相手のすきをついて失敗させたり、成功を阻害することを「足もとをすくわれる」と表現したことがありませんか?
実はこの言い方、間違っています。
どこが間違っているのか分かりますか?
正解は「足をすくわれる」です。
元の意味としては、相手の足を払うようにして支えを失わせることを表しています。
相手のすきに付け入って、相手を敗北・失敗させることを言います。
「足がらをすくう」と言うこともあります。
では、なぜ「足元」ではいけないのでしょうか。
上の意味にある通り、「すくう」は払いのけるということです。
つまり、足そのものを払いのけることを言っているのであって、足元を払っただけでは空振りになってしまいます。
平成28年に行われた文化庁による「国語に関する世論調査」では、以下の結果が出ています。
- 「足をすくわれる」を使う人 26.3%
- 「足元をすくわれる」を使う人 64.4%
すでに「足元」を使う人のほうが倍以上も多くなっているのです。
言葉は時代とともに変化していくので、いずれは「足元をすくわれる」も許容されるようになるのかもしれません。
ただ、文章で書く場合など、証拠として残るときには「足をすくわれる」と正しい表現を使いたいものです。
なお、「すくわれる」は漢字で書くと「掬われる」となります。
言葉の響きから「救われる」と書いてしまいそうですが、「すくう」とは「払う」ことだと知っていれば「救う」を使うことはないでしょう。
もともとの言葉の意味を知っておくと、誤用も漢字の間違いも防ぐことができます。
くれぐれも、うっかりと「足元を救われる」などとビジネス文書に記載してしまい、ライバルから誤りを指摘されるなどして「足をすくわれる」ことがないようにしましょう。