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空気が乾燥する季節になると、肌が乾燥してかゆくなったり、ひび割れたりしていませんか?
肌から水分や皮脂が失われて乾燥した「ドライスキン」の状態になると、肌荒れのほか、皮膚がかゆくてたまらなくなることがあります。冬は乾燥が気になる季節。肌が乾いてカサカサしたり、かゆみが出たりといった乾燥肌トラブルに悩む方も多いのではないでしょうか。今回の健康塾は、乾燥肌トラブルの内「乾燥によるかゆみ」に対する原因と対処法についての謎解きです。

『体がかゆい!』原因の大半は生活習慣にあります。「肌の乾燥やかゆみを防ぐには、とにかく保湿。濃厚な美容液やクリームを塗っておけばお手入れは万全」なんて思い込んでいませんか? もちろんスキンケアは大切ですが、ちょっとした生活習慣の中にも肌の乾燥・かゆみ・荒れの原因は潜んでいます。
寒くなると、足のすねや二の腕、背中など、体のあちこちがムズムズ・ガサガサ、かゆくてたまらない!なんてこと、ありませんか?
そうなるのは、皮膚の水分不足に加え外部刺激から肌を守るバリア機能が低下してしまうからです。ちょっとした刺激にも敏感になり、かゆみを感じてしまうようになります。つまり、寒い冬は天然のクリーム(皮脂)が不足しがちになります。冬にバリア機能が低下しやすい理由
湿度がぐんと低くなるため、肌の水分が奪われより乾燥しやすい状態に。さらに、低い気温は肌細胞の新陳代謝を低下させてしまうので、肌が皮脂を作る力もダウン。バリア機能の要となる天然のクリーム(皮脂膜)が不足しがちになります。
その結果、保湿するだけではなかなか乾燥や肌荒れが治まらず、冬の間中かゆみをずっとくり返してしまうケースが増える、というわけなのです。
肌老化は冬に加速します。乾燥を放置してしまうと、肌は厚く硬くなりシワも増えていきます。慢性的な乾燥で肌の老化はぐっと進んでしまうので、寒い季節は肌トラブルが深刻化しないうちに、万全の乾燥対策を心がけて肌を守りましょう。

加齢と乾燥肌の関係
元々、人間の祖先は海の中にいたのですが、進化の過程で陸上に上がってきました。
ですから乾燥するのは当たり前、そのままでは干からびてしまうのです。
人間の皮膚にはいろいろと工夫された装置が3つあります。 
 



皮膚の一番外側には、「角層」という皮膚の細胞が平たく積み重なった部分があります。
0.02mmと非常に薄い部分です。角層は外からの菌や、化学物質、紫外線などを体の中に入らないようにするのと、体内の水分の蒸発を防ぐ役割があります。この角層部分には、うるおいを保つ3つの装置があります。

1つ目は、「皮脂膜」。皮膚の一番外側にあり、皮脂と汗の成分が混じり合ってできた薄い膜です。皮膚表面をおおい水分の蒸発を防ぐ部分になります。
2つ目は、「天然保湿因子」。角層の中にあり、アミノ酸や尿素、塩類などからできており、水分を捕まえて離さない性質を持っています。
3つ目は、「角質細胞間脂質」。角質細胞と角質細胞の間のすき間を埋めている脂のことで、およそ50%がセラミドです。その脂で水分をサンドイッチ状にはさみ込み、逃がさないようにしています。
これら3つの装置は、加齢とともに衰えてきますので、肌が乾燥しやすくなるのです。



乾燥するとなぜかゆみが出るのか?
大きく2つの理由が考えられます。
1つは、乾燥すると、皮膚の内部で軽い炎症が起きているということです。目には見えない(赤い炎症などがない)程度に炎症が発生しています。
2つ目は、かゆみを伝える知覚神経が本来は、真皮の内側でとどまっていますが、乾燥肌になると皮膚の表面近くまで伸びてくるために、日常生活のわずかな刺激でもかゆみを感じるようになるからです。



初期段階では、「老人性乾皮症」と呼ばれる状態になります。この乾皮症にも段階があります。
軽度では、白い粉が吹いた状態。高度になるにつれて、浅いひび割れのような状態になり、一番右側の写真の状態のように網目状のひびが入ると、尋常性魚鱗癬(ぎょりんせん)という状態になります。
この老人性乾皮症は、30代の方でも発症することがあります。実は、皮脂の分泌は20歳前後をピークに年々減少傾向になるためです。



さらに、このかゆい部分を掻きむしって、悪化させてしまうと上の写真のような「皮脂欠乏性湿疹」という状態になります。
乾燥だけでなく、赤い発疹や、小さなブツブツができたり、グジュグジュした状態になります。



症状に応じて治療法を変える必要があります。
初期段階の「老人性乾皮症」では、適切なスキンケアを行い、悪化させないことがポイントです。スキンケアではうるおいを保つ3つの装置をそれぞれ保湿剤の軟膏やクリームで補います。状態に応じて1つ、もしくは2つと組み合わせることもあります。

代表的なものとしては、皮脂膜の代わりをして水分の蒸発を防ぐのが、白色ワセリン。肌への刺激が少ないですが、少々ベタベタしている面もあります。
天然保湿因子の役割を補い、アミノ酸と水分の結合を助け水分を保持するのは、尿素軟こうやヘパリン類似物質、ヒアルロン酸などがあります。
角質細胞間脂質であるセラミドなどを補うスキンケア用品もあります。医薬品、医薬部外品、化粧品などさまざまなものが市販されていますので、自分の肌に合うものを選択して欲しいと思います。

保湿剤を塗るタイミングは、お風呂上がりにすぐ塗ります。また塗る時には、擦り込むのではなく、優しく、皮膚をなでるように塗るのがポイントです。
皮脂欠乏性湿疹の場合には、保湿剤だけでは治療はできません。かき傷の部分などに保湿剤を塗ると、さらにかゆみを招く要因になることもあるので、注意が必要です。
湿疹が生じている場合は、ステロイドが入った塗り薬を用いて最初に炎症部分を治療することがポイントです。湿疹をコントロールした上で、保湿剤を使って乾燥を防ぎます。また、ステロイドの薬にはレベルがあります。自分に合ったものを選択するために専門医に相談してもらいたいです。

皮膚に現れる症状の中でも、かゆみはつらい感覚のひとつ。かゆみが強いと十分な睡眠がとれない、勉強や仕事に集中できないなど、精神的なストレスに繋がることもあります。そのような皮膚のかゆみを引き起こす主な原因や、かゆみが起こる仕組みについて学びましょう。 
冬になると肌がかさつき、かゆくなるという人は多いでしょう。肌をかくと表皮が荒れて、ちょっとした刺激にも過敏になり、悪循環を起こすことが最近の研究からわかってきています。
とくにアトピー肌のような慢性の肌荒れ状態になると、「かゆみを感じる神経」が表皮の近くまで伸びてきて、かゆみを強く感じるようになります。
そんな状態のときに肌をかくと、かゆみの原因となるヒスタミンを誘発する物質(神経ペプチド)が出て、かゆみをさらに増強します。つまり、かくと一層かゆくなってしまうのです。
したがって、気持ちいいからといって、かきむしるのは禁物です。保湿剤を塗ったり、抗ヒスタミン薬のような「かゆみ止めの薬」を使い、できるだけ刺激しないようにすることが大切です。
ただし、かゆみによっては、抗ヒスタミン薬が効かないタイプもあります。アトピー性皮膚炎のような免疫異常や、内臓疾患が原因となる中枢性のかゆみです。こうしたかゆみは、放置していると繰り返したり、悪化することになりかねません。
かゆみにもいろいろなタイプがあることを知って、きちんとした対処法、解消法を覚えておきましょう。

かゆみの原因で最も多いのが、乾燥によるものです。中高年になると肌の保湿性が低下し、いわゆる「乾燥肌」になりやすいので、予防のためには日常のスキンケアが必要になります。
一般に皮脂が少ない場所ほど乾燥しやすく、例えば「すね(脛)がかさつく、ソックスがすぐに下がる」といったサインが出たら要注意です。顔では、「目元、口元がかさつく場合」は、乾燥している証拠です。乾燥状態を放置していると、肌の老化が進み、シワやたるみも出やすくなります。
日常生活で最も注意したいのは、意外に思われるかもしれませんが「入浴時」です。シャワーを浴びたり、お湯につかったりすると、肌が潤っているような気分になります。ところが実際には、最も肌を傷めやすいのです。例えば、40℃以上の熱いお湯につかっていませんか。お湯の温度が高いと、肌から皮脂がうばわれ、乾燥しやすくなります。
また肌を洗うときに、ナイロンタオルなどにせっけんを付けて、ゴシゴシこすっていませんか。せっけんの成分が皮脂をうばうだけでなく、こすることで肌を荒らしてしまいます。さらにお風呂上がりに、バスタオルでゴシゴシと拭くのは最悪です。とくに男性にはタオルで強くこする人が多いのですが、乾燥と肌荒れの大きな要因となるので気を付けましょう。

乾燥による体のかゆみの原因とは?
冬特有の環境因子(気温・湿度低下)によるバリア機能低下
気温が低くなると血行が悪くなり、肌細胞に栄養が届きにくくなります。また汗をかかなくなることも皮脂膜の減少を招きます。さらに、空気の乾燥により、お肌の中の水分量が少なくなり、皮膚表面に微細なひび割れができてバリア機能が低下します。
バリア機能が低下した角層は、外部からの刺激を防ぐことができないため、刺激を受け続けることになります。さらにかゆみの神経が皮膚の表面近くまで伸びてきてしまうことから、ちょっとした刺激でもかゆくなる「かゆみ過敏」の状態になってしまうのです。
また、エアコン・暖房器具の使い過ぎ。冬になると空気が乾燥する上に、室内は暖房が欠かせません。ですが、エアコンは空気を暖めるだけなので、ますます湿度が低下してしまいます。
そのような状態が続くと、乾燥肌トラブルにつながります。また、電気こたつや電気毛布などはかゆみがひどくなりがちなので、使用は最小限に留めましょう。

かゆみがなかなか治らない場合や、何度も繰り返す場合には、乾燥以外の原因を疑ってみる必要があります。
かゆみに加え、皮膚に赤い盛り上がりがみられる場合には、じんましんの可能性があります。じんましんには、アレルギー性のもの(全体の約5%)と、機械性のもの(約20%)、原因不明のもの(70%以上)とがあります。
アレルギー性とは、特定の食べ物や化粧品、植物、ダニなどが原因となるタイプです。機械性は、お湯につかったり(温熱じんましん)、冷たい空気に触れたり(寒冷じんましん)して起こるタイプです。肌をかいたときに、その刺激でじんましんが起こることもあります。
じんましんの多くは、抗ヒスタミン薬で治まります。ただし、体質的にじんましんを起こしやすい人もいるので、病院で原因となるものを特定してもらい、生活の中でその原因物質を避けるようにする必要があります。
抗ヒスタミン薬などを使っても、かゆみがなかなか治らない場合には、アトピー性皮膚炎や内臓疾患などを疑って、早めに受診することが大切です。こうした病気に伴う中枢性のかゆみは、ヒスタミン以外の物質(神経ペプチドの一種など)が関係していることがあるからです。
とくに注意したいのは、内臓疾患によるかゆみです。気付きにくいため、単純なかゆみと思って放置していると、症状を繰り返し、病気そのものも悪化しやすいからです。原因となる病気として、糖尿病、腎不全、肝硬変の一種(原発性胆汁性肝硬変)などが知られています。
内臓疾患による中枢性のかゆみは、抗ヒスタミン薬が効きにくいというほかに、肌には目立つ異常はなくてもかゆみがしつこく、肌をかいても白い線が残りにくいなどの特徴がみられます(ただし、すべての人に共通するわけではありません)。かゆみの受診から、これらの病気が発見されることもあるので、検査を受けましょう。

オピオイドペプチドといって、脳内モルヒネともいわれるβ-エンドルフィンなどが関係しています。この物質は、免疫力を高めたり、人の気持ちを快適にすることで知られる半面、分泌量が多いとかゆみを誘発します。

「体がかゆい!」夜になると全身がかゆくて眠れない…
  「全身がかゆい!」と感じたときには、あわてずに、どのようなかゆみなのかを冷静に見極めたうえで、どう対処するべきかを考えなくてはなりません。
まず、かゆみのあらわれ方による違いがあります。急にかゆくなる場合もあれば、少しずつかゆくなってくる場合もあります。また、かゆい状態がずっと続く場合もあれば、しばらくすると自然に落ち着いてくる場合、間隔を空けてかゆみがあらわれる場合もあります。さらに、赤くなっているかどうか、痛みなど、ほかの症状があるかどうかといった違いもあります。

全身がかゆくなる原因はさまざま
  皮膚の温度が上昇すると、かゆみを伝達する神経の働きが活性化されます。 入浴したり、就寝時に布団に入ることで体が温まるので、夜にかゆくなるケースがあります。 また、寝るときには副交感神経が優位な状態になり、皮膚温度が上昇して、かゆみが起こりやすくなります。
そして、場合によっては、重い病気の影響でかゆみがあらわれている恐れもあるので、注意しなければなりません。もし、今、全身にかゆみを感じていて、なおかつ、
・筋力が下がる、手足がしびれる、チクチクするような感じがある
   →神経の病気にかかっている恐れがあります
・お腹が痛い、皮膚や目が黄色くなる
   →肝臓や胆のうの病気にかかっている恐れがあります
・体重が減る、ひどくのどが渇く、おしっこが近くなる
   →糖尿病にかかっている恐れがあります
・体重が減る、ひどく疲れる、寝汗をかく
   →感染症にかかっていたり、腫瘍ができていたりする恐れがあります

全身がかゆくなる原因として、アレルギーも考えられます。

人間の体には、外部から侵入してくる異物から体を守る免疫反応(めんえきはんのう)があります。体に害のある抗原が体内に入ると、体は危険を察知し、抗原に対抗する抗体を作ります。その抗体は抗原を攻撃し、排除します。
抗原の侵入が何度か続くと、ときとして、抗体が抗原に対して過剰にはたらき、自身の体に悪い影響を及ぼすことがあります。その悪い影響のことをアレルギーといいます。
全身にかゆみを引きおこす主なアレルギーとしては、突然、強いかゆみがあらわれ、しばらくすると自然に治まってくる「じんましん」と、少しずつかゆみがあらわれて、そのまま長く続く「湿疹」があります。

突然あらわれ、突然消える「じんましん」
じんましんでは、皮膚が赤く盛りあがる、いわゆる「ミミズ腫れ」ができます。突然できて、数十分~数時間、遅くとも、24時間以内には消えます。あらわれるときも、消えるときも、突然です。跡が残ることもありません。何が原因でできたのか、特定できることもありますが、はっきりしないことも少なくありません。
突然、ミミズ腫れができたときには、皮膚科、もしくは、アレルギー科を受診してください。多くの場合、飲み薬を使って、あらわれている症状を抑えたり、再発しないようにしたりする治療がおこなわれます。

精神的な不調でもかゆくなります
ストレスや不安など、精神的な不調が原因で、かゆみがおこることもあります。その場合、体をいくら検査しても、異常を見つけることはできません。

ストレスがたまっている自覚があれば、まずは、

   ・生活のリズムを見直す
   ・気分転換の方法を見つける
   ・環境を変える
   ・身近な人に相談する

といったことを試してみましょう。
それでも改善されなければ、より悪化してしまう前に、精神科、心療内科などで、プロの力を借りることも大切です。眠れないなど、かゆみが強い場合には、薬を使うこともあります。


日常生活で起こるかゆみの主な原因
皮膚のかゆみには、日常生活の中にもさまざまな原因が存在します。考えられるかゆみの主な原因を見ていきましょう。
◇肌の乾燥
肌が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下します。バリア機能が低下した状態の皮膚は、外部からの刺激を受けやすくなり、ささいな刺激にも過敏に反応してしまうため、かゆみを感じやすくなります。
乾燥によるかゆみは、秋から冬にかけての空気が乾燥する季節に起こりやすく、低温・低湿になるほど症状は悪化しやすくなります。また、布団などに入って体が温まると、その温度差が刺激となり、さらにかゆみが増します。肌は加齢とともに乾燥しやすくなるため、高齢者にも起こりやすい傾向があります。

◇汗
エクリン汗腺からの汗の分泌量が急激に増えることと、汗口周囲の表皮が肥厚して汗の出口がふさがることで、汗腺や汗管内に汗がたまり、水泡状のあせもができます。これによりかゆみや炎症反応(赤い発疹など)を引き起こすことがあります。また、汗に含まれる成分が皮膚を刺激し、かゆみが起こることがあります。高温多湿な夏の季節に起こりやすいかゆみの原因のひとつです。

◇虫刺され
蚊・ブヨ・ノミ・ダニ・ハチなどの虫に刺されたり咬まれたりした時に、虫が持っている物質によりアレルギー反応が起きることで、かゆみや炎症(赤み・腫れ)が起きます。

◇ハウスダスト
ハウスダストとは、住まいの中にあるほこりや、カビやダニ、衣類から落ちた繊維や人やペットから出る毛やフケなどが混ざったものです。ハウスダストが皮膚に触れたり体内に取り込まれたりすることによってアレルギー反応が起き、かゆみを引き起こす場合があります。

◇かぶれ
かぶれとは、何らかの物質が皮膚に直接触れたことによって起こる接触性皮膚炎のことで、かゆみや赤みを伴う炎症が起きることを指します。かぶれの原因になる可能性のあるものとしては、化粧品やヘアケア製品に含まれる成分や界面活性剤、アクセサリーなどの金属製品、うるしなどの植物や動物などが挙げられ、原因は多岐にわたります。
また、接触性皮膚炎には、原因物質による刺激が原因の一次刺激性接触性皮膚炎と、原因物質によるアレルギー反応によるアレルギー性接触性皮膚炎があります。

◇クスリの副作用
のみ薬や塗り薬など、薬剤を体内に取り込んだことで身体にかゆみが現れることがあります。多くは薬物に対するアレルギー反応で、薬疹と呼ばれています。

かゆみが起こりやすい体質
かゆみが起きる原因は人によってそれぞれ異なりますが、皮膚のかゆみを起こしやすい人には、次のような特徴があることが多いようです。
◇乾燥肌
健康な皮膚の肌表面では、外部の刺激から肌を守るバリア機能が正常に働いています。しかし、このバリア機能が低下してしまうと、外部からの刺激が肌内部まで入ってくるのを防ぎきれなくなってしまいます。乾燥肌の人はこのバリア機能が低下しているため、刺激によるかゆみが起きやすくなります。

◇アレルギー体質
本来、体内に侵入する異物を排除するための免疫機能が、特定の物質に対して過剰に反応し、症状を引き起こしてしまうことをアレルギーと呼びます。アレルギーを起こしやすい人は体質的に、IgE抗体と呼ばれる物質を作りやすいと考えられています。

◇ストレス
ストレスで体がかゆくなるという人もいますが、そのメカニズムはよくわかっていません。ただ、アレルギー症状には精神的ストレスの影響で症状が悪化することもあるようですので、注意するといいでしょう。

夜になると肌が痒い! その理由と対処法
それは、湿疹、脂漏性皮膚炎、または乾癬の可能性かも?
でも、仮にそうなら、あなたにはそれが何なのか分かっている可能性が高いし、分かっていない場合でも、医師に見せられるだけの症状が出ていれば、大抵すぐに診断が下りる。

湿疹が出ないのに無性に肌がかゆくなるのは?
夜になると突然肌が痒くなるけれど、湿疹が出ないのは夜間掻痒症。経験者はご存知の通り、これで睡眠パターンがメチャクチャになることもある。

2016年の論文によると、夜間掻痒症の原因はさまざま。
 ・ご存知の通り、概日リズムは睡眠・起床サイクルをつかさどる。このおかげで私たちは夜になると眠くなり、朝になると目が覚める(もともと夜型で夕方や夜にかけて活発になる人以外)。このプロセスの中で夜になると体幹温度が上昇し、皮膚への血流が増えるため、痒みが生じる。
 ・夜になると、体内で作られた熱によって経表皮水分蒸散(TEWL)が起き、これが痒みの一因になることもある。
 ・概日リズムが正常に働くと、抗炎症性の副腎皮質ステロイド(コルチコステロイド)の量が夜間に最も減少するため、痒みを感じやすくなる。
 ・心理的な要因もある。慢性的に肌が痒い人は、大抵ストレスやうつレベルが高い。とはいえ痒みのせいで眠れなくなり、それがストレスやうつにつながるケースもあるので、これは卵が先か鶏が先かの議論かも。

「多血症は、赤血球が増加したために血液が濃くなり、血流が滞る病気です。多血症の人は皮膚(特に顔、手、足)が赤くなるかもしれません」
「シャワーや入浴の後は特に痒くなるかもしれませんね。鼻血やアザができやすいなどの出血問題が起きることも考えられます。それ以外の症状には、頭痛、疲労、高血圧、かすみ目、腹痛などがあります」
この病気は血栓の原因となり得るので、疑われる場合には病院へ。
また、それほど劇的でない要因が絡んでいることもある。
「皮膚のバリア機能が弱っており、皮膚が健康でないときは、体内や外部環境が“肌の不快感”をもたらすこともありますよ」と話すのは、セレブ専属フェイシャリストでスキンエキスパートのナタリヤ・ロビンソン。
「熱すぎるシャワー、室内のエアコンおよびセントラルヒーティングシステムのせいで、深夜に肌が痒くなることもあります」
「マグネシウム不足も原因になりますね。体が日中にミネラルを使いすぎ、夜はミネラル不足になっているのかもしれません」

皮膚の痒みは肝臓疾患のサイン?
原発性胆汁性肝硬変は、肝臓内で炎症が進み、細胆管が破壊される慢性疾患。
この病気の初期症状のひとつは痒みだけれど、症状は他にもあるので、医師による診断が必要になる。

夜に生じる肌の痒みを止めるには?
前述の2016年の論文は治療法にも触れており、それによると抗ヒスタミン剤は夜間の痒みに効果的。ただし、第一世代の抗ヒスタミン剤(眠くなるタイプ)でなければならない。
痒みの原因がアレルギーや薬の副作用なら、その引き金を取り除くことで(可能であればの話だけれど)症状が緩和するはず。
単に乾燥が原因で肌が痒くなることもあるので、入浴後は肌を潤して落ち着かせるコロイド状オートミールのローションや、オイル・アルコール・香料フリーの保湿液を。
自分の部屋に加湿器を置けば、睡眠中も肌が乾燥しない。部屋が暑くなりすぎないよう、室温を一定に保つのがポイント。
ロビンソンによると、マグネシウムのサプリメントを飲み、肌の角質を取りすぎないようにすることで、肌の痒みが和らぐ可能性もある。


背中のかゆみは乾燥肌が原因? 放置する危険性や対策
冬の寒い季節になると、背中にかゆみを感じることはありませんか。背中がかゆいと手が届かずイライラしたり、どんな状態になっているのかもわかりづらかったりと辛い状態になります。
実は、そのかゆみの原因は「乾燥肌」かもしれないのです。しかも、背中のかゆみを放置すると、今より大変な状態になってしまう可能性があります。
そもそも「乾燥肌」とは、どのような状態なのでしょうか。乾燥肌は、肌の一番外側の角質層の水分が少なくなり、皮脂の分泌量も低下することによって乾燥した状態になることです。
水分も油分も少なくなった肌は、肌内部の水分の蒸発を防ぐ「バリア機能」が低下し、外部からの刺激を受けやすい状態になります。
すると、肌は異物が付着したときに刺激として察知し、肌内部の細胞から「かゆみ物質」を分泌してしまうのです。
また、外部からの刺激だけでなく、乾燥が原因でできた湿疹がかゆい場合もあります。湿疹になると、肌がカサカサと粉をふいたような状態になったり、赤くなったりして強くかゆみを感じる可能性もあります。

背中のかゆみは、乾燥肌の他にもニキビ、蕁麻疹(じんましん)、石けんのすすぎ残し、かぶれなどさまざまな原因が考えられます。
ニキビはかゆくなるイメージがあまりない方も多いと思いますが、実はかゆみを伴うこともあります。背中はニキビができやすい場所でもあるので、毛穴が赤くなりポツポツとした状態になっている場合は、ニキビがかゆみの原因の可能性があります。
他にも、背中は見えにくい場所なので石けんのすすぎ残し、湿布などのかぶれが原因でかゆくなっていることもあるのです。
また、蕁麻疹で背中がかゆくなることもあります。蕁麻疹は、食べ物やストレスなどが原因といわれており、皮膚が赤く盛り上がり、強いかゆみを伴います。
このように、背中のかゆみにはさまざまな原因が考えられます。

実は、背中は数ある体のパーツのなかでも、乾燥しやすい部位です。
「皮脂腺」とは、皮膚を外部の刺激から守る皮脂をつくっているところです。背中は頬や頭などの部位より皮脂腺が少ないといわれています。特に皮脂腺の量に対し皮膚の面積が広い背中は、乾燥しやすくなってしまうと考えられています。
背中のかゆみを放置すると、赤くなったり、水ぶくれになったりする可能性があります。この状態を「乾燥性皮膚炎(皮脂欠乏性湿疹)」といいます。
乾燥性皮膚炎になると乾燥が進行し、患部をかいてしまうと炎症がひどくなることも…。背中のかゆみを放置すると症状が悪化するだけではなく、治りが遅くなってしまう可能性があるので、できるだけ早く対処する必要があるのです。

乾燥肌による背中のかゆみ対策
では、背中のかゆみの原因の多くである乾燥肌を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。以下の見出しで、背中の乾燥を防ぐための方法をご紹介していきます。

●保湿剤を使用してしっかり保湿をする
まずは、背中をしっかり保湿して、肌の「バリア機能」を保つことが大切です。背中は手が届きにくいですが、日常のケアが必要です。
また入浴後は肌が乾燥しやすいので、なるべく早く肌に水分が残っている状態のうちに、なるべく早く保湿剤を使用するとしっとりしやすいです。
背中に使用する保湿剤は、とろみのあるローションや乳液タイプのもの、白色ワセリンなどが使いやすいでしょう。

●入浴方法を見直す
背中を乾燥させない方法で、ポイントとなるのが入浴方法です。入浴は肌のうるおいを守る皮脂も洗い流すため、肌を乾燥させないように注意する必要があります。
まず、湯船の温度は40℃以下のぬるめに設定することです。熱いお湯につかると、皮脂を落としすぎる可能性があります。
また体を洗うときは、石けんを綿素材のタオルや手で泡立てて、ゴシゴシこすりすぎないように洗いましょう。石けんは刺激がほとんどないものを選ぶことがポイントです。
そして、体や頭髪を洗ったあとはすすぎ残しがないように、しっかり泡を洗い流しましょう。

●洋服は繊維にも注目して選ぶ
背中は洋服に触れている面積が広いので、繊維が肌の刺激になることも。
保湿性のある木綿素材のものを選ぶことがおすすめです。

●室内の湿度は60%を目安にする
背中の乾燥を防ぐために、室内の湿度を60%程度に保つようにしましょう。寒い季節、暖房やストーブをつけていると、想像以上に部屋は乾燥しています。
部屋が乾燥すると乾燥肌の原因となるので、室内の湿度をチェックし加湿器などで適切な湿度を保つように心がけましょう。加湿器がない場合は、洗濯物を干したり、水を入れたものを置いたりするだけでも湿度がアップします。

●こまめな水分補給を心がける
乾燥肌の対策では、水分をこまめに補給するのも大切です。スキンケアや部屋の加湿も重要ですが、体の内側からうるおすことも必要なのです。
肌と体が適切な水分量を保つには、1日に1.5~2リットルの水分摂取をしなければいけないとされています。のどが渇いたと感じるときには、すでに体は水分不足の状態ですので、その前に水分を補給しましょう。
また、一度にたくさん水分を補給しても尿として排出されてしまうので、こまめに摂るのがポイントです。その際、コーヒーや紅茶など、カフェインを含んだものにも利尿作用があるため、水分は水や麦茶で摂るようにしてください。

●ターンオーバーを整える生活習慣を送る
「ターンオーバー」とは、肌が古いものから新しいものへ生まれ変わることです。乾燥肌の対策として、このターンオーバーを整える生活習慣を送ることもポイント。
偏った食事による栄養不足や睡眠不足は、ターンオーバーを乱れさせる原因となります。新陳代謝をあげるビタミンB2とB6、バリア機能を維持する必須脂肪酸、肌の原料となるたんぱく質を中心に栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
また睡眠時間はしっかり確保し、寝る前は自身にあった方法でリラックスして良質な睡眠をとるようにしてください。

肌のかゆみを感じるとき、多くの場合、ヒスタミンという「かゆみ物質」が関係しています。皮膚になんらかの刺激が加わると、肥満細胞という細胞からヒスタミンが分泌され、知覚神経を刺激。知覚神経から脳に「かゆみ」として伝達されます。
かゆいからと爪で肌をボリボリかくと、知覚神経から神経ペプチドが放出され、さらなるヒスタミンの分泌を促します。かけばかくほどかゆみがひどくなってしまいます。
肌がかゆくてたまらないときは、「冷やす」ことが一番です。冷やすことで知覚神経の興奮を鎮めると、かゆみを抑えることができます。
保冷剤をタオルやハンカチに包んでかゆい部分に当てたり、冷たいシャワーを肌に当てて冷やしましょう。かゆみや炎症を鎮める治療薬を使うのもおすすめです。

スキンケアでは、乾燥を防ぐことが何よりも大切です。かゆみを脳に伝える知覚神経の末端部分は本来、肌の奥に存在しています。しかし、肌から水分が失われた状態が長く続くと、知覚神経の末端は角層のすぐ下、体の表面の近くまで伸びてくるのです。そのような状態では、わずかな物理的刺激にもかゆみを敏感に感じ取るようになってしまいます。
かゆみを防ぐためにも、肌にうるおいを与えて角層のバリア機能を守りましょう。

角層のバリア機能とは
肌のいちばん外側にある角層では、天然保湿因子(NMF)が産生され、水分をしっかり抱え込んだ状態で存在しています。また、天然保湿因子を含んだ角層細胞同士をつなぐ細胞間脂質がきれいに整列し、うるおいに満ちた角層状態を保っています。
この構造によって、紫外線やホコリ、花粉、細菌など外部の刺激から肌を守るはたらきが「角層のバリア機能」です。
しかし湿度の低下や睡眠不足、ストレス、間違ったスキンケアなど、さまざまな原因によって天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質が減少すると、「肌のバリア機能」が低下。乾燥が進み「ドライスキン」の状態になってしまいます。

かゆいとついついかきむしって傷になってしまうことがありますよね。
かきむしる前に医薬品のかゆみ止めを使用していただきたいのですが、もし傷になった場合は、しみる場合がありますので、少量からお試しください。
ただし、出血を伴うような傷になった部分は、出血が治まってから使用してください。なお、医薬部外品や化粧品のクリームは、傷を悪化させてしまう可能性がありますので、傷口を避けて使用してください。

肌の乾燥によるかゆみを防ぐ、3つの原則を知っておきましょう。
(1) 自分に合った保湿剤でケアをする
女性の場合には、クリームなどの保湿剤を使っている人は多いでしょう。でも本当に、自分の肌に合っていますか。
保湿剤には製品によって、セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸、尿素、ワセリン、ビタミンCなど、さまざまな成分が含まれています。肌の状態によっては、尿素などの成分や製品中の保存剤が、肌を刺激し、かえってかゆみを引き起こすこともあります。またコラーゲンやヒアルロン酸のように、もともと肌にある成分であっても、クリームなどからの吸収率や効果は、人によって異なります。
肌の状態は一人ひとり違うので、流行の保湿剤にとらわれず、自分に合ったものを選び、入浴後などにこまめにケアをすることが大切です。肌荒れがひどい場合は、まず皮膚科で相談してから、保湿剤を選ぶようにしましょう。

(2) 肌の代謝をよくする食事を心がける
食事面では、ビタミン類を豊富にとることが大切です。ビタミン類には肌の代謝を促進し、潤いを保つ働きがあります。
とくにビタミンAとCは、その効果が高い栄養素です。また、ビタミンCはコラーゲンの生成を助けるほか、シミやシワを防ぐ抗酸化作用もあります。

<多くとりたい食べ物>
ビタミンA :レバー、ウナギ、ニンジンやカボチャなど緑黄色野菜
ビタミンE :ナッツ類、植物油、アボカド、カブやダイコンの葉など
ビタミンC:キウイ、イチゴ、赤・黄ピーマン、サツマイモ、芽キャベツなど

(3) からだにストレスをためない
ストレスはステロイドホルモンの分泌を高め、肌の代謝バランスを悪化させます(※3)。
とくに睡眠不足は、からだには大きなストレスとなります。また辛い食べ物やたばこも、かゆみがあるときはやめましょう。

(※3)私たちのからだはストレスを受けると、対抗するために副腎皮質から抗ストレスホルモンともいわれるステロイドホルモンを分泌します。このホルモンは、脳の活動にもかかわる重要なものですが、必要以上に分泌量が増えると、記憶機能の障害やインスリンの機能低下、皮膚代謝の乱れなど、さまざまな悪影響をもたらすことが知られています。


ひどい乾燥は、医薬品の高保湿乳液で
肌の乾燥をくいとめ、かゆみを防ぎたい・・・。そんなときは、医薬品の乳液で治す方法もあります。
IHADA(イハダ)のドライキュア乳液は、保湿やかゆみ抑制の働きをもつ4つの有効成分(ヘパリン類似物質、ジフェンヒドラミン、アラントイン、トコフェロール酢酸エステル)を配合。肌の乾燥をすばやく治します。

充分な睡眠・栄養をとる
疲れやストレスの蓄積は、乾燥肌のかゆみを悪化させてしまいます。十分な睡眠や栄養バランスを整えることは、お肌に活力を与え、細胞を元気にします。
特に、ウナギやレバー、ニンジンなどのビタミンAや、豆類やたらこ、植物油などのビタミンEを積極的に摂ることを心がけると良いでしょう。

乾燥肌と乾燥性皮膚炎の違い
  皮膚が乾燥することは誰にでもありますが、皮膚の乾燥が進んで乾皮症と言われる状態になり、それが進行すると乾燥性皮膚炎になることがあります。乾燥性皮膚炎は、皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)とも呼ばれます。
皮膚の表面には角質層があり、さらにその上は皮脂膜で覆われています。角質層は水分や、天然の保湿成分を含み、肌に潤いを与えてくれます。皮脂膜は皮脂と水分からできた保湿クリームのようなもので、角質層から水分が蒸発しないようバリアの働きをしているのです。
しかし肌が乾燥してくると、角質層の水分が不足してきて、皮膚は柔軟性を失い、ひび割れしたり、皮がむけたりします。これが乾皮症の症状です。
乾皮症が進行すると、強いかゆみや赤み、水ぶくれなどの湿疹を併発する、乾燥性皮膚炎(皮脂欠乏性湿疹)になる場合があります。皮脂欠乏性湿疹は脚のすねや脇腹など、皮膚が乾燥しやすい場所に出やすいのが特徴です。

湿疹になるとさらに乾燥が進む
湿疹ができると皮膚のターンオーバーが早くなり、肌がいっそうカサカサした状態になります。それをただの肌荒れと勘違いして放置すると、悪化して治りが遅くなるので注意が必要です。肌の乾燥だけでなく、赤みなどの湿疹の症状がみられる場合は、乾燥性皮膚炎の可能性があります。

加齢と体の洗い過ぎが主な原因
乾燥性皮膚炎の元となる乾燥肌の主な原因は、加齢です。老化現象の1つで、個人差はありますが、高齢になればほとんどの人に皮脂の欠乏が見られます。
ただ、冬の乾燥した時期は年齢に関係なく、乾燥肌になりやすいので注意が必要です。冬はもともと肌が乾燥しやすい上、暖房などで体が温まると肌がかゆくなりやすいので、乾燥した肌をつい何度もかくことによって湿疹化し、乾燥性皮膚炎になることもあります。
また加齢以外にも、過剰な清潔志向が原因になることがあります。たとえば、入浴時に体をゴシゴシと洗い過ぎたりすると皮脂が失われ、肌の乾燥が進んでしまいます。

乾燥性皮膚炎の治療の基本は、皮膚の乾燥を抑えることになります。医療機関では症状に合わせて、外用薬の保湿剤が処方されます。
保湿剤は入浴後、皮膚がしっとりしているうちに塗ると効果が高まります。症状がひどい場合は、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬や炎症を抑えるステロイド外用剤が使用されます。

男性に多い「背中やお腹がかゆい!」 かゆみを引き起こすNG習慣と対処法
「夜寝るとき背中やお腹がかゆい!気になって寝られない」
「体がかゆくてボリボリかいてしまう。掻きすぎて血が出た」
男性に多いこんなお悩み。
たかがかゆみと甘く見がちですが、就寝前などに起こることが多いので気になって寝付けず寝不足に…なんて事が続くと大きなストレスになりますね。
また、かきむしることでより長引く皮膚疾患を引き起こしてしまうこともあるんです。


成人の体の約60%が水分でできているといわれています。お水を飲んだからといってアレルギーが劇的に改善されるわけではありませんが、免疫系機能を改善してアレルギー症状を抑える効果は期待できます。
アレルギー疾患は、全身疾患として考えられます。睡眠や食生活、お水を飲むといった生活習慣は、多様化するアレルギー疾患の症状が改善されるだけでなく、疲労やストレスの軽減、緩和につながるのではないでしょうか。 

人は1日に必要な水分摂取量があり、水を飲まないままでいるとアレルゲンに対する免疫力の低下や脱水症状に陥りやすくなります。目安としては食事以外で1日約1.5リットル。水分不足を解消するには、できるだけたくさんの水をこまめに飲むようにしましょう。
普段から冷たいものをとり過ぎたり、過労やストレスがたまったりすると、胃腸の働きが衰えて代謝が悪くなります。水が体内に溜まると冷えにもつながりさらに悪循環となります。からだを温め新陳代謝を促すためにも白湯や常温水を飲むようにしましょう。継続してお水を飲む習慣を身に着けたいなら、浄水器やウォーターサーバーでお水が飲める環境を作るのはいかがでしょうか。浄水器やウォーターサーバーでおいしいお水を簡単に飲める環境を作るのがおすすめです。
水道水を飲むとカルキ臭がする、おいしくないからという理由で好んで飲まなかった人でも、浄水器やウォーターサーバーならおいしいお水を手軽に補給できます。

夏の熱中症、冬の感染性胃腸炎や、風邪などからの発熱による体調不良、お風呂場での事故など、高齢者には、一年を通じて脱水が病気や事故の原因のひとつとなるリスクがあります。高齢者の身体は、加齢とともに変化し、正常な状態でも、少しの変化で脱水症状が現れる可能性を秘めていますし、症状がでると、あっという間に重篤になる危険もはらんでいるのです。普段から脱水への予防に務めると共に、早い段階で脱水からくる身体の変化に対処するのが大切ですが、当事者は脱水に気づきにくいことも事実。歳をとってくると、あそこがかゆい、ここがかゆいと、腕や背中にかゆみを感じる人が多いですね。
かゆみや皮膚の疾患も、高齢者の場合はその原因の一つに脱水があることを知っておきましょう。なんとなく肌の乾きを感じたら、早め早めに経口補水液など、水分とともに電解質を摂ることをお勧めします。高齢者が体調不良で水分を摂れないときは、周囲の方が、まず経口補水液を飲ませてください。カラダから水分が失われると、血液(血漿)の量が減り、血圧が下がります。すると脳や肝臓・消化器といった臓器を巡る血液量も減り、集中力が低下したり、食欲不振が起こります。少し経口補水液を摂って脱水を改善したあとは、普通にお湯やお水を勧めると、飲んでくれます。



●加齢による体重に占める水分量の変化

脱水ひとくちメモ
まず、高齢になると、貯水量の少ないダムみたいなもので、ちょっとしたことであっという間に脱水状態になってしまうということを自覚しましょう。加齢とともに自律神経が鈍くなり、脳の血の巡りも悪くなっています。季節の変わり目での暑さへの馴れも鈍くなります。少し変だと感じたら経口補水液を飲んでみると良いでしょう。周囲の人も気をつけて、おかしいと感じたら涼しい場所へ連れて行き、経口補水液を摂らせることをお勧めします。

脱水ひとくちメモ
夏場に足がつるのは熱中症のⅠ度の症状です。昔の人は「宝水」と言って、枕元に水差しを用意していましたが、寝る前に水分とともに電解質を摂ることで、夜中に「足がつる」ことを防ぐことができます。また経口補水液ならば、水分と電解質をバランスよく含み、「保水力」も優れていますから、眠る前に飲んでも尿意で目覚めることが軽減されます。

脱水ひとくちメモ
ラジオ体操を毎日やっている人はお元気なんです。自分で汗をかける身体を作ること。それは、自分で体温を調整できる身体になるということなのです。暑くなる夏を前に、体温調節できる身体をつくるようにしましょう。信州大学の能勢博教授の提唱されているインターバルトレーニングの方法をとりいれて、散歩の途中に早歩き5分、普通に歩くことを5分、それを2〜3回程度、繰り返す。などをおこない、筋肉に刺激を与えるといいですね。
そうしたことが無理でも、毎日ラジオ体操をして身体を動かし、うっすら汗をかいている人は、同じような効果が期待できます。だからお元気なのです。そして、汗をかいて、水分と電解質を減らしたぶん、水分と電解質を摂るという習慣をつけるといいでしょう。

脱水ひとくちメモ
対策としては、シャワーでお風呂場を暖めたり、お風呂のふたを開け放して、湯船とそれ以外との温度差を抑えておくなどがありますが、面倒なので、一人暮らしの高齢者だと、ついおっくうになりがちなのです。脱水もその原因のひとつです。もともと水分の少なくなっている身体に急な温度変化で身体が熱を持ち、汗をかくことがあります。血液がドロドロになり血栓などもできやすい状態です。お風呂の後は水分が欲しくなりますが、予防として水分と電解質をバランスよく摂ることができる経口補水液を入浴の前と後に摂ることを私はお薦めしています。

下痢やおう吐は、脱水を引き起こします。身体の水分とともに塩分やカリウムなどの電解質を排出しているのです。高齢になるとモノを飲み込む力「嚥下機能」が低下してしまうので、体調を崩すと水分を摂れなくなる方が多いのです。

脱水ひとくちメモ
下痢やおう吐も、急激に身体の水分や電解質を失う脱水です。高齢者は正常な状態でも水分量が少ない、少し脱水状態のようなもの。体調の変化であっという間に重篤になる危険を持っています。
下痢やおう吐をしたときは、経口補水液を1日500㎖を1本ゆっくり少しずつ摂りましょう。ゼリータイプだと、飲みづらい方でも、ゆっくり飲め、身体にも吸収がいいのでお勧めです。いざというときにすぐ摂れるように、普段から常備しておきたいですね。
この乾燥肌はその名の通り、肌のみずみずしさがなくなってしまい、乾いた状態になった肌のことを言います。乾燥肌対策には、肌に水分を補って潤すことがもっとも大切なポイントになります。
即効性の高い方法として考えられるのは、保湿力の高い化粧品で肌の外側から水分を補う方法です。でも、肌の内側の細胞が乾燥している場合には、根本的解決にはなりません。
乾燥肌対策には、肌を外側から保湿するだけでなく、口からも適切に水分を摂取して、体内の水分量そのものを増やすことが重要になってきます。
本気で乾燥肌対策を考えるためにも、乾燥肌を改善するための水分不足の改善方法について、乾燥肌のメカニズムも含めて考えていきましょう。

私たちの肌は、いくつかのタイプに分けることができます。

皮脂の分泌が多い脂性肌
肌の水分量が低下してしまう乾燥肌
顔の部分によって脂性肌と乾燥肌が混在している混合肌
です。

3つの肌タイプの中で乾燥肌は、皮脂の分泌量低下や角質の水分量の減少が原因で生じる肌トラブルです。
通常、私たちの皮膚の表面には、適量の皮脂が分泌されています。この皮脂と汗とが混ざりあうことで皮脂膜が作られ、皮膚表面は保湿され守られています。

乾燥肌は脂の分泌量が減少することで、皮脂膜が機能しなくなり、その結果、皮膚表面から水分が失われていきます。
もともと肌の角質層には、肌が自ら水分を保持するための細胞間脂質や天然保湿因子(NMF)も存在しています。しかし、乾燥肌ではこれら細胞間脂質や天然保湿因子が減少し、肌細胞の保湿力が低下してしまうのです。
このように乾燥肌になってしまうのには、いくつかの原因があります

.そのほかに考えられている乾燥肌の原因
ホルモンバランスの乱れや体内の水分不足は、乾燥肌の原因になります。しかし、乾燥肌の原因はそれだけではありません。
たとえば、毎日の生活の中ではどうでしょうか?

慢性的な睡眠不足、過度なダイエット、ビタミンやミネラルなどが不足している偏った食生活、ファストフードが多い生活などは、肌だけでなく私たちの体にも悪影響を与えます。

また、紫外線や間違ったスキンケアも私たちの肌に大きなダメージを与えます。乾燥肌に限らず、健康な肌を取り戻すためには、日々の生活習慣も一緒に見直していく必要があるでしょう。

乾燥肌を改善するためにはどうしたらいい?
乾燥肌は、さまざまなことが原因で引き起こされます。なんらかの対策を講じて、できる限り乾燥肌にならないようにしたいですね。
乾燥肌の原因の中で、もっとも簡単に対処できるのは、水分不足の解消です。とは言っても、単に水をたくさん飲めばよいというわけではありません。

乾燥肌を改善し、乾燥肌になりにくい体を作るための上手な水分の取り方のポイントを確認しておきましょう。
1.上手な水分の取り方。
乾燥肌にならないよう、小まめに水分を補給する上で、注意しておくことがいくつかあります。

そのひとつは、飲む水の温度です。
夏、たくさん汗をかいた後に冷たい水分を補給すると、爽快な気分になりますね。
でも、乾燥肌対策をして考えた場合、あまり冷た過ぎる飲み物は厳禁です。冷た過ぎる物を飲むと、体温が低下します。体温の低下とともに細胞の動きも低下するため、新陳代謝をさらに鈍らせてしまいます。
乾燥肌のためには、できれば温かい白湯のようなものを飲みましょう。白湯が物足りないようなら、体を温める作用がある生姜湯やハーブティー、ビタミンが豊富なフレッシュジュースなどもオススメです。
熱中症予防の水分補給ならスポーツドリンクでもかまいませんが、乾燥肌という視点で水分補給を考えた場合には、温熱効果のある成分や美肌成分の含まれている飲み物を選択しましょう。

2.避けたい飲み物
「乾燥肌を改善するために温かい飲み物を選ぼう!」と考え、緑茶やコーヒーを手にした人はいませんか?仕事や家事の合間によく飲まれる緑茶やコーヒーは、実はあまりオススメできない飲み物です。

緑茶はビタミンが多く含まれるので一見すると乾燥肌にも有効であるかのようにも思えますが、緑茶やコーヒーの中にはタンニンという成分が多く含まれています。
このタンニンは、体の中で亜鉛の吸収を阻む働きを持っています。亜鉛は新陳代謝に欠かせないミネラルの一つです。亜鉛の吸収が阻害されては、肌のターンオーバーは改善されにくくなってしまいます。
また、緑茶やコーヒーにはカフェインが多く含まれています。カフェインには利尿作用があり、体の中にある水分を尿として排出させる働きがあります。
水分をとっても利尿作用によって水分が排出されてしまっては、意味がありませんね。同じように、ビールなどに含まれるアルコールにも利尿作用があります。ビールをたくさん飲んでも、水分不足は解消しません。

3.「のどが渇いた!」と思う前に水分補給
水分を補給するタイミングにも注意が必要です。一般的にのどの渇きを感じたときに、人は水分を補給します。でも、実はそのタイミングで水分を摂取するのでは遅いケースがあります。
冬場は喉の渇きを感じにくく、エアコンからの温風で気がつかない間に隠れ脱水になっている可能性があるからです。
熱中症対策の水分補給のタイミングとしてよく言われるように「のどが渇いたと思う前に、水分補給をする」意識を持つとよいでしょう。

乾燥肌を改善するために、こまめに水分補給を行って体の中から水分を補うことは重要です。体内の水分が不足すれば、血液がドロドロになって血行不良になり、新陳代謝に大きな悪影響を与えるからです。

ただ、いくら水分補給をしても、肌表面のスキンケアをおろそかにしていては、水分の蒸発を防ぐことはできません。そのため、肌を外側から適度に保湿してあげることも乾燥肌対策には欠かせません。

高い保湿力のある成分である

ヒアルロン酸
コラーゲン
グリセリン
といったものが配合されている化粧水や、

   ・ステアリン酸コレステロール
   ・セラミド
   ・水素添加大豆レシチン など
が配合された美容クリームがあります。
このようなスキンケア製品を賢く使って、外側からも肌を保湿しましょう。ただし、スキンケアをする際は、決して肌に負担をかけないでください。
「こすらず」「ぬり込まず」「なで回さず」をしっかり覚えておきたいですね。ゴシゴシと肌をこすって成分をむり込むのではなく、軽く押さえるような気持ちで保湿成分を肌に載せていきましょう。

介護のプロが教える上手な「水分補給」のコツ
高齢の方は体内の水分量が減っているので、水分補給は一年を通じて意識しておきたいことです。脱水状態は脳梗塞や心筋梗塞の発症につながりかねません。
身体から水分が失われ、不足することで血液が濃くなります。
濃くなった血液がかたまりとなって血管に詰まってしまうことがあるので、水分補給で脱水を予防することはとても重要なのです。ところが、要介護状態にある方が十分な水分を摂ることは、決して簡単ではありません。
身体が受け付けなかったり、トイレの不安を抱えていたり、理由はさまざまです。
「すすめても水分を摂りたがらない」「少ししか飲んでくれない」などのお悩みを聞くこともあります。
● 高齢者の方の水分補給の目安は?
年齢を重ねた方は、若いときよりもいっそう水分補給を意識的に行うことが必要です。
筋肉の量が減るため、体内に貯めておける水分の量も減ります。
汗をかくなどして失われた水分は、すぐに補ってあげないと脱水状態になりかねません。
では、どれくらいの水分量が必要なのでしょうか。

高齢の方ですと、1日に1~1.5リットル程度が目安。
かなり多いように思いますが、身体を維持するために必要な水分量です。
飲む回数を増やして、一日を通じてしっかり必要量を摂ることが大事。
のどの渇きを感じる機能も衰えているため、こまめに声をかけるなど、サポートしてあげてください。

特に、リハビリや入浴など、汗をかきやすい活動の前後は水分補給が必須。
少し多めに水分を摂るように促しましょう。

● 水分摂取の「目標」と「目的」を示す
在宅介護で水分が不足していないかどうかを見極めるには、水分摂取量を"見える化"するのがポイントです。
たとえば、いつも使っているコップや湯呑み1杯あたりの容量はどれくらいかを把握して、何杯飲んだかを記録したり、1日分の飲み物のペットボトルを用意して、「ここにある飲み物は午前中の分」「夕飯前に、ここまで飲みきってね」というふうに目安を伝えたりすると、わかりやすいと思います。
水分を摂りたがらない方もいらっしゃいますので、 「なんのために飲むのか」をご本人がしっかり自覚することも必要です。
デイサービスや楽しいお出かけの予定などを伝えて、「今のうちから飲んでおいて水分不足を予防しておこう」「元気に行けるように、これは全部飲みましょう」などと声をかけてあげてください。
介護する側からすれば、水分不足で脱水症状になるほうが怖いので、「そんなことは良いから、とにかく飲んで」とすすめてしまいがちです。

しかし、高齢の方や、要介護・要支援状態の方にとって、トイレ問題は非常に深刻。私達にとっては呼吸をするのと同じくらい何気ない行為ですが、年齢を重ねた方の排せつの切迫感は、若いときとは比べものになりません。
ぜひそのことを覚えておいてください。

要介護の方ですと、身体が思うように動かせないために、トイレにいくまでも大変、ドアの開閉やズボンや下着の上げ下ろしにも苦労しているはずです。
排泄の間隔も近くなる上に、我慢もきかなくなり尿漏れの心配も深刻です。
排せつしたいときに時間がかかり、うまくできないかもしれない、失敗するかもしれないというのはとてもストレスを感じることです。
外出先ならなおのこと、「トイレに行きたいと思っても、すぐに探せないかもしれない」「間に合わなかったらどうしよう...」という心配がつのります。
この不安を抱えている限り、いくらすすめても、積極的に水分は摂ってもらえないでしょう。
こうした気持ちを、介護する方が理解してケアすることが、とても大切だと思います。
「トイレはあそこにあるよ」「このタイミングでトイレに行けるからね」と声をかけるだけでも、水分を摂ることへの抵抗感はずいぶん軽減されるはずです。
その日の状況や身体の状態を見て、リハビリパンツを使用するようすすめてみても良いかもしれませんね。
水分を飲んでいただくことだけに懸命になるのではなく、ご本人の心情を察して、可能な限り不安を取り除いてあげることが必要だと思います。

水分補給のタイミングは、「喉の渇き」がひとつの目安になっている方も多いと思います。
しかし、高齢者は喉の渇きを感じにくい方も多いため、気づかぬうちに脱水状態になっていることも多々あります。
あるいはトイレが近くなるため、意識的に水分補給を控えるなどで必要な水分がとれないことがあり、命にかかわる大事に至ることもあるのです。

水分と同時に塩分の補給も
  15~30分に一度、汗の量に応じて200~250mL程度を目安にこまめに水分補給することが大切です。 また、夏場のように暑い時期に運動すると、熱中症になる危険性が高くなります。 熱中症になるほど水分を失ったり体温が上昇している場合は、水分だけでなく塩分も失われています。
からだの機能を維持するために必要な体内の水分(体液)は水と塩分(ナトリウムやカリウムなどの電解質)からできていて、海水のような組成になっています2)3)5)。からだの水分不足(脱水)を防ぐためには、水分だけでなく塩分の補給も必要なことを理解してもらいましょう。

飲み物以外で食べて水分を摂取できる食材
果物  ――→  スイカ、イチゴ、ミカン、リンゴ、桃など
おやつ・デザート  ――→  ゼリー、プリン、ヨーグルトなど
野菜  ――→  トマト、きゅうりなど
食事  ――→  スープ、味噌汁など(薄味)、豆腐、卵豆腐など

高齢者の1日に必要な水分は
どれくらい?
普通に生活をしている場合、体重70㎏の人であれば1日に約2,500mLの水分が出入りしているとされています。特に運動などしていなくても呼吸や汗で自然に約900mLの水分が失われ、尿や便で約1,600mLの水分が排出されますので、その分を摂り入れる必要があります6)。食事から摂る分、体内で代謝によって生まれる分を除くと、飲み物からは、前述のとおり1日に1,000~1,500mL、コップ7杯分程度の水分補給が必要になります。

1日に失われる水分2,500mL
   呼吸や汗から–900mL
   尿や便で–1,600mL

高齢者の体液は、成人が体重の60%を占めるのに対して50%と減少しています3)。そのため脱水や熱中症を起こしやすく、熱中症による救急搬送患者のおよそ半数は65歳以上の高齢者です。

必要な水分量の計算方法
必要水分量は以下の計算式で算出できます。
 【計算式】
体重(kg)×年齢別必要量(ml)=必要水分量

 【年齢別必要量】
   30歳未満・・・40ml
   30~55歳・・・35ml
   56歳以上・・・30ml
 
【計算例①】50歳70kgの場合
      70(kg)×35(ml)=2,450(ml)
【計算例②】70歳55kgの場合
      55(kg)×30(ml)= 1,650(ml)
【計算例③】22歳60kgの場合
      60(kg)×40(ml)=2,400(ml)
体重と年齢別必要量を当てはめて、自分の必要水分量を計算してみましょう。

身体が一度に吸収できる水分量
身体が一度に吸収できる水分量は、200~250mlと言われています。大量に飲んでも吸収しきれなかった分は尿として排出されてしまうのです。せっかく水分を取ったのに排出されては意味がありません。そのため、一度に大量に摂取するのではなく、こまめな水分補給が大切です。
200~250mlはコップ1杯程度であるため、1日6~8回に分けて飲む必要があります。時間帯を決めておくと忘れずに済むでしょう。

水分を摂りすぎると逆効果?
水分を一度に大量に摂取すると「水中毒」を引き起こす可能性があります。
水は体内で利用された後、腎臓で処理され尿として排出されます。しかし、腎臓の能力以上の水を摂取してしまうと、処理が追いつかずに体内の塩分濃度が薄まってしまう「低ナトリウム血症」という症状に陥るのです。
具体的な症状は、「頭痛」「嘔吐」「むくみ」に加えて、重症の場合は「意識障害」が起きる可能性もあるので、水の多量摂取には注意が必要です。
取り過ぎの目安としては、個人差があるところですが、「1時間以内に1L」は飲み過ぎと言えるでしょう。

身体にとっての水分の重要性
生命の維持
潤いは美容の基礎
便秘の解消
 

人間にとって、水分は生命活動に関わるほど欠かせない要素です。また、きれいで美しくあるためにも水分は必須と言えるでしょう。

生命の維持
「人間の身体の60%は水でできている」と言われています。そのため、体内の水分が減少することで様々な健康被害が出るようになります。
減少率      症状
 2%      喉の乾き
 3%      強い喉の渇き、食欲不振、ぼーっとする
 4%      イライラする、体温の上昇、だるさ、尿が濃く量が減少、皮膚が赤くなる
 5%      頭痛、ほてり
 8~10%     けいれん、ふるえ、めまい
 20%      尿がでない、生命活動の停止
 
10%以上の水分が失われると最悪の場合、死に至ることも考えられます。人間にとって水分は生命に関係するほど大切なものということが分かるでしょう。

  <水分補給のタイミング>
   ・寝起き
   ・運動時
   ・入浴前後
   ・寝る前
 主に汗をかくタイミングで、水分補給をすると良いでしょう。汗をかく前と後で身体に水分を補給してあげるのが理想的です。

寝る前の水分補給ルール
「健康のために、寝る前に水を飲んだほうがいい」 就寝前の水分摂取の重要性について、聞いたことがある人も多いでしょう。 しかし、「なぜ寝る前の水分補給が必要なのか?」という理由や、細かな水分摂取タイミング(寝る何時間前に飲めばいいのか)を知る人は少ないかもしれません。 そこでこの記事では、寝る前に水を飲むべき理由や、理想的な水分補給ルールを詳しく学びましょう。

寝る前に水分補給が必要な理由とは?
人間が深い眠りにつくためには、体の内部の温度である「深部体温」が下がっていく勾配を急にすることが重要です。
深部体温の低下はメラトニンホルモンの分泌を促し、眠気を高めやすくします。そして、約0.4度の低下によって深いノンレム睡眠に入っていけると考えられています。
人は自覚の有無にかかわらず、必ず就寝中に汗をかきます。就寝時の生理的発汗は、体から熱を逃すことによって深部体温を下げ、良質な眠りを促しているのです。水分が足りないと発汗による体温調節がうまくいかず、睡眠の質が低下しやすくなります。
ちなみに、就寝から90分ぐらい前の入浴が推奨されているのも、体温が大きく下がるまでに約90分かかるためです。

◇ 寝ている間に汗で失われる水分量とは?
睡眠中に汗と呼気から失われる水分は、約500ml以上、多いときには1リットルほどです。
体重の1~2%の水分減少で、すでに軽い脱水は始まります。
夜間熱中症や脳梗塞といったリスクが高まるので、就寝中の健康を守るためにも、寝る前の水分補給は大切です。

◇ 心筋梗塞や脳梗塞になるリスクが減る
体内の水分量が減少し脱水が進んだ場合、粘度が高いドロドロの血液状態になる可能性が高まります。ドロドロの血液によって血管が詰まると、脳卒中や心筋梗塞のリスクが上がってしまいます。

