歯科医の幸せな主婦が豹変した。
製作:1994年、脚本:ジョン・ウォーターズ、監督:ジョン・ウォーターズ
■ はじめに
◆ 主要登場人物
・ベヴァリー・サトフィン(キャスリーン・ターナー)-専業主婦
・ユージーン(サム・ウォーターストン)-ベヴァリーの夫、歯科医
・ミスティ(リッキー・レイク)-娘
・チップ(マシュー・リラード)-息子
◆ 補足
キャスリーン・ターナーは、ずいぶんといろいろなタイプの役を演じている。自閉症児の母親、昼はキャリアウーマンの娼婦、テレビレポーター。そして32歳の時であるが高校生、(性転換した)父親！。このくらい幅広い役を演じている女優は少ないのではないか？
しかし、あえて言えば(悪人ではないにしても)「悪女オーラをギラギラ発散しているような役」が多い。「白いドレスの女」では夫を殺して財産を奪う。「私はウォシャウスキー」では探偵として殴り合いと銃撃戦。「ナイルの宝石」では走る列車の屋根の上で殴り合い。「ローズ家の戦争」では双方死ぬまで夫婦喧嘩。「女と男の名誉」では殺し屋。
マジメな方や純朴な方には勧められないような作品がある。ある種の免疫が必要である。しかしワクチンを接種して免疫を確保すれば、キャスリーン・ターナーの作品を楽しむことができる。だがこのワクチンにも副作用があって、他の映画を見ても「刺激が少なくて面白くない」ということにもなる。
さて本作はキャスリーン・ターナーの出演作でも格別にすごい。主婦の連続殺人鬼。
■ あらすじ
完全なブラックコメディ。冒頭では「本作は事実にもとづいたものである」と冗談が表示される。
ベヴァリーは専業主婦。ユージーンは歯科医で息子と娘が一人ずつ。経済的にも問題はなく、幸せそうな家庭である。ミスティにはボーイフレンド、チップにもガールフレンドがいる。
幸せそうな主婦が連続殺人鬼であることが非常に恐ろしい。それぞれの事件の詳細は述べる必要はないだろう。
まず第一事件。チップの先生との面談で「頑張ってはいる。しかし頭がホラー(映画)のことでいっぱい。家庭の問題がある」と言われて、教師をひき殺す。
第二事件。ボーイフレンドがミスティを振って、他の彼女と付き合い始めた。ボーイフレンドを後ろから尖った棒で突き刺して殺す。
第三事件。ゴミを分別しないで捨てていた女性の家に忍び込んでハサミで刺殺。逃げ出した夫を上からエアコンを落として殺す。
第四事件。チップのバイト先のレンタルビデオ店で、(VHSを)巻き戻さないで返却した客の家に忍び込んで殴り殺す。
警察も動いている。世間にも「シリアルママ」として知られた。しかしユージーンは「ママが殺人犯でも大切な家族だ」と鷹揚である。しかし大詰めを迎える。
第五事件。第四事件を目撃したチップの同級生を車で追いかける。同級生はロックの演奏が行われているライブハウスに逃げ込む。ベヴァリーは、入り口で「おー、シリアルママか、よし入れ」と言われて入る。ベヴァリーが入ってきて、中では「シリアルママコール」が大きく湧き上がる。スプレーで火炎を噴射して同級生を殺す。しかしここでついに逮捕となる。
裁判となるがベヴァリーは弁護人を解雇して、自分自身で弁護人を務める。傍聴人が詰めかける。
ミスティは新しいボーイフレンドと一緒に裁判所の前で「私のママよ～！」と叫びながら「シリアルママTシャツ」を12ドルで販売している。本も出版されている。客が「私も二三人殺してみたいわ」と言いながら本を買っていく。そして映画化の話も決定している。
ちなみに判決は無罪！。
■ 出演作
◆ キャスリーン・ターナー
(1981)白いドレスの女/Body Heat
(1983)二つの頭脳を持つ男/ The Man with Two Brains
(1984)ロマンシング・ストーン/Romancing the Stone
(1985)女と男の名誉/Prizzi's Honor
(1985)ナイルの宝石/The Jewel of the Nile
(1986)ペギー・スーの結婚/Peggy Sue Got Married
(1988)偶然の旅行者/The Accidental Tourist
(1989)ローズ家の戦争/The War of the Roses
(1988)スイッチングチャンネル/Switching Channels
(1991)私がウォシャウスキー/V.I. Warshawski
(1992)心の扉/ハウス・オブ・カード/House Of Cards
(1993)アンダーカバーブルース/子連れで銃撃戦/子連れスパイ危機一発/UNDERCOVER BLUES
(1994/シリアル・ママ/Serial Mom
(1997)シンプル・ウィッシュ/Simple Wish
(1999)ベイビートーキング/ Baby Geniuses
