(不動産屋に客が入ってくる)

 

 

スタッフ
「いらっしゃいませ。」



「すみません。物件を探しに来たのですが・・・」


スタッフ
「物件をお探しで。ありがとうございます。
 では、こちらの紙にお名前とご住所をお書き下さい。」



「書きました。」


スタッフ
「ありがとうございます。

 えー、学問の神様ですね。
 本日はどのような物件をお探しで。」


学問の神様
「今まで、両親と同じ神社に祀(まつ)られていたんですが、

 そろそろ『一人祀られ』しようかと思って。」


スタッフ
「なるほど。」


学問の神様
「大学が近くて手頃な神社ってありませんか?」


スタッフ
「んー。予算はどれくらいで?」


学問の神様
「75000円くらいで。」


スタッフ
「神社までの階段は多め、少なめとかは・・・?」


学問の神様
「できれば少なめがいいですが、そんなに気にしないです。」


スタッフ
「なるほど。今、お調べしますね。」


学問の神様
「はい。」


スタッフ
「あ、こちらの物件とかいかがでしょうか。
 大学近くで、家賃72000円。間取り2Kですね。」


学問の神様
「2Kか・・・。でも、キッチンいらないんですよね。」


スタッフ
「あ、この2KのKは狛犬のKです。」


学問の神様
「あ、なるほど。狛犬が2匹ってことか。」


スタッフ
「同居人に金運の神様がいらっしゃいますので、御賽銭がたくさん入りますよ。」


学問の神様
「おぉ。
 あれ。でもいいんですか?
 勝手に他にどんな神様が住んでるか漏らして・・・」


スタッフ
「大丈夫です。
 どの神社にどんな神様が祀られているかは一般にも公開されている情報なので。」


学問の神様
「なるほど。」


スタッフ
「ちなみに賽銭箱は共用です。」


学問の神様
「あ、構いません。」


スタッフ
「神様を呼び出すときの鈴も共用なので、
 誰かが鳴らしたら、願い事の内容で誰が対応するか判断してください。」


学問の神様
「ここ、いいですね。」


スタッフ
「よかったら、内覧されますか?」


学問の神様
「お願いできますか?」


スタッフ
「はい。では、スタッフの者がご案内しますので、お外でお待ちください。」


学問の神様
「わかりました。(外に出ていく)」


スタッフ
「いってらっしゃいませ。」

 


(客(カップル)が店に入ってくる。)

 


スタッフ
「いらっしゃいませ。」


客(男性)
「あのー、僕たち恋愛の神様なんですけど、
 今度、二人で住もうってことになって、どこかいい物件ないですか?」


恋愛の神様(女性)
「マサヒコー、あたし、かわいいところがいいー。」


恋愛の神様(男性)
「うん。わかった。今探すから。」


スタッフ
「予算とかどのくらいを予定されてますか?」


恋愛の神様(男性)
「120000円くらいで。」


スタッフ
「他に条件は?」


恋愛の神様(男性)
「日当たりがいいところがいいですね。あと、割と広めが。」


スタッフ
「狛犬は?」


恋愛の神様(男性)
「あった方が。」


恋愛の神様(女性)
「マサヒコー。あたし、狛犬、左右別々じゃなくて、2匹一緒に並んでる方がいいー。」


恋愛の神様(男性)
「わかったよ。狛犬2匹並んでいる物件ってありますか?」


スタッフ
「お探しいたします。

 あ、こちらいかがでしょうか。
 ちょっと予算オーバーしてしまうのですが、オススメの物件です。
 境内はかなり広めで2LTKです。」


恋愛の神様(男性)
「T?Tって何ですか?」


スタッフ
「鳥居です。」


恋愛の神様(男性)
「あ、鳥居。Lは?」


スタッフ
「リビングです。」


恋愛の神様(男性)
「そこはリビングなんですね。」


恋愛の神様(女性)
「すごーい。ひろーい。マサヒコー。あたし、ここがいいー。」


恋愛の神様(男性)
「ちょっと待って。まだ聞いてるとこだから。」


スタッフ
「狛犬は2匹一緒に並んでいます。」


恋愛の神様(男性)
「狛犬2匹並んでる物件、あるんですね。」


スタッフ
「あと、同居人に広瀬香美さんがいらっしゃいます。」


恋愛の神様(女性)
「すごーい。ロマンスの神様じゃない。マサヒコー。あたし、ここがいいー。」


恋愛の神様(男性)
「ちょっと待って。賽銭箱は共用ですか?」


スタッフ
「いえ。神様ごとに別です。
 あと、賽銭箱にオートロックの機能がついています。」


恋愛の神様(男性)
「鈴は?」


スタッフ
「鈴はありません。
 神様ごとにモニター付きインターホンが用意されていて、そこで参拝客を確認できます。」


恋愛の神様(女性)
「すごーい。最新ー。マサヒコー。あたし、ここがいいー。」


恋愛の神様(男性)
「わかったよ。内覧お願いできますか?」


スタッフ
「かしこまりました。では、スタッフがご案内しますので、お外でお待ちください。」


恋愛の神様(男性)
「ありがとうございます。(外に出ていく)」


恋愛の神様(女性)
「マサヒコー。あたし、早く祀られたいー。(外に出ていく)」


スタッフ
「いってらっしゃいませ。」

 


