Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観ました。

 

シンジが目覚めると、そこは戦艦内にある医療施設だった。

ミサトやリツコ、アスカら顔馴染みの面々との再会に喜ぶが、その誰もがシンジに対しよそよそしく、そして冷たい。

やがてシンジは、最強の使徒からレイを救い出してから現在まで14年の年月が過ぎていた事を知らされる。あの戦いの中、サードインパクトの発生により再び世界は壊滅状態に陥り、ゲンドウと袂を分かったミサトらはヴィレという組織を結成し、戦艦ヴンダーでネルフの壊滅を図ろうとしている。

サードインパクトを引き起こした当事者として拘束されるシンジは、生きていたレイの協力によりヴンダーを脱出、旧ネルフ本部に向かう。

そこで出会ったカヲルと親密になるシンジ。サードインパクトを引き起こした責任を感じるシンジは、世界を再生させるという槍を引き抜くため、カヲルと共にエヴァンゲリオン13号機に乗り込み……といったお話。

 

シリーズ第3作。

ここまで理解しやすいストーリーで通俗性もあり、立派にエンターテインメントができていた新劇場版ですが、今作でガラリと作風が変わり、一気に敷居が高くなりました。

オリジナル版=『新世紀エヴァンゲリオン』の新解釈版だった前2作に対し、今作からは完全新規のストーリーとして展開されます。

もし、あの場でサードインパクトが起きていたらという、いわゆる“たられば”的な展開、ちょっとしたマルチバースとでもいうべきでしょうかね?

川の上流のごとき勢いで流れる専門用語や難解な言葉の奔流は相変わらずで、オリジナル版を最終回まで観る事で得た予備知識が何の役にも立たないのもツラい。

たった1度の鑑賞で全てが腑に落ちた人って、この世にいるんでしょうか…?

 

今回の鑑賞で思ったのは、何がそんなに難しく感じるんだ?と聞かれれば、セリフの一語一句を理解しようとするからなんじゃないかと。

オリジナル版からそうでしたが、特に戦闘時における状況報告の台詞が多いのはエヴェンゲリオンシリーズの特徴であり醍醐味です。

が、そんな難しい台詞を話半分として聞き流す事で、ストレスが軽減される事に気付きました。

映画として、劇として見ている人の心に響かせたい台詞は、誰しもが直感的に分かるであろう言葉で紡がれるものですから、ロクに意味も分かんねー台詞なんか捨て置いていいんですよ。

 

それまでのネガティブキャラから一皮むけた前作の終盤では“男の戰い”を見せ、しっかりヒーローとして成長し(てくれ)たシンジ君……でしたが、やっぱりシンジ君はウジウジと悩み続けるのが運命であり、宿命です(笑)。

不可抗力だったとは言え、今作ではサードインパクトを引き起こした大罪人として冷ややかな目で見られるのがお辛い。言い換えれば、生き残った人類全てに敵視される存在だもんね…。

とは言え、ミサトとアスカに関しては心底よりシンジを憎めない描写があるのは僅かな救いです。リッちゃんはビミョーだけど(笑)。

 

サードインパクトが起きてから14年後の世界という事で、一部のキャラは出番が消え、出番があるキャラは歳を取った姿が見れるのは新鮮です。

中でも、オリジナル版では同じ意思を分かち合えなかったミサトとリツコが一緒にいるのは胸が熱くなりますね。ある意味、最強コンビですし(笑)。ムチャに見える作戦も、この二人が統率していれば安心感しかないだろう?

委員長=ヒカリに次ぐ純真キャラだったマヤがキャラ変して、男嫌いっぽくなってしまったのは何があったんだよと。

ヴィレの構成員として新レギュラーも多く参入しているし、その辺も含めて14年の空白期間に何があったかを描いて欲しいという声も聞こえますが、俺ッチはそんな無粋な真似はしないで欲しいと思う派です。曖昧な部分を自らの想像で補完するのも、映画の楽しみ方の一つですし。

 

今作になるとエヴァシリーズが濫造されているのが引っ掛かるだけでなく、もはやどんな素材でできているのかが分からなくなるほどの形態変化はチト節度がないですね。

前作ではビーストとかやってた2号機なんて、本当に犬だか狼みたいに変身しちゃうもんね。肉球らしきものもあるし(笑)。

 

素人視点で見ても、相当にこだわり抜いているのが想像できるビジュアルには圧倒されます。

特にメカに関しては近いものを見た事がなく、どんな感性の人がデザインしているんだろうという奇抜なものばかり。リアルとファンタジーの境があやふやなヴンダーのデザインなんて絶妙の極み。

オモチャ化を大前提としていない自由なデザインが目を楽しませてくれる反面、形状が読み取りにくく、画面の中でどんな芝居をしているのが分かりにくい瞬間が多いのが玉に瑕かな。

 

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Blu-ray版の映像特典に台本がありますが、これは便利ですね。分かんなかったり聞き取れなかった台詞は、これで補えるので助かります。

まぁ、日本語字幕もあるので、そっちで見る方が楽なのかもしんないけど…。

 

劇場公開時の同時上映作品でもある『巨神兵東京に現わる』も収録していますが、個人的には余興以外の何物でもありませんね。

巨神兵とは『風の谷のナウシカ』に登場したキャラなのは知ってるけど、未だ未見なので…(と言って驚かれる事がよくある)。

『ドクター・ノオ』を観ました。

 

