#3のコントですが、独立しているので、

#1、#2を読んでいなくても楽しめます。

 

ちなみに、#1はこちら

#2はこちら

 


 

乙姫
「こちら、おみやげの玉手箱です。」

浦島
「いやぁ、こんなに、もてなしを受けてしまったのに、おみやげまで。」

乙姫
「いいですか。
 この玉手箱、絶対に開けないでください。」

浦島
「開けない。わかりました。」

乙姫
「お願いいたします。(玉手箱を渡す)」

浦島
「では、開けます。
 (玉手箱を縛っている紐を解き始める)」

乙姫
「え?」

浦島
(玉手箱を縛っている紐を解いている)

乙姫
「え?え?え?」

浦島
「(手を止めて)・・・ん?」

乙姫
「・・・いや。」

浦島
(再び、玉手箱を縛っている紐を解き始める)

乙姫
「え?え?え?え?え?」

浦島
「・・・ん?」

乙姫
「・・・浦島さん。」

浦島
「はい。」

乙姫
「その玉手箱は絶対に開けないでください。」

浦島
「わかりました。」

乙姫
「よかった。伝わってましたね。」

浦島
「はい。では、開けます。」

乙姫
「浦島さん。」

浦島
「はい。」

乙姫
「開けないでください。」

浦島
「わかりました。」

乙姫
「この玉手箱を。」

浦島
「わかりました。」

乙姫
「絶対に。」

浦島
「わかりました。
 開けます。」

乙姫
「はい、一旦回収ー!玉手箱回収ー!
 (玉手箱を取り上げる)」

浦島
「あぁ、玉手箱ー!玉手箱ー!」

乙姫
「開けるなって言ってるでしょ?!」

浦島
「わかりました。」

乙姫
「わかってない!絶対わかってない!」

浦島
「わかってますよ。」

乙姫
「玉手箱来たらどうします?」

浦島
「とりあえず、開けます。」

乙姫
「わかってないじゃん!」

浦島
「玉手箱!玉手箱ー!」

乙姫
「わかりました。開けてもいいです。」

浦島
「いいですか?!」

乙姫
「ただし、ここでは開けないでください。」

浦島
「ここでは開けない。」

乙姫
「海岸まで帰ったら、開けていいです。」

浦島
「海岸まで帰ったら、開ける。」

乙姫
「わかりましたか?」

浦島
「わかりました!」

乙姫
「はい。では、玉手箱です。(玉手箱を渡す)」

浦島
「開けまーす。」

乙姫
「(玉手箱を奪い取る)はい、回収ー!」

浦島
「返せ!玉手箱返せ!(玉手箱を奪おうとする)」

乙姫
「タイ!ヒラメ!アイツを止めて!!」

タイヒラメ
(うなづく)

浦島
「玉手箱ー!玉手箱ー!!」

タイ
(叫んでいる浦島の背後に回り込んで、お尻を蹴る。)

浦島
「痛----っっ!!(倒れる)
 何これ?!」

乙姫
「タイキックです。」

 

浦島
「(悶絶しながら)タイキック・・・!!」

ヒラメ
(倒れている浦島を羽交い絞めにする)

浦島
「(羽交い締めにされながら)開けさせろ!その箱を開けさせろ!」

乙姫
「何、コイツ。
 なんで言うこと聞かないの?」

浦島
「あ。」

乙姫
「何?」

浦島
「トイレ行きたいです。」

乙姫
「そんなこと言って、隙を見て玉手箱を奪う気でしょ?」

浦島
「そんな風に見えます?」

乙姫
「見えるから言ってんのよ!」

浦島
「大丈夫です。
 トイレに行くだけです。」

乙姫
「本当ね。
 突き当たりを右。」

浦島
「わかりました。(トイレに向かう)」

乙姫
「何、アイツ。
 なんで、元気よく『わかりました』って言ってるのに、
 ちっともわかってないの?」

カメ
「ちょっと怖いですね。」

乙姫
「(玉手箱を見て)ちょっと開いてるじゃん。
 2、3歳、歳取ったわ。(玉手箱を閉じる)」

マグロ
「乙姫さま!」

乙姫
「何?どうしたの?」

マグロ
「浦島さんが竜宮城の扉という扉、窓という窓を開けています!」

乙姫
「何してんの、アイツ!
 タイ!ヒラメ!アイツを止めて!
 生死は問わないわ!」

タイヒラメ
(うなづいて、竜宮城の奥に向かう)

