Joon's blog

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支離滅裂

『渡り鳥北へ帰る』を観ました。

 

何者かに殺された親友、岡田の遺骨を渡すため北海道の函館へ飛んだ滝。

滝は岡田の実家である造船所を探し当てるが、父の治五郎は遺骨を受け取ろうとしない。

岡田の妹である由美から、岡田は妻子のある身だった事を知った滝は、妻の雪江が働いているキャバレーに向かう。そこは黒川がオーナーを務める店で、経営不振の治五郎の造船所に金を貸し付け、土地を奪い取ろうとしているのも黒川だった。

そして滝は、黒川の下で働くハジキの政という男に遭遇する。滝が函館にやって来たもう一つの目的、それは殺された岡田の仇討ちで、その犯人こそハジキの政だった……といったお話。

要約すると、滝が殺された親友への復讐を果たそうとする話です。

 

シリーズ第8作、かつ現時点でのシリーズ完結作です。

というのも、最終作として色々と決着が付くようなお話ではなく、いつも通りの終わり方をする。

つまり、いつまた滝が姿を見せる可能性が無きにしも非ず、という事でもあるんです。次は君の住む街に流れ着くかもしれないよ?みたいな(笑)。

昭和のシリーズ物の多くは連続性がありませんが、1話と最終回がないからこそ、どれをいつ見ても楽しめるという敷居の低さは万人向けでもあるんですよね。

 

…いやいや、実は最終作という意識は少なからずあったのかも?と思わせるのは、いつものパターンをやや崩しているという点。

いつもの調子でフラッと流れ着くのではなく、今作では遺骨を届けるという目的があるのが珍しい。

その目的地は函館で、函館と言えば第1作『ギターを持った渡り鳥』の舞台です。

さらに、これってどっかで見たような?と思わせる(今風に言えばオマージュ)シーンがいくつかあり、捉えようによっては1作目のリブートとも言えるんじゃないかと。

別名、ネタが尽きた時に使う“原点回帰”ですね(笑)。

死んだと思われていた滝が姿を現すシーンで吹いている口笛が『地獄のキラー』(カッコ良い曲名!)だったり、ちょっとしたファンサービスに富んでいるのも見どころです。

…やっぱり最終作ってのを自覚していたのかな?

 

にしても、つくづく思うのは、滝ってホント~に女性に鈍感なんですよね。

もちろん今作でもヒロインの由美に好意を寄せられますが、心底では好意を抱いていても、相手の幸せを願う優しさがあるからこそ身を引く……と思い込んでいましたが、だいぶ曲解しないとそうはならないくらいに、滝は女性に興味を持ちません。もはや恋愛不感症です(笑)。

もう少し、別れの名残惜しさを見せて欲しかったんだけどねぇ。

 

…って事で、とりあえず俺ッチの手元にある渡り鳥シリーズは観終えました。

『怪傑ズバット』の原典とも呼べる作品でもあるので、観ておいて正解なだけでなく十分に楽しめました。

あとは『大草原の渡り鳥』と『波濤を超える渡り鳥』を残すのみ。

できればBSプレミアムさん、渡り鳥シリーズ全作放送してくれませんかねぇ…?

 

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『オデッセイ』を観ました。

 

火星探査プロジェクト、アレス3の面々は砂嵐に遭遇。猛風に吹き飛ばされ安否の確認ができなくなったワトニーを残し、クルーは火星を離れる。

しかし、ワトニーは生きていた。

広大な火星の砂漠に取り残されたワトニーは、居住ユニットや探査用の設備を駆使しながら、生きて地球に帰還する事を諦めなかった。

やがてNASA、そして地球への帰路に就くアレス3のクルーはワトニーの生存を確認。残された僅かな時間の中、ワトニーの救出計画が始まる……といったお話。

要約すると、火星でのサバイバル生活を余儀なくされた男の話です。

 

とある場所に一人取り残された男が誰の助けも得られず、自らの力で脱出&生還しようとするサバイバル系作品があります。宇宙や無人島からの脱出を試みる『ゼロ・グラビティ』や『キャスト・アウェイ』とかね。

