■ UNDERCOVER BLUES(1993)/スパイ夫婦が赤ん坊を連れて大活躍。ドタバタコメディ
製作:1993年、脚本:イアン・エイブラムス、監督:ハーバート・ロス 予告編 予告編
■ はじめに
全体的にはコメディ調で要約不可能な乱闘と銃撃戦の連続。
ジェフ・ブルー(デニス・クエイド)とジェーン・ブルー(キャスリーン・ターナー)は新婚で赤ん坊が生まれたばかり。女の子だが、まだ名前が決まっていない。いやそれでも最後の場面では歩き始めるので、もう一歳。
ジェフとジェーンは非常に仲が良い。新婚で子供が誕生したばかりということもあるだろう。それならは仲が良いというのは当然ではるあるが、それにしてももう一つ仲が良いということを強調する理由がある。
キャスリーン姐さんは、夫や恋人とはうまく行っていても、意地を張ったり、悪口を言い合ったりしている役が非常に多い。素直ではない。
本作ではジェフとは最初から最後まで非常に仲が良い。ジェフとはよほど気が合っており、またジェフに対しては素直になれるらしい。
さて二人はスパイである。ジェフの言動が非常にあやふやだが、FBIかCIAのエージェントらしい。しかし素行が悪くFBIからは二回、CIAからは一回解雇されたらしい。いやいや、これもあやふやである。他の人に対しては脳外科医とか掃除機のセールスマンとか言ったりする。
■ あらすじ
二人は休暇でニューオーリンズに来ている。もちろん子供も一緒。ジェフが赤ん坊を抱いた状態で簡単に暴漢二人をやっつけたので、警察はジェフの正体に疑問を抱き、ジェフにつきまとっている。ソウヤー警部とハルシー刑事。
いやいやもう一人重要人物がいる。最初にジェフを襲った「死を呼ぶ男」ムエルテ。自分で言っているのだから間違いはない。ジェフにやられた恨みからか二人に付きまとう。そうは言ってもやられっぱなしなのだが、それでますますしつこく付きまとう。
さて休暇中ではあるが、緊急任務が入る。二人はボーナスを要求したうえで任務を引き受ける。
高性能の爆弾が盗まれたとのこと。犯人は宿敵のポーライナ・ノバチェク(フィオナ・ショウ)。元はチェコのスパイ。ポーライナの悪役ぶりがなかなか素晴らしい、いや憎らしい。
ポーライナは長年の敵対関係が、むしろ好意に変わってしまったのか、ジェフに「いつもながらいい体してるわね」とか「ジェーンがいなくなれば、いいことできるわよ」とか言ったりする。もちろんジェフはジェーンにぞっこんなので相手にしない。
いろいろとどんでん返し行き当たりばったりの展開の後、ジェフは囚われて手錠を掛けられた。場所は採石場みたいなところ。そしてジェーンは、赤ん坊を抱っこしたまま、銃を突きつけられる。
つまりは絶体絶命の状況。ついでながら言っておけば、ソウヤーもムエルテも捕まえられた。ジェフは「ムエルテは上司」と言っている。
ここでジェーンは赤ん坊を空中に放り上げる。赤ん坊は人形。仕掛けられた爆弾が爆発する。「こんなことでうまく行くわけないだろ?」とも思うが、そこをきちんとやるのがジェーンのすごいところ。
爆弾は相手を殺傷するためではなく、煙幕を張るためのものだったようである。煙幕を利用してジェーンは反撃、ジェフの手錠を外す、拳銃を撃ちまくって手下を倒すと大活躍。
ポーライナは爆弾が入ったトランクを抱えて逃走。一味のヘリが迎えに来るのでエレベータに乗って塔に登る。ジェーンはそのエレベータの下にぶら下がって追跡する。バッチリ、カッコイイ。
ポーライナはヘリに掴まるが、トランクを落としてしまった。拾うためにヘリから降りる。
ジョーンはクレーンのロープの先に捕まる。ジェフがクレーンを運転してアームを振る。ジェーンはポーライナに突撃する。
■ 補足
◆ 銀行強盗を捕える
カフェのテラス席にいた時。銀行の前にエンジンをかけて無人のままで止まっている車を発見。
ジェフは付近からチェーンを外してきて、その車と街灯の柱を結びつけた。
しばらくして銀行強盗が飛び出してきて、車に乗って発車したが、動かずに銀行強盗は御用となった。
◆ ワニ事件
ムエルテは、何度も二人を襲撃してくる。最初の場面でジェフに簡単にやられてしまった後、飲み屋で「チェーンとナイフで武装した男15人をやっつけた」と自慢した。
