日本語の文章には記号も使われます。
記号の代表格がカギ括弧でしょう。
カギ括弧には「 」と、二重カギ括弧と呼ばれる『 』があります。
これらはどのように使い分けたらいいのでしょうか。
「 」の使い方としてよく知られているのが会話文です。
誰かが話した言葉は「 」で囲むことで、会話文であることが分かります。
しかし、カギ括弧の使い方はこれだけではありません。
たとえば、特定の考え方や強調したい言葉にも使うことができます。
私にとって早朝は「静かに自分と向き合うための時間」である。
こう書くと、「静かに自分と向きあう時間」が強調されていることが伝わります。
他にも、ある単語を特殊な意味で使う場合や固有名詞を提示する場合にも「 」を使うことがあります。
退勤時に頭の中で「Get Wild」が流れることを「Get Wild退勤」と呼ぶそうだ。
曲の固有名詞と、その特殊な使い方が強調されていることが分かります。
以上が「 」の基本的な使い方ですが、カギ括弧の汎用性は高く、単に言葉の句切りを明確にしたい場合にも使うことができます。
目玉焼きのせハンバーグは大好物であるが、パインのせハンバーグは食べたいとは思えない。
「目玉焼きのせハンバーグ」は大好物であるが、「パインのせハンバーグ」は食べたいとは思わない。
下の文のほうが、「〜ハンバーグ」の区切りが分かりやすいと感じるでしょう。
これに対して、『 』はやや特殊な使い方をします。
最もよく使われるのは、著書や映画などの作品タイトルです。
『ニュー・シネマ・パラダイス』は、映画史に残る名作だと思う。
このように表記することで、作品名であることを明示することができます。
また、「 」の中でさらにカギ括弧を使いたい場合も、『 』が用いられます。
「この前、君は『一番好きな食べ物など決められない』と言っていたが、僕もそう思う」
「 」の中でさらに「 」が使われていると、どこからどこまでが「 」のくくりなのか分かりにくくなってしまいます。
『 』を使うことで「 」と区別できるようになるのです。
こうしたルールは細かいことのように感じるかもしれませんが、読者に対する配慮として非常に重要なことです。
カギ括弧が適切に使われていないと、「今の部分は会話の内容だっのか」「さっきの言葉は固有名詞なのか?」といったように、読者は前に戻って読み返さなくてはならない場合があるからです。
反対に、カギ括弧が適切に使われており、配慮の行き届いた文章は、読者にとって負担感の少ないものになります。
慣れないうちはルール通りに文章を書くのが面倒に感じるかもしれませんが、一度慣れてしまえば自然とできるようになるはずです。
カギ括弧の使い方をマスターして、読みやすい文章を実現しましょう。