◆ 到着前にまずは玄関口の見どころ3つ ◆
海の見える駅舎は駅百選/関東大震災の惨事で欠番になったホーム/詩人茨木のり子が歌った場所
現代アーティスト杉本博司氏の思いが詰まったランドスケープアート、「江之浦測候所」の続きです。
はるばる来たぞ、と現地到着に向けて前のめりになりがちですが、
まずは現地到着前に、見どころがあります。
それは最寄り駅の根府川(ねぶがわ)駅。
江之浦測候所のチケットを買う際に追加料金なしでシャトルバスの予約ができ(時間指定あり)、
マイカー利用でない場合は根府川駅から出ているこのバスを利用することになります。
この根府川駅、関東の駅百選(関東のなかで特徴的な駅を100選んだもの)に指定されています。待合室に掛かっている関東駅百選のプレートを見て初めて知ったわけですが。
駅の特徴は:明治の学校風ともいえる可愛い水色の駅舎の前に相模湾が広がっていること。
ただ、この風光明媚な駅は、かつて惨事の舞台ともなりました。
駅構内にある関東大震災殉難碑が、静かにそれを今に伝えています。
丁度100年前の1923年、関東大震災によりこの場所で地滑りが勃発。
山側のホームが電車ごと海に落下。
津波が追い打ちをかけ、乗員乗客100人以上が犠牲になったそうです。
それゆえ、この駅には1番ホームがないのです。
流されて、一部は今も海に埋没したままとのこと。
新たに1番ホームは造成せず、2,3,4番線ホームのみ。
帰りに電車に乗るとき、2番ホームが小田原方面行、3番が熱海、4番も熱海方面行となっていて
あら、1番ホームがないのか、と不思議に思っていました。
欠番になったわけを知ったのは帰宅後ネットで。
駅で目にした碑と結びついて、ようやく全貌が見えました。
帰り際に偶然撮っていたこの写真で、1番線ホームがないのがわかります。
もう少しズームするとー
緑の丸枠部分が旧1番線ホーム。
赤い2,3,4のマークがそれぞれ現在あるホームの番線。
緑の枠部分、確かに背後が小山になっていますが、とはいえ土砂がホーム・電車もろとも海の方へ押し流したなんて。
そのパワーは恐ろしいばかり。
さて、駅舎を出ると「小田原ふるさとの原風景百選」という看板がありました。
詩人茨木のり子が詩集「根府川の海」のなかで「根府川 東海道の小駅 赤いカンナの咲いている駅・・・」と謳った旨記されています。
詩人は、実家との往復にこの路線を使っていたようです。
その歌碑などはないのかしら、とちらっと思ったものの、ほどなく友人らと合流し、
そのまま失念。
帰りにシャトルバスでまたこの駅に戻ってきた時に、たまたま見つけました。
素敵な和紙に記された墨書を。
さて、今日の所は、江之浦測候所到着前のところでおしまい!
続きはまた明日以降。
ちなみに、我々は予約していた9:45発のシャトルバスで現地に向かい、13時現地発のシャトルバスで駅に戻りました。
行きも帰りも便は複数あります。
帰りのバスは予約不要で、13時発が最後。
江之浦測候所は午前の部と午後の部の入れ替え制なのです。
結局、我々の測候所滞在時間は10時から13時まで。
入口の明るいラウンジでほっと一息する暇などはなく、
これでギリギリすべてを見終えた、という状況でした。
見落としはないかなー、あれはどこにあるの?と行きつ戻りつ、
マイペースでわりとゆったり見学して丁度3時間。
帰りのバスは我々のみだったので、行きに一緒だった他の人たちは前のバスに乗車した模様。
大体2時間半ぐらいで見終える人が多い印象です。
駅前にて:
江之浦測候所1 現代アートの殿堂 イントロ編 杉本博司氏の江之浦測候所
江之浦測候所2 玄関口は風光明媚な駅百選認定駅
江之浦測候所3 鑑賞法と参道
江之浦測候所4 門と紋のヒミツ
江之浦測候所5 無限のオブジェ 大手町~江之浦
江之浦測候所6 光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席
江之浦測候所7 清水寺のような懸造り
江之浦測候所8 現代アートのような化石や5億年前の化石も
江之浦測候所9 江之浦測候所内の食事事情と嵐の撮影スポット
江之浦測候所10 探せず見逃し寸前だったものたち