妨害電波によるミサイル事故を調査していたストラングウェイズとの通信が途絶えた事から、MI6はOO7ことジェームズ・ボンドをジャマイカに派遣する。

同じく事件を調査していたCIAのライターと合流したボンドは、ストラングウェイズがクラブ・キーという小島から持ち帰った石が放射能を帯びている事に気付く。そこは現地人が恐れて寄りたがらない、とある中国人が所有する謎の島だった。

クラブ・キーに着いたボンドは貝殻を収集するハニーと出会うが、島の監視網に引っ掛かってしまう。

ボンドたちを捕らえたのは島の所有者であるドクター・ノオ。例の妨害電波はここから発せられたものであるだけでなく、それがドクター・ノオという一個人の意思ではない事を知ったボンドは……といったお話。

要約すると、妨害電波の発信源を調べるために行動するスパイの話です。

 

後にOO7シリーズとして長く続く、記念すべき第1作。

そしてスパイという職業が世に周知されるようになったのはOO7シリーズによるものだと思います。

ちなみに、“OO7”の読みは“ダブルオーセブン”ね。

シニア層であれば“ゼロゼロセブン”と呼んじゃうんでしょうが、日本での初公開時は『007は殺しの番号』というタイトルだったらしく、そこに起因するのかもしれませんね。

そんな世代からすれば、「“ドクター・ノオ”って何じゃい、“007は殺しの番号”じゃろ!」とでも言いたくなるのかな?

後年でいうところの、「“ジェダイの帰還”じゃねぇよ、“ジェダイの復讐”だろうが!」ってのと似たようなものです(笑)。

 

自分の行動一つが国家間の問題に発展する可能性を秘め、さらには世界危機にすら発展しかねない……本作を観れば、スパイがそれほどまでにハードな職業である事が伺えます。

そんな責任重大な任務を任されている割に、性格はかなり軽薄なのがボンドというキャラの魅力であり、OO7シリーズを飽きさせない理由の一つだと思います。

任務をキチンとこなしながらも、いつでもユーモアを忘れないのは自信やゆとりがある表れで、つまり仕事がデキる人間である証なんですよ。

そういう意味において、ジョークもロクに言えないダニエル・クレイグ版ボンドには違和感しかなく、もはやボンドというキャラが破綻しているんですよね。

常に緊張感が走っているような、一片の笑いもないくらいにシリアスな作風であれば、その時点でOO7シリーズと認められないんですよ。

 

OO7(の“OO”)とは殺しを許された者に与えられるコードネーム、いわば殺人許可証です。

そんなセリフを裏付けるようにボンドが人を殺すシーンはいくつかありますが、それが最後の手段ではなく、下手すれば楽しんでいるように見える事もしばしば。

冷酷なだけでなく、残忍さをも秘めているボンドは本作の見どころです。中でも、自分を迎えに来た車の運転手が偽物である事を知った時の薄笑いにはゾッとさせられます。

例えば見張りに発見された際、ちょっとした格闘の末に相手の意識を失わせるシチュエーションは多くの映画で見られる定番ですが、この人が気が付いちゃったらソッコー報告されちゃうじゃん?と心配になりませんか(笑)?

が、本作におけるボンドはキチンと先行きを考え、しっかり殺すんだから効率的、かつ冷酷です。後のシリーズではこれが抑えられ気味なのはチト惜しいですね。

 

本作最大級の見どころと言えば、ハニーの初登場シーンです。

水着を着た女性が歌を口ずさみながら砂浜に上がってくる、たったそれだけのシーンなのにスゲー画ヂカラを感じるんですよ。

今でこそ水着と言えばビキニが定番だけど、この頃はある程度のスタイルを持つ人でなければ着なかったでしょうから、公開当時に映画館でこれを観た人の衝撃は計り知れません。

今回の鑑賞で思ったのは、ビキニだけではなく腰にデカいナイフを提げているのも、ハニーというキャラを表すいい演出になっているんだなと。

貝を採取するための物でありながら、ハニーは過去に性被害を受けた経験があるらしく、そこから自分を護るためのツールとして肌身離さず身に着けているんだろうなという想像もできます。

 

今作の敵はドクター・ノオ。

両手が義手になっていますが、それぞれの作品における最終的な敵は何かしら身体に障害を抱えているという今後のシリーズの定番は今作より始まっているようです。

そんなドクター・ノオから、今回の事件は巨大な組織スペクターの意思が働いている事が示唆されます。それまでは何を言われても既知であるが故に動じなかったボンドが、初めて冷静を欠く良いシーンです。

その実態は何も分からないまま終わるのは、続編への可能性を持たせる、今なら匂わせとして受け取られるんでしょう。

後のシリーズでは、これが叶わなかった組織もいくつかあるんですよね、ヤヌスとかクォンタムとか…。

 

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Blu-ray版は映像特典満載で嬉しいですね。本編のダイジェストは要らないかな。

『HG ビッグトニー』をパチ組みました。

後の利便を考えて、ところどころパーツが外れていますが、レビューをしているサイトはゴロゴロあるので、興味がある方はそちらで…。

 

商品はコレ。

『サクガン』というアニメ作品に登場するロボットのようですが、1ミリも知らず…。

説明書の作品紹介を見る限り、探検モノってのが珍しいなーと思い、どっかで公開されている原作の小説をチラ読みしたところ、1話の1行目でギブアップしました(笑)。

少女どころか女児キャラを前面に出すような、いかにも深夜アニメ~って感じのノリがキチぃ、かつキメぇ。

ロボットの描写がどんなものか気になったけど、そこに行き着くまで辛抱できなさそうなので、我ながら呆気なく断念。

 

…だったら、どうしてそんなプラモを買ったんだよYO!とツッコまれそうですが……だって安かったんだもん。安いは正義。

ちなみに定価は、ななんと5720円っ…!

