ご高齢者の睡眠を妨げる原因の解決方法とは | lolopapa 81歳のブログ フィリピン移住で健康余生の願い

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年齢を重ねると若い頃のようには眠れなくなってきます。眠れないことで生活リズムが崩れて、いろいろな問題が起こってきます。高齢者は若い人に比べて、夜中に目が覚める中途覚醒や、朝早く目が覚める早朝覚醒といった人が多くいます。生活習慣を見直しましょう。
睡眠にかかわる3つのしくみ、人は、脳とカラダに休養を与えるために眠ります。睡眠には3つのしくみがかかわっており、そのしくみのひとつに体内時計が関係しています。目覚めている間に脳に疲れがたまり、脳の活動が低下して眠くなるもので、覚醒していた時間に依存するしくみといえます。例えば、徹夜をすると、長時間覚醒時に疲れがたまり、次の晩はぐっすりと長時間眠れるのはこのしくみのためです。
体内時計により、夜になるとカラダと心を休息の状態に切り替えて、自然に眠くなります。この“カラダと心を夜の休息の状態に切り替える”ために重要なのが、メラトニンというホルモンです。メラトニンは、夜暗くなると脳から分泌され、体内時計に働きかけ、カラダと心を夜の休息の状態に切り替えます。例えば、前日に十分寝ても、次の日の夜になると眠くなるのはこのしくみのためです。
目覚めている必要があるときに、脳の活動状態を保つしくみです。このしくみの調節にはオレキシンという覚醒物質がかかわっており、日中は多く分泌され、覚醒状態が維持されます。夜になるとオレキシンの分泌量が少なくなり、覚醒状態を維持できなくなるため眠くなります。

ラトニンとは?
メラトニンは脳の松果体と呼ばれる部分から分泌されるホルモンです。
体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

朝、光を浴びると、脳にある体内時計の針が進み、体内時計がリセットされて活動状態に導かれます。また、体内時計からの信号で、メラトニンの分泌が止まります。メラトニンは目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌されます。 徐々にメラトニンの分泌が高まり、その作用で深部体温が低下して、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。
このメラトニンは眠りを誘うほかに、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促したり、疲れを取ってくれるために、病気の予防や老化防止にさまざまな効果を持つと考えられており、注目されているホルモンのひとつです。
メラトニンの分泌は主に光によって調節されています。夜中に強い照明の中にいると体内時計の働きが乱れてメラトニンの分泌が抑えられます。これが睡眠覚醒リズムが乱れる原因となります。

加齢とともに減少するメラトニン
メラトニンは、年齢を重ねるとともに分泌量が減ることが明らかになっています。年をとると朝早く目覚めたり、夜中に何度も目が覚めたり、若い頃より睡眠時間が減ってくるのは、加齢により体内時計の調節機能が弱まっているためと考えられています。

なぜ起こる? 「体内時計の乱れ」
現代の日本では、「体内時計の乱れ」の原因である夜間のメラトニンの分泌低下を引き起こす環境が数多く存在します。

1. 夜間の光環境の変化
高度成長化した日本では、夜通しまぶしいほどの光がこうこうと輝き、夜間でも明るい照明の中にさらされる時間が多くなっています。テレビではいつでも鮮やかな映像を見ることができ、パソコンやスマートフォンの画面を眠る直前まで使用すること、また、LEDの普及などにより光の刺激を受けています。本来眠る時間に強い光の刺激を受けると、眠りをうながすホルモンであるメラトニンが分泌されにくくなり、体内時計が乱れて、寝つきが悪くなったり、日中の不都合な時間帯に眠気が襲ってくるようになるのです。
2. 24時間社会
近年日本では昼も夜もなく社会が動き続ける「24時間社会」となっており、大人からこどもまで人々の生活は夜型化し、就寝時刻が遅くなり、それによって睡眠時間も短縮しています。夜ふかしや暴飲暴食など、不規則な生活から体内時計が乱れて不眠の症状を訴える人も増えています。
3. 高齢化社会
急速な高齢化が進む日本。60歳代以降、不眠を訴える割合が高くなり、80歳代では3人に1人が不眠を訴えています。その背景には、加齢とともに眠りをうながすホルモンであるメラトニン分泌量が減るということが挙げられます。また、仕事を離れる等日常生活で体を動かす機会が減少したり、長く昼寝をするなど昼夜のメリハリがなくなる方も多いため、そのような体内時計が乱れやすい生活スタイルが不眠を引き起こしている場合も多いのです。


我々は人生の3分の1を睡眠時間に割いているといわれています。仮に1日8時間程度の睡眠を80歳過ぎまで継続した場合、その累積時間は約242,000時間にもなるそうです。なぜ我々人間は睡眠にそれほどの時間を割くのでしょうか。それは「身体の休息」に加えて、「記憶の整理」「体内の修復」などが睡眠中に行われているからなのです。
 さて、人はどのようにして眠くなるのでしょうか?
 睡眠は生物の進化過程で変化してきました。海中生物時代では、夜と昼のリズムが規則正しく繰り返す環境に適応するため、陸上生物時代では、太陽の光を頼りに日中は活動する、夜は眠るというリズムを刻み進化してきました。現在我々は、1日周期でリズムを刻む「概日リズム=体内時計」の習得によって、意識せずに日中は活動状態、夜間は休息状態に切り替わります。その体内時計をリセットする因子として、光、食事、温度、メラトニン分泌が関わっており、これらの刺激によって眠気が発生するタイミングが変化するのです。また、活動によって疲れたため、眠気が生じることもあるでしょう。

 人間は進化の過程で身体機能調整と情報処理のため脳を発達させてきましたが、仕事や運動などで脳が疲弊してくると、その機能は徐々に低下してきます。そこで眠ることによって脳を休ませて機能の維持を行い、体の状態を維持するよう努めています。その他、脳内には「オレキシン」という神経伝達物質があり、これが覚醒と睡眠をコントロールしています。オレキシンが分泌されると覚醒状態となり、一方で分泌が低下すると眠気が生じてきます。このようにオレキシンの分泌量で、覚醒と睡眠の状態をコントロールしているのです。

 睡眠は生物の進化過程で変化してきました。海中生物時代では、夜と昼のリズムが規則正しく繰り返す環境に適応するため、陸上生物時代では、太陽の光を頼りに日中は活動する、夜は眠るというリズムを刻み進化してきました。現在我々は、1日周期でリズムを刻む「概日リズム=体内時計」の習得によって、意識せずに日中は活動状態、夜間は休息状態に切り替わります。その体内時計をリセットする因子として、光、食事、温度、メラトニン分泌が関わっており、これらの刺激によって眠気が発生するタイミングが変化するのです。また、活動によって疲れたため、眠気が生じることもあるでしょう。

