「ご教授ください」は大げさな表現!? | 伝わる・喜ばれる文章講座

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ビジネスメールで不明点を教えてもらいたいとき「ご教授ください」という表現を使う人がいます。

 

実はこの表現、たいていの使い方では間違いといえます。

 

なぜ間違っているのか、正しくはどう書けばいいのか、説明できるでしょうか?

 

 

正しくは「ご教示ください」と表記します。

 

読み方は「ごきょうじください」です。

 

教示とは知識や方法を教え示すことですので、「教えていただけますか」と言いたいときに使うことができます。

 

 

一方で「教授」は学問が技芸を教え授ける場合に用いられます。

 

「大学教授」のように使われることを連想すると、よりイメージしやすいでしょう。

 

つまり、一定の期間をかけてじっくりと教えを授ける場合に「教授」を使うのです。

 

ちょっとした知識や進め方を知りたい場合に「教授」を使うと、ひどく大げさな言い方をしているように聞こえてしまいます。

 

 

なぜ「ご教授ください」という誤用が広まっているのでしょうか。

 

原因としては、「教授」と「教示」の読み方が似ていることが挙げられます。

 

「じゅ」と「じ」は音がよく似ていて、しかも言葉の末尾にあるために聞き取りにくいのも一因でしょう。

 

 

では「ご教授ください」は誤った日本語なのでしょうか?

 

使い方や場面によっては「教授」を使っても問題ないことがあります。

 

たとえば、部下が上司から仕事を教わるとき、あるいは専門性の高い内容を教わるときなどは、時間をかけて教えてもらうことになりますので、「教授」を使っても問題ありません。

 

しかし、「A案とB案のどちらが良いかご教授ください」と表記してしまうのは不適切です。

 

なぜなら、回答としては「A案がよい」「B案がよい」といった簡潔なものとなるはずで、じっくりと時間をかけて習うようなことではないからです。

 

 

このように「教示」と「教授」の使い分けは、「時間をかけて教えを乞う必要があるかどうか」を基準に考えるといいでしょう。

 

ビジネスメールで「ご教示ください」と記載するときには、「教授」と間違えないように注意しましょう。