#4のコントですが、独立しているので、

#1~#3を読んでいなくても楽しめます。

 

ちなみに、#1はこちら

#2はこちら

#3はこちら

 


 

(浦島の前でタイやヒラメが舞い踊っている)


浦島
「いやー、すばらしいすばらしい。
 本当にすばらしい舞だ。」

女中
「(食事を持ってくる)こちら、お食事です。」

浦島
「あ、ありがとうございます。
 こんなすばらしい舞においしい食事まで。」

女中
「いえいえ、亀を助けていただいたお礼ですから。」

浦島
「なんかすみません。
 いやー、いつまでも楽しめるなー。」

女中
「では、ごゆっくり(立ち去る)。」

浦島
「いやー、本当にすばらしい舞だ。」
 



女中
(厨房に向かって歩いている)

乙姫
「(女中に手招きして)ちょっと!ちょっと!」

女中
「あ、乙姫さま。(乙姫の元に駆け寄る)」

乙姫
「どうだった?」

女中
「全然、帰る様子ないですね。」

乙姫
「故郷を気にする様子は?」

女中
「全くです。」

乙姫
「ホント、いつまでいる気?
 ここに来てからもう10万年よ?」

女中
「全然飽きる様子ないですね。」

乙姫
「いや、普通の浦島太郎なら、700年くらいで故郷が気になって帰るものよ。
 10万年って!大陸の形が変わるレベルの年月よ。」

女中
「逆にいうと10万年見てられる舞ってことですね。」

乙姫
「いや、ずっと同じ動きの繰り返しよ。
 5分もすれば飽きるわよ。
 10万年って!生物が独自の進化を遂げるレベルよ。」

女中
「よっぽど娯楽のない村だったんでしょうね。」

乙姫
「タイやヒラメは?
 体力大丈夫?」

女中
「3チーム交代制で24時間舞ってもらってます。
 動きが単調なんで、この作戦なら続けていけるかと。」

乙姫
「とりあえず、それとなく帰るようにほのめかしてみて。」

女中
「やってみます(浦島の元に向かう)。」

乙姫
「それとなくお願いね。」

 



浦島
「いやー、見てられる。いつまでも見てられる。」

女中
「こちら、おつまみです。」

浦島
「あぁ、ありがとうございます。
 女中さん、見てください、この舞い踊り。
 いつまでも見てられますよ、」

女中
「そうですか、それはよかったです。」

浦島
「いやー、何万年でも見てられるな。」

女中
「(小声で)実際見てますけどね。
 あ、浦島さん。」

浦島
「はい?」

女中
「そろそろ・・・どうですか?」

浦島
「・・・どうって?」

女中
「ねぇ、ほら・・・。
 もうずっとこうやって・・・、ねぇ、見てるわけですから。
 どうですか?」

浦島
「えーと、ごめんなさい。何ですか?」

女中
「そろそろ、アレじゃないですか?
 ほら・・・、どうですか?」

浦島
「ごめんなさい。
 何を言いたいのか・・・。」

乙姫
「(少し離れた柱の陰から)ちょっと!ちょっと!」

女中
「(乙姫に気づいて)あ、すみません。
 ごゆっくりどうぞ(乙姫の元に向かう)。」

浦島
「いやー、いつまでも見てられるな。」

 

 

 



女中
「(乙姫の元にやってくる)何ですか?」

乙姫
「日本人の悪いとこ出てる。」

女中
「出てました?」

乙姫
「確かに『それとなく』とは言ったけど、全然それとなくない。」

女中
「いや、それとなくなくないですか?」

乙姫
「それとなくなくなくない!」

女中
「それとないつもりだったけど・・・。」

乙姫
「もうこれを渡して帰ってもらいましょう(女中に玉手箱を渡す)。」

女中
「あ、玉手箱。」

乙姫
「これを強引に浦島さんに渡して。」

女中
「わかりました(浦島の元に向かう)。」

 

 

 



浦島
「(舞い踊りを見ながら)なに、この踊り。
 マジでいつまでも見てられるんだけど。」

女中
「(浦島の元にやってくる)浦島さん。」

浦島
「はい。」

女中
「(玉手箱を浦島に押し付ける)これ、どうぞどうぞ。」

浦島
「(玉手箱を女中に押し戻す)いや、困ります、こういうのは。」

女中
「いや、いいですから(玉手箱を浦島のふところに入れようとする)。」

浦島
「すみません。いただけません。」

女中
「まぁまぁまぁ、何も言わずにもらってください。」

浦島
「ホントそういうんじゃないんで。」

女中
「まぁまぁまぁ・・・。」

浦島
「いやいやいや・・・。」

乙姫
「(少し離れた柱の陰から)ちょっと!ちょっと!」

女中
「あ、すみません。
 ごゆっくりどうぞ(乙姫の元に向かう)。」

浦島
「(舞い踊りを見ながら)いやー、見てられるなー。」

 