 人間は進化の過程で身体機能調整と情報処理のため脳を発達させてきましたが、仕事や運動などで脳が疲弊してくると、その機能は徐々に低下してきます。そこで眠ることによって脳を休ませて機能の維持を行い、体の状態を維持するよう努めています。その他、脳内には「オレキシン」という神経伝達物質があり、これが覚醒と睡眠をコントロールしています。オレキシンが分泌されると覚醒状態となり、一方で分泌が低下すると眠気が生じてきます。このようにオレキシンの分泌量で、覚醒と睡眠の状態をコントロールしているのです。

眠らずに済むというのなら、楽しめることがたくさんあるのは間違いないでしょうが、睡眠は私たちの体が必要とする生物学的な衝動なので、その欲求に抗うのは簡単ではありません。
眠らないということは、はやく死ぬことを意味します。飢え死にするよりもはやいんです。

人が眠りに費やす時間を平均すると、25年もの歳月に相当します。しかし、なぜ私たちは眠るのかという疑問には誰も化学的に回答してくれていません。

脳の視床下部の底に位置する小さな領域、小さな房や細胞がタイマーの様な働きをする視交さ上核は私たちに眠るように促します。

光を感じると、起床ホルモンであるコルチゾールの分泌が行われ、暗くなると分泌される睡眠ホルモン、メラトニンが押さえられるますが、暗くなると、逆のことが起こります。

眠りの2段階は、まず、脳内でアデノシンの混合が構築されることから始まります。アデノシンは神経細胞やその他の細胞がエネルギーを蓄えるために使う主要分子、アデノシン三リンを燃焼する時の副産物です。研究によると、脳内のアデノシンが余分に蓄積されると眠たくなるのだとか。

カフェインについて述べる前にアデノシンについて言いましたが、カフェインはアデノシンのような受容体と結びつき、体の疲労を感じさせないように働きかけますが、寝ようとするときにアデノシンが神経細胞により徐々に再吸収されますので、起きた時に、良く休めたと感じれるのです。
つまり、脳が眠れと言う時には眠れば良いのです。とは言え、最大の疑問が残されています。なぜ私たちは眠りというものに縛られているのでしょうか。

人が眠りに費やす時間を平均すると、25年もの歳月に相当します。しかし、なぜ私たちは眠るのかという疑問には誰も化学的に回答してくれていません。

脳の視床下部の底に位置する小さな領域、小さな房や細胞がタイマーの様な働きをする視交さ上核は私たちに眠るように促します。
光を感じると、起床ホルモンであるコルチゾールの分泌が行われ、暗くなると分泌される睡眠ホルモン、メラトニンが押さえられるますが、暗くなると、逆のことが起こります。
眠りの2段階は、まず、脳内でアデノシンの混合が構築されることから始まります。アデノシンは神経細胞やその他の細胞がエネルギーを蓄えるために使う主要分子、アデノシン三リンを燃焼する時の副産物です。研究によると、脳内のアデノシンが余分に蓄積されると眠たくなるのだとか。
カフェインについて述べる前にアデノシンについて言いましたが、カフェインはアデノシンのような受容体と結びつき、体の疲労を感じさせないように働きかけますが、寝ようとするときにアデノシンが神経細胞により徐々に再吸収されますので、起きた時に、良く休めたと感じれるのです。
つまり、脳が眠れと言う時には眠れば良いのです。とは言え、最大の疑問が残されています。なぜ私たちは眠りというものに縛られているのでしょうか。

睡眠というのは、結局のところ、筋肉組織やたんぱく質を合成する細胞や体を修復する組織を成長させるためであったり、ホルモンを成長させたり放出させたりするためのものであったりするわけですが、すべて意識しないままに行われているのです。
なぜ私たちの細胞は私たちが長椅子に座って”ミルウォーキーの主婦たち”を見ている間に眠りにつこうとするのでしょうか。それは、脳が体が感じる以上に眠りを欲しているからに他なりません。
新たに報告された調査によると、眠りは脳を活性化させ、再構築させる働きがあるのだとか。
この説は脳の柔軟性を示しています。私たちは日々見たり、聞いたりする様々なことをすべて覚えておきたいと願うでしょうが、それは脳にとって必要なことでは無いのです。
脳の柔軟説によると、睡眠というものは、脳が一日に起きた新たな出来事の記憶を集めたり、記憶したり、繰り返したりするために必要不可欠なもので、眠っている間の8時間かそこらをかけてその作業を行うのだとか。

食べる物で違いが出る 自律神経を整える「幸せホルモン」
セロトニンを体内で生成する栄養素は、必須アミノ酸のトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物の三つだ。
 トリプトファンは、牛乳・ヨーグルト・チーズなど乳製品や大豆製品に含まれている。ビタミンB6が豊富なのは、さつまいも。イワシからは、トリプトファンとビタミンB6の両方を摂取できる。炭水化物の代表選手は白米です。



これらの栄養素を十分にとることに加え、セロトニンの分泌には、「走る」「歩く」など一定のリズムを刻む運動や、コミュニケーションをとって他者との関わりを持つ「グルーミング」、午前6時半~8時半の朝日を浴びることが良い効果をもたらすという。
 摂取したい栄養素としてはほかに、血管を修復する働きがあるオメガ3脂肪酸がある。くるみ、えごま油、亜麻仁油に含まれている。
トリプトファン セロトニンは脳をリラックスさせる「睡眠ホルモン」です。 そのセロトニンを合成するトリプトファンを多く含む食材には、魚介類・鶏肉・卵・大豆製品(豆腐・納豆など)・ごまなどがあります。 これらを使った食事をとることでセロトニンが生成され、睡眠を促し、睡眠の質をあげることが期待できます。

 反対に注意が必要な食べ物もある。
 自律神経を乱す原因になるのがカフェイン。砂糖の多い「甘い物」は、内臓を弱める。内臓の調子が悪い人は水分不足の人が多い。1日1.5~2リットルは必要。
 自律神経を整えることは、さまざまな病気の予防にもなる。これまで述べた五つのポイントをいろいろと組み合わせて正しい生活習慣をつくることが体をよくしていくことにつながる。

高齢者が睡眠の質を改善する方法をご紹介します。
ご高齢者の不眠を改善する方法とは?薬に頼らないで快眠する!
しっかりと睡眠がとれず、不眠が続くことによって、日中の活動量の低下を招き、外出の機会が減ったり、引きこもりの原因になる場合があります。
そうして活動量が減ってしまうと、身体機能が低下しやすくなり、転倒事故や物忘れの進行といったリスクが増大してしまいます。
不眠の原因をしっかり理解して、対策をとっていきましょう。