本作の主人公ワトニーが取り残されるのは火星。

呼吸すら自然にできない環境下でのサバイバルは想像以上、いや、想像できないほどに過酷なものでしょう。

『ゼロ・グラビティ』もそうだったけど、宇宙に感じていた夢を失う作品です(笑)。

200年以内に起きる実話になりそうなリアリティもありますね。

 

リアリティが漂う作品ゆえ、専門用語や略語が頻出します。JPLだのMOVだのHUBだの、何が何だか(笑)。

未見の人は、ここで斜め読み程度でも火星探査に関する知識を培ってから本作を見るといいですよ。

 

リアリティと言えば、この手の科学考証の間違い探しに躍起になってハシャぐ連中もいますが、映画なんて所詮はフィクションの極みなんだから、少しくらいバカになって見るくらいがちょうど良いんです。

とは言え、そんな俺ッチですらリアリティを欠いてると思える事が一つありまして……イモしか食ってないのに、どうしてそうマッチョでいられるんだ(笑)!

 

元々ワトニーは植物学者である事から、居住ユニットの屋内でジャガイモを育てて飢えを凌ぎました。

そこまではいいんですが……機械や建造物の修理や改造までこなせたり、知識の幅が広すぎるだけでなく手も動かせてしまうような、何でも知ってるし何でもできちゃうのがチトご都合的だなと。

得てして学者なんてのは自分が得意とする分野以外の知識は凡人並みという(偏見を個人的に持っている)せいか、ああまで的確に対応できすぎるのはやりすぎじゃない?

手を動かしてはみたものの失敗したり、NASA(というかJPL)やアレス3のクルーに教えを乞うシーンがもう少しあっても良かったんじゃない? まぁ、そんなのをつぶさに描いていたら3時間越え確定だっただろうけど(笑)。

ネットのおかげで“知識”は身に付いても、ワトニーのような“知恵”がない我々が同じ状況に陥ったらソル3くらいで終了ですかね…。

 

あんな状況下に置かれても、一瞬たりとも絶望はしないワトニーは人間として見習うべきところがありますね。あんな僻地に取り残されて、明日のために動く気になれる前向きさには頭が下がります。

その上、ユーモアも忘れず明るく振る舞うのもいい。虚勢を張った空元気ではなく、根っからのポジティブ人間なんですよね。

 

ワトニーの家族はせいぜい両親に留めておくのは良かったですね。

死んだと思っていたワトニーの生還を祈る妻子or恋人、保身のためにワトニーを利用しようとする上層部の陰謀、目障りだったワトニーの救出を密かに邪魔するクルー……なんて、とっくにカビの生えた展開がなかったのは好印象です。

登場するキャラの全てがワトニーに同情した上で地球への帰還を願っているんだから、実に健全なお話です(責任者の頂点の地位にあるテディは、あくまで人情と現実との仲介役に過ぎない)。

泣きそうになるシーンもあったけど、決して押し付けがましくないのも良いんですよね。

 

本作にはNASAが協力しているという一言のおかげで、プロダクションデザインも現実味や説得力を感じます。デザインとしてもクール。

特に秀逸なのは宇宙服(与圧服?)で、これまでの宇宙を舞台にしたリアルな映画に登場するそれらと言えば手足や胴体が太っといああいうのが定番ですが、本作ではもっとシュッとしていて体のラインが出るくらいにスリム、かつスタイリッシュ。

あっちはイヤだけど、こっちは着てみたい気になりますね。

 

ワトニーを演じるマット・デイモンさんは、個人的にはあまり好みではなくてね。

話題になったブレイク作『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』も、各所でヨイショするほど面白い作品に思えなかったし。日本で有名になり始めた頃にはジミー大西さんに似てるとか言われてたっけ(笑)。

そんなデイモンさんもとっくにオジサンになり、顔つきも精悍になってイイ感じになったせいか変な偏見もなく楽しめました。

 

にしても……2010年代あたりから始まった感のあるハリウッド映画の嫌な風潮として、まーた中国ですかと。

実際に宇宙開発事業が活発に行われている(っぽい)から、まぁまぁ以上のリアリティを感じるとは言え、そこでどうして中国というかアジアの国が出てくるんだよ。仮に日本だったとしても違和感を抱くぞ。

多様性なんて流行り言葉を盾に、中国に媚びるような作品ばかり作るようになったハリウッド映画の凋落ぶりには溜め息しか出ません。そんなのはディズニーだけに躍らせとけばいいんだ(笑)!

