■ They Live by Night
仲間と脱獄したボウイは、さらに銀行強盗をした。
ボウイはキーチと出会った。二人は過去を捨てて新しい生活を始めた。
しかし昔の仲間が訪ねてくる、他の犯罪者が「ボウイ」を名乗る。
二人は逃亡生活を続けるが、それでも幸せだった。子供ができた。
知人を頼っていくが、警察に売られた。ボウイは射殺され、キーチは泣き崩れた。


製作:1948年、脚本:チャールズ・シュニー、監督:ニコラス・レイ、日本語DVDあり   予告編   予告編  


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ボウイ/Bowie(ファーリー・グレンジャー) ⇒ 本名はアーサー
 キーチ/Keechie(キャシー・オドネル) ⇒ 本名はキャサリン
 モブリー(ウィル・ライト) - キーチの父親
 チカモー(ハワード・ダ・シルヴァ) - キーチの叔父
 ティーダブ(ジェイ・C・フリッペン)
 マティ(ヘレン・クレイグ) - ティーダブの兄弟の妻

時代設定は1930年代。犯罪映画として紹介されているが恋愛映画である。犯罪のことはバックグラウンド。


■ あらすじ

◆ 脱獄

16歳の時に人を殺し7年間刑務所に入っていたボウイはチカモー、ティーダブと一緒に脱獄した。モブリーのところへ行くのだが、脚を痛めていたボウイは看板の陰に隠れて迎えを待った。

夜になってモブリーの娘のキーチが車で迎えに来た。「君は誰だ?地元のものか?」「かもね」「よそ者二人と会ったか?」「足を痛めてるんでしょ?」「かもな」「乗って」とわりあいと曖昧な会話をして、その車に乗り込んだ。

三人は、ここで車を調達して銀行強盗をする計画である。ボウイは車の修理を命令されて、キーチと一緒に作業した。二人は作業の合間にボソボソと少しずつ話した。二人とも母親が男と一緒に姿をくらましたことも話した。

マティが来た。強盗のために必要な資材を持ってきた。夫が刑務所に入っており保釈を申請している。新聞を見ると三人が脱走した記事が載っている。

◆ 銀行強盗

三人は出発した。キーチは「またね」と言った。三人はゼルトンで銀行強盗をした。

まずボウイが時計店に寄って高額紙幣を出して、釣銭がないので店主と一緒に銀行に両替えに行く。その時に銀行を偵察する。買った時計は、のちほどキーチにプレゼントする。

ボウイが運転手として待機し、二人が銀行に押し入って金を奪ってきた。車で逃走した後に車にガソリンをかけて燃やして別の車に乗り換えた。

またしばらく走ってティーダブは降りて、また走った。しかし衝突事故を起こしボウイは負傷。チカモーが別の車にボウイを乗せてモブリーの家に到着。

◆ ボウイとキーチ

ボウイはケガで寝ている。キーチが結わえていた髪をほどいてボウイのそばに来る。ここで二人は、ためらいがちな微妙な会話をする。「好きな男は?」「なぜ聞くの?」「ここを出たい?」「勘違いしないで」。

ボウイは買った時計をプレゼントする。「私のためなの?」「ああ」「それならほしいわ。あなたと付き合えと言いたいの?」「そうかも」。

ボウイの傷が回復して出ていくときに、キーチは「何ならいっしょに行ってあげる」と言って二人は出発する。

二人はバスに乗っていく。途中で休憩のための停車。そこには20ドルで簡単に結婚できる店があった。休憩が終わって二人はバスに乗る。

「結婚しないか?」「してほしい?」「ああ」「ならするわ」。ということで、慌てて二人はバスから降りて、結婚式を挙げる。メキシコ行きを勧められるが断る。その店で中古の車も買った。注、ボウイは強盗した金を持っている。

二人は田舎に家を借りた。他の人間とは接触せずに、静かに幸せに暮らしていた。

◆ チカモー

だがしかしチカモーが突然訪ねてきた。キーチは外出中。チカモーによるとボウイのことが新聞に載って有名になっている。ボウイはあれ以来何もしてないが、他の強盗が「ボウイ・ザ・キッド」と名乗るらしい。

チカモーはブラックジャックで負けて一文無しになった。ティーダブも金をなくしたらしい(理由不明)。マティの夫の保釈は不許可になった。

チカモーは「また仕事をしよう」と誘ったがボウイは断る。チカモーは出ていく。

キーチが戻ってきてチカモーが来たことを知る。「見つからないと思ってたのに」。ボウイは先ほどの言葉とは違って「(脱獄させてもらった恩義があるので)今回は無一文の彼らを助ける」。