健康な睡眠を守る知恵
では、高齢者が健康な睡眠を守り“快眠ライフ”を送るためには、どのような工夫が必要なのか。井上先生にいくつかポイントを挙げていただきました(表)。
① 8時間睡眠にはこだわらない
1日8時間の睡眠が必要と考えている高齢者が多いようですが、実際に日本人の睡眠時間は平均約7時間、高齢者では6時間程度です。適切な睡眠時間には個人差があり、季節によっても変動します。したがって、何時間という数字にこだわらないことが大切です。
② 眠くなってから床に就く
眠くないのに無理に眠ろうとする、それがストレスになり、かえって眠れなくなります。眠くなるのを待って、寝床に入るようにします。
③ 起きる時間を一定にする
寝不足気味のことがあっても、起きるのは毎朝、同じ時間にします。三度の食事も決めた時間にとるようにして、規則正しい生活習慣を身につけましょう。
④ 昼間はしっかり活動性を上げる
朝は日光を取り入れ体内時計を調節します。そして、昼間の活動性を高め、散歩や運動などで太陽の光を十分浴びるようにします。 井上先生は「高齢者の中でも、アクティブな生活を送っている人は、概して睡眠障害になりにくいことが分かっています。家に閉じ込もらず、できるだけ外に出て、活発に活動することが、健康な睡眠を守る知恵」と話しています。

精神的な理由
ストレスや疲労による精神疲労も不眠の原因のひとつとされます。
入眠困難(なかなか寝付けない)・中間覚醒(何度も途中で目が覚める)・早期覚醒(早くに目が覚める)の症状は精神的な影響を多く受けているとされます。
ただの不眠と思っていても自律神経の乱れ、うつ病などの精神疾患に伴う症状であったことも少なくありません。うつ病をもつ人の9割近くが眠れない不眠症状を訴え、睡眠によって休養感を得られないことが代表的な原因の一つであることもわかっています。

ぐっすり眠る為の対処法とは 心地よい眠りのために
「眠り」を義務に感じない
適切な睡眠時間は個人によって差があります。日中眠気で困らない程度であれば自然な睡眠が十分とれているといえるでしょう。
一度横になったとしても、眠気を感じない・目が冴えていると感じるときは一度ベットや布団から出てみましょう。我慢して横になったまま過ごすと不眠の悪化・熟睡感を感じにくいなど眠れない現象が見られることがわかっています。
睡眠リズムを改善するためには、前日の睡眠時間等にかかわらず、なるべく活動的に過ごすことが効果的です。日中眠気を我慢できないとき、集中力を保つことができないときは10~15分程度の仮眠をとりましょう。脳の疲労をとり、作業効率を上げることに役立ちます。
疲れているから長時間寝入ってしまうのではないか?と心配な方は、スマホなどでアラームをかけておくとよいでしょう。

太陽の光をたっぷり浴びる
人間には体内時計が備わっており、網膜から伝わる光の情報をもとに調整されます。
朝の強い光は体内時計を早め、夜の光は体内時計を遅らせる作用を持っています。
寝起きに光を浴びてから約14時間後以降に眠気が生じてくるとされており、このリズムを意識的に作るには一度早朝に太陽の光を浴びることをお勧めします。遮光カーテンなどを使っている場合は、カーテンを開け、自然の光を部屋に取り入れられるようにしましょう。
朝早くに光を浴びると、眠気が生じる時間も早くなります。早く寝るためには早く起きる習慣をつけると、体内時計が調整され自然な睡眠リズムを作り出すことができるでしょう。

自分なりのストレス解消法をつくる
非日常を味わえる旅行などをはじめ、ちょっとおいしいものを食べる、カフェに行く、映画やDVDなどで思いっきり笑ったり泣いたり、など日常の些細なことでもよいのです。自分の感情を開放できるストレス解消法をいくつか見つけてみましょう。
中でも運動を生活に取り入れることは、心地よい眠りのリズムにつなげることができます。軽く汗ばむくらいの強度で構いません。短時間で追い込むよりも、無理なく続けられる程度の有酸素運動を続けることが効果の出る近道です。

人生のおよそ3分の1を占める「睡眠」。健やかな毎日のために睡眠がいかに大切かは、誰もが分かっていることでしょう。にもかかわらず、“眠れない”悩みを抱える人は増え続け、今や睡眠障害は国民病ともいわれるほど。「全国11の総合病院で新患の方を対象に調査を行った結果、5人に1人が睡眠について何らかの悩みを抱えていることがわかりました。これは決して少なくない数字です」と宮澤先生はおっしゃいます。また、精神科医の立場から、患者さんの睡眠の悩みを直接聞く機会が多いという先生は、「眠れない現代社会」の実態をよりリアルに感じているそうです。

睡眠障害の中で、代表的なものといえば不眠症です。不眠といっても人によって症状はさまざま。不眠症のタイプについて伺うと「大きく分けると、寝つきが悪くなる「入眠障害」、熟眠できなくなる「熟眠障害」、途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、朝早く目が覚める「早朝覚醒」の4タイプ」とのことで、

「日本人に多いのは入眠障害で、約60%がこのタイプ。次に多いのが中途覚醒の約27%で、近年このタイプが増えています。ちなみに、症状があれば不眠症というわけではなく、日中の苦痛や集中力低下など、日常生活に影響がでてからはじめて、不眠症の診断を下します」。

高齢者の不眠は何が原因?
不眠症が増え続けるなかでも、ひときわ多いのが高齢者の不眠です。「不眠は加齢とともに増える傾向があり、特に女性は不眠症が多いですね。中高年女性に限ると2人に1人が睡眠の悩みを抱えているというデータもあるくらいです」とのこと。

「高齢者の不眠の原因といえば、まず挙げられるのが日中の活動量の低下ですが、それだけが問題ではありません。年齢を重ねれば、高血圧、糖尿病といった生活習慣病をはじめ、さまざま基礎疾患を合併するようになり、それが不眠につながるといわれています。また、精神疾患との関わりも強く、認知症、うつ病などの方も睡眠障害が認められやすいです。」

そして、要因はさまざまでも「高齢者の不眠は共通の特徴がある」そうです。それは「眠れないことへの不安、焦りが非常に強いこと」

「お年を召されるにつれ、睡眠時間が短くなっていくのはごく自然なこと。でも、若いときのように眠れないことに不安を感じ、どうしようと焦ってしまう方も多いのです」。少しでも眠れないと、不安を感じたり、焦ったり、イライラしたりして神経が高ぶり、余計に眠れなくなるという悪循環を引き起こしてしまいます。

高齢者に多い不眠の理由
原因1:睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の減少
ご高齢者に限らず、人が夜眠るためには「メラトニン」という睡眠ホルモンの働きで眠気をもよおすようになっています。この「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌量が低下することにより「なかなか寝付けない」「眠りが浅い」という不眠の原因につながります。