ちなみに朝は、脳卒中や心筋梗塞が起こりやすい時間帯です。これらの病気を予防するためにも、就寝前後の水分補給が非常に大切になります。

◇ 肌のうるおいが保たれる
就寝中に起こるかくれ脱水は、本人も気付かない特徴があります。そして、体内の水分不足を放置し続けると、以下のように、美肌の大敵ともいえる問題が出やすくなります。

くすみやすくなる
シワや毛穴が目立つ
潤いとハリが失われる など
就寝前の水分補給は、肌のうるおいを保つためにも欠かせません。

◇ 日中の集中力が高まりやすくなる
かくれ脱水が生じると、以下のような症状も出やすくなります。

   ・日中の強い眠気
   ・集中力の低下
   ・頭痛 など

また、重い脱水症状は、精神面にも支障をきたすことがあります。そのため、日中の仕事や勉強を効率よく行なうためにも、寝る前の水分補給で脱水症状を防ぐ必要があります。

寝る前の水分補給!おすすめの水の飲み方とは?
おすすめなのは、就寝前後にコップ1杯(150ml~250ml)の水を飲む方法です。
人間が一日に摂取すべき水分量は2.5リットル程度です。そして、そのうち飲み水は1.2リットル程度と言われています。水分補給による健康効果を高めるには、睡眠の前後だけでなく、朝昼晩の食事中や入浴前後、運動後の8回程度をこまめに飲むのが理想的です。
私は寝る前にコップ1杯の水を飲むことを強く勧めています。朝の脳卒中や心筋梗塞を予防に効果的です。
この就眠前の水は「宝水」と呼ばれています。昔の人は、寝る前に飲む水が健康の維持、さらには命を守ることを経験的に知っていたのでこのような名前になったのでしょう。「寝る前には水を控えています。夜中にトイレに行きたくなって目を覚ますのが嫌なので」という人は少なくありません。
特に夏は、これは危険なこと。なぜなら、起床後の脳卒中(脳の血管が出血したり詰まったりして起こる病気)や心筋梗塞(心臓の血管が詰まって起こる病気)の危険性が高まるからです。

就寝中の発汗で血液はドロドロ!
では、なぜ宝水は朝の脳卒中や心筋梗塞を防ぐのでしょうか。
実は、人は眠っている間に、コップ1杯分ぐらいの汗をかきます。暑い季節になれば、なおさら汗は出ます。ほかにも、吐く息にも水分は含まれています。睡眠中は、体内の水分が大量に失われるのです。
起きていれば、のどが渇くというサインが現れ、水分の補給ができます。しかし、睡眠中は水分補給ができません。どうしても、体は脱水傾向になってしまいます。
すると、血液はしだいにドロドロになっていきます。血液のおよそ6割の水分がどんどんなくなるので、粘度が高まるのです。
その結果、朝の時間帯は血管が詰まりやすくなります。脳の血管が詰まれば脳卒中、心臓ならば心筋梗塞を起こすのです。
これを防ぐためには、夜寝る前に水分をじゅうぶんに補給しておくことがたいせつです。あらかじめ体内の水分量をしっかりと満たしておけば、睡眠中に血液がドロドロになるのを抑えられます(下のグラフ参照)。宝水は、睡眠中に血液がドロドロになるのを防止するのに役立つのです。

宝水の効果は、それだけではありません。寝つきをよくする効果も期待できます。
緊張したりストレスがたまったりしているときは、脳に血液が集まって興奮状態になります。このようなときは、ぬるめの水をゆっくりと飲みましょう。血液が胃腸に移動するので、脳の興奮が静まります。
注意するのは、必ず「水」で水分補給すること。
コーヒーや緑茶、またはビールなどのアルコール類は、利尿作用(尿の出をよくする働き)があり、尿で水分が排出されてしまいます。これでは逆効果です。コーヒーや緑茶にはカフェインも含まれているので、寝つきが悪くなってしまいます。宝水として飲むのは、水であることがポイントです。
飲む水の種類は、水道水でもかまいませんが、私はミネラルウォーターをお勧めします。
特にアルカリ性の軟水は、睡眠中でも新陳代謝を促し、体内環境を整えてくれます

◇ 寝る前の水は何時間前に飲んだらいい?
深部体温を下げるには、就寝90分前に入浴するのが理想なので、その前後で水を飲むことをおすすめします。
就寝90分前に入浴する場合、入浴前後でそれぞれ1杯、就寝前に1杯という流れになります。結果的には、1時間半で3杯を飲むという計算です。
夜間のトイレが心配な場合、寝る1時間前までには水分補給を済ませましょう。

◇ 寝る前の水は飲みすぎても大丈夫?
短時間に大量の水を摂取した場合、尿の処理能力低下によって希釈性低ナトリウム血症という状態になります。医療従事者などはこれを水中毒と呼んでいます。軽症の水中毒で起こる症状には、以下のようなものがあります。

   ・頭痛
   ・めまい
   ・頻尿
   ・疲労感
   ・下痢
   ・浮腫 など

飲みすぎの基準は、体格や環境によって個人差があります。ただ一般的には、1時間ほどの短時間で、1リットル近くの水をがぶ飲みするのはNGと考えられています。
水分補給の鉄則は「こまめに飲むこと」です。
深く質のいい眠りにつくには、深部体温を下げることが大切です。就寝中の発汗は深部体温を下げる働きがあるので、睡眠前には汗の材料である水分を摂取することをおすすめします。
水分が足りないと脱水症状にもなりやすいので、健康を守るためにも、寝る前の水分補給は欠かせません。就寝前後にコップ1杯(150ml~250ml)の水を飲む習慣をつけましょう。

 

 

 

 

 



炭水化物はブドウ糖や果糖などの単糖から、構成されているものを総称して炭水化物と言います。炭水化物には大きく分けると、体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにならない「食物繊維」とに分けることができます。
炭水化物は構成している単糖の数が1個のものを単糖類、2個のものを二糖類、2~10数個のものを少糖類、それ以上のものを多糖類と言います。
 単糖類には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースなどがあり、二糖類にはショ糖、乳糖、麦芽糖などがあります。これらは、すべて体の中でエネルギーになる「糖質」です。ショ糖は、調味料として普段使っている砂糖のことで、ブドウ糖と果糖が結合したものです。また、乳糖はブドウ糖とガラクトースが結合したもので、牛乳に多く含まれています。よく牛乳を飲むとお腹がゆるくなることがあります(乳糖不耐症)。これは乳糖を分解する酵素が足りなくて、消化不良を起こしているのです。
 少糖類はオリゴ糖とも言い、腸内の善玉菌を増やす効果があるとして、特定保健用食品にも利用されています。
 多糖類には、代表的なエネルギー源となるでんぷんや、グリコーゲンがあります。どちらもブドウ糖が多数結合したものです。また、果物に多く含まれるペクチン、こんにゃくに含まれるグルコマンナン、寒天に含まれるアガロースなどの食物繊維も多糖類に分類されます。
炭水化物のうち、ショ糖やでんぷんなどの糖質は、体の中で1gあたり約4㎉のエネルギーを産生します。

 炭水化物は体内では、主に血液中にブドウ糖の形で存在しており、血液中のブドウ糖の濃度が血糖値となります。食事をして血糖値が高くなるとインスリンによって血糖値は低くなり、反対に、空腹になり血糖値が低くなってくるとグルカゴンといったいくつかのホルモンによって血糖値は高くなります。このように、血糖値は厳密に一定の濃度(80~140㎎/㎗)に保たれているのですが、インスリンの分泌量が少なかったり、感受性が悪くてうまく働かなかったりしてこの調整がうまくできず、血糖値が高くなりすぎてしまうのが糖尿病です。

炭水化物が不足するとどうなる
 人がエネルギーとして使える栄養素は、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類がありますが、すぐにエネルギーに変えられるのがブドウ糖です。しかし、体の中では、糖質は少量のグリコーゲンとして肝臓や筋肉の中に蓄えているだけで、余分なエネルギーのほとんどは脂肪として体の中に蓄えられています。
 エネルギーとして血液中のブドウ糖を消費してしまうと、肝臓や筋肉の中に蓄えられているグリコーゲンを分解するのですが、その量はそれほど多くないため、グリコーゲンも尽きてしまうと、エネルギーが不足し、疲れやすくなります。
 特に、脳は、ブドウ糖を唯一のエネルギー源にしています。脳は、昼夜、活動時休息時問わず、ほぼ一定の速度でブドウ糖を燃焼しており、脳だけで1日に120gものブドウ糖を消費するともいわれています。そのため糖質が不足すると、脳や神経への栄養が行き届かなくなくなるため、判断力が鈍り、注意力が散漫になってきます。

炭水化物の性質と働き
炭水化物は、脂質、タンパク質とともに3大栄養素のひとつで、脳や体を動かすといった主にエネルギー源として利用される大切な栄養素です。体内の消化酵素で消化できる「糖質」と、消化されない「食物繊維」に分けられます。
食物繊維の性質と働き
食物繊維は炭水化物から糖質を除いたものであり、人の消化酵素で分解されない食物中の成分です。水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けにくい不溶性食物繊維に分けられます。
水溶性食物繊維は、腸内で水を抱え込み粘着性のゲル状成分となり胃腸内をゆっくり移動するので、お腹がすきにくく、食べすぎを防ぐ効果があります。また、糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の急激な上昇を抑えてくれる働きがあるだけでなく、胆汁酸やコレステロールを吸着し体外に排泄します。大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。これらのことから脂質異常症や糖尿病の予防が期待されています。不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ便の量を増やすとともに腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、腸内に発生した有害物質や便通を促進します。また、腸の働きへの刺激は水溶性食物繊維より発酵性は低いものの、同じく腸内環境を整える整腸効果があります。穀物類やきのこ、根菜といったよく噛まなくてはいけない食品に含まれるため、咀嚼回数増加による満腹感から食べ過ぎを防いだり、顎の発育を促進することで歯並びをよくするといった特性もあります。

一口メモ
免疫機能を高める“腸管免疫”のカギ
私たちの腸内には、1000種類以上、約100兆個の腸内細菌が種類ごとにグループを作って生息しており、顕微鏡で腸の中をのぞくと「お花畑(フローラ)」のように見えることから、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。
食物繊維は、腸内フローラを形成する菌のうち、体によい働きをする「善玉菌」のエサとなって増殖を助けます。腸内環境の改善は、全身の免疫機能の向上にもつながると考えられており、食物繊維の重要性が高まっています。

食物繊維の上手な取り方
食物繊維は穀物、野菜類、海藻類、豆類、きのこ類、果実、甲殻類(エビやカニ)の殻類に含まれています。食物繊維を多く摂取するには調理法を一工夫してみましょう。野菜からたくさん摂りたいのであれば、生よりもゆでたり煮たりと、火を入れた調理のほうがかさが減ってたっぷり食べられます。切り干し大根、干しイチジクなど、生より乾物の方が食物繊維量の多い食品もあります。玄米や胚芽米は白米よりも食物繊維量が多めです。精製度の低い穀類や麦が苦手な方は、ごはんに海藻や豆、昆布を混ぜたりする、麺類の具に野菜やきのこをたっぷり入れるのも工夫の一つ。全粒粉で作られたパンやパスタならより食物繊維を摂取することができます。食物繊維は多くの種類に分類されるので、さまざまな食品を摂取するようにしましょう。

摂取の注意点
摂取不足
近年の日本人は、食生活の変化によってすべての年代で食物繊維の摂取不足が指摘されています。食物繊維不足により腸内に有害物質が作られ、その有害物質が長く体内に留まることによって腸内環境が悪化し、大腸がんの発症リスクを高めるとも考えられています。便秘や痔も心配されますので、不足のないよう積極的に摂取しましょう。
過剰摂取
食物繊維の過剰摂取は軟便、下痢などを起こす場合があります。またカルシウムや鉄、亜鉛などのミネラルの吸収阻害のおそれもあります。しかし、現代の食生活では不足傾向にあり、目標量以上に摂取しても過剰症のリスクはありません。

炭水化物を多く含む食品
炭水化物は、ご飯、パン、麺類などの穀類、いも及びでん粉類などに多く含まれています。また、砂糖及び甘味類や果実類などの甘いものにも多く含まれていますが、甘いものは血糖値を急激に上げてしまうため、穀類やいも及びでん粉類を多く摂ったほうが良いでしょう。
 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品から炭水化物を多く含む食品を表2から表5にまとめました。

表4:砂糖及び甘味類に含まれる炭水化物量より作成
 食品名    可食部100g当たりの成分量    食品の目安重量(廃棄部分を含む)
 上白糖    99.3    大さじ1    9g
 三温糖    99.0    大さじ1    9g
 黒砂糖    90.3    大さじ1    15g
 はちみつ    81.9    大さじ1    21g
 メープルシロップ    66.3    大さじ1    21g
 黒蜜    50.5    大さじ1    18g

低糖質・ケトジェニックダイエットは、寿命を縮める!?
ケトジェニックダイエットを実践中の人はよく聞いて。炭水化物をきちんと摂取していれば、寿命が長くなることが判明したそう。
ケトジェニックダイエットを行っている人には悲報だが、医学雑誌『The Lancet Public Health』に掲載された研究によると、極端な低糖質ダイエットは寿命を縮めることが明らかになったそう。今回はケトジェニックダイエットと寿命の関係性をご紹介。
この実験は15,000人以上のアメリカ人を対象に、食生活に関するアンケートを実施した。研究者はアンケート結果から、彼らの平均摂取カロリーを算出し、炭水化物と脂質、タンパク質の主要栄養素の内訳を特定したという。
ただし、日々の摂取カロリーのばらつきが極端な人や、1日に600kcal未満、あるいは4,200kcal以上のカロリーを摂取している人は、この研究の対象者から除外した。

25年間にわたり被験者を追跡調査した結果、炭水化物を適量に食べている50代の被験者は、炭水化物を極端に制限している被験者よりも平均寿命が4年も長いことが分かったという。また、従来の低糖質食を食べている被験者よりも、2年長いことが判明したそうだ。
この理由から、ケトジェニックダイエットを実践中の人は、食事に含まれる炭水化物がわずか5%にすぎないため、十分に注意を払う必要があるとか。

一方で同研究は、炭水化物が多い食事も同様に健康のリスクが高いことを示している。適度に炭水化物を摂取している人は、全カロリーの65%以上を炭水化物から摂取している人よりも、寿命が1年長くなることが推定されたそう。
何を食べるかで、大きな違いが生まれる。低糖質ダイエットを実践している人は、炭水化物を動物性タンパク質ではなく、植物性タンパク質に置き換えることをおすすめしている。そうすることで、寿命が縮むリスクを少々減らすことができるようだ。

炭水化物を控えるのが危険な理由とは?
炭水化物を控えるのであれば、他の食材で補う必要がある。低糖質食を実践している人は、必須脂肪酸やおなかを満たしてくれる食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれている野菜や果物、全粒穀物に置き換える傾向があると研究著者は説明する。
一方で、ケトジェニックダイエットを行う人は、野菜や果物には糖質が含まれているため、これらを完全に排除する傾向がある。代わりに、この食事法に適した加工肉や低糖質な加工食品など、カロリーと脂質を多く含む食品に置き換えているようだ。
ケトジェニックダイエットを実践する全ての人がこのような食べ方をしているとは一概には言えないが、時間がたつにつれ、似たような食事パターンに陥りやすくなる。

2017年、米国疾病対策予防センターの食生活に関する報告書によると、ケトジェニックダイエットを行う人のみならず、食事におけるバランスに関しては、アメリカ人全体の問題であることが発覚したという。果物の1日の推奨量を摂取できている成人は全体の12%、野菜を十分に摂取している人は全体の9%にすぎなかった。
たとえ炭水化物を減らして劇的に体重が減少したとしても、体重以外の面では体にダメージを与えている恐れがある。また、米国栄養士会によると、赤身肉の食べ過ぎは病気を招く原因となり、果物や野菜を多く食べることでそのリスクを減らせると研究で証明されているそう。
一方で高炭水化物の食事は、精製・加工された炭水化物に偏る傾向にあり(白いパンや甘いシリアル、砂糖が加えられた飲み物など)、肥満や糖尿病、心臓病のような深刻な健康問題を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らしている。

結論: 重要なのは「適度な量」を食べること
最新の米国食生活指針では、平均女性の場合、総摂取カロリーの45〜65%を炭水化物、10〜35%をタンパク質、20〜35%を脂質から摂取するよう推奨している。もちろんこの比率は年齢や性別、身体活動量によって異なる。しかしこのバランスを維持し、必要な栄養を摂取することが大切。なぜなら、より長く健康的な生活を送ることができるからだ。

完全寛解率約28%。がん新治療は「ある栄養素」の劇的制御から
がん細胞が主な栄養源としているのは、炭水化物から合成されるブドウ糖。一方、正常細胞は、ブドウ糖の供給が途絶えても、「ケトン体」という緊急用のエネルギーを作りだすことができる。ならば、がん患者の体質をケトン体依存に変えれば、がんが治療できることになる。その具体例を、『ケトン食ががんを消す』(光文社新書)を上梓したばかりの古川健司氏が解説する。

糖質を極限まで減らす
私たち人間が生きていくためには、炭水化物(糖質+食物繊維)、タンパク質、脂質という三大栄養素が、必要だと言われています。
厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準2015年版」には、エネルギーを得るために推奨する三大栄養素の摂取割合は、炭水化物50~65%、タンパク質13~20%、脂質20~30%と明記されています。
炭水化物の割合が高いのは、そのなかに多く含まれる糖質が、脳や肉体の生命活動を維持するための主要なエネルギー源と考えられているからです。
さて、ここで質問です。あなたが「日本人の食事摂取基準」を遵守し、総エネルギーの60%を糖質でまかなっているとします。その糖質を全エネルギーの10%以下、それも0%へと可能な限り引き下げてみたらどうでしょうか。
「冗談じゃない」という声が、どこからか聞こえてきそうです。「そんなに極端な糖質カットをしたら、頭の働きは鈍るし、第一体力が持つはずがない。これでは、仕事どころか、日常生活にも支障をきたすじゃないか」と。

はたして、本当にそうなのでしょうか。
実は、私が目下、がん治療に取り入れている「免疫栄養ケトン食」は、まさにこの極端な糖質制限を拠り所としているのです。もちろん、血液データその他を吟味しつつですが、なかには「糖質95%カット」を実施している患者さんもいるほどです。

ケトン食とは?
免疫栄養ケトン食とは、私が臨床栄養学に基づいて作り上げ、2015年の臨床研究の成果をもって本格的にスタートさせた、がん治療に特化した栄養療法です。
2014年、抗がん剤効果が期待できなくなったステージ4の乳がんの患者さんに、炭水化物の摂取を極端に控えた糖質制限食を指導したところ、まもなく3センチ大の腫瘍がほぼ消失。肺転移と皮膚転移の一部も消失し、QOL(生活の質)が大きく改善されました
免疫栄養ケトン食の3カ月以上の実施者は、この乳がん患者さんを含めて18人。その治療成績を見ると、がんの完全寛解(消失)が5人、がんが30%以上消失した部分奏効が2人、がんの進行制御が8人にも上り、増悪(悪化)はわずか3人にすぎません。完全寛解が部分奏効よりも多いのは、がんの顕著な縮小や転移巣の消失によって、手術に持ち込めた症例が多いためです。
完全寛解率は約28%。完全寛解も含めた奏効率(がんが消失、もしくは縮小した患者さんの割合)は約39%。進行制御を加えた病勢コントロール率に至っては、実に83%にも上っています。

ステージ4のがん患者も
しかも、実施者の多くは、ステージ4のがん患者さんです。ステージ4と言えば、いわば末期と呼ばれる状態で、この時点で医師の多くは「もはや打つ手なし」と、治療の匙を投げてしまいます。
それを考えると、奏効率39%、病勢コントロール率83%という数字は、まさに驚異的であり、これまでの医学界の常識を覆したと言っても過言ではありません。
私の免疫栄養ケトン食では、炭水化物を極端にカットする代わりに、健常者の約2倍のタンパク質を摂取するようにしています。ごはん、うどん、パン、パスタなど主食となる炭水化物は、一日3食すべてでNG。かわりに、良質なタンパク質と脂質をメインにした食事に切り替えます。
タンパク質を豊富に含んだ食べ物には、魚介類や肉、大豆、卵などがあります。タンパク質が豊富でも、炭水化物も豊富に含まれている食べ物は、基本的にNGです。
青魚など魚介類の刺身は積極的に摂取する必要があります。
肉は、飽和脂肪酸の少ない鶏肉(皮はNG)や牛・豚のヒレ、モモ肉を選び、脂身の部分をできるだけカットして食べます。
鶏肉に関しては、羽を動かす胸肉を推奨しています。なかでも、何万キロも休みなく飛び続ける渡り鳥の胸肉には、イミダゾールジペプチドという抗疲労成分が豊富に含まれており、これが驚異のスタミナの源泉になっています──。

脳の栄養素  ――→  脳はブドウ糖だけでは働けない
「ブドウ糖(糖質)は脳の唯一の栄養」ということがよく言われます。 ... 脳の働きをよくするには、脳内にあるシナプスを作るビタミンDが不可欠です。 シナプスとは脳の神経細胞と神経細胞をつなぐ道のことで、神経を伝達する際になくてはならないものです。
脳と身体にいい食事をとる
 世の中には食べ物に関する本が山ほどあり、新聞や雑誌、インターネットの情報サイトには、食べ物についてまじめに書かれたものからそうではないものまで、さまざまな記事が載っています。ほかにも、テレビ番組で医師や栄養学の専門家がお勧めの食事法について語り、ドイツ連邦食糧・農業省からの推奨もあります。

 新たな情報が次から次へと出てきて、食品業界の不祥事が発覚することも珍しくはありません。また、これまで正しいとされていたガイドラインが、新たな情報によってあっさりと覆されたりもします。「食べると長生きできる」と大きな話題になっていた食べ物が、翌日には「食べると寿命が縮む」と言われることもあるくらいです。

 いったいどの情報を信じたらいいのか? ためらいなく口にすることができるものはあるのだろうか? このような疑問を持つ人もいるでしょう。

 私はこれらのことについて議論するつもりはありませんが、長生きしたり頭を働かせたりするために絶対に必要な栄養物質があるのは確かです。ですから、食事の面からも、どうすれば脳の働きを高めることができるのかを考えることは大切です。

 脳にとって絶対不可欠なものは、「グルコース」「酸素」「水」です。平均的な体重の人では、脳の重さは体重の2%ほどしかありませんが、全身で用いられる酸素の20%と、1日に必要なエネルギー量の約15%が脳で消費されます。5歳児では、なんとエネルギー摂取量の43%が脳のために使われるそうです! この年の子どもがなぜ覚えがいいのか、答えはここにあるのかもしれません。

 一方、身体に脂肪が十分にあったとしても、脂肪がすぐに脳のエネルギー源になることはありません。頭を集中的に使うとやせる、ということがあったらよかったのですが、残念……。脳は脂肪よりもグルコース、つまり単糖類〔それ以上加水分解されない最小単位の糖類〕のほうが好きなのです。グルコースの蓄えが尽きてきたら、身体はタンパク質と脂肪からグルコースをつくります。ただ、グルコースを直接身体に取り入れるほうが、はるかに効率がいいのは明らかです。

 身体に蓄えることができる栄養物質の量は限られています。平均的な体重の大人では、筋肉と肝臓に蓄えられる量はわずか400グラムほどで、そこから1日約200グラム消費されています。しかし、筋肉に蓄えられているグリコーゲン〔グルコースの貯蔵形態〕は筋肉でのみ消費され、ほかの部位のために使われることはありません。肝臓のグリコーゲンだけが再びグルコースに変えられ、血液に含まれて全身に運ばれます。そして、毎日その約60%が脳で消費されます。
 残念ながら、脳にグルコースをグリコーゲンの形で蓄えることはほぼできないといっていいでしょう。酸素についても同様であるため、グルコースも酸素も、血液と一緒につねに脳へ送り込む必要があります。そのために必要な血液の量は、心臓が1分間に送り出す血液量(心拍出量)の13%です。
 脳にエネルギーを与えるために、1日1000~1500リットルもの血液が脳の中を流れているのです。ただし、これはグルコースが十分に身体に蓄えられていることが前提です。ですから、グルコースを適切に補給することが重要です。

高齢になると、なぜ認知症になるのか?
 アルツハイマー病と認知症の違いがよくわからないという人もいるかもしれません。認知症とは、認知機能の低下と関連のあるさまざまな症状の総称です。そうした症状を引き起こす病気は50以上あり、そのうちの1つがアルツハイマー病です。

 ただ、認知症の患者の約3分の2がアルツハイマー病であるため、認知症とアルツハイマー病を同義語として使用している場合も多く見られます。

 一方、認知症の中で2番目に多いのが「血管性認知症」です。アルツハイマー病では、変性したタンパク質の塊が脳に蓄積して、脳細胞同士の情報伝達がうまくいかなくなり、脳細胞が死滅していくことで認知症の症状が起こってきますが、血管性認知症では、脳の血流障害によって認知症の症状が現れてきます。

 20世紀の初めには、まだ認知症についてまったく知られていませんでした。認知症はとくに高齢者に見られるため、より多くの人がより長く生きられるようになったことで、明るみに出てきたのです。ここ130年の間に寿命はほぼ2倍になり、それだけ認知症の問題が深刻になってきています。世界中の神経科学者の約20%が認知症について研究していますが、今のところ完治させる治療法は見つかっていません!

 また、アルツハイマー病の原因となるタンパク質が、ある特定の条件下で、医療行為によってほかの人の細胞に伝染する可能性も示唆されており、これによると、アルツハイマー病は感染性があるということになります。

 ほとんどの科学者らはこの説を認めていませんが、まったく正しくないとも言っていません。いずれにせよ、認知症患者がさらに増え続けることは確実です!

 しかし、認知症を自らの手でつくってしまっていることも多いのです。あまり動かず、ソファーに手足を投げ出して座り、どうでもよい内容のテレビ番組をダラダラと見ていて、新しいことを始めようとしない人が多くいますが、このようなことをしていると、たいてい早くに脳の機能が低下していきます。これまでしてきたことをしなくなったり、新しいことに挑戦しなくなったりすると、それまでに新しくつくられた脳細胞は使われることなく死滅し、ずっと使ってきた脳細胞も使われることがなくなり死滅していきます。

 こうして、認知症のための基盤をつくってしまうのです。そうならないようにしなければなりません!

脳にとって絶対不可欠な3つの栄養物質
長生きしたり頭を働かせたりするために絶対に必要な栄養物質があるのは確かです。ですから、食事の面からも、どうすれば脳の働きを高めることができるのかを考えることは大切です。

 脳にとって絶対不可欠なものは、「グルコース」「酸素」「水」です。平均的な体重の人では、脳の重さは体重の2%ほどしかありませんが、全身で用いられる酸素の20%と、1日に必要なエネルギー量の約15%が脳で消費されます。5歳児では、なんとエネルギー摂取量の43%が脳のために使われるそうです! この年の子どもがなぜ覚えがいいのか、答えはここにあるのかもしれません。

 一方、身体に脂肪が十分にあったとしても、脂肪がすぐに脳のエネルギー源になることはありません。頭を集中的に使うとやせる、ということがあったらよかったのですが、残念……。脳は脂肪よりもグルコース、つまり単糖類〔それ以上加水分解されない最小単位の糖類〕のほうが好きなのです。グルコースの蓄えが尽きてきたら、身体はタンパク質と脂肪からグルコースをつくります。ただ、グルコースを直接身体に取り入れるほうが、はるかに効率がいいのは明らかです。

 身体に蓄えることができる栄養物質の量は限られています。平均的な体重の大人では、筋肉と肝臓に蓄えられる量はわずか400グラムほどで、そこから1日約200グラム消費されています。しかし、筋肉に蓄えられているグリコーゲン〔グルコースの貯蔵形態〕は筋肉でのみ消費され、ほかの部位のために使われることはありません。肝臓のグリコーゲンだけが再びグルコースに変えられ、血液に含まれて全身に運ばれます。そして、毎日その約60%が脳で消費されます。

 残念ながら、脳にグルコースをグリコーゲンの形で蓄えることはほぼできないといっていいでしょう。酸素についても同様であるため、グルコースも酸素も、血液と一緒につねに脳へ送り込む必要があります。そのために必要な血液の量は、心臓が1分間に送り出す血液量(心拍出量)の13%です。

 脳にエネルギーを与えるために、1日1000~1500リットルもの血液が脳の中を流れているのです。ただし、これはグルコースが十分に身体に蓄えられていることが前提です。ですから、グルコースを適切に補給することが重要です。

脳のビタミン不足が疲れの原因に?
脳にはエネルギー源となるブドウ糖だけではなく、タンパク質やミネラルなどの栄養素も欠かせません。
脳が「ブドウ糖」をエネルギー源としていることは有名ですが、他にもタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素は欠かせません。

これらの栄養素が不足すると、脳内の神経伝達物質をうまく作り出すことができなくなり、疲れや集中力の低下などが起きてしまうのです。

脳内の神経伝達物質は、脳内に入ってくる様々な情報の伝達役を担っています。

意欲や記憶、学習能力をつかさどっている「ドーパミン」「ノルアドレナリン」、興奮を鎮めてくれる「ギャバ」、精神を安定させる「セロトニン」などが代表的な脳内神経伝達物質で、これらのバランスが崩れるとイライラや落ち込み、意欲の低下など、心の状態が不安定になります。

それでは、栄養素ごとに脳内の神経伝達物質との関係を見てみましょう。

【タンパク質】
不足すると集中力ややる気の低下に!

脳の活動に必要な神経伝達物質。
タンパク質が不足すると、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質がつくり出せなくなり、集中力ややる気の低下を招きやすくなります。

【ビタミンB群】
不足すると不眠や集中力低下の原因に!

脳内で重要な役割を果たしているビタミンB群。
特に、ビタミンB6、葉酸、ナイアシンなどは、セロトニンやドーパミン、ギャバをつくり出すために必要不可欠な栄養素です。
不足すると、セロトニンやドーパミンが減少して不眠に悩まされたり、新聞や難解な本が頭に入ってこなかったりといった集中力の低下が現れるようになります。

【ミネラル(鉄)】
不足すると疲労感や立ちくらみの原因に!

セロトニンやドーパミンを作る上で欠かせない栄養素。
特に、鉄は全身に血液を運ぶ役割を担っているため、不足すると脳内の酸素も不足し、疲労を感じやすくなったり、立ちくらみなどの症状が現れたりします。

【脂質(コレステロール)】  ――→ 不足するとストレスを感じやすくなる!
脂質の中でも特にコレステロールは、ストレスに対抗するために分泌されるステロイドホルモンの材料。
不足すると、脳の機能が低下したり、ストレスを感じやすくなったりします。
動物性タンパク質には、セロトニンを作る原料になる「トリプトファン」が豊富に含まれています。

トリプトファンは加熱により壊れてしまいやすいため、効率よく摂るには生で食べるのが一番。

   ・卵かけごはん
   ・牛肉はミディアムレア
   ・魚は刺身やカルパッチョ

など、なるべく加熱しない方法を選べば効率よく栄養が補えます。
生食できる食材は、鮮度が良いものに限ります。
"生食が可能なものか"を確認してからいただきましょう。

【ビタミンB群】  ――→ なるべく加熱をしない方法で
ビタミンB6はカツオやマグロ、サケなどに豊富に含まれ、ナイアシンはタラコやカツオなどに、葉酸はレバーなどに多く含まれています。
動物性タンパク質と同様に加熱すると壊れてしまうため、鮮度を確認し、生食が可能なものは刺身やカルパッチョなどで食べるのが良いでしょう。

【ミネラル(鉄)】  ――→ 動物性を選ぶと効率UP
ほうれん草などの植物性の「非ヘム鉄」は、レバーなど動物性の食材に含まれる「ヘム鉄」に比べると体内吸収率が低いため、なるべく動物性ヘム鉄を選ぶと良いでしょう。
非ヘム鉄の食材で摂る場合には、吸収を促してくれるタンパク質やビタミンCを一緒に摂りましょう。

【脂質】  ――→ n-3系の良質な油をセレクト
サバやイワシ、サンマなどの青魚には、脳の機能アップにも関わるDHAやEPAなどのn-3系脂肪酸が多く含まれるので、積極的に摂りましょう。
一方、お菓子やパンなどに使われるショートニング、マーガリンやマヨネーズに含まれるトランス脂肪酸は脳に悪影響を与えることがわかっているため、摂り過ぎにはご注意を。

疲労感を感じにくい糖質の摂り方のポイント
タンパク質やミネラル、脂質は脳内神経伝達物質をつくる元となりバランスを整えてくれますが、やはり脳の最大のエネルギー源はブドウ糖。

ただし、ブドウ糖の原料になる糖質を過剰に摂り続けると、以下のような症状が現れます。

   ・午後眠気に襲われる
   ・甘い物が常に欲しくなる
   ・食後、集中力や判断力が低下してボーッとする

これらの症状が続くと、倦怠感や疲労感が続いているように感じてしまいますよね。
この状態は、糖質中心の食事になっている可能性があります。
糖質の摂り方にもポイントがあります。
それは、血糖値の急激な上昇を避けること。
急激に血糖値が上がると、脳の働きを不安定にしてしまうのです。
甘い物を食べる場合、甘いお菓子やジュースに含まれるショ糖(砂糖)を避け、穀物やいも類、豆類などでんぷんを含んだ食品を選ぶと、血糖値の上昇が緩やかになります。

このように疲労感や集中力の低下、立ちくらみなどの症状には、脳と栄養素が大きく影響しています。
日々の食事を見直して、全身の倦怠感を吹き飛ばしましょう!

 

 

 

 

 

 



胃食道逆流症は胃の中にある胃液や胃酸などが食道まで逆流して、胸やけやすっぱいゲップ(呑酸。どんさん)などの不快な症状を起こす病気です。胸焼けや呑酸といえば逆流性食道炎がよく知られていますが、胃食道逆流症は大きく「逆流性食道炎」と「非びらん性胃食道逆流症」に分けることができます。
今回の健康塾は「胃食道逆流症の症状と対策ー胸焼け」の謎解きです。

「逆流性食道炎」は食道粘膜にびらん(赤くただれた炎症部分)などの病変が見られるもので、「非びらん性胃食道逆流症」は、びらんなどが見られないのに不快な症状が現れるものです。また、食道の粘膜に炎症があっても症状がない「無症候性逆流性食道炎」もあります。

胃の中は食べ物を消化するために出る胃酸によって強い酸性になっていますが、胃には酸から自らを守る機能があります。一方、食道には酸を防御する機能がないので、なんらかの原因で胃酸などが逆流すると胸焼けなどのの不快な症状が起こる可能性があります。

そもそも食道と胃のつなぎ目には下部括約筋という筋肉がついていて、酸が食道に上がってこないように閉じられています。また、食道は横隔膜を貫く食道裂孔を通って胃に通じているので、横隔膜によってしっかり支えられています。


胃の内容物が逆流しやすくなる原因は、年齢とともに下部食道括約筋のしまりが悪くなってきたり、食道裂孔がゆるんできたりすることにあります。食道裂孔がゆるんで胃がはみ出す「食道裂孔ヘルニア」になると、胃食道逆流を助長します。食道裂孔ヘルニアの原因は腹圧の増加なので、骨粗しょう症などのために腰が曲がり、前かがみの姿勢になっている高齢者や、肥満の人、妊娠している人などがかかりやすくなります。

逆流性食道炎になりやすい人は油っぽいものをよく食べる、飲酒の機会が多い、過食、ストレスが多いなどの胃液をたくさん分泌する生活習慣を持っている人です。

一方の非びらん性胃食道逆流症は、食道粘膜が通常より過敏になっているため、少しの胃酸の逆流でも敏感に反応して症状が現れます。また、胃酸の逆流に関わらず、食道のぜん動運動などの機能に問題があったり、ストレスや睡眠障害など心理的な原因によって症状が出ることも考えられます。

 <逆流性食道炎の特徴>
    ・油っぽいものをよく食べる人に多い
    ・飲酒の機会が多い人、過食しがちな人に多い
    ・ストレスがある人に多い

  <非びらん性胃食道逆流症の特徴>
    ・食道粘膜が過敏になっている
    ・食道のぜん動運動などの機能に問題がある
    ・ストレスや睡眠障害がある人に多い

胸やけ、呑酸が胃食道逆流症の主な症状ですが、以下のような食道以外に現れる症状もあり多彩なので、知っておくと早めに医療機関にかかるきっかけとなるかもしれません。
●胸の痛み
食道への刺激が強いと、胸がしめつけられるような痛みを感じる。
●胃もたれ
胃の中の食物を消化したり、腸に送り出したりする動きが弱く、食べ物がいつまでも胃に残ってしまう。
●のどの違和感
逆流した胃酸により炎症が起き、痛みや違和感がある。声がかすれたりすることもある。
●咳・気管支炎
逆流した胃酸を気管に吸い込んで、気管支が炎症を起こす。
●耳の痛み
食道への刺激が、時には耳の痛みとしても感じられる。

胃食道逆流症になりやすい人
あなたは大丈夫? 胃食道逆流症になりやすいかどうか、食生活や生活習慣をチェックしてみましょう。

過食傾向がある
   ・早食い
   ・食べてすぐ寝る
   ・高脂肪食が好き
   ・アルコールをよく飲む
   ・タバコを吸う
   ・太りすぎ
   ・前かがみ姿勢になりがち
1つでもチェックのある人は胃食道逆流症に注意が必要です。下記に紹介する生活改善法を実践しましょう。

不快な症状は日常生活の改善だけでも緩和されることがあります。暴飲暴食、早食い、食後すぐに寝ることは、3大悪なのでやめましょう。また肥満は胃食道逆流症を引き起こす最大のリスクです。食べ過ぎは胃酸の分泌を増やし、胃内を圧迫します。食生活の改善や運動習慣など肥満解消に努めてください。

胸焼けしやすい食品を避ける

フライや天ぷらなど油っぽいもの、脂肪の多い食物、ケーキやチョコレートなどの甘いもの、ミカン類やパイナップルなど酸っぱいものや刺激のあるもの、コーヒー、紅茶、アルコール類、タバコなどは胃酸の分泌を高めます。また、胃内での停滞が長いため逆流を起こしやすいとされています。アルコールは胃酸分泌を高めるだけでなく、下部括約筋をゆるくします。

寝るときは上体を高くする

食後すぐ横になると、胃の中の胃酸が逆流して食道にたまりやすくなってしまいます。食後1~2時間は横にならないようにしましょう。夜寝るときに胸やけが強い場合は、寝る前の食事は避け、夕食の量は少なめにし、さらに上体を高くして寝ると効果的です。クッションやマットを折り曲げて10~20㎝程度高くなるように工夫して。横向きに寝るときは、左側を下にするとよいといわれています。うつ伏せ寝は胃などを圧迫するので避けましょう。

※胃下垂や胃もたれなど、疾患によって対処法が異なる場合があります。迷ったら、かかりつけ医に相談しましょう

お腹を圧迫しない。

腹圧が上がると胃から食道に逆流しやすい状態になります。重たいものを持たない、排便時にいきまないことを心掛けて。またおなかを圧迫する前かがみの姿勢を改善し、きついコルセットやガードルでお腹をしめつけることもやめましょう。

“胸やけ”という症状を自覚された方は多いと思います。「胸がチリチリ焼けるような・・・、」「食べたものが胸の途中で停滞しているような・・・、」「喉に酸っぱいものがこみ上げるような・・・、」このように表現はさまざまかもしれませんが、あの不快な感じは何が原因なのでしょうか・・・?原因はいくつかありますが、その大本は胃液という強力な酸(塩酸)が食道に逆流するからなのです。

 食道と胃のつなぎ目部分は、食道括約筋という筋肉の働きで食べ物が通る時以外は閉じているので、通常は一旦胃の中に入ったものは食道へは逆流しないような仕組みになっています。しかし食道括約筋が緩んだり、腹圧が上昇したり、同時に食道の蠕動運動が正常に働かなくなると、胃液を含んだ胃内容物が食道に逆流します。食道の粘膜は胃とは異なり、酸に対し防御機能がないため、強酸性である胃液に食道粘膜が長時間さらされると炎症が生じ、胸やけ症状を引き起こします。これが胃食道逆流症です。ひどくなると食道粘膜がただれて逆流性食道炎を引き起こしてしまいます。

 以前までは、この胃食道逆流症は脂肪分を多く摂取する欧米人に多いと考えられていましたが、食事の欧米化(肉類は胃液をより多く分泌させます)・体型の肥満化(腹圧の上昇)・高齢化(食道括約筋の緩み・前かがみの姿勢)などにより、最近は日本でもこの症状に悩まされる人がふえてきています。

 症状は、前述の胸焼け・胃もたれ感・呑酸感だけでなく、頑固な咳・しわがれ声・胸痛など気管支や喉もしくは心臓の病気を疑うような症状を訴える方もいらっしゃいます。
 それでは診断のためにどんな検査を受ければいいのでしょう・・・?
薬を内服してその後の経過を観察する方法もありますが、症状が長期間続くようであれば、ぜひ内視鏡検査を受けてください。胃酸逆流に伴う食道粘膜の発赤やただれを認めれば、診断を確定できます。他の病気を見逃さないためにも、検査をお勧めします。
 次に、治療法と日常生活での注意点をお話します。まずは、胃酸の分泌を抑える薬を内服します。これにより大概は症状が速やかに改善しますが、ここに消化管の運動を手助けする薬を追加することもあります。日常生活の注意点としては、まずは腹圧の上昇を避けることです。それには、
1)肥満・便秘の解消。
2)前かがみの姿勢を避ける。
3)腹部を締め付ける服装を避ける。
4)重いものを持ち上げない。
以上のことに注意したうえ、逆流の予防として、
5)食後1~2時間は横にならない。
6)就寝する際は、クッションなどを利用して上半身を高くした姿勢をとるか、あるいは右を下にするような横向きの姿勢をとることお勧めします。
 日常の食生活においては、まずは食べ過ぎないことに注意したうえで、脂肪分の多いもの・甘味類・チョコレート・サツマイモ・みかん類、このほかコーヒー・お茶(緑茶や紅茶)・アルコールなどの嗜好品を控えます。そして禁煙も心掛けましょう。

日常生活から考えられる原因

1食べすぎ飲みすぎ、刺激の強い食べ物やアルコール
暴飲暴食をしたり、消化しにくいものを多く食べると、大量の胃酸が分泌され食道へ逆流して、胸やけが起こることがあります。とくに脂っこいものは消化しにくいといわれています。またアルコールやタバコ、香辛料、果汁、炭酸飲料も胃酸の分泌を促進するので、胸やけの原因になります。

2加齢や肥満による筋力の低下
食道の多くは薄い筋肉でできています。加齢によって筋力が低下すると食道の筋肉もしなやかさを失い、胃酸が逆流しやすくなり、胸やけを起こすことがあります。また肥満になると胃や食道の筋肉がゆるみ、そこに腹圧が加わって胃酸が逆流し、胸やけを引き起こします。

3かがんだり、寝ころぶ姿勢が続く
草むしりや日曜大工などで前かがみの姿勢が続いたり、食後すぐに横になると胸やけを感じることがあります。これは、胃よりも食道が下か水平になり、胃酸が逆流することで胸やけを引き起こすからです。また寝る直前に食事をとると、胃酸の分泌が盛んなときに横になるため胃酸が逆流しやすくなります。

4ストレスによる自律神経の乱れ
ストレスを受け続けると胃や十二指腸の働きをコントロールしている自律神経が乱れて、胃酸が過剰に分泌されることがあります。多すぎる胃酸が食道に逆流することで、胸やけを引き起こします。

5胃の粘膜を傷つけるピロリ菌
ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の強い酸の中で生息する細菌です。このピロリ菌は胃酸から身を守るために常にアンモニアを出し続けています。ピロリ菌が粘膜を傷つけるメカニズムには多くの説があり、複数のメカニズムが絡んでいると考えられています。一つには、ピロリ菌が出すアンモニアが胃の粘膜を繰り返し傷つけ、慢性胃炎を繰り返し、胸やけの原因になります。また、粘膜が直接胃から分泌される胃酸と消化酵素にさらされ、胃潰瘍に進行していくと考えられています。


予防法

1規則正しく食事をとる
不規則な時間に食事をとることは胃に負担がかかりますから、規則正しい時間に食事をとるようにしましょう。食事の際は、脂っこいものばかりとりすぎないように注意し、腹八分目を心がけましょう。また胃酸を過剰に分泌し、胃の機能を低下させる強いアルコールやタバコはなるべく控えましょう。

2食後に休息をとる
食べ物を消化するためには消化器への多くの血液が必要です。食後すぐに仕事をしたり、外出したり、お風呂に入るなど体を動かしてしまうと、消化に必要な血液が手足に流れてしまいます。食後30分はゆっくりと休む習慣をつけましょう。

3ピロリ菌を除菌する
病院でピロリ菌検査を受けると、ピロリ菌感染の有無がわかります。いくつか検査方法がありますが、吐いた息で検査するなど、比較的どれも簡単なものです。そして、このピロリ菌は病院で処方された薬を服用するだけで痛みもなく除去することができます。除菌をすることにより、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がんを予防することや、潰瘍の再発を抑える効果も認められています。

1牛乳を飲む、ガムを噛む
胸やけが気になるときは、胃の粘膜を守る働きがある牛乳を飲みましょう。また唾液には胃酸を中和する作用があります。食後にチューインガムを噛んで唾液を分泌することで胸やけを抑えることができます。

2お腹を強く締め付けない
胃酸の食道への逆流を招きやすくする胃の圧迫を避けるために、ベルトや帯、コルセットはゆるめにしましょう。また妊娠中は胃が圧迫されるので、注意が必要です。食事は一度にとらず、何回かに分けてとりましょう。

3就寝時の姿勢を工夫する
横になったときに胸やけが起こりやすい場合は、背中に座布団や薄い布団を敷いて、上半身を20〜30度上向きにしておくと、胃酸の食道への逆流を防ぎやすくなります。

4市販の薬を使う
食欲不振や食べすぎ飲みすぎによる胃痛、胃もたれ、胸やけ、腹部の膨満感などには胃腸薬を服用してみましょう。また、ストレスからくる胃痛、下痢、のどのつかえ感などの胃腸の不具合には、神経性胃炎の効能のある胃腸薬や、最近では症状ごとに選べる新しいタイプの漢方処方の胃腸薬もあります。

一口メモ
胃は消化の要、食べた物は、栄養として体に吸収されやすいように、胃が胃酸とぜん動運動によって柔らかくしています。液状のもので1〜5分、固形物は5〜6時間もかけて柔らかくされ、腸へと送られていきます。その消化に必要な胃酸の量は、1日で約2リットルにもなります。このように、胃は体のために活発に活動していますので、生活習慣に気をつけて、胃に優しい生活を送るように心がけましょう。

胸焼け対策でまず注意したいのは、食生活です。胃酸の分泌を活発にする脂肪分や香辛料は、摂りすぎないようにしましょう。また、食後の姿勢にもご注意を。すぐ横にならず、食道を胃より高い位置に保つ姿勢で休みましょう。それでも胸焼けになったら、牛乳を飲むと効果的。逆流した胃酸を洗い流し、食道の粘膜を保護してくれます。また、食後にガムを噛むのもおすすめ。アルカリ性の唾液が、胃酸を中和して症状を和らげてくれますよ。食欲の秋はすぐそこ。胸を痛めている場合では、ありません。

のような症状でお悩みはございませんか?
  □胸やけがする
  □胸が熱い・つかえる
  □酸っぱいものがこみ上げてくる
  □胸に違和感や不快感がある
  □背中が張る
  □咳が続いている
  □寝起きに口の中が気持ち悪い
  □胃が張っている感じがする
  □みぞおち辺りが痛い
  □頻繁にげっぷが出る

胸やけの原因はストレス?
食べ過ぎ・飲み過ぎ
食べ過ぎ、飲み過ぎをはじめ、また食後すぐに横になる習慣も、胃腸の負担となり胸やけの原因になります。消化の良い食事を心がけ、胃腸を休ませてあげることも大切です。
刺激物、脂肪分の過剰摂取
辛いものや酸味の強い刺激物
肉類や揚げ物といった脂肪分の多いもの
栄養の偏り、摂り過ぎは胃もたれや胸やけを誘発します。日頃からバランスの良い食事を心がけましょう。
胃の圧迫
肥満や妊娠中、便秘などの症状でも、胃が圧迫され胸やけの症状があらわれます。
体重管理や食事量の調整、適度な運動を心がけましょう。
食後の胃は圧力が高いため、食後3時間経過してからの睡眠を心がけましょう。
喫煙
喫煙は、食道と十二指腸をつなぐ括約筋を緩めてしまいます。
胸やけの症状や、痰が出るなど、呼吸器の症状にも関わる場合があるため注意が必要です。
ストレス
ストレスは、胃の働きを低下させるため胸やけだけではなく、潰瘍を引き起こすこともあります。
ストレスを溜め込まないために、睡眠をしっかりとったり、気分転換をしたりしてケアしましょう。

胸やけ、ムカムカ、知っておきたい正しい知識
コロナ禍の自粛生活で、体重が増えた人、お酒の量が増えた人は多いと思いますが、そのなかに「最近、胸やけがひどい」「胃が痛くなることが多くなった」と感じている人はいませんか。よくある症状なので放置しておきがちですが、もしかしたら知らないうちに、逆流性食道炎になっているかもしれません。実は昨今、若い人にもこの病気が増えているようです。
そこで、逆流性食道炎の手術を多数手がけてきた関洋介先生の著書『胸やけ、ムカムカ、吐き気、胃痛、げっぷ……それ全部、逆流性食道炎です。』(アスコム刊)より、症状別の対処法など、知っておきたい「逆流性食道炎」の情報をお伝えします。
逆流性食道炎とは、どのような病気か
テレビ番組などのおかげで「逆流性食道炎」という病名は、よく知られるようになりました。実際、私のクリニックに来る患者さんの大半が「私は逆流性食道炎でしょうか?」「逆流性食道炎がひどいのですが」などと最初に言います。

しかし、少し誤解があります。「逆流性食道炎」は、胸やけ、胃もたれなど胃液の逆流によって起きる病気の「一部」だということです。「逆流」というインパクトのある言葉がマスコミ受けするために、この病名ばかりが有名になってしまいました。まず読者の方には、病名を表す用語を正しく理解していただきたいと思います。

胃液など胃内容物の逆流によって起こるわずらわしい症状のすべてが逆流性食道炎ではありません。このような症状を起こす病気を総称して「胃食道逆流症(GERD=ガード)」といいます。そのうち、食道粘膜が炎症を起こして「びらん」や「潰瘍」があるものを「逆流性食道炎」(食道に炎症が起きている状態)と呼び、「びらん」や「潰瘍」のないものは「非びらん性胃食道逆流症(NERD=ナード)」と呼んで区別しています。

逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症の患者さんの割合は、大体4対6です。つまり、「私は逆流性食道炎では?」と言ってくる患者さんの半分以上は逆流性食道炎ではなく、非びらん性胃食道逆流症ということになります。ですがここでは理解してもらいやすくするため、あえてどちらも「逆流性食道炎」と呼ぶことにします。

 

 

 



年齢を重ねると若い頃のようには眠れなくなってきます。眠れないことで生活リズムが崩れて、いろいろな問題が起こってきます。高齢者は若い人に比べて、夜中に目が覚める中途覚醒や、朝早く目が覚める早朝覚醒といった人が多くいます。生活習慣を見直しましょう。
睡眠にかかわる3つのしくみ、人は、脳とカラダに休養を与えるために眠ります。睡眠には3つのしくみがかかわっており、そのしくみのひとつに体内時計が関係しています。目覚めている間に脳に疲れがたまり、脳の活動が低下して眠くなるもので、覚醒していた時間に依存するしくみといえます。例えば、徹夜をすると、長時間覚醒時に疲れがたまり、次の晩はぐっすりと長時間眠れるのはこのしくみのためです。
体内時計により、夜になるとカラダと心を休息の状態に切り替えて、自然に眠くなります。この“カラダと心を夜の休息の状態に切り替える”ために重要なのが、メラトニンというホルモンです。メラトニンは、夜暗くなると脳から分泌され、体内時計に働きかけ、カラダと心を夜の休息の状態に切り替えます。例えば、前日に十分寝ても、次の日の夜になると眠くなるのはこのしくみのためです。
目覚めている必要があるときに、脳の活動状態を保つしくみです。このしくみの調節にはオレキシンという覚醒物質がかかわっており、日中は多く分泌され、覚醒状態が維持されます。夜になるとオレキシンの分泌量が少なくなり、覚醒状態を維持できなくなるため眠くなります。

ラトニンとは?
メラトニンは脳の松果体と呼ばれる部分から分泌されるホルモンです。
体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

朝、光を浴びると、脳にある体内時計の針が進み、体内時計がリセットされて活動状態に導かれます。また、体内時計からの信号で、メラトニンの分泌が止まります。メラトニンは目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌されます。 徐々にメラトニンの分泌が高まり、その作用で深部体温が低下して、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。
このメラトニンは眠りを誘うほかに、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促したり、疲れを取ってくれるために、病気の予防や老化防止にさまざまな効果を持つと考えられており、注目されているホルモンのひとつです。
メラトニンの分泌は主に光によって調節されています。夜中に強い照明の中にいると体内時計の働きが乱れてメラトニンの分泌が抑えられます。これが睡眠覚醒リズムが乱れる原因となります。

加齢とともに減少するメラトニン
メラトニンは、年齢を重ねるとともに分泌量が減ることが明らかになっています。年をとると朝早く目覚めたり、夜中に何度も目が覚めたり、若い頃より睡眠時間が減ってくるのは、加齢により体内時計の調節機能が弱まっているためと考えられています。

なぜ起こる? 「体内時計の乱れ」
現代の日本では、「体内時計の乱れ」の原因である夜間のメラトニンの分泌低下を引き起こす環境が数多く存在します。

1. 夜間の光環境の変化
高度成長化した日本では、夜通しまぶしいほどの光がこうこうと輝き、夜間でも明るい照明の中にさらされる時間が多くなっています。テレビではいつでも鮮やかな映像を見ることができ、パソコンやスマートフォンの画面を眠る直前まで使用すること、また、LEDの普及などにより光の刺激を受けています。本来眠る時間に強い光の刺激を受けると、眠りをうながすホルモンであるメラトニンが分泌されにくくなり、体内時計が乱れて、寝つきが悪くなったり、日中の不都合な時間帯に眠気が襲ってくるようになるのです。
2. 24時間社会
近年日本では昼も夜もなく社会が動き続ける「24時間社会」となっており、大人からこどもまで人々の生活は夜型化し、就寝時刻が遅くなり、それによって睡眠時間も短縮しています。夜ふかしや暴飲暴食など、不規則な生活から体内時計が乱れて不眠の症状を訴える人も増えています。
3. 高齢化社会
急速な高齢化が進む日本。60歳代以降、不眠を訴える割合が高くなり、80歳代では3人に1人が不眠を訴えています。その背景には、加齢とともに眠りをうながすホルモンであるメラトニン分泌量が減るということが挙げられます。また、仕事を離れる等日常生活で体を動かす機会が減少したり、長く昼寝をするなど昼夜のメリハリがなくなる方も多いため、そのような体内時計が乱れやすい生活スタイルが不眠を引き起こしている場合も多いのです。


我々は人生の3分の1を睡眠時間に割いているといわれています。仮に1日8時間程度の睡眠を80歳過ぎまで継続した場合、その累積時間は約242,000時間にもなるそうです。なぜ我々人間は睡眠にそれほどの時間を割くのでしょうか。それは「身体の休息」に加えて、「記憶の整理」「体内の修復」などが睡眠中に行われているからなのです。
 さて、人はどのようにして眠くなるのでしょうか?
 睡眠は生物の進化過程で変化してきました。海中生物時代では、夜と昼のリズムが規則正しく繰り返す環境に適応するため、陸上生物時代では、太陽の光を頼りに日中は活動する、夜は眠るというリズムを刻み進化してきました。現在我々は、1日周期でリズムを刻む「概日リズム=体内時計」の習得によって、意識せずに日中は活動状態、夜間は休息状態に切り替わります。その体内時計をリセットする因子として、光、食事、温度、メラトニン分泌が関わっており、これらの刺激によって眠気が発生するタイミングが変化するのです。また、活動によって疲れたため、眠気が生じることもあるでしょう。

 人間は進化の過程で身体機能調整と情報処理のため脳を発達させてきましたが、仕事や運動などで脳が疲弊してくると、その機能は徐々に低下してきます。そこで眠ることによって脳を休ませて機能の維持を行い、体の状態を維持するよう努めています。その他、脳内には「オレキシン」という神経伝達物質があり、これが覚醒と睡眠をコントロールしています。オレキシンが分泌されると覚醒状態となり、一方で分泌が低下すると眠気が生じてきます。このようにオレキシンの分泌量で、覚醒と睡眠の状態をコントロールしているのです。

 睡眠は生物の進化過程で変化してきました。海中生物時代では、夜と昼のリズムが規則正しく繰り返す環境に適応するため、陸上生物時代では、太陽の光を頼りに日中は活動する、夜は眠るというリズムを刻み進化してきました。現在我々は、1日周期でリズムを刻む「概日リズム=体内時計」の習得によって、意識せずに日中は活動状態、夜間は休息状態に切り替わります。その体内時計をリセットする因子として、光、食事、温度、メラトニン分泌が関わっており、これらの刺激によって眠気が発生するタイミングが変化するのです。また、活動によって疲れたため、眠気が生じることもあるでしょう。

 人間は進化の過程で身体機能調整と情報処理のため脳を発達させてきましたが、仕事や運動などで脳が疲弊してくると、その機能は徐々に低下してきます。そこで眠ることによって脳を休ませて機能の維持を行い、体の状態を維持するよう努めています。その他、脳内には「オレキシン」という神経伝達物質があり、これが覚醒と睡眠をコントロールしています。オレキシンが分泌されると覚醒状態となり、一方で分泌が低下すると眠気が生じてきます。このようにオレキシンの分泌量で、覚醒と睡眠の状態をコントロールしているのです。

眠らずに済むというのなら、楽しめることがたくさんあるのは間違いないでしょうが、睡眠は私たちの体が必要とする生物学的な衝動なので、その欲求に抗うのは簡単ではありません。
眠らないということは、はやく死ぬことを意味します。飢え死にするよりもはやいんです。

人が眠りに費やす時間を平均すると、25年もの歳月に相当します。しかし、なぜ私たちは眠るのかという疑問には誰も化学的に回答してくれていません。

脳の視床下部の底に位置する小さな領域、小さな房や細胞がタイマーの様な働きをする視交さ上核は私たちに眠るように促します。

光を感じると、起床ホルモンであるコルチゾールの分泌が行われ、暗くなると分泌される睡眠ホルモン、メラトニンが押さえられるますが、暗くなると、逆のことが起こります。

眠りの2段階は、まず、脳内でアデノシンの混合が構築されることから始まります。アデノシンは神経細胞やその他の細胞がエネルギーを蓄えるために使う主要分子、アデノシン三リンを燃焼する時の副産物です。研究によると、脳内のアデノシンが余分に蓄積されると眠たくなるのだとか。

カフェインについて述べる前にアデノシンについて言いましたが、カフェインはアデノシンのような受容体と結びつき、体の疲労を感じさせないように働きかけますが、寝ようとするときにアデノシンが神経細胞により徐々に再吸収されますので、起きた時に、良く休めたと感じれるのです。
つまり、脳が眠れと言う時には眠れば良いのです。とは言え、最大の疑問が残されています。なぜ私たちは眠りというものに縛られているのでしょうか。

