ライターとしての仕事では、ふだんは転職・キャリア系の記事を書いています。
給与体系は月給制の企業が多いのですが、中には年単位で報酬を決定する会社も存在します。
このような給与の支払い方法のことを何と呼ぶでしょうか?
- 年俸
- 年棒
口頭でよく耳にするのが「ねんぼう」という読み方です。
おそらく、上の2つのうち「年棒」の表記で覚えているのではないかと思われます。
しかし、この言葉は間違いです。
正しくは「年俸」と書き、読み方は「ねんぽう」です。
なぜこのような間違いがよく起きてしまうのでしょうか?
考えられる原因として、「俸」の字が「棒」とよく似ていることが挙げられます。
「俸」は、古くは「俸禄」などの言葉で使われていました。
俸禄とは、大名に仕えた者が受け取る報酬で、扶持(ふち)とも呼ばれます。
現代で言うところの給与と同じですね。
一方、「棒」という字は現代でもよく目にしますし、日常的に使われています。
「相棒」「泥棒」「鬼に金棒」など、熟語としても登場する機会が多いのです。
そのため、「俸」を「棒」と見間違え、読み方もつられて「ねんぼう」と読む人が少なくないと考えられます。
「年俸」を「ねんぼう」と読むことはありません。
したがって、「ねんぼう」と読んだ時点で「この人は、漢字も『年棒」と書くと思っているのでは?」と疑われてしまうでしょう。
そもそも読み方が間違っているので、言葉を間違えたまま覚えていることが露呈してしまう例といえます。
ちなみに、年俸制は年単位で報酬が決定される給与体系ですが、支払いが一括とは限りません。
むしろ、毎月の給与として分割されて支払われるのが一般的です。
また、12分割した額が毎月の給与として払われるとも限りません。
中には14分割、16分割とし、2ヶ月分または4ヶ月分を賞与として支給している企業もあります。
つまり、年俸制の場合は年収が明確に提示されているだけで、月給制の会社と何ら変わりはないことが多いのです。
自身の勤務先が年俸制の場合、間違えたまま「ねんぼう」と読んでいる人は少ないでしょう。
しかし、ずっと月給制の会社で働いてきた人は、馴染みのない「年俸」の読み方を「ねんぼう」と間違えてしまうことは十分にあり得ます。
次に「年俸」と言ったり書いたりするときには、ぜひ注意してみてください。