 

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Blu-ray版は映像特典多め。

中でも、ワトニー救出計画を描いた短編映像はいいですね。こういう方向性こそスピンオフの本分だと思うんだよ。

劇中ではバチバチしていたテディとミッチは引退し、たまにゴルフをやる仲だというのもほっこりします。

『大海原を行く渡り鳥』を観ました。

 

長崎県の雲仙に辿り着いた滝は、磯部や由紀を載せた馬車が強盗に遭っているところを救い出す。しかし、由紀が持っていた、大金を詰めた鞄を奪われてしまう。

強盗の正体はゲルマニウム鉱山を所有する由紀と兄である信夫の坂井兄妹への嫌がらせを続ける平和運輸、その社長が磯部だったのだ。

平和運輸に乗り込んだ滝は奪われた大金を取り戻すだけでなく、父を探しに長崎までやって来たみどりの父親で、不本意ながら磯部の下で働いている三木を説得する。

それを知った磯部は、強盗に失敗した哲と三木を殺させる。磯部が信夫の経営する観光会社を潰しに掛かる事を知った滝は、信夫の会社の用心棒として雇われるが……といったお話。

要約すると、滝が鉱山の権利を奪おうとする磯部の陰謀を叩き潰そうとする話です。

 

シリーズ第7作。

今回、俺ッチが観たのは何年か前にBSプレミアムで放送されていた(のを録画した)もの。

そして、今年になってBS12が渡り鳥シリーズを集中放送していましたが、両方とも第5&6作目を放送してくんないんですよねぇ。

ここまで観てきて、そんなにマズい内容になるような作風でもないと思うんだけど…。

放送してくれたらしてくれたで、またいつもの山とか土地の権利書を巡る話なんだろうな(笑)。

 

いつもと変わらない話とは言え、それが続けばキャラの深みが増してきます。

とは言え、毎回登場するのは主人公の滝だけですが(笑)、よっぽどテキトーな脚本でもなければキャラが破綻する事はなく、滝だったらこうするだろうという意味で感情移入しやすくなるんですね。

相も変わらず、滝は流れ着いた街でトラブルに巻き込まれますが、みどりという手無し子[テテナシゴ]が悲しんでいるのを見過ごせなかったのが発端。

年端も行かない子供には献身的な優しさを見せるけど、年頃の女性には目もくれない(笑)滝のキャラは今作ではもう確固たるものになっています。

 

滝とイイ感じになるヒロインを演じるのは浅丘ルリ子さん。

…と言いたいところですが、今作ではヒロイン=由紀の影がかなり薄く、ストーリーにもあまり影響を与えないし、イイ感じにすらならないんだよね。

ヘタすれば今作のヒロインの座はみどりに譲らざるを得ないくらい(笑)。

思い返せば、ここまでヒロインに想いを寄せられる事はあっても、滝からの好意を見せるシーンってほとんどないですよね。こちらの妄想で強引に思わなきゃいけないというか。

 

渡り鳥シリーズの密かな見どころは、雄大な大自然。

オープニングでは画面いっぱいに広がる山を映し出し、これだけでスケールがデカい映画なんだと思い込ませます。

1961年の作品という事で、山道も舗装はされているけどアスファルトはまだ敷いておらず、人間の手が入っていない自然の姿を堪能できるのもいいんです。

こういう所にも古い映画の醍醐味があるんだよね。

 

そして今作に始まった話ではありませんが……山を巡る話なのにどうしてこんなタイトルを付けたんだよと。

海が1ミリも出てこないわけではないので、“ラストで大海原を行く渡り鳥”と呼ぶ方が正確です。

まぁ、タイトル詐欺も渡り鳥シリーズのお家芸という事で見逃してあげましょう(笑)。

 

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『ダイナマイトどんどん』を観ました。

 

