観た、『ウエスト・サイド物語』 | Joon's blog

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「『ウエスト・サイド・ストーリー』のプログラム一つ、お願いします」

「こちらですね、2970円になります」

「…えっ」

 

当ブログに足繁く寄ってくれる方はご存知でしょうが(←いないし知らねーよ)、俺ッチは映画館で観た作品の劇場プログラムは必ず買うようにしています。鑑賞履歴の一環も兼ねてね。

『ウエスト・サイド・ストーリー』を観に行った際にも、そんなマイルールに従ってプログラムを買おうと思っていましたが、ななんとお値段は2970円

お値段控えめの通常版はなく、この1種類のみの販売なんだとか……もうね、何言ってんの? 実際に観に行って↑のような事態になる前で良かったよ。

中身はどうあれ、一般的な鑑賞料金よりも高いプログラムなんか買うかい!って事で、今からBlu-ray(もちろん廉価版)待ちです。

 

…って事で、こっちでも十分以上に楽しめるオリジナル版の『ウエスト・サイド物語』を観ました。

 

▲ここで問題、この縦線の集合は何でしょう?

▲タイトル画面になっても分かりにくいけど…

▲正解はニューヨークの遠景でした(ここまで5分以上…)

 

少年たちが日々縄張り争いをしているニューヨークのウエスト・サイド。

その中でも1、2を争うのが、リフ率いるジェット団とベルナルド率いるシャーク団。お互いを目の敵にする彼らは、今日も小さな小競り合いを繰り返している。

ある晩、彼らは仲間と共に街のダンスパーティーに向かう。そこでトニーとマリアは一目で恋に落ちる。しかし、元ジェット団のリーダーでリフの兄貴分でもあるトニーと、シャーク団のリーダーであるベルナルドの妹であるマリアとの恋は許されるべきものではなかった…。

そして、ついにジェット団とシャーク団の因縁に決着を付ける時が来た。それぞれのグループの代表が1対1で対決し、シャーク団の代表がベルナルドである事を知ったマリアの願いを聞き、決闘を中止させようとするトニーだったが……といったお話。

 

言わずと知れた、ミュージカルのド定番たる作品です。

移民に始まる人種差別に根差す街のチンピラの抗争を描いていて、ストーリーだけを見ると意外とハードな内容に思えるんですが、ミュージカル部分=歌とダンスのシーンにより、そんな重さが払拭されます。

ミュージカルが苦手に感じる人は、こういう所がダメなんでしょうね。今さっきまで愛を語り合ったり激烈に怒っていたと思ったら、急に歌い踊り始めるというような(笑)。

▲ケンカの最中でも決めっ(ビシッ)!

感情が一定以上に高まった時に歌って踊って、これを体現するというシステムなんだと割り切る事から始めるのが、ミュージカルを楽しむための第一歩なのかもしれません。

 

そんなミュージカル部分がなくなってしまうと、血で血を洗うような少年ギャングの抗争になってしまうんだよね。

時として“戦争”という大袈裟なワードが使われますが、当事者である彼らにとっては喧嘩の度を越した“戦争”なんでしょうね。この辺がやっぱりガキなんですが。

▲小さいけど殺傷力抜群のナイフ

一般的な住民、特に大人からすればガキどもの小競り合いくらいにしか見えないものの、とっくに社会悪と化しつつある彼らを止めるのは、本来であれば大人の役目です。

とは言え、子供には子供の社会があるし、現実の日本でも小中学生のいじめ問題を解決できないのは、大人が介入できないからなんですよね。

 

喧嘩両成敗のごとく、双方に説教をしてみせるものの、あからさまに移民であるシャーク団を蔑視しているシュランク警部補は堕落した大人の象徴かもしれません。

子供を説教する前に、自分を正さねばならない大人の代表格ですよね。

シャーク団に対して(そこまで)偏見はないドクも不甲斐ないとは言わないけど、少年たちの抑止力にはなれませんでした。

少年たちのお話だから所詮は脇役とは言え、大人が大人として機能していなかったからこそ、ああいう悲劇が起きてしまったと言っても過言ではないでしょう。

 

結局、ジェット団とシャーク団との戦いに決着は付きませんでした。

でも、ラストで団の境なくトニーを抱えるシーンを見れば、その後がどうなるのかは分かるはずです。

こういう、この後は観た人の感性に委ねるという終わり方こそ、映画っぽくていいですね。

 

おそらくはマリア以上に相手を愛したトニーですが、結局は変な夢を見ていたに過ぎなかっただけでした。ジェット団から足を洗った直後というのもあり、ああいった幸せに貪欲だったんでしょう。

二人の愛があれば殺伐とした現実が変わるかもしれないと思うものの、変わりようのない現実があるのもまた現実です。

この後、僅かながらもトニーやマリアが望むような変化が訪れるでしょうが、そうは思えないまま、悔いを残して去って行くトニーが悲しいのです。

▲ネックレスにはあまり注目せぬよう…

 

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今回は吹替版での鑑賞でしたが、歌のシーンになるとオリジナル言語になるのは当然ながら、その頻度が多いという点で、だったらミュージカル作品はオリジナル言語で観る方がいいですね。

近年のミュージカル作品は日本語版の歌が作られているようですが、その辺の吹替版ってどうなっているんだろう?

 

ついでに言うと、トニーを担当するのが大塚芳忠さんという時点でミスキャストに感じます。

芳忠さんが演じるにはキャラが若すぎるでしょ(笑)。ベルナルドを担当している山寺宏一さんと逆であれば、ちょうど良かったんじゃないかな?

これと逆に、堀江美都子さんがマリアを担当するのは絶妙の極み! 歌うシーンはないけど…。