昨今のキャラクタープラモを盲目的に買いまくっている人は鼻で笑うんでしょうが、これまで俺ッチが組んだプラモの中で最も定価が高いキットです。

完成品ならまだしも、プラモに5000円以上なんか出さないもの…。

 

で、このキット。

パーツ点数は多いし大きさもまぁまぁあるので、5000円以上してしまうのは仕方ないのかな。

その割に、左右に展開するリトラクタブル(?)ライトにクリアパーツを使ってなかったりとか、腕の袖口にある入り組んだ形状が一体パーツだったりとか、そこは簡略化しちゃダメだろうと思わせる部分もチラホラ。

 

プラモなんだからあって当然だと考えているので、合わせ目に関しては何も気になりません。

ただ、例えば背部リュックサックの脇にあるブースターとか、複雑な形状に合わせ目が来るのはあまり喜べませんね。上腕の挟み込みも、もう少し割り方を練って欲しかったな。

相変わらず、塗装をしてまでプラモを完成させた事がない人による設計なんだろうなと邪推してしまいます。

 

デザイン的には、愛嬌がある重機といった趣がありますね。

そこにキャラクターロボットの要素も加わるせいか、関節へのこだわりが尋常じゃありません。

もうさ、何重関節なんだよと(笑)。

プラモ的な話をすると、この関節は『境界戦機』の主役級ロボの四肢のような片寄せ式で、パーツ単品としては厚みがあまりなく、どれか一つが破損したら致命的です。

このキットは昨今珍しく関節にABS材(絶滅していなかったのか!)を使用しているので、可動に関わる=テンションが掛かるため塗装には細心の注意が必要です。

余談ながら、袋を開けたらABS材のツヤッツヤなランナーが出てきて、ふた昔前のガンプラを思い出したよね(笑)。

 

この膝の関節はかなりのパーツ数で、それぞれが小さめなのでゲート処理が嫌になるだけでなく、組み付けるのも意外に難易度が高い。

これは説明書に問題があるからです。

該当パーツをどの方向から見ているのかも分かりにくいし、組み付けにくい所は捕捉があるものの、目印を教えるアイコンばかりで言葉による説明が一切ないのが不親切に感じました。

 

パチ組みは終えた。そこから塗装をするかどうかはビミョーですね。

パチ組みと言っても、後でバラせるような工作は仕込んでおいたけど、特に膝の関節を構成するパーツ群をバラして組み直すのはチト危険な予感が…。

汚し塗装が似合いそうなデザインなので、汚しデビューを飾るにはもってこいなんだけど、パーツ数の多さに飽きちゃうだろうなぁ(笑)。

 

定価は高いけど、今になればだいぶ安くなりましたね。

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ちょっとコミカルで可愛いデザインですが、プラモとしてはまぁまぁ難易度が高いと思います。

このキットに使われているABS材は、昔のガンプラに使われていたものより弾力があるように感じるので、そう簡単に破損はしなさそうだけど過信は禁物。

つーか、KPSじゃダメだったのかな…?

『HGCE ウィンダム』をパチ組んでいます。

便宜的に“HGCE”としていますが、メーカーに商品紹介ページによれば、正確な商品名は『HG 1/144 ウィンダム』なんですね。

ちょっと推測してみると、初キット化の際は“HG”、リニューアル等でアップデートしたキットは“HGCE”表記になるのかな?

 

…と、相変わらずのどーでも話はさておき、ウィンダムについて。

ライフル&シールドだけでなく、割と大きめなジェットストライカーも付属して1540円という値段に感心したのも束の間、簡易組立方式を採っている上にクリアパーツもないし、HGに相応しくないのはこういうキットなんだよな。

総パーツ数の減量により定価を抑えたい意図は分かるんだけど、それをなくせば一気にクオリティが下がるパーツもあるし、その見極めが素人臭いんだよ。『HGAC シェンロンガンダム』(の肩アーマー)にも近い思いを抱いたっけ。

 

相変わらずKPSのゲート処理は厄介ですね。

特に、

こいつらの処理は大変だったなー。モールドもピンボケ気味だし、毛羽立ちも取りにくい。

嫌な位置にあるゲート、薄いモールドの近くにあるパーティングライン、それらの処理や整形にスゲー時間を割かれます。

安定翼を薄いプラ板に差し替えたいなとも思ったけど、さほど見栄えが良くなるわけでもないのでちょっと削り込んで終わらせよう。

 

まだ組み上げてないけど、パーツを眺めている時点で嫌なパーツ発見。

ジェットストライカー背面の推進用ノズル。

前面にある似た形状は別パーツになってるから良いとして、この背面側は一体ってんだから、こういう所もHG未満。

完成見本では内側を赤で塗ってるけど……これ、どうやって塗り分けるの?