終戦から間もない昭和27年。北九州の警察署にヤクザの親分たちが呼び集められる。

ヤクザの抗争が絶えない事に頭を抱える署長は、この問題を民主的に解決する事を提案。その方法として、ヤクザの組同士による野球大会で勝負を付けようというのだ。

古くから因縁が深い岡源組と橋伝組との勝負は、街の人々も注目するカードだ。

岡源組の切り込み隊長と呼ばれる加助もやる気を出し、岡源組の岡源ダイナマイツは勝利を重ね決勝にまで行き着く。

しかし、加助とは反りが合わないながらもバッテリーを組んでいた銀次は橋伝組に弱みを握られ、橋伝カンニバルズに引き抜かれてしまい……といったお話。

要約すると、ヤクザ同士が野球で勝負をする話です。

 

戦争の代わりにルールを重んじるスポーツ(的な手段)で勝負をつけるという話はSF作品でよく見掛けます。『ロボ・ジョックス』とか『機動武闘伝Gガンダム』とかね。

それと似たような事をもっと昔に、ヤクザがドスをバットに代え、砂やほこりにまみれながら大真面目に野球に打ち込むという突飛な発想に脱帽です。もうそれだけでコメディ作品確定じゃないですか(笑)。

所々でホロリとさせるシーンもあるけど、基本的には深いテーマやメッセージもなく、純粋な娯楽作として老若男女で楽しめます。

最初から子供に向けていない事は分かるけど、過剰なエロやグロがないのが好印象です。

 

娯楽作の割に、尺がチト長め=142分もあるのが惜しいかな?

試合のシーンだけでなくクライマックスの大乱闘も冗長に感じたし、その辺をスリムにすれば2時間未満でちょうどいい尺に収まってたかも?

銀次目当てに橋伝組に殴り込みに行くシーンも、あんなに長くしないで良かったかな。

 

常にヤクザの小競り合いがある無秩序な街が一転、それまで幅を利かせていたヤクザが住民に媚びを売るような演説をするようになる始末。

住民もヤクザを野球選手と見なすようになり、

「あんたヤクザね、どこ守っちょるとね?」

なんて台詞が本作の世界観を象徴しています。

そして野球をやらないヤクザはモテないという、もう色々とヘンな世界です(笑)。

 

主演は菅原文太さん、さらに北大路欣也さんや金子信雄さんや田中邦衛さんらの名が連なっているのを見れば、ま~た東映のヤクザ映画かと思う人も少なくないはず。

まぁヤクザ映画に違いはないものの、ヤクザという無秩序な連中が野球という変えようのないルールに則って決着を付けようとするギャップが楽しい作品です。

それ故、キャストのコメディ芝居も面白く、特に主人公である加助を演じる文太さんは『トラック野郎』で培ったそれを如何なく発揮しています。そもそも、『仁義なき戦い』のようなテンションでできるお話じゃないしね(笑)。

特に注目すべきは橋伝組の兄貴分である花巻を演じる岸田森さんで、岸田さんってあんなコメディ芝居もできちゃう人だったんだ?と、いい意味でイメージが崩れましたね。

加助のライバルである銀次を演じるのが北大路さんというのも意外で、背広かチョンマゲ姿のイメージしかなかったものですから(笑)野球のユニフォーム姿が新鮮に見えます。ピッチングのフォームがダイナミック!

ピッチングのフォームと言えば、雇われピッチャーの作蔵を演じる田中邦衛さんのそれは独特すぎて吹き出してしまいます。

 

ガラの悪い人が健全な何かに熱中するというシチュエーションって、いかにも令和の漫画やドラマにありそうという意味で、割と本作はリメイクしやすいお話なのかもしれません。その際は野球のシーンに重きを置くようになるんだろうな。

が、本作を見知りしてしまうと、あれくらいに品のない言葉を発する方が劇としてのヤクザっぽさがあるので、現代の倫理規制を鑑みると、お上品なヤクザさんになっちゃうんだろうね。…うん、つまらなくなるの確定だ!

 

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今回、俺ッチが観たのはBSプレミアムで放送されたものだったんですが、そんな言葉やあんな言葉を無修正のまま製作者の意図を尊重して放送してくれて……何と粋な配慮!

古い作品を放送するのに、令和最新式のモラルを持ち込む事はないんだよな。

ジョーシンの会員になっていると、2000円以上のお買い物で景品が貰えるというDMが届くんですよ。

景品っつっても100均で売ってそうな物なんですが(笑)、景品で釣ってまで来店を誘うジョーシンの商人根性、積極的でYesだね!

