■ Strangers on a Train
ガイは妻ミリアムとは離婚協議中で、恋人のアンがいた。離婚してアンと結婚するつもりである。
ガイは列車の中でブルーノという男と会い交換殺人を持ち掛けられた。その後ミリアムは離婚を撤回した。
ブルーノは勝手にミリアムを殺害し、自分の父親の殺害を要求した。
ブルーノはガイに対して、執拗な嫌がらせと殺害要求を繰り返した。ついにガイはブルーノの父親殺害を引き受けた。


製作年:1951、監督:アルフレッド・ヒッチコック、脚本:レイモンド・チャンドラー、チェンツイ・オルモンド、原作:パトリシア・ハイスミス


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー) テニス選手
 ミリアム・ジョイス・ヘインズ(ケイシー・ロジャース) 妻

 ノートン上院議員(レオ・G・キャロル)
 アン・ノートン(ルース・ローマン) 娘、ガイの恋人
 バーバラ・ノートン(パトリシア・ヒッチコック) 娘

 ブルーノ・アントニー(ロバート・ウォーカー)
 アントニー氏(ジョナサン・ヘイル) 父
 アントニー夫人(マリオン・ローン) 母

 ターリー署長(ハワード・スト・ジョン)
 ヘネシー刑事(ロバート・ギスト)
 ハモンド刑事(ジョン・ドーセット)
 コリンズ教授(ジョン・ブラウン)
 