ノズル内側は狭くて深いし、マスキングもチョー大変なだけでなく、塗装も難しそう。塗る順番も頭を抱えます。

塗装した上で完成させた方々は、どう対処されたんでしょう?

 

――といった質問をしたいんだけど、塗装までこなすくらいのモデラーばかりが集まるコミュニティって、なかなか見当たらないんですよねぇ。

ガンプラを話題にするサイトは見た事があるけど、ガンプラという工業製品を取り巻く話ばかりで(よくも飽きずに転売に関する愚痴ばかり)、製作に関する意見交換なんかほぼ皆無。

中級者以上が製作に関する情報を交換し合えるサイトでもあるとありがたいんだけど……どこかありませんかね?

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観ました。

 

エヴァンゲリオン2号機と共に来日したアスカも加えつつ、ネルフと使徒との息詰まる戦いは今なお続いていた。

エヴァンゲリオンのパイロットとして順応していくシンジには仲間や友達も増え、何より父ゲンドウに認められた事を嬉しく思っていた。

しかし、日本で実験中のエヴァンゲリオン3号機が使徒と化し、非情な命令を下すゲンドウに怒るシンジはエヴァンゲリオンのパイロットを拒否、ネルフを去る決心をするが……といったお話。

 

新劇場版ヱヴァンゲリヲン新劇場版の第2作。

前作同様、基本的にはオリジナル版=『新世紀エヴァンゲリオン』に補填や新解釈を加えたリブート作品となっていますが、そう言えるのは今作まで。

万人に通じる普遍性を持った娯楽=エンターテインメントができているのが新劇場版の魅力だったんですが……エヴァンゲリオンを冠する以上、それは無理なんだろうね(笑)。

エンタメできなくたっていいじゃないか、エヴァンゲリオンなんだもの。

 

もちろん使徒との戦闘に関しての苦悩や恐怖は払拭しきれませんが、そんなパイロットとしてのストレスを軽減するかのごとく、今作ではシンジの賑やかな私生活が多く描かれるのが特徴です。前作では対人関係が地獄すぎたからなぁ(笑)。

そもそもシンジは覇気がないだけで、そんな根暗ってわけじゃないんだよね。そして、シンジが明るくなれるのはトウジやケンスケ以上にアスカの存在が大きいからなんだと、つくづく感じさせます。

それでいて、ああまで近寄るなオーラを出している綾波に対してもフラットに接する事ができるんだから、意外にもシンちゃんの社交術レベルは極めて高いのかも…。

 

それなりに充実した生活を送れるようになったシンジの楽しい時間を終わらせるのが、エヴァンゲリオン3号機こと第9の使徒。…いや、正確にはゲンドウさんですね。

シンジどころか、天邪鬼の権化たるアスカすら現状に向き合って素直になり、みんながポジティブになれそうな空気をブッ壊すのも厭わない強心臓っぷりです。どのみち食事会も欠席する腹積もりだったんだろうな(笑)。

これをきっかけに、ゲンドウに対する不信感が頂点に達したシンジはパイロットの義務を放棄。そこから紆余曲折があり、自分にしかできない&やらねばならない事を自覚した上で、自分がエヴァンゲリオンのパイロットである事を宣言するシーンはオリジナル版の時から好きなシーンです。

腰が引けてばかりのヘナチョコ主人公が有事の際に男を見せる姿はカッコ良いし、熱くもなれる……これこそ”男の戰い”ってモンさね!

これを変更しなかったのは大正解。ソウジャナイ感に溢れていた漫画版に流されなくて良かったよ。

 

今作から登場する新キャラ、マリ。

新劇場版のオリジナルキャラという事で、公開前にはずいぶん話題になった記憶がありますが、フタを開けてみれば少なからず見せ場はあるものの、特に爪痕を残すようなキャラには感じませんでした。単独行動が多いせいかな?

何しろ、いかにもアニメ~って感じのわざとらしいセリフ群が好きじゃなくてね。

 

そんなマリはエヴァンゲリオンを操縦しながら『365日のマーチ』を歌い出しますが、まぁ車を運転する際に歌を口ずさむような感覚なんだろうと渋々納得せざるを得ないものの、それに留まらず今作ではやけに昭和歌謡を推すんだよね。

キャラが歌う分には構わないけど、劇伴として使ってしまうのはどうなの?と。

殺伐とするロボット戦にああいう曲を流すという演出は新鮮ではあっても、新鮮という言葉が必ずしも良いものとは限らないんですよ。新しい事をやるのがオリジナル版=『新世紀エヴァンゲリオン』からのお家芸になっている風でもあるけど、これに関しては寒い。

全4作それぞれにそんなシーンがあるなら定番演出として見過ごす事もできるんですが、そんな事をやってるのは今作だけ、しかも2回もやっちまってるのは無駄だよね。JASRACにも余計な金をカツアゲされるんだしさぁ(笑)。

こういうの、作り手側の個人的なマイブームに付き合わされている感じがして盛り上がれないんだよねぇ。ああいうので泣けちゃう人の瑞々しい感性が羨ましいよ。

 

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Blu-ray版の映像特典は、特報やCGのカラクリ等といったものばかりで、スタッフやキャストの肉声は一切ありません。

 

 

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観た、『エヴァンゲリオン新劇場版:序』

観た、『エヴァンゲリオン新劇場版:破』

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を観ました。

 

