(財布が落ちている。)



澤野
「(通りかかる)あ、財布だ。」



(澤野、財布を拾う)



澤野
「交番に届けるか・・・?
 いや、ネコババ・・・?
 落とした人、困ってるだろうなぁ・・・。
 でも、今月、厳しいしなぁ・・・。
 うーん・・・どうしたらいいんだ!?」



ポン!(天使が現れる。)



天使
「届けなきゃダメです!
 困っている人がいるはずです!」


澤野
「そうだよな・・・。
 届けなきゃダメだよな。」



ポン!(悪魔が現れる。)



悪魔
「何をやっているんだ!
 誰も見ていないんだ!
 そんなもの、盗ってしまえばいいんだよ!!」


澤野
「確かに。
 落とした人には悪いけど、盗っちゃってもいいかな。」


天使
「でも、困っている人が・・・。」


澤野
「いや、お金もそんなに入ってないし。
 これなら落とした人も困らないんじゃないかな。」


天使

「え・・・。
 でも、カードとか入ってたら困る人が・・・。」


澤野
「カードも入ってないね。
 これなら、盗っても大丈夫じゃないかな・・・。」


天使
「でも・・・。」


悪魔
「誰も困らないんだ!
 盗ってしまえ!!」


澤野
「そうだよ。
 困る人がいないんだから・・・。」


天使
「でも・・・、盗っちゃいけない気が・・・。
 うーん。困る人がいないのなら・・・。
 あぁ・・・、どうしたらいいんでしょう?!」



ポン!(もう一人、天使が現れる。)



天使の中の天使
「困ってる人がいないからってネコババはダメです!
 いくら少なくても、その人にとっては大切なお金です!」


天使
「そうですよね。
 自分の価値観だけで少ないとか決め手はダメですよね。」



ポン!(もう一人、悪魔が現れる。)



天使の中の悪魔
「何を言っているんだ!
 お前だって、少ない額だと思っているのだろう?
 だったら、持ち主も少ないと思っているさ!
 盗ってしまえばいいんだよ!」


天使
「確かに少ないと思いましたが・・・。」


天使の中の天使

「額の問題じゃないでしょう?
 その人は必死になってこの財布を探しているかもしれません。」


天使

「そうですよ。
 少なければ盗っていいというわけではありません。
 (悪魔に向かって)交番に届けるべきです!!」


悪魔
「何を言ってる?
 それに交番は遠いぜ?
 その労力を考えたら、盗ってしまった方がはるかに楽だぜ。」


澤野
「あ、おまわりさんがパトロールしてる。」


天使
「ほら、届けましょう。」


澤野
「確かに交番は遠いけど、おまわりさんが近くにいるのなら、届けてもいいかな。」


悪魔

「でも・・・、労力を考えたら・・・。
 しかし、すぐそこに警官はいるわけで・・・。
 あぁ!どうしたらいいんだ!?」



ポン!(さらに悪魔が現れる。)



悪魔の中の悪魔
「労力なんてどうでもいい!
 要するにお金が入るか入らないかだ!
 お金が欲しくないのか?!」


悪魔
「ほしい!
 決めた!ネコババだ!」



ポン!(さらに天使が現れる。)