原因2:夜中に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」
人が眠っている状態には、浅い睡眠状態である「レム睡眠」と深い睡眠状態の「ノンレム睡眠」という2つの睡眠状態があります。
睡眠に入っている前半に、深い睡眠である「ノンレム睡眠」が集中し、睡眠の後半から起床時間に近い時間では、浅い睡眠であるレム睡眠が集中しています。

排尿障害や頻尿などにより、夜間何度もトイレに起きてしまうと、深い睡眠に入る「ノンレム睡眠」が妨げられ、熟睡できなくなる原因となります。

原因3:慢性的な身体の痛みによる不眠
ご高齢者には、加齢により骨密度や、神経や筋肉組織の再生機能が低下していることもあり、慢性的な関節炎や神経痛といった病状を抱えている方がいます。

寝返りをうつたびに、膝や腰の痛みが起きる。身体を横にしているだけでも、首や背中が痛む。このような慢性的な身体の痛みはご本人の想像以上に不眠の原因になっている場合があります。
1.就寝1時間前は、水分摂取を控える 夜間の尿意は、就寝1時間前になったら水分の摂取を控えたりするなどして対策するのが良いです。 ...
2.適度な運動で「メラトニン」の分泌を促す 睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を多くするためには、適度な運動が効果的です。 ...
3.よい睡眠を得るために必要な栄養素

ご高齢者の睡眠を妨げる原因の解決方法とは
ここからは、より良い睡眠を得る方法について解説します。

就寝1時間前は、水分摂取を控える
夜間の尿意は、就寝1時間前になったら水分の摂取を控えたりするなどして対策するのが良いです。改善されない場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。

適度な運動で「メラトニン」の分泌を促す
睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を多くするためには、適度な運動が効果的です。
また、腰や膝を支える筋肉を鍛えることで、筋肉に守られている骨や関節を保護する効果が得られ、慢性的な身体の痛みの解消にも繋がります。

まずは、軽いストレッチやウォーキングなどで、筋肉を緊張させたり緩めたりするリズム運動を取り入れてみましょう。

・運動1:踏み台昇降運動
家の中にある、玄関の登り口や階段の段差などを使い、1段上って、1段下がる。
この単純な運動をできるだけリズミカルに行うことが大切です。段差の上り下りで膝に負担がかかる方は、椅子に座った状態で、足の太ももを左右交互にリズミカルに上げる運動でも良いでしょう。この運動を行う際は、1日10分から長くても30分程度にしてください。

運動は、軽く汗をかく程度が良いですが、無理のない範囲で毎日続けることが大切です。また、運動する時間帯は、起床後、一日の始まりに運動を行うことで身体が活性化し、脳の覚醒を促す効果もあるので、できるだけ起床時間から時間を空けずに行うと良いでしょう。

寝る前に運動を行うと、交感神経を刺激して、逆に寝つきを悪くすることになるので要注意です。

・運動2:ウォーキング
睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の元になる物質は「セロトニン」という物質で、セロトニンの量が増えることでメラトニンの分泌が活発になります。

セロトニンの分泌を増やすには、朝に太陽の光を浴びながら「ウォーキング」をするのが手軽でおすすめです。
その際はリズミカルに手足を動かすことで、より効果的に分泌を増やすことができます。

よい睡眠を得るために必要な栄養素
また、睡眠の質を上げるために必要な栄養素を取り入れることも効果的です。日々の食事の中に取り入れることで、睡眠の質を上げることができる栄養素をご紹介します。

毎日、しっかりと良い睡眠をとるためには、眠る前に脳や神経をリラックスさせることがとても大切です。

このような、脳や神経をリラックスさせる作用のある成分を多く含む栄養素を多く取り入れることで、より深い睡眠を得ることができるようになります。

・栄養素1.トリプトファン
「セロトニン」は睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の元となる物質ですが、脳をリラックスさせる効果もあります。その「セロトニン」を合成する栄養素に「トリプトファン」という栄養素があります。

この「トリプトファン」を多く含む食材は、魚介類・鶏肉・卵・大豆製品(豆腐・納豆など)・ごまなどがあります。
こういった食材を取り入れた食事を多く摂ることでセロトニンの分泌を促し、良い睡眠をとるための効果が期待できます。

・栄養素2.グリシン
「グリシン」は脳をリラックスさせ、体温を下げる作用があります。人の体温は、起床時から上昇し、就寝時間に近づくと、下がっていくという仕組みになっています。

就寝前に体温が下がっていることで、眠りに入りやすくなるのです。この「グリシン」はカジキマグロやエビ・ホタテなどの魚介類に多く含まれています。

・栄養素3.ビタミンB1
ビタミンB1は、神経を沈静化しイライラや不安などのストレスから解放してくれる作用があり、良い睡眠をとるためにとても効果的なビタミンです。
また疲労回復効果もあるので、睡眠中の疲労回復を促す効果もあります。ビタミンB1は海苔に多く含まれているので、朝食で摂取する等、普段のおかずに1品添えてみると良いでしょう。
簡単な運動をしたり、日々の食事に睡眠を促す栄養素を取り入れたり、ご高齢者であっても無理なく不眠を改善し、良い睡眠をとっていただくことは十分可能です。
不眠の改善というと、つい睡眠薬などの内服薬に頼る方法を考えがちですが、薬に依存することなく、自然な方法で不眠を改善できたら素敵ですね。

年をとるにつれて増える睡眠の悩み。高齢者の不眠の原因と3つの改善法
高齢者の睡眠の特徴



高齢者の睡眠には、眠りが短くなったり、浅くなったりする特徴があります。高齢になると、社会活動から遠ざかり、日中の活動量が低下するため、必要とする睡眠量も少なくなります。また、加齢に伴って、睡眠と関係の深い神経の働きや、ホルモンの分泌能力が衰えて睡眠時間が短くなっていきます。特に、60歳以降になると、眠るにはまだ早い時刻から寝床に入ってしまうことで、寝床にいる時間が増えるものの実際の睡眠時間は減るため、不眠症状が悪化します。

若い人では、眠り始めの3時間ぐらいで深い睡眠が何度も訪れ、後半になると浅い睡眠が中心になります。ところが、高齢者の場合は健康な人であっても、深いレベルの眠りが少なく、途中で目覚める回数が増えます。こういった症状は、白髪や老眼と同じように、自然な加齢変化といわれているので、日中も元気で過ごすことができれば心配ありません。
ただし、日中の体調不良が3か月以上続くようであれば、不眠症の治療が必要になります。

