「愛想をふりまく」←どこが間違い? | 伝わる・喜ばれる文章講座

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周囲ににこやかに接して愛想よくしていることを「愛想をふりまく」と表現したことはありませんか?

 

この使い方、実は間違いです。

 

正しい表現が分かるでしょうか?

 

 

正解は「愛嬌をふりまく」です。

 

「愛想」とは、人に好印象を与えるような態度のことを指します。

 

態度は「ふりまく」ことができません。

 

「愛嬌」はにこやかな表情やにくめないしぐさのことを指します。

 

しぐさや表情であれば、周囲にふりまいて見せることができるのです。

 

 

愛想にはそもそも「人当たりのいい態度」という意味が含まれています。

 

そのため、わざわざ「ふりまく」と付けなくても「愛想が良い」で十分なのです。

 

もし「愛想」を使いたい場合は、「愛想よく振る舞う」などとするのが適切でしょう。

 

 

「愛想」と「愛嬌」の区別がつかなくなりそうなときは、次のように覚えておくと便利です。

 

「愛想」を使った言葉に「愛想笑い」があります。

 

「笑って許してやってください」という意味で「ご愛嬌」と言うことがあるように、「愛嬌」にはそもそも「にこやか」「笑顔」という意味が入っています。

 

そのため「愛嬌笑い」と言うと意味が重複してしまうのです。

 

「笑顔」は「愛嬌」のほうで、「愛想」ではない。

 

つまり、ふりまくことができるのは「愛嬌」というわけです。

 

 

逆に、「愛想が尽きる」とは言いますが、「愛嬌が尽きる」とは言いません。

 

「愛想」は「お愛想」のように使われることもあるように、態度に込められた意識全般を指すことができます。

 

よって、「愛想」は尽きることがあっても、「愛嬌」だけを指すので尽きるとは言わないのです。

 

 

まぎらわしいのは「愛想がない」「愛嬌がない」という表現です。

 

これはどちらも正しく、「愛想がない」はそっけない態度のことを指し、「愛嬌がない」はにこやかさがないことを指します。

 

「無愛想」「無愛嬌」という言葉も同じ意味で、どちらも問題なく使える言葉です。

 

「愛想」が感じられない・「愛嬌」が感じられない、はどちらも言うことはできる、と覚えておくといいでしょう。

 

 

今回はいろいろな表現を紹介したので、最後に「問題なく使える表現」をまとめておきます。

 

【愛想】

愛想が良い・愛想よく振る舞う・愛想笑い・愛想がある/ない・愛想が尽きる・お愛想

 

【愛嬌】

愛嬌をふりまく・愛嬌がある/ない・ご愛嬌

 

混乱しないように使い分けましょう。