■ The War of the Roses(1989)


製作:1989年、脚本:マイケル・リースン、監督:ダニー・デヴィート   予告編   予告編  


■ あらすじのあらすじ

オリヴァーとバーバラは幸せな結婚をして、立派な家を購入し、二人の子供も大きくなった。

しかしオリヴァーが顧客との打合せ中に病院に運ばれ、バーバラが駆け付けなかったことから、夫婦の間にヒビが入った。いやヒビが表面化した。

主な争点は二人が住んでいる家。バーバラは「この家が欲しい」と言うが、オリヴァーは「絶対にやらない」と双方が譲らない。意地になっている。

双方譲らないまま、拡大の一途を辿り過激化し、最後まで突っ走っていく。
 


■ はじめに

本作は「ロマンシング・ストーン」「ナイルの宝石」と同じくマイケル・ダグラスとキャスリーン・ターナー共演作。マイケル・ダグラスときちんとバランスが取れる女優はほとんどいないだろう。ついでながら、どこにでもよく出てくるダニー・デヴィートが、この三作に出演している。

この二人が登場すれば、えげつないドタバタの展開となるのは必然である。本作は他二作にも増して、この傾向が強い。マジメな方は要注意。「この二人には誰もかなわない」という臭気が漂ってくる。

本作は離婚専門の弁護士のギャビン・ダマート(ダニー・デヴィート)が過去を回想するという形で展開する。なぜならば、その時点ではオリヴァー・ローズ(マイケル・ダグラス)とバーバラ・ローズ(キャスリーン・ターナー)は死亡しているからである。

バッサリと要約すれば、夫婦喧嘩となって双方最後まで譲らず二人とも死亡するというものである。「こんなのありか?」というべきものではあるが、「マイケル・ダグラス+キャスリーン・ターナーならば、大いにありうる」というのが恐ろしい。

二人の子供は大学に行っているので、もう家にはいないが、この二人は両親と違って、温厚な性格である。またスーザン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)という大学生の住み込み家政婦がいるのだが、彼女はなんとか二人の依りを戻そうとする。オリヴァーとバーバラが、この三人のように常識的な人間であれば、このようなことにはならなかっただろう。
 


■ あらすじ

◆ 出会いと結婚

オリヴァーとバーバラは骨董品のオークション会場で出会い、お互い一目ぼれをした。元体操選手と言うバーバラは、初対面の時にオリヴァーの前で逆立ちを披露した。オリヴァーは若かったけれども有望な弁護士であった。その日のうちにさっそく....。

そして結婚して二人の子供ができた。

◆ 豪邸を購入した

オリヴァーの将来性から言えば何の問題もなかったが、豪邸を購入した。バーバラがいろいろと探したもの。バーバラが訪ねていくと、たまたま母親が死亡し葬儀が行われており、娘から「大事に使っていただけるなら」と譲ってもらった。玄関を入ると吹き抜けのホールになっており、天井の高さは10メートル以上、大きなシャンデリアがあった。

バーバラは家の床を張り替え、磨き上げ、調度品を購入した。完璧な家と家庭を作り上げた。バーバラにとっては芸術品であった。もちろんその間にオリヴァーは順調に出世した。肥満児だった二人の子供は痩せた。そして大学に入った。

◆ しかし夫婦の間に少しずつ隙間風が....

バーバラは自宅でパテを作って売るようになった。たまたま知人に食べさせて評判が良かったからである。次第に客がついてきた。バーバラの手伝いのためにスーザンを雇った。

しかしこの頃から、少しずつ風が入ってくる。

犬(ベニー)と猫(キティ)を飼っており、オリヴァーはベニーをバーバラはキティを可愛がった。バーバラは餌をベニーに投げる振りをする。ベニーは投げられたと思った餌を一生懸命に探す。オリヴァーはキティを叩いてテーブルから落とす。

◆ 離婚騒動が勃発したっ!

オリヴァーが重要な打ち合わせの最中に突然調子が悪くなり病院に担ぎ込まれた。バーバラに連絡が行き、バーバラは病院に駆けつけた。はずであったが、バーバラは病院に現れなかった。注、この前にバーバラがオリヴァーの胴を足で締め付ける事件がある。

オリヴァーは「なぜ病院に来なかった」と責めるとバーバラは「大丈夫だと分かってたからよ」と答えるが、さらにオリヴァーが追及すると、バーバラは驚くべき言葉を吐き出す。「もしかしてあなたが死んだらと思った時、喜んでいる自分が怖かったの」。ここは、なかなか名場面。

そしてバーバラは「離婚したい」と切り出す。「あなたが食べてる時、寝ている時に見てると引っぱたきたくなるの」。オリヴァーが「やってみろよ」と言うとバーバラは本当に引っぱたく。

常に争点の中心はバーバラが「この家が欲しい」と言うと、オリヴァーは「絶対にやらない」となる。意地になっている。二人とも人間ができていれば、そのような展開にはならないのだが、この二人には無理である。

以後、延々と夫婦喧嘩の展開となるが、概ねバーバラが優勢である。これがまた笑える。

◆ キティ(猫)が轢かれて死亡し、オリヴァーがサウナに閉じ込められる

夜オリヴァーが車で薬を買いに出かけようとした。ベニーがキティを追いかけていた。そしてオリヴァーの車がキティをひき殺した。もうこの時は関係が悪くなっていたのでバーバラには報告しない。

バーバラはキティが見当たらないので心配して探す。これは過失なのだが、バーバラは、このことを深く根に持った。

その結果起こるのがサウナ事件。バーバラはオリヴァーがサウナに入っている時に、外から楔を打ち付けてドアが開かないようにして閉じ込めた。オリヴァーは脱水症状を起こし半死半生の目に合った。