セカンドインパクトと呼ばれる未曽有の大参事に見舞われた世界。

父ゲンドウに呼び出され、第3新東京市にやってきたシンジは、国防軍が巨大生物と戦っている光景に唖然とする。

迎えに来たミサトに連れられ特務機関ネルフの本部にやってきたシンジは、巨大な人型兵器エヴァンゲリオンを目の当たりにする。先の巨大生物=使徒に対抗し得るのはエヴァンゲリオンだけであり、ゲンドウがシンジを呼び寄せたのもパイロットに任命するため、だたそれだけだった。

嫌々ながらもエヴァンゲリオンに乗り込み、辛くも使徒を殲滅するシンジ。ゲンドウが推進する人類補完計画が着々と進行する中、使徒との果てない戦いを余儀なくされるシンジは……といったお話。

 

日本のアニメ史上に深く爪痕を残す『新世紀エヴァンゲリオン』という作品は本能的なキャラや膨大な設定、随所に散りばめられた伏線、そしてそれらを活かす演出は当時としては新しくも大胆でもあり、確実にアニメの発展を加速させました

なおかつ難解だった『新世紀~』=旧版に対し、もう少し万人向けに、エンタメ性を持たせてリメイクしたのがこの新劇場版、“エヴァンゲリオン”ならぬ“ヱヴァンゲリヲン”シリーズです。

クライマックス、自分の子供を信じてあげて下さいみたいな、まさかエヴァンゲリオンでそんなベタなお涙頂戴劇を見せられるなんて、旧版にハマッていた人からすれば失望すら感じるかもしれませんが、そんな人情話はエンタメこそ基本ですからね。

…と言っても、気楽に見れるのは今作と次作までなんだがな…(笑)。

 

リメイクという事で旧版をそのまま作り直すのではなく、設定や解釈の取捨をしているので、旧版を見ていても新鮮な気分で楽しめます。2015年という年代設定や使徒の固有名詞をを廃したりとかね。

旧テレビ版では、回によってシンジへの接し方にブレがあったミサトのキャラが統一されたのも良かったです。前の回ではシンジ君に優しかったのに、今回はやけに当たりが強くない?ってのがよく気になったので(笑)。

 

旧版のテレビシリーズを観ておけば予備知識を得られますが、本作から見始めても意味不明に思えるところは少ないでしょう。リメイクに伴い解釈の変更もありますが、それらを旧版と比べて改善or改悪と感じるかは人それぞれかな?

逆に、これは変更して欲しかったと思う点もいくつかあります。

手っ取り早いところでは、ゲンドウと綾波が仲睦まじくしている様子をシンジが遠くから眺めるシーン。旧版の時から感じていましたが、ここでの綾波がやたらテンションが高そうで別人感が否めないんですよね。

 

旧版から約10年後に作られたという事で、ビジュアル面は超絶的に進化を遂げています。CGの使用により解像度や精密さが格段にアップし、テクスチャーもアニメ調で違和感が少ないですね。

作画面においても1から作られているという事で、一編の作品として作画のギャップが少ないのがありがたい。テレビ版の総集編式にすると、各話の原画や作画監督の違いにより顔に差が生じてしまうのが引っ掛かるところですが、それが(ほぼ)ないので統一感があります。

 

キャストに関しても、10年間のキャリアを積んだ上で役を再構築した芝居は重みを感じます。さらに、声が老いたと思わせる人も皆無なのは拍手モノです。

中でも三石琴乃さんは、テレビ版の頃にはミサトを演じるにはやや若すぎる→あまりハマッていなかったように感じていましたが、この新劇場版になってようやくミサト役にフィックスするように思えるようになりました。新版の後に旧版を見ると、少々モヤッとするんじゃないかな(わざとらしいセリフのせいでもありますが…)。

交代を余儀なくされる事なく、旧版と同じ役でキャスティングできたのも良かったですね。キャストの変更って荒れる要因にもなり得るものですから…。

 

ところで、エヴァンゲリオンに乗って様々な恐怖体験を繰り返してきたシンジ君ですが……冒頭での、N2地雷の爆発(or爆風)に巻き込まれるシーンは生々しい怖さを感じます…。

 

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Blu-ray版の映像特典は数多のバージョン違いの予告や特報ばかりで、見どころは特にないように思えます。

封入されているリーフレットもトリビア程度の予備知識ばかりで、本編の理解度を深めるような副読本としての機能は特にありません。

これを久々に読み返してみて思い出したのは、第1作がソフト化された=第2作が製作中であろう頃は今作=『~序』に続き、『~破』『~急』『~?』と前4作として作られ、第3作と4作は同時上映と予定されていた事。

この予定が大幅に変更されたのは周知の通りです(笑)。

旧版にハマっていたいい大人も多かったし、「新エヴァを最後まで見ずに死ねない!」と意気込みながらも、志半ばで亡くなった世代の人も少なくないだろうなぁと…。

 

そして、リーフレットには庵野秀明さんのコメントが寄せられていて、旧版の完結後から本作の間の話として、“この12年間でエヴァより新しいアニメ作品はありませんでした”と言及しています。

チト挑戦的な物言いに嫌悪する人も多いんでしょうが(その多くが同族嫌悪なんだろうな)、そこで具体的な作品を挙げられる人はいないでしょう。下手な作品を挙げても程度が知れてしまうし。