悪魔の中の天使

「交番に届けても、落とし主が現れなければ拾い主のものになります。
 ネコババしなくても、お金が入る可能性はありますよ。」


悪魔の中の悪魔
「でも、落とし主が現れたらソイツのものだ!
 結局、一銭も入らないんだぞ?!」


悪魔

「そうだよ!
 ネコババなら確実に金が入る!
 (天使に向かって)ネコババだ!」


天使天使の中の天使悪魔の中の天使
「届けましょう!!」


悪魔天使の中の悪魔悪魔の中の悪魔
「ネコババだ!!」


天使天使の中の天使悪魔の中の天使
「届けましょう!!」


悪魔天使の中の悪魔悪魔の中の悪魔
「ネコババだ!!」


澤野
「うるさーーーい!!」


天使悪魔たち
「!!」


澤野
「なんだよ、耳元で大人数で!!
 っていうか、何でこんなにいるんだよ?!」


天使

「いや、何でって言われても・・・。」


悪魔
「いろいろあって、これだけ出てきちゃって・・・。」


澤野
「天使と悪魔はまぁわかるよ。
 (天使の中の天使に向かって)君は何?」


天使の中の天使
「私?私は天使の中の天使です。」


澤野

「『天使の中の天使』?
 それは何?『男の中の男』みたいなもの?」


天使の中の天使
「いや、そういうわけではないんですけど・・・(照)。」


天使の中の悪魔
「何、照れてんだよ。」


澤野

「(天使の中の悪魔に向かって)君は?」


天使の中の悪魔
「オレは天使の中の悪魔だ。」


澤野
「んー。よくわからないけど、東ドイツの中の西ベルリンみたいなもの?」


天使の中の悪魔
「申し訳ない。
 よくわからん。」


澤野
「(悪魔の中の悪魔に向かって)君は悪魔の中の悪魔ってことでいいのかな?」


悪魔の中の悪魔
「その通り!
 お前たちをろう人形にしてやろうか?!」


澤野
「あー。悪魔だ。間違いない。
 (悪魔の中の天使に向かって)君が悪魔の中の天使?」


悪魔の中の天使
「いかにも!
 お前たちをろう人形にしてやろうか?!」


澤野
「君もそれ言うんだ。」


悪魔の中の天使
「ろう人形がイヤなら、浪人生にしてやろうか?!」


澤野
「ろう人形にも浪人生にもなりたくないけどさ・・・。」


悪魔

「申し訳ない。
 父はキャラを模索中だ。」


澤野
「父?」


悪魔の中の天使
「父です。」


悪魔の中の悪魔
「母です。」


澤野

「あ、ご家族で・・・。
 っていうか、天使である父と悪魔である母から悪魔が生まれたんだ。」


悪魔
「そういうことだ。」


澤野
「丸えんどう豆とシワえんどう豆をかけあわせたら丸えんどう豆ができたみたいなもの?」


悪魔
「申し訳ない。
 よくわからん。」


天使
「とりあえず、これだけいるんで、
 財布をどうするか多数決をとったらどうですか?」


悪魔
「多数決か。」


澤野
「財布を交番に届けた方がいいと思う人!」



(天使、天使の中の天使、悪魔の中の天使、手を上げる。)



天使
「3票です!」


澤野
「財布をネコババした方がいいと思う人!」



(悪魔、天使の中の悪魔、悪魔の中の悪魔、手を上げる。)



天使
「3票です!」


澤野
「そりゃ、天使3人、悪魔3人だもん。こうなるよな。」


悪魔
「じゃあ、天使の中の天使と天使の中の悪魔、そして、悪魔の中の天使と悪魔の中の悪魔。
 この4人がさらに天使と悪魔を呼び出して、
 もう一度多数決をとってみたら?」


天使

「あ、それいいですね。」


澤野
「いや、それだと、天使と悪魔が4人ずつ増えるだけじゃないか?」


天使の中の天使
「いきます!(目を閉じて念じる・・・)」



ポン!(天使が出てくる)



ポン!(悪魔が出てくる)



澤野
「ほら・・・。」


天使の中の悪魔
「天使の中の悪魔、いきます!(目を閉じて念じる・・・)」



ポン!(天使!)



ポン!(悪魔!)



澤野
「やっぱり、予想通り・・・」



ポン!(さらに悪魔!)



澤野

「!!」


悪魔
「おぉ!!悪魔が1人リードした!」


悪魔の中の天使
「父、いきます!」


悪魔の中の悪魔
「お父さん、がんばって!」


澤野
「いや、あなた悪魔陣営なんだから、天使を応援しちゃダメでしょ!」


悪魔の中の天使
(念じる・・・)



ポン!(天使!)



ポン!(悪魔!)



ポン!(さらに天使!!)



天使
「やりました!これで同数です!!」


悪魔
「お袋。あんたにかかってるからな。」


悪魔の中の悪魔
「わかった。絶対、悪魔出すから。応援してね、ノボル!!」


澤野
「あ、この悪魔、ノボルっていうんだ。」


悪魔
「本名で呼ぶなって言ったろ!!」


悪魔の中の悪魔
(念じる・・・。)



ポン!(天使!)



ポン!(悪魔!)



澤野

「次はどっちが出る?!」


天使
「天使です!」


悪魔
「悪魔だ!!」


澤野
「・・・!」


天使
「・・・!」


悪魔
「・・・!」


悪魔の中の悪魔
(念じる・・・。)



ポン!(シワえんどう豆!)



全員
「なんでだよ!!」


天使
「なんか、えんどう豆食べたくなってきました。」


悪魔
「これだけ人数いるんで、一部屋借りて飲み会とかどう?」


澤野

「お金は?」


全員
「(澤野が拾った財布を指さし)あるあるあるある~!!」


澤野

「足りるかな?」


悪魔

「全部で何人いる?」


天使
「人間1、天使8、悪魔8、シワえんどう豆1。合計18。」


澤野
「足りないなぁ・・・。」


悪魔
「まぁ、最悪、居酒屋までの道でまた財布拾って、ネコババすれば・・・」


全員
「かしこーい!」


澤野
「よし!全員、財布を探せ!
 見つけたら私に報告!お金が集まり次第、飲み会だ!」


全員
「はーい!!」








【コント・セルフ・ライナーノーツ】

天使と悪魔+αというのはコントの王道ですが、

天使と悪魔の中にさらに天使と悪魔が出てくるというパターンを作ってみました。


設定が浮かぶとたいてい、いろんなアイディアが出てきて、それをつなぎ合わせて作るという流れて作っているのですが、

今回はなかなか思いつかなかったので、ゆっくり練って作ったコントです。


丸えんどうとシワえんどう、人生で初めて役に立ちました。




にほんブログ村 お笑いブログ 自作面白ネタへ
にほんブログ村


お笑い&ジョーク ブログランキングへ