 

 



女中
「(乙姫の元にやってくる)どうしました?」

乙姫
「また出たわよ、日本人の悪いとこ。」

女中
「出ました?」

乙姫
「もういいわ。私が直接言う。」

女中
「乙姫さまが自ら?!」

乙姫
「浦島さん、とうとうあたしを本気にさせたわね(浦島の元に向かう)。」

女中
「逆に10万年間、本気じゃなかったんですね。」

 

 

 



浦島
「(舞い踊りを見ながら)なんでこんなに見てられるんだろ。
 人間の深層心理に働きかける何かがあるのかな。」

乙姫
「(浦島の元にやってくる)浦島さん。」

浦島
「あ、乙姫さん。
 見てください、この舞い踊り。
 ずっと見てられますよ。」

乙姫
「知ってます。ずっと見てますから。」

浦島
「乙姫さんも舞い踊りをずっと見てるんですね。」

乙姫
「いえ、舞い踊りを見てる浦島さんを見てるんです。」

浦島
「で、何ですか?」

乙姫
「最近、この近辺の地上では魚の水揚げ量がほぼゼロに近い状態なんです。」

浦島
「お話し中すみません。
 舞い踊りを見ながらでもいいですか?」

乙姫
「どうぞ。耳だけこちらの話を聞いていただいて。」

浦島
「ありがとうございます。
 (舞い踊りを見ながら)いやー、見てられるな。」

乙姫
「浦島さんがこちらに来てからこの辺りの水揚げ量が少しずつ下がってきたのですが、先日ついにゼロに。
 何故だかわかりますか?」

浦島
「(舞い踊りを見ながら)いやー、見てられる。
 見てられる、いつまでも。」

乙姫
「お察しのとおり、浦島さんがこの近海の魚を全部食べちゃったからなんです。」

浦島
「(舞い踊りを見ながら)ちょっと角度を変えてみてみたら、もっと見てられるかもしれない(少し左に移動する)。」

乙姫
「浦島さん、わかります?
 浦島さんがここに来て、生態系に影響が出てるんです。」

浦島
「(左から舞い踊りを見ながら)あー、この角度からも見てられる。
 いつまでも見てられる。」

乙姫
「それと知ってます?
 地上では浦島さんの捜索に懸賞金が出てるんですよ。
 テレビ公開捜査スペシャルでも呼びかけられてるんです。」

浦島
「(中央から舞い踊りを見ながら)あ、でも、最初の角度からでも十分見てられるなー。
 左も捨てがたいけどね。」

乙姫
「ちなみに、亀をいじめてた子供たちが最後に浦島さんを見た目撃者ということで、懸賞金をもらうみたいですよ。
 あの子供たち、浦島さんからお金もらった上に、懸賞金までもらう気なんですよ。」

浦島
「(立ち上がって舞い踊りを見ながら)まさかと思うけど、右から見てもいつまでも見てられるってことないよね?」

乙姫
「浦島さんっ!!」

浦島
「わっ!すみません。
 舞い踊りをいつまでも見てました。」

乙姫
「知ってます!
 お願いです!帰ってください!」

浦島
「え?」

乙姫
「亀を助けたお礼として浦島さん、ここに来ましたけど、
 あの亀をいじめッ子から助けた人って、他にも何人もいるんです!
 浦島さんがここにいると、その人たちが竜宮城に来れないんです!」

浦島
「いじめられっ子体質なんですね、あの亀。」

 

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

「浦島太郎が帰らない」の設定から広げていきました。

書いてる最中に浦島太郎の「いつまでも見てられるなー」のセリフが面白くなってきて、

それしか感想を言わないという展開にしました。

 

【上演メモ】

人数:3人

浦島

乙姫

女中

 

所要時間:5分~6分
上演難易度:★★☆☆☆
備考:何度か場面転換がありますが、舞台の上手下手を使い分ければ問題ないと思います。

タイやヒラメの舞い踊りは舞台上で演じてもいいですし、セリフだけでカバーすることも可能です。

今回も一番のネックは衣装ですね。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】試着室
【お題コント】サザエさん#2
【コント】モナリザ
【コント】天使と悪魔の2択の話
【お題コント】栗

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

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