『宇宙円盤大戦争』を観ました。

ヤーバン星の追撃を免れたデューク・フリードが、高性能円盤ガッタイガーと共に地球に辿り着いてから5年。
デュークが宇門大介として平和に暮らすある日、ヤーバンの円盤軍団が地球に飛来する。
それを指揮するのはヤーバン大王の娘であり、かつてデュークと幼馴染みだったテロンナ姫。地球への攻撃を止めさせるため、デュークはテロンナと会う事を決意する。
ガッタイガーを渡せば地球は攻撃しないというテロンナの言葉は信じたいデュークだが、ヤーバンの野望に手を貸すだけでなく、自分の正体も知られる事になってしまう……といったお話。
タイトルやデザインは違えど、お話としては『UFOロボ グレンダイザー』のお試し版とも言っていい、劇場オリジナル作品です。
もちろん周知度としては『~グレンダイザー』の方が遥かに上ですが、言い換えれば、『~グレンダイザー』は『宇宙円盤大戦争』のリブート作品でもあるんですよ(笑)。
先日、『グレンダイザーU』の放送が始まりましたが、単なる『~グレンダイザー』のリメイクではなく、おそらく本作のネタもブッ込んでくるでしょうから、一見しておくのもいいと思います。たった30分だし。
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たった30分、されど30分で、内容は実に濃密です。
おおよその状況説明は見せている上で人間ドラマもあるんだから、昨今は説明過多な作風が多いんだな感じさせます。
本作と同じものをリメイクしろと言われても、おそらく30分に収められないんじゃない?
昨今の洗練されたデザインのロボットに見慣れている、特に若い人の感性であれば、このジャケ写に映っている昭和ロボット群をダサいと一蹴してしまうんでしょうが、その中でもズバ抜けて壊滅的に思えるオンリーワンがあると思います。

個人差はあると思いますが……やっぱ左上の人、本作の主役ロボであるロボイザーが正解だよね(笑)。
昭和ロボだからと判官贔屓をしてやろうにも、お前だけは庇いきれないんだよ。昭和ロボのワースト1位は譲らせないぞ(ちなみに平成ロボのワースト1位は『機動戦士ガンダムSEED』のゾノ)。
そんな絶望すら感じるまでにダサいデザインのおかげで、メインのお客であるちびっ子に向けて見せるメカアクションシーンもあまり熱くなれません。
もしかしたら、コイツが『グレートマジンガー』の後番組で主役を張っていたかもしれないという、いわば歴史の分岐点があったのかと思うと、現代は意外と良い時代になっている事を思い知らされますね。
おそらく当時のアニメ、特にロボットアニメであれば皆無に等しかったんだろうけど、恋愛要素をかなり前面に押し出しているのが珍しい作品です。テロンナの、女としての嫉妬が悲劇を生み出すあたりとかね。
実は本作、ロボットアニメの皮を被ったメロドラマなんです。
そんなテロンナさん、前衛的すぎるメイクが怖くてね(笑)。我々地球人でいうところの目の白い部分=結膜が青い人種だからそう思えるんだろうけど(でもブラッキーの結膜は白い)。
そんなメイクはさておき、この頃のアニメ作品、かつ短編映画の割に衣装が多めな点にはこだわりを感じますね。デュークと会うのにわざわざ着替えているとか芸コマです。
キーパーソンであるテロンナに力を入れたがっていた様子が伺えますね。
『UFOロボ グレンダイザー』のデューク・フリード=宇門大介を知っている人であれば、本作における同名の人に、やや落胆するかもしれません。
『~グレンダイザー』では外見や言動に気品を感じさせましたが、本作のデュークはワイルド系。女子に向かってオカチメンコなんて言葉を使っちゃうようなガラッパチで、キミは本当に王子なの?と(出自を隠すための不本意な芝居なのかも)。
その女子=ひかるの方もこれに勝るとも劣らないジャジャ馬で、大介とは顔を合わせれば喧嘩するような仲。
そんなひかるが本心を見せるラストシーンにエンディング曲『もえる愛の星』が流れて……ええ、ええ、泣きましたよ(笑)。
この『もえる愛の星』という曲、アニメに限らず映画全般として捉えても秀逸な映画主題歌であると断言します。本作の魅力の半分はこの歌があってこそだと思うので(←主観が強すぎ)、オープニングをオミットしてこっちを2番まで流して欲しかったけどね。
個人的解釈として、1番は地球からの、2番はフリード星からの視点による歌詞に思えます。
あまり大勢には知られなくてもいい、ささきいさおさんの隠れた名曲です。