日本のアニメ史におけるエポックメイキング的な作品と言えば、70年代の『宇宙戦艦ヤマト』、80年代の『機動戦士ガンダム』、そして90年代の『新世紀エヴァンゲリオン』でしょう。

これらは“アニメでもここまで表現できる”という、いわばアニメの可能性を一気に広げた作品群です。

今やアニメは日照権を得たどころか、ヘタすれば邦画界の救世主に近い存在となり得ましたから、そんな位置にまで到達したのであれば、先の3作品のような革命的な作風はもう不要なんでしょうね。

 

 

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観た、『エヴァンゲリオン新劇場版:序』

観た、『エヴァンゲリオン新劇場版:破』

現在、TOKYO MXで再放送中の『秘密戦隊ゴレンジャー』を観ています。

 

日本各地に支部を持つ国際防衛機構イーグルが、世界征服を企む黒十字軍により壊滅させられる。

各支部で生き残った5人は、とあるスナックに隠された秘密基地に集う。仲間や兄弟を殺された彼らは黒十字軍への怒りを胸に、秘密戦隊ゴレンジャーとなって戦う事を決意する……といったお話。

要約すると、5色の仮面戦士が悪と戦う話です。

 

ここ数年、TOKYO MXで再放送されている仮面ライダーシリーズを観ているんですが、放送当時を想像するに、5色のヒーローの登場はけっこうな革命だったと察します。

仮面ライダーに限らず、それまでに登場した変身ヒーローのそれらと比べると、画面が鮮やかで派手なんですよね。色こそが第1の個性であるヒーローの誕生です。

スーパー余談ながら、カラーコーディネーター等の色に関する勉強をしていると、色が持つイメージにはどんなものがあるかを序盤に学びます。暖色系なら温かみを、寒色系なら冷たさを感じるとかね。

スーパー戦隊は半世紀も世の中に慣れ親しんでいますが、もう50年もやっているんだもん、スパ戦の影響でイメージが変移した色もあるんじゃないかな?

 

で、観ているんですが、当時の変身ヒーローとしては割と没入できる作品に思えます。

ジャリ番全盛期の頃の作品なので、劇として水準以下の話なんかバンバンあるものの(笑)、割と飽きずに見れるんですよ。

ゴレンジャーはヒーローが5人。便宜的にアカレンジャーが座長になっていますが、主役が5人もいるという事でもあります。

それ故、5人のうちの誰をド主役=主人公にした回があっても不自然ではなく、このおかげで変身前のドラマのバリエーションが広がるのがいいんですよ。スパ戦ならではのシステムです。

毎回アカレンジャー=海城剛が良い所を見せて終わるという事がないのも当時としては新鮮だったかもしれませんし、自分の推しレンジャーのフィーチャー回なら普段より真剣に観るという楽しみ方もできますしね。

 

ゴレンジャーどころかスパ戦史上レベルで、世の中における周知度が最も高い戦士と言えばキレンジャーです。大岩大太としての知名度は低いけど(笑)。

後年のスパ戦でもカレー好きな戦士を輩出したがる作品はありましたが、せいぜい一部にしか受けなさそうな描写に留まり、キレンジャーに勝る個性的なキャラはなかなか生まれません。

今、こうして再見してみると、そりゃ後世で語り草にもなるのも当然だと。

キレンジャーに変身=自分を捨ててヒーロー業に集中せねばならない時であっても、誰が作ったかも知れぬカレーが目の前にあったら、わざわざ変身を解いて(!)食べ始めちゃうんだから執着度が半端じゃありません(笑)。

そんなキレンジャー=大岩大太と言えば、どんな状況でも九州弁で喋り、メンバーからも“大ちゃん”と呼ばれるような愛されキャラである点も大きい。

そういえば、この頃にニックネームで呼ばれるのが定着している変身ヒーローっていたっけ?

 

ドラマ面はさておき、時にはド派手に、時にはチャチな(笑)昭和感たっぷりの画ヂカラも目を楽しませてくれます。

『仮面ライダーV3』は爆発シーンの規模が異常にデカい事でも有名ですが、こちらも負けじ劣らじ、火薬量の調節がざっくり過ぎるのか、ちょっとした戦争映画並みの爆発がしょっちゅう出てきます。

近年のヒーロー作品で同じ事をやれとは言わないけど、どうせCGを使うならこのくらいド派手で加減をわきまえない爆発を描いて欲しいですね。

変身ヒーロー作品の魅力(の一つ)は爆破シーンにあり!と言っても過言ではないのです。

 

そんなビジュアルを盛り上げるのは劇伴の役目。

口ずさみやすい程度のメロディラインと絶妙な加減の音量、昨今の作品にはこれが欠けているんですよ。

「5人揃って!」

「ゴレンジャー!」

から『秘密戦隊ゴレンジャー』のイントロが掛かるまでの流れは何回でもシビれます。ここでOP曲『進め!ゴレンジャー』を使うのは違和感があるからイヤっ。

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そんなこんなで、ヘタすりゃ現在放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』より面白いと断言できる準備ができています(笑)。

カタルシスの質が違うのは分かるんだけど……そろそろ面白くなり始めてくれませんかねぇ『~ゴジュウジャー』よ…!

