江之浦測候所のなかでも個人的に大ウケだったのがこの化石窟。

 

なかなか年季の入った小屋ですがこれはー

”昭和30年代、蜜柑栽培が活況を呈していた頃に建てられた道具小屋を整備したもの。”

 



 

 

ここにある化石のコレクションは、杉本さんが収集したものだそう。

個人の収集品とはいえ古さでいうとあっと驚く5億年前のものもあり、

国立博物館にあってもよさそうなものばかり。

 

 

三葉虫 5億500ー4億3800万年前

スキタロクリヌス・ディスパラリス(植物っぽい) 3億5500ー2億9000万年前

 

 

 

きれいに残っている化石。

レプトメリックス・エバンシ 3800-2600万年前

 

 

 

かと思えば、天井上方左(案山子の隣)にこんなアート。

白地に植物と花が描かれた現代アートを化石とうまく融合させてる?と思って

係りの人に聞いたら、ここにある化石はすべて本物です!と。

慌てて手元資料を見たところ、ヤシの葉と魚の化石で、5500ー3800万年前のもの。

もうほとんどアート・・

 

 

 

左のエビも写実派の画家のドローイングです、と言われても信じてしまいそう。

 

 

 

もうひとつのツボは、ギベオン隕石(1838年)。(黒い岩のほう)

なぜこれがツボかというと、、、

 

 

隕石の真上に、落石注意の看板が置かれていたんです。

なんたるシャレ!

遊び心満載ですな。

 

隕石の背後にあるのは三葉虫(5億500ー4億3800万年前)

まるで草履。育ちすぎという印象。

太古のスケール感は半端ない。

こんなのがうじゃうじゃいたら、人間はもうゾクゾクしてしまうけど、巨大恐竜にとっては

ノミみたいなものだったかな。

 

 

 

手前2つの大きなものは4億3500-3億6000年前。

ウミユリ(南モロッコ出土)

 

 

化石が自然になじんではいるけれど、蜜柑小屋の面影が満載です。

 

 

 

事前勉強で絶対見ようと思っていたのがこちら。

秀吉軍 禁令立て札 桃山時代。

これも化石窟にさりげなく置かれています。

割とすぐ見つけられました。

 

一軍勢甲乙人ホ濫妨狼藉事

一放火事・・・

などかすかに読めます。

 

 

道具類はそのまま。

 

 

 

 

何が隠されているか、目を皿のようにしてきょろきょろしてみれば、

楔形文字も発見。紀元前3000年。

それって文字の起源とされる年代では?

もっとも正確な年代はわからないからね。

このぐらい古くなると、紀元前3000年でも2000年でも誤差のうちでしょう。

以前オリエント博の講演会でもそんな感じの話がありましたっけ。

 

 

 

少し上った地点から見た化石窟。

 

 

 

杉本さんが何を仕込んでいるのか、宝探しよろしく楽しんでしまいました。

江之浦測候所というと、夏至のギャラリーや冬至の隧道、光学硝子の舞台が話題をさらうけれど

地味にさりげなく味のあるものがいっぱいちりばめられています。

 

 

 

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