浦島
「(タイとヒラメに連行されて来る)開けさせろ!いろいろと開けさせろ!」

乙姫
「どうしたの、突然。
 タイやヒラメの舞い踊りを見てる間はあんなに静かだったのに。
 玉手箱を見たタイミングで、浦島さんの中で、何かが吹っ切れたの?」

浦島
「大丈夫です。」

乙姫
「大丈夫じゃないわよ。
 竜宮城の中、水浸しになるから、窓とか開けるのやめて。」

浦島
「わかりました!」

乙姫
「わかってるのかな・・・。
 はい。では、これから玉手箱を渡します。(玉手箱を用意する)」

浦島
「よっ!待ってました!」

乙姫
「いいですか?
 海岸に帰るまでは開けないでください。」

浦島
「わかりました。」

乙姫
「(玉手箱を差し出し)渡しますよ・・・。」

浦島
(そーっと手を伸ばす)

乙姫
(ゆっくりと差し出す)

浦島
「(玉手箱を奪って)はい!開けます!」

乙姫
「タイ!ヒラメ!」

タイヒラメ
(うなづく)

タイ
(叫んでいる浦島の背後に回り込んで、お尻を蹴る。)

浦島
「タイキック!!(倒れる)」

ヒラメ
(倒れている浦島を羽交い絞めにする)

浦島
「(羽交い締めにされながら)やめろ!離せ!」

乙姫
「ご苦労さまです。」

浦島
「ちくしょー!もう少しだったのに!」

乙姫
「(玉手箱を取り戻し)何かいい方法ないかしら。」

カメ
「乙姫さま、これを。(小さな箱を渡す)」

乙姫
「なにこれ。」

カメ
「からくり箱です。
 決められた手順で仕掛けを動かさないと開かない箱です。」

乙姫
「よし、これを浦島さんに渡して、
 この箱に気を取られている間に、作戦を考えましょう。
 浦島さん!」

浦島
「ん?」

乙姫
「はい、これ。
 からくり箱ですよ。(からくり箱を差し出す)」

浦島
「(からくり箱を奪い取り、開けようとする)うー!」

乙姫
「よし、これで時間を稼げるわ。
 何かいい考えある?」

マグロ
「浦島さんを玉手箱と一緒に大きな箱に閉じ込めて
 海岸まで連れて行くというのは?」

乙姫
「ダメよ。
 コイツのことだから、大きな箱を開ける技術くらいあるわ。」

浦島
「(からくり箱を掲げて)開いたー!」

乙姫
「もう開いたの?!」

浦島
「『ひらけごま!』って言ったら、開きました。」

乙姫
「なに、その言葉!万能なの?!
 どうしよう。もう開いちゃったわよ!」

カメ
「乙姫さま、これを。(小さな箱を渡す)」

乙姫
「これは?」

カメ
「びっくり箱です。」

乙姫
「この際、時間稼ぎができれば何でもいいわ。
 浦島さんに渡して。」

カメ
「はい。」

浦島
「他に開けるものはないかー!」

カメ
「浦島さん。」

浦島
「ん?」

カメ
「はい、箱です。(びっくり箱を渡す)」

浦島
(びっくり箱を奪い取り、開ける)


(びっくり箱からボクシンググローブが飛び出し、浦島に強烈なアッパー)


浦島
(気を失う)

乙姫
「よし、今のうちよ。
 何か、玉手箱を開けさせずに持ち帰らせる方法、ある?」

マグロ
「大きな箱に閉じ込めるだけじゃなく、
 手足を鎖で縛り、南京錠をかけるというのは?」

乙姫
「いいわね。
 でも、コイツのことだから、それでも開けてしまいそう。」

浦島
「うーん・・・。」

乙姫
「目を覚ましたわ!」

カメ
「浦島さん、びっくり箱です。」

浦島
(びっくり箱を奪い取り、開ける)