いい歳になって残り時間の使い方を冷静に考えてみれば、このペースでは生きているうちに消化できない物がゴロゴロあるんですよ。手っ取り早いところではガンプラね。

 

嫌いな言葉は“断捨離”だったものの、いよいよその辺の処分を始めなきゃなぁと思い、今年になってYahoo!オークションを始めてみたんですよ。

 

出品はまだ5回にも満たないんですが、システムやバックアップもしっかりしているせいか、相手をお客“様”として扱わなきゃいけないような空気感は、1ミリの不手際も許されないようで未だに緊張します。

個人間の取引というより、ガッツリお店をやらされているような感覚です。

 

そして、お店をやっているからには客は選べないのも当然で。

落札を終えて入金してもらったので、お礼と品物の到着までお付き合い願いますといった旨のメッセージを送ったところで、翌日になっても無反応。

初めはお礼も兼ねたちょっとしたオマケも同梱しようと考えてたけど、最初から感じ悪いのでイラッとして止めたよね(笑)。コミュニケーション能力ないのかよと。

発送した旨のメッセージを送ってもやっぱり無反応なので、1秒でも早く品物が到着→出品者評価を下してもらって、さっさとこの件を終わらせて欲しいと願ってたくらい。

 

これに比べると、ヤフオクより前にやってたジモティーはかなり気楽に、気分の良い取引ができた印象が強いです。

もちろん防犯対策もできていますが、規約だらけでギチギチのヤフオクに比べると、もう少しユルいやり取りができるのが好きです。

ジモティーも取引者間でやり取りをできる機能があり(画像も送れるのがありがたい!)、けっこう私語を交わせる空気感があるんですよね。いい人ばかりが来てくれたんだろうな。

 

俺ッチ自身、状態に関してスゲーうるせーので、相手にそんな思いはさせたくないという気持ちから、状態に関して気になる点をあらかじめ伝えた上で可能な限りクリーニングして、手書きのメッセージを添えて梱包して発送。

品物が到着した旨の連絡の中で、その辺の気遣いを評価してもらって、言葉で伝えてもらえるのが本当に嬉しくてね。

 

これに対しヤフオクはと言えば、保管状態の維持や梱包にそれなりの配慮を以て発送しても、リアクションと言えば☆の数と定型文のお礼ってんだから事務的すぎやしないかと(笑)。

出品者も落札者も場数を踏むほどに、その辺のやり取りが億劫になる気持ちも分かるんだけどね。相槌くらいは打てよと思うけど。

 

自分と同じ有志に使ってもらいたいという思いなんて無駄、ヤフオクとは限りなくビジネスに近いやり取りの場なんだなぁという事を学びました。

愚直にやってるから虚しくなるんだよと説く人もいるでしょうが、俺ッチは止めねぇぜ。

 

まぁ、ヤフオクにしろジモティーにしろ、そうではない人もいるんでしょうが、現時点で俺ッチの心象はそんな感じです。

今後もDVDやプラモを出す予定ですので、俺ッチだと気付けた際はよしなに…。

『ハンニバル』を観ました。

 

FBIのクラリスが指揮を執る麻薬捜査の最中、部下の突出により銃撃戦に発展。クラリスは多数の犠牲を出した責任を問われる。

その事件の顛末を知った大富豪メイスンはクラリスを自宅に招く。精神病院に収監されるレクターの犠牲者であり、今でも深い恨みを抱くメイスンは、クラリスにレクターの追跡を依頼する。

当のレクターは10年前に精神病院を脱走し、フェル博士と名乗りながらイタリアのフィレンツェに身を潜めていた。

レクターがよこした手紙から現在はフィレンツェに潜伏していると推測したクラリスは、地元の刑事パッツィと連携して捜査を進めるが……といったお話。

要約すると、クラリスがレクターへの復讐を図る大富豪に協力させられる話です。

 

前作『羊たちの沈黙』の続編です。

かつ、強烈なインパクトを残したレクター博士にスポットライトを当てた、ちょっとしたスピンオフ作品に見えなくもありません。

レクター博士と言えば、紳士的な振る舞いで医師としての博識な面を持ちながら、人肉を食らう殺人鬼でもある裏の顔とのギャップが大いに受けただけでなく、後に猟奇殺人モノが激増する引き金ともなった、映画史に残るレベルのキャラです。

後年、さらなる続編が多々作られたのはその証左でもあるんですが、スピンオフの度が過ぎているのは商業主義が色濃すぎて嫌な風潮です。どうせクラリスなんか出てないんだろう?

 

そんなレクター博士が今作ともなると、まるでホラー映画のモンスターに近付いてしまっているのは、チトやりすぎ感が否めません。そこまでやらなくても、とっくに怖い(というかアブない)人なのはよく分かってますから!

意外に腕力もあり、相手との力量差はハンカチに染み込ませた麻酔剤でフォロー。低カロリーで相手を即死させられる技術も、医者としての知識が豊富である証左です。

そして極め付けのクライマックスの晩餐は、初めて観た時は気持ち悪すぎて泣いたよね(笑)。今回の久々の再見で、内容は知ってたから多少の耐性はできていたものの、何回見ても引くシーンです(これのおかげで何度も観るような映画ではなくなる…)。

あんな風になったメイスンのアップも多すぎだし、今作はグロ度数が高めで下品に思えます。

 

前作の事件から10年後という設定ですが、公開時期も10年後というリアルタイム感もいい演出です。

今作ではジョディ・フォスターさんに代わり、ジュリアン・ムーアさんがクラリスを演じていますが、これはこれで受け入れられます。

女優としても10年のキャリアを積んだジョディさんのクラリスも見たかったけど、ちょっとホラー風味が強くなった今作には合わなかったかも?