人が眠りに費やす時間を平均すると、25年もの歳月に相当します。しかし、なぜ私たちは眠るのかという疑問には誰も化学的に回答してくれていません。

脳の視床下部の底に位置する小さな領域、小さな房や細胞がタイマーの様な働きをする視交さ上核は私たちに眠るように促します。
光を感じると、起床ホルモンであるコルチゾールの分泌が行われ、暗くなると分泌される睡眠ホルモン、メラトニンが押さえられるますが、暗くなると、逆のことが起こります。
眠りの2段階は、まず、脳内でアデノシンの混合が構築されることから始まります。アデノシンは神経細胞やその他の細胞がエネルギーを蓄えるために使う主要分子、アデノシン三リンを燃焼する時の副産物です。研究によると、脳内のアデノシンが余分に蓄積されると眠たくなるのだとか。
カフェインについて述べる前にアデノシンについて言いましたが、カフェインはアデノシンのような受容体と結びつき、体の疲労を感じさせないように働きかけますが、寝ようとするときにアデノシンが神経細胞により徐々に再吸収されますので、起きた時に、良く休めたと感じれるのです。
つまり、脳が眠れと言う時には眠れば良いのです。とは言え、最大の疑問が残されています。なぜ私たちは眠りというものに縛られているのでしょうか。

睡眠というのは、結局のところ、筋肉組織やたんぱく質を合成する細胞や体を修復する組織を成長させるためであったり、ホルモンを成長させたり放出させたりするためのものであったりするわけですが、すべて意識しないままに行われているのです。
なぜ私たちの細胞は私たちが長椅子に座って”ミルウォーキーの主婦たち”を見ている間に眠りにつこうとするのでしょうか。それは、脳が体が感じる以上に眠りを欲しているからに他なりません。
新たに報告された調査によると、眠りは脳を活性化させ、再構築させる働きがあるのだとか。
この説は脳の柔軟性を示しています。私たちは日々見たり、聞いたりする様々なことをすべて覚えておきたいと願うでしょうが、それは脳にとって必要なことでは無いのです。
脳の柔軟説によると、睡眠というものは、脳が一日に起きた新たな出来事の記憶を集めたり、記憶したり、繰り返したりするために必要不可欠なもので、眠っている間の8時間かそこらをかけてその作業を行うのだとか。

食べる物で違いが出る 自律神経を整える「幸せホルモン」
セロトニンを体内で生成する栄養素は、必須アミノ酸のトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物の三つだ。
 トリプトファンは、牛乳・ヨーグルト・チーズなど乳製品や大豆製品に含まれている。ビタミンB6が豊富なのは、さつまいも。イワシからは、トリプトファンとビタミンB6の両方を摂取できる。炭水化物の代表選手は白米です。



これらの栄養素を十分にとることに加え、セロトニンの分泌には、「走る」「歩く」など一定のリズムを刻む運動や、コミュニケーションをとって他者との関わりを持つ「グルーミング」、午前6時半~8時半の朝日を浴びることが良い効果をもたらすという。
 摂取したい栄養素としてはほかに、血管を修復する働きがあるオメガ3脂肪酸がある。くるみ、えごま油、亜麻仁油に含まれている。
トリプトファン セロトニンは脳をリラックスさせる「睡眠ホルモン」です。 そのセロトニンを合成するトリプトファンを多く含む食材には、魚介類・鶏肉・卵・大豆製品(豆腐・納豆など)・ごまなどがあります。 これらを使った食事をとることでセロトニンが生成され、睡眠を促し、睡眠の質をあげることが期待できます。

 反対に注意が必要な食べ物もある。
 自律神経を乱す原因になるのがカフェイン。砂糖の多い「甘い物」は、内臓を弱める。内臓の調子が悪い人は水分不足の人が多い。1日1.5~2リットルは必要。
 自律神経を整えることは、さまざまな病気の予防にもなる。これまで述べた五つのポイントをいろいろと組み合わせて正しい生活習慣をつくることが体をよくしていくことにつながる。

高齢者が睡眠の質を改善する方法をご紹介します。
ご高齢者の不眠を改善する方法とは?薬に頼らないで快眠する!
しっかりと睡眠がとれず、不眠が続くことによって、日中の活動量の低下を招き、外出の機会が減ったり、引きこもりの原因になる場合があります。
そうして活動量が減ってしまうと、身体機能が低下しやすくなり、転倒事故や物忘れの進行といったリスクが増大してしまいます。
不眠の原因をしっかり理解して、対策をとっていきましょう。

健康な睡眠を守る知恵
では、高齢者が健康な睡眠を守り“快眠ライフ”を送るためには、どのような工夫が必要なのか。井上先生にいくつかポイントを挙げていただきました(表)。
① 8時間睡眠にはこだわらない
1日8時間の睡眠が必要と考えている高齢者が多いようですが、実際に日本人の睡眠時間は平均約7時間、高齢者では6時間程度です。適切な睡眠時間には個人差があり、季節によっても変動します。したがって、何時間という数字にこだわらないことが大切です。
② 眠くなってから床に就く
眠くないのに無理に眠ろうとする、それがストレスになり、かえって眠れなくなります。眠くなるのを待って、寝床に入るようにします。
③ 起きる時間を一定にする
寝不足気味のことがあっても、起きるのは毎朝、同じ時間にします。三度の食事も決めた時間にとるようにして、規則正しい生活習慣を身につけましょう。
④ 昼間はしっかり活動性を上げる
朝は日光を取り入れ体内時計を調節します。そして、昼間の活動性を高め、散歩や運動などで太陽の光を十分浴びるようにします。 井上先生は「高齢者の中でも、アクティブな生活を送っている人は、概して睡眠障害になりにくいことが分かっています。家に閉じ込もらず、できるだけ外に出て、活発に活動することが、健康な睡眠を守る知恵」と話しています。

精神的な理由
ストレスや疲労による精神疲労も不眠の原因のひとつとされます。
入眠困難(なかなか寝付けない)・中間覚醒(何度も途中で目が覚める)・早期覚醒(早くに目が覚める)の症状は精神的な影響を多く受けているとされます。
ただの不眠と思っていても自律神経の乱れ、うつ病などの精神疾患に伴う症状であったことも少なくありません。うつ病をもつ人の9割近くが眠れない不眠症状を訴え、睡眠によって休養感を得られないことが代表的な原因の一つであることもわかっています。

ぐっすり眠る為の対処法とは 心地よい眠りのために
「眠り」を義務に感じない
適切な睡眠時間は個人によって差があります。日中眠気で困らない程度であれば自然な睡眠が十分とれているといえるでしょう。
一度横になったとしても、眠気を感じない・目が冴えていると感じるときは一度ベットや布団から出てみましょう。我慢して横になったまま過ごすと不眠の悪化・熟睡感を感じにくいなど眠れない現象が見られることがわかっています。
睡眠リズムを改善するためには、前日の睡眠時間等にかかわらず、なるべく活動的に過ごすことが効果的です。日中眠気を我慢できないとき、集中力を保つことができないときは10~15分程度の仮眠をとりましょう。脳の疲労をとり、作業効率を上げることに役立ちます。
疲れているから長時間寝入ってしまうのではないか?と心配な方は、スマホなどでアラームをかけておくとよいでしょう。

太陽の光をたっぷり浴びる
人間には体内時計が備わっており、網膜から伝わる光の情報をもとに調整されます。
朝の強い光は体内時計を早め、夜の光は体内時計を遅らせる作用を持っています。
寝起きに光を浴びてから約14時間後以降に眠気が生じてくるとされており、このリズムを意識的に作るには一度早朝に太陽の光を浴びることをお勧めします。遮光カーテンなどを使っている場合は、カーテンを開け、自然の光を部屋に取り入れられるようにしましょう。
朝早くに光を浴びると、眠気が生じる時間も早くなります。早く寝るためには早く起きる習慣をつけると、体内時計が調整され自然な睡眠リズムを作り出すことができるでしょう。

自分なりのストレス解消法をつくる
非日常を味わえる旅行などをはじめ、ちょっとおいしいものを食べる、カフェに行く、映画やDVDなどで思いっきり笑ったり泣いたり、など日常の些細なことでもよいのです。自分の感情を開放できるストレス解消法をいくつか見つけてみましょう。
中でも運動を生活に取り入れることは、心地よい眠りのリズムにつなげることができます。軽く汗ばむくらいの強度で構いません。短時間で追い込むよりも、無理なく続けられる程度の有酸素運動を続けることが効果の出る近道です。

人生のおよそ3分の1を占める「睡眠」。健やかな毎日のために睡眠がいかに大切かは、誰もが分かっていることでしょう。にもかかわらず、“眠れない”悩みを抱える人は増え続け、今や睡眠障害は国民病ともいわれるほど。「全国11の総合病院で新患の方を対象に調査を行った結果、5人に1人が睡眠について何らかの悩みを抱えていることがわかりました。これは決して少なくない数字です」と宮澤先生はおっしゃいます。また、精神科医の立場から、患者さんの睡眠の悩みを直接聞く機会が多いという先生は、「眠れない現代社会」の実態をよりリアルに感じているそうです。

睡眠障害の中で、代表的なものといえば不眠症です。不眠といっても人によって症状はさまざま。不眠症のタイプについて伺うと「大きく分けると、寝つきが悪くなる「入眠障害」、熟眠できなくなる「熟眠障害」、途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、朝早く目が覚める「早朝覚醒」の4タイプ」とのことで、

「日本人に多いのは入眠障害で、約60%がこのタイプ。次に多いのが中途覚醒の約27%で、近年このタイプが増えています。ちなみに、症状があれば不眠症というわけではなく、日中の苦痛や集中力低下など、日常生活に影響がでてからはじめて、不眠症の診断を下します」。

高齢者の不眠は何が原因?
不眠症が増え続けるなかでも、ひときわ多いのが高齢者の不眠です。「不眠は加齢とともに増える傾向があり、特に女性は不眠症が多いですね。中高年女性に限ると2人に1人が睡眠の悩みを抱えているというデータもあるくらいです」とのこと。

「高齢者の不眠の原因といえば、まず挙げられるのが日中の活動量の低下ですが、それだけが問題ではありません。年齢を重ねれば、高血圧、糖尿病といった生活習慣病をはじめ、さまざま基礎疾患を合併するようになり、それが不眠につながるといわれています。また、精神疾患との関わりも強く、認知症、うつ病などの方も睡眠障害が認められやすいです。」

そして、要因はさまざまでも「高齢者の不眠は共通の特徴がある」そうです。それは「眠れないことへの不安、焦りが非常に強いこと」

「お年を召されるにつれ、睡眠時間が短くなっていくのはごく自然なこと。でも、若いときのように眠れないことに不安を感じ、どうしようと焦ってしまう方も多いのです」。少しでも眠れないと、不安を感じたり、焦ったり、イライラしたりして神経が高ぶり、余計に眠れなくなるという悪循環を引き起こしてしまいます。

高齢者に多い不眠の理由
原因1:睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の減少
ご高齢者に限らず、人が夜眠るためには「メラトニン」という睡眠ホルモンの働きで眠気をもよおすようになっています。この「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌量が低下することにより「なかなか寝付けない」「眠りが浅い」という不眠の原因につながります。

原因2:夜中に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」
人が眠っている状態には、浅い睡眠状態である「レム睡眠」と深い睡眠状態の「ノンレム睡眠」という2つの睡眠状態があります。
睡眠に入っている前半に、深い睡眠である「ノンレム睡眠」が集中し、睡眠の後半から起床時間に近い時間では、浅い睡眠であるレム睡眠が集中しています。

排尿障害や頻尿などにより、夜間何度もトイレに起きてしまうと、深い睡眠に入る「ノンレム睡眠」が妨げられ、熟睡できなくなる原因となります。

原因3:慢性的な身体の痛みによる不眠
ご高齢者には、加齢により骨密度や、神経や筋肉組織の再生機能が低下していることもあり、慢性的な関節炎や神経痛といった病状を抱えている方がいます。

寝返りをうつたびに、膝や腰の痛みが起きる。身体を横にしているだけでも、首や背中が痛む。このような慢性的な身体の痛みはご本人の想像以上に不眠の原因になっている場合があります。
1.就寝1時間前は、水分摂取を控える 夜間の尿意は、就寝1時間前になったら水分の摂取を控えたりするなどして対策するのが良いです。 ...
2.適度な運動で「メラトニン」の分泌を促す 睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を多くするためには、適度な運動が効果的です。 ...
3.よい睡眠を得るために必要な栄養素

ご高齢者の睡眠を妨げる原因の解決方法とは
ここからは、より良い睡眠を得る方法について解説します。

就寝1時間前は、水分摂取を控える
夜間の尿意は、就寝1時間前になったら水分の摂取を控えたりするなどして対策するのが良いです。改善されない場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。

適度な運動で「メラトニン」の分泌を促す
睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を多くするためには、適度な運動が効果的です。
また、腰や膝を支える筋肉を鍛えることで、筋肉に守られている骨や関節を保護する効果が得られ、慢性的な身体の痛みの解消にも繋がります。

まずは、軽いストレッチやウォーキングなどで、筋肉を緊張させたり緩めたりするリズム運動を取り入れてみましょう。

・運動1:踏み台昇降運動
家の中にある、玄関の登り口や階段の段差などを使い、1段上って、1段下がる。
この単純な運動をできるだけリズミカルに行うことが大切です。段差の上り下りで膝に負担がかかる方は、椅子に座った状態で、足の太ももを左右交互にリズミカルに上げる運動でも良いでしょう。この運動を行う際は、1日10分から長くても30分程度にしてください。

運動は、軽く汗をかく程度が良いですが、無理のない範囲で毎日続けることが大切です。また、運動する時間帯は、起床後、一日の始まりに運動を行うことで身体が活性化し、脳の覚醒を促す効果もあるので、できるだけ起床時間から時間を空けずに行うと良いでしょう。

寝る前に運動を行うと、交感神経を刺激して、逆に寝つきを悪くすることになるので要注意です。

・運動2:ウォーキング
睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の元になる物質は「セロトニン」という物質で、セロトニンの量が増えることでメラトニンの分泌が活発になります。

セロトニンの分泌を増やすには、朝に太陽の光を浴びながら「ウォーキング」をするのが手軽でおすすめです。
その際はリズミカルに手足を動かすことで、より効果的に分泌を増やすことができます。

よい睡眠を得るために必要な栄養素
また、睡眠の質を上げるために必要な栄養素を取り入れることも効果的です。日々の食事の中に取り入れることで、睡眠の質を上げることができる栄養素をご紹介します。

毎日、しっかりと良い睡眠をとるためには、眠る前に脳や神経をリラックスさせることがとても大切です。

このような、脳や神経をリラックスさせる作用のある成分を多く含む栄養素を多く取り入れることで、より深い睡眠を得ることができるようになります。

・栄養素1.トリプトファン
「セロトニン」は睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の元となる物質ですが、脳をリラックスさせる効果もあります。その「セロトニン」を合成する栄養素に「トリプトファン」という栄養素があります。

この「トリプトファン」を多く含む食材は、魚介類・鶏肉・卵・大豆製品(豆腐・納豆など)・ごまなどがあります。
こういった食材を取り入れた食事を多く摂ることでセロトニンの分泌を促し、良い睡眠をとるための効果が期待できます。

・栄養素2.グリシン
「グリシン」は脳をリラックスさせ、体温を下げる作用があります。人の体温は、起床時から上昇し、就寝時間に近づくと、下がっていくという仕組みになっています。

就寝前に体温が下がっていることで、眠りに入りやすくなるのです。この「グリシン」はカジキマグロやエビ・ホタテなどの魚介類に多く含まれています。

・栄養素3.ビタミンB1
ビタミンB1は、神経を沈静化しイライラや不安などのストレスから解放してくれる作用があり、良い睡眠をとるためにとても効果的なビタミンです。
また疲労回復効果もあるので、睡眠中の疲労回復を促す効果もあります。ビタミンB1は海苔に多く含まれているので、朝食で摂取する等、普段のおかずに1品添えてみると良いでしょう。
簡単な運動をしたり、日々の食事に睡眠を促す栄養素を取り入れたり、ご高齢者であっても無理なく不眠を改善し、良い睡眠をとっていただくことは十分可能です。
不眠の改善というと、つい睡眠薬などの内服薬に頼る方法を考えがちですが、薬に依存することなく、自然な方法で不眠を改善できたら素敵ですね。

年をとるにつれて増える睡眠の悩み。高齢者の不眠の原因と3つの改善法
高齢者の睡眠の特徴



高齢者の睡眠には、眠りが短くなったり、浅くなったりする特徴があります。高齢になると、社会活動から遠ざかり、日中の活動量が低下するため、必要とする睡眠量も少なくなります。また、加齢に伴って、睡眠と関係の深い神経の働きや、ホルモンの分泌能力が衰えて睡眠時間が短くなっていきます。特に、60歳以降になると、眠るにはまだ早い時刻から寝床に入ってしまうことで、寝床にいる時間が増えるものの実際の睡眠時間は減るため、不眠症状が悪化します。

若い人では、眠り始めの3時間ぐらいで深い睡眠が何度も訪れ、後半になると浅い睡眠が中心になります。ところが、高齢者の場合は健康な人であっても、深いレベルの眠りが少なく、途中で目覚める回数が増えます。こういった症状は、白髪や老眼と同じように、自然な加齢変化といわれているので、日中も元気で過ごすことができれば心配ありません。
ただし、日中の体調不良が3か月以上続くようであれば、不眠症の治療が必要になります。

高齢者の不眠対策① 朝の光を避ける
高齢になると、朝の目覚めが早過ぎる、ぐっすり眠れないといった、睡眠に関する悩みを抱えることが多くあります。

こうした不眠の対策としてまずあげられるのが、朝の光を避ける方法です。朝の光には、ホルモンや体温などの生体リズムを司る体内時計を調整して朝型にする効果があります。そのため、朝早く目覚めて困る場合は、朝の光を避けることが大切です。光の効果は時間帯により異なり、夕方以降の光は体内時計を夜型に調整します。たとえば、朝の散歩を夕方にするなども効果的です。

高齢者の不眠対策② 睡眠にメリハリをつける
睡眠にメリハリをつけることも不眠対策のひとつです。できれば昼寝は避け、どうしても眠くて昼寝をする場合は早めの時間に、30分間以内にするようにしましょう。昼寝の直前にカフェインを含む飲料をとると、目覚めがすっきりします。

高齢者の不眠対策③ 眠くなるまで寝床に入らない
また、就寝の際には、眠くなるまで寝床に入らないようにします。高齢者は眠くなるタイミングが若い頃より1時間~1時間半ほど早まりますが、質のよい睡眠をとるための体のコンディションが整うのは、平均すると午後10時30分以降とされています。することがないからと早く寝床に入るのではなく、なるべく遅い時刻まで起きていて、本当に眠くなってから寝床に入ることをおすすめします。

不眠症の原因と改善法、自分でできる認知行動療法、睡眠の質を高めるには
心配事などがあるとき、夜、布団に入っても寝つけない、途中で目覚める、目覚めが早すぎて二度寝ができない、などの一時的な不眠は、健康な人にも起こります。原因がはっきりしている不眠は、通常、数日から2週間ぐらいで元に戻ります。ところが、不眠が長引くと、日中にも眠気やけん怠感などの心身の不調が現れ、仕事や家事に支障が出るようになります。このような慢性化した不眠が3か月以上続くと、不眠症と診断されます。

不眠症を長引かせる大きな原因の一つが、不眠が続くことによる不安や焦りです。不眠を招いた原因そのものが解決されても、眠りたいけど眠れないこと自体が悩みになって、慢性化していきます。

もう1つの要因は、独特の睡眠習慣です。早く眠りにつくために、寝床に早く入るとか、朝も寝床にいることでまた眠れるのではと期待するなど、"寝床にしがみつく習慣"がついてしまうと、それらがいっそう眠れない時間を増やし、不眠を悪化させていくのです。

自分でできる不眠症改善「認知行動療法」



いったん慢性化した不眠症は、自然に治ることはあまり期待できないため、治療が必要です。治療には薬を使う場合もありますが、睡眠習慣を改善する治療法として、認知行動療法があります。認知行動療法とは、眠りに対する思い込みや強迫観念を正し、一人一人にあった睡眠習慣を見つけていく方法です。ここでは自分でできる3つの方法を紹介します。

①寝床にしがみつかない
不眠症で苦しんでいる人は、眠ることにとらわれ、寝床は苦しい場所だと無意識に思っているため、緊張感でますます眠れなくなってきます。そこで、眠くなるまで寝床に入らない、眠れないままに寝床で過ごさない、の2つを実行し、"寝床は眠れる場所"だということを体に条件づけます。

②睡眠効率アップ
睡眠効率とは、寝床にいた時間に対する実際に眠った時間の割合(実際に眠っていた時間÷寝床にいた時間)です。不眠症の人は、寝床にいても眠っていない時間が長く、睡眠効率が低い傾向にあるので、最終的には85~90%に上げていくことを目指します。自分の睡眠効率を知るには、睡眠日誌が役立ちます。

③リラックス
寝る前や夜中に目覚めたときに、簡単な体操を行う筋弛緩法を実行しましょう。単に筋肉をほぐすだけでなく、副交感神経の働きでリラックスしたり、脈拍が遅くなったりなど、全身に影響を与えることができます。

いったん慢性化した不眠症は、自然に治ることはあまり期待できないため、治療が必要です。治療には薬を使う場合もありますが、睡眠習慣を改善する治療法として、認知行動療法があります。認知行動療法とは、眠りに対する思い込みや強迫観念を正し、一人一人にあった睡眠習慣を見つけていく方法です。ここでは自分でできる3つの方法を紹介します。

睡眠の質を高めるには



睡眠の質を高めるには、朝、起きる時刻を決めて、たとえ眠くても必ず寝床から出るようにします。太陽の光を浴びると、体内時計はリセットするとされています。光を浴びる時間を一定にして体内時計を安定化させると、やがて入眠時刻も安定してきます。ただし、目覚めが早すぎるときには、早朝から太陽の光を長時間浴びるのは避けましょう。早朝覚醒が悪化してしまうからです。同じ時刻に寝床から離れ、室内で過ごす程度で十分です。また、昼寝は夜の睡眠に影響を与えるので、30分以内に起きるようにしましょう。

夜、寝床につく時間と、朝起きる時間の2つの時刻を守りながら3~4週間ほど繰り返していくと、自分にとって本当に必要な睡眠時間がわかってきます。自然と眠くなる時間に寝床に入るようになり、自ら睡眠をコントロールしているという自信がつけば、気持ちも少しずつ楽になり、不眠も解消されるでしょう。

高齢者の不眠の主な要因
加齢に伴う生体リズムの変化
合計約6時間
加齢に伴い生理機能が徐々に低下するため、必要とする睡眠時間が短くなると言われています。
例えば夜8時に寝て夜中の2時に目が覚めたとして、6時間は寝ているので、睡眠時間としては十分取れていると言えます。
睡眠自体が浅くなり、昼寝も増える傾向にあります。



トイレが近い
加齢に伴いトイレが近くなるため、夜中に目を覚ますことが多くなります。
足腰の痛みなど
足腰が弱り痛みが出やすくなります。また外出が減り、運動が少なくなり、不眠がちになる傾向があります。

薬の服用による不眠
加齢とともにお薬を服用することが多くなった場合、お薬に睡眠を妨げる成分が含まれているために、不眠が引き起こされる場合があります。その場合は、薬を処方してもらった医師へ相談することが必要です。

昼・夜のメリハリをつけよう
昼間、日光を浴び、日中の活動量を増やす
日中の活動量を増やそう
日中は外に出て太陽の光を浴び、日中の活動量を増やすことで昼と夜のメリハリがつきます。体を動かしたり人と会って話をするほうが心地よい疲れが得られ、自然と眠れるようになります。 また、昼寝は3時までに20~30分が適切。あまり長い時間の昼寝は、夜の睡眠に影響を及ぼします。

眠気がないのに早い時刻から床に入るのはやめる

夕食後はすぐに床に就かず、ご家族との団らんの時間や趣味の時間を過ごすなどして、遅めに就寝しましょう。早く寝るとそれだけ早く目が覚めてしまいます。もし、床の中にいて眠れないようなら一度床から出ましょう。

よく眠れないは歳のせい?
健康を保つために睡眠はとても大切です。充実した睡眠は、心身の疲労を回復させるだけでなく、記憶を定着させたり、免疫機能を強化する役目も果たしています。しかし、高齢になると、夜眠れない、眠りが浅い、朝早く目が覚めてしまうといった症状を訴える方が増えてきます。高齢者では、なぜ睡眠のトラブルが起こりやすいのか。その原因と対策について、東京医科大学睡眠学講座教授で、医療法人社団絹和会 睡眠総合ケアクリニック代々木 理事長の井上雄一先生にお聞きしました。

加齢によって睡眠の質が変化
人はなぜ眠るのか。古くて新しい疑問ですが、まだ明確な答えは出ていません。ただ、はっきりしているのは、脳を休ませ、身体の疲れをとり、心身の機能を回復させる上で、睡眠は欠かせないということです。
この大事な睡眠に、何らかの支障をきたし日常生活に影響が及んでいる状態を「睡眠障害」といいます。「布団に入ってもなかなか寝つけない」「眠りが浅い」「一晩に何回も目が覚める」「朝の寝ざめが早い」などがよくみられる症状です。
こうした睡眠障害は若い人にもみられますが、高齢になるほど頻度が高くなります。井上先生はその一因として「加齢による睡眠の質の変化」を挙げます。
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があります。レム睡眠は、身体の力は抜けているものの脳は活動している浅い眠りです。一方、ノンレム睡眠は脳の活動が低下している眠りで、3段階に分けられます。入眠後は第1段階から2、3段階へと、徐々に浅い眠りから深い眠りへと移っていきます。睡眠中は、このレム睡眠とノンレム睡眠が一定の周期で、一晩に4〜5回繰り返します。井上先生は「ノンレム睡眠の第3段階は熟睡状態といえます。ところが高齢者では、この第3段階が減り、特に70歳以上になると、ほとんど消失していることが多くなります。これは、加齢による老化現象で睡眠の質が変わり、眠りが浅く、しかも分断されがちになっているためです(図1)。これ自体は生理的な変化ですので、すぐに中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠障害が起こりやすくなっているといえるでしょう」と説明します。

体内時計の微妙なずれも要因に
高齢者で睡眠障害が起こりやすい要因として、体内時計の微妙なズレも指摘されています。
人間には、ほぼ1日周期でリズムを刻む体内時計が備わっており、意識しなくても、昼間は心と身体が活動状態に、夜になると休息に切り替わります。私たちが夜、自然に眠りへと導かれるのは、この体内時計の働きによるものです。
体内時計は約25時間周期と考えられています。人間は地球の自転に合わせて24時間周期で社会生活を送っています。よって、毎日1時間ほど体内時計はずれますが、朝起きて、日光を浴びたり、運動することでうまく調整されています。この1日周期のリズムを概日(がいじつ)リズムと呼びます。自然のリズムですが、井上先生によると、高齢者の場合、体内時計が前倒しにずれたり、リズムの振幅が小さくなって、これらによる睡眠障害を起こしやすい傾向があるといいます(図2)。
「若い人でも、深夜の残業、夜更かし、運動不足など生活習慣の乱れが続くと、体内時計に狂いが生じます。高齢者の場合、加齢による生理的な変化と生活習慣の影響が重なって、体内時計が少し前に進みがちです。早朝に目が覚めたり、夜、早く眠くなったりするのはこのためで、それによって不眠などの障害が起こりやすくなります」(井上先生)。
ではなぜ、体内時計に微妙な狂いが生じるのでしょうか。そのカギを握るのが、脳の松果体(しょうかたい)と呼ばれる部分から分泌される「メラトニン」というホルモンです。 メラトニンは体内時計に作用して、自然な眠りを誘う働きがあります。私たちが夜、眠くなるのは、このメラトニンが活発に分泌されるためです。ところが最近の海外の研究で、高齢者ではメラトニンの分泌量が減少することが明らかにされています。井上先生は「メラトニンの減少が睡眠・覚醒のリズムを乱して、それが、眠りの浅さ、早朝覚醒など高齢者の睡眠障害に関係すると考えられます」と説明しています。

生活習慣がリスクを高める
このように、高齢者では睡眠の質の変化、体内時計のずれなど、不眠や早朝覚醒を起こしやすい下地があります。しかし、それだけで睡眠障害が起こるわけではありません。「それに加えて睡眠障害のリスクを高めるのは日頃の生活習慣です」。
例えば早朝の散歩。高齢者は、健康に良いからとよく早朝に散歩をします。しかし、実は朝早くから光を大量に浴びることで、体内時計はどんどん前倒しにリセットされていきます。その結果、夜は早くから眠くなり、朝はますます早く目覚めるという悪循環に陥ることもあるのです。井上先生は「生活パターンが乱れ、夜型に傾いているような若い人なら、朝活はお勧めです。しかし、高齢者では、早朝覚醒を防ぐため、極端な早朝活動は控えるのが賢明です」と注意を促します。
また、何もすることがないからと、眠くないのに早く床に入るのも考えもの。「眠らなければ」という意識が強く働き、かえって目がさえて眠れなくなるというパターンに陥りがちです。
高齢者では、こうした生活習慣に加えて、服用している薬の副作用が、睡眠障害を引き起こすこともあります。代表的なものとして、自律神経・中枢神経系に作用する薬やステロイド薬、降圧薬(β遮断薬、Ca拮抗薬)などが挙げられます。さらに、うつ病、自律神経失調症、不安障害、むずむず足症候群、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因で不眠になるケースも少なくないといいます。井上先生は「睡眠障害には薬や病気が関与していることが多いので、眠りに不安のある方は、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみることも大事」とアドバイスします。

健康な睡眠を守る知恵
では、高齢者が健康な睡眠を守り“快眠ライフ”を送るためには、どのような工夫が必要なのか。
① 8時間睡眠にはこだわらない
1日8時間の睡眠が必要と考えている高齢者が多いようですが、実際に日本人の睡眠時間は平均約7時間、高齢者では6時間程度です。適切な睡眠時間には個人差があり、季節によっても変動します。したがって、何時間という数字にこだわらないことが大切です。
② 眠くなってから床に就く
眠くないのに無理に眠ろうとする、それがストレスになり、かえって眠れなくなります。眠くなるのを待って、寝床に入るようにします。
③ 起きる時間を一定にする
寝不足気味のことがあっても、起きるのは毎朝、同じ時間にします。三度の食事も決めた時間にとるようにして、規則正しい生活習慣を身につけましょう。
④ 昼間はしっかり活動性を上げる
朝は日光を取り入れ体内時計を調節します。そして、昼間の活動性を高め、散歩や運動などで太陽の光を十分浴びるようにします。 井上先生は「高齢者の中でも、アクティブな生活を送っている人は、概して睡眠障害になりにくいことが分かっています。家に閉じ込もらず、できるだけ外に出て、活発に活動することが、健康な睡眠を守る知恵」と話しています。

「眠りが浅く、夜中に何度もおきてしまう」「少しの物音で目が覚めてしまう」「眠ったのに翌日も疲れが残っている」など、睡眠に関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。睡眠の質が悪いと体調に影響してしまうので、できるだけ快眠が望める環境を整えることが大切です。

そこで今回は、睡眠不足に悩む方へ向けて、眠りが浅くなる原因や良い睡眠をとる方法などについてご紹介します。
睡眠の質が低下する原因は人によってさまざまですが、おもな原因の一つに「睡眠リズムの乱れ」があげられます。

人は睡眠中に「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の周期を4~5回繰り返しています。基本的に、レム睡眠時は身体は休んでいますが脳は活動を続けており、ノンレム睡眠時は身体も脳も熟睡しています。眠っているときに夢を見たり、逆に夢を見ずに深く眠ったりするのは、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているためです。

レム睡眠とノンレム睡眠の周期は90分ずつ交代で入れ替わりますが、眠り始めてからの3時間はノンレム睡眠の状態になり、必要な睡眠を確保すると言われています。そして、朝になるにつれて徐々にレム睡眠の時間が長くなり、すっきりと目覚められるようにサイクルができています。

しかし、ノンレム睡眠への移行ができず、レム睡眠の状態が長く続いてしまうと眠りが浅くなり、睡眠の質は低下してしまいます。睡眠の時間を十分にとっているという方でも、睡眠リズムが乱れてしまうと「熟睡できない」「寝ているのに疲れがとれない」などの症状に悩まされることになるのです。

睡眠リズムが崩れる原因には、体内時計の乱れや冷え、心理的不安や環境の変化などによるストレス、カフェインやアルコールの摂り過ぎ、寝具や調光、騒音などの睡眠環境の不具合があげられます。睡眠不足に悩んでいる方は、まずは上記を見直すよう心がけましょう。

※1:浅い睡眠。身体は休んでいるが脳は起きている状態。目がピクピクと動く「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」が見られるため、REM(レム)睡眠と呼ばれる。
※2:深い睡眠。身体も脳も熟睡している状態。REMのない睡眠(non-REM)という意味。徐波睡眠(じょはすいみん)とも呼ばれており、睡眠の深さによって4つの睡眠段階に分けられている。

深い眠りにつくための方法
スムーズな入眠を促すには、「深部体温」と「熱放散」に注目しましょう。深部体温は"身体の内部の温度"で、熱放散は"皮膚表面から熱を逃す身体の仕組み"です。

睡眠と体温は深く関係しており、深部体温が下がることで脳と身体は休息モードに入ります。そもそも深部体温は入眠時に自然に下がろうとしますが、より早く深部体温が下がれば入眠しやすくなり、また眠りも深くなりやすいと言われています。

深部体温を下げるには、熱放散を促すのが効果的です。熱を逃すのに効果的な部位は手足で、とくに甲の部分が放熱しやすいと言われています。
たとえば、赤ちゃんは眠くなると手足が温かくなりますが、手足から熱を逃がし、深部体温を下げているから温かくなるのです。それとは逆に、冷え性の方が不眠になりやすいのは手足から熱が逃げにくく、深部体温が下がりづらいからと言えます。

先でも述べたように、"急速に深部体温が下がれば"深い眠りに落ちやすくなります。寝る前に深部体温を"ちょっと"上げることで熱放散がスムーズになり、寝つきにも良い影響を与えることが可能です。

眠れない原因とは?
眠れない原因には、さまざまなものがあります。
心理的なストレスは、睡眠に大きく影響します。心配事や悩み事があると、考え込んでしまいなかなか眠れないものです。また、楽しみなイベントの前日になかなか寝つけず当日に寝坊してしまった、なんてことはありませんか?実はこれも心にストレスがかかった影響なのです。眠れないことに悩み「早く寝なきゃ…」と思うと、それがストレスとなりますます眠れないという悪循環に陥ってしまいます。

生活リズムの乱れも睡眠と関係しています。日光を浴びない、休日はいつもより遅く起きる、朝ごはんを食べないなどをしていると、体内時計のリズムが乱れてしまいます。体内時計がうまく働いていないと、夜眠れなくなることがあります。

寝るための環境にも配慮が必要です。例えば、暑くて眠れない、手足が冷える、外の明かりや騒音が気になる、など。また、寝る前にスマートフォンやタブレット、パソコンなどを見ると、ブルーライトで脳が活性化され、寝つきが悪くなってしまいます。

眠れないときの対処法とは?
まずはリラックスすること。「寝ないといけない」と強く思うことがストレスとなり、余計眠れなくなってしまいます。
軽めのストレッチや筋弛緩運動をして、身体を緩めましょう。筋肉を緩めることで、副交感神経が優位になり、眠りへと導いてくれます。
どうしても眠れないときは、一度布団から出て、本を読んだり、リラックスできる音楽を聴いてみてはいかがでしょうか?この時、絶対にやってはいけないのは、スマホやタブレット、パソコンを見ること。先でも述べた通り、ブルーライトの強い光が影響して、眠りにくくなってしまいます。

また、朝起きて日光を浴びることも大切です。日光を浴びると体内時計がリセットされ、夜には自然と眠気が訪れます。夜の快眠への準備は、実は朝から始まっているのです。

睡眠の質を向上させる方法は、以下のとおりです。

\ 方法1 /生活リズムを整える
人の身体には、太陽の昇沈や四季の巡りといった自然のリズムに呼応した「生活リズム(生体リズム)」が刻まれています。体内時計(主時計・末梢時計)が備わっていることで、日中は活動モード、夜は休息モードに自然と切り替わるようになっているのです。

体内時計は約24時間10分と言われており、1日の時間(24時間)と若干ズレています。たった10分と思うかもしれませんが、1週間だと1時間以上、1ヶ月だと4時間以上もズレが大きくなってしまいます。このズレを放っておくと生活リズムが乱れてしまい、身体に不調をきたす恐れがあるので、1日ごとにリセットする必要があるのです。

朝、太陽の光を浴びると体内時計の「主時計(親時計)」を目覚めさせることができますが、あらゆる臓器や筋肉などに備わる「末梢時計(子時計)」には光が届きません。末梢時計に影響を与えるのは食事なので、栄養満点の朝食をとって末梢時計を目覚めさせましょう。

なお、太陽の光を浴びてから朝食をとるまでの時間は、開きすぎないほうがいいと言われているので、どちらも時間を決めておくといいかもしれませんね。

\ 方法2 /自分に合った寝具選びをする
よく眠れる方法の一つには、自分に合った寝具を選ぶことも含まれます。
就寝中の発汗や温度変化に対応できるよう、吸湿性や放湿性に優れたものを選ぶのはもちろん、自分の体型に合ったものを選ぶことも大切です。

たとえば、枕は安眠に欠かせないアイテムですが、枕の高さが合わないと首や肩がこったり胸の筋肉が張ったりして筋肉が緊張状態になり、翌日に疲れが残ってしまいます。また、枕の不一致はいびきの原因にもなるため、慢性的に睡眠が浅くなり、睡眠サイクルが乱れることもあるのです。
ちょうどいい枕の高さは人によって異なるので、寝具メーカーなどで計測し、自分に合う高さの枕を選んでみても良いかもしれません。

また、マットレスを替えるのも一つの方法です。網状のマットレスは寝返りしやすく通気性が良いので、代謝が高くて暑がりの方におすすめです。逆に冷え性の方にはおすすめできないので、自分の体質に合ったマットレスを選びましょう。
なお、マットレスの硬さには注意が必要です。マットレスがやわらかすぎると腰痛の原因になりますし、逆に硬すぎると骨にあたって痛みを感じたり、血行不良になって寝つきが悪くなったりします。
買い替える際は店頭で寝心地を試すなどして、ちょうどいい硬さのマットレスを選ぶことが大切です。このほか、家具のレンタルサービスを利用して自分に合う寝具を探すのもおすすめです。

寒い時期に電気毛布を使用する方もいるかもしれませんが、一晩中身体を温めていると深部体温が下がりにくくなります。睡眠リズムを乱さないためにも、布団に入ったらスイッチを切るようにしましょう。

\ 方法3 /就寝直前には食事を摂らない
就寝直前の食事は禁物です。食べてすぐ寝てしまうと、身体は消化にパワーを使うため内臓の休息時間が短くなり、眠りが浅くなったり疲れがとれにくくなったりします。

胃に入った食べ物が消化されるまでには、3時間ほどかかります。就寝時には消化が終わっているのが理想的なので、寝る3時間前には食事を終えておきましょう。どうしても食事が遅くなってしまう場合は、消化の良いものを少量食べるようにしてください。

なお、カプサイシンを含む食べ物は深部体温を上げるのに効果的ですが、就寝直前に食べると深部体温が下がりにくくなります。寝つきが悪くなるので注意しましょう。

\ 方法4 /就寝の1時間前に入浴する
前述したように、深部体温が下がると眠くなるため、入浴習慣をつけるのもおすすめです。シャワーでも身体を温められますが、湯船につかることで身体をゆっくりと温めることができます。前述したように、質の高い睡眠には熱放散が関係しています。入浴すると深部体温が高まり、放熱のために血管が開きます。四肢から熱が逃げて深部体温が下がるので、寝つきやすくなるのです。

入浴は、遅くても就寝する1~2時間前には済ませておきましょう。38~40度のぬるめのお風呂は副交感神経を優位にするため、心身がリラックスして寝つきが良くなります。ゆっくりと体温を上げることで末梢血管が広がり、手足からの熱放散がスムーズになります。手足や足首を伸ばすといった軽いストレッチをすれば、より寝つきが良くなるはずです。

なお、忙しくてシャワーで済ませている方、土地柄的に湯船につかる習慣がない方には足湯がおすすめです。深めの容器に39~42度ほどのお湯を張り、ふくらはぎの下までつかってください。

\ 方法5 /ストレスをため込みすぎない
ストレスを感じると、眠りが浅くなります。日ごろからストレスをためないように、発散方法を見つけておくことが大切です。たとえば、休日やすきま時間に趣味を楽しんだり、お風呂やアロマなどで気分をリラックスさせたりするとストレス解消の効果が期待できます。

また、運動して汗をかくのもストレスの発散に一役買うでしょう。適度な疲労感は入眠をスムーズにするため、軽めの運動から始めてみても良いかもしれません。ただし、寝る直前に運動をすると体温が高くなりすぎて寝つきづらくなるためご注意ください。

毎日を心地よく過ごし、これからの人生をより美しく輝かせるために。
着目したのは、「生体リズム」という
人の生き方の本質にせまる考え方でした。

毎日を心地よく過ごし、これからの人生をより美しく輝かせるために。
着目したのは、「生体リズム」という
人の生き方の本質にせまる考え方でした。

日が昇り、日が沈む。
そんな自然のリズムに身体を同調させることができれば、
私たちが本来持っている力はもっと引き出せるはず。
独自の研究から、今、わかっていることをご紹介します。

「生体リズム」とは

もともと私たちの身体に備わっている自然のリズムのこと。朝になれば活動するためにONの状態にし、夜には休息モードにするためOFFの状態へ。この切り替えが正常に働くことで私たちのすこやかさを保ち、活動力を高めることができるのです。
しかし、「生体リズム」はちょっとした生活習慣で乱れやすいもの。そのリズムが狂ってしまうと、人本来の力の低下や悩みを加速させることにもつながります。

「光」と「食」が目覚めの鍵。
朝、活動のスイッチをONにするのは、「太陽の光」と「朝食」。
太陽の光を浴びると、目から入ってくる光が脳の視床下部に直接働いて、体内の時計をONにします。朝陽を浴びにくい場合は、室内の照明を明るくするのもOK。
そして朝食は、なるべくお腹が空いた状態で。前夜の夕食からの長い「絶食時間」の後に朝食を摂ると、脳は今が朝だと認識し、身体のスイッチが入りやすくなるのです。
夕食が遅かったり、朝食を食べなかったりすると、昼までスイッチが入らず、生体リズムが乱れる原因となってしまいます。
朝の食卓に、ONにする食べ物。
朝食にどんな食べ物を摂るか。それも身体をONにする上で重要なポイントです。
ご飯やパンなどの炭水化物は脳のエネルギー源として必要な栄養ですが、実はここで欠かせないのが、ハムや卵、納豆などのたんぱく質。これらは、身体の機能をONにするために働いてくれると言われています。
時間のない朝でも、例えば、おにぎりの具を鮭にする、トーストにハムをプラスする、コーヒーに牛乳を入れる、など簡単な工夫でOK。
朝食は日中のパフォーマンスをぐっと高めてくれる重要な鍵。これで、充実した1日をスタートできます。

睡眠不足に悩んでいるなら、まずは睡眠リズムを整えることが大切です。体内時計の乱れを正したり、ストレスを発散したり、冷えの解消に尽力したりとできることから始めてみましょう。
人は深部体温が下がるときに眠気を感じるので、スムーズに眠りにつくためにも入浴などで深部体温を上げ、熱放散によって体温を下げることも大切です。入浴や食事などの生活習慣を見直すのはもちろん、自分に合った寝具を揃えて快眠できる環境を整えてみてください。

 

 

 

 



がん悪液質とは、がんの進行に伴って出現する、筋肉量の持続的な減少を特徴とする状態で、体重減少、食欲不振、倦怠感などの症状を伴います。飢餓状態でも体重減少を伴いますが、がん悪液質の場合は、筋肉の分解や安静時のエネルギー消費が高まることによって体重が減少します。今回の健康塾は「がん悪液質って何だろう?」の謎解きです。

がん悪液質は進行がん患者の約80%に認められたとの報告があります。がん悪液質による体重減少と食欲低下などの症状は、患者の生活の質を低下させるだけでなく、抗がん剤の治療効果を弱めたり、副作用を強めたり、さらには寿命にまで影響を及ぼすこともあります。

がん悪液質のメカニズムはいまだ不明な点が多いですが、近年少しずつ分かってきたことがあります。
がんから放出されるタンパク質を分解するように誘導する因子が関係することや、脳の中にあるホルモンをコントロールする部位の異常が分かってきています。中でもがん細胞から分泌される炎症性サイトカインは、代謝の異常や食欲不振に関連していると考えられています。最近ではさまざまな伝達物質を介した炎症の現れが悪液質なのではないかともいわれています。
一般に、がんの進行により、亡くなるまで徐々に栄養不良になっていきます。がんの種類によって、悪液質が生じやすいものや悪液質が生じにくいものがあり、生じたあとの進行パターンもさまざまです。

がん悪液質の特徴的な症状には体重減少や食欲不振があります。
全身性の炎症によって筋肉や脂肪組織が分解され、食欲が抑えられるなどした結果、体重減少を生じます。

悪液質による栄養不良には、筋肉の分解促進、血糖を下げるインスリンのはたらきの低下、脂質の分解の促進など全身の炎症によるさまざまな代謝異常が関係しています。この代謝異常が進行すると、栄養療法を行っても有効な治療にならず栄養不良が改善されなくなります。

食欲がないなかで、「きちんと食べて体力をつけなさい」などと言われるのは、とてもつらいことです。「食べないとダメだ」と、家族が無理に食事を勧めるような場面もありますが、これによって、患者さんと家族との間に壁ができてしまうこともあります。また、痩せてしまった自分の外見を気にして、外出を避けるようになり、社会から孤立してしまう可能性があります。元気だった頃との比較で考えるのではなく、今のあるがままの状態を受け止められるように、周囲も配慮できるとよいでしょう。


 心疾患や感染症などの慢性疾患に伴う痩せという現象は,医学の歴史のごく初期より知られ,古代ギリシャ,ペルシャ,
中国,そしてわが国の医学書にもその記述があります。
 しかし人類との長い歴史にもかかわらず,悪液質の病態の全容は未だに明らかでなく,標準治療は存在しない.その大きな理由は,悪液質の発症に複数の病因が関与し,それぞれの病因が肉眼解剖学的には不可視であるためである。長い間,悪液質は基礎疾患の進行に伴う不可避な状態と理解され,治療や研究の対象とならなかったと考えられています.
 科学の進歩により,骨格筋,脂肪組織,消化器・中枢神経・免疫系における様々な分子機構が,悪液質の発症に関わることが明らかとなりました。腫瘍から放出される液性因子や腫瘍により惹起された免疫反応と代謝変化も,その病態に関わることが示唆されています。
 長い時を経て,悪液質は独立した疾患として再認識され,診断基準と病期分類が整備され,新しい治療法の開発が進み始めています。

第1章 がん悪液質とは
 体重減少と食欲不振を伴うがんの合併症
 がん悪液質は「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず,進行性の機能障害に至る,骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群」と定義される.飢餓も体重の減少を伴うが,がん悪液質では,骨格筋の合成と分解のバランスが負に傾き,安静時のエネルギー消費も亢進する点が異なっている.がん悪液質は進行がん患者の80%に認められ,体重減少と食欲不振といった典型的な症状に加えて,化学療法の効果の減弱,副作用や治療中断の増加,さらには生存率にまで影響をおよぼす.がん患者における体重減少はその程度に応じて予後を悪化させるため,積極的な治療が必要である。

生活の質(QOL)と心理面への悪影響
 がん悪液質に伴う様々な症状は,患者のQOLを著しく損なう.特に体重減少と食欲不振は,食をめぐる患者と家族との対立を生じたり,痩せた外見や食が細いことを気にして,外出や外食を控えることによって,社会的孤立を引き起こすことがある。
 がん悪液質に伴う食欲不振は,患者と患者家族(介護者)との対立要因になることがある
早期介入のために今できること
      ― 体重減少でがん悪液質を疑い治療する

 がん患者の体重減少の程度は,がん種や併存疾患,治療内容により多様である。EPCRCコンセンサス1では,「前悪液質からの介入」を推奨しているが,前悪液質を正確かつ簡便に診断する方法はない。また,がん悪液質の代謝異常を改善する治療も未だ確立されていない。そのため現実的な治療戦略は,併存する治療可能な要因から対処することである。例えば化学療法による口腔粘膜障害,下痢や悪心・嘔吐など,経口摂取に影響を与え,二次性飢餓を生じる症状(nutrition impact symptoms:NIS)を適切に治療することが治療の第一歩となる。早期からの介入によって体重減少を阻止することが,がん
治療の継続や予後の改善にもつながると考えられる。

患者の体重減少の主要因は?―――飢餓 vs がん悪液質
◎がん患者の体重減少の要因は2つに分けられ,対処が異なる
<体重減少>
要因① 食べられず痩せる
  ・消化管閉塞
  ・摂食関連症状(NIS)
原因の解明と除去

<体重減少>
 要因② がん悪液質  食べても痩せる
・代謝異常 (骨格筋・脂肪の分解↑合成↓)

栄養状態に影響を与える症状(nutrition impact symptoms:NIS)
以下のような摂食を妨げる症状.がん悪液質による代謝異常と異なり,治療可能なものも多い.
・がん関連症状:疼痛,呼吸困難,早期満腹感,抑うつ など.
・治療関連有害事象:悪心,便秘,味覚・嗅覚障害,口内炎 など.

がん悪液質と「食べられない」ことの関係
普通の「食べたくない」や「筋肉が落ちた」とは異なります。
がん悪液質の症状は、主にがん細胞がつくり出す「サイトカイン」という物質によって、食欲が抑えられて「食べられない」状態になります。また、このサイトカインによって筋肉が減ったり、何もしなくてもエネルギーが消費されてしまい、体重が減ってきたりします。さらに、これを放っておくと、がんの周りの健康な細胞からもサイトカインが放出されるようになり、ますます悪くなっていくことがあります。

普通の病気のときなどに感じる一時的な「食べたくない」という症状や、運動不足で「筋肉が落ちた」という状態とは異なるので、できるだけ早く気づいて、治療を開始することが大切です。




すべてのがんで悪液質になる可能性があります。
がん悪液質はがんの種類によって異なりますが、進行がんの患者さんの40~80%にみられます。がん悪液質で自覚できる主な症状として「食欲不振(食欲低下)」と「体重の減少」がありますので、おかしいと感じたら、積極的に医療者に相談しましょう。

がんで「食べられない」のは、なぜ?
様々な原因で「食べられない」状態になります
「食べられない」という症状の背景には、「がん細胞が食道や胃、腸などの消化管を圧迫している」、「抗がん剤の副作用」、「不安やストレス」、など様々な原因があります。このほか、がん細胞からつくり出される物質により代謝異常が起こり、食べられなくなる「がん悪液質」という病気も原因の一つです。このような原因が一つであったり、いくつも重なったりして「食べられない」という症状が起こります。あなたの「食べられない」原因をしっかり調べて、適切な治療や対応を行うことで、食べられるようになる可能性があります。

「食べられない」の主な原因
   □がんによる消化管への圧迫
   □抗がん剤治療の副作用
   □不安やストレス
   □がん悪液質

「食べられない」ってどのような感じ?
一口に「食べられない」といっても、自覚症状は一人ひとり違います。例えば『食べたくない』、『少し食べるとすぐにお腹がいっぱいになる』、『味がしない』、『口の中がしみる』、『食べ物のにおいで吐き気がする』、など様々です。「何か食欲がないな」と気がついたときは放っておかず、主治医や看護師など医療者に相談してください。

味がわからない
  ●味覚障害
吐き気
  ●悪心・おう吐

がんで「食べられない」のは、しょうがないの?
がんだから「食べられない」とあきらめないでください
がんになる前は「食べたくない」、「食べられない」という日があっても、長くは続かずに、いずれ「食べたい」という気持ちが湧いてきたことでしょう。
しかし、がん患者さんの場合は、がんそのものの影響や、抗がん剤治療の副作用など、様々な原因によって「食べられない」ことが長く続くことがあります。

「食べる」ことは、毎日の生活や、がんの治療において大切です。また、家族が心配して「がんばって食べなくちゃ」と励ましてくれるほど苦しくなり、楽しかった食事の時間が辛い時間に変わってしまうこともあるかもしれません。「食べられない」ことについて考えてみましょう。

「食べられない」で生じる問題
  □体重の減少
  □筋肉の減少・筋力の低下
  □倦怠感(だるさ)
  □心理的ストレス
  □生活の質(QOL)の低下
  □治療への影響(治療の中断、薬剤の変更、減量など)
  □家族間のコミュニケーション不全(食べられないことについての思い、意見の違いなど)

現在は、食べられなくなった一つひとつの原因に対して、対策をとることができます。「がんになったら食べられないもの」とあきらめずに、主治医や看護師、薬剤師、栄養士などあなたの医療チームに相談をしてください。

ここからは「がん患者=食べられない」という思い込みを捨ててしまえるように、食べられない原因と食べるための対策などについて一緒に学んでいきましょう。

がん悪液質とは
がん悪液質の症状やメカニズムについて、分かりやすく解説しています。
そして、食べられない状態を“当たり前”とあきらめないための、がん悪液質への対応についてまとめました。
  □がんで「食べられない」のは、しょうがないの?
  □がんで「食べられない」のは、なぜ?
  □がん悪液質と「食べられない」ことの関係

もっと知ってほしいがん悪液質の予防と改善のこと
がん悪液質セルフチェック
●患者さん本人、家族・周囲の人がチェックしてみましょう。
CACHEXIA Check List
体重減少、食欲不振がある人は、担当医や看護師に質問してみましょう。
急にやせたことが気になっています。
体重をできるだけ減らさないように、何かできることはありますか。
私や家族が精神的、社会的なサポートを受けたいときにはどこに相談すればいいですか。
食欲がないときには何を食べたらよいのでしょうか。食べてはいけないものはありますか。
食事のことは誰に相談したらよいですか。
運動をしてもいいですか。運動してもよければ、どのような運動がよいか教えてください。

次のような症状が気になる人も、医療関係者にご相談することをお勧めします。
  □ 食欲が出ない
  □ 食事をしてもすぐに満腹になってしまう
  □ 食べているのに体重が減っている
  □ がんになる前から履いていたズボンやスカートがゆるくなった
  □ 常に疲労感がある
  □ 筋力が低下している
  □ 握力や歩行速度が低下している
  □ 味覚異常か嗅覚異常がある
  □ 吐き気・嘔吐がある
  □ 何もやる気になれず、うつうつとしていることが多い

がん悪液質とは
悪液質は心臓病や腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などでも起こることがありますが、がんが原因のものを「がん悪液質」と呼びます。 がん悪液質は、進行がんの患者さんの約5~8割にみられます*。特に、すい臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、肺がんで起こりやすく、これらのがんでは、進行がんの患者さんの半数以上に診断時及び経過中にがん悪液質が
起こっています。がんの種類によって発症リスクは異なり、乳がん、前立腺がんなどでは病気がかなり進行するまで起こりにくい傾向があります。

●進行がんの5~8割が悪液質
 ダイエットをしているわけでもないのに体重が減少し、筋肉量が減る、食欲も出ないなどの症状が出て、さまざまな機能障害と代謝異常を伴うのが、がん悪液質です。国際的には「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少を特徴とする多因子性の症候群」と定義されます。
 悪液質(英語でCACHEXIA:カヘキシア)の語源はギリシャ語で、「悪い状態」を表します。
がん悪液質は食欲低下と体重減少を引き起こす合併症

体重が減るのが、がん悪液質の特徴です
●がん関連体重減少とがん悪液質
 体重減少は、がんの患者さんの多くが経験す
る症状です。その要因は2つに分けられます。
 1つは、「食べられないのでやせる」ことで、がん関連体重減少と呼ばれることもあります。つまり、がんそのものの存在による摂取・消化・吸収障害、治療による影響や副作用、心理的な問題、痛み・倦怠感などによる食物摂取量の低下による体重減少です。例えば、がんがあることで食道や胃がふさがって食べられなくなる、手術で食道・胃を摘出した、放射線療法や
抗がん剤の副作用による口内炎や味覚・嗅覚の異常、便秘、呼吸困難などがあるといった状態です。
 もう1つは、「食べていてもやせる」、がん悪液質による体重減少です。p.5でも説明したように、がん細胞から分泌される物質や炎症性サイトカインが筋肉の減少や脂肪の分解・褐色化、代謝異常を促すため、病気になる前と同じように食べたとしても、体重が減少してしまいます。

●早い段階で体重減少を防ごう
 進行がんの患者さんの多くは、「食べられないのでやせる」と「食べていてもやせる」が混在しています。どちらの影響が大きいかは、がんの種類や進行度、体質などによっても異なります。一般的には、がんが進行するに従って、がん悪液質による体重減少の影響が大きくなります。
 もともとの体格にもよりますが、体重が大幅に減ると歩けなくなったり介護が必要になったりして、治療が続けられなくなることもあります。早い段階で原因を探り、できるだけ体重を減らさないようにすることが大切です。

筋肉が減少して、サルコペニアになることもあります。

●急激な筋肉量の低下が治療にも影響
 サルコペニアは、加齢や病気などによって筋肉量と筋力が低下した状態です。がん悪液質になると、筋肉が減少して萎縮するサルコペニアになりやすくなります。高齢者はがんの進行とは関係なく、サルコペニアになっていることが
少なくありません。
 サルコペニアになると歩く速度が落ちる、歩行が困難になるなど日常生活に支障が出ます。喉の筋肉が衰えると食物を飲み込む機能が低下し、誤嚥性肺炎を起こす危険があります。また、薬物療法の副作用が出やすく、がんの治療が継続できなくなる場合があります。

●サルコペニアの診断と自己チェック法
 サルコペニアかどうかは、握力と歩行速度(あるいは、立ち上がる動作にかかる時間)、四肢骨格筋量の測定結果によって診断します。四肢骨格筋量の測定法には、精度の高い体組成計を用いるBIA(生体電気インピーダンス分析)法、X線によって骨密度や筋肉量を測定するDXA(二重エネルギーX線吸収測定)法があります。がん治療の効果をみるCT検査の画像から骨格筋量を算出する方法もあります。
 患者さん自身がサルコペニアかどうかを判断するには、指輪っかテストが目安になります。また、「青信号のうちに横断歩道を渡り切れない」「手すりにつかまらないと階段を上がれない」「ペットボトルのふたが開けられない」といった状態に心当たりがあるなら、サルコペニアが疑われます。

がん悪液質の予防・治療
栄養補助食品も活用し、必要な栄養を摂る工夫を
 がん悪液質に対しては栄養療法、運動療法、薬物療法などを組み合わせた集学的な治療を行います。ただ、現時点では前悪液質、悪液質に対して科学的に効果が証明されている標準治療がないのが実情です。悪液質に対する標準治療の確立を目指す臨床試験が国内で進行中です。

●食欲不振、吐き気対策には少量ずつの摂取を
 原則として前悪液質や悪液質と診断されても特別な食事に変える必要はなく、病気になる前と同じでかまいません。野菜や野菜ジュースしか摂らないなど偏った食事は避け、タンパク質、炭水化物、脂質をバランスよく摂取するようにしてください。
 食欲がないときの栄養の摂り方は、担当医や管理栄養士、看護師、あるいは栄養サポートチームに相談しましょう。
 個人差はありますが、食欲が落ちているときには、酸味があるもの、味が濃いもの、冷たいものが食べやすいようです。食事を小分けにしてもよいので、食べたいときに食べられそうなものを口にしてみましょう。栄養バランスのよい食事が理想ですが、アイスクリームやチョコレート、クラッシュタイプのゼリー、プリンなどでエネルギーを補うだけでもいいのです。
 栄養補助食品も活用し、必要な栄養素をできるだけ口から摂るようにしましょう。
 抗がん剤や放射線療法などの副作用で食事ができなくなっているときには、担当医や看護師、薬剤師などに遠慮なく相談してください。