 

俺ッチが行くのは9割はオモチャコーナー=キッズランドで、プラモ(関連)目当てで行ってるんですが、ガンプラへの興味が薄まった今となっては欲しいものもほぼ皆無。割引もなければ尚更にね。

なので、2000円以上で何を買うか悩むんですよ。

 

そこで買ったのは、

思い切りのいい割引が嬉しい『境界戦機』プラモ=境プラです(笑)。半額近かったのでね。

ガンプラバカには目の敵にされてるけど、個人的には境プラこそ“HG”に相応しいキットだと思っています。デザインの好みは抜きに、模型としての造形美は境プラの方が遥かに上です。

デカい面取りやR、肉抜きも境プラにない事はないけど、ガンプラほど美観を損ねてはいませんし。

何だかんだで、境プラは半分くらい買ってるなぁ…。

 

他に量産機っぽいやつも安くなってて、持ってないものもあったので手が伸びたんだけど、やっぱり止めてコレにしたという経緯がありまして…。

これはプラモも含んだ『境界戦機』のダメな点で、量産機から派生する個人用カスタム機がいくつもラインナップされていますが、外装が僅かに違う程度で下半身が全部同じなのがつまらなさすぎて…。

フォックスだのハウンドだのと名前は違うのんだから、もう少しデザインを変えろよと。こちとら、これに気付けなくてジョーハウンドとか2個も買っちゃったんだよ(半額だったのもあって)。

派生機なんだからそれが正解なんだと言われればそれまでなんだけど、本編を全く見てない立場からすると、手抜きの度が過ぎているようにしか思えなくてなぁ…。

 

まぁ、この辺はガンプラで培った十八番芸、金型流用の術ですね。

良いキットではあるけど、ラインナップばかり増やしても中身の半分くらいが同じじゃ、そんなに売れないと思うんだよ。ガンプラじゃないんだから…。

『獄門島』を観ました。

 

友人の依頼により、復員船で死んだ鬼頭千万太[キトウ・チマタ]の訃報を伝えるため、金田一は獄門島に向かう。

千万太の実家である鬼頭家は獄門島の大家であり、本家と分家による跡目争いが続いていた。千万太が亡くなった今となっては、3人の妹の誰かが鬼頭家本家として跡を継ぐ事になるだろう。

そして、金田一は気がかりな事を抱えていた。千万太は今わの際に、自分が帰らなければ妹たちの身に危険が及ぶという言葉を遺していたというのだ。

そんな千万太の予言通り、三姉妹は奇妙な手段で次々と殺される。それは、かつて鬼頭家の先代である嘉右衛門[カエモン]が謳った俳句に倣ったもので……といったお話。

要約すると、金田一が孤島の小さな村で起きる連続殺人を追う話です。

 

70年代の金田一映画シリーズの第3作なんですが、その製作ペースが驚けましてね。

 ・『犬神家の一族』→1976年

 ・『悪魔の手毬唄』→1977年

 ・『獄門島』→1977年

 ・『女王蜂』→1978年

 ・『病院坂の首縊りの家』→1979年

と、3年に5本ってんだから大車輪にも程があるだろと。

それでいて粗製乱造感なんか皆無に等しく、鉄は早いうちに打てというか、ブームが冷めないうちに次作を作る商魂のたくましさは、いかにも昭和ですね。売って儲かるならどんどんやるのが商売ってもんだし。

働き方改革だの何だの、社員に休みを与えない会社が怒られるようになった昨今にゃ、こういう貪欲さが欠けているんだよな。金が欲しいから働きたい人だっているんだろうし。

 

『獄門島』以外にも、横溝正史さんの映像作品は多々作られていますが、それらのどれにも原作から乖離した描写があり、犯人の犯行動機どころか犯人すら違う事もあり(笑)、各作品の個性となっているのが面白いんですよ。

それはさておき、他の作品ではこれをどう描いてるのか気になるところがあって…。

犯人の超腕力はまぁ火事場のクソ力みたいなものなんだろうと解釈できるけど、釣鐘のトリックはさすがに無理がありすぎてなぁ…(笑)。

 