高齢者の不眠対策① 朝の光を避ける
高齢になると、朝の目覚めが早過ぎる、ぐっすり眠れないといった、睡眠に関する悩みを抱えることが多くあります。

こうした不眠の対策としてまずあげられるのが、朝の光を避ける方法です。朝の光には、ホルモンや体温などの生体リズムを司る体内時計を調整して朝型にする効果があります。そのため、朝早く目覚めて困る場合は、朝の光を避けることが大切です。光の効果は時間帯により異なり、夕方以降の光は体内時計を夜型に調整します。たとえば、朝の散歩を夕方にするなども効果的です。

高齢者の不眠対策② 睡眠にメリハリをつける
睡眠にメリハリをつけることも不眠対策のひとつです。できれば昼寝は避け、どうしても眠くて昼寝をする場合は早めの時間に、30分間以内にするようにしましょう。昼寝の直前にカフェインを含む飲料をとると、目覚めがすっきりします。

高齢者の不眠対策③ 眠くなるまで寝床に入らない
また、就寝の際には、眠くなるまで寝床に入らないようにします。高齢者は眠くなるタイミングが若い頃より1時間~1時間半ほど早まりますが、質のよい睡眠をとるための体のコンディションが整うのは、平均すると午後10時30分以降とされています。することがないからと早く寝床に入るのではなく、なるべく遅い時刻まで起きていて、本当に眠くなってから寝床に入ることをおすすめします。

不眠症の原因と改善法、自分でできる認知行動療法、睡眠の質を高めるには
心配事などがあるとき、夜、布団に入っても寝つけない、途中で目覚める、目覚めが早すぎて二度寝ができない、などの一時的な不眠は、健康な人にも起こります。原因がはっきりしている不眠は、通常、数日から2週間ぐらいで元に戻ります。ところが、不眠が長引くと、日中にも眠気やけん怠感などの心身の不調が現れ、仕事や家事に支障が出るようになります。このような慢性化した不眠が3か月以上続くと、不眠症と診断されます。

不眠症を長引かせる大きな原因の一つが、不眠が続くことによる不安や焦りです。不眠を招いた原因そのものが解決されても、眠りたいけど眠れないこと自体が悩みになって、慢性化していきます。

もう1つの要因は、独特の睡眠習慣です。早く眠りにつくために、寝床に早く入るとか、朝も寝床にいることでまた眠れるのではと期待するなど、"寝床にしがみつく習慣"がついてしまうと、それらがいっそう眠れない時間を増やし、不眠を悪化させていくのです。

自分でできる不眠症改善「認知行動療法」



いったん慢性化した不眠症は、自然に治ることはあまり期待できないため、治療が必要です。治療には薬を使う場合もありますが、睡眠習慣を改善する治療法として、認知行動療法があります。認知行動療法とは、眠りに対する思い込みや強迫観念を正し、一人一人にあった睡眠習慣を見つけていく方法です。ここでは自分でできる3つの方法を紹介します。

①寝床にしがみつかない
不眠症で苦しんでいる人は、眠ることにとらわれ、寝床は苦しい場所だと無意識に思っているため、緊張感でますます眠れなくなってきます。そこで、眠くなるまで寝床に入らない、眠れないままに寝床で過ごさない、の2つを実行し、"寝床は眠れる場所"だということを体に条件づけます。

②睡眠効率アップ
睡眠効率とは、寝床にいた時間に対する実際に眠った時間の割合(実際に眠っていた時間÷寝床にいた時間)です。不眠症の人は、寝床にいても眠っていない時間が長く、睡眠効率が低い傾向にあるので、最終的には85~90%に上げていくことを目指します。自分の睡眠効率を知るには、睡眠日誌が役立ちます。

③リラックス
寝る前や夜中に目覚めたときに、簡単な体操を行う筋弛緩法を実行しましょう。単に筋肉をほぐすだけでなく、副交感神経の働きでリラックスしたり、脈拍が遅くなったりなど、全身に影響を与えることができます。

いったん慢性化した不眠症は、自然に治ることはあまり期待できないため、治療が必要です。治療には薬を使う場合もありますが、睡眠習慣を改善する治療法として、認知行動療法があります。認知行動療法とは、眠りに対する思い込みや強迫観念を正し、一人一人にあった睡眠習慣を見つけていく方法です。ここでは自分でできる3つの方法を紹介します。

睡眠の質を高めるには



睡眠の質を高めるには、朝、起きる時刻を決めて、たとえ眠くても必ず寝床から出るようにします。太陽の光を浴びると、体内時計はリセットするとされています。光を浴びる時間を一定にして体内時計を安定化させると、やがて入眠時刻も安定してきます。ただし、目覚めが早すぎるときには、早朝から太陽の光を長時間浴びるのは避けましょう。早朝覚醒が悪化してしまうからです。同じ時刻に寝床から離れ、室内で過ごす程度で十分です。また、昼寝は夜の睡眠に影響を与えるので、30分以内に起きるようにしましょう。

夜、寝床につく時間と、朝起きる時間の2つの時刻を守りながら3~4週間ほど繰り返していくと、自分にとって本当に必要な睡眠時間がわかってきます。自然と眠くなる時間に寝床に入るようになり、自ら睡眠をコントロールしているという自信がつけば、気持ちも少しずつ楽になり、不眠も解消されるでしょう。

高齢者の不眠の主な要因
加齢に伴う生体リズムの変化
合計約6時間
加齢に伴い生理機能が徐々に低下するため、必要とする睡眠時間が短くなると言われています。
例えば夜8時に寝て夜中の2時に目が覚めたとして、6時間は寝ているので、睡眠時間としては十分取れていると言えます。
睡眠自体が浅くなり、昼寝も増える傾向にあります。



トイレが近い
加齢に伴いトイレが近くなるため、夜中に目を覚ますことが多くなります。
足腰の痛みなど
足腰が弱り痛みが出やすくなります。また外出が減り、運動が少なくなり、不眠がちになる傾向があります。

薬の服用による不眠
加齢とともにお薬を服用することが多くなった場合、お薬に睡眠を妨げる成分が含まれているために、不眠が引き起こされる場合があります。その場合は、薬を処方してもらった医師へ相談することが必要です。

昼・夜のメリハリをつけよう
昼間、日光を浴び、日中の活動量を増やす
日中の活動量を増やそう
日中は外に出て太陽の光を浴び、日中の活動量を増やすことで昼と夜のメリハリがつきます。体を動かしたり人と会って話をするほうが心地よい疲れが得られ、自然と眠れるようになります。 また、昼寝は3時までに20~30分が適切。あまり長い時間の昼寝は、夜の睡眠に影響を及ぼします。

眠気がないのに早い時刻から床に入るのはやめる

夕食後はすぐに床に就かず、ご家族との団らんの時間や趣味の時間を過ごすなどして、遅めに就寝しましょう。早く寝るとそれだけ早く目が覚めてしまいます。もし、床の中にいて眠れないようなら一度床から出ましょう。