●治療の前後の工夫で口内炎に対応を
 手術や抗がん剤治療の前には歯科で口腔ケアを受けます。抗がん剤や造血幹細胞移植、頭頸部がんの放射線療法など重度の口内炎になりやすい治療を受ける際には、生理食塩水[水500ml+塩4.5g(小さじ1弱)]、抗炎症剤や痛み止めの入ったうがい薬などを口に含んで、こまめに「クチュクチュうがい」をし、口腔内の乾燥を防ぎます*。食事は熱いもの、硬いもの、酸味の強いもの、香辛料は避けましょう。とろみをつけたり、ゼリー寄せにしたり、ミキサーで流動食にしたりすると食べやすくなります。殺菌作用のあるうがい薬は口内炎が悪化することがあるので控えましょう。

●味覚や嗅覚の変化にも対策があります
 抗がん剤や放射線療法などの副作用で味を感じにくくなったときには酢の物、梅肉あえ、カレー味、辛しあえ、しょうが焼きなどアクセントのある料理を試してみましょう。塩味を苦く感じるときには塩を控えめにし、だしやスープの味を生かしたり、ごま、ゆず、酢を利用したりすると食べやすくなります。何でも甘く感じるときには、砂糖やみりんは控えます。いずれ
の場合も、まずいと思うものは避けましょう。味覚や嗅覚に変化が出ているときには、料理を少し冷ましてから食べるとよいでしょう。

●無理に食べないほうがよい時期も
 不応性悪液質に進行した場合には、無理に栄養を摂取しても体に取り込めなくなります。栄養バランスは気にせず、好きなものを好きなときに食べましょう。家族や周囲の人は、食事を強く勧めないようにしてください。前悪液質、悪液質の時期と同様、医師に飲酒を止められている人以外はお酒を飲んでもかまいません。
 この段階での静脈栄養や高カロリー輸液の投与は、むくみ、胸水や腹水の悪化、電解質異常などを引き起こすため控えるほうがよいとされています。患者さん本人も家族も気持ちや体のつらさがある場合には、我慢せずに担当医や看護師に伝えましょう。

★★★★★がん悪液質について知りたいあなたへ
がん悪液質の主な症状である体重減少や食欲不振は、がんの患者さんの多くが経験します。
かつては、がんの患者さんの体重が減ったり、抗がん剤の副作用やがんの進行で食欲がなくなったりするのは、仕方のないことだと放置されていました。
しかし、近年、がん悪液質が起こるメカニズムなどの解明が進み、体重減少や食欲不振などに対する治療の重要性が明らかになってきました。
悪液質について正しい知識をもち、早い段階で悪液質自体の治療を受けることが、生活の質の向上と予後の改善につながります。
患者さんご自身が、食事や日常生活を楽しみ、自分らしい療養生活を送るために、この冊子を活用していただければ幸いです。
がん悪液質とは
がん悪液質は食欲低下と体重減少を引き起こす合併症

●進行がんの5~8割が悪液質
 ダイエットをしているわけでもないのに体重が減少し、筋肉量が減る、食欲も出ないなどの症状が出て、さまざまな機能障害と代謝異常を伴うのが、がん悪液質です。国際的には「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少を特徴とする多因子性の症候群」と定
義されます。
 悪液質(英語でCACHEXIA:カヘキシア)の語源はギリシャ語で、「悪い状態」を表します。
悪液質は心臓病や腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などでも起こることがありますが、がんが原因のものを「がん悪液質」と呼びます。
 がん悪液質は、進行がんの患者さんの約5~8割にみられます*。特に、すい臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、肺がんで起こりやすく、これらのがんでは、進行がんの患者さんの半数以上に診断時及び経過中にがん悪液質が起こっています。がんの種類によって発症リスクは異なり、乳がん、前立腺がんなどでは病気がかなり進行するまで起こりにくい傾向があります。
 がん悪液質では体重減少、食欲不振、疲労やだるさ、サルコペニア(筋肉量の減少や筋力の低下、p.9)といった症状が生じます。
 また、手術や放射線療法、抗がん剤などの治療によるストレス、抗がん剤や放射線療法の副作用である口内炎や吐き気・嘔吐、味覚障害、嗅覚障害、あるいは、うつ状態や体の痛みなどが体重減少や食欲不振の原因になり、悪液質を進行させることがあります。
 体重が急激に減って衰弱すると積極的な治療が受けられなくなり、肺炎などの合併症を生じやすくなるため、予後に影響します。
さらに、やせた外見を見られたくない、以前のように食べられなくなったことを知られたくないという気持ちから外出や外食、会食、知人と会うのを避けるなど、社会的な孤立につながることもあります。悪液質はできるだけ早い段階で治療に取り組むことが重要なのです。

●代謝異常ががん悪液質の主な原因
 悪液質で体重が減るのは、がんによって脂肪の分解が促進され、また筋肉の合成が減り、分解が進むからです(図表4)。脂肪にはエネルギーをため込む白色脂肪細胞と、すぐに燃焼させる褐色脂肪細胞があり、白色脂肪細胞が褐色化すると燃焼しやすくなります。悪液質になると脂肪の分解が進み、さらに白色脂肪の褐色化も進んで脂肪が減り、燃やしてはいけない筋肉まで分解してしまいます。がんがあることで慢性的に炎症が起こり、体を守る免疫反応として炎症性サイトカインが活性化することによって、このような代謝異常が起こるのです。また、がん細胞からも筋肉の分解、脂肪の分解と褐色化を促進させる物質が分泌され、代謝異常が加速します。
 さらに、炎症性サイトカインや脂肪細胞から脳の視床下部へ食欲を抑えるように指令を出す物質が分泌され、食欲も低下します。

がん悪液質の主な症状
体重が減るのが、がん悪液質の特徴です。

●がん関連体重減少とがん悪液質
 体重減少は、がんの患者さんの多くが経験す
る症状です。その要因は2つに分けられます。
 1つは、「食べられないのでやせる」ことで、がん関連体重減少と呼ばれることもあります。つまり、がんそのものの存在による摂取・消化・吸収障害、治療による影響や副作用、心理的な問題、痛み・倦怠感などによる食物摂取量の低下による体重減少です。例えば、がんがあることで食道や胃がふさがって食べられなくなる、手術で食道・胃を摘出した、放射線療法や
抗がん剤の副作用による口内炎や味覚・嗅覚の異常、便秘、呼吸困難などがあるといった状態
です。
 もう1つは、「食べていてもやせる」、がん悪液質による体重減少です。p.5でも説明したように、がん細胞から分泌される物質や炎症性サイトカインが筋肉の減少や脂肪の分解・褐色化、代謝異常を促すため、病気になる前と同じように食べたとしても、体重が減少してしまいます。

●早い段階で体重減少を防ごう
 進行がんの患者さんの多くは、「食べられないのでやせる」と「食べていてもやせる」が混在しています。どちらの影響が大きいかは、がんの種類や進行度、体質などによっても異なります。一般的には、がんが進行するに従って、がん悪液質による体重減少の影響が大きくなります。
 もともとの体格にもよりますが、体重が大幅に減ると歩けなくなったり介護が必要になったりして、治療が続けられなくなることもあります。早い段階で原因を探り、できるだけ体重を減らさないようにすることが大切です。

 

 

 

 


心身ともに不調が起きやすいこの時期、その原因は自律神経の乱れの可能性、 今こそ正しい知識を身につけて、心も体も元気に…。自律神経のリズムに沿った生活が健康の最大の秘訣とは、「日中は活発に動き、夜は休息するという自律神経のリズムに沿った生活を送れば自律神経は乱れにくく、不調も起きにくくなります。これが健康の最大の秘訣です」

自律神経系は、血圧や呼吸数など、体内の特定のプロセスを調節している神経系です。意識的な努力を必要とせず、自動的(自律的)に機能するのが特徴です。自律神経系の病気は、体のあらゆる部分とあらゆるプロセスに影響を及ぼす可能性があります。また、自律神経系の病気には、可逆性のものと進行性のものがあります。
自律神経系は全身に分布していて、血管、胃、腸管、肝臓、腎臓、膀胱、性器、肺、瞳孔、心臓、汗腺、唾液腺、消化腺などの内臓を支配しています。




自律神経系は、以下の2つに分けられます。
交感神経系・副交感神経系
自律神経系は、体内や体外の環境に関する情報を受け取って、体内プロセスを制御します。機能を刺激(促進)するには主に交感神経系、機能を抑制するには主に副交感神経系が使われます。

自律神経系の1本の経路には2つの神経細胞が関与しています。一方は脳幹または脊髄に存在し、もう一方は自律神経節と呼ばれる神経細胞の集まりの中に存在し、この2つは神経線維によって連結されています。神経節から伸びる神経線維は内臓につながっています。交感神経系の神経節の大半は、脊髄のすぐ外の左右両側に位置しています。副交感神経系の神経節は、それぞれ支配する内臓の付近または内部に存在します。



自律神経系の機能
自律神経系は、以下のような体内プロセスを制御しています。
血圧、心拍数と脈拍数、体温、消化、代謝(そのため体重に影響を与えます)、水分と電解質(ナトリウムやカルシウムなど)のバランス、体液(唾液、汗、涙)の分泌、排尿、排便、性的反応。
多くの臓器は、交感神経系と副交感神経系のどちらか一方によって主に制御されていますが、1つの臓器に対して両方の神経系がそれぞれ反対の作用を及ぼしている場合もあります。例えば、交感神経系は血圧を上昇させますが、副交感神経系は血圧を低下させます。全体として、2つの神経系が協調して機能することで、体は様々な状況に対して適切に反応できるようになっています。

一般に、交感神経系には以下の機能があります。
ストレスの多い状況や緊急事態に際して体の状態を整える(闘争・逃走反応)
そのため交感神経系は、心拍数を増やし、心臓の収縮力を高め、呼吸がしやすくなるように気道を広げ(拡張し)ます。これにより、蓄えられたエネルギーが体から放出され、筋肉に大きな力が入るようになります。この神経系はまた、手のひらの発汗、瞳孔の散大、体毛の逆立ちなども引き起こします。その一方で、緊急時にあまり重要でない機能(消化や排尿など)を鈍らせます。

交感神経系による支配
副交感神経系には以下の機能があります。
日常的な状況下で体内プロセスを制御する。
副交感神経系には一般に、エネルギーを温存し、体を回復させる役割があります。副交感神経系は、心拍数を減らし、血圧を低下させます。また、消化管を刺激して、食べものの消化や不要物の排泄を促します。食べものから吸収されたエネルギーは、組織の修復や形成に利用されます。

副交感神経系による支配
性的活動には、交感神経系と副交感神経系の両方が関与しているほか、さらに体性神経系(自発的な行為を制御するとともに、皮膚からの感覚を脳に伝える神経系)も関与しています。

自律神経系における情報伝達には、以下の2種類の化学伝達物質(神経伝達物質)が利用されています。

   ・アセチルコリン
   ・ノルアドレナリン

アセチルコリンを分泌する神経線維はコリン作動性線維と呼ばれます。ノルアドレナリンを分泌する線維はアドレナリン作動性線維と呼ばれます。一般的に、アセチルコリンは副交感作用(抑制作用)、ノルアドレナリンは交感作用(刺激作用)を示します。ただし、アセチルコリンには一部の交感作用もあり、例えば、発汗を刺激したり、毛を逆立てたりすることがあります。

脳は、神経という名のコードで身体のあらゆる部分と繋がっており、身体の情報収集や指令を行っています。
神経には全身に網の目のように張り巡らされている「末梢神経」と、そこから集められた情報を集積して処理する「中枢神経」とがあります。
中枢神経は脳(大脳、小脳、中脳、間脳、橋、延髄)と脊髄からなります。
大脳から脊髄までの、思考をはじめとした高次の機能をつかさどります。
末梢神経は身体の様々な働きに関わっており、大きく分けて「体性神経」と「自律神経」の2つに分けられます。
「体性神経」には、知覚神経と運動神経の2つがあります。

<知覚神経>
視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚などの感覚器が捉えた情報を中枢神経に伝えます。

<運動神経>
中枢神経から出された刺激を筋肉に伝え、筋肉を収縮させることにより身体を動かします。

体性神経は、私たちの考えによって働く神経です。
例えばスイカを見て、視覚神経により美味しそうという情報が脳に伝わり、脳が食べるという意思決定を行います。
脳は運動神経を伝って筋肉に指示を出すことにより、スイカを手で持って食べるのです。

自律神経系は「知覚神経」と連携して臓器を調整しています。
身体の様々な所に臓器の状態を観測する受容体と呼ばれるセンサーがあり、このセンサーが感知した情報は、感覚神経を伝って自律神経の中枢に行き、自律神経がそれに反応することで自動的に臓器を制御します。
例えば、興奮や緊張時には交感神経が働き、心臓に働きかけることで心拍数が上がり、ドキドキします。
また涙の分泌は副交感神経によって促進され、交感神経によって抑制されています。
悲しくなくても緊張がとけると涙が溢れ出ることがありますが、これは副交感神経が優位になったためです。
自律神経といいながらも、その中枢は視床下部にあり、感情を司る大脳辺緑系と相互連絡していることから、こころの問題も自律神経の働きに関わってきます。

自律神経は、交感神経と副交感神経がバランス良く働くことが大切です。
どちらか一方が強まると、様々な不定愁訴を招きます。
器質的病変が認められず、顕著な精神障害がないにも関わらず身体の変調がある場合、自律神経のバランスが不定愁訴の要因となっていることがあります。
理由が良く分からず体調が優れない時は、自律神経が原因かもしれませんね。
規則正しい生活リズムを心掛け、ストレスを溜めないことが大切です。

人間の生命活動を維持する上で必要不可欠な自律神経
ストレスと自律神経は、とても密接な関係にあります。自律神経は、末梢神経のひとつで体の隅々にまで張りめぐらされた細い神経網です。交感神経と副交感神経のふたつに分けられ、血管、心臓、肺、腸などの全内臓器官に伸びています。

そしてこの自律神経が、人間の生命活動を維持する上で、脳と同じくらい重要な役割を担っているのです。つまりソフトウエアでライフラインなのです。
私たちが寝ている間も呼吸をしたり、心臓を動かしたりできるのは、この自律神経のおかげです。また外気の暑さや寒さにかかわらず体温を一定に保つなど、体内の環境を一定に保つことを『恒常性』と呼びますが、これも自律神経の働きによるものです。血液循環、呼吸、消化、排泄、免疫、代謝などは、すべてこの恒常性を維持するためのシステムであり、これらは自律神経によって維持されているのです。

その働きにおいてとくに大事なのは、交感神経と副交感神経のバランスです。たとえば交感神経は車でいえばアクセルのようなもので、交感神経の働きが一方的に優位になるとアドレナリンが過剰に作用します。その結果、血管が収縮して血流が悪くなり、頭痛、腰痛、高血圧、さらには脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。腸管は弛緩しますから内臓の機能も低下して炎症もできやすくなります。また興奮や緊張が高まれば、怒りっぽくなったり、逆に血流の障害から倦怠感が出たりします。
自律神経系の活動は、心身の疲れ、睡眠障害、メンタルヘルス障害などで低下することがわかってきました。この自律神経系の活動は脳神経細胞の活動の1つです。そのため脳神経の活動低下を意味する脳疲労の程度(脳疲労度)として、自律神経活動を捉えることができます。   

 しかし、健常者の自律神経系の活動の程度を分析しましたところ、個人個人の自律神経活動の値は加齢に伴い有意に低下していることもわかりました。これでは、自律神経活動の低下が脳疲労によるものか、加齢によるものなのかを判断することができません。

ニューロンとシナプス
神経細胞は脳内にとても細かく張りめぐらされていて、人間ひとりのニューロンやシナプスを全部つなげると、100万kmになるといわれています。この距離は実に地球と月との距離の約2.6倍にもなります。

【ニューロン】
脳のなかで情報を受け取り、次の細胞や器官へ情報を伝えるはたらきをしています。ニューロンの入力部分は樹状突起(じゅじょうとっき)、出力部分をシナプスといい、伝送する部分を軸索といいます。回りの太くなっているところは髄鞘といい、信号速度が速い部分です。人間の脳にはこのニューロンが100億から1000億個ほどあるといわれています。最も長いニューロンは腰からはじまり膝に「動き情報」を伝えるもので1mほどになります。

【シナプス】
ニューロンどうしをつなぐ、情報伝達の架け橋の役割を果たしています。つなぐといっても、実はわずかにすきまがあり、シナプス間隙といって、目に見えないほどの狭いところで神経伝達物質を放出し、情報を伝えることができます。シナプスでの情報の伝わりやすさはいつも一定ではなく、入力の強さにより変化することで、例えば興奮の情報と抑制(よくせい)の情報を相互に加減しています。これをシナプス可塑性※と呼び、学習・記憶の細胞メカニズムにも関係があると考えられています。
※シナプス可塑性:神経に特定の刺激が加えられ続けると、その情報を学習し、その後のはたらき方が変化すること。

交感神経&副交感神経どちらも高いのが最強
「交感神経が過剰に優位になると血流が悪くなり病気の原因に。逆に副交感神経が過剰に優位だとアレルギーなどが起きがちに。理想的なのはどちらも高い状態です」

不調のほとんどは、自律神経の乱れが原因
「自律神経が乱れると血流が悪くなって細胞に栄養が届かず、老廃物も停滞。結果、頭痛、肩こり、腰痛、疲れ、だるさ、便秘、不眠、イライラなど多くの不調の原因に」

自律神経の働きは10年ごとに15%落ちていく
「自律神経のトータルパワーは加齢とともに低下し、女性は40代以降に、10年で15%ずつ下がっていくというデータが」

自律神経は女性ホルモンと深く関わり合っている
「女性ホルモンの分泌の指令を出す中枢と、自律神経の中枢は共に脳の視床下部です。そのためどちらかが乱れると、もう一方のバランスも乱れやすくなります」

腸の働きとも密接に関わっている
「副交感神経が優位になると腸は活発に動きます。逆に交感神経が優位だと腸の動きが悪くなります。旅先で便秘をするのは緊張して交感神経が優位になるためです」

自律神経が乱れると免疫力が落ちる
「免疫力を担う血液中の白血球には、細菌など比較的大きめの異物を処理する顆粒球と、ウイルスなど小さな異物を処理するリンパ球があります。自律神経が乱れるとこの白血球のバランスが乱れ、免疫力が低下」

●自律神経を整える1日の過ごし方・朝編。ゆったりと時間に余裕を持って
心身ともに不調が起きやすいこの時期は、自律神経を整えることに注目を。健康的で正しいリズムをつかむための1日の過ごし方をプロがレクチャー!
自律神経を整える
1日の過ごし方
自律神経を整えるには、1日の過ごし方がとても大事! 朝、昼、夜のおすすめの過ごし方を知っておき、正しいリズムに整えて。

 朝 
朝は副交感神経から交感神経に切り替わる時間帯。うまくスイッチを切り替えて、ゆったりと過ごすことが1日を快適にするコツ。

1日のうちでも朝の過ごし方が特に重要!
「副交感神経は明け方にかけて徐々に低下し、交感神経優位にゆっくり移行します。しかし朝慌ただしく過ごすと副交感神経が一気に低下し、緊張や興奮を1日中引きずるので、朝の過ごし方は重要です」

いつもより30分早く起床を心がける
「ギリギリに起きて忙しく朝を過ごすと副交感神経が一気に下がりNG。いつもより30分早く起きてゆったりと行動を」

カーテンを開けて太陽光を浴び、
副交感→交感に切り替え
「朝はカーテンを開けて太陽光を浴びましょう。体内時計が正しい状態に整い、副交感神経から交感神経へ正しく切り替わります。幸せホルモン“セロトニン”の分泌も促進」

感謝の念を抱いて、心を安定させる
「朝はマイナスな言葉を思い浮かべると1日心の状態が乱れるのでNG。感謝の念を抱いて心を安定させましょう」

鎖骨下をほぐすと目覚めスッキリ
「朝目覚めたとき、鎖骨の下あたりの肋骨の間の肋間筋をほぐすのがおすすめ。ここをほぐすと酸素が取り込みやすくなり、交感神経への切り替えがスムーズに」

朝イチで口に入れるのはコップ1杯の水
「朝はコップ1杯の水を飲みましょう。水で腸が刺激されて副交感神経が高まり、自律神経が整います。朝の脱水状態も解消」

ゆっくりと歯を磨いて気持ちを落ち着ける
「朝の動作が、その日全体に影響を与えるので、歯もゆっくりと磨きましょう。落ち着いた気持ちで1日を始められます」

ほんの少しでもいいので朝食は何かしら摂る
「朝食は、朝日を浴びることとともに体内時計と自律神経を正しく整える大事なアクション。ほんの少しでもいいので抜かずに摂りましょう」

朝食におすすめは腸によい味噌汁
「朝食のおすすめは味噌汁。味噌の乳酸菌が腸内環境を整え、自律神経を整えることにもつながります。海藻やきのこなど食物繊維が多い具を入れるとさらに◎」

朝食後はトイレタイムをとって排便リズムを作る
「腸にとって理想的な排便タイムは朝。朝食後はトイレタイムをとって排便リズムを作ること。リラックスして排便を」

便が出にくいときは大腸もみほぐし
「便が出にくいときは以下の大腸もみほぐしを。下の写真の4カ所(左右の肋骨下と腸骨のあたり)をほぐして」(小林先生)
大腸は、左右の肋骨の下と、左右の腸骨(腰骨)のわきあたりにある。ここをつかんでもみほぐして。手の位置を少しずつ動かし、4隅をまんべんなくほぐす。

満員電車は避けてイライラ防止
「満員電車は朝に最もストレスが加わる場所。無理に乗らず、1本見過ごしたり、もとから時差出勤をするなどして避け、イライラを防ぎましょう」

朝は激しい運動は避ける
「朝は体がまだ目覚めていないので、いきなりジョギングなどの激しい運動をすると体への負担になり、自律神経も乱れます。激しい運動は避けて」

●夜の過ごし方で朝までぐっすり! 自律神経を整えるコツを教えます
何かと不調が起きやすいこの季節に覚えておきたい「自律神経」についてフォーカス。夜の過ごし方で気をつけるべきポイントをプロが解説します!

自律神経を整える
1日の過ごし方
自律神経を整えるには、1日の過ごし方がとても大事! 朝、昼、夜のおすすめの過ごし方を知っておき、正しいリズムに整えて。
 夜 
夜のポイントは、交感神経の働きを抑えていき、寝る前までに副交感神経にきっちりと切り替えること。これで朝までぐっすり。

照明はできるだけ暗めに
「眠気を誘うホルモン・メラトニンの分泌は明るい光によって減ってしまうため、眠気が妨げられます。夜は間接照明にするなどして照明を暗めにしましょう」

夕食は寝る3時間前までに
「夕食を摂ってから寝るまでの時間が短いと、交感神経が高いまま寝ることになり、副交感神経によって行われる消化・吸収が不十分になり、睡眠の質も低下。夕食は寝る3時間前までに済ませましょう」

ベストな食事の比率は朝4:昼2:夜4
「1日の食事の割合は朝4:昼2:夜4がベスト。ただし夕食が21時以降になる場合は4:2:2にして消化がいいものに」

夕食はなるべく温かいものを
「夕食はスープなど温かいものを取り入れて。胃腸の血流を促して、副交感神経の働きを高め、疲れも癒やされます」

よく噛んで食べて、副交感神経を優位に
「よく噛むと消化がよくなるだけでなく、副交感神経が高まり、少量で満腹感も得やすく。夕食はよく噛んで食べること」(

飲むときはお酒1に対して、水1
「過度な飲酒は脱水を招き、血液がドロドロになって自律神経も乱れます。適量を守り、お酒1杯に対し、水1杯を飲んで」(小林先生)


夕食後の3時間で交感→副交感に切り替える
「夕食を摂ると腸が働き始めて副交感神経が優位になっていき、お休みモードに。この切り替えは食後3時間で行われるので、リラックスして過ごすこと」

38℃のお湯に15分浸かって眠気を誘う
「睡眠に入るには深部体温が下がることが必要なので、入浴でいったん体温を上げるのが◎。就寝1時間〜1時間半ほど前に38〜40℃のお湯に10〜15分浸かるのが効果的」

30分間は必ず、好きなことを
「1日のうち30分だけ、自分だけの自由な時間を作りましょう。気持ちよく過ごすことで自律神経のバランスが整います」

脳が心地よく感じる音楽を聞いてリラックス
「好きな音楽を聴くと緊張がほぐれ、副交感神経が優位に。テンポが一定で音階変化が少なく、自分が心地よく感じる音楽が効果的」

寝る前に少しでも明日の準備をしておく
「夜のうちに明日の準備を少しでもしておけば、不安感がなくなり、朝に慌てることもないので自律神経も乱れません」

首の周りをほぐしたり、温めて副交感神経を優位に
「首には自律神経に関係する迷走神経があり、温めたりほぐしたりすると副交感神経が優位に。ホットタオルなどで温めて」

リラックスする香りで、心地よい睡眠に導く
「心地よい香りを部屋に漂わせるのも快眠のコツ。ラベンダーやベルガモット、フランキンセンスなど鎮静効果のある香りがいいですが、自分が好きな香りであることが大切」(西川さん)

ペットやパートナーと触れ合って、オキシトシンを増やす
「パートナーやペットと触れ合うと親愛ホルモンのオキシトシンが分泌され、メラトニンの分泌も促進。1日の終わりはパートナーやペットと触れ合う時間を増やして」

寝る前にスプーン1杯の上質のオイルを摂る
「寝る前にオリーブオイルや亜麻仁油などの上質なオイルをスプーン1杯飲んで。翌朝の便通がよくなり、自律神経も整います」

肋骨下をゆるめて呼吸を深くすると寝つきがスムーズ
「肋骨の下部(ブラのホックの下あたり)が硬くなっていると呼吸がしづらくなり、睡眠の質が下がります。寝る前に以下の方法でほぐしましょう。消化も促進します」(星野さん)

睡眠の質を高める室温は夏は26℃、湿度は50~60%
「快眠のための室温は、夏は26℃以下、冬は16℃以上、湿度は冬と夏ともに50〜60%が最適とされています。エアコンで上手く調節を。夏は風が直接当たらないようにし、エアコンをつけて寝るのがおすすめ」

眠くなるまではベッドに行かない
「眠くないのにベッドに入ると“眠れない”と考えて余計に眠れなくなるので、眠くなるまでベッドに入らないこと。もしベッドに入って眠れなかったらベッドから出ましょう」

寝室にスマホを持ち込まない
「寝る前にスマホを見ると、メラトニンの分泌が減るので、スマホは寝室に持ち込まないのがベスト。朝のアラームもスマホにするのでなく、時計にしましょう」

寝具で睡眠の質を向上
マットレスは立ったときのよい姿勢を保てるものが◎
「マットレスは、寝たときに全身の力がスーッと抜け、立ったときのよい姿勢が保てるものを。柔らかすぎて腰が沈むものや、硬すぎて背中や腰が反るものは避けて」

●自律神経が乱れると、太りやすい? 食事、お風呂etc. ……自律神経を整える生活習慣
がんばり過ぎ、生活の変化、ストレス過多が原因に?

自律神経の乱れは
\毎日の/ストレッチでリセットできる!
生活リズムが変化する大型休暇の後や、季節や年度の変わり目は、特に自律神経が乱れやすいタイミング。1日のタイムスケジュールに合わせた自律神経ストレッチを行えば、内側から体が整えられ、心も晴れやかに。

自律神経を整える生活習慣 5
交感神経の暴走や副交感神経の低下などを防ぎバランス調整。ストレッチとともに毎日実行!
1 朝はコップ1杯の水と、できれば朝食も!
胃腸は副交感神経と深い関わりが。朝からきちんと胃腸を動かすことで、副交感神経が適切に働くように。朝食をとるのが無理なら、水や白湯だけでも飲む習慣を。
2 ゆっくり動き、呼吸は深く
多忙な現代人は、副交感神経が鈍りがち。ストレスがかかると呼吸も浅くなり、ますます副交感神経がダウンしてしまう。余裕を持って行動し、深い呼吸を心がけて。
3 夕食は就寝3時間前までに
食後は交感神経が優位になるので、寝る直前に食べると副交感神経が上手く働かず、眠りが浅くなる。胃腸の負担を抑えるためにも、食事は就寝3時間前に済ませて。
4風呂はぬるめ×15分が基本
安眠にベストな入浴方法は、38~40℃くらいのぬるめのお湯で、15分間の半身浴。熱いお湯は交感神経を高めてしまうので、目覚めの朝にはOKだけど夜は不向き。
5 就寝1時間前からは、スマホやPCは見ない
ネット検索やSNSなどは興味をかき立てて脳を刺激するうえ、デジタルの強い光も交感神経を活性化。ダブル効果で興奮状態になり、眠りが妨げられてしまう。

Q 自律神経が乱れると、太りやすい?
A 代謝が落ち、便秘にも!
「自律神経が乱れると血流が悪化し、栄養素がエネルギーとして使われにくくなります。副交感神経が下がると腸の動きが低下し、腸内環境の悪化につながります」

Q 肌の老化や肌荒れも自律神経と関係ある?
A 副交感神経や血流の低下が一因に
「女性は40代になると副交感神経の働きが急激に下がり、同時にホルモンの数値も低下し、老化が加速します。血流の低下も肌トラブルやむくみを招きます」

Q 自律神経の調整に役立つグッズは?
A リラックスにおやつを利用
「イプサ」は、生活習慣や血流から心身バランスを測定し、結果に基づいておやつを提案。種類や食べるタイミングなどによって、心と体のリズムをサポートしてくれる。

自律神経、腸内環境を整える「長生きみそ汁」とは 広島大学が画期的発表

日本人にとって身近な「みそ汁」に少し工夫を加えるだけでさまざまな健康効果が得られる、と順天堂大学医学部の小林弘幸教授は説く。自律神経や腸内環境を整え、便秘も予防してくれる――。自律神経の名医が試行錯誤の末にたどり着いた、「長生きみそ汁」健康法。

最近、「何となくダルい」「仕事への集中力が落ちている」「夜、寝つきが悪い」と感じてはいないでしょうか。それは、長引くコロナ禍でストレスがたまり、自律神経が乱れていることが原因かもしれません。かくいう私も昨年、新型コロナウイルスの全貌がまだはっきりしていなかった頃に自律神経の乱れを感じたので、日々の生活にちょっとした“変化”を取り入れました。朝、散歩に行った時などにスマホで風景などの写真を撮り、インスタグラムにアップするのです。それだけでも十分に緊張感を和らげる効果があります。

〈自律神経という言葉は知っていても、それについて詳しく説明できるという人は少ないのではないか。『医者がやっている自律神経を整える働き方』などの著書がある順天堂大学医学部の小林弘幸教授の解説に耳を傾けると、それが我々の健康にとっていかに大事であるかが分かる。〉

 自律神経とは、全身にはりめぐらされている神経の一つです。痛みを感じる知覚神経などと違って、自分の意思でコントロールできないという特徴があります。例えば、私たちの体は、どれだけ仕事に集中していても、呼吸するのを忘れないでいてくれる。ランチで食べたものを消化、吸収してエネルギーに変えてくれる。大事なプレゼンに緊張しないで挑むべきだと分かっていても、心拍数は勝手に上がる。「今日は学校を休みたいから38度くらい熱が出ないかな」と思っても、体温はコントロールできない。これらは全て自律神経の働きが影響しています。

 自律神経は、心臓や肺、胃や腸、血管などの機能をコントロール。呼吸、血液循環、消化吸収、排泄、免疫、内分泌など、私たちのありとあらゆる生命活動に関わっています。

 すでに述べた通り、自律神経は自分の意思でコントロールできません。しかし、だからといって自律神経の乱れに対処する方法がないわけではない。意識的に自律神経のバランスを整えることはできるのです。

 自律神経は「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経系から成り立っています。前者は、心身が興奮するときに働く自律神経であり、車で言えばアクセルにあたります。交感神経が優位になると、心臓が活発に動き出し、心拍数が上がります。血管が収縮して血圧が上がり、体がエネルギーを生み出しやすい状況になる。ただし、血管が収縮することで末端の血流が悪くなり、手足が冷えたりします。

 交感神経が適切に機能することで、やる気や集中力が高まります。しかし、それが過剰になると、「緊張しすぎてうまくいかない」「不安やイライラを感じる」「夜、よく眠れない」という状態になります。交感神経は「打ち合わせや営業などで人と話す」「日光を浴びてウォーキング」といった活動時などに高まりますが、コロナ禍の今、そうした機会は以前と比べて減っているのではないでしょうか。

 交感神経が車のアクセルだとすると、ブレーキの働きをするのが副交感神経です。心身が落ち着いてリラックスしている時には、こちらが優位になります。「友人と雑談をする」「お風呂にゆったり浸かる」「深呼吸をする」といった時、副交感神経が高まっています。

 超一流のスポーツ選手などは、交感神経と副交感神経、両方の働きが良いと聞きます。選手が試合に臨む時には必ず緊張して交感神経が高まりますが、副交感神経もしっかり働くことで緊張しすぎずに実力を発揮できるのです。つまり、2つの自律神経の働きが良いと、やる気や集中力が高まり、最高のパフォーマンスが望めるわけです。また、血流も良くなり、筋肉や脳などの細胞一つ一つに栄養素と酸素が行き届く。肌や髪の毛も艶々になり、若々しくいられます。

〈つまり、自律神経を整えれば「若返り」も期待できるというわけだ。小林教授によると、自律神経のバランスは次の4つのタイプに分けられるという。(1)交感神経も副交感神経も高い。(2)交感神経は高いが、副交感神経は低い。(3)交感神経は低いが、副交感神経は高い。(4)交感神経も副交感神経も低い。
この4つのタイプで最も好ましいのは、当然、(1)の状態です。交感神経と副交感神経がどちらも高く、しっかりと活動している状態は、車で言うと、アクセルとブレーキが正しく機能している状態です。この状態がキープできている人は体調も良いし、免疫力も高まります。疲れにくく、脳の血流も良いため、仕事のパフォーマンスも良い。また、メンタルが安定しているため、正しい判断が下せるようになります。

 一方、交感神経は高いが副交感神経は低い(2)のようなタイプは、現代人の自律神経のバランスの最も典型的な崩れ方です。現代人は仕事でストレスを受けやすく、パソコンやスマホにしょっちゅう接しているので、交感神経が刺激を受けて過剰に優位になりやすいのです。もちろん、長時間労働も交感神経が優位になる原因となります。

 また、(3)のように副交感神経が優位になりすぎているタイプでは、どちらかというと、メンタルのほうに不調が出ることが多い。仕事をやる気が起こらず、うつ病のような症状が見られる場合もあります。

 そして、最近急増しているのがどちらも低い(4)のタイプです。仕事をしていても疲れやすく、覇気が感じられない。さらに、この状態が続くと全身の血液の流れが悪くなり、頭痛や肩こり、内臓機能の低下による便秘や下痢、肌荒れなどの症状が出てきます。また、免疫力が低下するので、風邪や感染症にもかかりやすくなってしまいます。さらに、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、がんになるリスクも高まります。

〈どうすれば自律神経のバランスを良好に保つことができるのか。小林教授はバランスを保つ“三種の神器”として「規則正しい食事時間」「早寝早起き」「散歩(軽い運動)」を挙げる。〉

「何だかフツーだなぁ」と思いますか? でも、これが基本中の基本なのです。例えば、朝は交感神経が高まっていかないと、体が目覚めず調子が出ません。朝に交感神経を上げるにはどうしたらよいのでしょう? 具体的には、朝、決まった時間に起きて、コップ1杯の水を一気に飲みます。すると、交感神経が上がり、腸に刺激が行き、副交感神経も上げてくれ、自律神経のスイッチが入ります。コツとしては、最初に軽くうがいをして、寝ている間に口の中に繁殖した雑菌を洗い流してから、常温の水を飲むようにしましょう。

 そして、カーテンを開け、外を眺めて日光を浴びます。日光を浴びると体内時計がリセットされ、目覚めの交感神経も自然と高まってきます。起床後2時間以上、太陽の光に触れないままだと、体内時計のリセットが十分に行われないので気をつけましょう。また、日光を浴びないと、幸せホルモンである「セロトニン」と、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が悪くなります。そうなると夜の睡眠の質が悪くなり、自律神経も乱れます。

 コップ1杯の水を飲み、カーテンを開けて日光を浴びたけど、いまいちやる気が出ない――そんな時は、朝はもちろん、昼でも「散歩」がおすすめです。15分でも30分でも構いません。顔を少し上げて軽く胸を張って散歩をすると、気分も晴れやかになり、日光もよく浴びられます。テクテク歩きながら空や道端の花などを眺めていると、気分が上がります。その際、私が写真を撮り、インスタにアップしていることはすでにお話しした通りです。

みそは「スーパーフード」
 体を動かすことをすすめると、「じゃあランニングを始めてみます」と話す方がいます。いまだに「運動=ランニング」というイメージを持つ人が多いようです。ランニングは確かに、心肺機能を高めるトレーニングや、ダイエットとしては一定の効果が見込めます。しかし、中高年以上の人が「健康に良さそう」との理由でいきなりランニングを始めるのは、実は、自律神経の観点からは疑問があります。

 すでに述べてきた通り、仕事のストレスなどから交感神経優位となり、副交感神経の働きが弱っている人も多いです。ランニングのような強度のある有酸素運動をすると、交感神経のレベルがぐっと高まるので、自律神経の不均衡状態にさらに拍車をかけてしまう可能性があります。中高年では特にそうした傾向があるので、健康になるどころか、むしろ老化が加速するリスクさえあるのです。

〈自律神経を良好に保つために「規則正しい食事時間」が重要なことにはすでに触れたが、どういったものを食べればいいのか。小林教授がすすめるのは「みそ汁」。小林教授の著書『医者が考案した「長生きみそ汁」』は80万部を超えるベストセラーとなっている。〉

 みそは日本を代表する発酵食品。みその主原料である大豆は、元々豊富な栄養を備えています。大豆はみそになる過程で発酵すると、さらに栄養価が高まり、その結果、栄養満点のスーパーフードに進化するのです。そんなみその健康効果は、近年、以下のように科学的に実証されてきています。〇発酵によって老化制御機能が生まれる(東京農業大学・小泉武夫名誉教授)。〇血圧上昇を抑制し、脳卒中を予防する効果がある(広島大学研究グループ)。〇胃がんを抑制する効果がある(広島大学・渡邊敦光名誉教授)。ただし、みそをそのまま毎日食べるのは無理があります。その点、みそ汁であれば、他の食材が持つ栄養まで一緒に取れる。そこで私はある時、仮説を立てました。私の長年の研究結果を元にすれば、あらゆる病気を遠ざけ、不調を改善する最強のみそ汁ができるのではないか……。試行錯誤の末、たどりついたのが「長生きみそ汁」だったのです。

 長生きみそ汁の基本の素材は次の4つです。抗酸化力を高めるメラノイジンが豊富な赤みそ。ストレス抑制効果があるGABAが含まれた白みそ。解毒効果抜群のアリシン、ケルセチンが豊富なおろし玉ねぎ。塩分排出効果があるカリウムが含まれたりんご酢。この4つの素材を組み合わせて冷凍した「長生きみそ玉」を使い、1日1杯のみそ汁を飲む。それだけでさまざまな健康効果が期待できるのです。さらに、食物繊維が豊富で、強い抗酸化力を持つファイトケミカルという物質を含む野菜やキノコを具材に選ぶことで、健康効果は高まります。

 ちなみに、みそに含まれる塩分を気にして敬遠してきた方も多いのではないでしょうか。しかし、2017年、広島大学の研究グループがみその塩分について、画期的な発表をしました。それは、食卓塩と同量の塩分をみそから摂取しても、血圧は上昇しない、というものでした。みその唯一の欠点である塩分が、血圧上昇と無縁なら、みそを敬遠する必要はありません。

 自律神経を整えるためにも、毎日1杯の長生きみそ汁を飲むことをおすすめします。自律神経のバランスが崩れる理由の一つはストレス。長生きみそ汁で使う白みそにはストレスを緩和してくれる成分、GABAが含まれています。さらに、りんご酢に含まれるグルコン酸は、腸内に棲む善玉菌が大好きなエサです。善玉菌が増えれば、腸の動きも血流も良くなって、蠕動(ぜんどう)運動が活発になります。すると、体に悪さをする活性酸素の発生を抑えられるようになるので、ストレスに強い体に生まれ変わるのです。また、腸内環境が整うと、大腸がんリスクの軽減や便秘などの予防、改善も期待できます。

 人間の体は37兆個の細胞からできています。結局のところ、人が健康を保てるか否かは、それら細胞の1個1個にどれだけ質の良い血液を流すことができるかにかかっています。そのために重要なのが自律神経と腸内環境。その両者のバランスを良好に保つ効果がある長生きみそ汁は、まさに最強の食事と言えます。

●免疫力をアップする最強の「野菜スープ」 抗がん剤の世界的権威も推奨
方法はいたってシンプル。野菜スープを毎日食べるだけで「がん」から身を守れるというのだから、試してみない手はないだろう。「食」や「病」に関する著作も多いノンフィクション作家、奥野修司氏が長年の取材の末に辿りついた“最強”の健康法――。

私たちの体は食べたもので作られている。もちろん遺伝的な要素もあるが、半分は環境に左右される。悪い食べ物を食べれば病気になるし、逆に良いものを食べれば健康につながる。本来、50年前の日本人も現在の日本人も同じなのに、昔はなかった病気が増えているのは、主に食べ物が変わったからだろう。

 例えば、私たちが日常的に食べているものに野菜がある。野菜は嫌いという人でも、まったく食べない人はいないと思うが、ではなぜ野菜を食べるかといえば、人が生きていくのに必要な抗酸化物質を摂るためでもある。多くは人の体内で作れない種類のものだからだ。

 野菜に含まれる化学物質をファイトケミカルというが、その種類は1万種を超えていて、多くは抗酸化物質である。

 抗酸化物質とは、ビタミンAやビタミンC、ポリフェノール(大豆のイソフラボン、お茶のカテキンなど)やカロテノイド(β‐カロテンなど)といえば思い当たるだろう。動脈硬化予防やアンチエイジング対策のサプリメントもたくさん出ているが、こうした抗酸化物質を大量に含んでいるのが野菜である。

 抗酸化物質とは酸化に抗う物質、簡単にいえば猛毒の活性酸素を中和して消去してくれる物質のことだ。

 私たちは呼吸によって大気中の酸素を体に取り入れているが、その一部は必ず活性酸素になる。活性酸素というのは、酸化力を持った化合物で、触れた物質を錆びつかせてしまう。新型コロナの感染予防に使われている次亜塩素酸も活性酸素の一種だ。体内で活性酸素が発生するのは呼吸のせいだけではない。ストレスがかかっても活性酸素が増えるし、放射線が体を通過しても、紫外線に当たっても発生する。つまり、私たちは活性酸素から逃れられない運命なのだ。
 悪役のように見えるが、実は白血球の一種であるマクロファージなどは、体内に侵入してきたウイルスを殺すのに活性酸素を使う。
 この活性酸素の何が問題かというと、例えばDNAに触れて傷をつけたり、切断したりし、これを修復できなければがん細胞に変異していく。実際、活性酸素はがんの主要原因だと言われているほど。
 がんだけではない。老化や動脈硬化、脳血管障害、高血圧などにも関係しているといわれ、高齢化で問題になっている認知症との関係も指摘されている。老化がすすむとシミや斑点が増えてくるが、これも活性酸素が主要な原因だ。

 もちろん人間は、体内で発生した活性酸素を消去する物質を持っている。たとえばSOD(スーパーオキシド・ジスムターゼ)という酵素もその一つで、最近は美肌やアンチエイジングに効果があるといわれて注目されているが、それはともかく、強いストレスが加わったり、高齢化でSODが十分に作れなくなると、がんをはじめ、さまざまな病気になりやすくなる。歳をとると病気になりやすいというのはこういうこと。

ところでご存知ですか? うつ病の現状 厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成8年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成20年には104.1万人と12年間で2.4倍に増加しました。
うつ病を治療しないで放っておくと、どうなるのでしょうか? 治療しないと他の病気と同じように、うつ病の症状も次第に悪化していきます。そして、状態が悪くなってから治療をはじめても、治療の成果がなかなか上がらず、治療の期間も長くなってしまいます。
また、うつ病はきちんとした治療をしないと、今は何とかふんばって仕事を続けていたり、家事をすることができていても、徐々にからだを動かすのが億劫になったり、自分の殻に閉じこもって、仕事に行けなくなったり、日常生活や人間関係にもさまざまな支障をきたすようになります。
うつ病は、放っておいても気のもちようで治るというものではありません。

「老人性うつ」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
老人性うつとは正式な病名ではありませんが、65歳以上の高齢者がかかるうつ病の呼称です。
うつ病は働き盛りの人がなるイメージが強いかもしれませんが、子どもから高齢者まで幅広い年代でかかる可能性のある病気です。
特に高齢になると、環境の変化、加齢に伴う衰えや病気などが増えるため、うつ病になりやすいと考えられています。
老人性うつは認知症と間違われるなど放置されることも多く、知らないうちに重症化します。
重症化すると最悪の場合、自ら命を絶つケースもあります。
ここでは「認知症だと思っていたらうつだと診断された」と戸惑う方や、「介護している親の様子がおかしい」と思っている方に向けて、「老人性うつ」の特徴や症状、治療法や正しい接し方、予防法について説明します。

老人性うつは認知症と並んで、高齢者によく見られる病気の一つです。
老人性うつと他の年代のうつ病に本質的な違いはありません。うつ病になると喜びの喪失、意欲の低下、思考力の低下が現れます。
老人性うつ特有の症状としては「身体的不調」や「妄想」、「不安・緊張」があります。
老人性うつにかかった方は、若い人のうつ病と比べて、抑うつ気分のような精神症状が目立たず、頭痛、肩こり、吐き気などの「身体的不調」を訴えることが多いです。

そのため病院に行っても体調不良の原因が特定出来ないことがあるのです。
「妄想」は現実にはないことを現実だと思い込んでしまうことです。老人性うつの症状として現れる妄想としては、下記のようなものがあります。
・老人性うつの方には「不安・緊張」も現れます。そわそわと落ち着かなかったりし、抑うつ症状などが目立たず、うつを見落としがちになります。
・「心気妄想」・・・軽い病気でも「自分は不治の病にかかってしまった」と思いこむ。
・「罪業妄想」・・・罪を犯した、警察に捕まるなどと思いこむ。
・「貧困妄想」・・・お金がない、破産したなどと思いこむ。

 老人性うつの方には「不安・緊張」も現れます。そわそわと落ち着かなかったりし、抑うつ症状などが目立たず、うつを見落としがちになります。
老人性うつの症状は記憶力の低下など、認知症の症状と重なる部分があります。そのため認知症と間違われやすいです。
身体的症状・うつ症状を「年だから仕方ない」と本人も家族も放置しがちなのも老人性うつの特徴でしょう。
また高齢者は他の病気も併発しがちです。認知症や他の疾患の陰に隠れて、うつ症状が気付かれにくいこともあります。
よって、適切な治療が受けられず、重症化するケースも多いのです。
老人性うつは、認知症と違い「治る病気」です。
重症化させないため、完治させるためには、病院へ行き、適切な治療を受けることが大切です。


うつ病を治療しないで放っておくと、どうなるのでしょうか? 治療しないと他の病気と同じように、うつ病の症状も次第に悪化していきます。そして、状態が悪くなってから治療をはじめても、治療の成果がなかなか上がらず、治療の期間も長くなってしまいます。
また、うつ病はきちんとした治療をしないと、今は何とかふんばって仕事を続けていたり、家事をすることができていても、徐々にからだを動かすのが億劫になったり、自分の殻に閉じこもって、仕事に行けなくなったり、日常生活や人間関係にもさまざまな支障をきたすようになります。
うつ病は、放っておいても気のもちようで治るというものではありません。

「老人性うつ」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
老人性うつとは正式な病名ではありませんが、65歳以上の高齢者がかかるうつ病の呼称です。
うつ病は働き盛りの人がなるイメージが強いかもしれませんが、子どもから高齢者まで幅広い年代でかかる可能性のある病気です。
特に高齢になると、環境の変化、加齢に伴う衰えや病気などが増えるため、うつ病になりやすいと考えられています。
老人性うつは認知症と間違われるなど放置されることも多く、知らないうちに重症化します。
重症化すると最悪の場合、自ら命を絶つケースもあります。
ここでは「認知症だと思っていたらうつだと診断された」と戸惑う方や、「介護している親の様子がおかしい」と思っている方に向けて、「老人性うつ」の特徴や症状、治療法や正しい接し方、予防法について説明します。

老人性うつは認知症と並んで、高齢者によく見られる病気の一つです。
老人性うつと他の年代のうつ病に本質的な違いはありません。うつ病になると喜びの喪失、意欲の低下、思考力の低下が現れます。

 老人性うつ特有の症状としては「身体的不調」や「妄想」、「不安・緊張」があります。
老人性うつにかかった方は、若い人のうつ病と比べて、抑うつ気分のような精神症状が目立たず、頭痛、肩こり、吐き気などの「身体的不調」を訴えることが多いです。
そのため病院に行っても体調不良の原因が特定出来ないことがあるのです。
 

 


16時間断食とは、24時間のうち8時間は好きなものを食べ、残りの16時間は何も食べない。そうすることで自食作用(=オートファジー)が働き、体内の古くなった細胞が蘇るという健康法です。ダイエットのほか、免疫や血管、自律神経に良い効果が期待できるとされています。

今回の健康塾は「オートファジーの働きで健康余生にチャレンジ」の謎解きです。

腹の最大のメリットは、体内の「オートファジー」機能が動き始めること。
タンパク質は、私たちの生存に欠かせない栄養素です。普段は食べ物から必要なタンパク質を作っているのですが、栄養が入ってこないと、体の生存機能により『体内にあるもの』で、タンパク質を作り出そうとします。これが、オートファジー機能。「その『体内にあるもの』とは、古くなって壊れたりした、細胞内のタンパク質です。これが体内で放置されたままだと、体の不調や病気の原因となります。ですが、オートファジーが機能することで、その不要なものや老廃物が一掃でき、若々しい体になると言う仕組みなのです」オートファジー機能は年齢に関係なく、どなたでも活性化させることができます。その唯一の方法が、「空腹」。ですが、オートファジーは、体に栄養が十分あるときにはあまり動きません。だから「物を食べない時間」が必要なのです。
しかし、まず現在、抗がん剤や放射線治療など、闘病中のがん患者さんは気を付けなくてはなりません。というのも、がんを増殖させる可能性があるからです。
 がん治療中に、オートファジーが活性化すると、がん細胞が自分で栄養をつくり出すため生き残りやすくなってしまうのです。
人間の体は60兆個ともいわれる細胞からできており、絶えず新しい細胞に生まれ変わっている。オートファジーは栄養素の確保や、細胞内に生じた不要なタンパク質・細胞内小器官(ミトコンドリアなど)の除去のために恒常的に分解と再利用を繰り返す。成人の体内では、1日に約200グラムのタンパク質が作られるが、食事から得られるのは60~80グラムに過ぎない。不足分は主にオートファジーで分解した自身のタンパク質が原料となる。病気や老化の原因となる不要なタンパク質もリサイクルして活用している。
がんになると、がん細胞に栄養を与える代謝活動が活発になり、オートファジーは活性化する。つまり、正常細胞では役立つオートファジーだが、がん細胞では、がんの進行を促進することになる。そこで、「正常細胞に影響を与えない範囲」で、オートファジー活性を抑制(阻害)することが基本戦略になる。

一方、アルツハイマー病、パーキンソン病、神経性難病など、細胞内に異常なタンパク質やミトコンドリアが蓄積して起こる疾患に対しては、オートファジーを活性化させる治療法が効果的であることが、動物実験で多数報告されている。脂肪肝もオートファジーの機能低下により処理されるはずのゴミがたまって起こるため、やはり活性化させる治療が必要になる。
 この現象によって、細胞の新陳代謝を促したり有害物を排除したりできる。つまり、オートファジーを調節すればアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の予防や治療を行える可能性があると期待されている。

納豆に「オートファジー」促す成分
ポリアミンは、「オートファジー(自食作用)」を促すことが分かっています。
高齢になって起こると寝たきりリスクが高まるばかりか、半年後の死亡率まで高まる股関節骨折(大腿骨頸部骨折)率は「西高東低」という研究結果があるのをご存知ですか。そもそも高齢女性に多いこの骨折の新規患者を1987年から2007年まで20年間分調べたところ、関西から九州にかけての地域で発生件数が多くなっていたことが判明しています。
関連する因子を分析すると、カルシウムやマグネシウム、ビタミンD摂取量との相関が認められたが、特に関西と関東で差があったのがビタミンKの摂取量だったのです。
食品からとれるビタミンKには主にK1とK2の2種類がありますが、更年期以降の女性の血中ビタミンK2濃度と股関節骨折率が相関し、しかも血中のK2濃度は納豆の摂取量と関係することを明らかにした研究があります。つまり、納豆消費量が関東以北に比べ低い関西で、骨折率も高くなっているのです。
緑の濃い野菜や海藻で摂取できるのが K1。日本人の食生活を考えたときに、骨を守る K2摂取源としては納豆ほど効率的な食品はないのです。

●ポリアミンの働き
体内において、ポリアミンは細胞分裂に重要な役割を担っています。ポリアミンがなければ、細胞は分裂や増殖を行うことができないため、新陳代謝を正常に行うことができなくなります。
体内では前立腺、膵臓、唾液腺などの、精子や酵素を生成する組織に多く存在しています。
また、ポリアミンは血管壁の炎症を予防し、動脈硬化を予防する効果などが期待されている成分です。

ポリアミンは体内でつくり出される成分ですが、20歳頃をピークにポリアミンを合成する酵素の活性が低下するため、加齢に伴って体内のポリアミンの量は減少していき、ポリアミンが不足すると、老化が加速するといわれています。
人間の体内に存在するポリアミンの長所のひとつは、分子量が非常に小さいことです。
分子量の小さいポリアミンは、食べ物などによって摂取しても、分解されることなく腸へ届き、吸収されるという利点があります。
よって、年齢により不足した場合でも、ポリアミンは食べ物などから補うことで、体内の臓器や組織へ行き届き、その効果を発揮することができます。

●ポリアミンの摂取方法
ポリアミンは大豆、きのこ類などに含まれており、特に大豆を発酵させた納豆や醤油、味噌にはポリアミンが豊富に含まれています。
また、チーズなどの発酵食品などにも、微生物が生成したポリアミンが多く含まれており、しいたけ、マッシュルーム、鶏肉などにもポリアミンは含まれています。

   <ポリアミンを含む食品>
   ○納豆、醤油、味噌などの大豆発酵食品
   ○チーズなどの発酵食品
   ○しいたけ、マッシュルームなどのきのこ類
   ○鶏肉


ポリアミンとはアミノ酸の一種であるアルギニンから合成され体内で作られるものと言われています。
年齢を重ねるごとにポリアミンを合成する酵素の活性は低下していきますが、ポリアミンの多い食物を摂取すれば、生活習慣病やがんのリスク低下も期待できるとも考えられています。

がんが発生するのは、遺伝子プロブラムに発生するエラーが主な原因です。
私たち成人の身体は60兆個の細胞から成り立っています。
それらの細胞は遺伝子をコピーしながら細胞分裂を繰り返しているわけですが、何らかの原因でその際、遺伝子に傷がつくことがあります。
その結果、突然変異してできるのが、がん細胞です。
遺伝子の本体であるデオキシリボ核酸(DNA)は4つの塩基で構成されています。細胞が分裂するときは遺伝子プログラムを倍加します。
そのため分裂後、2つになった細胞にはそれぞれ同じ遺伝子プログラムが存在します。ただし、遺伝子プログラムが複製されるとき複製を実行する酵素(タンパク質)は頻繁にエラーをおこします。
そのエラーが細胞分裂の調整をつかさどる遺伝子プログラムの部分で起きた場合、その細胞は高い頻度で分裂を繰り返すようになり、結果、そこから分裂した細胞群はより早く成長してがん化します。ですからがんは遺伝子の病気ともいえます。
細胞のがん化を防ぐためにがん抑制遺伝子があることはわかっています。
DNA(デオキシリボ核酸)はアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)からなりたっています。
1つの細胞には30億の遺伝子プログラムが含まれています。
一概には言えませんが、それぞれの細胞は生涯約1000回の細胞分裂を繰り返します。
がんは専門的に定義することが難しい病気で一般的には、全ての悪性腫瘍に関する疾病を指す言葉として用いられています。



全身の新陳代謝がみだれた結果
がんは様々な臓器に発生します。食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、乳癌などそれぞれ特定の部位に発生しますのでその部位における病気だと思われがちですがそうではなく全身の病気です。全身の新陳代謝がみだれた結果、DNAの変異によりがん化します。

がんは遺伝子の突然変異によって発生しますが、がんはたった1個の正常細胞が、無限に増殖しがん細胞に変わるところからはじまります。正常細胞は分裂の回数が決まっていますが、ガン細胞は無限に増えます。そこが正常細胞とがん細胞の決定的な違いです。

人間の体の中の細胞では40歳を過ぎると毎日5,000個以上の異形成細胞、がん細胞、が毎日発生していると考えられています。変異をおこした遺伝子が正常細胞の中に蓄積され変異遺伝子がある一定数たまると発がんするというメカニズムが身体の中にあるからです。

それを人間のリンパ球、がん抑制遺伝子が、がん細胞を抑制してがん化をおさえているということが最近の研究でわかってきました。このことは基礎医学の分野では以前からがん細胞が発生、消滅を繰り返していることは当然のこととして考えられていました。

がん細胞が無限に分裂するのは、テロメア合成酵素が活性化しているからです
細胞が分裂増殖するには自身のDNAを複製する必要があります。 テロメアはもともと染色体の末端にある構造蛋白体で、遺伝子情報を保つDNAを保護しています。細胞分裂のたびにDNAは複製されますが、末端は複製されないのでテロメアは徐々に失われて短くなります。そうなると細胞は分裂することが出来なくなり「細胞老化」アポトーシス(プログラムされた細胞死)し細胞の役割を終えます。

異常な増殖性を持った細胞が、がん化するのを未然に防ぐ仕組みがあるからですが、 特にがん細胞では、テロメラーゼ(telomerase)と呼ばれる大量のテロメア合成酵素が存在しております。 テロメアによる制御を受けず、がん細胞は無制限に分裂を繰り返します。のちに述べる活性酸素と関係があります。


細胞のシグナル伝達機構
細胞分裂する時の周期はG1、S、G2、Mの4つのステップがあります。細胞が外部からの信号(シグナル)をうけた時、細胞内でさまざまな物質がそのシグナルを伝え、細胞の増殖などの有無が決まります。細胞分裂する時に種々の抑制タンパク質の機能が失われると、最終的に細胞時計を狂わせて細胞の過剰増殖を引き起こします。がんの発症などに密接に関連しています。
がん細胞の成長
たった1個のがん細胞は10年から20年あるいはそれ以上の長い年月をかけて何段階にも変化して「悪性のがんは」生命を脅かすまで成長するのですが、1個のがん細胞は30回の分裂で約1cmの塊になります。1g、10億個のがん細胞が含まれていると考えられています。
40回の分裂で約10cmの塊で1㎏の大きさに成長します。

※悪性のがんとは転移、遠隔転移をおこすがんです。
しかしいくら小さな固形がんでも発見されたときには転移するかどうかは今でもわかっていません。
手術後摘発した組織を病理検査しても転移するかしないかはわりません。

1個のがん細胞から分裂がはじまって30回目あたりでまでの増殖過程は最新の画像診断機器を使っても人間の目はまだ異常としてとらえることはできません。

1個のがん細胞の大きさは約10ミクロン(1ミリの百分の1)大きさが1mmのガン細胞の塊は約1,000万個です。早期発見といわれている1cm位の大きさでは、がんの寿命としては10cmの塊に成長するとして4分の3を経過した状態でしか早期発見は出来ないのが現状です。