キーチは反対する。ボウイはキーチにキスをする。(キスをするとキーチは喋れないので)唇が離れた後に「賢いのね」。

キーチは外出して時計を買ってきた。それをボウイにプレゼントする。二人は時計の時刻を合わせる。「銀行強盗はしないと約束して」と言うが、ボウイは答えないで出ていく。

ボウイは二人に会う。「僕は抜ける。二人でやってくれ」と言うと殴られる。注、結局三人は銀行強盗をする。ティーダブは射殺される。しかしこの場面は表示されない。後の会話で分かる。

チカモーと二人で車に乗っている。新聞にはボウイ・ザ・キッドが主犯と報道されている。チカモーはボウイがいわば人気なのが気に入らない。いろいろとグチグチ言ってくるので、拳銃で脅してチカモーを下ろす。

◆ 放浪

戻るとパイプが破裂したとのことで水漏れがしている。キーチが水を拭き取っている。修理業者が来るらしい。注、ここでチカモーが酒店に押し入って射殺されたとの情報が入った。

ボウイがなぜ外出していたのかを聞くとキーチは「医者に行った」と妊娠していることを明かした。

修理業者が来たが「工具を取りに戻る」と言って戻っていった。その様子を見て二人は荷物をまとめて逃げ出す。

今までの二人は、お互いに遠慮がちな喋り方をするが、ここからは素直な喋り方になっていく。「私を離さない?一緒にいてほしい?」「君が望むなら」「そばにいたいわ」「大都市に行こう」「何があっても生むわ」「そうさ」。二人はこれまで無表情に話していたのだが、ニコニコしながら話す。

二人はモーテルに泊まった。「目を開けるとあなたがいる」「気分は?」「猫になった気分」「柔らかくて温かい」。二人はレストランで食事をするが、この時にメキシコ行きの話をする。

さらに車で走っていくがキーチの体調が悪くなってきた。苦しそう。

◆ プレイリー・プラザ・モーテル

プレイリー・プラザ・モーテルに到着する。管理室にマティがいた。「なぜここに」「ティーダブから聞いた」。注、モーテルとマティの関係は明らかにされないが、とにかくマティが、このモーテルを管理している。

「キーチの具合が悪い」「部屋は埋まっている」「看板では空いてるだろ」「いや空いてない」「金は払う」「いらない」と押し問答するが、泊まることになる。

部屋に入ってキーチを寝かせて、ボウイは医者を呼びに行く。

この間にマティはボウイの存在を警察に密告する。引き換えに夫の保釈を要求。マティは若干後ろめたそうな顔をしている。刑事は「誰でも同じことをする」。

医者はキーチを診て帰った。「私たちは幸運よ」「世の中には孤独な人もいる」「何があっても私はあなたのもの」「二人でメキシコへ行こう」。ボウイは夜の道を飛ばした。

ボウイは結婚式をした時の牧師のところに行ってメキシコに行く手配を依頼する。しかし断られる。きちんとは話さないが、ボウイのことは知っているようである。戻る途中でボウイは覚悟を決めた。

◆ ラスト

ボウイは戻ってきてマティに会う。キーチに会わないで立ち去るつもりである。理由は自分がいなければキーチは安全だから。キーチに会うと「一緒に行く」というから。

マティは「キーチに会っていけ」と勧める。すでに警官隊が準備をしているからである。ボウイは手紙を置いていくことにした。

ボウイはキーチへの手紙を書いて、二人の部屋に向かう。部屋に近づいたところで、ボウイは撃たれて倒れる。

銃声を聞いてキーチが走り出てきてボウイを抱きしめる。先ほど書いたキーチへの手紙を取り上げて泣きながら読む。

「愛しいキーチへ。寂しくなるよ。でも仕方がない。二人に手紙を送る。どれだけ時間がかかろうと、きっと会いに行く。幸運な子だ。どうかその子をまっすぐに育ててくれ。愛してる」。

読み終わった後に少し間をおいて「ボウイ」。
 


■ 蛇足

ファーリー・グレンジャー。「人生模様/O. Henry's Full House(1952)」。

キャシー・オドネル。「我等の生涯の最良の年/The Best Years of Our Lives(1946)」「ベン・ハー/Ben-Hur(1959)」。

ハワード・ダ・シルヴァ。「青い戦慄/The Blue Dahlia(1946)」アラン・ラッド、ヴェロニカ・レイクと共演。「大城塞/Tripoli(1950)」モーリン・オハラと共演。「愛と憎しみの伝説/Mommie Dearest(1981)」ジョーン・クロフォードについての伝記。フェイ・ダナウェイと共演。

ジェイ・C・フリッペン。「海の無法者/Buccaneer's Girl(1950)」フィリップ・フレンド、イボンヌ・デ・カーロと共演。

ヘレン・クレイグ。「蛇の穴/The Snake Pit(1948)」オリヴィア・デ・ハヴィランドと共演。