動物園のワニの池の前。ムエルテがナイフをかざしてジェフに突撃。ジェフはムエルテを軽くかわして投げ飛ばした。ムエルテはワニの池に落下。
ワニが近寄ってくるので、ムエルテは慌てて中にある木によじ登った。ワニが下で口を開けている。
その後、ムエルテはどうして助かったのかは不明。
◆ フォスターを脅してポーライナの居場所を探る
ポーライナは陸軍大佐を買収して高性能爆弾2発を盗み出した。爆弾の製造元がダイナゴン社。
ダイナゴン社のフォスターがポーライナと結びついている。
二人はフォスターを捕えてポーライナの居場所を白状させる。
ジェーンがロシア人の拷問の専門家という設定。それらしい白衣をきている。実は清掃会社の白衣だったりする。
先のとがった針、火花が散っている。フォスターの顔の前に近づけて脅す。
実はみんな冗談だが、フォスターは怖くなって白状する。
◆ ジェーン発作事件
二人は赤ん坊を連れて動物園。相変わらずソウヤー警部・ハルシー刑事とムエルテが付きまとっている。
ジェーンは嫌がるが、ジェーンが発作を起こしたということにして、捲くことになる。
ジェーンは突然倒れて大きな声を出す。みんなが駆け寄ってくる。
ジェフはベビーカーを押して姿を消す。ソウヤーとハルシーはジェーンのところに駆けつけるが、しかしムエルテはジェフをつける。
◆ ジェーンのホームレス変装事件
ムエルテが酒場のカウンタにいると、ホームレスの女性がそばに来て話しかける。これが実はジェーン。
「赤ん坊連れの男にやられただろ?」「俺を怒らせる気か!?」。
「復讐したくない?」と持ち掛ける。これでムエルテは「二人(ジェフとジェーン)に復讐できる」と思ってポーライナのところへ出かけて捕らえられる。
■ 蛇足
本作の日本語タイトルは、上記の通りだが、「アンダーカバーブルース/子連れスパイ危機一発」となっているものもある。注、本当は「危機一髪」なのだが「危機一発」の方がよいかも?
ジェフとジェーンは赤ん坊の籠を間に抱えて30キロ(英語では20マイル)をランニングした。
最後が「おばちゃん同士の掴み合い」みたいに展開するのがちょっと残念。
キャスリーン姐さんにはもう一つ、赤ん坊を放り投げる作品がある。「女と男の名誉」。共演はジャック・ニコルソン。
本作と「私がウォシャウスキー」はシリーズ化してほしかったところである。ウォシャウスキーはシカゴの探偵で、サラ・パレッキーの原作がある。小説は何冊もシリーズ化されており、ご存知の方も多いだろう。
■ 出演作
◆ デニス・クエイド
「熱き愛に時は流れて/Everybody's All-American(1988)」
「オーロラの彼方へ/Frequency(2000)」
「ディナー・ウィズ・フレンズ/Dinner with Friends(2001)」
「デイ・アフター・トゥモロー/The day after tomorrow(2004)」
「ヘレンとフランクと18人の子供たち/Yours, Mine and Ours(2005)」
◆ キャスリーン・ターナー
(1981)白いドレスの女/Body Heat
(1988)スイッチングチャンネル/Switching Channels
(1991)私がウォシャウスキー/V.I. Warshawski
(1983)二つの頭脳を持つ男/ The Man with Two Brains
(1984)ロマンシング・ストーン/Romancing the Stone
(1985)女と男の名誉/Prizzi's Honor
(1985)ナイルの宝石/The Jewel of the Nile
(1986)ペギー・スーの結婚/Peggy Sue Got Married
(1988)偶然の旅行者/The Accidental Tourist
(1989)ローズ家の戦争/The War of the Roses
(1992)心の扉/ハウス・オブ・カード/House Of Cards
(1993)アンダーカバーブルース/子連れで銃撃戦/子連れスパイ危機一発/UNDERCOVER BLUES
(1994/シリアル・ママ/Serial Mom
(1997)シンプル・ウィッシュ/Simple Wish
(1999)ベイビートーキング/ Baby Geniuses