40回分裂して1㎏の大きさですから、分裂が30回目以降でないと発見できないのです。このことは、早期であっても細胞レベルでは30回目以降の分裂ですからはたしてその時点で本当に早期と言えるのか疑問に思えますが。

がん細胞の分裂のスビートは必ずしも一様ではなく、がん細胞の分裂は最初のうちは早く途中からスビードダウン(常に倍々に増えるわけでは決してないのですが)することも知られています。

どの臓器でも、大きさが部位にもよりますが3cm以上なりますと、一概に言えませんが年齢、性別に関係なく自覚症状も出てきますし、生命に危険を脅かします。当然ですがそれ以前の段階でもがんは全身のあらゆる臓器、組織に発生するので、それぞれの機能や局所の変化として個々に症状をあらわします。

すでに遠隔転移、多発転移している場合もあります。しかしそこまでがん細胞が大きくなるには、がん細胞が分裂をかさねていくあいだには、死滅するがん細胞もありますが1個のがん細胞が分裂(単純に2分裂)を40回分裂くりかえすだけで10センチ程度になります。

今の医学は早期と呼ばれるがんが進行してその延長線上に進行がんがあると普通考えますが、しかし早期がん(5mm以下の超早期がんなど)はいつまでたっても早期がんで、手術で切除、摘出しなくても、そのままの状態かまたは、そのうち自然に無くなっていくという考えも根強く残っています。このことは、身体の抑制遺伝子によってがん細胞の増殖を抑えていると考えることも出来ます。

生体の免疫系、がん抑制遺伝子
生体の免疫系、がん抑制遺伝子というのはがん細胞をいつも監視していてがん抗原が発生すると異物と認識してそれを抑え込む働きをしています。がん細胞が大きくなっていく過程は複雑ですが、発ガンイニシエーター(正常な細胞のがん化を引き起こす原因となる発がん物質や要因)と発ガンプロモーター(がん細胞を促進する物質や要因)との関係があります。

人間をとりまく生活環境の悪化、食生活の変化(動物性たんぱく質と脂質の過剰摂取)過度に体を動かすことによって発生する活性酸素も原因の1つにあげられます。人間が本来持っているがん抑制遺伝子、免疫機構がしっかり働いていればがん細胞は生体の中の異物として増殖する前に消滅してしまいます。

細胞膜を傷つける原因
細胞ががん化するきっかけはさまざまです。細胞膜を傷つける原因の一つに活性酸素があげられます。生体の正常な細胞を酸性化させます。細胞膜が傷つければ細胞の中にナトリウムが入ってカリウムが細胞の外に出ていきます。電解質の交換が行われ遺伝子を傷つける誘因になります。細胞にダメージを与える活性酸素とは酸素がイオン化してプラスイオンになることで生じます。

必要なアミノ酸やビタミンを十分に摂取していても老化や病気は起こってしまいます。体内でタンパク質を作る過程においても活性酸素が発生します。

活性酸素はエネルギーを作る過程で発生します。身体を維持する為にブドウ糖や脂肪酸を消化しますが、その時に大量の酸素を使います。そのうち約2~3%が活性酸素になってしまいます。酸化させる力が強いほど活性が強い酸素という事になります。

鉄がさびるのと同じように体内のたんぱく質、脂質も活性酸素で酸化します。活性酸素によって酸化が進むと細胞は正常な状態ではなくなります。細胞は代謝を繰り返して常につくり変えられています。DNAの働きにより分裂し増殖していきます。

正常な細胞は一定の分裂の回数が決まっています。その分裂の回数を決めているのは、前にお伝えしました染色体の末端部にあるテロメアと呼ばれる物質です。細胞が分裂する度に少しづつ短くなり、テロメアがなくなった時点でその細胞は分裂をしなくなります。

がん細胞にはこのテロメア合成酵素を活性化させます。がん細胞は活性酸素によってDNAがダメージを受けると細胞が分裂してもテロメアの長さが短くならないため、がん細胞は増殖しつづけます。

活性酸素に正常細胞が刺激される最初の段階ではがん抑制遺伝子が働き修復されるので目に見える形での大きながん巣(最初にがん(腫瘍)が発生した病変のことです)にはなりません。DNAが修復されて正常細胞に戻るからです。
活性酸素はいったんバランスが崩れ過剰になると細胞の老化やさまざまな病気を引き起こします。体内で大量に発生した活性酸素はがんのほか脳や血管系の病気、心臓病などの原因になります。活性酸素が増える原因として生活環境の変化、地球の温暖化、水、ビタミン、ミネラルの変化、人間社会の複雑化に伴うストレス社会などがあげられます。

活性酸素が増大すればがん遺伝子の活性化や様々な病気の発病抑制遺伝子の機能低下をもたらします。これが生体を阻害する本当の意味での酸化ストレスとなります。これらの酸化ストレスは最終的にはDNA構造にダメージを与え、細胞の機能を阻害します。それに対してマイナスイオンが細胞の新陳代謝を活性化させるというデータがあります。

がん細胞の抑制に期待
ノーベル医学生理学賞に決まった大隈良典、東京工業大学栄誉教授が研究するオートファジー(自食作用)は生命活動を維持するための基本的な仕組みで、そこでの異常が、さまざまな病気と関わることが分かってきました。

がん細胞ではオートファジーが活性化されており、がん細胞では普通は生きられないような低栄養、低酸素の環境でも活動ができることがわかっています。

オートファジーは、細胞が不要になったタンパク質を分解して栄養源に再利用する仕組みなので、その働きを抑え、栄養源を得られなくすることで、がんの増殖を止められるとの考えからマラリアの薬剤に働きを抑える効果があるとして、他の抗がん剤と組み合わせた臨床試験が進んでいます。

また逆にオートファジーを過剰に働かせるがん治療の構想あります。がん細胞を放射線で刺激するとオートファジーによって必要以上にタンバク質が分解されて、がん細胞が消滅する現象が発見されました。

この現象を体内で再現する研究も進んでいます。細胞内のタンパク質は新鮮さを保つために常に入れ替わっています。基底膜レベルのオートファジーはその重要な担い手であると考えられています。約2か月で体のほとんどの細胞は新しいものと入れ替わっているからです。
がんの多くは消化管で発生します
異物である食物を摂り込み分解して、必要なものだけを吸収し、合成する一連の働きは「消化」と呼んでいます。 細胞内消化と細胞外消化の二つの「消化」があります。細胞内消化は血液細胞の一種の「白血球」個体防衛を目的にしていますが、体内に侵入した病原体や異物を取り込んだ際、消化して排出(体内掃除)する点では細胞内消化現象です。他のバクテリアを食べて生きる原生動物も細胞内消化をしています。

細胞外消化は、独立した消化管を体内ににもち、そこで食物を栄養源に分解して、消化をすすめます。体内では、吸収できるかたちにしなければ利用できないので、その化学反応は消化酵素が担っています。消化酵素は細胞内でつくられていますが、人間では独立した消化管のなかで、細胞内の消化酵素は細胞内から細胞外へ分泌されています。

人間のがんの多くは消化管でおこっていますが、それは口から肛門にいたる消化管は、広大な面積を持った一本の管です。消化管は生きるためにの栄養獲得するきわめて重要な管腔臓器です。生まれてから、外界の異物を摂り入れ続けて、消化管の粘膜は、休むことなく外界の異物と、消化酵素などの反応をして発がん物資を含むさまざまな毒物、細菌などの抑制や共存の場です。

口腔から食道まで、直腸から肛門までは扁平上皮の粘膜が覆っています。ここに扁平上皮がんが発生します。胃から大腸までは腺上皮の粘膜が覆っていますので、腺がんが発生します。

人間の消化管は基本的には一本の管ですが、この管の内部のいたるとこるに、外界の異物、食物が生涯接触を続けているために、がんが発生しやすいのです。 がんの予防には、消化管がつねに接触している食物に注意を払うことが、いかに大切かわかります。がんにならないような食べ物の知識をもち、食生活の工夫することをおろそかにはできません。

オートファジーが始まる仕組み
オートファジーは細胞が自己成分を分解する現象で、様々な疾患を防ぐ生態防御の機能を持ちます。オートファジーの異常は癌や神経変性疾患など様々な疾患に関連することが知られており、そのメカニズムを理解することは医学の重要な課題となっています。飢餓状態の細胞ではオートファジーが活性化し、自己成分を分解して生存に必要なアミノ酸などの分子が作られます。しかし多くの研究ではごく短時間の飢餓で誘導されたオートファジーを観察しており、より長い期間、たとえば数日にわたって飢餓が続く場合にオートファジーがどのように継続されるのか、特にオートファジーに不可欠な生体膜の脂質がどのように供給されるのかはよくわかっていませんでした。そこで、本研究では生体膜の主要な脂質であるホスファチジルコリンに的を絞り、最長3日間飢餓状態においた細胞を用いて、どのようにホスファチジルコリンが供給されるのか、またその産生がどのような仕組みで長期間維持され、オートファジーを継続させるのかを解明することを目的として実験を行いました。
オートファジーは、自己成分を分解して生存に必要な分子を作り出す仕組みで、飢餓状態におかれた細胞の生存を助ける働きがあります。体内の癌細胞はこの働きを利用して、血液による栄養供給が少ない環境でも生き延びる可能性があると考えられています。しかし飢餓が長期に続く場合、オートファジーを継続させるために必要な生体膜の脂質がどのように供給されるのかは不明でした。今回研究グループは、オートファジーで分解された自己成分から作られる脂肪滴(*2)にCCTβ3(*3)というタンパク質が集合して活性化されることにより、生体膜脂質の合成が促進され、オートファジーの継続が可能になることを見出しました。さらにCCTβ3を欠く癌細胞は長期飢餓時のオートファジー活性が低く、生存率が著しく低下することも明らかにしました。本成果はオートファジーの基本的なメカニズムの1つを解明することにより、CCTβ3が癌治療の標的となりうる可能性を示したものです。

 研究成果のポイント
  ・オートファジーの長時間継続にはCCTβ3というタンパク質が関与
  ・CCTβ3を欠く癌細胞は長期飢餓時の生存率が著しく低下
  ・CCTβ3は癌治療の新たなターゲットになる可能性

オートファジーは細胞が自己成分を分解する現象で、様々な疾患を防ぐ生態防御の機能を持ちます。オートファジーの異常は癌や神経変性疾患など様々な疾患に関連することが知られており、そのメカニズムを理解することは医学の重要な課題となっています。飢餓状態の細胞ではオートファジーが活性化し、自己成分を分解して生存に必要なアミノ酸などの分子が作られます。しかし多くの研究ではごく短時間の飢餓で誘導されたオートファジーを観察しており、より長い期間、たとえば数日にわたって飢餓が続く場合にオートファジーがどのように継続されるのか、特にオートファジーに不可欠な生体膜の脂質がどのように供給されるのかはよくわかっていませんでした。そこで、本研究では生体膜の主要な脂質であるホスファチジルコリンに的を絞り、最長3日間飢餓状態においた細胞を用いて、どのようにホスファチジルコリンが供給されるのか、またその産生がどのような仕組みで長期間維持され、オートファジーを継続させるのかを解明することを目的として実験を行いました。

。オートファジーは、酵母や植物、動物など、すべての真核生物に備わっている細胞内の浄化・リサイクルシステムです。細胞内の変性タンパク質や不良ミトコンドリア、さらには細胞内に侵入した病原性細菌などを分解して浄化することで、さまざまな病気から生体を守っています。また栄養状態が悪くなったとき、過剰なタンパク質を分解して、生存に必要なタンパク質にリサイクルします。
 大隅さんは1993年、酵母を使った実験により、オートファジーに欠かせない遺伝子を14種類発見し、それらの遺伝子からつくられるAtgと呼ばれるタンパク質群の機能を調べる研究を進めました。「その1993年の論文が、ノーベル賞で最も評価されたものです。現在、酵母の主要Atgタンパク質は18種類知られていますが、大隅先生はその大半を1993年に発見され、オートファジー研究の礎を築かれたのです」。微生物化学研究所の野田展生さんはそう解説します。
 タンパク質の構造が分からなければ、その機能メカニズムを解明することはできません。そこで大隅さんは2001年、北海道大学の教授だった稲垣冬彦さんにAtgタンパク質の構造解析を依頼しました。その解析を担当したのが、学位を取って稲垣研究室に赴任したばかりの野田さんでした。「当時Atgタンパク質群の構造解析は1種類も行われていませんでした」。こうして野田さんたちは、世界に先駆けて、タンパク質の構造からオートファジーの仕組みに迫る研究を始めました。

何でも分解できるオートファジー
 ここでオートファジーの過程を簡単に見てみましょう。オートファジーが始まるとき、まず膜で囲まれた小さな袋ができます(図④)。その袋が大きくなり、へこむように変形して分解する物質を閉じ込めます。この袋をオートファゴソームといい、数分から10分以内に完成します。そして、酵母や植物では液胞、動物ではリソソームと呼ばれる分解酵素が入った器官とオートファゴソームが融合して、物質が分解されます。
 「オートファジーは、タンパク質や脂質だけでなくミトコンドリアなど、何でも分解することができます。ただし、分解し過ぎて細胞が死に至ることは、普通はありません。何でも分解できてしまう危険な仕組みが必要なときだけに始まり、不要なものを選択的に分解するように高度に制御されています。そこがオートファジーのすごいところです」

最初の袋ができる仕組みが分かった
 野田さんと大隅さんたちは、オートファジーの仕組みを調べる共同研究を続けてきましたが、まだ分からないことがたくさんあります。その1つが、オートファゴソームがつくられる仕組みです。
 野田さんと大隅さんたちは2016年、SPring-8を用いたX線結晶構造解析により、オートファゴソームができる最初の段階の仕組みを解明することに成功しました。オートファジーは、細胞が飢餓状態になったときなどに始まります。細胞内には、栄養状態のセンサーの役割をするTORC1という酵素があります。栄養状態がよいときには、TORC1がAtg13にリン酸を付け続けて、オートファジーが始まらないように抑えています。
 細胞が飢餓状態になると、TORC1の活性が低下してAtg13からリン酸が外れます。するとAtg13はAtg17と結合できるようになります。
 Atg13とAtg17が結合した複合体の構造を解析しました。「Atg13の大部分はひも状の構造で、そこに2カ所の結合部位があり、Atg13の1本のひもで2つのAtg17をつなぎとめることが分かりました。こうしてAtg13とAtg17はたくさんつながり、そこにAtg1、Atg29、Atg31も集まった巨大な複合体ができるのです」。
 この巨大な複合体がオートファゴソームの最初の袋をつくる土台となります。「細胞内には、Atg9を数十分子埋め込んだ膜でできた小さな袋(Atg9小胞)がたくさん漂っています。1個ずつのAtg13とAtg9の結合力はとても弱いので、普段はAtg13にAtg9小胞が集まることはありません。ところがAtg13をたくさん含む複合体ができると、そこにAtg9小胞が3個ほど結合し、Atg9小胞同士が合体してオートファゴソームの最初の袋になると考えられます」。
 試験管内にAtg13やAtg17が集まった複合体とAtg9小胞を混ぜて、いくつかのAtg9小胞が合体した袋ができるかどうか確かめる実験を始めています。

まだ3合目
 3個ほどのAtg9小胞が合体して小さな袋ができた後、そこに細胞内から膜が集まってきて、袋が大きくなります。「どこから膜が供給されるのか、それがどのような仕組みで集まってきて袋が大きくなるのか、それはまだ謎です。そこでもAtg9が重要な働きをしていると予想されますが、その構造はまだ解析されていません。私たちはAtg9の結晶をつくり、構造解析することを目指しています」。
 タンパク質の構造を解析するための代表的な手法が、結晶をつくってX線で測定するX線結晶構造解析です。ただし、Atg9のような膜タンパク質や複数のタンパク質から成る複合体は大きな結晶をつくることが難しいという問題があります。「小さな結晶しかつくれない場合も多いのですが、SPring-8ならば、そのような微小結晶でも構造解析ができます」。
 オートファジーには、さらに大きな謎が残されています。「その一つは、分解する物質を閉じ込めるために、袋が大きくへこむように変形する仕組みです。その変形でもAtg9が関係しているかもしれません」。
 完成したオートファゴソームは内膜と外膜の2層構造になります。「液胞やリソソームに融合すると、内膜は閉じ込めた物質とともに分解されます。しかし外膜は分解されずに、液胞やリソソームの膜の一部となります。なぜ、内膜だけが分解されるのか、それも大きな謎です。大隅先生はオートファジー解明の道のりは、まだ3合目だとおっしゃっています」。

緊密な共同研究で10合目を目指す
 「構造解析を進める研究者は、ある現象で働くタンパク質を解析したら、次はまったく別の現象のタンパク質を対象にする人も多いようです。私はオートファジーに関わるタンパク質にターゲットを絞って構造解析を進めてきました。オートファジーは1種類のタンパク質の構造を解いただけでは現象の仕組みが分からない巨大システムです。たくさんのタンパク質の構造を解析することで、ようやくオートファジーの仕組みの一端が見えてきます。そこが、大変ですが、面白いところです」。
 生命現象の仕組みを解明するには、現象に関わる遺伝子・タンパク質を突き止めてその機能を調べる“機能解析”と、タンパク質の構造を解析して機能メカニズムを調べる“構造解析”の両方が必要です。
 「私は2011年に北海道大学から微生物化学研究所(東京都)に移った後は、東京工業大学の大隅研究室(神奈川県)のセミナーに毎週、参加しています。機能解析と構造解析の研究者による、このような緊密な共同研究は、ほかに例がないと思います」。
 オートファジーは、がんやパーキンソン病などさまざまな病気や、老化とも関係が深いことが分かってきました。野田さんは、ヒトやマウスなど哺乳類のオートファジーの研究を進めている水島昇さん(東京大学大学院教授)との共同研究も行っています。
 「私は薬学部の出身で創薬などの応用研究にも興味がありました。ただし現在は、質の高いサイエンスを進めれば、おのずと応用につながると考え、オートファジーの仕組みに迫る基礎研究を進めています」。

新型コロナとオートファジーの関係は?
オートファジーの大きな役割は、(1)細胞の新陳代謝と(2)有害物の排除だ。
(1)の細胞の新陳代謝とは、細胞の一部がオートファジーによって毎日少しずつ壊されて再生されているため、細胞の入れ替えが起こっているということ。人間の体では、細胞内のたんぱく質を1日当たり約240g分解してアミノ酸にし、新たにたんぱく質を作っている。

 実はこの現象が「細胞内の健康(恒常性の維持)に非常に重要。これが滞ってしまうと病気になる」と吉森氏は話す。日々、細胞の構成成分の一部を分解して再生することで入れ替えをし、新鮮な状態を保っているのだ。

 (2)の有害物の排除とは、細胞内に有害なものが現れると、オートファジーが識別して隔離・分解するという特徴である。(1)の新陳代謝は無作為に細胞内の成分を分解しているが、有害物の分解は識別した上で選択的に行っている。有害物とは、病原体や病気の原因になる異常たんぱく質、壊れた細胞小器官などである。

 例えば、溶連菌やサルモネラ菌、インフルエンザウイルスなどはオートファジーによって排除できる。つまり、自然免疫の機能といえる。一般的な免疫作用では免疫細胞が働くが、オートファジーは全ての細胞に備わっているため、どの細胞でも発揮することができる。

しかし、オートファジーを妨害するウイルスも存在する。現在猛威を振るう新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)や、エイズを引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)、重篤な脳炎を引き起こすウエストナイルウイルスなどがこれに当たる。これらのウイルスは、オートファジーによる識別を妨害して分解されないようにすることができ、細胞の中の免疫が働かなくなってしまう。

オートファジー習慣には、オートファジーを活性化するポリアミンを含有した米胚芽エキス末とトランスレスベラトロール、アスタキサンチンが配合されている。トランスレスベラトロールとアスタキサンチンは、AutoPhagyGOとUHA味覚糖の共同研究で、オートファジー活性が確認できた成分である。

レスベラトロールを摂取することで、細胞の酸化を防ぎ、肌の弾力を改善するなどの効果が期待されています。 その他にも、血流の改善や血糖のコントロールなどに働くことが知られており、生活習慣病の予防にも効果的だといわれています。
サンタベリーや、ブドウ由来のレスベラトロールが「トランス型」です。 レスベラトロールはサンタベリーやブルーベリーなどのベリー類、ブドウ、ピーナッツの渋皮や、イタドリ、インドネシアの植物メリンジョなどにも含まれています。

アスタキサンチンとは、サケやイクラ、エビなどに含まれる成分で、強力な抗酸化力を持つ赤色の天然色素です。 眼精疲労の改善や動脈硬化の予防、疲労回復などに効果がある成分です。 目の奥や脳など栄養が届きにくい細部にまで入り込むことができます。
 

アスタキサンチンを含む食品      サケ、イクラ、カニ、エビ

アスタキサンチンはお肌だけでなく体の中の老化も防いでくれます。動脈硬化を引き起こす直接的な原因である血中脂質の異常。悪玉とされているLDLコレステロールも本来は体に必要な栄養素のひとつですが、活性酸素によって酸化されると血管壁に蓄積されて、血管を硬く細くして老化させます。アスタキサンチンは強力な抗酸化作用で、まずLDLコレステロールが酸化されるのを防ぎます。
研究では、血管の傷を修復し、糖尿病や動脈硬化の予防に役立つ「アディポネクチン」というホルモンの分泌が増加したことが報告されています。


「空腹20分運動」で健康な体になれると考える
最後に食事をとってから12時間後~16時間後、この4時間の間に運動をすることです。上半身、下半身、20分程度、全身の筋肉を軽く動かす程度で構いません。これを週2回ほどやるのが理想的です。
なぜ、この空腹時、しかも最後の食事から12時間後以降に運動をするといいと考えられるのか。
その理由は「空腹の時間中に運動を行うと『オートファジー』が活発化することが、近年明らかになってきたから」です。
オートファジーとは簡単に言うと、「古くなったり壊れたりした細胞内のタンパク質を集め、分解し、それらを基にエネルギーを作る」という、体のシステムのことです。オートファジーが起こると、古くなった細胞内のミトコンドリア(呼吸を行い、エネルギーを作り出す重要な器官)も分解されて生まれ変わり、体にとって不要なものや老廃物が一掃され、細胞や組織、器官の機能が活性化します。
つまり私たちの胃や腸、肝臓、腎臓などにある細胞がリセットされ、新しい細胞に生まれ変わると考えられているのです。このオートファジーが始まったタイミングで運動を行うと、その部分でオートファジーが活性化することも最近の研究でわかってきました。
そのため、運動をするなら「筋肉量の維持+細胞をリセット」できる空腹時の運動が、効率的ではないかというわけです。
オートファジーは、どのタイミングで始まるか
「オートファジー」に関する論文は、2020年になってから世界の医学誌で次々と発表されました。例えば、「オートファジー効果が高まれば、心臓の細胞が正常に保たれ心臓病のリスクが下がる」「オートファジーが起きないと脂肪肝になる」などが研究結果の1つです。

さて肝心のオートファジーですが、体内でいつから始まるかというと、最後に食事をとってから12時間後(睡眠時間を含んでもよい)からと言われています。加えて、オートファジーをしっかりと働かせるためには、最低16時間程度の空腹の時間が必要ともされています。
もし前日の夜19時に食事を食べ終わったなら、翌日の朝7時ごろからオートファジーが始まり、11時頃までにかけてオートファジー効果が高まっていきます。朝7時から11時ごろまでの間に運動をやれば、オートファジーが加速。体内の内臓やさまざまな場所で細胞がよみがえり、免疫、血管、自律神経などによい効果をもたらすと考えられます。
ほかにもヘモグロビン値が下がった、体重が減った、血糖値・血圧が下がったという事例が報告されています。


週1回、16時間でOK。プチ断食をより効果的にする方法
「断食」に興味があるけれど、ハードなのはちょっと──と考えている人に、ぴったりの「プチ断食」を見つけました。
『がんを克服した糖尿病医が考案! 弱った体を修復する内臓リセット健康法』(アスコム)の著者は、糖尿病や生活習慣病の専門医である青木厚先生(あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長)。40歳のときに舌がんを患い、食事療法を実践してがんの再発を防いでいます。
青木先生が提案するのは、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した「オートファジー研究」に基づくプチ断食。週末の断食と週2回の運動により、内臓がリセットされ、健康な体を維持できるといいます。

細胞の生まれ変わりを助ける「オートファジー」
「オート(自己)」「ファジー(食べる)」とは、細胞が自分自身を食べ、新しく生まれ変わること。

私たちの細胞はふだん、食べ物から栄養を摂取してエネルギーを作っています。しかし空腹の時間が長くなると、体は“体内にあるもの”──古くなったり壊れたりした細胞内のタンパク質やミトコンドリアを集めて分解し、それらをもとにエネルギーを作ってくれるのだとか。

*これがオートファジーであり、オートファジーによって細胞が生まれ変われば、体にとって不要なものや老廃物が一掃され、細胞や組織、器官の機能が活性化し、病気になりにくく若々しい体になります。
さらに、オートファジーには、細胞内に侵入した病原菌を分解・浄化する機能もあり、健康であるために欠かすことのできない仕組みだといえます。

残念ながら加齢とともに低下していくというオートファジー。また、体の中に食べ物による栄養が十分にある状態では、あまり働いてくれません。

先生によると、オートファジーが始まるのは最後の食事から約12時間後とのこと。しっかり内臓をリセットするためには、最低16時間程度の空腹の時間が必要だといいます。


「空腹時間の運動」が重要
実は、空腹時に運動を行うことで、オートファジーがより活発化すること、運動によって筋肉を動かすと、その部分にオートファジーが起こりやすくなることが、最近の研究で明らかになったのです。

運動をするのは、平日1回と、土日の「16時間の空腹」中の計2回。「朝断食」の場合は、起床後~ランチまでのあいだが運動タイムになりますね。

運動は激しいものである必要はなく、誰でも無理なく簡単にでき、かつ多くの筋肉にバランスよく負荷をかけられるものがおすすめだそう。本書では、青木先生が考案した約20分の運動のプログラムについても、くわしく紹介されています。

夜は好きなものを食べて、睡眠時間の延長でプチ断食。運動は週2回──これなら断食のハードルはグッと下がります。食べ過ぎが気になるこれからの季節、試してみる価値はおおいにありそうです。

運動をするのは、平日1回と、土日の「16時間の空腹」中の計2回。「朝断食」の場合は、起床後~ランチまでのあいだが運動タイムになりますね。

オートファジーの現場をとらえる ――→  細胞が自分を食べる理由
(1) 適切に処理する方法
 生命現象の単位、細胞は生きるために必要な要素を日々作り上げると同時にそれらを適切に処理する必要がある。例えば、図1のようにヒトはアミノ酸からつくられたタンパク質を分解してアミノ酸プールにためて、その後再利用する。人間社会に置き換えてみれば、ものを作るだけでは立ちゆかなくなり、資源の再利用やゴミ処理が大切であるのと同じである。



食事で得るタンパク質より体の中で新たにつくられるタンパク質の方が約2.5倍も多い。ヒトは常に体内のタンパク質を分解してアミノ酸プールにためてから新しいタンパク質を作り直している。

(3) いつ?どこで?どのくらい?を観る
 次に知りたいのは、オートファジーは個体内のどこで、いつ、どのくらいおきているのかである。そこでオートファゴソームに局在するLC3に緑色蛍光タンパク質をつないだ遺伝子を入れ、それが全身ではたらく遺伝子改変マウスをつくった。このマウスの組織切片を蛍光顕微鏡で観察するとオートファジーがおこっている様子を簡単に知ることができる。
 このマウスの解析から、絶食時にほとんどの臓器でオートファジーが活発になることがわかった(図6)。なかでも骨格筋や心筋などの細胞などで活発であった。オートファジーは、栄養飢餓時に、やむを得ず自身の一部を分解してそこから栄養素を獲得することにあると考えられる。

(4) みえてきたオートファジーの意味

 このように激しくおこるオートファジーの重要性を知るために、隔離膜の伸長に必要なAtg5遺伝子をノックアウトし、オートファジーができないマウスを作製した。このマウスはほぼ正常に生まれるが、生後まもなく深刻な栄養不良とエネルギー低下状態になる。特に血中や組織中のアミノ酸濃度が際だって低下する。これはオートファジーが、アミノ酸供給を通じてエネルギー恒常性に関わっていることを示している。
 マウス以外でも、オートファジーのおきない変異体の解析により、実に多彩な異常が観察されている(図8)。出芽酵母では胞子がうまくつくれず、細胞性粘菌ではアメーバ体から子実体への分化ができない。線虫ではダウアー(耐性)幼虫(註2)になれず、ショウジョウバエでは蛹期で死んでしまう。一見無関係と思われるこれらの表現型は、実はすべて栄養飢餓と密接に関係している。胞子形成、子実体形成、ダウアー(耐性)幼虫形成はいずれも飢餓に対する適応反応である。なにも口にすることのないショウジョウバエの蛹はもちろん飢餓状態であり、自分自身(幼虫組織)を栄養源として成虫を形づくるほかない。哺乳類では、へその緒という母親とのつながりが突然切れる出生が強烈な飢餓の引き金となる。つまり、上述したオートファジーが起こらない変異体でみられた異常は、細胞内あるいは個体内でアミノ酸を自給しなくてはならない段階の異常なのである。一方、植物ではオートファジーがおきない変異体は老化が進んだり、種子収量が減ったりするが、基本的にはその生活史(註3)を全うする。栄養状態が悪いからといって簡単に移動できない植物は、種子や根という優れた栄養源や供給経路をもち飢餓に対する何重もの対抗策を備えているということだろう。

 飢餓状態でなくともオートファジーは、一定の割合でおきている。これがうまくはたらかないと、細胞内に異常なタンパク質が蓄積してくることもわかっている。つまり、オートファジーには細胞内の一部を一定の割合で無差別に分解する掃除屋としてのはたらきをしているのだ。これはさまざまな神経変性疾患や老化とも関連するので重要な機能である。すなわちオートファジーは栄養制御と細胞内浄化というふたつの大事な役割を持っているのである。最近の研究から、細胞内に侵入した細菌の分解や、細胞内タンパク質の抗原提示などにもオートファジーが関わっていることがわかってきた。長い間謎につつまれていたオートファジーはこのような多彩なはたらきを持ち、これは今後一層広がりを見せるであろうと思わせる。

細胞が自分を食べる オートファジーの謎
哺乳類ではいつオートファジーが起こっているか 
オートファジーは栄養飢餓のときに活性化され、オートファジーを起こせないと細胞が早く死んでしまう。このとき起こるオートファジーは、細胞が自らのタンパク質を分解してでも、そのときに必要なアミノ酸を得るために大切である。これらのアミノ酸は飢餓に適応するためのタンパク質を作るのに利用されている。二倍体酵母では飢餓によって引き起こされる胞子形成にオートファジーで作ったアミノ酸を利用していると考えられる。
これは単純な酵母細胞の話である。私たちの体ではいったいオートファジーがどのようなときに、どのような働きをしているのかは全く別問題である。私たちは飢餓になっても胞子は作らないし、そもそも多少の細胞が飢餓で死んでもあまり問題はない。それではどのような働きをしているのであろうか。

しかし、私たちと同じ哺乳類であるマウスやラット(齧げっ歯類し る い)を使った実験から多くのことがわかってきている。おそらくその多くは人間にもあてはまることであろうと予想される。
オートファジーの意義を知るための第一歩は、オートファジーはいったいいつどこで起こっているのかを調べることである。その状況を知らずして、機能を予想することはできない。これについては、古くから電子顕微鏡を使った観察が数多く行われてきた。結果は酵母とよく似ており、動物でも栄養がないことによってオートファジーが誘導される(この実験は動物の方が先だったので、むしろ酵母が動物と似ていたというほうが正しい)。たとえば、マウスを一晩飢餓にすると肝臓や腎臓などのいろいろな臓器でオートファジーが起こることが観察されていた。これは動物まるごとを使った実験だけではなく、動物から臓器を取り出して、体外で栄養の少ない液を血管に流すような灌 流*1 実験や、臓器からとってきた細胞をシャーレの中で培養するような実験でも同様である。
やはり栄養飢餓によってオートファジーは活性化される。つまり飢餓によってオートファジーが誘導されるという現象は、酵母から哺乳類に至るまで共通して見られ、しかもそれは動物まるごとでも細胞でも同じなのである。

飢餓時にオートファジーを起こす意味
なぜオートファジーが起こらないと生まれて 12 時間で死んでしまうかは実はよくわかっていない。このマウスにはどうもいろいろと異常がありそうなのである。筆者の研究グループの久万亜紀子博士(現・東京医科歯科大学)が中心となってさらに調べを続けた。まず、ノックアウトマウスは母乳を飲むことができない。赤ちゃんは飢えているわけだから、母乳を飲めないのでは話にならない。これだけでも十分に死ぬ理由となりえる。しかし、普通はいくら母乳が飲めなくても 12 時間で死ぬことはない。
24 時間程度は十分に生きることができる。つまり、単に母乳を飲めなくて死んでいるわけではないことになる。
酵母のところで述べたように、飢餓時の自己タンパク質の過剰分解はアミノ酸を作り出すことにある。
そこで、これらのマウスのアミノ酸の濃度を調べてみた。まず、生まれた直後は、同腹(同時に生まれた兄弟)の正常マウスとノックアウトマウスの間に違いは見られなかった。しかし、生後 10 時間の時点で検査をすると、ノックアウトマウスの血液中や、肝臓や脳などの臓器中のアミノ酸濃度は正常マウスより 4 割程度も低かった。わずか 10 時間の間にこれだけの差がついた。これらの実験結果は、マウスという動物まるごとにおいても、飢餓時にオートファジーを起こすことが全身のアミノ酸量(アミノ酸プールと呼ぶ)を維持するのに重要であることを示している。

アミノ酸の使い道
では、わざわざ体を分解までして作られたアミノ酸は、いったいどのように利用されているのであろうか? この方法は少なくとも 3 つあると考えられている。第1は酵母のところでも述べたように、タンパク質の合成材料としての利用である。酵母と同様に、飢餓のときにこそ重要なタンパク質をより多く合成する必要があると考えられる。また、新生児は母親のお腹の中から出てきていきなり外界に適応しないとならない。そのためには新しい部品(タンパク質)が必要となろう。これらの材料としてのアミノ酸を自ら調達しなければならない。(E)これは脂肪や糖にはできない役割であるので、わざわざタンパク質を分解するという意味が理解しやすい。
第2の利用目的はエネルギー産生である。一般にグリコーゲンや脂肪がエネルギーの蓄えとしては有用である。これらは完全に燃焼して水と二酸化炭素になる。特に脂肪はカロリー当たりの重量が軽く(1gあたり 9 キロカロリーであり、これは炭水化物やタンパク質の 4 キロカロリーよりはるかに高エネルギーである)、エネルギーの蓄積としては優れている。しかし、炭水化物や脂肪だけではなくタンパク質も体内で燃えてエネルギーになっていることが知られている(タンパク質にはアミノ基という窒素を含んだ部分が多く含まれているので、タンパク質を燃やすとアミノ基の処理を別途行わなければいけないという面倒さがある。通常は肝臓に備わっている尿素サイクルという代謝経路がアミノ基を処理して無害な尿素とし、それを体外に排泄する)。新生仔で起こっていたオートファジーは一部にはエネルギー新生のために使われているのではないかと予想されている。
第3の利用方法はグルコースへの変換である。これは糖新生と呼ばれる。私たちの大切な脳はグルコースしか普通は使わない。それにもかかわらず、私たちのグルコースの蓄え(グリコーゲン)は心細いほどわずかである。肝臓にチョゾウされているグリコーゲンはわずか一晩の絶食でほぼなくなってしまう。骨格筋にもグリコーゲンがあるが、不思議なことに骨格筋はこれをグルコースに変換することができない。つまり、私たちは飢餓時にはグルコースを作ることを前提とした生き物なのである。その材料は、乳酸、グリセロール、アミノ酸などである。それぞれの貢献度はまだ必ずしも明らかになっていないが、肝臓や骨格筋に由来するアミノ酸が肝臓でグルコースに変換される経路はかなり古くから知られている。オートファジーはその一端を担っているのではないかと考えられている。
これらの使い道のどれが最も重要かは、現時点ではまだはっきりしない。オートファジーを全身で欠損したマウスは生育しないので、大人での情報はさらに乏しい。今後、新しいモデルを用いたより多くの実験が積み重ねられれば答えが得られるであろう。

ヒトはどれだけ飢餓に耐えられるか?
1 日、2 日の飢餓であればオートファジーが活性化されて、それに適応しようとするが、さらに続くとどうなるか。普通の体重のヒトでも約 2 ヶ月は水だけで生きられるらしい。体重が 100kg を超えるようなヒトであれば、7〜8 ヶ月は全く食べなくても健康を維持できるという報告がある。(F)その間オートファジーがずっと活性化状態にあるとは考えにくい。事実、ヒトでの絶食開始後の経時変化をみると、タンパク質は最初の数日間で急速に分解されるが、その後あまり分解されなくなる。タンパク質に関しては代謝をストップさせ、じっと飢餓を凌しの
ぐ態勢に入る。この間、脂肪は分解され続け、主なエネルギー源となる。動物の冬眠も同じような状況になると考えられ、そこではオートファジーを含めたタンパク質の分解はあまり活躍する場面ではないのであろう。
(G)絶食がさらに続いて脂肪の蓄えも尽きてしまうと、ふたたびタンパク質が急速に分解され始め、それはまさに死に直結する。つまりオートファジーが重要なのはおそらく最初の数日間であろうと推測される。その時期は、グリコーゲンや脂肪の利用によるエネルギー調達も問題なく行われているので、タンパク質分解の役割はおそらく単なるエネルギー調達というより、アミノ酸にしかできないこと、すなわち飢餓適応に必要なタンパク質を合成することにあるのであろう。…と論文で解説されています。

具体的には、最後にものを食べてから16時間ほど経過しなければ、オートファジーは活発化しません。 つまり、16時間の「空腹の時間」を作らないかぎり、オートファジーによって細胞を生まれ変わらせることはできないのです。

夜にヨーグルトを食べると○○にイイことが  ――→  驚きの時間栄養学
栄養はこれまで「1日に何をどれだけ食べればよいか」という視点で考えられてきました。
しかしここ数年で「時間栄養学」という新しい学問が発展し、栄養効果は食べる時間によって変化することや、体内時計が食事に影響を受けることなどがわかってきました。
時間栄養学にもとづく、不足している栄養素を効果的に補う方法や、睡眠中の体のリペア機能を高める方法をご紹介します。
栄養はこれまで「1日に何をどれだけ食べればよいか」という視点で考えられてきました。
しかしここ数年で「時間栄養学」という新しい学問が発展し、栄養効果は食べる時間によって変化することや、体内時計が食事に影響を受けることなどがわかってきました。
時間栄養学にもとづく、不足している栄養素を効果的に補う方法や、睡眠中の体のリペア機能を高める方法をご紹介します。
はじめに、いつ、何を、どれくらい食べるかで栄養学的効果は変わる「時間栄養学」について知りましょう。
目の前にたっぷりのデザートがあるとします。「昼食後と夕食後のどちらに食べますか?」と聞かれたら、
多くの人が感覚的に「夕食後よりは昼食後に食べるほうが太らないだろうな」と思うでしょう。
「昼食後に食べるほうが良い」ことを理由づけてくれるのが「時間栄養学」です。


足りない栄養素は時間栄養学を活かして摂取を
時間栄養学は、太りにくい食生活を実践して肥満や生活習慣病を予防したり、日々のパフォーマンスを良くしたりすることに活かせるだけではありません。
足りていない栄養素を効率よく摂取する方法も教えてくれます。日本人の深刻なカルシウム不足を改善できるかもしれません。

日本人の食生活は豊かに
しかし、「カルシウム」不足は深刻

カルシウムが不足すると骨が弱くなることは広く知られています。
高齢者には骨粗鬆症が多いため、カルシウムを進んで摂るべきことも知られています。
そのためか、若い世代には「今は問題ない」と思っている方もいます。これは大きな間違いです。

カルシウムは「今」と「未来」の体を守る
骨量は20歳前後でピークを迎えます。その後は増えることはなく、年齢とともに減っていきます。
つまり、骨貯金できるのは若い間だけなのです。若い間の骨貯金が不足し、ピーク時の骨量が少なければ、減るのも早くなってしまい、高齢になったときのダメージは大きくなってしまいます。

カルシウムの働きは骨をつくる・強くすることだけではありません。心臓を動かすのにも筋肉を収縮させるのにもカルシウムは必要です。
血液中のカルシウムが足りなくなってしまうと、生命を維持できなくなってしまうため、骨からカルシウムを溶かし出して補給する仕組みが体に備わっています。
骨から溶かし出される量を抑えるには、カルシウムを定期的に十二分に摂取しなければいけません。

年齢・男女問わず、カルシウム摂取不足
カルシウムは、「今」も「未来」も健康でいるために必要不可欠な栄養素です。
しかし日本人の一日の摂取量は足りていないのが現状です。戦後から1970年くらいまでは増えたものの、その後は増えてはおらず、2000年くらいからは徐々に減っています。
背景には、日本人の食習慣や日本のほとんどの地域が硬水に比べてミネラル分が少ない軟水であることなどがあると考えられています。

現在、日本人の一日の平均カルシウム摂取量は500mg程度です。12~14歳の成長期では、摂取推奨量の半分で、必要量にも達していません。
20代の必要量は650mg/日、30代以降は600mg/日なので、年齢性別問わず、不足しています。また、高齢になると消化管からの吸収率が低くなるため、より多く摂らなければなりません。

カルシウム摂取は夕食時がベスト
ヨーグルトをプラスするだけで効果的
カルシウムは吸収率が比較的低い栄養素です。しかし時間栄養学を活かすと、カルシウムを効率的に摂ることができます。その時間とは「夜」であることが明らかになっています。

夜はカルシウムの吸収率が高まる
朝食時と夕食時にカルシウムを摂り、その吸収率を調べた実験があります。
その結果からは、夕飯時の方が吸収率が高いことがわかりました。一般的に、カルシウム製剤は夜飲むように指導されるのもこのためです。

牛乳やヨーグルトはカルシウムが豊富です。
朝食時に食べるのももちろん良いのですが、夕食時に意識的にプラスしていきましょう。

発酵食品であるヨーグルトは特に優れた食品と言えます。
ヨーグルトの酸味の正体は、乳酸菌によって発酵するときにつくられる乳酸や酢酸で、こうした短鎖脂肪酸は、腸内を酸性にしやすくします。
腸内が酸性になるとカルシウム吸収率が高まるので、より効率的だと言えます。

骨はカルシウム+たんぱく質でつくられる
骨をつくる・強くするためにカルシウムは必要不可欠です。
ただ、骨は鉄筋コンクリートのような構造をしているため、鉄筋にあたる「たんぱく質」とコンクリートにあたる「カルシウム」の2つがそろって初めて骨はつくられます。
ヨーグルトはカルシウムに加えて乳たんぱくも豊富であるためおすすめです。

夕食のヨーグルトは身体のリペアも助ける
時間栄養学に基づく食事法を実践する際、もうひとつ大切にしたいことがあります。
それは「睡眠」です。睡眠時には、昼間に疲労した脳や痛んだ組織を修復しているためです。

夕食ヨーグルトは筋肉保持につながる
身体には、外部から十分な栄養をとれないときに細胞の一部を分解し“リサイクル”して使うオートファジーという仕組みが備わっています。
睡眠中に体内でアミノ酸が必要になった場合、使われない筋肉のたんぱく質がこわされます。
そのため、寝ている間に筋肉量が落ちてしまうことがあるのです。しかし夕食時にたんぱく質を摂れば、筋肉量の保持が期待できます。

夕食ヨーグルトが身体リペアの材料になる
身体は、生命を維持するために、血液中のカルシウムが足りなくなったら、骨からカルシウムを溶かし出して補給するとお話しました。
この骨を「こわす」働きは、活動的な日中に増えるのに対し、睡眠中は「つくる」働きが強くなります睡眠中は、細胞の代謝・活性化をする成長ホルモンが分泌されるためです。
ただ、“材料”がないとできないリペアはできません。そこで、夕食のヨーグルトが良い材料になるのです。

スムーズな入眠のサポートにも
身体のリペアを促すには、睡眠が大切です。しかし睡眠の質が良くない人は少なくありません。その原因のひとつは、食事の比率にあります。
多くの人は食事の比率が、朝食:昼食:夕食=2:3:5くらいであることが調査からわかっています。時間栄養学から良質な睡眠を考えると、比率はせめて3:3:4くらいにし、夕食では脂質・炭水化物は抑えたいものです。
ヨーグルトなら、胃に負担をかけて体内時計に影響を与えるようなこともありません。

また、入眠時にアミノ酸のひとつであるトリプトファンが体内に入っていると寝つきがよくなることがわかっていますが、夕食時のたんぱく質から摂れる量では今一歩足りません。
夕食時に乳たんぱく豊富なヨーグルトを食べることが摂取量のプラスアルファとなります。

「ヨーグルトを朝食の1品にしていたけれど、夕食時には食べる発想は無かった!」という方は多いのではないでしょうか?
今日から夕食時の食卓にも並べ、家族みんなで「カルシウム不足の解消」や「体のリペア機能の向上」をしていきましょう。
はちみつや果物を加えるなどしても夕食ヨーグルトの効果に変化はないので、アレンジを楽しみながら続けてみてください。

16時間断食でリバウンドをなくす│オートファジー機能とは?
健康的にダイエットができると16時間断食が話題を集めていますね。

そんな16時間断食について、なぜ効果がでるのか?16時間断食を行う上での注意点やその対処法、そして実際の実験結果などをまとめました。ぜひ参考にして試して頂けたらと思います。

16時間断食とは、8時間以内に好きなものを好きなだけ摂取し、16時間食べない時間をつくるいわゆるファスティングのこと。

例えば、朝7時に朝食をとった場合、昼3時には最後の食事を済ませて次の日の朝7時まで我慢する。あるいは夜7時に最後の食事を済ませ、次の日の朝11時まで我慢するというもの。食事の際の規制は特にはありません。ほんとに好きなものを食べてもいいというルールなので、糖質制限のような食事中のストレスはありません。

2.なぜ効果が出るのか?
16時間断食で劇的に痩せられるのには科学的根拠に基づいた理由があります。

私たちの身体は糖質をエネルギー源としていますが、断食により体内に糖質が取り込まれないことで筋肉や肝臓に蓄えられた糖を消費するようになります。そして最後の食事から10時間が経過すると、筋肉や肝臓に蓄えられた糖もなくなり代わりに脂肪が分解され始めるのです。

空腹の時間が長くなるほど、体についた脂肪が分解されエネルギー源となっていくので、内臓脂肪の減少にも効果的です。

さらに16時間が経過するとオートファジー機能が発動します。健康的にダイエットができる秘密がこのオートファジー機能です。オートファジーについてはこの後に細かく説明していきますね。

16時間も食事を我慢しなければいけないのは辛い!と感じるかもしれませんが、このダイエット法のすごいところは、睡眠をうまく利用できるというところにあります。

どういうことかというと、16時間という断食時間に睡眠時間を含めても良いということです。寝ているだけで脂肪が分解されてきて、痩せることができるなんて楽ですよね?

それではここからオートファジー機能についての説明に入ります。

2-1オートファジーについて
オートファジーとは、細胞内で古くなったタンパク質をエネルギー源として処理し、新しいタンパク質を作り出すメカニズムのことで自食作用とも呼ばれます。

エネルギー産生が盛んになることでデトックス効果が高まり肥満の解消や、痩せやすい体質に変えていくことができるというわけです。

2-2オートファジーの効果
オートファジーには前述したダイエット効果以外にも、体内の細胞をよみがえらせ自律神経、免疫などに良い効果をもたらします。

さらに生活習慣病やアルツハイマー病の予防、肌の老化防止といったアンチエイジング効果も期待できるのです。

さらに、断食をすることによって胃腸に溜まっている腐敗物も一気に排出することができるので、胃を休ませたり腸内環境の改善にも繋がっていきます。

また、空腹時に運動や筋トレを取り入れると、動かした箇所のオートファジー機能が発動するという発表もありました。16時間断食中に運動するとさらに活性化するというわけですね。

1つ注意点として、空腹時に激しい運動や筋トレは健康上危険なので避けるようにしましょう。あくまで軽めの運動や筋トレということです。

このように断食によって発動するオートファジー機能はダイエット・健康効果が抜群です。この後、効果的な断食方法や注意点などもお伝えをしていきます。


その内容は、玄米食と発酵食をわずかずつ、全部で100gくらいなんですが、それをよく噛んで食べていただきます。そうすることで、お腹は空かないし、なんと3日程度で大体3kgは減ります!それまでにどんなことをしても痩せなかった人が、うちに来れば不思議なことに痩せます。家に帰ってからも、それに近いメニューを食べるようにしていただくと、3か月で10kg以上は痩せます。本当に楽して痩せるので、良いのかなぁ、という方がたくさんいらっしゃるんです。


大事なのは「噛む」ことと発酵食  ――→  少食になるとお腹が減ったりしないんですか?
一口48回以上噛むということが一番のポイントです。

ファストフードが日本に入ってきて以来、その名の通り、本当に日本は早食いになってしまいました。とにかく、じっくり箸をおいて噛むことが大事です。でも、白米だとパクパクっと食べてしまうので、玄米を食べていただきます。玄米も無農薬のものを美味しく炊いてから発酵させ、おかずも発酵させています。うちでは麹と酒粕を調味料に使っています。発酵食をたくさん食べていると、腸はキレイになるし、免疫力も上がるし、まさに“腸”キレイになって良いことづくめです。

実は、若返りがどこから始まるかというと、目、耳、鼻、口。特に、味蕾(みらい)といって味覚をキャッチする部分が添加物や砂糖などで、多くの人はほとんど壊れています。それが元に戻ると、本物の美味しさを求めるようになるので、添加物や人工甘味料はいやだと、体が拒むように変わってきます。

添加物などの怖いところは、全部血管に成分が直行するというところなんです。でも、自然にあるものをよく噛んで食べれば、血管にはやんわりと効いてくるので安心です。しかも、玄米には解毒作用もあるし、糠には色んな栄養素が含まれています。

他にも、アトピーや花粉症などのアレルギー症状や生活習慣病の症状も軽減されます。その食事を1ヶ月、3ヶ月…9ヶ月も続けると宿便が出ます。宿便が出るとまず生活習慣病になりにくいと言われています。

 

 


 

 



がんは、さまざまな要因によって発症していると考えられており、その中には予防できるものも多く含まれています。日本人では、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%は、生活習慣や感染が原因でがんとなったと考えられています。細胞分裂のミスコピーがガンの発症原因とされています。
今回の健康塾は、「ガンの発症原因は真菌 “カンジタ菌” の真実性?」の謎解きです。

今回も多くの文献や論文からの知識をまとめました。
今、日本人の2人に1人が、一生のうち一度はがんになるというデータがあります。がんは日本人にとって身近な病気で、その予防は多くの人の関心を集めるテーマです。ガン予防には、生活習慣が有効、自分の身は自分で守ることが必要ということでしょうか。
がんは、細胞のコピーミスから生まれます。私たちのカラダの細胞は、約60兆個の細胞からなっています。
 そのうち毎日1%くらいの細胞が死にますので、細胞分裂をして、減った細胞を補う必要があります。細胞分裂では、細胞の設計図であるDNAを毎日数千億回、コピーしています。しかし、人間のすることですから、コピーミスを起こすことがあります。これが遺伝子の突然変異です。
 コピーミスを起こす原因として、最大のものはタバコといわれています。この他、化学物質や、自然に存在する放射線などによって、長い時間をかけてDNAにキズが蓄積されていきます。
 多数の突然変異を起こした細胞は、多くの場合生きてはいけませんが、ある遺伝子に突然変異が起こると、細胞は死ぬことができなくなり、止めどもなく分裂を繰り返すことになります。この「死なない細胞」が、がん細胞です。
最近では、がん細胞は、健康な人のカラダでも多数(学説によっては1日に5000個)できることがわかっています。
 がん細胞ができると、そのつど退治しているのが免疫細胞(リンパ球)です。免疫細胞は、ある細胞を見つけると、まず自分の細胞かを見極めます。そして、自分の細胞でないと判断すると、殺します。
 がん細胞は、もともと正常な細胞から発生しますので、免疫細胞にとっては「異物」と認識しにくいのです。
 それでも免疫細胞は、できたばかりのがん細胞を攻撃して死滅させます。私たちのカラダの中では、毎日毎日、たとえば「5000勝0敗」の闘いが繰り返されるのです。しかし、免疫による監視も、人間のことですから、やはりミスが起こります。生き残ったがん細胞がやがて、塊としての「がん」になっていくのです。

ひっそりと生き残った、たった1つのがん細胞は、1個が2個、2個が4個、4個が8個、8個が16個と、時とともに、倍々ゲームのように増えていきます。死なない細胞ですから、時間が経った分だけ、細胞の数は増えていきます。
 たった1つのがん細胞が検査でわかるほど大きくなるには、10年から20年の時間が必要です。つまり、長く生きなければがんができる「いとま」がないと言えます。
 がんは、老化の一種です。長生きするとがんは増えるのは、突然変異が蓄積されるのと、免疫細胞の働きが衰えるからなのです。日本は世界一の長寿国になった結果、「世界一のがん大国」になりました。
 しかし、子宮頸がん、大腸がん、乳がんなどは、働き盛り世代に増えていることを忘れてはなりません。

 がん細胞は、コントロールを失った暴走機関車のようなもので、猛烈な速さで分裂・増殖を繰り返します。また、生まれた臓器から勝手に離れて、他の場所に転移します。
 がんは正常な細胞の何倍も栄養が必要で、患者さんのカラダから栄養を奪い取ってしまうのです。進行したがん患者さんが痩せていくのはこのためです。
 がんが進行すると、栄養不足を起こすだけでなく、塊となったがんによって臓器が圧迫受けたり、がんが原因の炎症が起こったりします。
 たとえば、背骨に転移したがんは骨を溶かし、自分が住むスペースを作りながら大きくなっていくので、激しい痛みをもたらします。さらに、がんが大きくなって背骨の中を走る脊髄(神経の束)を圧迫すると麻痺の原因にもなります。

そのうち、大きな原因は、喫煙(男:約29.7%、女:約5.0%)と感染(男:約22.8%、女:約17.5%)で、その他のものは比較的小さいと報告されています。
喫煙、飲酒、食物・栄養、身体活動、体格、感染、化学物質、生殖要因とホルモンについて、日本や海外の研究結果から科学的に明らかにされているがんの要因を述べます。

図1は、日本人のがんの中で、原因が生活習慣や感染であると思われる割合をまとめたものです。
「全体」の項目に示されている、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%は、ここにあげた生活習慣や感染が原因でがんとなったと考えられています。

    日本人におけるがんの要因



※1 棒グラフ中の項目「全体」は、他の項目の合計の数値ではなく、2つ以上の生活習慣が複合して原因となる「がんの罹患」も含めた数値です。

国立がん研究センターをはじめとする研究グループでは、日本人を対象としたこれまでの研究を調べました。その結果、日本人のがんの予防にとって重要な、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」「感染」の6つの要因を取りあげ、「日本人のためのがん予防法」を定めました。

5つの健康習慣を実践することでがんリスクはほぼ半減します。
実際に、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの生活習慣に気を付けて生活している人とそうでない人では、将来がんになる確率はどれくらい違うのでしょうか。

国立がん研究センターでは、日本全国の11の保健所の協力を得て、調査開始時点で年齢40歳から69歳の男女、総計140,420 人を対象に、生活習慣とがんやほかの病気の罹患りかんについての追跡調査を実施してきました。その結果、この5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計が示されました。

 

しかし私たちの身体には、ガン予防の “しくみ” が備わっています。
臓器の中をのぞくと、上皮組織でぎっしり詰まっている様子がみてとれます。我々は今回、となり合う上皮組織の間にコミュニケーション(上皮間相互作用)が存在することを発見した。このコミュニケーションがうまく働かないと、上皮組織が壊れやすくなり、ちょっとした刺激やストレスでがん化(特に転移)が起こりやすくなる。また、上皮間相互作用の実体として、フィブロネクチンが鍵を握ることがわかった。と研究所見が述べられています。

健康的な生活習慣とは、「動く」「食べる」「休む」「笑う」「繋がる」のバランスが大切です。
上手く循環することで…「健康で豊かな人生」をおくることができます。健康は一日してならずです。なにより継続することが大切です。
健康習慣とは、ここにどれも極めて当たり前な次の8項目です。
  1)たばこを吸わない
  2)酒を飲まない、又は深酒をしない
  3)規則的に運動をする
  4)規則的に7~8時間寝る
  5)適切な体重を維持する
  6)朝食を食べる
  7)間食をしない
  8)8020 歯をよく磨く 

*8020運動とは、1989年から厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進してきた「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という呼びかけと啓蒙活動。 2017年発表の厚生労働省の実態調査では、達成者が51.2%と成果をおさめています。

まず、実行したいのが、朝日浴です。太陽ビタミンのビタミンDの生成を考えなくてはなりません。そして良質な睡眠を得るメラトニンの分泌に繋がります。私たちの睡眠中に成長ホルモン達が、細胞の修復やメンテナンスを行ってくれます。私たち、人間に与えられた生命の三分の一を睡眠に人生を掛けているのです。
規則正しい生活が大切です。生活習慣とは、「睡眠8時間」「行動8時間」「休息8時間」のリズムで生きているのです。この中で注目したいのが休息の時間の使い方が大切ということになります。 ストレス解除タイムだと私は考えています。
健康的に暮らすには規則正しい生活を送ることが必要ですが、その中でも質のよい『睡眠』を確保することが重要です。今日からあなたも朝型生活を始めてみませんか?
私たちの体には体内活動をほぼ1日の周期で繰り返すリズムが備わっています。
この体内活動リズムを『概日リズム』といって、生まれつき脳内に組み込まれている体内時計で管理されています。
しかし人間の体内時計は25時間周期ですので、私たちは、その1時間のずれを修正して地球の自転周期である24時間に合わせています。
体内時計を24時間周期に合わせるためには朝の明るい光が欠かせません。朝、光を浴びないままでいると体内時計はまだ1時間ほど夜が続くはずだと予測し、起床時刻、そして就床時刻が次第に遅れていくことになります。
そのため昼間に眠くなったり、夜間の不眠が生じたりして、疲労の蓄積や食欲、意欲の低下を招きます。

最近の研究では、肝臓や腸管内にも体内時計が組み込まれていることが、明らかになってきました。
脳の体内時計が朝の光を必要とするように、内臓の体内時計は朝食を食べることによって24時間周期にあわせます。
朝食といっても飲み物だけでは効果がありません。脳にエネルギーを送れるように、しっかり食べることが大切です。
人間の体は朝から夕方までの体温の上昇期には眠りにくく、夜から朝の下降期には眠りやすいという性質があります。 それは私たちの体には「深部体温」という温度調整機能が備わっているからです。
深部体温は環境温度に左右されにくく、夕方に最も高く、夜の就寝時間から下降し始め、早朝に最も高くなります。
そして、食べすぎを避け、 脂肪摂取は控えめに。長生きの秘訣は腹八分目です。
そして、良質な睡眠効果を得るために、夕食後の過ごし方があります。テレビやスマホなどの明るい光を観ないことが大切です。メラトニンの分泌の妨げになります。

心筋梗塞、脳卒中、がん、糖尿病をはじめとする生活習慣病は、共通のリスクファクターをもち、互いに影響をおよぼす関係にあります。病名は違っても同じ根っこ(生活習慣)から派生した病気だからです。「体質」や「遺伝」といった潜在的な要素をのぞけば、習慣から生まれる病気は、習慣によって改善されるもの。意識的に生活を改善するだけで、生活習慣病のいくつかは同時に予防することができるのです。