金田一シリーズにおける、誰しもが気になってしまう見どころの一つとして、殺された被害者の発見された状況が挙げられます。

ただ首を締められたりとか刺されたりというような凡庸な殺され方がないんですよね。

唄・謳・詠といった、要は歌の詞に倣った殺され方をするのが常で、けっこうな画ヂカラもあって実にインパクトが大きい。雪枝の決定的な死に方なんて特にね。

別名、子供の時分に見たら夜に寝れなくなるやつ(笑)。

本作での被害者は逆さ吊りとか釣鐘で殺され、それらにふた手間も掛けてアピールする必要もないじゃん?とも思いますが(笑)、個人的に金田一シリーズにおける殺人の根っこにあるのは“祟り”だと思っているので、それほどまでに犯人の怨念がこもっているのが伝わります。

 

キャストとしての見どころは、実質上のヒロインである早苗を演じる大原麗子さん。

大原さんは本作のような、どこか淋しげで陰のある役がよく似合うと思ってるのは俺ッチだけではないはず。

そんな大原さんと対極的なのが、床屋の娘であるお七を演じる坂口良子さん。

こちらはその場の雰囲気を明るくさせるキャラで、坂口さんの朗らかな芝居がちょっとした救いになっているんですよ。坂口さんは金田一シリーズには本作以外にも何作か出演していて、そのどれもが似たような役なんですが(笑)、金田一だけでなく、基本的に暗い話を見ている我々にとっても和やかな雰囲気を与えてくれます。

お二人とも、今の目で見ても余裕で可愛いんですよね。70年代が誇るクラシックビューティーでありながら、美人薄命という言葉を体現しているのが惜しまれます…。

 

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『悪魔の手毬唄』を観ました。

 

昭和27年。

金田一は顔馴染みである磯川警部の依頼で鬼首[オニコウベ]村にやって来ていた。

かつて磯川は鬼首村で起きた殺人事件を担当していたが、20年を過ぎながら未解決である事件を調査するため金田一の手を借りたいという。

村は由良家と仁礼[ニレ]家の大家同士が対立していて、金田一らが宿泊する民宿の女将の息子である歌名雄[カナオ]を巡り、両家の娘が火花を散らしていた。

そんな折、仁礼の娘である泰子、そして由良の娘である文子が何者かにより殺される。金田一は、彼女らの殺され方が村に伝わる手毬唄の歌詞の通りである事に気付き……といったお話。

要約すると、金田一が村に伝わる歌の歌詞に倣って行われる連続殺人を追う話です。

 

監督の市川崑さんと金田一を演じる石坂浩二さんのコンビによる、いわゆる金田一シリーズ第2作(便宜的に“金田一シリーズ”と銘打って各作を関連付けていますが、全部で5作あるみたい)。

70年代における金田一映画の世界観は本作を以て確立されていますね。天気は常に曇天だったり、家の中の照明がないに等しかったりという不気味感は今作でも健在。

もう半世紀近い古い作品ですが、古いからって1ミリも怖くないわけでは決してなく、ショッキングなシーンはむしろ現代では出せない雰囲気があって時折ドキッとさせられます。初めて露わになる里子のビジュアルとか、文子の殺され方はけっこうなインパクトを残します。子供の時分だったら夜が怖くなりそうですよ(笑)。

ただ、血の表現が相変わらずペンキ感丸出しなのは見逃してやって…。

 

ジャンルとしては恐怖映画なんでしょうが、誰が何のために殺人を犯すのかを追う謎解き系といった方が正確かな?

相変わらず登場人物が多い&関係も複雑で、キャラ相関図や家系図が手元に欲しいと感じる作風も金田一作品のイズムです(笑)。

 

村に伝わる童謡の歌詞の通りに行われる殺人。被害者に共通するのは恩田という男に弄ばれた3人の女の娘という、ある規則性を秘めた殺人の手法(?)は90年頃から流行り出す猟奇殺人モノに先駆けています。

後年のそれらと決定的に違うのは、こちらは殺人の根っこに怨恨があるだけでなく、加害者は辛く苦しい過去を引きずっているという点。遊び半分に人を殺すような変態性はないんですよね。正当性はないけど、少なからずの酌量の余地はあるというか。