■ あらすじ

◆ ガイ・ヘインズ

ガイはテニス選手。妻のミリアムとはうまく行っておらず、双方とも離婚を希望している。

そしてガイは、ノートン上院議員の娘アンと付き合っている。ミリアムとの離婚が成立すれば結婚する予定。

本件はノートン上院議員も了解済みである。

◆ 交換殺人を提案された

ガイは自宅があるメカトーフに行くために列車に乗った。

展望車に行くと向かいの男性に声を掛けられた。よく喋る。そしてガイのファンだそうである。ブルーノ・アントニー。

ブルーノがタバコを吸うときにライターで火をつけてやった。「A to G」と書かれている。「Anne to Guy」を意味する。

ブルーノはミリアムと結婚していることばかりかアンと付き合っていることも知っていた。「A to G」の意味も分かった。

ブルーノは父親を嫌っているとのこと。それもかなり強く嫌っている。

さらにブルーノは殺人のいろいろなパターンについて話した。そしてなんと「私がミリアムを殺す。君は僕の父親を殺してくれ」と交換殺人を提案した。

ガイは笑い飛ばした。ちょうどメカトーフに着いたので列車を下りた。

しかしライターを忘れて来てしまった。

◆ ミリアムは離婚を拒否した

列車を下りて、その足でミリアムの勤務先を訪れた。

ミリアムは店員をしており、強度の近視メガネをしている。

ミリアムは今までの話とは違って離婚を拒否した。そして妊娠しているという。ガイの子供ではない。

だがミリアムは「世間は女性の味方をするのよ」と言って、その子供をガイの子供であると主張するらしい。

ミリアムと別れてアンに電話で状況を報告した。

◆ ブルーノはミリアムの跡をつけた

ブルーノは両親と会った。いつもながら父親に文句を言っている。母親とはトラブっていない。が、マザー・コンプレックスの雰囲気である。

母親は父親とブルーノの不和は知っているが、何も真剣に考えていない。

ブルーノはガイに電話した。ガイは怒ったが、離婚交渉不成立の情報は得た。

ブルーノは列車でメカトーフに行き、電話番号帳でガイの住所を調べた。

ガイの家の前で見張った。ミリアムが二人の男性と出てきた。彼らはバスで遊園地に向かった。ブルーノは三人の跡をつけた。

彼らは遊園地に入った。

◆ ミリアムを殺した

ミリアムと二人は、いろいろ遊ぶ。ブルーノは彼らにぴったりとついていく。

三人はボートに乗った。続いてブルーノもボートに乗った。その池には島がある。三人は島に上陸した。ブルーノも上陸した。

ミリアムは島の中を探検する。

ブルーノは他の二人が見ていないところで、ミリアムの首を絞めた。ミリアムは死亡しメガネが落ちた。

ブルーノはメガネを拾い、ボートに乗って島を離れた。

ミリアムの死体が発見された。夜9:30。大騒ぎになった。ブルーノはその騒ぎの中を遊園地から抜けた。

◆ ブルーノはミリアム殺害をガイに話した

ガイは列車に乗っている。アンに会うためにワシントンに向かっている。夜9:30。

展望車に行った。一人だけ男性がいた。コリンズ教授。

コリンズは、少し酔っぱらっているようだが、ガイにいろいろ話してきた。ガイには理解できない自分の専門のことを勝手に喋った。ガイは迷惑顔である。

列車を下りてアンの家に行った。門の外にブルーノがいた。「プレゼントがある」とミリアムのメガネを渡した。補足。ブルーノが先に到着するのは不可能と思われるが、そのようなストーリーになっている。

「やつたぞ、目撃者はいない。君が望んでいたことだ」。ガイは驚いた。「警察に電話するぞ」「君が疑われるぞ。動機がある」。

そして「私の父を頼む」と言う。

◆ アリバイが否定される

ガイはアンの家に入った。家族と会う。みんな事件のことはもう知っている。

ノートン上院議員はガイに指示した。「警察がお前を探している。メカトーフ署に連絡しろ」。

夜9:30のアリバイが必要とのことだが、コリンズ教授と会ったことを話すとアンは安心した。バーバラも「もう少しで結婚できるわね」と喜んだ。

ガイはメカトーフ署に出頭した。予め伝えてあったので、コリンズ教授も来ていた。

しかしコリンズ教授はガイと会ったことを記憶していなかった。

◆ 「君の言うとおりにする」

ブルーノの嫌がらせないしは催促は延々と続いた。

ホテルにいるときに「父親の件をよろしく」との手紙。

アンとデートしていた時に現れる。アンと離れて「付きまとうな」と言う。アンには「ファンだ」と行ったが、すでにアンはその話を信用していない。

練習試合をしている時に観客の中から、じっとガイを見ていた。

練習場のレストランでアンやバーバラといるときに、近くの席からチラチラ。この時にブルーノはバーバラがミリアムと似ていることに気がついた。二人は同じように強度の近視メガネ。

そして自宅に拳銃が届けられた。

ノートン上院議員のパーティが開かれた。そこにも登場し、上院議員や出席者に勝手なことを喋って回った。

出席者の女性と、殺人の方法について話した。その女性はその種の小説の愛好者で、その話に興味を示した。しかしブルーノから(冗談で)首を絞められた。そのそばにバーバラがいて、バーバラを異様な目で見ていたことにバーバラは恐ろしくなった。