野菜と果物の摂取が少ないグループでは、がんのリスクが高いことが示されています。しかし、野菜や果物を多くとればリスクが低下するかどうかという点に関しては明らかではありません。
特に、食道がん・胃がん・肺がんについては、野菜と果物をとることで、がんのリスクが低くなることが期待されますが、いずれのがんも喫煙との関連がとても強いため、明確な結論は出ていません。また、食道がんは飲酒との関連が強いことがわかっています。これらのことから、禁煙と節酒を心がけることがまず重要となりますが、野菜と果物をとることは、脳卒中や心筋梗塞をはじめとする生活習慣病の予防にもつながるので、できるだけ毎日意識的にとるようにしましょう。

野菜・果物にはカロテン、葉酸、ビタミン、イソチオシアネートなどさまざまな物質が含まれており、これらの成分が発がん物質を解毒する酵素の活性を高める、あるいは生体内で発生した活性酸素などを消去すると考えられています。しかし、野菜・果物は、確実にがんのリスクを下げるという報告はされておらず、じゃがいもなどを除いた非でんぷん野菜が、口腔・咽頭・喉頭で、果物が口腔・咽頭・喉頭・肺で、がんのリスクを下げる「可能性が大きい(Probable)」と報告されています。
国際がん研究機関のワーキンググループでは、「野菜・果物によるがん予防効果は、必ずしも確立した関連ではない。しかし、がんを含むあらゆる病気の予防の観点から、野菜・果物を多くと摂ることは推奨される。」と報告されています。 

塩蔵食品は胃がんのリスクを上げる「可能性が大きい」と報告されています。高濃度の塩分は胃粘膜を保護する粘液を破壊し、胃酸による胃粘膜の炎症や、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の持続感染を引き起こしたりすることにより、胃がんのリスクを高めると考えられています。 また、塩蔵食品は塩分だけでなく、亜硝酸やニトロソ化合物などの発がん物質を含むため、胃がんのリスクを高めると考えられています。

食物や栄養について、さまざまな研究が行われていますが、確実にがんのリスクになるとされている食品は少ないです。確実なものとしては、牛・豚・羊などの赤肉や加工肉は大腸がんのリスクを上げるとされています。また、食物繊維を含む食品が大腸がんのリスクを下げ、中~高強度の身体活動が結腸がんのリスクを下げるとされています。

がん(悪性新生物)は日本人の死因の一番大きなものです。多くのがんは高齢になるにつれて発がんのリスクがあがります。これは主に、細胞に遺伝子の異常が蓄積することや、様々な発がん因子に長期間さらされうること、体の免疫の機能が低下することによると考えられています。
 一部のがんについては先天的なものなどの遺伝子の変異などでも起こることがあり、そういったがんは若い人にも起こりえます。しかし多くのがんは多数の因子が原因となって起こる ものであり、発症までには時間がかかるものが多いのです。 一方、比較的若い人でもがんとなるリスクがあり、さらに一部は明確に防ぐことができるものがあります。それが、今回学び「感染症による発がん」です。

感染症とは、「病原体」が感染することによって起こる病気のことで、風邪やインフルエンザ、今流行している新型コロナウイルス感染症 COVID-19 などを思い浮かべる方が多いと思います。ヒトからヒトへとうつる病気です。感染症を引き起こす病原体としては、ウイルス、細菌、真菌(カビの仲間)、寄生虫、プリオン(感染するタンパク質)などがあります。 感染症は、急性のもの(熱などがでて一週間程度でおさまるものが代表)だけでなく、慢性化して潜伏感染するもの(ヘルペスウイルス、水ぼうそう・帯状疱疹など)、慢性炎症を起こすもの(肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎)などがありますが、実はこれらの感染症の中に、明確に発がんのリスクとなるものも含まれているのです。

日本では、カンジダ菌は、カンジダ症として知られています。カンジダ症は、「カンジダ」という真菌の感染によって成立する、真菌感染症の一種で、性行為や免疫力の低下によって、症状が現れることが知られています。カンジダ症では、様々な症状が見られます。
カンジダは、皮膚や腸管だけでなく、女性の生殖器周辺に存在していますが、通常はカンジダ症の症状が現れることはありません。しかし、糖尿病で血糖のコントロールが悪い場合や抗癌剤で治療中の癌患者、エイズ患者といったように免疫力が低下している人や妊婦さんは、カンジダ症の症状が現れやすくなります。カンジダ症は、免疫力が低下している人に発症する性行為感染症(一般的に「性病」と言いいます)の一つされています。
性病以外のカンジダ症の症状は、『カンジダ症で口内炎?喉や舌に影響? アレルギーも悪化?皮膚炎にも?性病以外の症状で解説されています。

カンジダ症は、カンジダ・アルビカンスをはじめとする数種類のカンジダ属 Candida真菌によって引き起こされる感染症です。
最もよくみられる病型は、口、腟、皮膚の表面に感染が起きるもので、白や赤の斑点が生じ、かゆみや刺激感、またはその両方を引き起こします。
免疫機能が低下している人では、食道やほかの内臓に重篤な感染症が起こることがあります。
感染物質のサンプルを採取し、顕微鏡で観察して培養します。
抗真菌薬を感染部位に塗ったり内服したりしますが、重篤な場合は、静脈内投与を行う必要があります。
カンジダ Candidaは、正常な場合でも皮膚、腸管、女性の陰部に存在しています。通常は、カンジダ Candidaがこのような部位で症状を引き起こすことはありません。しかし、この真菌がときに皮膚、口(粘膜が侵されます)、腟に感染症を起こす場合があります。このような感染症は免疫機能が正常な人にも起こりますが、糖尿病、がん、エイズの人や妊婦に多くみられ、長引く傾向があります。口と食道のカンジダ症は、エイズ患者によくみられます。またカンジダ症は、抗菌薬を使用している人にもよくみられます。抗菌薬により、正常な状態で体内に生息しカンジダ Candidaと競合している細菌が死んでしまうことで、カンジダ Candidaの増殖に歯止めがきかなくなるためです。

カビについて
アレルギーを持っている方やお肌の弱い方にとってカビはダニよりも手ごわい相手、生息する温度範囲は非常に広く、氷点下でも沸点に近い90度でも生息できる種類もあり、約7万種が地球上で生息しています。室内には青カビや黒カビ、ほこりカビなどおよそ360種ほどが生息し、その胞子が室内に浮遊しています。アルミサッシなどで住宅全体が密封状態となり空気のよどみができやすく高温多湿がいっそう促されカビの繁殖には好都合となります。さらにエアコンを使ったり炊事をしたりするため壁面などに「結露」ができやすくまさにカビ天国。屋内のあらゆる場所に「コロニー(カビ=真菌株の集合体)」を作ります。見つけ次第、拭き取るようにしてください。

カビ
カビが生息する温度範囲は非常に大きく、氷点下でも沸点に近い90度でも生息できる種類もあり、約7万種が地球上で生息しています。
細菌は加熱で死滅しますがカビは加熱にも耐え、また乾燥時には胞子の状態で休眠することができます。このあたりはウイルスによく似ていますが、なかなか手ごわい相手です。

とても大きなカビの恩恵
細菌は加熱で死滅しますがカビは加熱にも強く、また乾燥時には胞子の状態で休眠することもできます。カビは私たちに豊な食生活も提供してくれています。パンもお味噌も清酒やワインやビールにチーズ、納豆・・・数え切れないほど。さらに抗生物質の殆どはカビが関与し私たちは微小なカビからとても大きな恩恵も受けています。そんなカビを正しく理解して家の中でカビと共存する方法を学んでください。

カビのここが悪い影響を与えます
呼吸によってカビの胞子が体内に入ってアレルゲンになったり、あるいは肺胞内で繁殖し病気を引き起こします。とくに肺アスペルギルス症は重い病気で、いったん肺の中でカビ(真菌類)が繁殖しますと執拗でなかなか排除できません。
カビ(真菌類)が引き起こす病気でもっとも一般的なのは足白癬症(水虫)、爪白癬症でなかなか厄介です。また口内で繁殖したり女性の場合はいやなところにカビ類(カンジタ菌)が取り付き悩まされます。体内環境はカビ類にとっては快適な場所ですので真菌症としていろんな臓器内で病気を引き起こします。
……等が、紹介されています。が、真菌とガン発症の文献は見当たりませんでした。


真菌成分が炎症を悪化させるメカニズムを解明
カンジタ症など真菌によって引き起こされる感染症や炎症性疾患は、ステロイドや抗がん剤などの使用により免疫が低下している患者さんにとって生命に関わる重要な問題です。真菌感染により好中球が集積する早期の炎症は真菌の排除に役立ちますが、真菌感染が持続して炎症が悪化すると肺・皮膚・関節などの組織が障害されます。現状、抗真菌薬が治療の中心に用いられていますが、真菌感染による炎症悪化のメカニズムが不明であるため有効な治療法は確立されていません。
研究グループは、これまでの研究でCD300が脂質を認識する免疫受容体ファミリーであることを明らかにするとともに、免疫受容体CD300bを欠損させたマウスに真菌の細胞壁成分であるザイモサンを投与すると局所の炎症が弱まることを見出しました。これらの知見を踏まえて、免疫受容体CD300bはザイモサンに含まれる何らかの脂質を認識して真菌感染による慢性炎症を促進するのではないかと考え、その働きについて詳しく調べました。

真菌感染症においては真菌の脂質成分が持続的に過剰な好中球集積を誘導すると、様々な炎症細胞の浸潤と活性化がおこり組織障害をもたらすことで炎症が悪化すると考えられます。

がん、高治癒率の民間療法から見えてきた「真菌」との深い関係性
がんは真菌による日和見感染?
 がんは真菌とよく似ている。近年、これは代替医療の分野において特に注目されていることである。真菌とは、カビやキノコを含む菌類で、バクテリア(細菌)やウィルスとは異なって、体は糸状の菌糸からなり、胞子で増える存在である。

 真菌は、比較的温暖で湿度の高い環境を好み、アルカリ性の環境下では繁殖しにくい。イタリアの医師トゥーリオ・シモンチーニ博士は、ほとんどのがん患者から、増殖した真菌が発見されるだけでなく、腫瘍は概してカビのように白いことにも注目し、がんの正体は真菌感染にあると直感した。そして、水溶性で弱アルカリ性を示す安全な薬剤として、炭酸水素ナトリウム(重そう)を利用したがん治療法を生み出した。

 腫瘍はアルカリに直接触れるとすぐに崩壊を始める。そこで、消化管には経口投与、直腸には浣腸、膣や子宮には圧注、肺や脳には静脈注射(点滴)、上気道には吸引、乳房やリンパ節、皮下腫瘍には局所灌流で対処した。また、治療が困難であった箇所においても、カテーテルを挿入して、直接炭酸水素ナトリウムをピンポイントで投与する方法を編み出し、脊椎や肋骨内部等を除いて、ほぼすべてのがんを治療できる方法を確立した。
 だが、シモンチーニ博士は、正統医学とはかけ離れた治療方法によって、末期患者を含めた多くのがん患者を救ってきたことから、世界的に注目されるとともに、医療関係者からは批判の矢面に立たされ、物議をかもした。

 その一つが、がんの正体に対する認識である。シモンチーニ博士いわく、がんとは、カンジダ・アルビカンス(カンジダ菌)による日和見感染である。カンジダ菌とは、ヒトの体表や消化管、女性の膣粘膜等に常在し、ほとんどの場合はなんの影響も与えない。だが、ヒトが体力・免疫力を低下させた際、異常増殖して有害な存在に変貌しうるという。日和見感染とは、そんな状況で感染することを指す。
 もちろん、現時点でがんは真菌とよく似ているが、その正体がカンジダ・アルビカンスであるとは医学界では証明されておらず、真菌感染を伴う別物の可能性もある。そこで、整理しておこう。

類似点と相違点
 真菌は共通して枝分かれした菌糸をもっている。そんな菌糸が互いに結びついてコロニーや菌糸体を形成する。それらは栄養素を吸収しようと枝分かれして成長していく。このような構造はカンジダ菌のように自由に動ける真菌にも当てはまり、体組織への侵入を助けることになる。

 真菌はそのコロニーが異常増殖するか、栄養素の供給が制限されるストレスを受けると、拡大してさらに適した環境を探そうとする。これはたくさんの真菌細胞を浸潤性の菌糸をもった存在へと変容させる。そして、新たなコロニーを形成するだけでなく、離れた場所にも菌糸体を形成する。

 興味深いことに、がん細胞もまったく同じように振る舞う。腫瘍が密集するか、ホルモンや栄養素が欠乏するか、外科手術・化学療法・放射線療法、あるいはほかの炎症を起こす状況に直面してストレスを受けると、比較的無害の真菌様腫瘍細胞が自らを浸潤性を持った移動性のがん細胞へと変容させ、最終的に離れた場所にさらに危険な転移性の腫瘍を形成する。このがん細胞は真菌のごとく、ストレス下で同様に振る舞い、見た目においても浸潤性のがん細胞は菌糸を持った真菌細胞と酷似する。
 だが、正常な体細胞と真菌細胞との間には違いがあり、それはエネルギー代謝に認められる。酸素呼吸を行う我々の体細胞は、二酸化炭素と水を生み出すクエン酸回路において栄養素を酸化してエネルギーを生み出すが、真菌は酸素を必要としない嫌気的な方法でエネルギーを生み出す。真菌は主に糖や炭水化物を利用して、乳酸に変化させてエネルギーを得る。このプロセスが人体で起こると、大量の乳酸が生み出されることで酸性過多となり、ミネラル欠乏、炎症、痛みなどを導く。

 がん細胞は真菌と同じような嫌気的エネルギー代謝を行い、腫瘍においてエネルギーが嫌気的に生成されるほど、それはより悪性となる。
 だが、真菌とは違って、がん細胞においては、酸化的代謝を阻害する病原菌や毒素が取り除かれると、正常の体細胞に戻ることができる(可逆的)。通常の真菌は従前の遺伝子的な特質を持っているのに対して、がん細胞は真菌細胞へと退化していく過程にある体細胞とでもとらえることができるのかもしれない。

1999年、ドイツの医学博士マイノルフ・カルトハウス教授は、白血病の3人の子供たちが二次的な真菌感染に対して3倍の抗真菌薬を摂取した後、予期せず完全寛解に至ったのを観察した。2006年、彼の研究チームは抗真菌薬治療のあとに白血病が消失した事例をさらに6件出版報告した。 
 ちなみに、報告された6件において、慢性播種性カンジダ症(CDC)に対して抗真菌薬治療が始まると、患者たちは白血病薬に対してひどく反応したため、白血病治療は止められた。

 急性白血病の5年後生存率が大人で25-26%、子供で90%であったのに対して、驚くべきことに、カンジダ治療での生存率(治癒率)は100%だった。彼の報告では2人の子供と4人の大人を取り上げていたため、その数字は極めて高かったことになる(シンプルな真菌感染を白血病と誤診されるケースもあるが、抗真菌薬の効果は無視できない)。

 偶然、抗真菌薬ががんに効くことが発見された事例もある。たとえば、大きな腫瘍を抱えた胃がん患者が、安息香酸を大量に摂取したところ、数カ月で腫瘍が消えたケースがある。安息香酸は、食品の保存料として使われ、諸説あるものの、バクテリアには効かないが、防カビ剤には利用できるといわれている。

 また、海外ではその危険性ゆえに法的に規制されているケースもあるが、二酸化塩素の殺菌力を利用したMMSという民間療法がある。当初、マラリア患者が、亜塩素酸ナトリウムを含んだ、高山病や疲労回復用の液化酸素を吸ったところ、奇跡的に回復したことでその抗マラリア性が発見されたものである。だが、のちに研究が進められると、塩素系でも二酸化塩素がより優れており、マラリアだけでなく、がんにも効くとして注目されるようになった。もちろん、その背景には二酸化塩素のもつ殺菌力がある。

 実は、対がん民間療法においては、過去数十年に及んで、真菌に対して有効な殺菌剤が治療効果を上げてきた。たとえば、殺菌力の高いヨウ素を利用したヨウ素療法、同じくホウ砂やホウ酸を利用したホウ素療法、そして、真菌の大敵であるアルカリ環境を導くためのセシウム療法なども海外では普及してきた。
 がんは真菌の増殖と深くかかわっている。現段階では、カンジダ・アルビカンスを単独の病原菌とみなすのではなく、ほかの要素も複合的にかかわっているとみなしたほうが良さそうである。
 がんと真菌との関係性を研究して注目されてきたミルトン・ホワイト医師は、自身が調査したどのがん組織の中にも真菌の胞子を発見し、がんとは「慢性的な細胞内伝染性の生物学的に誘発された胞子(真菌)変容病」であり、具体的には、「真菌の子嚢菌門に由来する分生子(無性胞子)」であるとしている。

以下は、代替医療を含め、代替科学を研究してきた筆者の個人的な見解にすぎないが、がんとは、体細胞がカンジダ菌を候補とした真菌と同調した結果であると思われる。
 バクテリア(細菌)、真菌、時にウィルスなど、有害にも変貌しうるさまざまな微生物と触れ合っている。にもかかわらず、我々が健康を維持できるのは、主に我々自身の免疫力や代謝能力にある。細胞呼吸が正常に行われ、酸素を十分に取り込むことができていれば、血液は酸性に傾くこともなく、真菌が異常増殖するような条件を生み出すことはない。さまざまな体内微生物(常在菌)がいわばミクロレベルで生態系のバランスを維持しているからである。
 だが、疲労やストレス等で免疫力を落とした状態においては、体は酸性化し、体内生態系が崩れて真菌が蔓延りやすくなる。つまり、日和見感染が起こりやすくなるのだ。細胞呼吸が阻害されるとほぼ自動的にがんが発生するが、その理由は、我々の体内に極微の真菌(胞子)が100%常在し、活動を始められるような環境への変化に備えているからだと思われる。

では、がん細胞と真菌細胞との違いはどのように説明されるのだろうか? ここで、注目すべきは真菌の特性である。
 寄生性を有した真菌は、冬虫夏草(蛾の幼虫に寄生する)のように、宿主を乗っ取ったり、時にはマインドコントロールすらして、支配下に置いてしまう力を発揮する。真菌は勢力を高めると周囲の存在(宿主)を変容させることが得意である。人体を例にいい換えれば、真菌の発する波動が優勢になると、特定成分が脳に作用することも考えられるが、周囲の体細胞はその真菌の波動に強く影響を受け、共鳴・同調してしまうようになるのだと思われる。
 環境が改善することで、カビを生やしたパンが元の状態に戻ることはないが、がん細胞は退縮していく。この違いは体細胞が真菌との同調を失うかどうかにありそうだ。これは、自己免疫疾患や他の難病にもかかわっている可能性がある。

 実は、真菌の生態には未解明の部分も多く、現代医学はあまり注目してこなかった領域といえる。だが、周囲の自然界同様、人体内というスケールの小さな生態系も客観視してみれば、上記の視点は自ずと導かれると考えられる。さらなる研究によって新たな飛躍が得られるようになる領域だと筆者には思えてならない。


 

朝日新聞社は2019年11月14日、批判が集まっていた紙面広告をめぐり、「媒体として十分な検討を行うべきでした」とするコメントを発表した。
   同社は、11月12日付(東京、大阪、名古屋各本社版)、13日付(西部本社、北海道支社版)の朝刊で、「重曹でガンが消えた!」などと謳う書籍の広告を掲載していた。

  タイトルは『イタリア人医師が発見したガンの新しい治療法』(現代書林)。医学博士を名乗るトゥリオ・シモンチーニ氏監修のもと、ホメオスタシス総合臨床家との肩書きの世古口裕司氏が執筆した新書。
   広告では「ガンは真菌だ!」「重曹でガンが消えた!」「ネットの闇(デマと中傷)と闘い、訴え続けた真実!」などと宣伝されている。
   しかし広告の訴求内容をめぐっては、複数の医療従事者からSNSで疑問視する声が上がり、掲載を認めた朝日新聞社への批判も少なくなかった。
   同社は14日、公式サイトで広報部名義の声明を発表し、「この治療法の発見者とされる人物が、がん治療をめぐってイタリアで医療行為ができなくなったなどとする現地報道が確認できました」と報告。
   続けて、「これらの報道内容がすべて事実かどうかや、治療法の医学的な有効性、司法手続きの最新状況といった事柄まではすぐには判断できませんが、少なくとも、この書籍の広告がシモンチーニ氏を『医師』と表示して治療法を紹介していることには疑念があります。広告表現は広告主の責任においてなされるものですが、『ガンは真菌(カビの一種)だ』などとする表現は媒体として十分な検討を行うべきでした」「出版物の広告は、できる限りその表現を尊重していますが、掲載判断にあたっては、内容に応じて慎重なチェックに努めてまいります」と同社に過失があったと認めた。

広告掲載基準は?
   朝日新聞が加入する日本新聞協会では、新聞広告の掲載基準を定めており、
  「内容が不明確なもの」
  「虚偽または誤認されるおそれがあるもの」
  「非科学的または迷信に類するもので、読者を迷わせたり、不安を与えるおそれがあるもの」
 などを挙げている。
   朝日新聞社広報部に14日、同社の広告掲載基準を聞くと、「原則として外部公開しておりません」との回答だった。

――東洋医学は試されましたか。
東洋医学系のある治療師には「これはカビだからお酢のなかに入れておけば治る」と言われて驚きました。まさかこんな致命的といわれる病気がお酢につけてなおるなんてそんなはずがないと思ってネットで調べたところ、実際に「がん真菌説」というのもあるんですよ。
ドクター・シモンチーニと言う人が一番有名なんですが、この人の医師免許は剥奪されていて、彼が書いた本もいまはほとんど出回っていません。僕はなんとか彼の連絡を突き止め、メールを出しました。そうしたら「爪の下まで行っているようなので、治らないだろう」と言われましたが、そのあとまたメールがきて、そこには難しい名前の薬と治療法が書いあったんです。「これを試してみろ」と。用語がわからなかったのであとで調べようと思って調べたのですが、シモンチーニ氏に関する情報はなぜかウェブ上からことごとく消されていてわかりませんでした。

それで、がんは細胞内感染によるミトコンドリアの栄養障害で起きると言っている西原克成さんという日本の医師がこの本のなかに出てきたのでちょっとびっくりしました。彼の説が証明されているわけではありませんが、僕は本当かもしれないと思います。インターネットであらゆる情報を調べているうちに、ジョン・ホプキンス大学の医学論文で、水虫の薬を服用するとがんが縮小すると書いてあるものを見つけました。びっくりするような話でしょう。僕はビジネス的なアプローチもできるので自分の病気を使って、ととにかくありとあらゆることを調べたんです。

――西原医師の説を含め、この本にはさまざまな仮説が出てきますが、どれもまだ実証されたものではありません。
そうですね。どれもまだ仮説じゃないか、という意見もあるでしょう。でもこの本は出さないリスクのほうが高いと思います。実際にがんになった人にとってみればこの本は福音です。がんと言われてどうしていいかわからない人は、お医者さんに言われた治療をすぐに始めてしまう。代替医療に手を出そうものなら「お願いだからお医者さんの言うことを聞いて」と家族に言われ、なんか違うなと思って自分で治療法を決めて治った人も、お医者さんから「間違った希望を与えることになるからあなたが治ったことは人に話さないように」と言われるわけですよ。

――なぜご自身ががんになられたと思いますか。
それはわかりません。メラノーマは何が原因かは医学的にもわかっていないんです。でも、根本的には体の循環が悪くなり、栄養が行き届かなくなった結果、身体のいちばん弱いところががん化するという説を僕は信じています。以前指を挟んでそのあとがずっと治らなかったところがどんどん黒くなっていって、加齢のせいかなと思って放っておいたらがんになっていた。だからがんを切っても、その根本原因がなおらなければまたできます。
僕の場合はがんになる10年以上前から肩に慢性的な痛みがあったので、まずその原因を突き止めました。問題は噛み合わせでした。それを治して骨格矯正をしたら、肩こりがなくなりました。身体の循環をよくするために、体温を上げたり姿勢を整えたりすることに努めました。それが根本的に免疫力を上げてくれる。食生活も変えました。実は今年も少し体調を崩して医者にいったところ、6つの病名を言われて100%手術と言われたのですが、食事療法で治しました。

*メラノーマとは、悪性黒色腫という非常に悪性な皮膚がんの1つの病名です。 一般的には「ほくろのがん」「ほくろのような皮膚がん」などと理解されています。 医学的には皮膚の色に関係するメラニンという色素を作る色素細胞(メラノサイト)ががん化した腫瘍と考えられています。


――9つの実践項目のひとつに「治療法は自分で決める」というものがあります。
神田さんはご自身で治療計画を立てられたわけですが、この部分は相当ハードルが高いのではないかと思います。
僕の場合はたまたまトレーニングを積んできているので、仕事でやっているのと同じようにストーリーをつくり、目標設定をし、それに向かって行動することができました。「病気のある現実」から「ない現実」にシフトするストーリーをつくって行動に移すのです。

「治った」人の1000件以上の医学論文
寛解症例の研究に着手してまず驚いたのは、1000件超の医学論文において、2種類の人々がほぼ黙殺されていたことでした。
一つは、劇的に寛解した患者本人の一群です。大多数の論文では、患者自身が劇的な寛解の原因をどう考えているかについて一切言及していませんでした。劇的な寛解を遂げた患者の身体の生化学的変化については、何本もの医学論文が詳細に記していました。しかし、患者に「あなたは自分がなぜ治癒したと思うか」と聞き、その答えを記したものは皆無だったのです。患者たちは、意識的だったかどうかはともかく、がんを治すため何かに取り組んでいたはずです。医師はなぜそれに興味を持たなかったのでしょうか。
そこでわたしは劇的な寛解を遂げた20人にインタビューし、「あなたはなぜ自分が治癒したと思うか」を聞くことにしました。
医学論文で黙殺されていたもう一群は、代替療法の治療者たちです。がんからの劇的な寛解は、当然のことながらほとんどの場合、現代医療では打つ手がなくなった患者に起きています。それなのに、西洋医学外の治療者や代替療法の治療者たちががん治療にどう取り組んできたのかを誰も調べてきませんでした。この事実にわたしは驚きました。

わたしが会った劇的寛解の経験者は、世界の隅々まで、それこそ血眼になって治療者を探し出していました。そこでわたしも世界中を旅して回り、非西洋医学の治療者、代替療法の治療者50人にインタビューをしました。10カ月かけて10カ国(アメリカ“ハワイ”、中国、日本、ニュージーランド、タイ、インド、英国、ザンビア、ジンバブエ、ブラジル)を回りました。ジャングルや山の中、そして都市を旅し、治療者と話をしました。各地のすばらしい治療者がわたしに話してくれた経験を、読者のみなさんにご紹介します。

がん治癒を目指して実行していた9項目
劇的な寛解について記した医学論文は1000本以上分析しました。博士論文の研究を終えてからもさらにインタビューを続け、その対象者は100人を超えました。
わたしは、質的分析の手法で、これらの症例を何度も詳細に分析しました。その結果、劇的な寛解において重要な役割を果たしたと推測される要素(身体、感情、内面的な事柄)が75項目、浮かび上がりました。
しかし、全項目を表にして出現頻度を調べると、75のうちの上位9項目は、ほぼすべてのインタビューに登場していることに気づきました。たとえば登場回数が73番目に多かった「サメ軟骨のサプリを摂取する」。これは調査対象中の、ごくわずかな人が話してくれただけでした。かたや語られる頻度のもっとも高かった9つの要素については、ほぼ全員が、「がん治癒を目指して実行した」と言及していたのです。

  その9項目とは次のとおりです。
    ① 抜本的に食事を変える
    ② 治療法は自分で決める
    ③ 直感に従う
    ④ ハーブとサプリメントの力を借りる
    ⑤ 抑圧された感情を解き放つ
    ⑥ より前向きに生きる
    ⑦ 周囲の人の支えを受け入れる
    ⑧ 自分の魂と深くつながる
    ⑨「どうしても生きたい理由」を持つ

この9項目に順位はありません。人によって重点の置き方が異なるものの、インタビューで言及される頻度は、どれも同じ程度でした。私が話を聞いた劇的寛解の経験者はほぼ全員が、程度の差はあれ9項目ほぼすべてを実践していたのです。そこで本書は9章に章立てし、1章で1項目ずつ説明していきます。
各章では、まずその章のテーマについての解説と、それを裏付ける最新の研究報告を紹介します。次に、劇的な寛解を遂げた人の実話を記します。章末には「実践のステップ」と題して、その章のテーマを実践しやすいかたちにして、いくつかの方法をご紹介します。
9項目の詳細に入る前に、はっきりさせておきたいことがあります。
まず、私は手術、抗がん剤、放射線の「三大療法」を否定する者ではないということです。
たとえ話をしましょう。ふつう、フルマラソンを走るとき、人は靴を履いて走ります。けれどもごく稀に、自分なりのこだわりがあって裸足で走る人がいます。なかには裸足のまま元気に完走してしまう人もいます。
同じように、がんにかかった人は、普通は現代医療に頼るものです。けれどもときおり、ほかの方法を試そうとする人が存在します。私は後者に関心を持ちました。何を実践して、彼らは医師の予想を覆す偉業を達成したのか。それを突き止めることが私の仕事です。

二つ目に、私は本書によって、患者の方々に偽りの希望を与えるつもりは一切ありません。
劇的な寛解をした患者のほとんどが、医師から「ほかの患者には黙っていてほしい」と言われたと告白しています。ひどい話ではありますが、その医師の立場になって考えれば、わからなくもありません。来る日も来る日も、生存の見込みの乏しい患者を診察するのは、想像するだにつらい仕事です。
けれども劇的に寛解する人が現にいるという事実を黙殺するのは、偽りの希望を患者に抱かせるよりも、ずっと罪深いことではないでしょうか。

カリフォルニア大学で、研究方法についての授業の初回に、教授はこう言いました。
仮説から逸脱した事例に遭遇したとき、研究者にはそれを吟味する科学的責務がある。そしてその逸脱事例を吟味してから、研究者がとるべき道は2つ。
 一つ目は、なぜ仮説に合わない事例が生じたのかを公に説明すること。
 二つ目は、その事例を説明できる新しい仮説を考え出すこと。

要するに、仮説に合わない事例は無視してよい、という選択肢は存在しないのです。
がんの克服は人類共通の目標です。現代医療なしで治癒した症例を黙殺することは、科学的に無責任な態度なのです。
次に、「偽りの希望」について検討します。「偽りの希望を人に与える」とは、事実かどうかわからないことや、明らかな虚偽を人に伝えて、希望を抱かせるということです。がんからの劇的な寛解が起きる理由は、いまのところ説明不能ですが、それを体験した人が存在するのは事実です。現代の医学では説明のつかない方法で、彼らは自分のがんを治したのです。


症例を見ていて不思議に思うことがあります。なぜ、ある人に効く方法がほかの人には効かないことがあるのか。いまの私たちには、その理由はわかりません。けれども説明不能を理由に劇的寛解の現象から目を背けるのではなく、真摯に研究していけば、少なくとも人間の自然治癒力について何らかの知見を得ることができるでしょう。うまくいけば、がん根治の治療法の発見につながるかもしれません。いずれにせよ、黙殺からはどんな知見も得ることはできません。
もしアレクサンダー・フレミングがカビの生えた培養皿を捨ててしまっていたら、社会はいま、どうなっていたでしょう。彼の逸脱事例の研究が時間の無駄ではなかったことは、歴史が証明しています。
あまたの歴史的発見は、逸脱事例の研究からはじまりました。逸脱した事例には、真の希望が宿っている可能性があるのです。

*アレクサンダー・フレミング、イギリス・スコットランドの細菌学者である。抗菌物質リゾチームと、アオカビから見出した世界初の抗生物質、ペニシリンの発見者として知られている。

今回の健康塾のテーマーは、ガンの発症原因は真菌 “カンジタ菌”  の謎ときです。
信じるか、信じられるか? その文献を求めてみました。
簡単に説明すれば、ガンの発症の原因は真菌、カンジタ菌によるものである。真菌コロニーがガン? そこで重曹殺菌法が有効であるという理論です。重曹(炭酸水素ナトリウム)を重曹を水で薄めた5%水溶液500mlを一日一回静脈から点滴注入する点滴を行えない場合は、ぬるま湯で薄めた重曹水溶液を飲む、カラダの内から治す 真の杭酸化物質とサルベストロールで予防効果と改善効果が望めるという理論です。
つまり、カンジタ菌は酸性体質が大好き、アルカリに弱いことで説明がつくという。
  重曹―― アルカリ化―― 活性酸素によって酸化―― 杭酸化物質

コーヒーに含まれるポリフェノール、ニンジンカロテノイド、ニンジンカロテノイド、ビタミンCの杭酸化作用などはガン予防効果があるとしています。確かにこれらの成分は、ビタミンCの杭酸化作用などはガン予防効果がある、細胞の老化を食い止める、生活習慣病を予防するなどの効果が日本でも示されています。
杭酸化作用があり、真菌の増殖を抑える、副作用のないその物資がサルベストロールであるといいいます。日本で紹介されている、ガン予防に効果があるとされているファイトケミカル成分には、サルベストロール成分は一覧からは見当たりませんでした。
作物が進化の過程で外的と対抗する有効な成分を獲得得したのがサルベストロール、農薬で育った作物は、サルベストロールが存在しません。 サルベストロール+重曹殺菌法でガンが消えるとした理論です。
つまり、ガンの発症原因は(真菌)カビだった、ガン真菌説、カンジタ菌に感染している、心臓や脾臓はガンにならない、
結核症はガンにならない、つまり真菌コロニーがガンの正体であるという、理論で説明がつくと……。

まとめ
①ポリフェノールやカロテノイドといった杭酸化物質はガン予防に効果があるが、がん治療には不十分
②ブルベリーなどのベリー系やリンゴ、なし、無農薬の野菜に多くのサルベストロールには杭酸化作用のほか抗真菌作用もあり、ガンの予防と治療として理想的です。
③サルベストロール農薬や化学防腐剤によって、無力化されてしまうため、無農薬のオーガニックな植物から摂る必要がある。

■サルベストロールとは
 サルベストロールは、無農薬栽培(オーガニック)の野菜、果物、ハーブ等に含まれる植物由来成分です。
植物は真菌(カビ)に攻撃されると、抗菌作用のある成分を生成し、真菌を殺します。
その成分がサルベストロールです。
現代のサルベストロール摂取量は100年前と比べ1/10程度まで減少していると言われています。
健康維持に重要な成分でありながら、不足してしまっているサルベストロール。

サルベストロール生成の “しくみ” 
  ①植物に真菌(カビ菌)が付着
  ②真菌や細菌から自分を守るための物質を作り出す
  ③サルベストロールの多い植物になる

サルベストロールはポリフェノールなどの一種で植物にカビや細菌が付着した際に、植物が防御反応を起こす際に生成されます。

 

高い選択性をもつサルベストロールは正常細胞においてはCYP1B1がないために何も起きません。しかしがん細胞に取り込まれるとサルベストロールはCYP1B1と反応して活性化し、抗がん物質となってアポトーシスを引き起こし、腫瘍増殖を抑制します。

*がん細胞と正常細胞に対するサルベストロールの作用


また、サルベストロールは濃度が高くなっても、CYP1B1が存在しない正常細胞には影響を与えず、CYP1B1を有するがん細胞のみを高い選択性で死滅させます。培養細胞による実験でサルベストロールの濃度を高くすると、死滅するがん細胞の割合は増加していくという結果が出ました。


*サルベストロールによるがん細胞死
 

サルベストロールは体内で生成することはできません。自然界の動物はサルベストロールを豊富に含む果物や野菜を食べることにより、体内のがん細胞をアポトーシスに導いているのです。CYP1B1とサルベストロールによる抗がんメカニズムは「自然界のがん予防システム」と認識できます。

サルベストロールの働き
オーガニック野菜や果物、ハーブ等に含まれる植物由来成分「サルベストロール」にガン細胞に効果が期待できることがわかりました。
ベリー類、ブドウ、リンゴ、アボカド、キャベツ、オリーブ、ブロッコリー、バジル、パセリ、その他ハーブ等、多様な植物に含まれます。
植物は真菌(カビ)に攻撃されると、抗菌作用のある成分を生成し、真菌を殺します。その成分がサルベストロールです。
このサルベストロールは真菌を殺す役割があるのですが、人でいうガン細胞にも真菌と同じように効果が期待できることがわかりました。
現代の私たちが食べている農作物は、時代の流れで優秀な農薬・殺菌剤などが使われています。こういった農作物はは真菌(ガン細胞)に攻撃されることが少なく、サルベストロールの生成量も少なくなります。
昔は無農薬での農産物が当たり前だったのでサルベストロール摂取量は十分な値を保っておりました。しかし、現代人のサルベストロール摂取量は、100年前の1~2割まで減少していると言われています。
無農薬農作物を含む健康的な食事に、サプリメントでサルベストロールをプラスすることでガンの予防や治療に効果が期待できることがわかっております。

サルベストロールは作物のどの部分に多く含まれているか
皮や種、中皮や根など、廃棄されやすい部位に多く含まれる成分 オーガニックな農産物の皮に現れる黒い斑点がサルベストロールです。皮や種、根にもたくさん含まれますので、まるごと食べるのが理想です。サルベストロールは水に溶けやすいので、ゆで汁も一緒に摂りましょう。
 食材を選ぶ際に、見た目がきれいなものを選ぶ消費行動がサルベストロール不足の原因ともなっています。 サルベストロールは皮や種、中皮や根などに含有されています。

ルベストロールの力を最大限に引き出す3つのコツ
いろいろな研究から、サルベストロールの力を効果的に引き出すためには、3つのポイントがあることがわかってきました。私たちの体内時計はCYP1B1にも影響する。
私たちの体には生まれつき持っている生命リズムがあります。それは体内時計=サーカディアンリズムとも呼ばれていますが、サルベストロールの効果を高めるためにはこのリズムが重要であることが明らかになりました。
ポイントとなるのは、ガン細胞特有の酵素CYP1B1の活性リズムです。CYP1B1は早朝から15時までに活性のピークを迎えます。このタイミングでサルベストロールを摂取すれば、活発に働いてCYP1B1と結びつくので、消滅するガン細胞の数がより増えるのです。
サルベストロールを撮ってから血中濃度が上がるまでに3時間ほどかかりますので、朝食・昼食でオーガニックな食事を心がけることがオススメです。

単体で見ると体に良い影響がある食材や栄養素でも、サルベストロールと一緒に摂取すると阻害してしまうものがあります。下記はなるべく避けるようにするとよいでしょう。
◇ 人工甘味料  ――→  サルベストロールがガン細胞に侵入することを邪魔してしまいます。加工食品に多く含まれます。糖類似物質や人工甘味料はなるべく避けましょう。
◇ 多量のジュース  ――→  肝臓でのサルベストロールの代謝を妨げてしまいます。もし飲む場合は、CYP1B1の活性が落ち着く午後3時行こうの摂取がオススメです。
 ◇ グレープフルーツ ――→  含まれるナリンゲニンという成分がサルベストロール代謝を阻害するため、一緒の摂取は避けましょう。
◇  亜麻仁油 ――→  健康食品としても有名。阻害物質であるビタミンB17を含むので、えごま油などで代用しましょう。
イチョウ葉サプリメント、セントジョーンズワート  ――→  ヒベリシンがCYP1B1を直接阻害するので避けましょう。
◇   レスベラトロール――→  サルベストロールと構造が似ているため、1日50mg以上は避けましょう。

サルベストロールは、体内の細胞の自然なライフサイクルを助ける役割があります。損傷を負った特定の細胞には、特殊な酵素(CYP1B1)が出現します。サルベストロールは、この酵素によって活性化され、損傷した細胞を体内から自然に排除するために働きます。健康な細胞にはCYP1B1が存在しないため、影響はありません。
現代人は、100年前の1/10程度までサルベストロール摂取量が減少していると言われています。
殺虫剤・殺菌剤・除草剤を使用する現代農業で収穫した作物は、残念ながらサルベストロールがほとんど失われています。サルベストロールは病原体であるカビに対する植物の自然な防御成分で、カビによる刺激によって生成されます。
農薬によってカビを寄せ付けなくなると刺激が減り、植物はサルベストロールを生成しなくなります。
その結果、私たちが口にする多くの野菜などにおいてもサルベストロールが欠乏してしまっています。
オーガニック食材を含む健康的な食事に加えましょうか。

自然界の動物はサルベストロールに富む果物や野菜を食べることによって、体内に潜んでいるがん細胞をアポトーシスに導いています。
果物・野菜を摂取することでサルベストロールが吸収され細胞中に取り込まれますが、がん細胞に取り込まれたサルベストロールはCYP1B1という酵素によって代謝されて抗がん物質に変わりアポトーシス(細胞死)を誘導しますが、一方で正常細胞ではサルベストロールを取り込んでもCYP1B1が存在しないために何も起きません。

*CYP1B1 と乳がんの関係
私達が標的とする CYP1B1 は、女性ホルモンを発がん性物質に変換する働きをする酵素であり、乳がん発症要因の一つとされています。このため、CYP1B1 の働きを抑えること(阻害)のできる化合物は、効果的な乳がんの治療・予防薬として期待されます。さらに、これまでの予防薬とは異なる作用の仕方から、ホルモンバランスに影響を与えにくいと考えられており、次世代の乳がん予防薬として注目されています。しかし、一方で、CYP1B1 と形が似ている CYP1A という酵素は女性ホルモンの正常代謝経路として働くため、選択的に CYP1B1 のみを抑えることが予防薬として求められます。多くの研究がこの選択性の問題に困っているなか、独自な化合物の設計によって、この選択性の問題をクリアし、強力な CYP1B1 阻害剤を開発されています。

<サルベストロールの働きを助けるもの>
    マグネシウム: 400 mg/日
    ナイアシン又はナイアシンアミド: 100 mg1日2回
    ビオチン: 1 -5 mg/日
    セレニウム: 200 mcg /日 以上
    ビタミン C : 1~3 g/日を分割服用
    酸素(有酸素運動等)

<サルベストロールを多く含む食物>

果物
リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、イチゴ、イチジク、タンジェリンオレンジ、ブドウ、ヨウナシ、レモン、プラム
野菜
アボガド、きゃべつ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ニンニク、オリーブ、タマネギ、アスパラガス、ゴボウ、エンドウ、ソラマメ、セロリ、マメ、キュウリ、クレソン、パセリ
ハーブ
バジル、ルイボス、ローズヒップ、パクチー、セイジ、カモミール、タイム、ミント

サルベストロールが浮き彫りにする近代農業の問題点
自然界の恵みであるサルベストロールですが、近代農業で生産されている農作物において、その含有量は大幅に低下しています。その理由は栽培方法をみるとおのずと理解できます。
まず農薬の使用です。防カビ剤を含む農薬の使用により、害虫や真菌感染、雑草侵入などから農作物を守ることができるようになり、市場の需要に即した安定した状態の農作物を一定量収穫することが可能になりました。
しかし、本来植物が備えているサルベストロールの量は農薬の使用により低下しました。真菌の刺激が少なくなると、サルベストロールはほとんど生成されなくなるのです。

一方、オーガニック農作物は農薬を使用した農作物よりも、3倍から30倍の量のサルベストロールが含まれています。

サルベストロールは植物の辛味や苦味成分に含まれているので現代の消費者の好みに合わせて甘味を増す「品種改良」によっても含有量が低下します。また、ジュースの辛味や苦味を特殊なフィルターで除去したり、オリーブオイルの皮を不純物としてろ過する「食品加工」もサルベストロール含有量を低下させる一因となっています。
さらに「流通」も影響しています。
収穫期の後期、天敵の攻撃に対して脆弱な状態のときにサルベストロールの生成量は増加します。しかし、現在の流通システムでは、農作物を生産地から離れた場所でも安定した量を供給することを見据えて、サルベストロールが十分に生成される前に早期収穫してしまうのです。
皮や種、中皮や根など、廃棄されやすい部位に多く含まれる成分
サルベストロールが多く含まれているのは、オーガニックのリンゴ、イチゴなどのベリー類、柑橘類、キャベツやブロッコリー、ハーブ類などの野菜・果物です。

 


オーガニックな農産物の皮に現れる黒い斑点がサルベストロールです。食材を選ぶ際に、見た目がきれいなものを選ぶ消費行動がサルベストロール不足の原因ともなっています。
サルベストロールは皮や種、中皮や根などに含有されています。これらの部位を取り除くことでサルベストロールの摂取量は低くなってしまいます。皮はむかずに調理するなど食べる際には気をつけ、果物ならば、皮や中皮も使用したジャムやジュースなどで摂取するのがおすすめです。
また、サルベストロールは熱に強いのが特徴で、加熱によって失われることはありません。水に溶けやすい性質を持つので茹でた場合は茹で汁も必ず摂取することをおすすめします。
日常生活の中にある阻害物質を知り有効性を最大化する
せっかくサルベストロールを摂取しても、阻害物質により効果が半減、もしくは消失する場合もあります。
通常では、サルベストロール濃度が一定に達した場合、がん細胞は死滅しますが、阻害物質によってがん細胞に変化が見られなくなることがあります。

果物にカビがついた場合、植物はそのカビを溶かすのに酵素を出して対応します。実はこの酵素ががん細胞のアポトーシス(細胞死)を引き起こすことが分かってきました。
これがサルベストロールであり、多くの果物と野菜の中に自然に見つかる「がんに効くサプリメント」です。サルベストールを使用した結果、腫瘍マーカー(がんの診断や治療後の経過観察、再発や転移の発見に有効な基準値)の値が一気に下がったという報告もされています。
自然界のがん予防システム
動物は、サルベストロールに富む自然の果物や野菜を食べることで、体内に潜むがん細胞をアポトーシス(細胞死)に導いています。
CYP1B1とは、サルベストロールの化学構造を変化させる酵素で、サルベストロールをガン細胞を殺す因子に変えますが、健康な細胞へは危害を加えません。つまり、サルベストロールとCYP1B1の作用は、「自然界のがん予防システム」とも呼ぶことができるものです。

また、サルベストロールは天然植物由来の成分のため、正常細胞への影響(副作用)はありません。

近年、それを裏付ける研究もなされています。
これまでに約300人のがん患者に投与を行い、明らかな副作用は認められませんでした。
ステージ4(転移まで認められる状態)の肺がん、悪性リンパ腫、乳がんなどに著効例が出ています。
これらの結果から、サルベストロールは非常に期待が持てる物質である。

サルベストロールは手軽な癌予防
がん予防に最適なサプリメントです。サルベストロールは無農薬の野菜・果物に多く含まれている成分です。野生動物は自然のサルベストロールを多く摂取し、天然のがん予防システムに組み込まれているので、野生動物のがんは聞いた事も有りません。現代人の摂取量は100年前の1/10に減少しています。人間もペットもがんが当たり前の時代に突入しようとしています。サルベストロールは植物、果物が真菌や細菌から身を守るために作られた、ファイトレキシンといえます。CYP1B1とは、SytochromeP450のファミリー系酵素で全ての人の原発がんに発現するも、正常細胞(組織)には殆ど発現しません。ハーバード大学のダナ・ファーバー研究所では、がんのサンプル3300件でほとんど全てにCYP1B1の出現を認めています。がん細胞の中に存在するCYP1B1とサルベストロールが遭遇すると、CYP1B1がサルベストロールを代謝します。サルベストロールの代謝物質が、がん細胞のアポトーシスを誘導していきます。
つまり、抗がん剤的な働きを行なう様に成るのです。正常細胞にはCYP1B1が存在しないので影響を受けません。
サルベストロールが100年前の1/10しか取れないと言う事は、単純に計算すれば、がん患者が10倍増加したと言う事に成ります。私の周りを見てもがんに罹った人は多くいますし、芸能人もがんで亡くなる人が増えて来たと思います。超高濃度ビタミンCとサルベストロールの併用でがんに対する効果なども研究されています。サルベストロールをがん予防の目的で使用する場合は1~2Cap/1DayでOKだそうです。それか、無農薬野菜を沢山とり十分なサルベストロールをとる事です。

ガン細胞に存在する酵素「CYP1B1」がカギ
オーガニック野菜や果物を食べることで体内に摂り入れられたサルベストロールは、ガン細胞と出合うと、ガン細胞にのみ含まれる酵素「CYP1B1(シップワンビーワン)」と結びつきます。すると、サルベストロールは代謝物質へと変化し、ガン細胞を攻撃するのです。
このプロセスは、細胞がこのまま放っておくとガン煮なる可能性が高い状態=前ガン性であっても機能します。そのため、サルベストロールを体内に摂り入れることはガン予防にもつながると考えられています。

CYP1B1はあらゆるガンの種類に存在
世の中には様々な種類のガンが存在していますが、CYP1B1酵素はガンの種類に関係なく発生することがわかっています。ハーバード大学のガン研究所をはじめ、多くの研究機関が3,300件以上の様々な種類のガン細胞を調べたところ、ほぼすべてでCYP1B1の存在が確認されました。そのため、ガンの種類に関係なく、サルベストロールの働きが注目されているのです。

CYP1B1が発現したとされるガン
  ◇ 膀胱ガン
  ◇ 脳腫ガン
  ◇ 乳ガン
  ◇ 子宮頸ガン
  ◇ 大腸ガン
  ◇ 頭頸部ガン
  ◇ 腎臓ガン
  ◇ 白血病
  ◇ 肺ガン
  ◇ 悪性リンパ腫
  ◇ 悪性黒色腫
  ◇ 中皮腫
  ◇ 卵巣ガン
  ◇ 食道ガン
  ◇ 前立腺ガン
  ◇ 胃ガン
  ◇ 精巣腫ガン
  ◇ 多発性骨髄腫 ほか

ガン細胞を選択的に殺す
これまで行われてきたガンの化学療法では、ガン細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えてしまい、副作用が出ることが多くありました。
サルベストロールが反応する酵素「CYP1B1」はガン細胞のみが持っており、正常な細胞には存在しません。そのため、サルベストロールの代謝反応はガン細胞だけに起こり、正常な細胞は無傷のままでいることができるのです。サルベストロールは副作用なくガンに働きかける成分として期待されています。
サルベストロールは2002年にイギリスの2人の薬学博士によって発見されました。ラテン語で救うという意味の言葉「サルビア」が名前の由来です。たくさんの現代人を大病から救う事ができる新成分という願いを込めて名付けられました。
サルベストロールの発見者はもともと抗がん剤のプロフェッショナルでした。CYP1B1とサルベストロールの発見は、ガン細胞のみをターゲットにできる抗ガン剤の研究に結びついています。治療目的とする場合、食べ物からの摂取だけでは量が限られるため、サプリメントも開発されました。今ではサルベストロールの研究は世界各地で進められています。


 晩柑の皮に現れたサルベストロール


■ツルツルできれいな果物は実は栄養価が低い?
晩柑、オレンジ、グレープフルーツなどの果物や野菜類。スーパーで市販されているものは表面がツルツルしてきれいですね。一方、オーガニックのものは表面がでこぼこしていて、きれいでないものが多いですよね?

オーガニックの果実や野菜(果物より薄め)に付いている黒い斑点は、泥の付着ではなく、サルベストロールという天然成分で、オーガニックでないとなかなか出てこないものなのです。

オーガニックでないと、サルベストロール成分が出ない?
その理由は……
そもそも自然に生えている、あるいは無農薬で育てられた野菜や果物は、虫や細菌、そしてカビにさらされています。カビにさらされていると、それに対して身を守ろうという防御反応が働きます。そうでないと腐ってしまいますからね。
野生の果物がカビや細菌が付着しても育ち続けられる理由は、カビや細菌が侵入してきたときに、表面のサルベストロールという成分が防御反応としてできるからです。これはファイトケミカルと呼ばれるもので、より強く栄養素の豊富な植物になります。

■サルベストロールを摂取すると、身体にどんなよいことが起きる?
まず、がんになりにくくなるといえるかもしれません。1997年にアバディーン大学(イギリス)で研究していたダン・バーク教授のチームは、がんの研究をしていたところ、CYP1B1(シップワンビーワン)という酵素を発見しました※2。これは、がん細胞には多量に発生する一方で、正常な細胞には基本的にほとんど出てきません。

米ハーバード大学ダナ・ファーバーがん研究所からも多数論文がでており、CYP1B1酵素が多くの癌に出現している事実を示しています。CYP1B1酵素は、すべてのヒトのがん細胞に発現し、正常の身体組織にはわずかしか発現しない。すなわち、ほとんどのがん細胞にはCYP1B1酵素があるということがいえるのです。

研究を続けるなかで、植物のなかに含まれるサルベストロールが、身体に入り、細胞に入って、そしてCYP1B1酵素に反応すると、がん細胞を死滅させる成分に変化することを発見したといいます。
これは、ヒトの身体は自然のなかで生きている限り、人体に作用するサルベストロールのサイクルが、天然のがんを防ぐサイクルだと考えられます。
したがって野生の動物は、サルベストロールがたくさん入っている植物や果物を食べているから、がんになりにくいといえるのです。

最近では、ヒトと同じ生活をする犬や猫などのペットのがんもものすごく増えています。これだけ医学・医療が発達しているにも関わらず、また、がん撲滅運動をうたっているにかかわらず、なぜかがんは決して減りません。むしろがんの種類によっては増えています。
それは、治療の問題ではなく「食の問題」が重要だったのです。
オーガニックの植物は、非オーガニックの3~30倍のサルベストロールが含まれます。食べる予防薬ともいえるかもしれません。
免疫力がアップすると、カラダのなかからきれいになるのはもとより、がんの予防にもなりますね。
 



キムチに含まれるカプサイシンはアドレナリンの分泌を促すは働きがあります。 アドレナリンが分泌されると、脂肪が燃焼しやすくなり、エネルギーを効率良く代謝させる効果、肥満を予防したりダイエットの効果が期待できます。腸に良い「キムチには健康に良いプロバイオティクス(体にいい働きをする生きた微生物)が豊富に含まれています」また、キムチは腸内細菌のバランスを整え、消化をスムーズにすることによって、腸をさらに健康にしてくれるという…。
 今回の健康塾は「発酵食品の健康効果」の謎解きです。

  


キムチの歴史は4000年ほど前からだと言われています。しかし、現在のように唐辛子を使用したキムチになったのは、16世紀に日本から唐辛子が伝わり、その後、本格的に食材として利用され始めた18世紀からだと言われています。
今では、韓国の日常の食事では、朝、昼、晩と必ずキムチが食べられています。
キムチは約800年前につくられた発酵食品。キムチの起源は紀元前までさかのぼります。 当時中国大陸の漬物には唐辛子等は使われておらず、いたってシンプルな塩漬けのものであったと言われています。 その後「キムチ」になったのは今から約800年ほど前、現在の韓国の高麗時代と言われています。 当時はお供え物として使われていたうえ、まだ唐辛子が使われていなかったようです。

発酵食品の代表としてキムチが発達した理由は、人々が農耕を生活の基本とし、野菜を好んで食べたこと、また水産物の塩蔵技術に優れ、薬味として幅広く利用していたこと、それとキムチに利用されている白菜が広く栽培、普及していたことなどが挙げられます。「野菜の塩漬」を意味する「沈菜(チムチェ)」が、「キムチ」に変化したとも言われています。
キムチは栄養面でも非常に優れた食品です。主材料の白菜、大根、唐辛子、にんにく、葱などには薬理作用があり、豊富なビタミンが含まれています。さらに、発酵することによってそれまでになかったビタミン類が生まれ、整腸作用を助け、消化を促進します。また、発酵は乳酸菌を増やし、防腐作用を助けるほか、食欲増進にもつながります。
このように、キムチの栄養価は大変高く、他に類をみないすばらしい健康食品であるといえます。
また、三方を海に囲まれた韓国は、魚や貝の種類が多く、四季を通じてたくさんの漁獲量があり、その豊富な材料でさまざまな塩辛が造られ、保存食として発達してきました。塩辛はキムチ造りには欠かせない材料で、アミの塩辛、タチウオの塩辛、カキの塩辛などそれぞれを好みで選んで漬け込み、キムチに旨味と風味をもたらします。

みずみずしい野菜の食感、そして酸味と辛味の絶妙な調和。今も昔も韓国人の食生活に欠かせないキムチは、世界的にも類を見ない野菜を利用した発酵食品です。今では1年中、季節を問わず食べられていますが、もともとは農作物が採れない冬場の栄養不足を補うための保存食でした。
「キムチ」の語源については諸説ありますが、「沈菜(チムチェ)」という言葉が音声変化してキムチになったという説が有力視されています。「沈菜」とは、野菜を塩漬けしておくと水分が発生し、野菜自体が塩水の中に漬かる様子から生まれた言葉。そのチムチェが朝鮮時代にティムチェ、ディムチェと変化し、さらに時を経てチムチへ、そして現在のキムチになったと言われています。

ビタミンや無機質、食物繊維が豊富で、冬の重要な栄養補給源だったキムチ。野菜を長期保存するには乾燥という手段もありますが、本来の味と栄養分が損なわれがちです。そこで、生野菜を塩や酢に漬けて保存する方法が生まれたと言います。こうした漬物類の歴史は古く、中国最古の詩集「詩経」(紀元前8~11世紀頃成立)には、「きゅうりで菹(チョ)を漬ける」という一節が登場。菹が漬物の一種であったことがうかがわれます。また、後漢末期の辞書「釈名」では、菹を「野菜を塩漬けにした乳酸発酵食品」と説明しており、キムチの原型とも言えるものがこの頃から食べられていたことが推測できます。キムチは漢代(紀元前3~3世紀)に朝鮮半島北部の楽浪郡を通じて韓国にもたらされたと見られていますが、これを決定づける資料はなく、未だ明らかになっていません。

韓国の文献上、キムチに関する記録が最初に登場するのは、高麗時代に著された李奎報(イ・ギュボ)の詩文集「東国李相国集」(1241)です。ここではキムチ漬けが「塩漬(ヨムジ)」という言葉で表現されていますが、当時は野菜を塩で漬けた白キムチ(ペッキムチ)や水分の多い水キムチ(ムルキムチ)でした。では、私たちがキムチと聞いて思い浮かぶ、唐辛子粉で漬けた真っ赤なキムチが誕生したのはいつでしょうか?それは唐辛子が韓国に伝来した時期、つまり16世紀末頃の朝鮮時代後期と見られています。
それまでも、辛い味を好む国民性からか、キムチに香辛料を加える習慣はあり、主ににんにくや山椒が用いられていました。しかし山椒の場合、木から実を採取して粉状にする加工過程に手間がかかるという難点がありました。それに比べ、唐辛子は栽培、加工ともに容易で、キムチの発酵を促したり、副材料として使われるようになった塩辛の生臭さを抑えるのにも役立ちます。そうした数々の利点から、キムチ作りに適した香辛料として唐辛子が本格的に使用されるようになりました。1766年に刊行された農業書「増補山林経済」には、キムチに初めて唐辛子が使用された例が紹介されています。

もう1つ興味深い事実があります。それは、キムチの中で最もポピュラーな白菜キムチは、意外にもその歴史が浅いということです。高麗時代までは白菜はあまり使用されず、茄子や大根、胡瓜などがキムチの主材料でした。その理由としては、「韓国在来種の白菜は葉に力がなく外開きだった」「当時韓国は白菜の生育に適した土地ではなかった」など様々な説が残っています。大型で丸く結球し、葉肉が厚い白菜が中国から伝来したのは、19世紀末から20世紀初頭のこと。みずみずしく歯ごたえの良い白菜キムチは、実は今から100年ほど前に誕生したに過ぎない、比較的新種のキムチなのです。

ヨーグルトよりも多い乳酸菌  ――→  キムチの材料と健康効果
とうがらし、代謝を高め内臓脂肪を燃焼、カプサイシンが豊富に含まれています。
カプサイシンには体温を上げ、血流を良くする効果があります。新陳代謝を高めたり、内臓脂肪を燃焼させるのに役立ちます。また抵抗力をアップさせるとも言われているので風邪の予防にも効果的です。