当初の予定通りに3人を殺したはずが、3人目にして綻びが生じてしまうのも悲しいのです。

 

キャストで注目するのは、磯川警部を演じる若山富三郎さん。

ヤクザの大親分のイメージが強い人ですが、本作で演じるのは警部というのが新鮮味がありますね。部下のドジを叱咤する時は、いつもの感じが出ちゃってますが(笑)。

そんな若山さんが演じる磯川警部は、個人的に引っ掛かるという理由を付けて事件の捜査を続行し、その行動原理にあるのは民宿の女将であるリカへの想い。

警察の人とは思えないようなドスが利いた凄みを持ち合わせながら、中身は純情というギャップがいいんですよ。

リカが犯人だと疑われて、ムキになって否定するシーンはいじらしさすら伺えます。

 

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今回はBSで放送されたものの鑑賞。

金田一映画シリーズ5作はBlu-rayで揃えたいなぁと思っていたんですが、東宝の映像ソフトは昔っから高額なんですよねぇ。

『乃木坂46のオールナイトニッポン』、久保ちゃんが担当するのも残り2回。

は~、寂しくなるじゃねぇのさ…。

 

そこで、いよいよ後任が発表されたわけですが……ななんと井上和[イノウエ・ナギ]さんってんだからビックリだよね。

何をそんなに驚く事があるかって、選抜入り、かつ1〜2列目のポジションにいるのが常であるどころか、今後もセンターをやる可能性は多分にあるじゃないですか。

ピン仕事も多めに見えるし、忙しさで言ったらけっこう上位に入るメンバーだろうに…!

 

自分でも後任の予想を調べてみたそうで、誰も自分の名を挙げていないとボヤいていましたが……乃木坂中級者以上ならアンタが忙しそうなのを知ってるんだよ!

できるならやって欲しいけど、現実味がなさすぎて誰も口にしないだけなんだよ!と言ってあげたいですね。

当ブログでもちょっとした予想をしてみましたが、和さんの名を挙げなかったのはそういう理由なんですよ、スミマセン!と言ったところで、こんな所を通りすがるわけないけど(笑)。

 

個人的に、和は声がよく通る上に喋りも達者で、何より溌剌としているのが好印象です。受け答えもしっかりできるし、聞いていて焦れったさを感じる事はありません。

これってラジオに向いているというか、不可欠な才能だと思うんですよ。

何人かいるじゃないですか、ラジオ出演もそろそろ熟[コナ]れていい頃なのに、未だに声が小っさかったり口数が少なかったりとか(今や3期生にそんな懸念は不要)。

そもそもラジオは何かの作業中(車の運転が代表的)、雑音が混じる中で聞く人が多いから、できる限り大きい声で喋らにゃならないものだと思います。

その点に関して、和なら難なくクリアしてくれそうなので、この度の後任就任は超ウェルカムです。

 

あとは、変わり者な一面をどれだけさらけ出してくれるかに期待しています(笑)。

今から初回の放送が楽しみ……と言いたいけど、その前の週を乗り越えるのがキツそうだ…。

当時は見向きもしなかったどころかネガティブな印象すらあったものだけど、こんな歳になってキチンと観てみればフツーに面白いどころか、何だかんだで洋高邦低の時代の只中にあった80年代の邦画を支えていた功労者とも言える角川映画。

サッパリ知らなかった分、日本でもこんな映画を作れていたんだ!と畏敬の念すら抱けます。『復活の日』なんて度肝を抜かれたよ。

過大評価の度が過ぎてやしないかい?とも思われそうですが、80年代の邦画を10本挙げろと言われれば、割と必死に避けない限り角川映画のタイトルが出てくるはずです。

 

そんな角川映画の主題歌を集めたCD、『ザ・角川映画スペシャル』を買いました。

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↑↑は主題歌を集めた1枚組、↑はそれに挿入歌や何作かの主題歌をプラスした、いわば増補版とも呼べる2枚組です。

「なんで『○○』の主題歌が収録されてないんだ!」とか言い出す人もいますが、得てしてそういう手合いは揚げ足を取るに留まらず、自分の博識ぶりを自慢する事が最大の目的なのでスルー推奨です。

…と偉そうな事を言いつつ、2枚組の方には『キャバレー』の主題曲(と呼んでいいのかどうか)である『レフト・アローン』を入れて欲しかったと呟いてみる…。

 

収録曲は↑のリンク先で調べてもらうとして、いかにも角川映画黄金期!なラインナップじゃないですか?