(びっくり箱からボクシンググローブが飛び出し、浦島に強烈なアッパー)


浦島
(気を失う)

乙姫
「・・・学習というものをしないのかしら。
 渡すとき、はっきりと『びっくり箱です』って言ったわよね。」

カメ
「乙姫さま。早くしないと、ヤツが目を覚まします。」

乙姫
「そうね。他にいい案ある?」

マグロ
「大きな箱に閉じ込めて、手足を鎖で縛り、南京錠をかけ、
 その箱を海の底に沈めるというのは?」

乙姫
「うん。
 だんだんプリンセス天功の脱出マジックみたいになってきた。」

カメ
「ダミーを渡すというのは?」

乙姫
「どういうこと?」

カメ
「まず、開けてもなにも起こらないダミーの玉手箱を渡すんです。
 で、海岸まで送り届けたら、本物の玉手箱とすり替えるというのは?」

乙姫
「あ、それいいじゃない。
 それでいきましょう。」

カメ
「ダミーの玉手箱、準備できました。」

乙姫
「よし。
 では、カメさん。あとはよろしくね。」

カメ
「わかりました。
 浦島さん、起きてください。」

浦島
「ん・・・うーん・・・。」

カメ
「浦島さん。
 はい、これ、玉手箱です。(ダミーの玉手箱を渡す)」

浦島
「あ、開けまーす。」

カメ
「どうぞ。」

浦島
(ダミーの玉手箱を開ける)

カメ
「・・・。」

浦島
(ダミーの玉手箱を閉じる)

カメ
「・・・。」

浦島
(ダミーの玉手箱を開ける)

カメ
「・・・。」

浦島
(ダミーの玉手箱を閉じる)

カメ
「・・・。」

浦島
「へへっ。」

乙姫
「よかった。気に入ったみたい。
 では、海岸までお送りします。」

浦島
「(ダミーの玉手箱を開けて、閉じて)へへっ。」

カメ
「浦島さん、乗ってください。」

浦島
「(ダミーの玉手箱を開閉しながら、カメの甲羅に乗る)へへっ。」

乙姫
「ありがとうございました。(手を振る)」

浦島
「(開けて、閉じて)へへっ。」

カメ
「では、出発しまーす。(海岸に向かって泳いでいく)」

乙姫
「やっと行ったわね。
 あそこまで、開けたがる客は初めてだわ。」


(15分後)


カメ
「ただいま戻りましたー。」

乙姫
「お疲れ様。
 無事に玉手箱渡した?」

カメ
「はい。
 その後、逃げるように海岸を後にしたので、
 浦島さんがどうなったのか、わかりませんが。」

乙姫
「とりあえず、無事に帰ってもらえてよかったわ。
 ご苦労さまでした。食事にしましょう。」

全員
「はーい。」


(竜宮城のメンバー、次々に食事に向かう)


(メンバーたちから5mほど後ろを、玉手箱を持った浦島が付いてきている)


浦島
「(手にした本物の玉手箱を見ながら)へへっ。」

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

浦島シリーズ3作目。

1作目をベースにしたアイディアですが、

今回も、物語通りに進行させようとする乙姫と

物語通りに動いてくれない浦島のコントになっています。

 

先週のコントを読んでいただけた方には「お!」と思う仕掛けも入れてみました。(敢えて同じツッコミにしています。)

ただ、読んでいない方にも自然な流れになるようにしています。

 

【上演メモ】

人数:6人

乙姫

浦島

カメ

マグロ

タイ

ヒラメ

 

所要時間:6分~7分
所要時間:★★★☆☆
備考:玉手箱の奪い合いなので、動きで魅せるコントです。

テンポよく動けると面白いでしょうね。

びっくり箱の小道具が大変かもしれません。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】ツルのおんがえし#2
【コント】何か出してと言ったばっかりに
【コント】ビフォーアフター
【お題コント】保険
【コント】私のあしながおじさん

 

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)

 

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