*カプサイシンは末梢血管まで血流を良くしてくれる働きがあるので、身体を温めることができ冷え性の改善が期待できます。 新陳代謝が活発になることで血行が促進され老廃物の排出を促すことにより、疲労回復効果も見込めます。 カプサイシンの持つ辛みは唾液や胃液の分泌を盛んにするため食欲を回復させる効果ももたらします。
特に、痛みを和らげる上で重要なタンパク質TRPV1など、がん抑制物質が相対的に不足した成人の場合、カプサイシンの大量摂取ががん発生を大きく促進しかねないこともわかった。 ただ、カプサイシンだけを調理した場合は、TRPV1遺伝子が存在するマウス、不足したマウスともがん発生を誘発しなかった。
唐辛子に含まれるカプサイシンが痛みの緩和(カプサイシンクリーム)や肺がん、乳がん、結腸直腸がんなどの特定の種類のがんに効果があることを示唆する研究もありますが、他の研究では、辛いもので作られた辛い食べ物を過剰に摂取することが示唆されていますカプサイシンが豊富な唐辛子は、特に胃や胆嚢には良くないかもしれません。 最近のメタアナリシスでは、カプサイシンが豊富な唐辛子を摂取すると、胃がんや胃がんのリスクが高まる可能性があることも明らかになりました。 これらの発見を確立するには、より明確な臨床研究が必要です。 ただし、カプサイシンが豊富な唐辛子を長期間過剰に摂取することは避け、胃がんの危険を避けるために少量から中程度の量で使用することをお勧めします。

にんにく
がん・動脈硬化の抑制効果
がんの抑制(特に消化器系)、動脈硬化の抑制、中性脂肪の抑制にも効果があるといわれる、世界最強の栄養食材です。滋養強壮、疲労回復にも効果的で殺菌効果も強く感染予防にも役立ちます。

しょうが
血行促進・代謝を高める効果
ショウガの主成分であるシンゲーロール・ショウガオール・ジンゲロンには結構促進する作用や、体を温める働きがあります新陳代謝を活発にし、発汗を促します。香り成分のシネオールは、食欲増進、疲労回復・夏バテ解消に役立つのです。

その他の野菜に
豊富なビタミンB1、B2、B12
キムチに使う野菜には、基本火を通しません。つまり、野菜が持つ栄養価を壊すことなく摂取できるのです。白菜や大根、きゅうりといった淡色野菜に含まれるビタミンC2をはじめ、野菜が発酵する過程で作られるビタミンB1 B2 B12、ニコチン酸を豊富に含みます。糖をエネルギーに変える成分などが生まれるため疲労回復のほか、新陳代謝の向上にもつながるのです。

1日50gを目安に食べる
摂取量ですが、キムチは1日50gを目安に食べるのが良いそうです。美味しいのでたくさん食べられますが、塩分もあるので食べすぎには注意。50gは小皿一杯分くらいに相当します。

1日50グラムの「キムチ」を食べた方が良いワケ
秋バテの原因と対策
暑さが少しずつ和らいできたはずなのに、「なんとなくだるい」「食欲があまり沸かない」そんな秋バテの症状は、夏の冷えが原因かも。冷たいものの摂り過ぎや、冷房の当たりすぎにより、自律神経のバランスが乱れてしまうことで引き起こされます。
特に冷えに弱い女性に症状が出やすい秋バテ。放っておくと、抵抗力が低下しやすいので、少しでも症状に心当たりがあれば、早めの対策が大切です。
冷たいものを控え、身体を内臓から温めることが秋バテ解消に効果的。さらに規則正しい生活と、適度な運動を心がけることで、より効果が期待できます。

夜に食べる
キムチの整腸効果を最大限いかすためには、夜に食べるのがおすすめ。腸の動きが活発な昼間は、キムチの栄養分が消化管の中にとどまっている時間が短いからです。腸の動きが鈍くなる夜に摂ることで、乳酸菌の滞在時間が長くなり善玉菌が増える可能性が高くなります。
生のまま食べる
乳酸菌は加熱すると死んでしまいます。ですので、生のまま食べた方がより腸に高い効果を生むと言われています。ただ死んでしまった植物性乳酸菌もしっかり善玉菌のエサになるので、実はちゃんと役に立っています。

キムチは、植物性の乳酸菌を含む発酵食品です。この植物性の乳酸菌というものがとても優秀。ヨーグルトなどの動物性の乳酸菌よりも丈夫で、より生きたまま腸に届きます。また、キムチの乳酸菌は、キムチ1gに8億個ほども存在し、この数はヨーグルトにも匹敵します。キムチは大変優れた発酵食品なのです。

ダイエット・美容に期待できる効果
◎代謝アップ!ダイエット効果も!?
キムチの辛み成分であるカプサイシンには、アドレナリンを分泌する働きがあります。このアドレナリンが、脂肪代謝などエネルギー代謝を促進して、発汗を促します。辛いものを食べると体がぽかぽかしてきますよね。これはまさに、代謝が上がっている証拠です。
◎豊富なビタミン
キムチには、発育・美容のビタミンともいわれる「ビタミンB2」を含むビタミンB群、また、ビタミンC、ビタミンAなどのビタミン類が含まれています。
ビタミンB2は、脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。 特に、脂質を分解しエネルギーに変えるため、ダイエットをしている人、脂っこい食事が多い人には重要な栄養素です。 また、抗酸化作用のある「βカロテン」も含まれているので、アンチエイジング効果も期待できます。毎日キムチを当たり前のように食べている韓国人の美肌の秘訣ひけつかもしれませんね。 
健康に期待できる効果
◎免疫力アップ
腸は、「第2の脳」だと言われています。免疫細胞の7割は腸に存在すると言われているので、腸内環境を整えることで免疫力アップに期待できます。
◎腸内環境改善!便秘解消に
キムチに含まれる乳酸菌は、「ラクトバチルス」という植物性の乳酸菌です。これは、腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整えてくれます。さらにキムチに含まれる白菜などの食物繊維と乳酸菌の相乗効果で便秘改善にも期待ができます。
◎入眠がしやすくなる!?期待できる安眠効果
寝る2時間前までに摂取することで、安眠を促します。人間は、寝る前に1℃ほど体温が下がるようになっています。寝る前に入浴をするとぐっすり眠れるのは、この仕組みがあるためです。キムチを夕食で食べると、カプサイシンの働きで体温が上がり、その後体温が下がるので、より入眠しやすくなるといわれています。

キムチの効果的な摂り方
いくら、身体にいいと言われるキムチでも、食べすぎは禁物。キムチには塩分が多く含まれていますし、唐辛子が胃を荒らしてしまう恐れがあります。一日に食べる量は、だいたい50g(小皿1皿程度)までにとどめておきましょう。

キムチは、生でそのまま食べることはもちろん、炒め物やスープに加えるなどとそのアレンジは無限!辛いものが得意ではない方は、チーズや卵を加えると辛みを抑え、食べやすくなるでしょう。

乳酸菌は加熱すると死滅しますが、死滅した乳酸菌には悪玉菌を排出する効果があるので全く効果がなくなるわけではありません。さらに、ヨーグルトなどの生きた乳酸菌と合わせて摂るようにするとダイエット効果もあり、より効果的です。

スーパーに行くと、種類が多くて、どれにしようか迷ってしまうほどのたくさんのキムチが並んでいます。いろいろ試してみると、きっと自分好みのキムチが見つかるはず!毎日の食卓に無理なく取り入れて、夏に溜まった疲れを吹き飛ばして健康に過ごしていきたいですね。

●50gは小皿一杯分くらいに相当します。 キムチの整腸効果を最大限いかすためには、夜に食べるのがおすすめ。 腸の動きが活発な昼間は、キムチの栄養分が消化管の中にとどまっている時間が短いからです。 腸の動きが鈍くなる夜に摂ることで、乳酸菌の滞在時間が長くなり善玉菌が増える可能性が高くなります。

免疫力アップ!キムチの嬉しい栄養素・成分とは
まずはキムチにはどのような栄養素や成分があるのかを見てみましょう。その中身を分析してみると、キムチで免疫力がアップするといわれるのが納得できますよ。

乳酸菌
キムチは発酵食品で乳酸菌がたくさん含まれています。乳酸菌のなかでも生きたまま腸まで届くものには、有用菌を増やすという働きがあります。

腸内には有用菌のほかにも悪い影響を及ぼす菌と日和見菌とされる腸内細菌が生息していますが、悪い菌が増えると毒素が体内に溜まり、免疫力が低下してしまいます。そのため、悪い菌を増やさず、有用菌を増やすことが非常に大切なのです。

免疫細胞の6~7割は腸にあるといわれます。乳酸菌を摂取して有用菌を増やし、腸内環境を整えることは免疫力アップに非常に効果的なのです。

ビタミンA
ビタミンAには、皮膚や粘膜を強化する働きがあります。私たちの鼻やのどはつねに外気にさらされており、病原菌やウイルスが侵入しやすい状態にあります。ビタミンAを摂取して鼻やのどの粘膜を強化できれば、ウイルスなどの侵入を防ぐことができる、というわけです。
また、ビタミンAには白血球を増やす働きもあります。白血球には免疫細胞がたくさん含まれているので、この点からもビタミンAは免疫細胞の働きを高めることが期待できます。

ビタミンB
ビタミンBで注目したいのはB1とB6です。ビタミンB1には腸内で免疫細胞が集まる「パイエル板」を維持する働きがあります。パイエル板はビタミンB1が不足すると小さくなってしまうので、免疫細胞も減少してしまいます。
一方のビタミンB6には、たんぱく質を作る働きがあります。細胞はたんぱく質から作られているので、ビタミンB6が不足すると免疫細胞も減少し、免疫力が低下してしまいます。ビタミンB1とB6の両方を含むキムチは、まさに免疫細胞の味方といえる食品なのです。

カプサイシン
キムチにたくさん含まれるカプサイシンは辛味成分として知られていますが、それ以外にも、腸の蠕動運動を促し、便を排出し、腸内環境を整えるという作用があり、免疫細胞の活性化につながります。
また、カプサイシンは体温を上昇させる効果もあります。体温が上昇すると血行が促進されるので、免疫細胞を含む白血球が体中にいきわたり、免疫力を高めることができるのです。

食物繊維
食物繊維は排泄を促すので、腸内環境を整える効果があります。そもそも、なぜ便秘をすると免疫力が低下してしまうのでしょうか。その答えは免疫細胞にあります。
私たちの腸には全身の6~7割もの免疫細胞が集まっていますが、免疫細胞は善玉菌によって活性化されます。便秘をすると悪玉菌が増えて善玉菌が減ってしまうので、免疫細胞を活性化することが難しくなります。そのため、食物繊維を摂って腸内環境を整えておくことが、免疫力のアップにつながるのです。

キムチを食べる効果的なタイミング
夜に食べるキムチの整腸効果を最大限いかすためには、夜に食べるのがおすすめ。 腸の動きが活発な昼間は、キムチの栄養分が消化管の中にとどまっている時間が短いからです。 腸の動きが鈍くなる夜に摂ることで、乳酸菌の滞在時間が長くなり善玉菌が増える可能性が高くなります。
自然発酵するキムチには、植物性の乳酸菌が多く含まれ、身体に良い効果をもたらします。

そもそも、乳酸菌には「動物性」と「植物性」の2種類が存在します。
ヨーグルトやチーズに含まれる動物性乳酸菌は、牛乳などに含まれる豊富な糖をエサとして、菌が繁殖しやすい温かい環境で育ちます。
一方、キムチに含まれる植物性乳酸菌は、エサとなる糖が少ない野菜で育ちます。
これは菌にとっては過酷な環境であり、この厳しい環境で育った植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌と比べて強い生命力を持つと言われています。
自然発酵キムチに含まれる植物性乳酸菌は、胃酸や胆汁酸で死滅せずに生きたまま大腸まで届き、腸内をきれいにする効果があると言われています。
特にラクトバチルス属は代表的な乳酸菌で、キムチ1gに9600000個ほども存在すると言われ、腸内環境改善に効果的な乳酸菌と言われています。
腸内環境が整えば、便秘が解消されるほか、自律神経を整え、血行が良くなります。
血行が良くなることで、少し動くだけでも身体がポカポカし、脂肪を燃焼しやすい身体になります。
つまり、キムチに含まれる成分がダイエットに適した体づくりに効果的ということです。

健康にプラスの効果をもたらしダイエットにも効く発酵食品ですが、発酵食品を食べるオススメのタイミングはいつでしょうか。
ズバリ発酵食品は、朝食に食べるのがオススメです。
まずは朝食を食べる習慣を身につけられるということが挙げられます。朝食をしっかり食べておかないと、寝ている間は何も食べられないので脳のエネルギーが不足した状態で出かけることになります。これだと頭が働きません。
また朝食を食べないと体内時計がずれてしまい、せっかく発酵食品を食べても太る原因になります。
発酵食品を朝に食べるとよい理由として、朝は腸の中が比較的綺麗になっているからということも挙げられます。夜の間にある程度腸の中の栄養素は消化されているので、このタイミングで食べると腸内細菌のバランスを整えやすくなっています。

カプサイシンの働き
カプサイシンは末梢血管まで血流を良くしてくれる働きがあるので、身体を温めることができ冷え性の改善が期待できます。 新陳代謝が活発になることで血行が促進され老廃物の排出を促すことにより、疲労回復効果も見込めます。 カプサイシンの持つ辛みは唾液や胃液の分泌を盛んにするため食欲を回復させる効果ももたらします。
カプサイシンは、とうがらしに含まれる辛味成分です。
エネルギーの代謝に関わるホルモンの分泌を促進して、脂肪の燃焼を助ける働きを持ち、肥満を予防する効果があるとして注目されています。

   <カプサイシンの健康効果>
   ◎肥満を予防する効果
   ◎血流を改善する効果
   ◎高血圧を予防する効果
   ◎コレステロール値を下げる効果
   ◎冷え性を改善する効果
   ◎食欲を増進させる効果
   ◎疲労回復効果
   ◎便秘を解消する効果

   <カプサイシンを含む食品>
   ○とうがらし
   ○ししとう

とうがらしを食べた際に起こる様々な生理現象は、主にカプサイシンの働きによるものです。
体内にカプサイシンが入ると、血液によって全身に運ばれ、脳や脊髄などの中枢神経を刺激します。その刺激が、副腎皮質[※1]に伝わり、アドレナリンというホルモンが分泌されます。
カプサイシンを摂取すると、体脂肪の分解を促進するアドレナリンがエネルギーの代謝を盛んにします。結果、効率良く脂肪を燃焼させます。
また、カプサイシンがエネルギーの代謝を活発にさせることによって、体温が上昇し、発汗が促進されます。
とうがらしを食べると、体が熱くなり汗をかきやすくなるのは、カプサイシンの働きによるものです。 

キムチの薬味である唐辛子の辛み成分、カプサイシンはアドレナリンを分泌する働きがあり、代謝を高め、内臓脂肪を燃やす効果が期待できます。
また、血流がよくなり体温が上がるため、体の感染症などに対して抵抗力が高くなることにより、免疫力が向上し風邪などを防ぐ効果も期待できます。

●唐辛子、カプサイシンおよび胃/胃がんのリスク
唐辛子に含まれるカプサイシンが痛みの緩和(カプサイシンクリーム)や肺がん、乳がん、結腸直腸がんなどの特定の種類のがんに効果があることを示唆する研究もありますが、他の研究では、辛いもので作られた辛い食べ物を過剰に摂取することが示唆されていますカプサイシンが豊富な唐辛子は、特に胃や胆嚢には良くないかもしれません。 最近のメタアナリシスでは、カプサイシンが豊富な唐辛子を摂取すると、胃がんや胃がんのリスクが高まる可能性があることも明らかになりました。 これらの発見を確立するには、より明確な臨床研究が必要です。 ただし、カプサイシンが豊富な唐辛子を長期間過剰に摂取することは避け、胃がんの危険を避けるために少量から中程度の量で使用することをお勧めします。

唐辛子に含まれる主な活性化合物は次のとおりです。
  ・カプサイシン
  ・ジヒドロカプサイシン
  ・リノレン酸
  ・オレイン酸
  ・p-クマル酸
  ・レチノール
  ・ビタミンC

カプサイシンは、痛みの信号を脳に伝達する神経伝達物質に影響を与えることにより、鎮痛剤として機能します。
しかし、唐辛子とカプサイシンは、癌のリスクへの影響に関する結果が相反するため、長年にわたって論争を呼んでいます。 唐辛子が肺がん、乳がん、結腸直腸がんなどの特定の種類のがんに効果があることを示唆する研究もありますが、カプサイシンが豊富な唐辛子で作られた辛い食べ物の過剰摂取は特に良くない可能性があることを示唆する研究もあります。胃と胆嚢のために。
最近、2020年に、唐辛子の消費と胃/胃がんのリスクとの関連を再度評価するメタアナリシスが発表されました。

調査の主な調査結果は次のとおりです。
中程度から高濃度の唐辛子の摂取は、胃がん/胃がんのリスクが1.96倍増加することに関連していました。
用量反応分析は、カプサイシン摂取と胃がんリスクの増加との間に有意な非線形の関連性を発見し、唐辛子の消費量が多いが中程度の唐辛子の消費量ではない人の胃/胃がんのリスクが有意に高いことを示唆しました。 
このメタアナリシスの結果は、カプサイシンを含む唐辛子の摂取量が多いと、胃がんまたは胃がんの発生率が高くなる可能性があることを示唆しています。 ただし、これらの調査結果を確認するには、より明確な調査が必要です。
研究では、唐辛子を摂取しなかった人と比較して、非常に大量の唐辛子を摂取した人は、胃がんのリスクが17.11%増加することがわかりました。 しかし、XNUMX日あたりの消費量に基づいて唐辛子の摂取量を測定したところ、消費者の間で有意な傾向は見られませんでした。
 メキシコの国立公衆衛生研究所が行った研究では、カプサイシンが豊富な唐辛子の摂取などのさまざまな要因、ヘリコバクターピロリなどの感染性要因、および胃/胃がんのリスクに関するIL1B-31遺伝子型などの遺伝的要因間の潜在的な相互作用を評価しました。 この研究では、カプサイシンを中程度から大量に摂取すると、IL1B-31C対立遺伝子キャリアであり、より毒性の高いヘリコバクターピロリ菌株に感染した遺伝的に感受性の高い個人の胃/胃がんのリスクが相乗的に増加することがわかりました。

免疫力を高めるためにはキムチをそのまま食べよう
より免疫力を高めるには、キムチの食べ方にもひと工夫しましょう。キムチは鍋に入れたり炒め物に入れたりと、さまざまな料理の食材としても便利です。しかし、キムチに含まれる乳酸菌は熱に弱く、加熱すると死んでしまいます。免疫力を活性化するには、キムチはなるべく調理せずそのままで食べたほうがいいのです。
なお、熱で死んでしまった乳酸菌は腸内で有用菌の餌になるので、加熱をしたから効果がゼロになるというわけではありません。
キムチを食べ過ぎると免疫力が下がることも!
美味しいキムチを食べて免疫力もアップできるなら、たくさん食べよう!と思うかもしれませんが、食べ過ぎには注意です。なぜならキムチに含まれるカプサイシンは刺激が強く、粘膜を傷つけて胃腸が荒れてしまうおそれがあるからです。
とくに腸は免疫細胞を活性化させる有用菌がたくさん住んでいるところです。環境を悪化させて悪い菌が増えないようにしたいものです。
また、キムチは塩分も多いので、高血圧をまねくおそれもあります。キムチは適度に食べて、免疫力のアップに役立てましょう。

唐辛子に含まれる主な活性化合物は次のとおりです。
  カプサイシン
  ジヒドロカプサイシン
  リノレン酸
  オレイン酸
  p-クマル酸
  レチノール
  ビタミンC

カプサイシンは唐辛子に含まれる辛味成分で、辛くなります。 唐辛子に含まれるカプサイシンの量は、その種類と栽培条件によって異なります。

他の自然の刺激物とは異なり、通常は灼熱感を刺激または作成するカプサイシンは、痛みの緩和に関連する特定の利点がある可能性があるため、クリームやパッチに使用されます。 これは、カプサイシンによって誘発された最初のニューロンの興奮の後に、以前に興奮したニューロンが広範囲の刺激にもはや反応しない長期の不応期が続くためです。 
したがって、カプサイシンは、痛みの信号を脳に伝達する神経伝達物質に影響を与えることにより、鎮痛剤として機能します。 カプサイシン含有クリームは長年使用されてきました。 さまざまな研究により、癌患者の術後神経障害性疼痛の軽減における局所カプサイシンクリームの適用の利点も示唆されました。
しかし、唐辛子とカプサイシンは、癌のリスクへの影響に関する結果が相反するため、長年にわたって論争を呼んでいます。 唐辛子が肺がん、乳がん、結腸直腸がんなどの特定の種類のがんに効果があることを示唆する研究もありますが、カプサイシンが豊富な唐辛子で作られた辛い食べ物の過剰摂取は特に良くない可能性があることを示唆する研究もあります。胃と胆嚢のために。

最近、2020年に、唐辛子の消費と胃/胃がんのリスクとの関連を再度評価するメタアナリシスが発表されました。
チリペッパーと胃/胃がんとの関連
中程度から高濃度の唐辛子の摂取は、胃がん/胃がんのリスクが1.96倍増加することに関連していました。
用量反応分析は、カプサイシン摂取と胃がんリスクの増加との間に有意な非線形の関連性を発見し、唐辛子の消費量が多いが中程度の唐辛子の消費量ではない人の胃/胃がんのリスクが有意に高いことを示唆しました。 
このメタアナリシスの結果は、カプサイシンを含む唐辛子の摂取量が多いと、胃がんまたは胃がんの発生率が高くなる可能性があることを示唆しています。 ただし、これらの調査結果を確認するには、より明確な調査が必要です。

この研究では、唐辛子を摂取しなかった人と比較して、非常に大量の唐辛子を摂取した人は、胃がんのリスクが17.11%増加することがわかりました。 しかし、XNUMX日あたりの消費量に基づいて唐辛子の摂取量を測定したところ、消費者の間で有意な傾向は見られませんでした。 
研究者らは、唐辛子の大量摂取が胃がん/胃がんの強力な危険因子である可能性があると結論付けました。 ただし、これらの調査結果を確立するには、さらに多くの研究が必要です。

メキシコの国立公衆衛生研究所が行った研究では、カプサイシンが豊富な唐辛子の摂取などのさまざまな要因、ヘリコバクターピロリなどの感染性要因、および胃/胃がんのリスクに関するIL1B-31遺伝子型などの遺伝的要因間の潜在的な相互作用を評価しました。 この研究では、カプサイシンを中程度から大量に摂取すると、IL1B-31C対立遺伝子キャリアであり、より毒性の高いヘリコバクターピロリ菌株に感染した遺伝的に感受性の高い個人の胃/胃がんのリスクが相乗的に増加することがわかりました。

キムチの驚くべき10の健康効果
1. 腸に良い
「キムチには健康に良いプロバイオティクス(体にいい働きをする生きた微生物)が豊富に含まれています」と栄養士のサマンサ・カセッティは説明する。また、同じく栄養士、アリッサ・ラムジーによれば、キムチは腸内細菌のバランスを整え、消化をスムーズにすることによって、腸をさらに健康にしてくれるという。

2. 免疫力アップ
栄養士のジェシカ・コーディングによると、免疫機能は大部分が腸に集中していることから、腸の細菌叢(マイクロバイオーム)が良好な状態にあれば、免疫系の機能が向上するとのこと。つまり、プロバイオティクスを含むキムチは、免疫機能にも有益だということになる。

3. コレステロール値を下げる
具体的にどの成分によるものかは解明されていないものの、日常的にキムチを食べている人は「悪玉コレステロール(LDL)値が低い傾向がある」ことが、過去の複数の研究結果で示されている。

4. 心臓の健康状態を改善
ショウガやトウガラシなどを使うキムチには、抗酸化物質が多く含まれている。そして、サマンサによれば、「ダメージを受けた細胞は病気の進行を加速させるが、抗酸化物質はそうした細胞の活動を安定化させるのに役立つ」とのこと。抗酸化物質を多く取れば、心臓病などの慢性疾患から身を守ることにつながる。

5. 炎症を抑える
プロバイオティクスには、腸内の炎症を抑える効果もあるとみられている。ある動物実験では、キムチに含まれる特定のプロバイオティクスが、腸内で確認された炎症のマーカーを減らしたとの結果が示されている。

6. 脳の健康をサポート
健康な腸が間接的にもたらすもうひとつの効果は、 脳の働きを向上させることだという。ジェシカは、「消化器系を健康に保つことは、脳にとっても重要なこと。それは、腸にある腸神経系が、脳とつながっているため」と説明している。

7. ダイエットにも効果的?
人が食べ過ぎてしまいがちなのは、「味気のない、あるいは退屈な食べ物」だというサマンサによれば、「風味豊かで低カロリー」なキムチは、健康的な量で満足感を得やすい食品だそう。もちろん、キムチを食べるだけで魔法のように体重が減るわけではないものの、健康的なライフスタイルに役立つツールになるという。

8. 眼の健康に良い
キムチは体内でビタミンAに変換される抗酸化物質のβカロテンを豊富に含んでいる。栄養士のミア・シンは、視力と目の健康に重要なこれらの栄養素は、加齢とともにさらにその重要性を増すものだと述べている。

9. イースト菌感染症を予防
「キムチに含まれるプロバイオティクスは、イースト菌感染症(カンジダ膣炎)の予防に役立つと考えられます」とミアは説明する。

複数の研究結果によれば、キムチに含まれる善玉菌にはこの感染症の原因菌に対する抗菌力を持つものがあり、それによって発症リスクが低減されるとみられるという。

10. 血糖値を改善
「糖尿病予備軍」と診断された人を対象に行った小規模な研究の結果、8週間以上キムチを食べた被験者の耐糖能(糖耐性)が、改善していたことが確認されたという。


発酵食品を食べるべき3つの理由
世の中には、キムチやコンブチャなどたくさんの発酵食品がある。ただの流行りで終わってしまったものもあれば、定着したものも。こんなにも発酵食品が人気なのは、その独特な味だけでなく、いわば「食べられる善玉菌」だから。しかも、発酵食品を食べることは、健康にも効果があるだけでなく、ムリなく続けられる。

「発酵というプロセスを経ることで、食物は事前消化が行われる。さらに発酵によって数週間、数ヶ月、場合によっては数年も長期保存ができる」とホリー・デービス。ホリー・デービスはIku Wholefoodの共同創業者であり、シェフでもあり教師。デービス氏は、著書「Ferment」の中で、この健康食品の流行となぜ身体が発酵食品を食べると喜ぶかについての考えを共有している。

発酵は、ピクルスや酢漬けと言われることはあるが、必ずしもピクルスや酢を使ったものが自然に発酵しているわけではない、とデービス。市販のものを買うときは、発酵と書かれているものを探すようにして、殺菌されていないものを選ぶようにとアドバイスする。

1. 発酵食品は体重にも効果がある
現在の研究では、体内の常在菌の遺伝子は体重のコントロール、免疫システムの調整、呼吸器系、消化器系などにも影響するだけでなく、食べた物の栄養素の吸収にも関係している。
2. 発酵食品はビタミンの吸収を助ける

腸内の善玉菌はビタミンB3、B5、B6、B7(ビオチン)、B9(葉酸)、B12、ミネラルの吸収を助けるビタミンKの生成を促してくれる。さらに、病気の予防や、消化を助けたり、薬を代謝したり、新陳代謝に影響を与えたりする。

どんな食品でも発酵させることはできるが、発酵に適していないものもある。たとえば、生のジャガイモやルバーブの葉には毒がある。それからブロッコリー、キャベツ、ケール、芽キャベツなどのアブラナ科のものも甲状腺腫を誘発する作用がある。甲状腺機能を抑えてしまう効果は発酵させてもそれは変わらないので発酵には向かない食材、とデービスは説明する。

3. 発酵食品はおいしい
食事の面でも、消化の面でも発酵食品を取り入れるのはよいこと。たとえば、飲み物や調味料として少量を使ってみても。

■キムチダイエットで健康的に痩せる方法
体にいい発酵食品で、健康に効果的な成分がたっぷりと含まれていることで知られています。そんなキムチを使ったダイエットが痩せると評判ですが、具体的にはどんなやり方で毎日の食卓に取り入れたら本当に痩せるのか、よくわからないこともあります。そこで、キムチの痩せる成分、ダイエットを成功させるためのタイミングや量、おすすめの食べ方の目安や効果的なダイエットのやり方などをご紹介。があります。

キムチは、製品にもよりますが、100gで20~46kcalとかなり低カロリーの食品です。糖質も2~5gなので、糖質制限ダイエットをされてらっしゃる方でも心配なく食べることができます。1回に食べる量は、好みにも寄りますが、50~100gほどと考えると、ダイエット食としてはかなり優秀だといえます。ただ、キムチには塩分もわりと量が多く含まれているため、キムチの量を食べ過ぎてしまうと、塩分の摂りすぎにもなってしまいますので、注意が必要です。

植物素材を発酵させる乳酸菌である植物性乳酸菌は、腸内環境をきれいにし、その結果、肌荒れなどの症状も改善し、腸内が正常になることから、基礎代謝もアップし、ダイエットに適した痩せやすい体となると考えられています。

キムチを作る際に使われる唐辛子には、辛味線分のカプサイシンが多く含まれています。このカプサイシン、粘膜や中枢神経を刺激することで、食べたものの消化や吸収を促し、アドレナリンが分泌されることでエネルギーの代謝が活発となります。ダイエットに効果的な有酸素運動を組み合わせることで、さらに減量に成功する可能性が高いと言えます。
キムチの素材として使われる白菜やニンニクに含まれるビタミンB群は、エネルギーの代謝を補う補酵素として働きます。このビタミンB群は、発酵されることで増えることがわかっているほか、加熱しないキムチは、こうした野菜の栄養素が壊されないため、野菜本来の栄養を吸収することができます。つまり、ビタミンBによって新陳代謝が活発となり、血行がよくなり、見た目にも健康的で美肌が実現されていくのです。

●キムチダイエットを取り入れるためのタイミング
栄養成分が豊富なキムチには、食べるタイミングや時間帯によって、期待できる効果が異なります。キムチを食べる際には、この効果の違いを考えて摂り入れると、より期待した効果が得られる可能性が高くなります。

朝のタイミングのキムチは健康にいい
キムチを食べる時間帯として朝のタイミングの場合、いくつかの嬉しい効果が期待できます。たとえば、唐辛子に含まれるβカロテンは、細胞を活性化させる働きがあるため、体内の老廃物を排出し、新陳代謝が活性化され、体内でビタミンAに変化することで粘膜を強化する働きもあることから、風邪予防などにも働きます。朝からキムチの臭いが気になる方は、脱臭の働きがある緑茶などと組み合わせるのもおすすめ。朝の時間から元気になる朝食として、キムチを取り入れてみてはいかが?

昼食時間のキムチで疲労回復効果も期待できる
昼食時間のタイミングでキムチを食べるのも、ダイエット効果のほか、体にいい効果が期待できます。カプサイシンの働きで、エネルギー代謝が活発になるため、仕事中の昼食をはじめ、体を動かす前の昼食などで摂り入れることで、ダイエット効果が期待できるほか、疲れた体の疲労を回復する効果も期待できます。昼食時間のタイミングでキムチを摂り入れる際は、目的に応じて食事の組み合わせも考えながらメニューを考えましょう。

キムチは夜が効果的といわれる理由
キムチを摂るおすすめの時間帯として、夜のタイミングに食べると効果的だと言われています。その理由は、夜の時間帯にキムチを食べると、キムチの優れた成分のひとつである植物性の乳酸菌が、善玉菌として腸内で増える可能性が高くなるからだと言われています。つまり、夜の時間帯のタイミングにキムチを食べた後、寝ている間に腸内に植物性の乳酸菌がとどまるため、朝、目が覚めると腸内環境がよくなる可能性が高くなるというわけです。キムチを食べるタイミングや時間帯は、毎日、食べたいと思ったときがおすすめのタイミングであり時間帯であるといえそうです。

●辛子の効能、死亡リスクを下げるって本当?
唐辛子の効果は死亡リスクを下げる。中国発の論文だからといって、質が悪いなんて思う人はかなり時代遅れです。中国の研究者は積極的に海外の医学専門誌に投稿を行っていますし、海外留学で医学の研究を行っている人も日本人よりはるかに多いのです。
今回の論文はBMJ (British Medical Journal イギリスの医師会雑誌でかなりクオリティが高いものです)に掲載されていますので、それなりの評価を受けたものであることは間違いありません。
論文の内容、
  ○辛い料理を一週間に一回も食べない人より、2日程度は辛い料理を食べた人の方が死亡リスクが10%低下
  ○週に3回以上辛い辛い料理を食べる人は辛い料理を食べない人より14%死亡リスクが低下
  ○辛い香辛料は唐辛子がもっとも摂取されていた
  ○これらのデータは男女で差はなかった
  ○アルコールを飲まない方が辛いものと死亡リスクの低下は強く関連していた

つまり唐辛子系の辛い食事をアルコール抜きで週3回以上食べれば死亡リスクが低下するという話になりますよね。

唐辛子には目がなくて、鍋物はむろん、煮付け、漬物に至るまで唐辛子を大量にふりかけてしまう人も少なくない。唐辛子は、中南米および西インド諸島原産のナス科の植物であり、数千年前から食用として栽培されてきた。世界中に広めたのは、1493年に新大陸を発見したコロンブスである。現地で偶然に発見した唐辛子(先住民のインディオは痙攣(けいれん)や下痢の治療にも利用していた)をスペインに持ち帰ったのである。わが国に伝わったのは16世紀後半である。さて、この唐辛子に含まれるカプサイシンにはさまざまな効能がある。体温上昇ならびに発汗、脂肪の燃焼、胃粘膜の刺激による食欲増進、辛味によって塩分が少なくても薄味と感じさせない、などなどである。まず、カプサイシンは肝臓に蓄積されているグリコーゲンのグルコースへの分解を助ける。そして、このグルコースと遊離脂肪酸が燃焼することで体温の上昇や発汗をもたらすのである。
 また、カプサイシンによる脂肪の燃焼効果によって、腹部の脂肪が減少したとする報告がある。これはカプサイシンによって副腎が刺激され、アドレナリン(副腎から分泌されるホルモン)の分泌が高まった結果、脂肪組織で脂肪から遊離脂肪酸への分解が促進されたことによると考えられる。

七つの味に込められた力
うどんや蕎麦にひとふり、みそ汁にひとふり、牛丼にひとふり・・・
 食卓にさりげなく登場する「七味唐辛子」は、ぴりっとするアクセントを与え、食欲を増す香りが広がります。ところで、七味唐辛子に入っているものをご存知ですか?唐辛子をはじめ、陳皮(ちんぴ)、ケシの実、胡麻、山椒、麻の実、青じそ、青海苔、しょうが、菜種…これらのスパイスがバランスよく調合されています。お気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、七味唐辛子は必ずしも7つの香辛料からできているとは限りません。
 七味唐辛子は江戸時代に“からしや徳右衛門さん”が病気を治す薬(当時は漢方薬)を食事に取り入れることはできないかと考えたのがはじまりです。昔は、材料を個々に置いておき、お客さんのリクエストに応じて調合しながら、材料ひとつひとつを説明してくれるサービス特典付きで、自分だけのオリジナル七味唐辛子が出来上がるスタイルになっていました。
 江戸の薬研堀で生まれた七味唐辛子は関西にも広がり、関東では蕎麦(そば)に、関西ではうどんに合うように異なる調合で流行しました。蕎麦はうどんに比べつゆが濃い味なので、関東の七味唐辛子はより辛く、関西は辛味とともに香りも楽しんでいたようです。

  
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七味唐辛子に使われている食材にどんな効果があるかというと…
・唐辛子
辛味成分カプサイシンが胃液の分泌を促し、消化吸収を助け、食欲増進効果があります。また、血行促進作用もあるので、体を温め、肥満防止効果も期待できます。さらに、赤色はカロテンなので抗酸化作用もあります。
・陳皮
みかんの皮を乾燥させたもので、中国の香辛料のひとつ。みかんの皮には、毛細血管を強くするビタミンPが多く含まれています。動脈硬化予防にはうってつけの一品。
・ケシの実
アンパンの上によくかかっているのをよく見かけます。未熟な果実はアヘンやモルヒネの原料にもなるため、麻薬取締法で一般栽培は禁止されています。脂肪分を多く含み、カルシウムなどのミネラルも豊富です。精神安定や鎮痛効果が期待されます。
・胡麻
良質なたん白質を含み、ビタミン、ミネラル類も豊富な栄養品。話題になったセサミンは、抗酸化作用に優れ、動脈硬化予防や肝機能の改善にも効果があります。
・山椒
うなぎの蒲焼の薬味としてしばし登場する香辛料。辛み成分のサンショオールは、胃腸の働きを活発にしてくれ、食欲増進作用があります。
・麻の実
七味唐辛子の中で一番大きい粒が麻の実です。がんもどきやいなりずしに入っていることもあります。さわやかの香りとかすかな辛みにプチプチとした食感が特徴的。しかし、若い葉は大麻取締法によって一般の栽培は禁止されています。亜鉛が入っているので、皮膚炎の予防になります。
・しそ
ビタミン・ミネラルが多い香味野菜のひとつ。とくにカロテンが多く積極的にとりたい野菜です。香り成分のペリルアルデヒドは、抗酸化作用と防腐作用があります。
・のり
EPAを含むため、血流促進作用があります。
・しょうが
辛味成分のジンゲロールは血流を促進してくれるので、身体をあたためてくれる作用があります。抗菌作用があるので風邪予防に効果的です。また抗酸化作用もあるのでガン予防が期待されます。
・菜種
オレイン酸やリノレン酸という脂肪分が多く含まれています。この脂肪分は血中コレステロールの上昇が少なく、酸化しにくいため健康によい脂肪分とされています。
 ひとつひとつの食材のもつ効果が複数組み合わさって、食欲を増す香りとともに病気を予防してくれる魔法の粉なのです。といっても、少量ずつの摂取になると、全ての効果が得られるとは限りません。食材の組み合わせにもよりますが、代表的な組み合わせによる七味唐辛子の効果は、肥満予防・風邪予防、抗酸化作用が期待されます。
ただし、香辛料というのは料理の美味しさを引き立たせるものであって、あくまで多量に食べるものではありません。辛いものを食べ過ぎると味覚がマヒすることもあるので、脳が辛味を感じ、香りを認識できる程度にふりかけることが大切です。
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 七つの味に込められた健康を願う思いは現代まで受け継がれ、七味唐辛子は日本の代表的な香辛料になったのです。

■キムチで免疫力を高めよう
キムチに含まれている乳酸菌は生きて腸まで届き、腸内の善玉菌を増やします。 そして腸内の善玉菌が増えることで、腸の環境改善へとつながります。 また、腸には免疫をつかさどっている免疫細胞が集中しています。 そのため、免疫細胞の活動を活発にすることで免疫力を上げることができるのです。



韓国人に低い大腸がん
韓国を代表する伝統発酵食品・キムチ。整腸作用による便秘予防、さらに大腸がん予防効果が期待できるなど、韓国人の健康維持に大いなる助けとなっているという。キムチの栄養、機能性および抗がん効果について
釜山大学食品栄養学科・キムチ研究所当研究所ではキムチの機能性に対して多くの研究をしてきました。キムチは二一世紀の健康機能性食品として台頭してきています。これは緑汁(緑黄色野菜汁)ががんを予防して免疫を増強させ、老化を抑制し便秘を予防するなど多くの機能性を持つことに起因します。

しかもキムチはこの緑黄色野菜としての機能だけではない。乳酸菌数がヨーグルトと同等かそれ以上あります。それらの乳酸菌や有機酸・食物繊維などの働きで整腸作用を促し、便秘・大腸がんおよび高血圧・糖尿病などの予防に大いに作用します。キムチの整腸作用に関して私たちの行った研究では、「キムチの摂取によって人体に有益なキムチ乳酸菌の数が留意に増加し、逆に有害酵素などが減少する」という結果を得ました。韓国人のキムチ摂取と低い大腸がん発生頻度の関係を示唆する結果といえます。

また、キムチは血清コレステロールの量を減少させ動脈硬化を予防します。ビタミンC・βカロチン・クロロフィルなど抗酸化物質を多く含み、老化抑制・美容増進にも効果が期待されます。

そうしたキムチの材料を分解して見ていきましょう。

主材料は野菜。韓国で採れる大部分の野菜を使いますが、中でも最も多く食べられているのが白菜キムチです。そのほか、若大根・キュウリ・ネギ・高菜・ゴマの葉・桔梗・ニラ・ゴボウ・青唐辛子・ケール・海産物・カボチャなども使われています。キムチの主材料は、熱量が非常に低く、ビタミンおよびミネラルなど生理的調節作用を示す物質の含有量が多いのが特徴です。

副材料は、トウガラシ粉・ショウガ・ニンニク・塩辛および牡蛎(カキ)など。

それぞれ見ていくと、トウガラシの辛い成分であるカプサイシンは、胃液の分泌を促進させるだけでなく殺菌作用もあり、適当な量が使われるときは抗がん効果および免疫細胞の活性を増進させることが知られています。最近ではダイエット、持久力増進などの効果も分かってきました。ダイエット効果は、キムチに使用され適当に熟した時に、特に大きくなります。

ショウガに含まれるジンジャーロールは、血液循環によい効果があり、発汗作用と抗菌作用もあります。

ニンニクには強力な殺菌効果、活力増進および神経安定効果があります。またニンニク中のアリシンと硫黄物質にはがん予防および抗がん効果があることが報告されています。

塩辛は、魚介類の肉・骨・内臓・卵などを塩蔵し酵素により分解熟成させたもの。キムチによく使われるエビ塩辛はカルシウム含有量が多く低脂肪で淡泊な味が特徴です。しらす塩辛は熱量・脂肪分が高く、必須アミノ酸・カルシウムを多く含んでいます。

牡蛎は海の牛乳といわれるほど栄養価が高く、タンパク質・糖質・ビタミンB群の含有量に優れています。

キムチは副材料の添加によって機能強調が自由にできます。ビタミンC強化、食物繊維強化などで、「抗老化キムチ」「美容増進キムチ」、また抗がん活性が大きい物質を強化して「がん予防キムチ」などを開発することができるわけです。

キムチにはヘルシーフードとして大きな可能性があり、今後は世界的な食品に発展していくものと考えています。

余命3カ月のガンを克服!驚くべき「食の力」
食生活を変えたら余命3カ月のガンが消えた
31歳の時に余命3カ月のガンを宣告された私は、人生の最期を楽しみたいと、車椅子を使い飛行機でパリへと旅立ちました。印象派の画家、クロード・モネが愛した「ジヴェルニーの庭園」とモネの絵をもう一度見ておきたいと思ったからです。

奇跡のような出来事が起きたのは、モネの庭園を訪れた帰り道のことでした。抗ガン剤の副作用で口の中がカラカラに乾いていた私は、水の代わりにモンマルトルのマルシェ(市場)で購入した、大嫌いなトマトをかじるはめになったのです。しかし、その瞬間、砂漠のように乾いていた口内が唾液で潤い、味覚障害だったはずの舌が甘酸っぱさを感じました。このとき、生まれて初めて、食べることは生きることだと気づいたのでした。

この出来事がきっかけとなり、その後、フランスでフレンチを、中国で薬膳を学び、気づけば余命3カ月のガン告知を受けてから17年が経っていました。現在は鎌倉でオーガニック薬膳の料理教室を主宰しています。

人間の体はいろいろな部品でできていて、それを操作するのは食材の力です。体にいいものを食べていれば、どの部品も正常な働きをしてくれるため、めったに故障は起きません。

白湯を飲んで胃腸を目覚めさせよう
私の料理教室の生徒さんには、「朝にはまず、白湯を飲みましょう」と話しています。白湯とはいったん沸かしてから湯冷まししたもので、温度は60~80度が適温です。

冬は熱めにし、夏はぬるめにすると飲みやすいでしょう。ぬるま湯程度の人間の体温に近い温度の白湯は、ゆっくりと胃腸を目覚めさせ、全身の血流を促してくれます。そうして、朝の食べ物を受け入れる準備をするのです。

また、お肉などの動物性たんぱく質や脂質を取るときには、ほんの少しだけ工夫をします。酸化した脂質を体に残しておくとさまざまな病気の引き金になってしまうので、その日のうちに掃除しておくことが肝心です。

お肉を食べたときは、締めに生野菜のサラダをたくさん食べます。焼肉を食べるときには、まずキムチを食べます。乳酸発酵食品のキムチには、腸の働きをよくしてくれる働きがあるからです。特に、大根キムチのアミラーゼと白菜キムチのグルタミン酸をお腹に入れてからお肉を食べると、消化がぐっとよくなります。

焼肉をいただいたあとは、ヨーグルトと白湯を摂ります。お肉をいただいた夜は、白湯をたくさん飲んで寝ます。こうすると翌朝はスッキリと目覚めることができるのです。

体はそのときどきの調子に合わせて食材を欲しているものです。たとえば、紅茶のアールグレイの香りづけに使用されているベルガモット。今から500年以上も前、コロンブスがカナリア諸島で原木を発見し、スペインやイタリアに広めたといわれています。ベルガモットの香りは鎮静作用と高揚作用の両方をあわせ持ち、精神のバランスを取って安定させる働きがあります。

キムチ対ガン細胞
キムチの成分にはあらゆるガンに効く
強力な抗がん作用があることが判明
キムチは今やアメリカや、ヨーロッパでも自然食品、健康食として人気を集めている。
そのアメリカで、韓国の国立釜山大学の朴健栄教授(食品栄養学科)が、専門雑誌にキムチに関する論文を発表、この中でキムチに抗がん作用があることがガン細胞を使った実験で判明した事実を明らかにし、そのことがテレビでも報道されたいへんな評判になった。

熟成3週間が最高の効能乳酸菌が各種ガンに効く
この実験で使われたキムチは塩分濃度が3%、温度5度、各段階に熟成させた白菜キムチだった。
また発ガン性物質はがん細胞が突然変異でできるとされることから、人体の発ガンに
85%の相関関係を持つといわれる突然変異誘発実験系がもちいられた。
実験の結果、キムチの抽出物質に発ガン性物質による細胞の突然変異の誘発を抑える効果が見られたのである。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は突然変異性、抗がん性、病原体に対する免疫性を
高めることが分かっているが、キムチに大量に含まれている乳酸菌にも同様な効果があり、結腸がん、白血病の細胞に対する抗がん作用もあることが認められた。
もっとも抗がん効果の高いキムチの熟成度は、熟成3週間が最高で、あとは徐々に落ちていく。

薬味のトウガラシとニンニクにも強い抗がん効果
キムチに欠かせない刺激の強いトウガラシは胃がんなどを誘発すると疑われたこともあるが、この実験ではトウガラシの量に関係なく、突然変異の誘発性は認められず、
むしろ発ガン物質に対しては、細胞の突然変異を抑える効果があることがわかった。
またキムチ作りに大量に使われるニンニクだが、こちらの方はすでに抗がん効果のあることは知られている。
この実験でもキムチづくりに2%のニンニクを使った場合、発ガン性物質による突然変異の誘発を60%抑えることが分かり、ニンニクから取り出した有効成分、リノール酸の一種であるメチールリノレートが突然変異に対して強い働きを示すことも判明した。
この物質には大腸がん、胃がん、骨肉ガンの細胞の成長を抑える効果も認められた。
ニンニクのもう一つの有効成分であるアリシンにはネズミの腫瘍が大きくなるのを阻止する作用があることも判明した。
本格的なキムチにはイワシやアミ、カキなどの魚介類の塩辛がふんだんに使われるが、この実験では塩辛を使ったキムチとそうでないキムチとの差は見られなかったという。
人間の体にキムチが良いことは、この実験からも良く分かるが、キムチのそのものに抗がん効果が高いのは、あくまでも十分に発酵、熟成したキムチに限られる。
これらのキムチを利用した各種料理はすでに多いが、キムチそのものでなくても、キムチに使われているトウガラシやニンニクなどの薬味に抗がん作用があるので、キムチはやはり抗がん食品といえよう。

「キムチ」の優秀性が改めて確認された。韓国の白菜で漬けたキムチが日本の白菜で漬けたキムチに比べてはるかにおいしいだけでなく、抗がん効果も優れているという研究結果が出てきた。

釜山(プサン)大食品栄養学科のパク・ゴンヨン教授研究チームは韓国の代表的な全南(チョンナム)・海南(ヘナム)産の白菜、日本の代表的な茨城・愛知産の白菜を比較した「韓国および日本の白菜を利用したキムチの品質特性およびがん予防効果」という研究論文を26日に発表した。

この論文によると、韓国産の白菜で漬けた後4週間熟成させたキムチの弾力性は53.5%で、日本産(41.4%)を大きく上回った。また、熟成した韓国産白菜キムチの総菌数は日本産より少ないものの、酸味と炭酸の味を出す乳酸菌数は日本産より多く検出された。

特にAGS人体胃がん細胞を利用した実験では、6週間熟成させた韓国産白菜キムチのがん細胞成長抑制率が57-77%と測定されたが、同じ期間熟成させた日本産白菜キムチは40-60%にとどまった。HT-29人体結腸がん細胞を利用した実験でも、韓国産白菜キムチのがん細胞抑制率は62-73%、日本産は52-63%と、韓国産白菜キムチの優れた抗がん効果が立証された。

パク・ゴンヨン教授は「韓国産の白菜は日本産より水分が少ない半面、栄養分は多く含有しているため、こうした結果が出たようだ」とし「韓国がキムチ宗主国になるしかない理由を再確認した」と語った。

韓国料理は欧米に比べ大腸がん発症を60%下げる
野菜、魚、大豆などが多く含まれる韓国人の伝統的な食事が、大腸がんにかかるリスクを60%ほど低下させる研究結果が発表された。

 国立がんセンターがん疫学予防研究部のキム・ジョンソン博士チームが、大腸がん患者923人と一般人1846人を対象に、日頃の食事習慣と大腸がんの発症リスクの関連性を分析し、4日に発表した内容によると、韓国の伝統食や健康食を多く摂取した集団は、そうでない集団に比べ、大腸がんにかかるリスクが60%以上減少した。今回の研究では韓国の伝統食は野菜、ジャガイモのような根菜、キノコ、豆、魚や、味噌、醤油、コチュジャンなどの調味料が多く含まれている料理であり、健康食は果物や野菜、牛乳、乳製品が多い献立だ。これ比べ、欧米食は赤身肉や加工肉、炭水化物などが多く含まれる特徴を持つ。

 研究チームは、今回の研究で、参加者に普段食べる食材106を選ぶようにして、この食材を栄養源によって再び33の食品群に分類した後、食物の摂取の程度に応じて韓国伝統食、西欧食、健康食などに、食事の類型を区分した。その結果、韓国伝統食と健康食を多く摂取した上位33.3%は、少なく摂取した下位33.3%に比べ、大腸がんの発症リスクが60%以上も減少した。

 研究チームは、「大腸がんの発症リスクを高める西欧食には、簡単に食べられるハンバーガーやピザ、パンなど、高炭水化物類と加工肉のような特定の食品が多く含まれている。韓国伝統食と健康食が大腸がんの発症リスクを低下させる理由については、さらなる研究が必要だが、二つの類型共に大腸がんのリスクを下げることから、様々な食品群をまんべんなく食べることが大腸がんの予防に重要と思われる」と分析した。今回の研究結果は、国際学術誌の「医学」最新号に掲載された。

キムチの中のヤンニョム野菜が抗がん効果を高める
韓国農村振興庁は、キムジャン(キムチの漬け込み)の季節を迎え、世界の5大健康食品の一つとされるキムチに関する新しい研究結果として、キムチの材料であるニンニク、ショウガ、トウガラシ粉、ネギがキムチの発酵菌によって発酵され、抗がん効果を一層高めることがわかったと発表した。

農村振興庁の研究チームによると、キムチの主要発酵菌であるLeu.mesenteroidesを使用して、ニンニク、ショウガ、トウガラシ粉、ネギ(以下「ヤンニョム野菜」)をキムチの適熟状態(約pH4.2)で発酵させた後、胃がん細胞(MKN45)に添加したところ、発酵しなかった場合に比べ、約4~10%のがん細胞の成長抑制効果があったという。

キムチは韓国を代表する発酵食品であり、キムチに関する研究も活発に行われ、キムチの抗酸化効果や抗がん効果、老化防止などキムチの優秀性に関する多くの結果が発表されているが、キムチの主材料であるヤンニョム野菜に関する研究はあまり行われていなかった。キムチの優秀性はハクサイと様々な材料との相互作用に起因するため、農村振興庁の研究チームはキムチの中でヤンニョム野菜が発酵した時、抗がん効果にどのような影響を及ぼすのか研究・調査した。

抗がん剤として知られるCis-platinと生のヤンニョム野菜、発酵したヤンニョム野菜を胃がん細胞に添加してみたところ、Cis-platinは79%のがん細胞の成長抑制率を示した。また、ニンニクは発酵前の47%から発酵後は51%に、ショウガは29%から38%に、ネギは38%から48%に、トウガラシ粉は46%から56%へと、がん細胞の成長抑制率が高まり、ヤンニョム野菜がキムチの材料として発酵されると、抗がん効果がさらに高まることがわかった。

また農村振興庁は、他の研究で、白菜キムチの発酵期間によって、がん細胞の成長抑制効果が異なり、特に、適熟期(約pH4.2)の白菜キムチで最も高いがん細胞の成長抑制効果があることが明らかになり、従って、キムチを適熟期まで発酵させればキムチの材料が相互に作用して抗がん効果を最も高めることがわかった。

農村振興庁は、韓国を代表する健康発酵食品であるキムチに関する体系的かつ科学的な研究を今後も強化するとともに、キムチの優秀性を立証して世界に広く伝え、韓国におけるキムチ研究の中心となるよう取り組んでいく考えを明らかにした。 

韓国農村振興庁は、キムジャン(キムチの漬け込み)の季節を迎え、世界の5大健康食品の一つとされるキムチに関する新しい研究結果として、キムチの材料であるニンニク、ショウガ、トウガラシ粉、ネギがキムチの発酵菌によって発酵され、抗がん効果を一層高めることがわかったと発表した。

農村振興庁の研究チームによると、キムチの主要発酵菌であるLeu.mesenteroidesを使用して、ニンニク、ショウガ、トウガラシ粉、ネギ(以下「ヤンニョム野菜」)をキムチの適熟状態(約pH4.2)で発酵させた後、胃がん細胞(MKN45)に添加したところ、発酵しなかった場合に比べ、約4~10%のがん細胞の成長抑制効果があったという。

日本では、年間5万人近くが死亡している胃がん。一方韓国では国の予防医療が成功
日本人の胃がん発症率は欧米諸国の約5倍にものぼり、今も年間4万9千人の方々が命を落としています。
胃がんの原因の99%を占めているのはピロリ菌で、胃の中に存在する細菌です。これは日本人にも、欧米人の胃の中にも発生しますが、両者ではピロリ菌の特性が全然違うんです。
欧米人の胃の中にピロリ菌がいたとしても、起こす病気は十二指腸潰瘍が多いので、潰瘍になってから除菌しても遅くないんです。それに対して、日本人と韓国人の胃の中にピロリ菌がいる場合は、高い確率で胃がんを作るんです。

東南アジアも、胃がんが発生することはあるのですが、確率としては低いですね。残念ながら、ここまで胃がんの発生率が高いのは、日本と韓国に偏っている。
でも日本の中でも、発生率がものすごく低い場所があるんです。
沖縄です。下のグラフは胃がんの死亡者数を都道府県別に比べたものですが、ダントツで少ないでしょう。

  

かつては「沖縄は塩分摂取が少ないし、ストレスも感じにくいから…」なんて言われていたんですけど、違うんです。沖縄の方々の胃の中にいるピロリ菌は、胃がん発生の毒性が少ない、欧米型などのピロリ菌が多かったんです。

ピロリ菌は人の胃にしか感染しない細菌です。ですから、胃がんリスクの高い菌が多く感染している地域で感染した人は、胃がんリスクが高くなってしまうんです。

元をたどると、朝鮮半島を渡って日本に住み着いた人たちの胃の中にいるピロリ菌が、一番悪いんです。世界的に見ても、樺太あたりの東シベリアと、朝鮮半島、中国の東側、そして日本。そのあたりで胃がんの発生率が、ものすごく高い。
朝鮮半島からの移動とピロリ菌の分布は、ぴったりと合うんですよ。ですが、今はみんな飛行機で世界中を移動していますし、世界規模での交流、定住がある。そこで、どんどん混ざってきてしまっています。

「早く、日本人の胃の中にいるピロリ菌を全滅させてくれ!」「何をやってるんだ日本は!」と。あくまで冗談交じりでですがね。これだけ胃がん発生のリスクが高いピロリ菌感染を撲滅しないで何しているんだ、という彼らの思いは、話をする度に伝わってきます。

がん予防のために何か心がけていることはありますか? 
“笑う”と免疫力が上がるというお医者さんの話を聞いたことがあり、笑顔を
心がけています。実際に笑顔でいると、元気になり、免疫力アップの効果があると感じ
ています。
またがん予防のためには食生活が大切と考え、塩分を控えています。塩分を控えると、素材の味を感じや
すくなり、食の教育にとっても大事だと思います。

子宮がんの予防には
食生活から・・
・免疫力を高める食べ物が有効です。発酵食品(納豆、キムチ、チーズ、ヨーグルト等)が良いとされています。
活性酵素を取り除くベータカロチンを含む人参、抗酸化作用のあるトマト、ペプチドががん予防に有効と言われている大豆製品、辛味成分が有効な大根なども良い食品です。
・高カロリーな食事を改め、食物繊維を多くとる事も有効で、ゴボウやキャベツも良いとされます。

子宮頸がんの予防法として、ヒトパピローマウィルスの予防接種があります。(定期接種の対象は中学生となっています)
子宮体がんは、ホルモンのバランスが関係しているため、食事の工夫やストレスをためないことが大切です

がんは予防できるのです
①早寝早起き・・・充分な睡眠をとる ②野菜多く食べる ③たばこ吸わない ④お酒を飲まない
早寝早起きは何でいいの?
寝ると成長ホルモン出る午後10時から午前2時に一番多く出る
 からだをつくる
  *身体の成長
  *細胞の損傷を修復
  *疲労回復

野菜をたっぷりとること
塩からいもの・こげ・カビはひかえよう。
野菜  ――→  1日350グラム 

睡眠
「睡眠時間がスポーツのパフォーマンスにどう影響するか」という調査によると、毎日睡眠時間をしっかりとることによって反応課題に対する時間が短縮し、気分が改善しやる気がでたという結果がでたそうです。水泳選手では、自己ベストを更新。テニス選手は短距離ダッシュの成績が向上し、ショットの正確性が改善される結果がでました。また、バスケット選手ではスタートダッシュのスピードがどんどん速くなり試合への集中力は格段にアップ、フリースローもたくさん入るようになったとの記録がのこっています。錦織選手は「アスリートにとっては寝ることも仕事のひとつです」と体調管理に睡眠は欠かせな
いと話しています。
スポーツをがんばりたいあなた。あなたの睡眠時間は?
夜の時間、テレビやゲームなどをして過ごしている時間があるのなら、その時間を削って睡眠時間を多くとるだけで競技力をより伸ばせる可能性があります。
目覚めをうながし、午前中のエネルギーになる  ――→  朝ごはん

 

 

 

 



赤・紫色の野菜は強い抗酸化作用や殺菌作用を持つものが多い事が分かっています。 がん予防に効果的なリコピンやカロテノイドなど、強い抗酸化作用を持ち、がん予防や疲労回復に効果、長期的な健康効果も期待できます。
今回の健康塾は「赤い野菜のガン予防効果?」の謎解きです。