対してオリヴァーは、バーバラの靴のヒールをノコギリで切り取った。

注、この後バーバラがオリヴァーの弁護士となっているギャビンを訪れて誘惑する場面がある。

◆ オリヴァーがバーバラのバーティをぶち壊し、バーバラがオリヴァーの車を襲撃する

このような状態にもかかわらず、バーバラが始めたパテの仕事は順調であった。お客を招いてパーティが開かれた。バーバラによればワシントンポストの記者も来たらしい。

そこにオリヴァーが乱入してきて「ちょっと風邪気味」と言いながら料理の上にくしゃみ。鼻をかんだ紙を皿に投げ入れる。なんとさらに鍋に小便をかけた!お客は絶句。

バーバラはオリヴァーの頭をフライパンで殴り飛ばして、外に出た。自分の車をオリヴァーの車にぶつけた。バーバラの車の方がかなり大きくて頑丈。

外に出てきたオリヴァーを車で追い回す。オリヴァーの車を押しつぶす。

この後、バーバラは、大事にしていたスタッフォード社の置物を割って投げつける。皿を円盤投げのようにオリヴァーに投げつける。オリヴァーは頭をかばって陰に隠れる。


◆ ベニー(犬)でパテを作って食べさせる

バーバラが「今夜九時、食堂で話し合いを」と伝言板に書いた。「パーパラが軟化した」と喜んだオリヴァーは「YES」と書いて応答。

バーバラはパテを持ってきた。オリヴァーはワインを持ってきた。二人で食べて飲んだ。久しぶりの光景。「きれいだよ」。「ワインありがと」。二人の仲が元に戻ったかに見えた。「やりすぎたわ」「まだやり直せる」。

「こんなうまいパテを作る女に悪人はいない」。しかしここからが問題発言。「問題はパテの材料よ」「何だ?」。

少しの沈黙の後にバーバラは「ワン!」「?」「いいイヌは、味もいいでしょ?」。事態を悟ったオリヴァーはテーブルをひっくり返す。バーバラは二階に逃げる。オリヴァーは追いかける。

注、しかしベニーは家の外で横になって寝ている。安心していただきたい。

◆ 必死の攻防の後、二人とも死亡

すでに明らかにしたことだが、終わりはハッピーエンドになるかと言えば、この二人である、そうは展開しない。

オリヴァーはバーバラが逃げ込んだ部屋を板とクギで打ち付ける。バーバラは中からドリルで穴をあける。必死の攻防が続く。さらにバーバラは屋根裏部屋に逃げ込んだ。

オリヴァーが襲撃してきた。バーバラが逃げ出し、オリヴァーが捕まえた。バーバラは急所攻撃。オリヴァーはいったん追い出される。若干の展開の後バーバラは二階、オリヴァーは一階で睨み合い。

オリヴァーが置物を投げつける。バーバラの顔に当って倒れる。オリヴァーが階段を駆け上って近づくとバーバラがオリヴァーを棒で殴り倒す。

オリヴァーが反撃するとバランスを崩したバーバラが二階の手摺から落ちそうになる。シャンデリアに飛びつく。シャンデリアにぶら下がってブラブラ状態。「助けてほしかったら、家を諦めろ」「イヤよ」。

この事態になってオリヴァーは棒でシャンデリアを引きよせようとする。しかしシャンデリアに引っかかった棒に引き寄せられて空中へ浮いた。慌ててシャンデリアを掴む。二人ともシャンデリアにぶら下がる。

「反動をつけて手すりに跳び移ろう」「ダメよ、この前シャンデリアのボルトを緩めたの」。そしてついに二人の重さに耐えきれずシャンデリアを吊るすロープが外れて落下。二人とも床にたたきつけられた。

一階の床に落下した時は、二人とも息があった。オリヴァーは、やっと動かせた右手でバーバラの肩に手を置いた。しかしバーバラは息絶え絶えではあるが、オリヴァーの手を撥ね退けた。

事態を察知したスーザンとギャビンが駆けつけたが、手遅れ。
 


■ 蛇足

ハリウッド映画では実在の大学名や企業名や宗教の宗派名がよく登場する。本作ではオリヴァーはハーヴァード卒であり、二人の子供もハーヴァードに入学したという設定。

マイケル・ダグラス。「危険な情事/Fatal Attraction(1987)」「嵐の中で輝いて/Shining Through(1992)」「サウンド・オブ・サイレンス/Don't Say a Word(2001)」「ザ・センチネル/陰謀の星条旗/The Sentinel(2006)」。
ダニー・デヴィート。「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷/Romancing the Stone(1984)」「ナイルの宝石/The Jewel of the Nile(1985)」「鬼ママを殺せ/Throw Momma from the Train(1987)」「ザ・ゲーム/Even Money(2006)」。
 

キャスリーン・ターナー
(1981)白いドレスの女/Body Heat
(1988)スイッチングチャンネル/Switching Channels
(1991)私がウォシャウスキー/V.I. Warshawski
(1983)二つの頭脳を持つ男/ The Man with Two Brains
(1984)ロマンシング・ストーン/Romancing the Stone
(1985)女と男の名誉/Prizzi's Honor
(1985)ナイルの宝石/The Jewel of the Nile
(1986)ペギー・スーの結婚/Peggy Sue Got Married
(1988)偶然の旅行者/The Accidental Tourist
(1989)ローズ家の戦争/The War of the Roses
(1992)心の扉/ハウス・オブ・カード/House Of Cards
(1993)アンダーカバーブルース/子連れで銃撃戦/子連れスパイ危機一発/UNDERCOVER BLUES
(1994/シリアル・ママ/Serial Mom
(1997)シンプル・ウィッシュ/Simple Wish
(1999)ベイビートーキング/ Baby Geniuses