上院議員はガイに「追い出せ」と命令した。ブルーノは出て行ったが、そのままでは済みそうになかった。

ここにいたってガイはアンに交換殺人を持ち掛けられた事を明かした。

ガイはブルーノに電話して「君の言うとおりにする」と通告した。

◆ ブルーノの屋敷に行く

ガイは送られてきていた拳銃を引き出しから出して、ブルーノの家に出かけた。

門を入った。ドアは開けられていた。階段を上って二階に行く。怖そうな犬がいたが無事に通過できた。

ポケットから拳銃を出して構えた。ドアを開けた。中にはブルーノがいた。「父は留守だ」。

ガイは父親にブルーノのことを話すつもりだった。拳銃をブルーノに渡した。「君は病気だ、治療を受けるべきだ」。しかしブルーノは当然取り合わない。

ガイは部屋をでて屋敷を出た。門の外では刑事二人が見張っていた。

二人は「怪しいが逮捕できない」と話している。

◆ アンがブルーノの屋敷を訪れる

アンがブルーノの屋敷を訪れた。母親と話した。

母親はブルーノの状態については知っている。ただ母親は、このことを真剣に考えてはいない。アンは適当にあしらわれる。殺人を犯したことも信じていない。

母親が去ってブルーノが来た。「ガイの使いか?」「自分で来たのよ」。ブルーノは例のごとく、自分勝手なことを喋った。

アンはブルーノが(アンがガイにプレゼントした)ライターを持っていることを知った。

◆ その後の展開

ガイは試合。一方ブルーノはミリアム殺害現場にライターを置いて、ガイが犯人であることを示そうとする。

ガイはブルーノの意図を知って試合終了後、殺害現場に行ってブルーノを阻止しようとする。

補足。ガイはアンからブルーがライターを持っていることを聞いて、ブルーノの意図を察する。なおブルーノが殺害時にライターを置かなかったのは、この時は交換殺人を予定していたから。

◆ 試合開始→終了

試合が始まった。満員の観客。アンとバーバラも観戦。そして刑事二人は会場の入り口で見張っている。

アンはガイと打ち合わせて、バーバラに第三セットが始まったらタクシーを呼んでおくように依頼した。試合終了後に遊園地に急行するつもりである。

ブルーノは試合会場には来たが、遊園地に向けて出発した。バーバラはタクシーを呼んで待機させた。後席にはガイのスボンを置く。

試合はガイが勝った。ガイは急いでタクシーに乗り、スボンを履いて駅に向かった。列車に乗ってメカトーフに向かった。

バーバラは見張っていた刑事にシュークリームをつけてガイの追跡を遅らせた。刑事はガイを取り逃がし、メカトーフ署に連絡した。

◆ 遊園地の攻防

ブルーノは遊園地に到着し回転木馬のそばにいた。ボートに乗るつもり。

しかしガイがきてブルーノを発見。警察もガイを発見。ブルーノは回転木馬に入り込んだ。ガイも追いかけた。

警察はガイを銃撃。しかし回転木馬のオペレータに当たり、回転木馬は暴走を始めた。補足。明確な説明はないが、警察はまだブルーノの存在を知らないので、ガイを狙ったはず。こんなところで銃撃するなよ。

暴走している回転木馬の中でガイとブルーノが戦う。最初は暴走を面白がっていた子供たちが、次第に怖くなって泣き始める。

保護者たちが駆けつけて大騒ぎとなる。

従業員の一人が回転木馬の下にもぐりこんでスイッチを切った。回転木馬は停止したが、大きな音を立てて大破した。子供たちやガイとブルーノが巻き込まれた。

親たちが駆け寄った。ブルーノは下敷きになった。体を挟まれて息絶え絶えである。

ガイは警察に「僕のライターを現場に置こうとしたんだ」と説明。そしてガイに「僕の無実を証言してくれ」と頼んだ。しかしブルーノは拒否する。

警察はガイを逮捕しようとする。ブルーノの息が絶えた。ブルーノの手にはライターが握られていた。警察はブルーノが犯人であると納得した。

ガイはアンに連絡した。ガイは警察で改めて事情を説明した。

到着したアンとガイは、列車に乗ってアンの家に向かった。
 


■ 出演作

◆ ファーリー・グレンジャー
(1948)夜の人々/They Live by Night
(1950)恐怖の一夜/Edge of Doom
(1951)見知らぬ乗客/Strangers on a Train
(1952)人生模様-賢者の贈り物/The Gift of the Magi
(1951)密輸と犬とギャング/Behave Yourself

◆ レオ・G・キャロル
(1940)レベッカ/Rebecca
(1941)断崖/Suspicion
(1945)白い恐怖/Spellbound
(1945)Gメン対間諜/The House on 92nd Street
(1947)パラダイン夫人の恋/The Paradine Case

◆ ロバート・ウォーカー
(1943)キューリー夫人、伝記映画/Madame Curie
(1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy
(1947)大草原/The Sea of Grass
(1951)復讐の谷/Vengeance Valley
(1951)見知らぬ乗客/Strangers on a Train

◆ ジョナサン・ヘイル
(19(1949)荒くれ男/Stampede
(1939)太平洋の翼/海の荒鷲/Wings of the Navy