野菜や果物の色は、ファイトケミカルという機能性成分に由来しています。中でも赤色の野菜には、強い抗酸化作用や殺菌効果を持つものが多く存在します。トマトに多く含まれるリコピン、パプリカやにんじんに豊富なβ-カロテンは、美容やアンチエイジングに効果が期待される代表的なファイトケミカルと言えます。
季節を問わず手軽に手に入れられるトマトは、多種多様な健康効果を持つ緑黄色野菜です。西洋では「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、健康野菜の代名詞として親しまれています。
トマトの赤い色素成分でもあるリコピンはカロテノイドの一種です。β-カロテン以上の抗酸化作用があるとされ、がんや動脈硬化の予防に作用することが報告されています。また、ビタミンCが多く、ビタミンB群やビタミンEなど、抗酸化ビタミンも含まれているため、美容にも最適な野菜です。
ピーマンよりも豊富な抗酸化作用「パプリカ」、ピーマンと同様にとうがらし類の野菜ですが、独特の青臭さがなく、カラフルな見た目で料理に彩りを与えてくれるパプリカ。ピーマンよりもβ-カロテンやビタミンC・Eなど抗酸化作用をもつ成分が多く含まれているのが特徴です。

特に赤いパプリカは、カロテノイド系の色素成分であるカプサンチンを多く含み、がん予防や動脈硬化の予防に効果があるとされています。抗酸化ビタミンのビタミンCやEの働きも加わって、美肌効果や目の粘膜を保護する効用も期待できます。

辛み成分のカプサイシンを豊富に含むトウガラシは、香辛料として様々な料理に使用されるなど、広く親しまれている野菜の一つです。

カプサイシンは、胃液の分泌を促す効果があり消化促進や食欲増進に作用します。強い殺菌作用や抗菌作用を持つことでも知られ、風邪予防にも効果的とされています。また、カプサイシンには新陳代謝を活発にする働きがあり、ダイエットに有効な食材としても近年注目を浴びています。
甘酸っぱいジュースとしてお馴染みの果実・アセロラ。ビタミンCの含有量はレモンの約34倍と非常に豊富で、優れた美容効果を持っています。
アセロラの真っ赤な見た目はアントシアニンによる作用。抗酸化作用が豊富で、老化防止や動脈硬化の予防に効果的です。ビタミンCにも同様の働きがあるため、2つの成分の相乗効果により、美容効果が期待できます。

「とちおとめ」や「あまおう」など多くのブランドがあり、春を代表するフルーツとして人気のイチゴ。赤い色素で抗酸化作用をもつアントシアニンなどの有効成分を含んでいるため、様々な慢性疾患の予防に効果的であるとされています。また、活性酸素を軽減する効果があるため、老化予防や美肌効果も期待されます。

イチゴの成分で、もう一つ見逃せないのがビタミンCの豊富さです。真っ赤に熟しているほどビタミンCも多いとされており、ビタミンB群の一種である葉酸や食物繊維も多く含まれています。葉酸は血液循環系のリスク低減に役立つほか、最近では認知症予防にも効果があるとされています。


「がんにならない」ために心がける生活週間や食生活とは!?
  食べてはいけないもの、がんと感染症の関係性について。
国立がん研究センター2014年データによれば、日本人が生涯でがんになる確率は、男性で62%、女性で47%となっています(日本のがん統計は、罹患データは4~5年、死亡データは1~2年遅れて公表されます)。「病の皇帝」とも呼ばれるがんという病気と、その向き合い方について、
がんは基本的には遺伝子の変異によって生じる病気です。最近、発がんに関係する変異の多くは加齢によって生じるものであるということがわかってきました。細胞が分裂する前に、遺伝情報は複製されなければなりません。その時、低い割合ですが、遺伝子に変異が生じてしまいます。どの遺伝子に変異が生じるかはまったくの偶然ですが、年齢を重ねれば重ねるほど細胞分裂の回数は累積していくので、変異が起こる可能性もそれに伴い増えていくのです。細胞分裂を続けながら生きているヒトにとって、がんは避けることはできない宿命のようなものといえるかもしれません。では、変異ができるだけ起こらないようにする方法はないのでしょうか。

人生に運があるのと同じように、どんな病気にかかってしまうかも運に大きく左右されます。偶然の変異が原因であるがんも例外ではありません。しかし、運だから何も対処しなくてもいいわけではなく、避けることのできる病気については、正しい知識を持って判断することが重要です。

がんにならないために一番にすべきことは、がんになりやすい生活習慣をあらためることです。がんになりやすくなる生活習慣で最大のものは喫煙です。タバコには何種類もの発がん性物質が含まれていて、欧米では肺がんの90%はタバコが原因とされています。日本人では少し率が低いとされていますが、それでもかなりの影響です。タバコは肺がんだけではなく、口腔、食道、膵臓、膀胱のがんの発生率を上げることがわかっています。

さらにはアルコールを摂取しながらタバコを吸うと、口腔や食道のがんが増えることもわかっています。がんのみならず、動脈硬化や心筋梗塞、呼吸器疾患のリスクも高まるので喫煙の習慣はあらためた方がいいと仲野先生はいいます。「60歳になってから禁煙しても、肺がんリスクはある程度下がることが知られていますから、やめるのに遅すぎるということはありません」。

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老化防止には「赤」の野菜 美容にも効果的ってホント?【色でわかる栄養ガイド】

●医者いらずの健康野菜「トマト」
季節を問わず手軽に手に入れられるトマトは、多種多様な健康効果を持つ緑黄色野菜です。西洋では「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、健康野菜の代名詞として親しまれています。

トマトの赤い色素成分でもあるリコピンはカロテノイドの一種です。β-カロテン以上の抗酸化作用があるとされ、がんや動脈硬化の予防に作用することが報告されています。また、ビタミンCが多く、ビタミンB群やビタミンEなど、抗酸化ビタミンも含まれているため、美容にも最適な野菜です。

肉や魚など、様々な食材と相性の良いトマト。リコピンの抗酸化パワーを高めるためには、ビタミンEを含むごまや、落花生、アーモンドと組み合わせると効果的です。また、皮をむかずに摂取することで、不溶性食物繊維をより多く取り入れることができます。

●ピーマンよりも豊富な抗酸化作用「パプリカ」
ピーマンと同様にとうがらし類の野菜ですが、独特の青臭さがなく、カラフルな見た目で料理に彩りを与えてくれるパプリカ。ピーマンよりもβ-カロテンやビタミンC・Eなど抗酸化作用をもつ成分が多く含まれているのが特徴です。

特に赤いパプリカは、カロテノイド系の色素成分であるカプサンチンを多く含み、がん予防や動脈硬化の予防に効果があるとされています。抗酸化ビタミンのビタミンCやEの働きも加わって、美肌効果や目の粘膜を保護する効用も期待できます。

ビタミンEを多く含むオリーブオイルと一緒に摂ることで、ビタミンCの抗酸化作用が上昇します。また、β-カロテンの吸収率を高めるには、オリーブオイルでソテーにしたり、マリネにするのがおすすめです。

●風邪予防+肥満予防効果をもつ「トウガラシ」
辛み成分のカプサイシンを豊富に含むトウガラシは、香辛料として様々な料理に使用されるなど、広く親しまれている野菜の一つです。

カプサイシンは、胃液の分泌を促す効果があり消化促進や食欲増進に作用します。強い殺菌作用や抗菌作用を持つことでも知られ、風邪予防にも効果的とされています。また、カプサイシンには新陳代謝を活発にする働きがあり、ダイエットに有効な食材としても近年注目を浴びています。

トウガラシをおいしく食べるコツ、トウガラシの粒子が細かいほど、辛みが強く感じられます。弱火でさっと炒めてから、辛みと香りを出し、一旦取り出しておくのがコツです。

●美容成分の宝庫「アセロラ」
甘酸っぱいジュースとしてお馴染みの果実・アセロラ。ビタミンCの含有量はレモンの約34倍と非常に豊富で、優れた美容効果を持っています。

アセロラの真っ赤な見た目はアントシアニンによる作用。抗酸化作用が豊富で、老化防止や動脈硬化の予防に効果的です。ビタミンCにも同様の働きがあるため、2つの成分の相乗効果により、美容効果が期待できます。

ジュースとして摂取することの多いアセロラは、他の果物と刻んでフルーツポンチ風にすると、様々な栄養素を一緒に摂ることができます。

●実は健康にも良い「イチゴ」
「とちおとめ」や「あまおう」など多くのブランドがあり、春を代表するフルーツとして人気のイチゴ。赤い色素で抗酸化作用をもつアントシアニンなどの有効成分を含んでいるため、様々な慢性疾患の予防に効果的であるとされています。また、活性酸素を軽減する効果があるため、老化予防や美肌効果も期待されます。

イチゴの成分で、もう一つ見逃せないのがビタミンCの豊富さです。真っ赤に熟しているほどビタミンCも多いとされており、ビタミンB群の一種である葉酸や食物繊維も多く含まれています。葉酸は血液循環系のリスク低減に役立つほか、最近では認知症予防にも効果があるとされています。

豊富なビタミンCを摂取するためには、さっと水洗いして生食するのがおすすめです。同じくビタミンCの含有量が多いキウイと合わせて食べることで、より高い美肌効果が期待できます。
赤色の野菜は食卓を鮮やかにするだけでなく、動脈硬化の予防や美容効果など多くの効果が期待できます。他の色の野菜とバランスよく摂取することを心掛けて、栄養を余すことなくいただきましょう。疲れが溜まったときの疲労回復や、肌荒れなどした時には「赤」の野菜を選んで積極的に摂るようにしましょう。

がんになりやすい生活習慣・生活環境
◎ たばこを吸う。
◎ 自分はたばこを吸わないが、家庭、職場、飲食店・遊技場などで、他人のたばこの煙に、ほぼ毎日のようにさらされている。◎お酒を毎日 2合以上飲む。あるいは、週に14合以上飲む。
*日本酒:1合 ≒ビール:大瓶1本、焼酎や泡盛(25度)なら1合の2/3、ウィスキー・ブランデー:ダブル1杯、ワイン:ボトル1/3
◎ほとんど身体を動かさない(立っているか座っているか)
◎太り気味である(中高年BMI30以上)。やせ気味である(21未満)
○塩分の摂取量が多い。塩から、いくらなどの塩蔵食品を好む。
○野菜・果物をほとんど食べない。
◎牛・豚などの赤肉を週500g以上食べる。ハムやソーセージなどの加工肉を毎日のように食べる。
○熱い飲食物を好んでとる。
◎βーカロテン、ビタミンEなどの高用量のサプリメントを毎日摂る

記述の確実度 ◎:確実、○:ほぼ確実、*:日本人においてもエビデンスが示されている

注目の成分「フィトケミカル」とは?種類と機能、さらに効果的に摂るコツ
抗酸化作用や免疫力向上など、健康によい影響を与えるかもしれないと、その機能に注目が集まっている「フィトケミカル」(ファイトケミカル)。果物や野菜に含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素とはまた別の成分で、健康的な食生活を目指すには働きや効果的に摂るコツをぜひ知っておきたいところです。
「フィトケミカル」とは、野菜、果物、豆類、いも類、海藻などの植物に含まれる化学成分のことで、具体的には、植物が紫外線や有害物質、害虫などの害から身を守るために作り出した色素や香り、アク、辛味などの成分です。

数千種類以上あるフィトケミカルには抗酸化作用を持つものが多いことから、抗酸化作用による老化予防が期待できるほか、代謝の促進、免疫力向上、脳機能の強化などその種類によってさまざまな働きがあると言われています。
例えば「アントシアニン」「カテキン」「リコピン」など耳にしたことがある成分も、フィトケミカルに含まれます。

フィトケミカルの種類と代表例
フィトケミカルを大きく分類すると、ポリフェノール、含硫化合物、カロテノイド、テルペン類、多糖類の5種類に分けられます。では、それぞれの代表例や含まれる食品を見ていきましょう。

■ポリフェノール
植物が光合成を行うときにできる物質の総称です。植物の色素やアクの成分で、抗酸化作用があります。多くは水溶性で吸収されやすいです。

・アントシアニン(含まれる食品:赤ワイン、ブルーベリー、ナス、赤しそ)
赤や青、紫などの水溶性色素で、目の網膜にあり光を感じる働きを支えているロドプシンという色素成分の再合成を促す働きがあるといわれています。

・イソフラボン(含まれる食品:大豆、大豆製品など)
女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをし、骨粗鬆症の予防や更年期症状の緩和が期待されます。

・カテキン(含まれる食品:お茶、紅茶など)
茶葉に含まれている苦味や渋味の成分で、抗菌作用の他、血中コレステロールの低下や血圧の上昇を抑える働きが期待できます。

■含硫化合物
含硫化合物
刺激のある香りや辛みが特徴。抗酸化力があるとされ、血行、血流の改善作用や強い殺菌作用による食中毒の予防などが期待できます。

・スルフォラファン(含まれる食品:ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ)
抗がん作用が期待できるといわれています。

・イソチオシアネート(含まれる食品:大根、わさび、からし菜)
すりおろすなどして細胞が壊れたときに生成される辛味成分で、免疫力の強化や抗がん作用が期待できるといわれています。

・アリシン(含まれる食品:にんにく、玉ねぎ、ねぎ、にら)
切る、すりおろすなどして細胞が破壊される際に生成される香り成分。殺菌効果などが期待できるといわれています。

■カロテノイド
主に緑黄色野菜に含まれている黄色・橙色・赤色の色素成分の総称で、抗酸化作用があります。天然の脂溶性色素で、カロテン類、キサントフィル類に大きく分けられます。

カロテン類

・β-カロテン(含まれる食品:にんじん、かぼちゃ)
黄色または橙色の色素で、夜間の視力の維持や、皮膚や粘膜の健康を維持する働きが期待できます。

・リコピン(含まれる食品:トマト、スイカ、あんず)
赤い色素成分で、血流を改善する働きが期待できます。

キサントフィル類(含まれる食品:緑黄色野菜)

・ルテイン
黄色の色素成分で、目の健康をサポートする働きが期待できます。

・β-クリプトキサンチン(含まれる食品:温州みかん、ぽんかん)
黄色い色素成分で、高血圧や動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症などの予防効果が期待されています。

■多糖類
炭水化物の一種であり、海藻やきのこ、根菜類に多く含まれています。

・フコイダン(含まれる食品:海藻類)
海藻類のぬめり部分に含まれていて、抗がん作用や血圧を安定させる働きが期待されています。

・β-グルカン(含まれる食品:きのこ類)
免疫力の強化やコレステロール値の上昇を抑える働きが期待されています。

・イヌリン(含まれる食品:ごぼう、玉ねぎ)
血糖上昇の抑制や血液中の中性脂肪を下げる働きが期待されています。

■テルペン類
ハーブや柑橘類などの特有の香りと苦味成分です。抗酸化作用や免疫力強化などが特徴にあり、生活習慣病の予防や抗うつ作用などが期待できます。

・リモネン(含まれる食品:柑橘類)
リラックス効果があるといわれている香り成分で、交感神経を活性化させて血管を広げ、血流改善を助ける働きが期待されています。

・メントール(含まれる食品:ハッカ)
香り成分で、免疫力を高める働きが期待できるといわれています。

フィトケミカルを効果的に摂るための4つのコツ
最後に、「フィトケミカル」を効果的に摂るコツをご紹介しましょう。

1.野菜は皮ごと食べる
野菜の皮にもフィトケミカルが含まれているため、よく洗って皮ごと料理に使うのがオススメです。

2.カロテノイドは油と一緒に摂る
カロテノイドのβ-カロテンやリコピンなどは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収しやすくなるといわれています。

3. 含硫化合物はなるべく加熱せずに摂る
含硫化合物のアリシンやイソチオシアネート、スルフォラファンは熱に弱いため、これらを摂るなら加熱をせずに摂りましょう。ただし、アリシンを含むニンニクや玉ねぎなどの野菜は生で摂り過ぎると胃を荒らす原因になるため食べ過ぎには注意してください。

4.フィトケミカルは組み合わせて摂る
フィトケミカルは健康によい働きが期待できますが、それぞれが持つ働きが異なるため、単体で摂るよりも組み合わせて摂ることで健康へのより一層の影響が期待できます。いろいろな食品をバランスよく、しっかりと食べるようにしましょう。


がんと感染症の関係性
また、がんの原因となりうる感染症もわかっています。ピロリ菌による胃がん、B型・C型肝炎ウイルスによる肝臓がん、そして、ヒトパピローマウイルスによる子宮頸がんがそれです。幸いなことに、胃がんについてはピロリ菌の除菌が、子宮頸がんについてはワクチンが有効ですし、C型肝炎には特効薬が開発されています。感染症とがんとの関係について、仲野先生に教えてもらいました。

「まずは胃がんについてです。ピロリ菌が直接に胃がんをつくるのではなく、慢性の炎症を起こして胃の発がんを促進します。慢性炎症がおきると胃の粘膜の細胞分裂の回数が増え、それにより突然変異が起こる確率も高まり、発がんにつながるのです。ピロリ菌の有無の検査と除去については主治医とよく相談をしてください。

B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスは、名前は似ていますがまったく異なるタイプのウイルスです。発がんのメカニズムはどちらもピロリ菌とも同じように、慢性炎症を引き起こすことで肝臓の細胞の分裂回数を増やし、それにより変異の発生率を高めてしまうのです。C型肝炎には特効薬が開発されていますが、B型肝炎にはありません。日本人の肝臓がんの9割はウイルス性だとされています。

また、ヒトパピローマウイルスにはいろいろな種類があり、その中で凶悪なものが子宮頸がんを引き起こします。子宮頸がんワクチンは、その名前からがんに対するワクチンと思われていますが、ヒトパピローマウイルスの感染を防ぐワクチンです。このワクチンの子宮頸がん予防効果は確実ですが、副作用の問題があるともされています。任意接種のため、効果と副作用を考慮し、接種するかどうかは個人が決めるしかありません。」

わたしたちが気になるのは、なんといっても食事との関係です。「日本人に比較的少なかった大腸がんや乳がんが増えてきたのは、食事の欧米化、つまりは食物繊維が多かった日本人の食事が肉食になった影響が大きいのではないかとされています」と仲野先生は話します。

「食べ物ががんの発症に関係があることはおそらく間違いはないでしょう。けれど、あくまでも推計であって、何を食べたらダメで何を食べたら良いというようなことはわかっていません。魚の皮のコゲはがんになると言われていた時期がありました。確かに体に良くはないでしょうけれど、がんになるほどの大量のコゲを普通の人が食べることはまずないのです。加工肉がよくないと言われることもありますが、一切食べずに生活していくのは難しいし、どれだけ避ければ大腸がんになりにくいのかの目安もありません。日本では発がん性物質はかなり厳しく規制されていますから、普通に食卓に出てくるものを食べてがんになることはありません。極端に偏った食事にならないように、例えば肉ばかりではなく一緒に食物繊維を十分摂るように心がけましょう、ということくらいしか言いようはないのです。」

一方で、発がん性が高いものもわかってきており、最も高いといわれている天然物は、亜熱帯から熱帯にかけて生息するカビがつくり出すアフラトキシンです。このカビはピスタチオやピーナツに生えます。輸入の際には検査がされているので大丈夫なはずですが、万一カビの生えたピスタチオがあれば、食べずにおきましょう。

また、塩分の摂り過ぎは胃粘膜に、熱い食べ物は食道粘膜に損傷を与え、それぞれ胃がんと食道がんのリスクになると考えられています。粘膜が損傷をうけると粘膜の細胞が分裂して再生が生じ、細胞の分裂回数が増えると、どうしても変異がはいる確率が高まってしまいます。そして、それが蓄積して発がんのリスクにつながるのです。「何度も同じことをいいますが、発がんの基本は細胞分裂なのです」と仲野先生は強調します。

「がんにならないとか、がんが治るということを耳にすることはありますが、確実に予防できたり、ましてやがんを治癒できたりする食べ物については、残念ながら科学的根拠はまずありません。もちろん、ちゃんとした治療を行いながらそれらの食事を併用することには問題はありません。けれど、それだけに頼り切るのは完全に間違っています」

国立がん研究センターのホームページに、科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」が公開されています。その項目は以下の通りです。

科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」
  喫煙 → たばこは吸わない。他人のたばこの煙を避ける。
  飲酒 → 飲むなら節度のある飲酒をする。
  食事 → 食事は偏らずバランスよくとる。
  身体活動 → 日常生活を活動的に過ごす。
  体形 → 成人期での体重を適正な範囲に維持する(太りすぎない、やせすぎない)
  感染 → 肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合は適切な措置をとる。機会があればピロリ菌感染検査を。
いかがでしょうか。医学や科学が発達した現在でも、がんの予防のために最先端の研究者がエビデンスを持って言えるのは、このようなシンプルなことなのです。

「がんは多様です。もちろん臓器によってちがいますし、同じ臓器であってもどの遺伝子に変異が起こるかで性質が異なるので、治療法も異なります。どのような変異が生じるかは運なので、生活習慣で少しでもリスクを減らしておくしかありません。食について言えば本当にありきたりになりますが、『偏らずバランスよく食べましょう』です」

また、「大腸がんはポリープから進行することが多いので、その段階で発見すると内視鏡で切除が可能です。食の変化により日本人の大腸がんは増えてきていて、男性では11人に1人、女性では14人に1人が発症するとされています。この率を高いと思うかどうかは個人によって違うでしょうけれど、行きづらいとか恥ずかしいとか言っていないで、大腸の内視鏡検査は40歳を過ぎたら2年に1度は受けておくをおすすめします。昔より体への負担は少なく、眠っている間に済みます。もっと早く発見できていればとの後悔は悔やみきれないと思うので、わたしは定期的に受けていますよ。一昨年は最大5ミリ、4つもポリープが見つかって、ほんとに検査をうけて良かったと思いました」

多様な性質を持ち、体のどこで発現するのかわからないがんが相手だからこそ、リスクを回避するための備えは、基本をとりこぼさず日々の積み重ねでといったところでしょうか。喫煙、飲酒、食事、身体活動、体形、感染について、ご自身や家族の生活習慣を、この機会にぜひチェックしてみましょう。



がんを予防するには、免疫力を高めることが重要になります。免疫カががん細胞を攻撃し、抑えこむ働きをします。免疫力がダウンするとがん細胞を抑えきれなくなり、増殖してしまいます。
免疫カを高めたり、活性酸素を無害化するには、抗酸化物質をとりましょう。ビタミンA・C・Eは抗酸化作用が強く、がん予防に欠かせない栄養素です。これらはビタミンACE(工一ス)と呼ばれ、野菜や果物に多く含まれています。
・キャベツ
にんにくに次くがん予防効果があるといわれているキャベツには、イソチオシアネート(強いがん抑制効果)とペルオキシダーゼ(発がん物質を抑制)という酵素やビタミンC、ビタミンUが豊富に含まれています。肺がんや膀胱がんの予防に有効といわれています。ビタミンUは胃潰瘍を予防することで有名です。
・ブロッコリー
ブロッコリーに含まれているスルフォラファンは、イオウ化合物の一種で強力な抗がん作用があります。最近では、ブロッコリースプラウト(ブロッコリーの新芽)がスーパーなどに出回っていますが、これにはブロッコリーの20倍ものスルフォラファンが含まれています。他にも、カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、E、鉄、葉酸なども含まれています。
・カリフラワー
カリフラワーは100g中に81mgのビタミンCが含まれています。カリフラワーに含まれるビタミンCは加熱によって失われる量が少ないのでビタミンCの補給にはピッタリの野菜です。また、グルコシノレートという成分が肝臓の働きを高め、解毒作用を強化します。
・にんじん
にんじんはカロテンが豊富に含まれています。カロテンは体内でビタミンAに変化し、免疫カを高めます。強い抗酸化作用で肺がんや胃がんを予防する効果が高いとされています。にんじんの葉にもカロテン、ビタミン、カリウムなどの栄養素が豊富なので、できれば無農薬の葉つきのにんじんをおすすめします。
・大根
大根の辛み成分のイソチオシアネートというイオウ化合物は強力な抗酸化物質で、解毒作用を強めてがんを予防したり、血栓をつくりにくくります。大根にはジアスターゼ、オキシダーゼなどの消化酵素が含まれており、ジアスターゼは食べ過ぎによる胸やけや消化不良を、予防改善する働きがあり、オキシダーゼは魚の焦げた部分にできる発がん物質を解毒する働きがあるので、焼き魚を食べる時は一緒に大根おろしを食べるとよいでしょう。
・パセリ
パセリにはがん予防のビタミンACE(エース)が豊富に含まれています。パセリの香り成分はアピオールという精油成分で、胃液の分泌を促し、食欲を増進させて消化を助けます。また、鮮やかな緑色のもととなるクロロフィルには、血中のコレステロールの上昇を抑えたり、がんを予防する作用があります。
・にんにく
にんにくは、アメリカ国立がん研究所作成の「デザイナーフーズ・ピラミッド」で最上位に位置付けられているほど優秀な野菜です。にんにくの独特のにおいのもとは硫酸アリルで、病気や老化を招く活性酸素の害を抑制する強力な抗酸化作用があります。にんにくを切ったりすりおろすとアリシンがビタミンB1と結合してアリチアミンに変化し、クエン酸回路に働きかけてがんを予防します。また、にんにくに含まれるミネラルのセレンは、がん要因の一つとして考えられている過酸化脂質を分解する酵素となります。
・トマト
トマトにはリコピンというカロテノイドの一種が含まれています。リコピンの抗酸化作用はカロテンの数倍以上といわれています。がん予防のビタミンACE(エース)も含まれています。トマトを多くとる地域では、がんの発症が少ないという研究結果は世界中でたくさんの例が報告されています。
・にら
がん予防効果のあるビタミンACE(エース)が豊富です。血液の凝固を促して止血に作用するビタミンK、造血機能に関係する葉酸などが含まれていて血液のバランスをとります。カロテンは油と一緒にとると吸収率がアップします。
・ピーマン
ピーマンはがん予防効果の高い食品のトップクラスに位置づけられています。緑色のピーマンが一般的ですが、パプリカと呼ばれる赤と黄色のものも出回っています。赤ピーマンのビタミンCは緑色のピーマンの2~3倍あります。また、赤ピーマンの赤い色素はカプサイシンというカロテノイドです。βカロテンよりも強い抗酸化作用があります。

「食事でがんは予防できるのか」医師が示した最終結論
食事ががんに及ぼす影響
食べものでがんは防げるのでしょうか? むろん、そうした研究は世界中で続けられています。

例えば2007年に、世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究機構(AICR)が報告した「食物、栄養、身体活動とがん予防:世界的展望」があります。そのなかで食物、栄養と、がんのリスクとの関連についてエビデンスの強さを5段階(「確定的」、「ほぼ確実」、「証拠が限られ示唆的」、「相当の影響があるとは考え難い」、「証拠が得られ結論が出ない」)で評価しています。

それによると野菜は口腔・咽頭・喉頭・食道、胃のがんに対してはリスク低下が確定的で鼻咽腔、肺、結腸・直腸、卵巣、子宮体部などのがんにはリスク低下がほぼ確実とされています。ただし、膵臓すいぞう、胆嚢、肝臓、乳房、前立腺、腎臓、膀胱ぼうこうなどについてはその効果は触れられていません。

果物は口腔・咽頭・喉頭、食道、肺、胃のがんに対してはリスク低下が確定的で、鼻口腔、膵臓、肝臓、結腸・直腸のがんに対してはリスク低下がほぼ確実とされています。

牛乳は結腸・直腸がんでリスク低下が確定的とされ、膀胱がんでリスク低下がほぼ確実とされました。

一方で、アルコールは口腔・咽頭・喉頭、食道、乳房でがんリスク増加がほぼ確実(結腸・直腸は男性で確定的、女性でほぼ確実)、肝臓ではリスク増加が確定的とされています。
たいていのがんは一人前になるのに少なくとも10年以上はかかります。子どもの頃から野菜や果物を多めに摂るなど、リスクを下げることが確定的、もしくはほぼ確実な食生活や運動習慣を日々取り入れることが大切です。

だからといって、神経質になり過ぎてもいけません。私のようなお酒好きではないが“飲んだら飲める”体質の人にとっては、お酒を飲むと口腔・咽頭・喉頭、食道、乳房でがんリスクが増すと言われれば、なるほどお酒の量を少し控えたほうがよさそうだ、とは思います。しかし、これを食べたらがんリスクが低下すると言われても正直ピンときません。効果があるとはいえ、それがいかほどのものかと思わないでもありません。

私の知人でがんになるのは嫌だと言って、食べ物には最新の注意を払っている人がいました。やれ野菜がいいだの、カロテノイドがいいだの、トマトはリコピンが多いのでがんを予防するだの騒いでいましたが、50代で肺がんが見つかりあっさり亡くなりました。そうした苦い経験があるせいかもしれません。

「罪滅ぼし」は逆効果
後になって、ヘビースモーカーが野菜や果物に含まれるβカロチンを摂ると、逆に肺がんが増えるという研究結果が報告されました。日々の食べ物ががん予防に大切なのはよくわかります。そのための研究が進められているのも理解しています。しかし、がんになりやすい要因は「食べ物」以外にもさまざまなものがあります。

私は、リスク増が確定的あるいはほぼ確実な食べ物は避けたほうがよいと感じていますが、好きな食べ物を我慢してイライラするのも身体によくないと思うのです。ストレス解消のためにせめて食べ物くらいは好きなものを食べてもいいのではないでしょうか。

ただ気をつけていただきたいのは先述のように、例えばヘビースモーカーや大酒家、まったく運動をしない怠け者が、罪滅ぼしにβカロチンを多く摂ったりウコンを過剰に摂取したり極端な断食を行うといったことが、往々にして発がんを促進したり、逆に肝機能異常を起こしたり、体調を崩すことにつながったりするものです。悪いことやよくないことはまず避けて行わないことが肝要というのが私の意見であり外来患者にもそのように指導しています。
「魚の焦げを食べるとがんになる」は本当なのか
魚の焦げを食べるとがんになるという通説がありますが、どこから出てきたのでしょうか? 今ほどがんの研究が進んでいなかった頃には、がんになるメカニズムについてはさまざまな考え方がありました。遺伝による先天的な迷芽説と素因説、それに後天的な刺激説です。

刺激説を唱える学者は、それを証明する一番手っ取り早い方法として発がん性が疑われる物質を使って人工的にがんを作れば、がんのメカニズムは証明されたも同然だと考えて研究にしのぎを削りました。

そんな中、世界で初めて発がん実験に成功したのは日本人です。1915年、東京帝国大学教授の山極勝三郎博士が当時学生だった市川厚一氏を助手に、ウサギの耳にコールタールを660日間にわたり塗り続け、皮膚がんを発生させました。

これで刺激説が証明されたと喜んだ山極博士でしたが、海外から高い評価を得たものの、国内ではその成果に対して正当な評価は得られず、疑問の声が続出。「癌か贋かはた頑か」などと批判されたそうです。というのもタールの中のどの物質が発がん物質であるか明らかにできなかったからです。

確かに実験では発がん性を示したが…
日本ではその後も発がん実験が続けられ、1932年には佐々木研究所の佐々木隆興博士、東大医学部病理の教授であった吉田富三博士がアゾ色素を使ってラットに人工肝臓がんを作りました。

その後、国立がんセンター名誉総長の杉村隆博士が世界で初めてラットに人工的に胃がんを発生させることに成功。さらに杉村博士は魚の焦げた部分から発がん物質を固定、その発がん物質からできたがんは遺伝子変異を起こしていたことを証明しました。

杉村博士が固定したのは魚や肉などのおこげに含まれるヘテロサイクリックアミンと呼ばれる物質でした。タンパク質やアミノ酸を高温で焼くときに生じ、体内に入って代謝されると発がん性を示しました。

ただし、これは実験での話です。一般の人が普通の食事をしていて「魚や肉などのおこげを食べるとがんになる」というのは正しくありません。なぜなら、ラットに与えた量は人間に換算すると毎日毎日、茶碗数杯分のおこげを年単位で食べ続けた場合であって、自然な状態ではないからです。つまり、おこげががんを誘引する可能性はあっても、普通に生活していておこげを食べてガンになることは現実的には考えられないのです。

食生活を変えたら余命3カ月のガンが消えた
31歳の時に余命3カ月のガンを宣告された私は、人生の最期を楽しみたいと、車椅子を使い飛行機でパリへと旅立ちました。印象派の画家、クロード・モネが愛した「ジヴェルニーの庭園」とモネの絵をもう一度見ておきたいと思ったからです。

奇跡のような出来事が起きたのは、モネの庭園を訪れた帰り道のことでした。抗ガン剤の副作用で口の中がカラカラに乾いていた私は、水の代わりにモンマルトルのマルシェ(市場)で購入した、大嫌いなトマトをかじるはめになったのです。しかし、その瞬間、砂漠のように乾いていた口内が唾液で潤い、味覚障害だったはずの舌が甘酸っぱさを感じました。このとき、生まれて初めて、食べることは生きることだと気づいたのでした。

この出来事がきっかけとなり、その後、フランスでフレンチを、中国で薬膳を学び、気づけば余命3カ月のガン告知を受けてから17年が経っていました。現在は鎌倉でオーガニック薬膳の料理教室を主宰しています。

著書『余命3カ月のガンを克服した私が食べたもの』では、ガンを克服した私の日ごろの食生活、健やかな体を手に入れるための方法を紹介しています。そこでここでは、忙しい毎日を送る皆さんが、手軽にすぐに使える3つの工夫をお伝えしたいと思います。
旬の食材を取り入れて体調改善を
たとえば、風が舞うように吹く春と秋にはアレルギーが出やすくなります。代表的なのは花粉症でしょう。花粉症になると、1日中、鼻づまりがして頭が重たく感じられるものです。つらい症状を緩和するために、春のレシピとして私が考案したのが「金柑とうどの鶏肉ミンチがけ」。金柑の酸味で唾液の分泌を促し、うどのさわやかな香りと食感の料理で偏頭痛が改善され、花粉症が軽くなっていきます。「清見オレンジとトラ豆のルイボスティー」もおすすめです。清見オレンジとトラ豆を乾煎りしたところにルイボスティーを加えてお茶にします。

また、昔から「春は芽吹きのもの、山菜ものを食べるといい」といわれています。苦味のある野菜には、冬の間にたまった毒素を出す働きがあります。山菜を入手するのが難しい場合は、かいわれ大根やブロッコリースプラウトなど芽吹きのものを意識して取るといいでしょう。

気温の上昇とともに体温が高くなる夏は、トマトやきゅうり、ピーマン、なす、オクラといった季節の生野菜をバリバリとそのまま食べるのがおすすめです。生野菜を食べることで体の中からクールダウンできれば余分なエネルギーを使わずにすみ、結果的に体調を維持することができます。

秋は夏の疲れが出やすい時期です。そういうときは、気を緩める穀物の作用を使います。キヌア、アマランサス、ヒエ、アワといった小さい雑穀をごはんに混ぜて炊きます。毎日のごはんで小さな雑穀を食べることで自然に栄養を取り、体をいたわることができます。

冬は血になる食材を食べて、消化吸収や循環、排泄を促すことが大切です。中国の漢方では、血を増やすには赤い色の食材を食べることをすすめています。クコの実、紫キャベツ、紫いも、干し柿、ラズベリーなどが赤い食材の仲間です。肉類では牛もも肉や鹿肉などの赤身、魚はまぐろ、かつお、ぶりなど血合いのあるものが当てはまります。

白湯を飲んで胃腸を目覚めさせよう
私の料理教室の生徒さんには、「朝にはまず、白湯を飲みましょう」と話しています。白湯とはいったん沸かしてから湯冷まししたもので、温度は60~80度が適温です。

冬は熱めにし、夏はぬるめにすると飲みやすいでしょう。ぬるま湯程度の人間の体温に近い温度の白湯は、ゆっくりと胃腸を目覚めさせ、全身の血流を促してくれます。そうして、朝の食べ物を受け入れる準備をするのです。

また、お肉などの動物性たんぱく質や脂質を取るときには、ほんの少しだけ工夫をします。酸化した脂質を体に残しておくとさまざまな病気の引き金になってしまうので、その日のうちに掃除しておくことが肝心です。

お肉を食べたときは、締めに生野菜のサラダをたくさん食べます。焼肉を食べるときには、まずキムチを食べます。乳酸発酵食品のキムチには、腸の働きをよくしてくれる働きがあるからです。特に、大根キムチのアミラーゼと白菜キムチのグルタミン酸をお腹に入れてからお肉を食べると、消化がぐっとよくなります。

焼肉をいただいたあとは、ヨーグルトと白湯を摂ります。お肉をいただいた夜は、白湯をたくさん飲んで寝ます。こうすると翌朝はスッキリと目覚めることができるのです。

そのため、アールグレイの紅茶が飲みたい気分のときは、潜在意識の中にストレスや怒りといった感情を抱えている可能性があります。そうした状態のときには、下痢、便秘、食欲不振、過食など神経系の胃腸トラブルを発生しがちです。これらの症状の緩和にはベルガモットの香りが適しています。

それから、肝機能が弱っている人は甘味が欲しくなるものです。甘味イコール砂糖と思いがちですが、私は普段から砂糖は使いません。糖質はいろいろな食材に含まれているので、意識しなくても十分に取れているからです。甘味が欲しいときには果物やハチミツで代用しています。

食材を活用することでつらい症状をやわらげることもできます。たとえば、セロリです。セロリは、安土桃山時代に豊臣秀吉が朝鮮に出兵したおり、日本に運ばれてきたという説があるほど古くからある野菜です。当時は「オランダみつば」と呼ばれていましたが、独特の香りや味が受け入れられず、一時は忘れられていました。

日本人に受け入れられるようになったのは、カレー、シチューなど洋風料理の香りづけとして広まったからです。セロリの茎には体の熱を取り、頭に上った気をおろす働きがあります。私自身、つい最近、40度の高熱が出たのですが、生のセロリをたくさん摂ることで熱を下げることができました。

また、頭痛やストレスから生じる血圧上昇には、セロリの独特の香りが効果的です。さらに、不安や緊張をやわらげる働きもあります。自分の体の声に耳を傾けて、日々の食生活にほんの少し気を配るだけで、心身ともに万全の状態で仕事にのぞむことができます。 毎日の食事と生活に取り入れていただければうれしいです。

●●ガンを飢えさせる食事法
社会が最も恐れる ガンをはじめとする 様々な病気を 克服するのに 役立つものです その革命は血管新生と呼ばれ 体が血管が増やす仕組みに 基づいています 血管に重点を置くのは 

人体には文字通り 血管が詰まっているからです その長さは平均的な成人で 約10万km 一直線につなげると 地球を2周する長さです 一番細い血管は毛細血管で 体内には190億もの 毛細血管があります 毛細血管は生きる上で 欠かせないものですが これからご覧いただくように 死の脈管にもなります 血管の驚くべき点は それが入り込む いかなる環境にも 順応することです 肝臓では血液を 解毒するための流路を作りだし 肺では肺胞を取り巻き ガス交換をします 筋肉では 血液の 循環を妨げずに 筋肉が収縮できるよう らせん状です 神経内では電線のように 並行して走っています 血管のほとんどは 胎児の時に作られます と言うのも 大人になると 稀な状況を除いて 血管は通常 作られることはありません 女性では 毎月血管が伸びて 子宮内膜をつくります 妊娠すると 胎盤を形成し 母親と胎児をつなぎます 怪我をすると 血管は 傷を治すために かさぶたの下で 作られています こんな感じです 何百もの血管が 傷の中心に向かって伸びています どんな時でも体は 存在する血管の数を 調節する能力があります 血管新生の刺激物質や 阻害物質を分泌して 絶妙な調節を行います 体が血管の増加を 必要とするとき 刺激物質を分泌し 血管を増やします 。

血管新生因子という タンパク質が 自然の栄養物質として働き 新しい血管が萌芽するのを促進します 余分な血管が 必要ではなくなると 体は血管新生の 阻害物質を分泌して 基準状態まで切り戻します 基準以下から 基準値に戻すため 血管を増やす必要が ある場合もあります 例えば怪我をした後です 体は血管を増やすことは できますが あらかじめ設定された 基準までです しかし現在わかっているのは いくつかの病気では このシステムに不具合があり 適切な場所と時に 余分な血管を切り戻したり 新しい血管を 増やす事ができません このような状況下では 血管新生は不均衡な状態です 血管新生が不均衡だと 数々の病気が現れます 血管新生が不十分 つまり血管が足りないと 創傷治癒の遷延や 心臓発作 

下肢の血行不良や 脳卒中による死 神経損傷が起こります 反対に血管新生が 過剰な場合 血管が多すぎても 病気になります 例えば ガンや失明 関節炎 肥満 アルツハイマー病が挙げられます 全て合わせると 70以上の主要な病気で 世界中で10億人以上の人たちを 苦しめています 外見上 それぞれは 別の病気に見えますが 全ての病気に共通して 見られるのは 血管新生の異常です この認識は 血管新生を制御することで これらの病気を 治療できることを 示唆しています ここで ガンに焦点をあてます 血管新生が すべてのガンに見られる 特徴だからです では始めましょう 濃いグレーの不気味な固まりは 脳腫瘍です 顕微鏡で見ると 何百もの毛細血管が 酸素と栄養分を ガン細胞に運んでいるのが わかります しかし ガンが発生する時には 違います ガンが発生する時には 血液の供給はありません 非常に小さな 細胞巣として発生し 大きさにして 0.5立方ミリメートルにしかなりません ボールペンのペン先ほどです 血液の供給がないので 

十分な酸素や栄養分がなく 大きくなれません 実際 我々の体内では このようなガンが常に 作られています 自動車事故で亡くなった人の 解剖研究では 40~50歳の女性の約4割に 微小の乳ガンがあったことが 示されています 50~60代の男性の 約半数には 微小の前立腺ガンがあり 事実上 我々誰もが 70代になるまでには 甲状腺に微小のガンが できるのです しかし 血液の供給がなければ このようなガンの大半が 悪性になることはありません 血管新生研究の 先駆的権威である 我が師 フォークマン博士は これを 「病気ではないガン」 と 呼んでいました 血管新生の釣り合いを 保つ体の働きは 正常に働いていれば ガンを成長させる血管を 防ぐのです これはガンに対する 

一番重要な 防衛機制であることが 判明しました 血管新生を遮断して ガン細胞に血管が 届かないようにすれば 腫瘍は大きくなれません しかし 血管新生が 始まってしまうと ガン細胞は急激に 大きくなります このようにガン細胞は 致命的になっていきます ガン細胞は突然変異を起こし 自然の栄養物質である 血管新生因子をたくさん放出し 栄養補給のための 血管を作ろうとします この血管ができてしまうと ガン細胞は大きくなり 周囲の組織に浸潤することができます 腫瘍を栄養する 同じ血管が ガン細胞が血液循環中に脱出するのを許し 転移させます 残念ながら ガン患者が ガンと診断されるのは 

この遅いステージに来たときが ほとんどで 血管新生は既に活発化して ガン細胞の増殖には 歯止めがかかりません ですから血管新生が 良性腫瘍と悪性腫瘍を 分け隔てる境目となるならば 血管新生革命の重要な要素の一つは 血液供給を遮ることで ガン治療を行う新しい方法です これは血管新生抑制療法と 呼ばれる治療法で 化学療法とは まったく異なります ガンを栄養する  血管のみを狙った 治療なのです それが可能なのも 腫瘍を栄養する血管は 健康な血管とは違うからです 腫瘍の血管は異常で 構造が脆弱なため 狙いを定めて治療をすると 効果があります 実際のガン患者に 血管新生抑制治療として 神経膠腫に対する試験薬を 投与しました 血管が遮られると 劇的な変化が 起きる事がわかります この女性は乳ガンで 血管新生抑制剤である アバスチンで治療中です FDAで認可されている薬です ガンを進行させていた血流が 治療後になくなっているのが わかります 血管新生抑制治療は この2種類のガンの両方に 

効果を発揮しました 数年前 私が自問したのは これを一歩進めて 他の動物のガン治療にも 使えるかどうかでした 9歳のボクサー犬 マイロです 肩に非常に悪性度の高い 悪性神経線維腫が できています 肺に転移して 獣医の診断は 余命3か月でした 我々は血管新生抑制薬の 混合物を ドッグフードに入れて 食べさせ 腫瘍に塗るための 血管新生抑制クリームも 作りました 数週間もしないうちに ガンの進行が 弱まったことが確認され 獣医が予想していた余命を 6倍に延ばすことができました 充実した生活を おくりながらです その後 治療した犬は 600頭以上 奏効率は約60%で 安楽死になるところだった― ペットの寿命を延ばしました もっと興味深い例を 何例かお見せします フロリダにいる 20歳のイルカです 口の中にできた傷が 3年の間に 浸潤性扁平上皮ガンになりました そこで我々は 血管新生抑制ペーストを作り 週に3回ガンに塗りました 

7か月の間に ガンは完全に消え 生検は正常との報告でした これは唇にガンができた― ギネスという名の馬です 血管肉腫という 致命的なガンです 既にリンパ節に 転移していたため 血管新生抑制剤の スキンクリームを唇に塗り 内服薬も使用して 内と外から治療しました 6か月の治療の末 ガンは完全寛解しました これはその6年後 ギネスと幸せな飼い主の姿です (拍手) 明らかに 血管新生抑制療法は 様々なガンに効きます 人間や犬用の 先駆的治療は 既に利用できるように なっています 11種類のガンに 12種類の薬があります しかし実際問題として 臨床での効果が気になります 

これはガン患者の 生存データで 8種類のガンが 対象になっています この棒線が示す生存時間は 化学療法や 手術や 放射線治療しか 治療法がなかった頃のものです しかし2004年に 血管新生抑制治療が 初めて登場して以来 生存期間は 70~100%も向上しました 腎臓ガンや 多発性骨髄腫や 大腸ガン 消化管間質腫瘍の患者から 得られた数値です 素晴らしいことですが 他の腫瘍やガンでは 向上率はそれほどでは なかったため なぜもっと良い 成績ではないのかと 問い続けてきました 私には答えは明らかです 

ガンの治療開始時期が  遅すぎて 転移していることが 多いのです 私は医師なので ガンが末期まで 進んでしまうと 不可能でないとしても ガンの克服は困難な可能性があります ですから私は血管新生の生物学に戻って 考察し始めました ガン細胞の作戦を 逆手にとって 血管新生を阻止し その増殖を食い止めることが ガンの解決策になるのか ということです これは健康な人々や 

今までにガンを克服し 再発することを防ぎたいと 

思っている人の 助けになります ガンにおける血管新生を 妨げる方法を見つけるべく 私はガンの原因に 着目しました 興味を持ったのは 食べ物がガンを誘発する 環境要因の 30~35%を占めていたことです ここで明確なのは 食事から取り除けるものを 検討することです しかし私はまったく 逆の方法を取り 食生活に加えられるものを 考えました もともと血管新生抑制の 作用があり 体の防御システムを高めて ガン細胞を増やす 血管をやっつけるものです つまりガンを飢えさせるものを 食べることができるかです (笑) 答えはイエスです その方法をご覧いただきましょう この研究のために 市場や農場や香辛料に 目を向けました 我々が発見したのは 自然がたくさんの 血管新生阻害物質を 食品 飲み物 香草に 持っていることでした 我々は試験システムを 開発しました 中央の輪から放射線状に 

血管が広がっています このシステムを利用して 食べることで達成できる濃度の 食品因子を検査するのです 赤ぶどうのエキスを 入れたときに 起きたことを お見せします 有効成分はレスべラトロール 赤ワインにも含まれていて 異常な血管新生を 6割も抑えます 苺のエキスを加えると 血管新生は 強く抑制されます そして 大豆のエキス これは我々が研究したいと 思っている― 血管新生抑制食品と飲み物のリストで 項目は増えています それぞれの食品は 系統や品種により 効力が異なります これを測定する理由は 苺を食べたり お茶を飲んだりする際には 抗ガン作用が 一番高い種類を 選びたいからです 我々は4種のお茶で 実験しました よく飲まれている種類です ジャスミン茶 煎茶 アールグレイ  我々がつくったブレンド茶 お茶の効能が異なるのは 一目瞭然ですね 

面白いことに 効能が低かった2種類のお茶を 混ぜてブレンド茶にすると それぞれ単独のときより 効能が増しました 食品の相乗効果です 我々の試験からの データですが 実験室で腫瘍の 血管新生を再現し 黒線で示しました 抗ガン剤の効果を 調べることができます 線が短いほど 血管新生が少なく 好ましいことを意味します この一般的な薬は ヒトのガン発症リスクを 減らすことが分かりました スタチンや 非ステロイド性抗炎症薬や その他数種の薬は 血管新生を阻害します そのような薬と同様な 効果をもつ食事因子がこれです はっきり効果が見てとれます 

場合によっては 実際の薬より強力です 大豆 パセリ にんにく ぶどう ベリー類 このような食品を使って 美味しい料理を作れますね 我々が世界初の 血管新生を抑制する 抗ガン作用に基づく食品評価の 格付けシステムを作ることを ご想像ください 我々は現在 その実現に 向けているところです 研究データは これくらいにしましょう ガンにおける血管新生を 食い止める特定の食品を 食べている人から どんな裏付けがとれるか 重要な疑問です 私が知る 一番良い例は 7万9千人の男性を 20年間 追跡研究した例です 調理したトマトを1週間に 数回食べた男性は 前立腺ガン発生率が 最大半分に抑えられていました トマトにはリコピンが 豊富に含まれていて リコピンは血管新生抑制物質です この研究のもっと興味深い点は 前立腺ガンを発症した男性でも トマトソースを より多く食べていた人では ガンを栄養する血管が 少なかったのです 人間におけるこの研究は 食品に含まれる血管新生抑制物質が 現実的に消費された場合 いかにガンに対して インパクトを出せるかの 素晴らしい例です 

現在 我々は UCSFのオーニッシュ氏と タフツ大学と共同で 健康的な食事が 血中の血管新生マーカーに どのような影響をもたらすのか 研究中です 私がお見せしたのは 明らかにガン研究を越えた 幅広い意味をもっています 我々が正しければ 消費者教育や 食品サービス 公衆衛生 そして保険会社にさえ 影響をもたらせます 実際に一部の保険会社は このような方向で 検討し始めています この保険会社の広告を 見てください 世界中の多くの方にとって 

抗ガン食事療法は 現実的な唯一の解決策かもしれません 末期ガン治療は 高額だからです しかし地元でできる 地球に優しい― 血管新生を抑制する農作物でつくる健康的な食事は 誰もが恩恵を受けられます 最後になりますが 食品の話や ガンに関して 話してきましたが もう一つ 付け加えなくては いけません 肥満についてです 脂肪組織は 血管新生に 大きく左右されることが わかったからです 腫瘍と同じで 血管が増えると脂肪は大きくなります では 血液供給を止めることで 脂肪組織を 縮小できるでしょうか 上の線は 遺伝的肥満マウスの体重です テニスボールのように太るまで 食べ続けるマウスです (笑) 下の線は 普通のマウスの体重です 肥満マウスに 血管新生の阻害物質を与えると 体重減少しますが 治療を止めると体重は戻り 再開すると 体重減少し 治療を止めると また体重増加します 血管新生を抑制するだけで 体重は上下するため ガン予防の目的に 使っているこの方法は 肥満に対しても 応用できるかもしれません 

このうえなく興味をさそうのは 肥満マウスの体重を 平均的なマウスの体重以下に 落とす事はできないことです スーパーモデル並みの マウスは作れません (笑) これは血管新生が 健康的基準値を調節する 役目を持つということです セントジェルジは かつて言いました “発見とは誰もが 見たことを見て 誰も考えなかったことを考え 生まれる” ガンや肥満や他の病気では それらの共通項である 血管新生を攻撃することに 大きな威力のある可能性を ご理解いただけたでしょうか これこそ世界に今 必要なものです ありがとう (拍手) (コーエン) 質問があります このような薬は現在ガン治療の 主流であるとは言えません ガン患者の方には 何を勧めますか このような治療を勧めますか (リー) 米食品医薬品局が 承認している 血管新生抑制治療が いくつかあります ガン患者である場合や ガン患者に携わる方である場合は ぜひ検討すべきです 治験もたくさん 行われています 約300社が100種類ほどの 生物製剤を 

開発中であることを 我々は把握しています ですから承認された薬を考慮し 治験にもご注目ください 医者まかせにせず 自分でできることを 考えるのも大切です これは私が話をしている テーマの一つで 医師が施すことが できないものを 自分たちでできるようにする ということです 知識を使い 行動を起こすのです 大自然が我々にヒントを 与えてくれているなら 我々が口にするものの価値に 新しい未来があるかもしれません 我々の食事は一日3回の 化学療法です (コーエン) そうおっしゃる ということは ガン発病のリスクを 抱える人たちに ガンを予防する 治療を勧めますか 

それともトマトソースを 多く摂るなど 正しい食事を心がけるだけで いいですか (リー) 疫学的証拠は 十分にあります 情報化時代にいるのですから 国立医学図書館の データベースのように 確かな情報源は すぐに見つけられます 食事や一般薬に基づく ガンのリスク軽減のための 疫学研究の情報を探せます これは誰でも 調べられることです (コーエン) ありがとうございました.

がんにならないために!守るべき「がん予防12か条」
1条) たばこは吸わない
たばこは肺がんだけでなく、胃・膵臓・子宮頚がんなどのリスクを上昇させ、心疾患や脳卒中などの原因にもなります。吸っている人はまず禁煙にチャレンジしましょう。

2条) 他人のたばこの煙をできるだけ避ける
たばこは吸っている本人だけでなく、周囲の人の健康にも悪影響をもたらすので配慮が必要です。最近では分煙がだいぶ進んできましたが、吸わない人もたばこの煙をできるだけ避ける事が大切です。

3条) お酒はほどほどに
飲酒は食道・肝臓・大腸がんをはじめとした多くのがんのリスクを上げますが、適量なら心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げることが知られています。

お酒はアルコール量に換算して1日23g程度を心がけるこ(※2)と。多く飲んだ日があったら翌日は飲まないようにし、週に2日はお酒を飲まない休肝日を設けて肝臓を労わることも忘れずに。

【お酒の種類別に見るアルコール量23g】
●日本酒なら1合(180ml)
●ビールなら大瓶1本(630ml)
●焼酎や泡盛なら1合の2/3(120ml)
●ウイスキーやブランデーならダブル1杯(60ml)
●ワインならボトル1/3程度(240ml)

4条) バランスのとれた食生活を
主菜・副菜・主食が揃った彩り豊かな献立は、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂ることができます。偏食することなく、さまざまな食品を食べるよう心がけましょう。

【食べ過ぎるとリスクを上げる可能性があるものとは】
牛肉・豚肉・ヒツジ肉などに含まれる動物性脂肪、輸入ナッツ・穀類に混入することがあるアフラトキシン、ハム・ソーセージなどの加工肉に含まれるニトロソ化合物が挙げられます。

特にハムやソーセージなどの加工肉について、国際がん研究機関(IARC)は毎日50g以上食べると大腸がんのリスクが高まると発表しています。平成27年度国民健康栄養調査によると、日本人の平均摂取量は1日平均12.4g。(※4)普通に食べる程度なら気にせずとも大丈夫ですが、食べ過ぎている場合は、食生活を見直す必要があります。

5条) 塩辛い食品は控えめに
減塩によって、日本人に一番多い胃がんを予防することができます。1日あたりの食塩摂取量として男性は8g未満、女性は7g未満が目標です。(※5)だしを効かせたり、かんきつ類やハーブ・スパイスの風味を利用したりして減塩を心がけましょう。
塩辛や練りウニのような塩分の多い食品が好きな人は、週1度くらいに抑えましょう。

6条) 野菜や果物は不足にならないように
世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)の研究で、野菜や果物の摂取が口腔・食道・胃がんのリスクを低下させる可能性が高いことがわかっています。野菜や果物の目安は、1日に合計400g以上を食べること。野菜小鉢を5皿(5SV)、果物は1皿(1SV)を目安に意識してみましょう。

7条) 適度に運動する
家事や仕事を含め、1日の身体活動量の多い人ほど、がんだけでなく心疾患や糖尿病のリスクも低くなります。離れたコンビニエンスストアやスーパーに行く、目的地から離れた駐車場を使うなど、普段からカラダを動かすことが健康につながります。1日合計1時間くらいの運動が、続けやすくほどよい運動量です。

8条) 適切な体重維持
日本人の場合、欧米人よりも肥満によるがんへの影響は少ないとされています。
しかし、糖尿病や脂質異常症などの原因となるので、太り過ぎは改善したいもの。
また、痩せによる栄養不足も免疫力を低下させ、感染症を引き起こしたり、血管の壁がもろくなって脳出血を起こしたりするので注意が必要です。

中高年期男性(40歳以上)のBMI(体重kg/身長m×身長m)で21~27、中高年期女性(40歳以上)では21~25の範囲内になるように体重をコントロールしましょう。

9条) ウイルスや細菌の感染予防と治療
がんを引き起こす細菌やウイルスがあります。特に、肝炎ウイルスやピロリ菌については地域の医療機関で一度は検査を受けてみることをおすすめします。

【がんの原因となるウイルスや菌】
肝炎ウイルス:B型・C型肝炎ウイルスに感染している人は肝臓がんに罹患しやすいとされています。
ヒトパピローマウイルス:ほとんどの女性が感染しているウイルス。1/100~1/1000の確率で子宮頚がんが発生します。
ピロリ菌:胃がんの発生因子のひとつとされていて、中高年の感染率が高いことが分かっています。

10条) 定期的ながん検診を
がんの自覚症状は進行してからのことが多く、早期で症状が出ることはあまりありません。がん検診は、症状のない早期がん・前がん状態のうちにがんを発見するのに有効です。1年~2年に一度はがん検診でカラダの状態をチェックするのがベスト。

11条) 身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
やせる・顔色が悪い・貧血がある・下血やおりものがある・咳が続く・食欲がない、などの体調の変化に気がついたら、医療機関での受診をおすすめします。

12条) 正しいがん情報でがんを知ることから
がんに効くとされる健康食品などが出回っています。根拠の乏しい方法を鵜呑みにせず、正しい情報をとり入れましょう。もし、疑問を感じたら、かかりつけ医などの専門家に相談することも重要です。

自分のカラダは自分で守ることが大切です。「毎日すること」「毎日食べること」を見直し、ストレスのない範囲で出来ることから改善し、がんになりにくいカラダを目指しましょう。 


  

ふきのとうは、「若返りのビタミン」とも呼ばれ老化防止に働くビタミンE、骨や歯を形成するのに役立つカルシウムやビタミンK、マグネシウム、貧血予防・改善に働く鉄や葉酸、さらに余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つカリウムなど、さまざまな効果が期待できます。

ふきのとうは栄養の宝庫
   ビタミンA、B、C、E、カリウム、食物繊維、マグネシウム、リン、亜鉛
デトックス効果 便秘予防 がん予防 アンチエイジングの効果があります。
苦み成分はポリフェノール
ふきのとうの苦味は、抗酸化作用があるポリフェノールのケンフェロール、フキノール酸、アルカロイドです。
脂肪燃焼 免疫力アップ 肝機能強化 花粉症を抑える効果があります。

  

「ペタシン」は従来のがん治療薬の3800倍以上の抗がん作用を持ち、健康な細胞にはほとんど副作用を示さないという。
フキノトウ苦み成分「ペタシン」がん抑制 増殖・転移を阻害
岐阜大大学院の創薬研究グループは、日本原産植物のフキノトウに多く含まれる成分ペタシンががん細胞の増殖と転移を抑制することを発見した。増殖、転移を阻害する既存の化合物と比べ1700倍以上の効果があり、正常な組織への副作用を抑えつつ、抗がん効果を発揮することも立証した。この発見により、副作用の少ない新たな抗がん剤の開発が期待される。
ペタシンはフキノトウ特有の苦みの成分の一つ。
同グループはヒトのがん細胞や、マウスに投与する実験を行い、既存の阻害剤フェンホルミンと比べ、1700倍以上の阻害や、増殖を妨げる効果があることを確認。乳がんや胃がんなどほぼ全てのがんに非常に強い抗がんの働きを示した。臨床医を悩ませてきたがんの転移を妨げる効果があることも分かったのです。