よく眠れないは歳のせい?
健康を保つために睡眠はとても大切です。充実した睡眠は、心身の疲労を回復させるだけでなく、記憶を定着させたり、免疫機能を強化する役目も果たしています。しかし、高齢になると、夜眠れない、眠りが浅い、朝早く目が覚めてしまうといった症状を訴える方が増えてきます。高齢者では、なぜ睡眠のトラブルが起こりやすいのか。その原因と対策について、東京医科大学睡眠学講座教授で、医療法人社団絹和会 睡眠総合ケアクリニック代々木 理事長の井上雄一先生にお聞きしました。

加齢によって睡眠の質が変化
人はなぜ眠るのか。古くて新しい疑問ですが、まだ明確な答えは出ていません。ただ、はっきりしているのは、脳を休ませ、身体の疲れをとり、心身の機能を回復させる上で、睡眠は欠かせないということです。
この大事な睡眠に、何らかの支障をきたし日常生活に影響が及んでいる状態を「睡眠障害」といいます。「布団に入ってもなかなか寝つけない」「眠りが浅い」「一晩に何回も目が覚める」「朝の寝ざめが早い」などがよくみられる症状です。
こうした睡眠障害は若い人にもみられますが、高齢になるほど頻度が高くなります。井上先生はその一因として「加齢による睡眠の質の変化」を挙げます。
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があります。レム睡眠は、身体の力は抜けているものの脳は活動している浅い眠りです。一方、ノンレム睡眠は脳の活動が低下している眠りで、3段階に分けられます。入眠後は第1段階から2、3段階へと、徐々に浅い眠りから深い眠りへと移っていきます。睡眠中は、このレム睡眠とノンレム睡眠が一定の周期で、一晩に4〜5回繰り返します。井上先生は「ノンレム睡眠の第3段階は熟睡状態といえます。ところが高齢者では、この第3段階が減り、特に70歳以上になると、ほとんど消失していることが多くなります。これは、加齢による老化現象で睡眠の質が変わり、眠りが浅く、しかも分断されがちになっているためです(図1)。これ自体は生理的な変化ですので、すぐに中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠障害が起こりやすくなっているといえるでしょう」と説明します。

体内時計の微妙なずれも要因に
高齢者で睡眠障害が起こりやすい要因として、体内時計の微妙なズレも指摘されています。
人間には、ほぼ1日周期でリズムを刻む体内時計が備わっており、意識しなくても、昼間は心と身体が活動状態に、夜になると休息に切り替わります。私たちが夜、自然に眠りへと導かれるのは、この体内時計の働きによるものです。
体内時計は約25時間周期と考えられています。人間は地球の自転に合わせて24時間周期で社会生活を送っています。よって、毎日1時間ほど体内時計はずれますが、朝起きて、日光を浴びたり、運動することでうまく調整されています。この1日周期のリズムを概日(がいじつ)リズムと呼びます。自然のリズムですが、井上先生によると、高齢者の場合、体内時計が前倒しにずれたり、リズムの振幅が小さくなって、これらによる睡眠障害を起こしやすい傾向があるといいます(図2)。
「若い人でも、深夜の残業、夜更かし、運動不足など生活習慣の乱れが続くと、体内時計に狂いが生じます。高齢者の場合、加齢による生理的な変化と生活習慣の影響が重なって、体内時計が少し前に進みがちです。早朝に目が覚めたり、夜、早く眠くなったりするのはこのためで、それによって不眠などの障害が起こりやすくなります」(井上先生)。
ではなぜ、体内時計に微妙な狂いが生じるのでしょうか。そのカギを握るのが、脳の松果体(しょうかたい)と呼ばれる部分から分泌される「メラトニン」というホルモンです。 メラトニンは体内時計に作用して、自然な眠りを誘う働きがあります。私たちが夜、眠くなるのは、このメラトニンが活発に分泌されるためです。ところが最近の海外の研究で、高齢者ではメラトニンの分泌量が減少することが明らかにされています。井上先生は「メラトニンの減少が睡眠・覚醒のリズムを乱して、それが、眠りの浅さ、早朝覚醒など高齢者の睡眠障害に関係すると考えられます」と説明しています。

生活習慣がリスクを高める
このように、高齢者では睡眠の質の変化、体内時計のずれなど、不眠や早朝覚醒を起こしやすい下地があります。しかし、それだけで睡眠障害が起こるわけではありません。「それに加えて睡眠障害のリスクを高めるのは日頃の生活習慣です」。
例えば早朝の散歩。高齢者は、健康に良いからとよく早朝に散歩をします。しかし、実は朝早くから光を大量に浴びることで、体内時計はどんどん前倒しにリセットされていきます。その結果、夜は早くから眠くなり、朝はますます早く目覚めるという悪循環に陥ることもあるのです。井上先生は「生活パターンが乱れ、夜型に傾いているような若い人なら、朝活はお勧めです。しかし、高齢者では、早朝覚醒を防ぐため、極端な早朝活動は控えるのが賢明です」と注意を促します。
また、何もすることがないからと、眠くないのに早く床に入るのも考えもの。「眠らなければ」という意識が強く働き、かえって目がさえて眠れなくなるというパターンに陥りがちです。
高齢者では、こうした生活習慣に加えて、服用している薬の副作用が、睡眠障害を引き起こすこともあります。代表的なものとして、自律神経・中枢神経系に作用する薬やステロイド薬、降圧薬(β遮断薬、Ca拮抗薬)などが挙げられます。さらに、うつ病、自律神経失調症、不安障害、むずむず足症候群、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因で不眠になるケースも少なくないといいます。井上先生は「睡眠障害には薬や病気が関与していることが多いので、眠りに不安のある方は、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみることも大事」とアドバイスします。

健康な睡眠を守る知恵
では、高齢者が健康な睡眠を守り“快眠ライフ”を送るためには、どのような工夫が必要なのか。
① 8時間睡眠にはこだわらない
1日8時間の睡眠が必要と考えている高齢者が多いようですが、実際に日本人の睡眠時間は平均約7時間、高齢者では6時間程度です。適切な睡眠時間には個人差があり、季節によっても変動します。したがって、何時間という数字にこだわらないことが大切です。
② 眠くなってから床に就く
眠くないのに無理に眠ろうとする、それがストレスになり、かえって眠れなくなります。眠くなるのを待って、寝床に入るようにします。
③ 起きる時間を一定にする
寝不足気味のことがあっても、起きるのは毎朝、同じ時間にします。三度の食事も決めた時間にとるようにして、規則正しい生活習慣を身につけましょう。
④ 昼間はしっかり活動性を上げる
朝は日光を取り入れ体内時計を調節します。そして、昼間の活動性を高め、散歩や運動などで太陽の光を十分浴びるようにします。 井上先生は「高齢者の中でも、アクティブな生活を送っている人は、概して睡眠障害になりにくいことが分かっています。家に閉じ込もらず、できるだけ外に出て、活発に活動することが、健康な睡眠を守る知恵」と話しています。

