店員
「(試着室の前で待っている)いかがですかー?」


「・・・はい、つけました。」

店員
「開けてよろしいですか?」


「どうぞ。」

店員
(試着室のカーテンを開ける)


「(腰に異彩を放つベルトを巻いている)あの・・・。」

店員
「(ベルトを見て)苦しくないですか?」


「まぁ、あの、ピッタリですけど・・・。」

店員
「よくお似合いです。」


「・・・似合ってます?」

店員
「では、更に変身してみましょうか。」


「いや、あの・・・。」

店員
「(試着室のカーテンを閉める)ポーズを決めて『変身』と叫ぶと変身できますので。」


「『変身』ですか?」

店員
「はい。どうぞ。」


「・・・変身!!」


(試着室の中が光る)


店員
「いかがですか?」


「はい・・・。
 変身できました・・・。」

店員
「開けてよろしいですか?」


「どうぞ。」

店員
(試着室のカーテンを開ける)


(仮面ライダーが立っている)


店員
「よくお似合いですよ。」

客(仮面ライダー)
「似合ってます?」

店員
「どこか苦しいところはないですか?」


「大丈夫ですけど・・・。」

店員
「では、ご購入でよろしいですか?」


「いや、購入しません。」

店員
「ええぇっ?!!」


「・・・いや、そんなに驚かなくても。」

店員
「こんなにサイズもピッタリなのに?!」


「違うんです。
 僕は明日の彼女とのデートのための服を買いに来ただけなんです。」

店員
「変身ベルトを探しに来たんじゃないんですか?!」


「違いますよ。
 そもそも、変身ベルトを探しに来るって何ですか?」

店員
「でも、これは運命ですよ!」


「運命・・・?」

店員
「変身ベルトのサイズがピッタリ!
 これはあなたがこの変身ベルトの適合者なんですよ!」


「そんなことないです!
 サイズがピッタリ=適合者なら、僕と同じウェストの人はみんな適合者ですから。」

店員
「ぜひ、この変身ベルトをつけて、平和を取り戻しましょう!
 仮面ライダーアパレルとして!」


「仮面ライダーアパレル?」

店員
「はい。
 アパレルメーカーが舞台のスタイリッシュな令和ライダーです。」


「いや、アパレルメーカーが舞台なら、働く人が変身してくださいよ。
 なんで客が変身してるんですか?」

店員
「キャッチコピーが『暴れるアパレル』です。」


「スタイリッシュを掲げてるのに、早くもダサいんですけど。」

店員
「惜しいなぁ。
 サイズ、ピッタリなのになぁ。」


「とりあえず、元の姿に戻っていいですか?」

店員
「・・・わかりました。(試着室のカーテンを閉める)」


(試着室の中が光る)


店員
(試着室のカーテンを開ける)


「(元の姿に戻っている)はい、これ。お返しします(ベルトを渡す)」

店員
「残念です・・・。」


「僕、明日のデートのための服を探してるんです。
 何かないですか?」

店員
「あ、いいのがありますよ。」


(5分後)


店員
「(試着室の前に立っている)開けてもよろしいですか?」


「(試着室の中から)どうぞ。」

店員
(試着室のカーテンを開ける)


「(さっきとは別の姿の仮面ライダーが立っている)何で別の変身ベルトを渡すんですか。」

店員
「よくお似合いですよ。」


「僕も律儀に装着して、変身までしましたけど。」

店員
「キツいところはないですか?」


「彼女とのデートにこの格好はキツいです。」

店員
「では、世界に平和を取り戻しましょう!
 仮面ライダーカシミアとして!」


「今度は仮面ライダーカシミアですか。」

店員
「早速倒しに行きますよ、怪人・ダメージジーンズを。」


「何ですか、怪人・ダメージジーンズって。

 中の人の肌が露出してるじゃないですか。」

店員
「お気に召さないですか?」


「召さないです。」

店員
「あ、では・・・、
 (別のベルトを取り出す)こっちの変身ベルトはどうですか?」


「『別の変身ベルトならワンチャン』ってことないですから!」

店員
「ちなみにこれ、『仮面ライダーマスク』の変身ベルトです。」


「仮面ライダーマスク?」

店員
「いかがですか?」


「そもそも『仮面』の時点でマスクなのに、更にマスクですか?」

店員
「はい!」


「マスクライダーマスク?」

店員
「マスクライダーマスク!」


「バイク川崎バイクみたいじゃないですか。」

店員
「仮面ライダーはバイク乗りますからね。
 つながります。」


「つながったから何だっていうんですか!」

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

「試着室で変身ベルトを渡された」というメモ書きから広げていったコント。

「マスクライダーマスク」と聞くと、どうしても「バイク川崎バイク」という芸人さんが浮かんでしまいます。

他にもこんな感じの言葉があったのではないか?と考えたのですが、浮かびませんでした・・・。

 

【上演メモ】

人数:2人~4人

店員

客(仮面ライダーアパレル)

客(仮面ライダーカシミア)

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★★★☆
備考:一番大変なのは衣装です。

初見で仮面ライダーだとわかる衣装の準備。しかも2種類。

これは大変そうです・・・。

 

2種類用意できれば、客役を3人で演じ分ければいいと思います。ヒーローショーみたいな感じで。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】聖徳太子
【コント】不動産屋
【コント】大きなカブ
【コント】わたしの願い事
【コント】小人たちの同窓会

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

↓こんなコメントでもOKです!

・今回のコント、実演(アニメ化)するならキャストは誰

お気に入りのセリフは何?

仮面ライダー(昭和、平成、令和)、好きですか?

コントのお題も募集してます。