 

前作ではFBIの新米捜査官という事で、どこか少女感が漂っていたクラリスですが、そこから10年のキャリアを経たベテランに見えるのもいい。

レクターを担当する看護師だったバーニーとのやり取りで、バーニーは当時の話をしたがらず虚偽の証言を繰り返しますが、そう来るのは分かっているかのように相手の2手3手先を読んだ上で証拠を突き付けるのもクールで、成長の度合いが伺えます。ムーアさんに代わったのも効果的です。

 

にしても……あんな状況であっても豪奢な暮らしができるレクター博士、金持ってんなぁ…。

 

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Blu-ray版の映像特典は予告編のみというチープ仕様。

吹替版を収録している分マシな方なのかもですが。

 

 

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観た、『羊たちの沈黙』

観た、『ハンニバル』

『ザ・セル』を観ました。

 

セラピストが相手の精神に入り込むという、実験的な治療を行っている医療施設キャンベル・センター。キャサリンは未だ昏睡状態に陥ったままの少年を回復させられず、気落ちしていた。

その頃、FBIのピーターは女性を誘拐した挙げ句に溺死させる連続殺人犯カールの捜査を続けていた。新たに誘拐されたジュリアの行方を追うピーターはカールの潜伏先を発見。しかし、カールはなぜか昏睡状態に陥ったまま倒れていた。

カールをキャンベル・センターに運び込んだピーターは、例の治療方法を用いてジュリアの居所を探りたいという。

ピーターの依頼を受けカールの精神に侵入するキャサリンだったが、想像を絶する悪夢のような光景に耐えられず……といったお話。

 

監督であるターセム・シンさんと言えば、見とれてしまう風景が多々続く『ザ・フォール/落下の王国』を思い出します

公開順では本作が先ですが、『ザ・フォール~』の作風に繋がる片鱗が既に見えていますね。

妖しく不気味でありながらも美しい風景やセットで魅せる深層世界は、確実に本作の見どころです。

かつ、ホラー映画のような、これは年齢制限を設けた方がいいんじゃない?と思わせるようなショッキングなシーンも多めです。MRIを実際にやっちゃうなんて…!

 

そんな深層世界ばかりに目が行ってしまいますが、本来のお話は犯人捜しの刑事モノ。

本作は2000年の作品で、この頃にもなると映画における猟奇殺人犯の過激度はかなり高まっていて、本作のカールもその中の一人です。

幼少期の辛い体験が精神を歪ませてしまったのは分かるにしても、そこまでおかしくなるかね?と(笑)。

ガラスで密閉された檻=セルに誘拐した女性を閉じ込め、水を流し込んで溺死させた上で漂白するという異常っぷり。

極めつけは自分の背面にフックがあり(!)それらを鎖に繋いで自分を吊り上げるという、ここまで来ると幼少期のトラウマがどうこうという酌量の余地は与えられません(笑)。

カールとはそんな人ですからね、深層世界に侵入するも胸クソ悪くて一時退却せざるを得ないキャサリンの気持ちもよく分かります。

 

他人の精神に入り込む治療が本作のキモで、チト現実からかけ離れたSFっぽさもあります。

まぁ、仮にこれがなかったとしても、カールという異常っぷりはなかなかのものですから、そこまでの凡作にはならなかったかもですが。

ここで、治療に使う機械や原理についてそこまでタラタラ解しないのは正解ですね。「その理屈には現実味がない!」とか言い出すバカは必ず湧いてくるものですから…。

 

主人公キャサリンをを演じるのはジェニファー・ロペスさん。どちらかというと歌手としての周知度が高い人に思えますが、未だコンスタントに女優業もこなしているんですね。

本作では特異な世界で突飛な衣装に身を包み、けっこう好演しているように思えます。

そして、犯人であるカールを演じるのは“ほほえみデブ”で有名なヴィンセント・ドノフリオさん。

こちらも奇怪で醜悪な風貌の役を演じていますが、

 

深層世界に入り込む時に着用する、まるで筋肉の筋を表現したかのような専用着は『ドラキュラ』('92)の冒頭でドラクルが着けていた鎧を思い出しますね。

なるほど、石岡瑛子さんがデザインを担当しているんだから、それもそのはずです。

横たわったまま宙吊りにする画も、かなりのインパクトがありますね。

 

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Blu-ray版の映像特典はメイキングや未公開シーン集。

こだわり抜いているであろう画作りには暗喩を多分に含んでいそうだし、監督による音声解説は興味を持てますね。

 

ところで、本作には密かに続編があったようで…。

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原題も『The Cell 2』なので、日本の配給会社によるテキトーな邦題ではない、れっきとした続編のようです。

…が、こちらが話題になった記憶もなければ前作のスタッフ&キャストの名も見当たらないので、まぁその程度の作品なんでしょう。

とは言え、映画として世の中に現れたんですから、シリーズ作と思わなければ、あるいは楽しめるかもしれませんね。俺ッチは1ミリの躊躇いなくスルーしますが…。