モナリザ
(ポーズを決めたまま動かない)

ダヴィンチ
(絵を描いている)

モナリザ
「・・・。(動かない)」

ダヴィンチ
「・・・。(絵を描いている)」

モナリザ
「・・・ダヴィンチ先生。」

ダヴィンチ
「(絵を描きながら)・・・ん?」

モナリザ
「一つ聞いていいですか?」

ダヴィンチ
「(絵を描きながら)ダメ。
 今、集中してるから。
 後にして。」

モナリザ
「いや、今、聞いて欲しいんです。」

ダヴィンチ
「・・・今?」

モナリザ
「はい。」

ダヴィンチ
「(筆を置いて)・・・ひとつだけだよ。」

モナリザ
「すみません。」

ダヴィンチ
「・・・で、何?」

モナリザ
「・・・昨日から気になってたんですけど・・・。」

ダヴィンチ
「うん。」

モナリザ
「・・・あそこの人なんですけど。」


(モナリザとダヴィンチから数m離れたところで
 キャンバスを広げ、2人を見ながら絵を描いてる男がいる。)


ダヴィンチ
「(男を見て)あ、あぁ。」

モナリザ
「・・・誰ですか?」

ダヴィンチ
「画家のたまごらしい。

 昨日、突然、私のところにやってきたんだ。

 『絵を描かせてください』って。」

モナリザ
「絵を?なんの絵を?」

ダヴィンチ
「『ダヴィンチがモナリザの絵を描いている風景』の絵を描きたいそうだ。」

モナリザ
「何ですか、それ。
 何ですか、その玄人向けの題材。」

ダヴィンチ
「モナリザの絵は絶対、後世に残る傑作になるから、
 その絵を描いているところも絶対、後世に残るはずだと言って聞かなくてな。」

モナリザ
「(立ち上がり)いや、完全に人のふんどしで相撲をとろうとしてるじゃないですか!」

画家のたまご
「あぁ!動かないで!」

モナリザ
「すみません・・・。(座る)
 (小声で)こんなヤツ、アトリエに入れちゃダメですよ。」

ダヴィンチ
「後世に残る傑作って言われたら、悪い気はしないだろ。」

モナリザ
「何ちょっとまんざらでもない感じになってるんですか。」

画家のたまご
「先生、もうちょっと体を左に向けてください。」

ダヴィンチ
「おぉ、すまんな。」

モナリザ
「言うこと聞かなくていいですよ。」

ダヴィンチ
「いや、絵のモデルの経験ないから、緊張してしまって・・・。」

モナリザ
「完全に意識してますね。」

ダヴィンチ
「そんなことないよ。」

モナリザ
「だから先生、今日タキシードなんですか?」

ダヴィンチ
「いや、わたし、いつも絵を描くときはタキシードだよ?」

モナリザ
「どこにそんな画家いるんですか。
 昨日、作業服にベレー帽だったじゃないですか。」

ダヴィンチ
「昨日までタキシード、クリーニングに出してたんだよ。」

画家のたまご
「先生。」

ダヴィンチ
「何?」

画家のたまご
「赤い絵の具あります?」

ダヴィンチ
「あるけど。」

画家のたまご
「ちょうど切らしちゃって。

 このままだと、モナリザの唇が紫になっちゃう・・・。」

モナリザ
「海から出た直後か!」

ダヴィンチ
「はい、赤。」

画家のたまご
「すみません。」

モナリザ
「先生。」

ダヴィンチ
「何?」

モナリザ
「もう一ついいですか?」

ダヴィンチ
「あぁ。」

モナリザ
「あの人は何ですか?」


(モナリザとダヴィンチの絵を描いている男の更に後ろに、
 キャンバスを広げ3人の絵を描いている男がいる)


モナリザ
「人のふんどしで相撲を取った、そのふんどしを更に借りて相撲を取ろうとしてますよね。」

ダヴィンチ
「あの人からもモナリザは傑作になるから、って言われてな。
 悪い気がしなかった。」

モナリザ
「だから、先生とわたしを描いている画家もタキシードなんですね。」

画家のたまご2
「すみません、モナリザさん。こっち向かないでください。」

モナリザ
「あ、すみません・・・(ダヴィンチの方を向いてポーズを決める)」

ダヴィンチ
「君だって、言うこと聞いてるじゃん。」

モナリザ
「こっち向かないでくださいって言われた・・・。
 こんなに魅力的なモデルが・・・。
 こっち向かないでくださいって・・・。」

画家のたまご2
「すみません。」

画家のたまご
「はい。」

画家のたまご2
「赤の絵の具あります?」

画家のたまご
「はい、ありますよ。」

画家のたまご2
「お借りしていいですか?赤切らしちゃって。
 このままだと、モナリザの唇が真っ青になっちゃう。」

モナリザ
「メタルバンドか!」

画家のたまご2
「はい、赤。借り物だけど。」

画家のたまご
「すみません。」

モナリザ
「ちなみに先生。」

ダヴィンチ
「ん?」

モナリザ
「あの人は・・・?」


(モナリザとダヴィンチの絵を描いている男の後ろで

 3人の絵を描いている男の更に後ろで
 4人の絵を描いている男がいる)


モナリザ
「完全に中古のふんどしで相撲取ってますよね?」

ダヴィンチ
「過去3人が使ったふんどしだからね。」

モナリザ
「だから、先生から数えて3人目の画家もタキシードだったんだ。」

ダヴィンチ
「意識しちゃうよね。」

モナリザ
「ちなみにその画家の後ろにも、
 更にその後ろにも、
 そのまた後ろにもタキシードの画家がいますよね。」

ダヴィンチ
「それくらい、モナリザの絵は後世に残る傑作ってことだろうな。
 さ、続き描くよ。(筆を持つ)」

モナリザ
「え、あ、うーん、はい・・・。(ポーズを決める)」

ダヴィンチ
「なんでちょっと笑ってるの?
 いいことあった?」

モナリザ
「違いますよ!
 あたし目線からだと、数mおきにタキシード着た男がこっち向いて絵を描いてるんです!
 そりゃ笑いますよ!」

ダヴィンチ
「はい、笑いこらえて!集中!」

モナリザ
「みんないっそのこと、ひと思いにあたしを描きなさいよ!
 何縦一列に並んでんのよ!
 あたしの方がこの光景を絵に描きたいわよ!」

ダヴィンチ
「モナリザ、ちょっと笑ってるよ。」

モナリザ
「これでもこらえてるんです!」


こうして、名画『モナリザ』は生まれた。

絵の中の彼女の微笑がどのような意図だったのか、真相は謎である。

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

モナリザの絵を描いている光景で何か作れないかなぁと考えた結果、

そこに別の人間がいる設定となり、その人間のことをモナリザとダヴィンチがあれこれ言いながら絵を描き進めるという方向性となり、こんな形になりました。

 

『そんな絵、あたしならシュレッダーよ!』というツッコミもあったのですが、

しばらくしてコントを読み直した頃には、忘れられているニュースだなと思いカットしました。

 

【上演メモ】

人数:4人

モナリザ

ダヴィンチ

画家のたまご

画家のたまご2

 

所要時間:4分~5分
所要時間:★★☆☆
備考:セリフに登場するまでは、画家のたまごたちの存在は伏せられているので、舞台上での表現は難しいかもしれません。

映像コントなら、アングル次第でなんとでもなると思います。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】ボクと橋本選手の約束
【お題コント】お互い気弱で、地上から狙われていると思っている猫と鳥
【コント】お隣りさん
【コント】サル×カニ
【コント】ロミオとジュリエット

 

 

 

【お題募集中】

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