しかしまぁ、大野雄二さんの起用率が高い!

そして何より、薬師丸ひろ子さん&原田知世さん率も高い(笑)! 久々に聴くと『メイン・テーマ』いいなぁ…。

 

個人的にちゃんと聞きたかったのは、ジョー山中さんによる『人間の証明のテーマ』。

特にサビの部分の熱唱が、ジョー演じるジョニーの叫びのようにも聞こえて胸が苦しくなるんですよね。

現代はタイアップ優先で、ずいぶん強引に解釈しないと作品の内容とリンクしないようなオープニングorエンディング曲ばかりが蔓延していますが、主題歌=作品の一部を担当するという重責を担っていると考えている歌い手がどれほどいるだろう?

 

このCDに収録されている曲を主題歌としている作品の全てを見てはいませんが、曲を聞いて映画の方を見たくなるものもありました。

ローズマリー・バトラーさんの『汚れた英雄』とかカッコ良いですしね(2枚組の方にはインストゥルメンタルを収録しているという嬉しい誤算!)、いつかは観たいぞ~。

 

BSの集中放送で角川映画特集やってくんないかなぁ、できればBSプレミアムでお願いしたい!

ガイアノーツの『瞬間カラーパテ(フレッシュ)』を買ってみました。

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目的は合わせ目消しというより不毛な肉埋め対策

使い方としては、接着剤というよりパテ代わりですね。

これまでは高圧ガス工業の『シアノンDW』を使ってたけど、業務用だからなのか入手性がスゲー悪いので、おいそれと買える代用品が欲しくて買ってみた次第です。

「肌色なんか買って、密かに美プラでも作ってんじゃね?」とかツッコまれそうですが、白だと視認性が悪いし、下地として隠蔽しやすい色として肌色を選んでみました。一番安かったのも大きいけど(笑)。

そもそも当ブログは、あの手の女子プラモ(ブーム)を肯定的に捉えていないので…。

 

って事で、まずは御開帳~。

容量は同量=20gながら、『シアノンDW』と比べるとずいぶん背が高い容器。

これは瞬着の副次的な欠点とも言える、ノズルの口が接着剤で固まってしまう事態を軽減できるものなのかな?

瞬着を初めて使う際は、付属の針を使って自分でノズルの口を開けるのが常ですが、本品はキャップに針がセットされているので、その手間は不要です。針をブッ刺したら接着剤がドバーッと出てきたという経験のある人には朗報ですね(笑)。

が、逆を言うと、針が刺さって密閉されているとは言え、最初からノズルの口が開いているので、在庫している時間が長いものを買うのは少々リスキーに思えます。

 

で、さっそく使ってみたところ……『シアノンDW』と同じ感覚では使えなかったというのが結論。

シアノンにベビーパウダーを混ぜて凹部に盛る。そこに、

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といった効果促進スプレーを吹く。

『シアノンDW』の場合はこの時点でソッコー固まるんですが、『瞬間カラーパテ』の場合はここで爪を押し当てると凹んじゃうくらいで、吹いてから数分を待たないとしっかり固まってくれないんですよ。

そんな状態で強引に削り始めれば、後にヒケてきそうな気がするので、ある程度の待ち時間は避けられませんね。

『瞬間カラーパテ』は無駄にカラーバリエーションが豊富ですが、色によって性能が変わるのかな? ホワイトを試してみたいけど、まずはこっちを使い切らないと次のを買いにくい…。

 

待ち時間には差があるものの、硬化してからの切削感はほぼ同じに思えます。

削りやすいと言われてるけど、それなりには硬くなるし、ペーパーの目詰まりが早いのも変わりません。

 

まぁ、使えなくはないものの、似て非なるものといった感じがしました。

個人的には、やっぱり『シアノンDW』の方が性に合ってますね、今のところ。

なので……高圧ガス工業さん、何とぞ販路を広げて下さい! せめてホームセンターで買えればなぁ…。