◆明月門のエピソード

 

江之浦測候所にある歴史的記念物のうち、特に話題にのぼるもののひとつがこの旧明月院の門。↓

 

今回たまたま美術館の方からこの門の数奇な運命を伺いました。それによるとー、

 

・この門は関東大震災の時に半壊し、その後何人かの手に引き取られ、戦後は根津嘉一郎の手に

渡った。

・やがてその門は、嘉一郎氏のコレクションを所蔵するために誕生した根津美術館の正門として

利用されることに。

・しかし今から14年前、根津美術館は隈研吾氏の設計で改築が決定。

・その際、消防法の都合上、この門は使えなくなり、江の浦測候所を管理する小田原文化財団に寄贈された。

 

消防法の都合上ーー

そういえば、隈研吾さん設計の新しい根津美術館は脇の入口から入って細長い通路を歩くスタイル。

消防車がそのまま建物まで入っていける構造ではないので、入口に木材が使えなかった、

とかそういう事情なのでしょうかね。

 

門の逸話を教えて頂いたきっかけは、我々が係りの方にした質問がきっかけでした。

あちこちで見かけるこの模様は家紋ですか?と。

 

下はシャトルバス後方の写真ですが、

〇の中に△が入っているようなこの模様を、施設内さまざまなところで見かけたのです。

 

 

 

バスだけでなく、係りの方の法被とか、そしてこの名月門にも。

明月院といえば鎌倉、となるとこれは北条家の紋なのだろうか?

そんな疑問があったのですが、回答はーー

 

「小田原文化財団=Odawara Art FoundationのOとAを組み合わせたものです」と。

なるほどー。

 

そしてこの後、この門にまつわるエピソードを教えて頂いたのでした。

 

ほかにも、この門は、表と裏で、年代が違う、とのこと。

表は新しく、裏は古いままだそう。

では確かめてみよう。

 


 

表。

 

 

 

裏。よくわからない?

いえいえ、見てびっくりそのとおりでした。

 

 

表には小田原文化財団のロゴ付き鬼瓦!

つまり新品。

 

 

裏は木材も古びています。そして財団のロゴはーーついていません~。

 

 

門の前は京都市電の敷石です。

 

 

 

門そばにはひっそり隠れた櫓もあるので、お見逃しなく。

 

 

 

もっとも、今の時期は木々が生い茂って待合棟が見えるだけ。

本当は100メートルギャラリーも見えるはずですが。

 

 

 

やっと門のところまでたどり着きました。

この先は加速しなければ。

 

 

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