もとりかねて夏休みにはキャンプで関係を修復しようと企むが、ジョーは友達との映画撮影が大事で乗り気じゃない。

そして深夜、家を抜け出してチームが映画を撮影していると、そこに列車が。ただとおりすぎるだけかと思ったら、自動車と正面衝突。大爆発。生命からがら逃げ延びた一同だが、衝突した自動車の運転士が生物教師のウッドワードだと知る。ウッドワードは重症だが一同に早く逃げろと警告、やがて軍がやってきて、みんな命からがら逃げ出す。

映画はそのまま制作を続けるものの町の様子がおかしい。犬や人が行方不明になったり、停電が頻発したり。事故の現場は軍が仕切って保安官は捜査から締め出される。アリスは自分の父が泥酔して仕事を休んだのが原因でジョーの母が代役を努め事故にあったということを悔やんでいた。

やがて夜中に口げんかをして家出をしたアリスが怪物にさらわれる。と同時に軍は山火事を起こして住民を強制的に避難させ、その間に怪物を捉えようとする作戦に出ていた。ジョー達は仲間と避難所を抜け出し、学校でウッドワード先生の研究内容を知る。それは、かつて1958年に墜落して地球に来た宇宙生物に関するものだった。どうやら宇宙船で帰りたがっていたものを拘束し続けていたらしい。列車に載っていた物も宇宙船のパーツだった?

そこまで調べたところで軍につかまってしまうが、避難所に送還される前に怪物がバスに襲いかかる。軍との戦闘の隙に逃げ出し、墓地近くの倉庫から怪物の根城である地下に潜入、とらわれたアリスを救い出す。

しかしやがて追い詰められ、万事休すか、と思ったときにジョーの懸命の語りかけがテレパシーで通じたのか、町の中心にパーツを集めて宇宙船を再建した怪物は、宇宙に飛び立っていった…。

母を失った少年ジョーの喪失感、酒びたりになった父を嫌い罪の意識にさいなまれるアリスの惹かれあい、チャールズの嫉妬、ジャクソンとアリスの父ルイスの和解、など多くの人間ドラマが濃密に展開され、怪物の描かれ方がややぼやけていたりするのが不満にならないよさがあります。

母親のフィルムを見ているジョーとアリスのシーンなど、母の愛情と共に、実はそれを撮っていた父親への愛も写し取っていた、というのが実はよく分かり、少年時代の家族の愛情理解の限界も表現しているのがすばらしいなと思いました。

キャストはみんな若い子たちが頑張っているのと、ジャクソン役のカイル・チャンドラーが、類型的なんだけど強権的な父親、特に住民にいろいろせっつかれてストレスがたまって息子には柔軟に対応する余裕がない感じがよく出ていました。