江之浦測候所シリーズ終章です。
最後に、見逃しそうになった、なかなか難度の高いポイントを3つほど。
★まずは観桜台。
檜の懸造りで作られた展望台で、
”夏至の日には100メートルギャラリーの軸線に沿って朝日が昇るのを見ることができる”と
あります。
実はこちら、受付後の導入部といもいえる明月門より手前に設置されているので、
(しかも普通に順路通り歩いていたら死角となる場所にあり)
普通は気づかぬまま中に入ってしまいます。
明月門の前で、どこからどう見たらいいものやらうろうろしていたおかげで(?)
係りの方が、「こちらに見どころがひとつありますよ」、とナビゲートしてくださいました。
まあ、これひとつ見逃したからといって、まったくNo Problemではありますが。
ただ、門の手前に隠れるようにして置かれている、というのが作為的にも見えて
(係りの方の力を借りてでも)探し出せたこと自体、勝ち誇ったような気分になります!?
さらに、この檜の懸造りという構造がーーー
後に見る光学硝子の舞台に呼応しているので、それもまた新たな発見となって
楽しめます?!
では上へ。
「わー絶景」と叫んでみたいところですが、実は木々が生い茂りすぎて、
眼下に見えるはずの夏至のギャラリーがほんのチラっと見えるだけ。
”(この場所から)夏至の日には100メートルギャラリーの軸線に沿って朝日が昇るのを見ることができる”という触れ込みでしたが、思いのほか木々の成長が早く、狂いが生じたのかも。
他の場所がどこもかしこもとにかく綿密に仕組まれていただけに、
こんな感じでちょっと企画倒れの香りただようこの場所は、そこはかとなくお茶目とも言えます。
左手の方には待合棟が佇んでいました。
★それから見逃しポイント2つ目。
地図を見ながらなんとか探そうと躍起になったものの、難儀したポイントがこれ;
白鳳時代の大官台寺瓦。
どこにあるかというと、、、苔が浮かび、金魚が泳ぐ中央の小池の中!
受付で頂いたガイドには、「瓦」、と書いてあるのに
水の中に沈められているとは、難度高すぎです。
この大官台寺とはー
「文武天皇(697ー707年)建立の官寺で藤原京の東南、香具山のふもとに建てられた。
大官とは、”おほつかさ”とも読み天皇を意味する。官寺の中でも最高位の寺院であった。」
法隆寺の五重塔の初層と比べてもその倍以上の大塔だったそう。
「失われてしまった大寺の面影を偲ばせる」とも書かれているけど、
このかけらから威容を想像するのはちょっと難しいかも―。
妄想総動員で散策せよ、というお達しなのでしょう。
★最後はこちら。フランス旧家の石の階段(19世紀)です。
古代から現代まで、日本のさまざまな建築パーツや遺物が仕込まれているこの場所にあって
唯一の外国由来のもの。
2014年パリで開催された杉本さんの展覧会では、鎌倉時代の雷神像を置くために
これが使われたそうです。
細々と10回に分けて書いてきた江之浦測候所。
xxゆかりのxx、、といった場所はまだまだたくさんありますが、
ここで一挙にネタバレしてはつまらない。
加えて、他の所は大体ガイドを見ながら歩けば比較的ストレートに理解できる場所ばかりです。
すべてガイドの通りに動くのはちょっと癪なので、杉本さんが予期しなかった自分だけの発見を
見つけるべく躍起になる、、そんな散策手法もオツだと思います♪。
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江之浦測候所4 門と紋のヒミツ
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江之浦測候所6 光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席
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江之浦測候所8 現代アートのような化石や5億年前の化石も
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