『私の中のあなた』を観ました。
サラとブライアンの子としてフィッツジェラルド家に生まれた長女ケイト、長男ジェシー、そして次女アナ。
ある日、弁護士キャンベルは、なけなしの金を持ってやってきたアナの依頼内容を聞いて驚愕する。
白血病を患ったケイトに適合する血液や臓器を分け与えるため、遺伝子操作によって生まれたアナは大好きなケイトを救うため、産まれてから11歳の今日まで幾多の苦痛に耐えてきた。
そんなアナが自分の体を守るため、これ以上の臓器提供を拒否しようと両親を訴えたいというのだ。
これを機にフィッツジェラルド家に生じた軋轢、特にケイトを救うため全力を注いできたサラにとっては寝耳に水で、休職していた弁護士に復帰してまでキャンベルやアナと戦おうとする。
自分が臓器の提供を拒めばケイトの死が近付く事を知りつつも、アナが下した決断とは……といったお話。
要約すると、姉のドナーとして生きる事を拒否した妹が両親を訴える話です。
…といった粗筋を一読しただけで胸クソ悪くなる人も少なくないんじゃないかな?
産まれた子が大病を患ったとして、血液型やら何やらで適合するドナーがなかなかいない、だったら遺伝子操作であろうが新たに子供を作って、その子をドナーにすればいいじゃん?といった考えなんですから…。
アナも自虐していましたが、つまりは人体のスペアパーツになるために創られた命なんですよ。
医者が可能性としての提言をしたとしても、それを鵜呑みにして新たな命を創るには、よっぽど人間としてのモラルをかなぐり捨てなきゃできません。
本作の発端はケイトに訪れた不幸だけではなく、モラルハザード気味の夫婦の鬼畜気味な発想にあるのです。
あまり話題に上がらない作品ですが、ヤフコメ民あたりには食い付きが良さそうなお話です(笑)。
ケイトを救いたい気持ちはブライアンよりサラの方が圧倒的に強く、そのためなら結果としてアナを犠牲とする事も厭わない(だからってアナに対し憎悪の感はない)。
子供が二人以上いたとして、それらを平等に愛しているとか言ってしまうのは平凡なファミリードラマですが、それはおそらく綺麗事です。
親が子供を愛するのは当たり前とは言え、複数いる子供らを平等に愛するのってスゲー難しいんじゃないでしょうか? しないように心掛けても、贔屓はどうしても生じるんじゃないかなと思うんですよ。
一見すればサラこそが諸悪の根源に見えがちですが、二人以上の子供を抱える親の立場で見れば、現実で口に出しちゃいけない本音を体現しているとして共感を得られる……かな?
独善的な人間ばかりが登場する愛憎劇にも思えるストーリーに思えますが、実際に登場するキャラはみんな優しい人ばかりで、悲しすぎる話に温かみを与えてくれます。
得てして法定絡みの作品にはギラギラしたキャラが多いものですが、アナの弁護を引き受けるキャンベルや、半年前に娘を亡くした判事のデ・サルヴォらに打算はなく、あくまで人間の情に基づいた仕事ぶりを見せてくれるのが良いんです。そこまでのキーパーソンではないけど、この2人は人間味があって好きです。
主には若い人に向けているんでしょうかね、随所にある抒情的なシーンに流行り歌を流しちゃうのが軽っりぃな~と感じます。時系列をゴチャつかせる小細工もチト無粋。
重いテーマを扱っているんだから、もっと直球勝負で万人が楽しめる見せ方にした方が良かったのにな。
女子供に媚びてお洒落ムービーを気取らなくてもいいんですよ。
サラを演じるのはキャメロン・ディアスさん。
かつてはメグ・ライアンさんに次ぐロマコメ女王のポジションにあったキャメロンさんですが、歳を取りながら出演作も増え続け、演技派にシフトしてきた頃の作品です(ちなみに2009年の作品)。
懐かしさすら感じるジェイソン・パトリックさんや、貫禄が付いたアレック・ボールドウィンさん、個人的に巧いと感じたジョーン・キューザックさんといったベテラン勢が脇を固めているので、若くない人にも見どころがあると思います。
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Blu-ray版の映像特典はメイキングや未公開シーンを収録。
未公開シーンの中にある、ブライアンに抱っこされるくらいに幼いアナが手術を嫌がるシーンは心苦しすぎる…!



