(客が入ってくる)

 


スタッフ
「いらっしゃいませ。」



「あの・・・、神社を探しに来たのですが・・・。」


スタッフ
「ありがとうございます。では、こちらの紙にお名前とご住所をお書きください。」



「書きました。」


スタッフ
「ありがとうございます。えー、び・・・貧乏神様・・・。」


貧乏神
「はい・・・。前、住んでた神社が潰れちゃって。新しい神社をと思って。」


スタッフ
「少々、お待ちください。店長、店長。」


店長
「どうした?」


スタッフ
「貧乏神様が物件をお探しに・・・」


店長
「あぁ。もしかしたら、ブラックリストに載ってる神様かも知れないな・・・。
 ちょっと調べてみるけど、一応、どんな物件を探してるか、聞いてみて。」


スタッフ
「わかりました。探されてる物件の条件とかありますか?」


貧乏神
「家賃安めで。日当たりも気にしません。狛犬もなくていいです。
 祀られればなんでも構いません。」


スタッフ
「家賃安めなら、なんでもいい・・・と。」


店長
「松嶋くーん。」


スタッフ
「あ、少々お待ちください。」


店長
「調べたら神様不動産業界のブラックリストに入ってる神様だった。
 この10年で、彼が祀られた神社は立て続けに8件潰れてる。
 そっちはどうだった?」


スタッフ
「家賃が安ければ、どこでもいいそうです。」


店長
「貧乏神可の物件を探して、そこを薦めてみて。」


スタッフ
「わかりました。

 (席に戻る)お待たせしました。
 お客様、こちらの物件はいかがでしょう。
 家賃50000円。狛犬なし。鳥居なし。階段多め。
 同居人に疫病神様がいらっしゃいます。」


貧乏神
「おぉ。最高じゃないですか。賽銭箱は?」


スタッフ
「ありません。代わりにギターケースが置いてあります。」


貧乏神
「すごい。ストリートミュージシャンみたいだ。神様を呼び出すときの鈴は?」


スタッフ
「ありません。代わりにホテルとかでコンシェルジュを呼び出すベルが備え付けてあります。」


貧乏神
「おぉ。日当たりは?」


スタッフ
「最悪です。」


貧乏神
「いいなぁ。ぜひ、内覧したいです。」


スタッフ
「かしこまりました。スタッフがご案内しますので、お外でお待ちください。」


貧乏神
「楽しみだなぁ・・・(外に出ていく)」


スタッフ
「いってらっしゃいませ。」


店長
「はい。集合してください。
 それでは夕方ミーティングを始めます。
 本日も学問の神様を始め、3組のお客様から内覧のお話をいただきました。
 契約につながったら、最後まで丁寧なお手続きをお願いします。」


スタッフ
「わかりました。」


店長
「それでは最後に我が社の社訓を唱和して、ミーティングを終わります。」


スタッフ
「はい。」


店長
「社訓!お客様は!」


スタッフ
「神様です!」

 

 

 

 

 

 


【コント・セルフ・ライナーノーツ】
神様不動産というアイディアは前からあったのですが、

なかなか形にできず、結構暖めました。

 

オチをどうしようか悩んでいたところで、「お客様は神様です」のフレーズを思い出し、

うまくハマった形です。

 

【実際にコントを演じたい方のためのメモ】

人数:6人

スタッフ

店長

学問の神様

恋愛の神様(男性)

恋愛の神様(女性)

貧乏神

 

所要時間:4分~5分
難易度:★☆☆☆☆
備考:特に難しい演出、セリフなどないので、上演難易度は低めです。神様役は一人3役こなしてもいいかもしれません。

 

※コメントをいただいた方のブログには、近日中に伺います。(だいたい土曜日か日曜日)

 

【コメントを書きたいけど、感想がない方のためのコメントテーマ】

・このコント、演じるとしたら、誰が適任?

・こんなお題でコント書いてほしい(お題は1つのワードでお願いします。)

・このセリフ、いいね!(気に入ったセリフをコピペしていただければOK)


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(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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