「眠りが浅く、夜中に何度もおきてしまう」「少しの物音で目が覚めてしまう」「眠ったのに翌日も疲れが残っている」など、睡眠に関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。睡眠の質が悪いと体調に影響してしまうので、できるだけ快眠が望める環境を整えることが大切です。

そこで今回は、睡眠不足に悩む方へ向けて、眠りが浅くなる原因や良い睡眠をとる方法などについてご紹介します。
睡眠の質が低下する原因は人によってさまざまですが、おもな原因の一つに「睡眠リズムの乱れ」があげられます。

人は睡眠中に「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の周期を4~5回繰り返しています。基本的に、レム睡眠時は身体は休んでいますが脳は活動を続けており、ノンレム睡眠時は身体も脳も熟睡しています。眠っているときに夢を見たり、逆に夢を見ずに深く眠ったりするのは、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているためです。

レム睡眠とノンレム睡眠の周期は90分ずつ交代で入れ替わりますが、眠り始めてからの3時間はノンレム睡眠の状態になり、必要な睡眠を確保すると言われています。そして、朝になるにつれて徐々にレム睡眠の時間が長くなり、すっきりと目覚められるようにサイクルができています。

しかし、ノンレム睡眠への移行ができず、レム睡眠の状態が長く続いてしまうと眠りが浅くなり、睡眠の質は低下してしまいます。睡眠の時間を十分にとっているという方でも、睡眠リズムが乱れてしまうと「熟睡できない」「寝ているのに疲れがとれない」などの症状に悩まされることになるのです。

睡眠リズムが崩れる原因には、体内時計の乱れや冷え、心理的不安や環境の変化などによるストレス、カフェインやアルコールの摂り過ぎ、寝具や調光、騒音などの睡眠環境の不具合があげられます。睡眠不足に悩んでいる方は、まずは上記を見直すよう心がけましょう。

※1:浅い睡眠。身体は休んでいるが脳は起きている状態。目がピクピクと動く「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」が見られるため、REM(レム)睡眠と呼ばれる。
※2:深い睡眠。身体も脳も熟睡している状態。REMのない睡眠(non-REM)という意味。徐波睡眠(じょはすいみん)とも呼ばれており、睡眠の深さによって4つの睡眠段階に分けられている。

深い眠りにつくための方法
スムーズな入眠を促すには、「深部体温」と「熱放散」に注目しましょう。深部体温は"身体の内部の温度"で、熱放散は"皮膚表面から熱を逃す身体の仕組み"です。

睡眠と体温は深く関係しており、深部体温が下がることで脳と身体は休息モードに入ります。そもそも深部体温は入眠時に自然に下がろうとしますが、より早く深部体温が下がれば入眠しやすくなり、また眠りも深くなりやすいと言われています。

深部体温を下げるには、熱放散を促すのが効果的です。熱を逃すのに効果的な部位は手足で、とくに甲の部分が放熱しやすいと言われています。
たとえば、赤ちゃんは眠くなると手足が温かくなりますが、手足から熱を逃がし、深部体温を下げているから温かくなるのです。それとは逆に、冷え性の方が不眠になりやすいのは手足から熱が逃げにくく、深部体温が下がりづらいからと言えます。

先でも述べたように、"急速に深部体温が下がれば"深い眠りに落ちやすくなります。寝る前に深部体温を"ちょっと"上げることで熱放散がスムーズになり、寝つきにも良い影響を与えることが可能です。

眠れない原因とは?
眠れない原因には、さまざまなものがあります。
心理的なストレスは、睡眠に大きく影響します。心配事や悩み事があると、考え込んでしまいなかなか眠れないものです。また、楽しみなイベントの前日になかなか寝つけず当日に寝坊してしまった、なんてことはありませんか?実はこれも心にストレスがかかった影響なのです。眠れないことに悩み「早く寝なきゃ…」と思うと、それがストレスとなりますます眠れないという悪循環に陥ってしまいます。

生活リズムの乱れも睡眠と関係しています。日光を浴びない、休日はいつもより遅く起きる、朝ごはんを食べないなどをしていると、体内時計のリズムが乱れてしまいます。体内時計がうまく働いていないと、夜眠れなくなることがあります。

寝るための環境にも配慮が必要です。例えば、暑くて眠れない、手足が冷える、外の明かりや騒音が気になる、など。また、寝る前にスマートフォンやタブレット、パソコンなどを見ると、ブルーライトで脳が活性化され、寝つきが悪くなってしまいます。

眠れないときの対処法とは?
まずはリラックスすること。「寝ないといけない」と強く思うことがストレスとなり、余計眠れなくなってしまいます。
軽めのストレッチや筋弛緩運動をして、身体を緩めましょう。筋肉を緩めることで、副交感神経が優位になり、眠りへと導いてくれます。
どうしても眠れないときは、一度布団から出て、本を読んだり、リラックスできる音楽を聴いてみてはいかがでしょうか?この時、絶対にやってはいけないのは、スマホやタブレット、パソコンを見ること。先でも述べた通り、ブルーライトの強い光が影響して、眠りにくくなってしまいます。

また、朝起きて日光を浴びることも大切です。日光を浴びると体内時計がリセットされ、夜には自然と眠気が訪れます。夜の快眠への準備は、実は朝から始まっているのです。

睡眠の質を向上させる方法は、以下のとおりです。

\ 方法1 /生活リズムを整える
人の身体には、太陽の昇沈や四季の巡りといった自然のリズムに呼応した「生活リズム(生体リズム)」が刻まれています。体内時計(主時計・末梢時計)が備わっていることで、日中は活動モード、夜は休息モードに自然と切り替わるようになっているのです。

体内時計は約24時間10分と言われており、1日の時間(24時間)と若干ズレています。たった10分と思うかもしれませんが、1週間だと1時間以上、1ヶ月だと4時間以上もズレが大きくなってしまいます。このズレを放っておくと生活リズムが乱れてしまい、身体に不調をきたす恐れがあるので、1日ごとにリセットする必要があるのです。

朝、太陽の光を浴びると体内時計の「主時計(親時計)」を目覚めさせることができますが、あらゆる臓器や筋肉などに備わる「末梢時計(子時計)」には光が届きません。末梢時計に影響を与えるのは食事なので、栄養満点の朝食をとって末梢時計を目覚めさせましょう。

なお、太陽の光を浴びてから朝食をとるまでの時間は、開きすぎないほうがいいと言われているので、どちらも時間を決めておくといいかもしれませんね。

\ 方法2 /自分に合った寝具選びをする
よく眠れる方法の一つには、自分に合った寝具を選ぶことも含まれます。
就寝中の発汗や温度変化に対応できるよう、吸湿性や放湿性に優れたものを選ぶのはもちろん、自分の体型に合ったものを選ぶことも大切です。

