優れた能力や才能に対して、さらに上を見ればきりがないと言うとき、何と表現しますか?
「上には上がいる」と言ったことがある人、耳にしたことがある人も、おそらく大勢いるのではないでしょうか。
実はこの言い方は間違っています。
正しい表現が分かりますか?
正解は、
「上には上がある」です。
「いる」ではなく「ある」が正しいのです。
人の上下ではなく、人がする行為などの物事についての上下を表す言葉といえます。
良い結果がもたらされたとしても、より優れたものが世の中にはあると、自分自身を戒める言葉として使われます。
自分以外の人に対して、「あの人は素晴らしい才能の持ち主だけれど、上には上があるからね」などと使うのは適切であはありません。
あくまで自戒を込めた言葉として使うことに注意しましょう。
ちなみに「上には上がある」は感嘆の言葉として使われる一方で、呆れる気持ちを表す言葉としても使われます。
物事には際限がなく、追求してもきりがないので、ほどほどにしておくべきだ、といったように欲望を戒める意味もあるのです。
たしかに「より高級なもの・高価なものが欲しい」と思っていると、きりがありませんよね。
そのようなときに「上には上があるのだから、このぐらいにしておこう」といった使い方をします。
「上には上がある」と同じ意味で使われる言葉に「上を見れば方図がない」があります。
方図とは際限・限りのことで、「方図がない支配欲」のように使います。
また、「上を見ればきりがない」は、「上には上がある」の本来の意味をよく表している言葉です。
もし「ある」か「いる」かあやふやになったときは、「上を見ればきりがない」を使ったほうが確実でしょう。
それにしても、人がする行為や事柄を比べるよりも、人と人とを比べるほうがピンとくるというのは、興味深い感覚ですね。
自分と他人を比較するのは良くないと言われていますが、つい人との比較をしてしまいたくなる人が多いことの裏返しのようにも思えます。
人とは比較しないという自戒を込めて、「上には上がいる」ではなく「上には上がある」を使うように気をつけるのも、1つの考え方といえるでしょう。