たとえば、枕は安眠に欠かせないアイテムですが、枕の高さが合わないと首や肩がこったり胸の筋肉が張ったりして筋肉が緊張状態になり、翌日に疲れが残ってしまいます。また、枕の不一致はいびきの原因にもなるため、慢性的に睡眠が浅くなり、睡眠サイクルが乱れることもあるのです。
ちょうどいい枕の高さは人によって異なるので、寝具メーカーなどで計測し、自分に合う高さの枕を選んでみても良いかもしれません。

また、マットレスを替えるのも一つの方法です。網状のマットレスは寝返りしやすく通気性が良いので、代謝が高くて暑がりの方におすすめです。逆に冷え性の方にはおすすめできないので、自分の体質に合ったマットレスを選びましょう。
なお、マットレスの硬さには注意が必要です。マットレスがやわらかすぎると腰痛の原因になりますし、逆に硬すぎると骨にあたって痛みを感じたり、血行不良になって寝つきが悪くなったりします。
買い替える際は店頭で寝心地を試すなどして、ちょうどいい硬さのマットレスを選ぶことが大切です。このほか、家具のレンタルサービスを利用して自分に合う寝具を探すのもおすすめです。

寒い時期に電気毛布を使用する方もいるかもしれませんが、一晩中身体を温めていると深部体温が下がりにくくなります。睡眠リズムを乱さないためにも、布団に入ったらスイッチを切るようにしましょう。

\ 方法3 /就寝直前には食事を摂らない
就寝直前の食事は禁物です。食べてすぐ寝てしまうと、身体は消化にパワーを使うため内臓の休息時間が短くなり、眠りが浅くなったり疲れがとれにくくなったりします。

胃に入った食べ物が消化されるまでには、3時間ほどかかります。就寝時には消化が終わっているのが理想的なので、寝る3時間前には食事を終えておきましょう。どうしても食事が遅くなってしまう場合は、消化の良いものを少量食べるようにしてください。

なお、カプサイシンを含む食べ物は深部体温を上げるのに効果的ですが、就寝直前に食べると深部体温が下がりにくくなります。寝つきが悪くなるので注意しましょう。

\ 方法4 /就寝の1時間前に入浴する
前述したように、深部体温が下がると眠くなるため、入浴習慣をつけるのもおすすめです。シャワーでも身体を温められますが、湯船につかることで身体をゆっくりと温めることができます。前述したように、質の高い睡眠には熱放散が関係しています。入浴すると深部体温が高まり、放熱のために血管が開きます。四肢から熱が逃げて深部体温が下がるので、寝つきやすくなるのです。

入浴は、遅くても就寝する1~2時間前には済ませておきましょう。38~40度のぬるめのお風呂は副交感神経を優位にするため、心身がリラックスして寝つきが良くなります。ゆっくりと体温を上げることで末梢血管が広がり、手足からの熱放散がスムーズになります。手足や足首を伸ばすといった軽いストレッチをすれば、より寝つきが良くなるはずです。

なお、忙しくてシャワーで済ませている方、土地柄的に湯船につかる習慣がない方には足湯がおすすめです。深めの容器に39~42度ほどのお湯を張り、ふくらはぎの下までつかってください。

\ 方法5 /ストレスをため込みすぎない
ストレスを感じると、眠りが浅くなります。日ごろからストレスをためないように、発散方法を見つけておくことが大切です。たとえば、休日やすきま時間に趣味を楽しんだり、お風呂やアロマなどで気分をリラックスさせたりするとストレス解消の効果が期待できます。

また、運動して汗をかくのもストレスの発散に一役買うでしょう。適度な疲労感は入眠をスムーズにするため、軽めの運動から始めてみても良いかもしれません。ただし、寝る直前に運動をすると体温が高くなりすぎて寝つきづらくなるためご注意ください。

毎日を心地よく過ごし、これからの人生をより美しく輝かせるために。
着目したのは、「生体リズム」という
人の生き方の本質にせまる考え方でした。

毎日を心地よく過ごし、これからの人生をより美しく輝かせるために。
着目したのは、「生体リズム」という
人の生き方の本質にせまる考え方でした。

日が昇り、日が沈む。
そんな自然のリズムに身体を同調させることができれば、
私たちが本来持っている力はもっと引き出せるはず。
独自の研究から、今、わかっていることをご紹介します。

「生体リズム」とは

もともと私たちの身体に備わっている自然のリズムのこと。朝になれば活動するためにONの状態にし、夜には休息モードにするためOFFの状態へ。この切り替えが正常に働くことで私たちのすこやかさを保ち、活動力を高めることができるのです。
しかし、「生体リズム」はちょっとした生活習慣で乱れやすいもの。そのリズムが狂ってしまうと、人本来の力の低下や悩みを加速させることにもつながります。

「光」と「食」が目覚めの鍵。
朝、活動のスイッチをONにするのは、「太陽の光」と「朝食」。
太陽の光を浴びると、目から入ってくる光が脳の視床下部に直接働いて、体内の時計をONにします。朝陽を浴びにくい場合は、室内の照明を明るくするのもOK。
そして朝食は、なるべくお腹が空いた状態で。前夜の夕食からの長い「絶食時間」の後に朝食を摂ると、脳は今が朝だと認識し、身体のスイッチが入りやすくなるのです。
夕食が遅かったり、朝食を食べなかったりすると、昼までスイッチが入らず、生体リズムが乱れる原因となってしまいます。
朝の食卓に、ONにする食べ物。
朝食にどんな食べ物を摂るか。それも身体をONにする上で重要なポイントです。
ご飯やパンなどの炭水化物は脳のエネルギー源として必要な栄養ですが、実はここで欠かせないのが、ハムや卵、納豆などのたんぱく質。これらは、身体の機能をONにするために働いてくれると言われています。
時間のない朝でも、例えば、おにぎりの具を鮭にする、トーストにハムをプラスする、コーヒーに牛乳を入れる、など簡単な工夫でOK。
朝食は日中のパフォーマンスをぐっと高めてくれる重要な鍵。これで、充実した1日をスタートできます。

睡眠不足に悩んでいるなら、まずは睡眠リズムを整えることが大切です。体内時計の乱れを正したり、ストレスを発散したり、冷えの解消に尽力したりとできることから始めてみましょう。
人は深部体温が下がるときに眠気を感じるので、スムーズに眠りにつくためにも入浴などで深部体温を上げ、熱放散によって体温を下げることも大切です。入浴や食事などの生活習慣を見直すのはもちろん、自分に合った寝具を揃えて快眠できる環境を整えてみてください。